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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

地震じしんの とき、ガスは どうして じぶんで とまるの?

地震でガスが「わざと」止まるわけ ── 家と街の二段構えと、管の強さのはなし

地震時の都市ガス遮断の二段構え ── マイコンメーターと地区ガバナ、阪神・淡路大震災の復旧、ポリエチレン管による耐震化

分野:技術

地震じしんの あと、ガスが つかえなく なって、「こわれたのかな」と おもった ことは ありませんか。

じつは あれは、ガスが わざと とまる ように 作って ある からです。だれが、どこで、どう とめるのか、しらべて みました。

大きな地震のあと、ガスコンロをつけても火がつかない。そんな経験をした人もいるかもしれません。

実は、あれは故障ではなく、火事などを防ぐために、地震が来たらガスを止めるように作られているためです。止めるのは家の中のメーターだけではありません。街の側にも止める場所があります。その二段構えと、止めたあとの大変さ、そして管そのものを強くする工夫を追います。

都市ガスは、強い地震が来ると自動で止まる。止めるのは家庭のマイコンメーターと、街の側の地区ガバナの二段構えで、いずれも二次災害を防ぐための設計だ[1][2]。

ただ、止めれば終わりではない。1995年の阪神・淡路大震災では復旧に約3か月かかり、その教訓が管の耐震化につながったとされる。止める側・戻す側・管の側の3点を、出典つきで整理する。

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1. ガスが とまるのは、こわれた から?

1. 止まるのは「故障」ではなく「設計」

1. 遮断は故障でなく設計 ── 二次災害を防ぐ

ガスは、もれたまま 火が 近くに あると、とても きけんです。地震じしんで 家や 管くだが こわれて いるかも しれません。

だから、おおきく ゆれたら、まず ガスを とめる ことに して います。つかえなく なるのは こまりますが、火事を ふせぐ ための ものです[1]。

とめる ばしょは 2つ あります。ひとつは 家の 中、もうひとつは 町の 中です。

ガスは、もれた状態で火が近くにあると、火事や爆発につながるおそれがあります。地震では、家の中の配管も、道路の下の管も、傷んでいるかもしれません。

そこでガス会社は、大きな揺れを感じたら、被害の有無をたしかめる前にまず止める、という考え方をとっています。日本ガス協会は、この地震対策を「設備対策・緊急対策・復旧対策」の3本柱で説明しています[1]。

止める場所は大きく2つ。家の中と、街の側です。順に見ていきます。

日本ガス協会は、都市ガス事業者の地震対策を、設備対策・緊急対策・復旧対策の3本柱で説明している[1]。緊急対策の中心が、強い揺れでガスを自動的に止める仕組みだ。

遮断は、需要家側(家庭のマイコンメーター)と供給側(地区ガバナ)の二段構えで行われる。地震後にガスが使えなくなるのは、こうした安全側の設計の結果であり、異常ではない。

2. 家の 中で とめる のは だれ?

2. 家の中の見張り役 ── マイコンメーター

2. 需要家側の遮断 ── マイコンメーター

家の 外や げんかんの そばに、ガスの メーターが あります。中には 小さな コンピュータが はいって いて、震度しんど5 くらいより 大きな ゆれを 感じると、ガスを じどうで とめます[1]。

ゆれの ほかに、ガスが もれて いそうな ときや、ながい あいだ つけっぱなしの ときにも とまる ことが あります[3]。

ぶじを たしかめて もどす やり方は、ガス会社の あんないに ある じゅんばんで 行います。ガスの においが する ときは、さわらずに ガス会社へ れんらくします[3]。

ほとんどの家庭のガスメーターには、マイコンメーターという安全装置が入っています。震度5相当以上の強い揺れを感じると、家の中へのガスの供給を自動で止めます[1]。

作動するのは地震だけではありません。ガス漏れが続いたとき、ガスの圧力が下がったとき、機器を長い時間使い続けたときにも、赤いランプが点滅して止まることがあります[3]。

元に戻すときは、ガス機器をすべて止めてから復帰ボタンを押し、しばらく待ちます。この間、メーターがガス漏れがないかを調べています。待つ時間は約3分が目安ですが、機種によって違います。ガスのにおいがするときは、復帰操作をせずにガス会社へ連絡するよう案内されています[3]。

ただ、家のメーターだけでは足りません。道路の下の管が壊れていたら、家に入る前にも止めたいからです。

家庭用のマイコンメーターは、震度5相当以上の強い揺れを感知すると、家屋内へのガス供給を自動で停止する[1]。地震のほか、ガス漏れの継続・ガス圧の低下・機器の長時間使用でも作動し、赤ランプが点滅する[3]。

復帰は、全機器を止めて復帰ボタンを押し、約3分待つ。この間にメーターが漏えいの有無を確認している。ガス臭いときは復帰操作をせず事業者へ連絡する[3]。待ち時間は機種で異なる。

LPガス用のメーターは、ガス使用中に震度5相当以上の地震があると止める仕様の資料がある。都市ガス用メーターの作動条件は、事業者や機種で異なる。

家庭側だけでは、道路下の導管が壊れた場合に家の手前までガスが来てしまう。街の側にも遮断点が要る。

3. 町の 中でも、とまる ばしょが ある

3. 街の側の遮断 ── 地区ガバナとブロック

3. 供給側の遮断 ── 地区ガバナ・ブロック化・遠隔遮断

町の 中には、「ちくガバナ」という 大きな はこが たくさん あります。ガスの 力(あつ)を ちょうどよく さげて、家に おくる ものです。

ここにも 地震じしんを はかる きかいが あり、大きな ゆれの ときは、そこから さきへの ガスを とめます。町を いくつかに 分けた 「ブロック」ごとに とまる ので、こわれた ところを ふくむ 町だけを とめられます[2]。

東京ガスの 場合、この ちくガバナは やく4000 こ あります[2]。

さらに、ガス会社の 本社にも、ゆれの データが あつまります。火事や 家の たおれそうな 場所を しらべて、とおくから とめる ことも できます[2]。

地区ガバナは、中くらいの強さの圧力で届いたガスを、家庭やオフィスで使える低い圧力に下げる装置です。東京ガスネットワークの供給エリアには約4,000基あり、それぞれに地震計(SIセンサー)が付いています[2]。

ガス管に被害が出るほどの大きな揺れを感じると、その地区ガバナが自動で止まります。低圧の管は多くのブロックに分けられていて、止まるのはブロックごとです。被害のなさそうな地域まで巻き込まずに、危ない地域だけ止めやすくなります[2]。

もう一つの仕組みが、遠隔での遮断です。約1km²に1基という密度で置かれた地震計の情報が指令センターに集まり、火災や家屋の倒壊が予測される地域の地区ガバナを、離れた場所から止めます[2]。基数やブロックの数は東京ガスの例で、ほかの事業者では違います。

地区ガバナは、中圧のガスを家庭で使える低圧に下げる圧力調整器だ。東京ガスネットワークの供給エリアには約4,000基あり、各基にSIセンサー(地震計)が付く。導管に被害を及ぼすような大きな揺れを感知すると自動遮断され、ブロック単位で供給が止まる[2]。

遠隔遮断も併用される。約1km²に1基という密度のSIセンサーを使い、火災や家屋倒壊が予測される地域の地区ガバナを、供給指令センターから遠隔で止める[2]。

基数やブロックの数は東京ガスの値で、全国共通ではない。遮断の基準の言い方も、東京ガスの説明(SI値)と報道(震度)とで異なり、ここでは「大きな揺れ」にとどめた。

4. とめた あと、もとに もどすのは たいへん

4. 止めたあとの大仕事 ── 阪神・淡路大震災

4. 阪神・淡路大震災(1995)── 遮断の後の復旧に約3か月

ガスを とめるのは、はやく できます。でも、もとに もどすのは、ずっと じかんが かかります。

1995ねんの はんしん・あわじ だいしんさいでは、大阪おおさかガスの ガスが、80まんこを こえる 家で とまったと つたえられて います。うごきだすまでに、およそ 3か月 かかりました[4]。

ガスは、こわれた 場所を さがして なおし、もれが ない ことを たしかめて から つなぎます。この けいけんを ふまえて、さまざまな くふうが すすめられました。

1995年の阪神・淡路大震災では、大阪ガスの供給停止が80万戸を超え、国内最大規模だったと報じられています。二次災害を防ぐことを優先して止めたこともあり、復旧には約3か月かかったといいます[4]。戸数は資料により84万〜86万戸ほどと幅があり、ここでは「80万戸を超える」にとどめます。

止めるのは一瞬でも、戻すには、こわれた場所を見つけて直し、管の中に漏れがないことを確かめ、地域ごとに順に開けていく作業が要ります。内閣府の教訓集は、プロパンガスは震災の約2週間後にほぼ復旧した一方、都市ガスは4月11日に一部地域を除き復旧作業が完了と記しています[5]。

この経験をふまえ、止める範囲を分ける対策や、そもそも壊れにくくする管の耐震化などが進められてきました。次の章は後者です。

阪神・淡路大震災では、大阪ガスの供給停止は国内最大の約86万戸とされ、二次災害の防止を優先して止めた結果、復旧に約3か月を要した[4]。戸数は資料により約84.5万戸とも約86万戸とも書かれ、本稿は「80万戸超」の幅で扱う。

内閣府の教訓資料は、プロパンガスは1月28日にほぼ100%復旧、都市ガスは4月11日に一部地域を除き復旧作業が完了、と記す[5]。

遮断の速さと復旧の遅さの差をふまえ、供給側の対策や導管そのものの耐震化が進められてきた。

5. こわれにくい ガスの 管くだ

5. 壊れにくい管へ ── ポリエチレン管

5. 導管の耐震化 ── ポリエチレン管と耐震化率

こわれるのを へらす ために、ガスの 管くだを 新しく して います。今は、プラスチックの なかまの「ポリエチレン」の 管くだが つかわれて います。

ゴムの ように のびやすく、ゆれても われにくいのが とくちょうです。日本ガスきょうかいは、地震じしんで 力が かかっても ガスが もれない、と せつめい して います[1]。

ただし、日本中の 管くだが ぜんぶ かわった わけでは ありません。町の 下の 細い 管くだでは、ぜんたいの 9わり ちかくが 強い 管くだに なった、と いう 数字が あります[6]。

ポリエチレン管は、強さと、よく伸びる性質を合わせもった管です。日本ガス協会は、地震で力が加わってもガス漏れが起きない、と説明しています[1]。ただし業界団体の説明なので、「絶対に漏れない」という意味ではありません。

低圧の主な管の耐震化率は、2018年末で89.5%と報告されています。国の計画では、2030年度末に95%をめざしています[6]。100%ではないので、古い管が残っている地域もあるということです。

阪神・淡路大震災の後、新しく作る低圧の管にはポリエチレン管が広く使われるようになったとされます。

ポリエチレン管は、強度と延性を兼ね備え、地震で力が加わってもガス漏れが起きない、と日本ガス協会は説明する[1]。業界団体の説明であり、絶対に漏れないという意味には一般化できない。

低圧本支管の耐震化率は、2018年末で89.5%(全国平均)と報告され、2023年度末には92.7%との数字もある。国の「ガス安全高度化計画2030」は2030年度末に95%を目標とする[6]。いずれも100%ではなく、更新は進行中だ。

阪神・淡路大震災後に新設の低圧管でポリエチレン管が主流になったとの説明もあるが、二次資料のみで、因果は断定しない。

6. じぶんでも しらべて みよう

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

きょう できる こと

家の ガスメーターを 見つけて、どこに あるか かぞくと たしかめて みましょう。さわったり、ボタンを おしたりは しません。「ふっき」の ボタンが どこに あるかを、見るだけです。

おでかけで できる こと

道の 上に、ガスの マークの ふたが ある ことが あります。その 下に ガスの 管くだが あるのかも しれません。ふたは あけず、見るだけに します。

もっと しりたく なったら

かぞくと 「ガスが とまったら どうする?」を はなして みましょう。ガス会社の ページにも、地震じしんの ときの ことが のって います。

今日できること

家のガスメーターを探して、場所を家族と確認してみましょう。触ったりボタンを押したりはしません。復帰ボタンがどこにあるかを、見るだけです。

出かけてできること

道路には、ガスの管の位置を示すマークやふたがあることがあります。開けずに、見るだけにしましょう。

家族と話してみる

ガスが止まったとき、復帰の手順を誰が確かめるか、においがしたらどうするかを、家族と話しておくと安心です。日本ガス協会や、住んでいる地域のガス会社のページにも、地震のときの対応が載っています[1][3]。

今日できること

自宅のガスメーターの位置と復帰ボタンの場所を、家族と確かめておくとよい。実際の復帰操作は、事業者の案内に従う。

出かけてできること

お住まいの地域のガス会社が公開する、供給エリアのブロックや耐震化の取り組みを読み比べる。

資料を読むなら

  • 日本ガス協会「都市ガス事業者の地震対策」[1]
  • 東京ガスネットワークの地震防災対策の資料[2]
  • 内閣府の阪神・淡路大震災の教訓資料[5]

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の数字・仕組みの説明の出どころです。基数やブロック数は東京ガスの例で、全国共通ではありません。

  1. 日本ガス協会「都市ガス事業者の地震対策」 https://www.gas.or.jp/anzen/taisaku/ (マイコンメーター・ポリエチレン管・3本柱)
  2. 東京ガスネットワーク「地震防災対策の3本柱 緊急」 https://www.tokyo-gas.co.jp/network/anzen/urgency/index.html (地区ガバナ・ブロック・遠隔遮断)
  3. 日本ガス協会「ガスが止まったら」 https://www.gas.or.jp/anzen/gas-stop/ (復帰の手順)
  4. 神戸新聞NEXT「阪神・淡路大震災とインフラ(下)」 https://www.kobe-np.co.jp/news/economy/202501/0018549776.shtml (供給停止と復旧の期間)
  5. 内閣府「阪神・淡路大震災教訓情報資料集」 https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/hanshin_awaji/data/detail/2-5-4.html (ガスの復旧時期)
  6. 経済産業省 ガス安全高度化計画2030 取り組み状況 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/gas_anzen/pdf/032_01_02.pdf (耐震化率)

なおした ところ

更新履歴

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