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ここに書いてあることは、誰かが実際に手を動かして調べ、考え、作り上げてきたものを拾い集めています。専門の本や論文、作品、そしてそれを生み出した人たち。気になったことがあれば、ぜひそのおおもとに直接ふれてみてください。このメモには書ききれない熱を、感じてもらえると思います。

いでんで きまる ことと、きまらない こと

遺伝で決まること、決まらないこと

遺伝で決まること、決まらないこと

分野:からだ

いっらんせいの ふたごは、生まれる もとに なる もの(DNA)が、ほとんど 同じだと いわれる。でも、ゆびの もようは、それぞれ ちがう。

おなじ もとから 生まれたのに、なぜ ちがう ところが 出て くるのだろう。いでんで きまる ことと、きまらない ことを しらべて みよう。

一卵性の双子は、生まれるもとになるもの(DNA)が、ほとんど同じだといわれる。でも、指の模様(指紋)は、それぞれちがう。

同じもとから生まれたのに、なぜちがうところが出てくるのだろう。遺伝で決まることと、決まらないことを調べてみよう。

一卵性双生児はDNAがほぼ同じだとされる。でも、指紋はそれぞれ異なる。血液型のように遺伝だけでほぼ決まる性質もあれば、身長のように遺伝と環境の両方が関わる性質もある。

メンデルの法則から最新のエピジェネティクスまで、私たちの体がどう決まるのかを見ていこう。

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1. メンデルは、エンドウマメで 「いでんの きまり」を 見つけた

1. メンデルは、エンドウマメで「遺伝のきまり」を見つけた

1. メンデルが、エンドウマメの実験から遺伝の法則を見つけた

むかし、オーストリアの しゅうどういんに いた メンデルと いう 人が、庭で エンドウマメを そだてて、おや子の あいだで 何が つたわるかを しらべた[1]

8年間、3万本に ちかい エンドウマメを そだてつづけた すえ、1865年、おやから 子へ、とくちょうが つたわる ときの きまりを 見つけて はっぴょうした。でも、この はっぴょうは、メンデルが 生きて いる あいだは、あまり ちゅうもくされなかった[1]

昔、オーストリアの修道院にいたメンデルという人が、庭でエンドウマメを育てて、親子のあいだで何が伝わるかを調べた[1]

8年間、3万本に近いエンドウマメを育てつづけたすえ、1865年、親から子へ、特徴が伝わるときのきまりを見つけて発表した。でも、この発表は、メンデルが生きているあいだは、あまり注目されなかった[1]

オーストリア帝国の修道士グレゴール・メンデルは、1856年から1863年にかけて、修道院の庭で3万株近いエンドウマメを栽培し、種子のしわの有無など7つの形質に注目して、親から子へ特徴が伝わる規則性を調べた[1]

メンデルはエンドウマメを選んだ理由として、形質が明瞭で見分けやすいこと、自家受粉するため交配を制御しやすいこと、多くの種子が得られることを挙げている。1865年にこの研究成果を小さな学会で発表し、翌1866年に論文として刊行したが、メンデルの生前にその重要性が広く認められることはなく、死後16年が経ってから再評価された[1]

2. 子どもは、父と母から 半分ずつ、とくちょうを うけつぐ

2. 子どもは、父と母から半分ずつ、特徴を受けつぐ

2. 遺伝子は、父と母から半分ずつ受け継がれる

人の からだの 中には、「DNA」と よばれる、からだの 作り方が 書かれた あんないしょの ような ものが ある(ただし ほんとうは 本では なく、小さな つぶが ながく つながった ものだ)。子どもは、この あんないしょを、父からと 母からと、半分ずつ うけつぐ[2]

だから 子どもは、父にも 母にも 少しずつ にて いる。でも、半分ずつの くみあわせは、きょうだいでも まいかい ちがう。だから、きょうだいでも かおや せいかくが ちがう[2]

人のからだの中には、「DNA」と呼ばれる、体の作り方が書かれた案内書のようなものがある(ただし本当は本ではなく、小さな粒が長くつながったものだ)。子どもは、この案内書を、父からと母からと、半分ずつ受けつぐ[2]

だから子どもは、父にも母にも少しずつ似ている。でも、半分ずつの組み合わせは、きょうだいでも毎回ちがう。だから、きょうだいでも顔や性格がちがう[2]

遺伝情報はDNAという分子に記録されており、人の体細胞は父親由来・母親由来それぞれ23本ずつ、計46本の染色体を持つ。生殖細胞(精子・卵子)が作られる際、対になった染色体からどちらか一方がランダムに選ばれて受け継がれ、さらに染色体どうしの一部が入れ替わる「組換え」も起きるため、組み合わせの数はさらに多くなる[2]

この組み合わせのランダム性により、同じ両親からきょうだいが生まれても、受け継ぐ遺伝子の組み合わせは(一卵性双生児を除いて)毎回異なる。これが、きょうだいの間でも顔立ちや体質が異なる理由の一つである[2]

3. 血えきがたは、ほぼ いでんだけで きまる

3. 血液型は、ほぼ遺伝だけで決まる

3. 血液型など、遺伝だけでほぼ決まる形質がある

からだの とくちょうの 中には、いでんだけで、ほぼ きまって しまう ものが ある。たとえば 血えきがた(A・B・O・AB)は、父と母から うけついだ もので、ほぼ きまる[3]

むかしは、こういう いでんの しくみを「ゆうせい」「れっせい」と よんで いたが、「すぐれて いる・おとって いる」と かんちがいされやすいと いう りゆうで、今は「けんせい」「せんせい」と よばれる ことが おおく なった[3]

耳あかが しめって いるか かわいて いるかも、いでんの えいきょうが 大きい とくちょうだと いわれて いる[3]

体の特徴の中には、遺伝だけで、ほぼ決まってしまうものがある。たとえば血液型(A・B・O・AB)は、父と母から受けついだ組み合わせで、ほぼ決まる[3]

昔は、こういう遺伝のしくみを「優性」「劣性」と呼んでいたが、「すぐれている・おとっている」と勘ちがいされやすいという理由で、今は「顕性」「潜性」と呼ばれることが多くなった[3]

耳あかが湿っているか乾いているかも、遺伝の影響が大きい特徴だといわれている[3]

ABO式血液型は、1つの遺伝子の組み合わせ(A・B・Oという3種類の対立遺伝子のどれとどれを持つか)でほぼ決まる、単純なメンデル遺伝の例として知られている。A型・B型はO型に対して顕性(優性)であり、AB型は共顕性(共優性)の関係にある[3]

なお、「優性」「劣性」という呼び名は、遺伝子そのものの優劣を連想させ誤解を招きやすいとして、2017年に日本遺伝学会が「顕性」「潜性」という言い換えを提案した。メンデルが発見した法則も、かつては「優性の法則」と呼ばれていたが、今は「顕性の法則」と呼ばれることが増えている[3]

耳あかの湿性・乾性は、ABCC11という遺伝子の特定の変異の影響を強く受けることが分かっている、単一遺伝子で説明しやすい形質の例として知られている[3]

4. しんちょうは、いでんだけでは きまらない

4. 身長は、遺伝だけでは決まらない

4. 身長のように、多くの遺伝子と環境が関わる形質もある

でも、しんちょうのように、いでんだけでは きまらない とくちょうも ある。しんちょうには、いでんも 大きく かかわるが、たべもの、すいみん、うんどうなどの くらしかたも、かかわって いる[4]

せかいの ふたご 3万組が きょうりょくした けんきゅうでは、人に よる しんちょうの ちがいの うち、やく75%は いでんに よる ものだと されて いる。のこりは、くらしかたの えいきょうだと いう[4]

でも、身長のように、遺伝だけでは決まらない特徴もある。身長には、遺伝も大きくかかわるが、食べ物、すいみん、運動などの暮らし方も、かかわっている[4]

世界の双子3万組が協力した研究では、人による身長のちがいのうち、約75%は遺伝によるものだとされている。残りは、暮らし方の影響だという[4]

身長は、多数の遺伝子が関わる「多因子遺伝」の代表例とされる。フィンランド・スウェーデン・デンマーク・オランダ・イタリア・オーストラリア・アメリカ・日本の8か国で、約3万組の双子が協力した2003年の大規模研究では、成人身長の遺伝率は平均で約75%と報告された[4]

ただし国によって60〜82%とばらつきがあり、これは栄養状態や生活環境の違いを反映していると考えられている。栄養状態が既に良好な社会では、環境差による身長差が小さくなる分、相対的に遺伝の影響が大きく見えるのではないか、という見方も指摘されている[4]

5. おなじ DNAの ふたごでも、ゆびもんは ちがう

5. 同じDNAの双子でも、指紋はちがう

5. 双子の研究から、遺伝と環境がどう関わるかが見えてくる

いっらんせいの ふたごは、DNAが ほとんど 同じだと いわれる。かおも、たいけいも、よく にて いる。でも、ゆびの もよう(ゆびもん)は、それぞれ ちがう[5]

ゆびもんは、おなかの 中で 赤ちゃんが そだつ あいだに、DNAだけでは なく、へそのおや ようすいの ながれなど、ちょっとした ぐうぜんの えいきょうも うけて つくられると いわれて いる[5]

一卵性の双子は、DNAがほとんど同じだといわれる。顔も、体つきも、よく似ている。でも、指の模様(指紋)は、それぞれちがう[5]

指紋は、おなかの中で赤ちゃんが育つあいだに、DNAだけでなく、そのときのちょっとした偶然の影響も受けてつくられると考えられている。まったく同じ環境は、双子であっても再現できない[5]

一卵性双生児は遺伝的にほぼ同一であるとされる。多くの双子が協力した研究から、遺伝要因だけでなく環境要因も体質や特徴に関わることが分かってきた。一卵性双生児であっても、指紋は互いに異なる[5]

指紋の基本パターン(渦状紋・弓状紋・蹄状紋など)は遺伝の影響を受けるが、細部の模様は、胎児期の子宮内環境(母親が摂取した物質や子宮内の状態など)による影響を受けているとされる。ただし、その詳細な発生メカニズムは、現時点でもまだ十分には解明されていない[5]

6. かんきょうが、いでんしの「スイッチ」を おす

6. 環境が、遺伝子の「スイッチ」を押す

6. エピジェネティクス ── 環境が遺伝子の働き方を変える

さいきんの けんきゅうで、DNAの ないようじたいは かわらなくても、その いでんしを つかうか つかわないかの「スイッチ」が、くらしかたで きりかわる ことが わかって きた[6]

たとえば しょくじや うんどうの しゅうかんが、この スイッチに えいきょうする ことが しられて いる。いでんしの ないようは おなじでも、はたらき方が かわる ことが ある[6]

最近の研究で、DNAの内容自体は変わらなくても、その遺伝子を使うか使わないかの「スイッチ」が、暮らし方で切りかわることが分かってきた[6]

たとえば食事や運動の習慣が、このスイッチに影響することが知られている。遺伝子の内容は同じでも、働き方が変わることがある[6]

エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列そのものを変えずに、遺伝子の働き方(スイッチのオン・オフ)を調節するしくみのことである。DNAメチル化やヒストン修飾といった化学的な変化によって制御される[6]

食事、運動、ストレス、大気汚染などの環境要因が、このスイッチの状態に影響を与えることが分かってきている。エピジェネティクスは、「遺伝か環境か」という単純な二分法では説明しきれない、両者をつなぐ仕組みとして注目されている[6]

じぶんの ゆびもんを、虫めがねで 見る

自分の指紋を、虫めがねで観察する

自分の指紋を、虫めがねで観察する

虫めがねで、じぶんの 10本の ゆびの もようを 見くらべて みよう。おなじ 手の 中でも、ゆびに よって もようが ちがう ことに 気づくかもしれない。

虫めがねで、自分の10本の指の模様を見くらべてみよう。同じ手の中でも、指によって模様がちがうことに気づくかもしれない。虫めがねを持ちかえながら、左右の同じ指どうしを順番に見比べてみるとおもしろい。

虫めがねで、自分の10本の指紋を見くらべてみよう。渦状紋・弓状紋・蹄状紋といった基本パターンは指によって異なることがあり、左右の同じ指どうしでも細部は一致しない。1本の体の中でも、指紋がそれぞれ独自につくられていることを確かめられる。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. サイエンスポータル「メンデルの法則生んだ遺伝子発見」、ナショナルジオグラフィック日本版「『メンデルの法則』はなぜ無視されたのか?」。 https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20071003_01/index.html https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/26/012900059/ (メンデルが1856〜1863年にオーストリアの修道院で3万株近いエンドウマメを栽培し7つの形質を調べたこと、エンドウマメを選んだ理由、1865年に研究成果を発表したこと、生前は評価されず死後16年経ってから再評価されたこと)
  2. フリー百科事典『ウィキペディア』「メンデルの法則」、DNAふしぎ発見「DNA入門1:人物紹介」(かずさDNA研究所)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/メンデルの法則 https://www.kazusa.or.jp/dnaftb/1/bio.html (人の体細胞が父方・母方それぞれ23本ずつ計46本の染色体を持つこと、生殖細胞形成の際に対になった染色体の片方がランダムに選ばれ受け継がれること)
  3. 遺伝性疾患プラス「指紋は遺伝で決まりますか?」、フリー百科事典『ウィキペディア』「ABO式血液型」、日本人類遺伝学会「『潜性』『顕性』についての報道について」。 https://genetics.qlife.jp/tutorials/genetics-and-human-traits/are-fingerprints-determined-by-genetics/ https://ja.wikipedia.org/wiki/ABO式血液型 https://jshg.jp/news/1269/ (ABO式血液型がA・B・Oという3種類の対立遺伝子の組み合わせでほぼ決まる単純なメンデル遺伝の例とされること、A型・B型がO型に対して顕性〈優性〉でAB型が共顕性〈共優性〉であること、2017年に日本遺伝学会が「優性」「劣性」から「顕性」「潜性」への言い換えを提案したこと、耳あかの湿性・乾性が単一遺伝子の影響を強く受ける形質として知られること)
  4. tfpグループ「身長は何割が遺伝?最新研究でわかった遺伝と環境の関係」。 https://tfp-group.co.jp/kodomo-shincho/column/shincho-iden-kakuritsu (2003年に発表された8か国・約3万組の双子が協力した研究で成人身長の遺伝率が平均約75%、国によって60〜82%のばらつきがあったこと、栄養状態や生活環境の違いが遺伝率の見え方に影響すること)
  5. 遺伝性疾患プラス「指紋は遺伝で決まりますか?~一卵性双生児でも指紋は異なる?~」、フリー百科事典『ウィキペディア』「双生児研究」。 https://genetics.qlife.jp/tutorials/genetics-and-human-traits/are-fingerprints-determined-by-genetics/ https://ja.wikipedia.org/wiki/双生児研究 (一卵性双生児は遺伝的にほぼ同一とされること、双子を対象とした研究から遺伝要因だけでなく環境要因も関わることが分かってきたこと、一卵性双生児でも指紋は異なること、指紋の基本パターンは遺伝の影響を受けるが細部は胎児期の環境なども関わると考えられ形成の詳しい仕組みはまだ十分に分かっていないこと)
  6. ミネルヴァクリニック「エピジェネティクスとは|DNA配列を変えずに遺伝子を制御する仕組み」。 https://minerva-clinic.or.jp/about-human-genom-index/epigenetics/ (エピジェネティクスがDNAの塩基配列を変えずに遺伝子の働き方をオン・オフ調節するしくみであること、DNAメチル化やヒストン修飾によって制御されること、食事・運動・ストレス・大気汚染などの環境要因がこの調節に影響を与えること)

なおした ところ

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