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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ガラスは えきたい? かたい もの? ふるい まどは ながれて いるの?

ガラスは液体なのか固体なのか ── 古い窓ガラスは本当に流れているのか

ガラスは液体か固体か ── 窓ガラスは流れているのか、ガラス転移と過冷却液体

分野:技術

ふるい きょうかいの まどガラスは、下の ほうが あつい ことが あります。「ガラスが ながれて、下に たまった」と いう 話を きいた ことは ありませんか。

でも、約やく750ねん まえの まどガラスで しらべると、10億おくねん まっても、ながれる ながさは 1ミリの 100万まんぶんの 1ほどだと わかりました。あつさの ちがいは、つくりかたの せいです。この きじでは、ガラスが なぜ えきたいとも かたい ものとも いいきれないのか、その わけも みて いきます。

古い教会の窓ガラスは、下のほうが厚いことがあります。「ガラスは液体だから、何百年もかけて下へ流れたのだ」という話を、聞いたことがあるかもしれません。でも、その厚さのむらは、ガラスが流れた跡ではなく、作り方と窓へのはめ方で説明されています。

ところが、1268年にできた窓ガラスで調べた研究では、10億年たっても流れる長さは1ナノメートル(1ミリメートルの100万分の1)ほどという計算になりました。厚さのちがいは、作り方のせいです。では、ガラスは液体なのでしょうか、固体なのでしょうか。この記事では、答えと、その答えが一言で言えない理由をたどります。

古い教会の窓ガラスが下側で厚いのは、ガラスが長い時間をかけて流れたからだ、という説明が広まっている。しかし、1268年ごろのウェストミンスター寺院の窓ガラスをもとにした計算では、室温での流れは10億年で最大でも約1nm(1mmの100万分の1)にとどまる[1]。厚さのむらは、製法に由来すると説明されている。

では、ガラスは液体なのか固体なのか。この記事では、窓ガラスの話、結晶にならずに固まるという性質、粘度の比較、そして「液体でも固体でもある」と表現される理由を、研究者の発表や辞典の定義でたどる。

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1. ふるい まどは、ほんとうに ながれて いるの?

1. 下が厚い窓は、流れた跡なのか

1. 「下が厚い」の原因 ── 流動か、製法か

むかしの ガラスやさんは、いまの ように ぴったり たいらな いたガラスを つくれませんでした。とけた ガラスを ふくらませて まるい かたちに し、まわして ひらたく のばして いたからです[1]。できた ガラスは、ところどころ あつさが ちがって いました。

その いたを まどに はめる ときは、あつい ほうが 下に くる むきで はめた ひとが おおかったと いわれます[1]。だから「下が あつい」ように みえる まどが あるのです。

ガラスが ながれて、下に たまった わけでは ありません。では、ガラスは ぜんぜん ながれないのでしょうか。つぎの しょうで、すうじで たしかめます。

昔の板ガラスは、今のように平らにはできませんでした。溶けたガラスを吹いて大きな球にし、平らな円盤になるまで回して広げる「クラウン法」で作られていて、できた円盤は場所によって厚さがちがいました[1]。その円盤から切り出した板は、厚さがまちまちです。窓にはめるとき、厚いほうが下にくる向きではめた職人が多かったと説明されています[1]。

新聞社が配信した2008年の記事も、中世のガラス職人は完全に平らな板を作れなかったので、窓は最初からでこぼこだった、と説明しています[3]。つまり、「下が厚い」のは流れた結果ではなく、はめたときの向きの結果です。

それでも、「ガラスは本当に少しも流れないのか」という疑問は残ります。次の章で、数字で確かめます。

研究によると、中世の窓ガラスはクラウン法で作られた。溶けたガラスを吹いて球にし、回転させて平らな円盤にする方法で、円盤の厚さは場所によって異なった。その円盤から切り出した板は厚さがまちまちで、厚い部分を下にして設置されることが多かった、と説明されている[1]。ニューヨーク・タイムズ紙の記者ケネス・チャンによる2008年の記事も、中世の職人は完全に平らな板を作れず、窓は新品のときからむらがあった、と述べている[3]。

ここまでは「厚さのむらの原因は製法」という説明だ。しかし、製法で説明できるからといって、ガラスが室温で流れないとは限らない。次の章で、流れる量を計算した研究を見る。

2. 10おくねん まっても、ほんの ちょっと

2. 1268年ごろの窓ガラスから見積もる、流れる速さ

2. ウェストミンスター寺院の窓ガラスと粘度の見積り

アメリカの コーニング社の けんきゅうしゃたちが、イギリスの ウェストミンスターじいんに ある、1268ねんごろの まどガラスを しらべました[1]。ガラスの なかみの ざいりょうを しらべて、どれくらい ながれやすいかを けいさんしたのです。

けっかは、すこし おもしろい ものでした。むかしの かんがえより、ずっと ながれやすい ことが わかったのです。それでも、10億おくねん まって、ながれるのは せいぜい 1ナノメートルほど。1ナノメートルは、1ミリの 100万まんぶんの 1です[1]。

まどが できてから、まだ 750ねんほどです。まどの 形かたちが かわるほど ながれる ことは、ありません。

アメリカのコーニング社のオズギュル・ギュルビテン、ジョン・マウロ(現在はペンシルベニア州立大学)らは、ウェストミンスター寺院にある1268年ごろの窓ガラスを調べました。ガラスの成分から、粘度(ねばりの強さ)を見積もるためです[1]。

意外なことに、室温での粘度は、それまでの見積りより約16けたも低く出ました。つまり、思われていたよりずっと流れやすいガラスだったのです。それまでの見積りは、現代のソーダ石灰ガラスなどの測定値にもとづいていました[2]。ところが、そのように流れやすくても、人間の時間の長さで測れるほどには流れません。計算では、10億年で最大でも約1ナノメートルです[1]。

窓ができてから約750年です。この間に流れた長さは、1ナノメートルのさらに何分の1にもなりません。厚さのちがいは、流れではなく製法によるものだったと言えます。

では、ガラスは「液体のように流れる固体」なのでしょうか。そもそも液体と固体は、何がちがうのでしょう。

オズギュル・ギュルビテン、ジョン・マウロ(現ペンシルベニア州立大学)らコーニング社の研究者は、ウェストミンスター寺院の1268年ごろの窓ガラスの成分から、粘度を推定した[1]。この研究(Journal of the American Ceramic Society、DOI: 10.1111/jace.15092)によると、室温での粘度は、それまでの見積りより約16けた低い。それまでの見積りは、現代のソーダ石灰ガラスやゲルマニウム酸化物ガラスの組成と、旧ソ連で行われた数十年前の測定にもとづいていた[2]。研究チームは、成分と温度から粘度を推定する式(MAP式)を使い、組成の影響まで含めて見積もり直した[2]。

それでも、この粘度は「人間の時間尺度で測れる粘性流動を観察するには高すぎる」とされる。計算で最大でも、10億年で約1nm流れるにとどまる[1]。窓の年齢は約750年だから、観察できる変形はなく、厚さのむらは製法によるものと考えるのが自然だ。

この結果は「ガラスは固体だ」と言い切る材料にはならない。流れないこと(時間尺度の話)と、液体でないこと(構造の話)は別の問いである。次に、構造の側から見る。

3. こおらずに かたまる、ふしぎな ものの かたち

3. 結晶にならずに固まる ── 液体の並びのまま止まったもの

3. ガラス状態とは ── 過冷却液体の凍結

みずが こおると、つぶが きちんと ならんで こおりに なります。こういう ならびかたの かたまりを「結晶けっしょう」と いいます。

ガラスは ちがいます。とけて いる ときの、ばらばらの ならびかたの まま、ゆっくり かたく なって いきます。きちんと ならぶ まえに、ねばねばが ふえて、うごけなく なるのです[4]。

たとえば、とけた あめを ひやすと、とちゅうから ねばねばに なって、さいごは かたい あめに なります。ガラスの かたまりかたも、これに にて います。ただし、ほんとうの ガラスは、もっと たかい おんどで、もっと ゆっくり かたまります。

水が凍るとき、水の分子は規則正しく並んで氷の結晶になります。多くの物質は、冷やすと決まった温度(融点)で結晶になって固まります。

ところが、ガラスになる液体は、融点を過ぎて冷やしても結晶にならないことがあります。どろどろの液体のまま温度が下がると、粘度(ねばりの強さ)がどんどん大きくなり、最後には動けないほどの状態になります[4]。結晶になる前の液体のような状態を「過冷却液体」と呼びます。ガラス状態は、この過冷却液体の粘度が急に大きくなって、固体のようになった状態のことです[4]。

つまり、ガラスの原子の並びは、結晶のような規則正しいものではなく、液体のときの乱れた並びに近いまま止まっています。ここが「ガラスは液体の仲間だ」という言い方のもとになっています。

この変わり目の温度を「ガラス転移点」と呼びます。結晶の融点とちがって、決まった一つの温度ではありません。冷やし方の速さで少し変わるとされています[4]。

辞典類では、ガラス状態は「液体を急冷すると、融点以下でも結晶にならずに過冷却液体となり、さらに冷やすと粘性が急に大きくなって固体状になった状態」と説明される(世界大百科事典)。非晶質の一種だ[4]。日本大百科全書は「流動性が極端に低い液体ともいえる」と表現し、ブリタニカは、明確な凝固点を示さず、冷却とともに粘度が増して無定形に固まる状態と述べる[4]。

化学辞典(第2版)は、ガラス状態を、過冷却液体が転移点以下で1013ポアズ以上の粘度をもつ状態と定義する[4]。1013ポアズは、SI単位に直すと1012 Pa·sである。ガラス転移は熱力学的な意味での厳密な相転移ではなく、転移温度は冷却速度にいくらか依存するとされる[4]。結晶の融点のように、一つの温度で決まるものではない。

構造の面から言えば、ガラスの原子配列は液体構造が凍結したもの、と考えられている[4]。「液体の並びのまま、動きが止まった」と言い表すことができる。

4. 「ながれる かたまり」と くらべて みよう

4. 本当に流れるもの ── ピッチ滴下実験との比較

4. 粘度の比較 ── ピッチ滴下実験とガラス状態の目安

オーストラリアの クイーンズランドだいがくには、1927ねんから つづく ふしぎな じっけんが あります。ピッチと いう まっくろな かたまりを じょうごに いれて、すこしずつ たれる ようすを みて いるのです[5]。

ピッチは、さわると かたい かたまりに みえます。でも、さいしょの 1てきが おちるまで 8ねんほど かかりました。そのあとも、7ねんから 12ねんいじょうの あいだを おいて、ぽとり、ぽとりと おちて います[5]。この ピッチは、ながい あいだ まつと、ひとの いっしょうの なかで しずくが おちるのが みえるのです。

ガラスの ねばねばは、このピッチより、ずっと ずっと つよいです。だから、ガラスの ほうは、人の いっしょうの あいだに ながれる ようすを みる ことは できません。

1927年、オーストラリアのクイーンズランド大学の物理学の教授トーマス・パーネルは、ピッチ(黒いタールのかたまり)を使った実験を始めました。ピッチを温めてガラスのじょうごに入れ、3年おいて冷やし、1930年にじょうごの下を切ったのです。それから、ピッチは少しずつ流れ出しました[5]。

1滴目が落ちるまでは約8年、2〜6滴目は7〜9年ごと、7滴目は1988年、8滴目は12年以上かかりました。粘度は、最初の6滴の平均で水の約2500億倍とされます[5]。固体のように見えるのに、ピッチは実際に流れ落ちています。

では、ガラスはどうでしょう。化学辞典の定義では、ガラス状態の粘度は1013ポアズ(1012 Pa·s)以上です[4]。ピッチの約2.3×108 Pa·sの、およそ4000倍以上です[5]。ピッチが何年かに1滴落ちるあいだ、ガラスは見ている間には動きません。

ピッチ滴下実験は、クイーンズランド大学の物理学教授トーマス・パーネルが1927年に始めたものだ。加熱したピッチをガラスのじょうごで冷やし、3年後の1930年にじょうごの口を切ると、流れ出した。1滴目が落ちるまで約8年、2〜6滴目は7〜9年おき、7滴目は1988年7月、8滴目は12年以上後だった。9滴目は落ちずにビーカーのたまりへ静かに着地し、10滴目は2020年代と予想されている[5]。1984年の論文は、最初の6滴の平均の粘度を2.3×108 Pa·s(水の約2500億倍)とした[5]。

ガラス状態の目安は、化学辞典の定義で1013ポアズ以上、つまり1012 Pa·s以上である[4]。これはピッチの値の約4000倍以上にあたる(この比は、辞典の定義の下限と論文の平均値を比べたもので、個々のガラスの測定値どうしの比ではない)。ピッチは人間の観察の時間で流れ落ちるが、ガラスは同じ時間では動きが見えない、というちがいを示す数字になる。

では、ガラスは固体と呼んでよいのか。固体のように振る舞うことと、構造が固体であることは、ここでも別になる。

5. けっきょく、えきたい? かたい もの?

5. 「液体でも固体でもある」と言われる理由

5. ガラスの定義とガラス転移の未解決問題

けっきょく、ガラスは えきたいなのでしょうか。かたい ものなのでしょうか。

けんきゅうしゃたちは、「ならびかたは えきたいに にて いて、さわると かたい ものと して はたらく」と せつめいします。シドニーだいがくの ピーター・ハロウェルさんは、ガラスを「いちばん ねばねばの えきたい」とも「いちばん ばらばらな かたい もの」とも よべると いいました[3]。

じつは、ガラスが なぜ、あんなふうに きゅうに かたまるのかは、いまも かがくしゃたちが しらべて いる もんだいです。アメリカの ぶつりがくしゃ フィリップ・アンダーソンさんは、1995ねんに「かたい ものの ぶつりで、いちばん ふかくて おもしろい、まだ とけて いない もんだい かもしれない」と かきました[3]。

ガラスの原子の並びは液体に近いのに、さわると固体のようにふるまいます。ペンシルベニア州立大学のマウロさんは、ガラスは「液体のような構造」と「固体のような力学的な性質」をあわせもつ、と述べています。ガラスの中の原子の並び方は、ふつうの実験の時間では、ほとんど動かない状態で止まっているからです[2]。マウロさんは、この中間の性質のせいで、ガラスの定義がはっきりしなかったと考え、定義を見直すことを呼びかけています[2]。

シドニー大学のピーター・ハロウェルさんは、ガラスを「いちばん粘り気が強くてどろどろした液体」とも「いちばん乱れていて、構造のない固体」とも言えると表現しました[3]。

ガラスが急に固まる理由は、物理学の大きな未解決問題の一つとされています。ノーベル賞を受けたフィリップ・アンダーソンは、1995年に「固体の理論で最も深く、最もおもしろい未解決問題は、ガラスの性質の理論かもしれない」と書きました[3]。ガラスは、身近なのに、まだ謎が残っています。

マウロはペンシルベニア州立大学の発表で、ガラスの性質を「液体に似た原子構造を持ち、液体のように粘性流動する一方、力学的には固体として振る舞う」混成的なものとして説明している。固体的な振る舞いは、配置の自由度が通常の実験の時間尺度ではほとんど凍結されているためで、この混成的な性質が定義をむずかしくしてきたとして、定義の見直しを呼びかけている[2]。シドニー大学のピーター・ハロウェルは、ガラスを「最も粘りが強くどろどろした液体であり、最も乱れて構造のない剛体」と評した[3]。

ガラス転移の理論は、まだ決着していない。フィリップ・アンダーソン(ノーベル賞受賞者)は1995年に、固体理論の最も深くおもしろい未解決問題は、おそらくガラスの性質とガラス転移の理論だと書いた[3]。2008年の記事は、研究者のあいだで、ガラスの本質について意見が分かれていると伝えている[3]。

題名への答えをまとめると、ガラスは、室温で人間の時間の長さにわたって流れる液体ではない。しかし、構造は結晶ではなく、液体の乱れた並びが凍結したものだ。ガラスは、液体に近い構造をもち、ふつうの時間では固体のようにふるまう。「ガラス状態」と呼ぶと、その両面を表せる(これは出典の定義をもとにした、この記事のまとめである)。

6. じぶんで ためして みよう

6. 自分で確かめてみよう

6. 自分で確かめる ── 冷やしたときの粘度の変化と古い窓

はちみつを つかって、ねばねばの ようすを くらべて みましょう。おうちの 人と いっしょに やります。

ふたを した はちみつの びんを、ひと よる れいぞうこで ひやします。つぎの ひ、ひやした はちみつと、へやに おいた はちみつを、スプーンに おなじ りょうだけ すくって、スプーンを かたむけます。どちらが ゆっくり たれるでしょうか。ひやした ほうが ゆっくりに なるか、くらべて みましょう。

ガラスは、ひやして いくと、この ねばねばが ものすごく ふえて、ついに うごいて いるように みえなく なります。ただし ほんとうは、はちみつは ガラスとは べつの ものです。れいぞうこでは ガラスには なりません。

ふるい たてものを みる ときは、まどに さわらずに、そとから ながめましょう。まどに うつる ものの かたちが、ゆがんで みえるかも しれません。ただし、ゆがみだけでは、あつさの むらの せいとは きめられません。「ガラスは どうして むこうが みえるの?」も よんでみて ください。

はちみつで、温度とねばりの関係を見てみましょう。家の人といっしょにやります。

ふたをしたはちみつの瓶を、一晩冷蔵庫で冷やします。次の日、冷やしたはちみつと、部屋に置いたはちみつを、同じスプーンに同じ量だけすくって、スプーンを同じ角度に傾けます。どちらが速く落ちるか、見くらべてください。冷やしたほうが遅くなるか、比べてみましょう。

ガラスの粘度も、冷やすと急に大きくなります。ただし、はちみつは冷蔵庫の温度ではガラス状態になりません。「温度で粘度が変わる」ことを体験するだけです。

出かけられるなら、古い建物の窓を、さわらずに外から見てみましょう。昔のガラスは、窓にうつる景色がゆがんで見えることがあります。ただし、ゆがみだけでは、厚さのむらが原因とは決められません。ガラスの透明さについては、ガラスはなぜ透明なのかの記事も読んでみてください。

原典に当たりたいときは、ペンシルベニア州立大学のマウロさんの発表(出典[2])が、短くて読みやすいです。

冷却による粘度の変化は、水あめやはちみつで体験できる。大人と一緒に、蓋をしたはちみつを一晩冷蔵庫で冷やし、室温のものと同じスプーンに同じ量をすくって同じ角度に傾け、落ちる速さを比べる。冷やしたほうが遅くなるはずだが、差の見え方は室温や量による。ガラスの粘度も冷却で急激に大きくなるが、はちみつは冷蔵庫の温度でガラス状態にはならないので、体験できるのは「温度で粘度が大きく変わる」ことまでである。

古い建物の窓は、さわらずに外から観察する。窓に映る景色がゆがんで見えることがあるが、それだけでは厚さのむらが原因とは決められない。ガラスの透明さについてはガラスはなぜ透明なのかを参照してほしい。

原典としては、出典[1]のDOI(10.1111/jace.15092)の論文が、結論の根拠になる。ガラス転移の未解決問題には、出典[3]のアンダーソンの言葉を手がかりに文献をたどれる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の内容は、出典に書かれていることにもとづく。出典[1]は、窓ガラスの粘度計算を紹介した米国セラミックス協会の記事で、本文の数値は同記事による。ガラス状態の粘度の定義(1013ポアズ以上)は化学辞典の一定義で、辞典によって表現がちがう。ピッチの粘度とガラス状態の目安を比べた「約4000倍」は、単純な比較であり、個々のガラスの測定値ではない。

  1. American Ceramic Society「Glass viscosity calculations definitively debunk the myth of observable flow in medieval windows」(2017年8月)。Gulbiten, O., Mauro, J. C. ほか「Viscous flow of medieval cathedral glass」Journal of the American Ceramic Society の紹介 https://ceramics.org/news/glass-viscosity-calculations-definitively-debunk-the-myth-of-observable-flow-in-medieval-windows/(論文 DOI: 10.1111/jace.15092)
  2. Penn State「Researcher uses Westminster Abbey windows to shine light on glass myth」(2017年12月18日) https://www.psu.edu/news/research/story/researcher-uses-westminster-abbey-windows-shine-light-glass-myth
  3. Kenneth Chang (New York Times News Service)「The exact nature of glass remains anything but clear」(The Bulletin、2008年8月4日掲載) https://bendbulletin.com/2008/08/04/the-exact-nature-of-glass-remains-anything-but-clear
  4. コトバンク「ガラス状態」(世界大百科事典、日本大百科全書、化学辞典 第2版、ブリタニカ国際大百科事典の項目) https://kotobank.jp/word/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E7%8A%B6%E6%85%8B
  5. The University of Queensland「Explainer: pitch drop experiment」(2014年11月10日) https://news.uq.edu.au/2014-11-10-explainer-pitch-drop-experiment

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