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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あめは どうして ガラスの ように かたまるの?

あめはなぜガラスのように固まるのか ── 砂糖だけの実験は121℃で結晶になった

水あめは固あめの結晶化をどう防ぐのか ── ショ糖だけの試料は121℃で止まった

分野:技術

あめは、ガラスと にた かたまりかたを して います。さとうだけを にると、うまく かたまらない ことが ある、という けんきゅうも あります。

どうして みずあめを まぜるのでしょうか。この きじを よむと、あめが できる わけと、あめやさんが 天気を 見る わけが わかります。

あめは、砂糖が結晶にならないまま固まった、ガラスのような固体だといわれます。しかも、砂糖だけで煮詰めると、固まる前に結晶になってしまう例が、実験で報告されています。

では、なぜ水あめを混ぜるのでしょうか。砂糖だけの実験で何が起きたのかをはじめに紹介し、あめ作りの道すじと、水あめの役割、あめ屋さんが湿度を気にする理由が分かります。

固あめには結晶ではない非晶質の部分があり、その部分がガラス転移温度より下にある状態(ガラス状態)で固まっている。ところが砂糖(ショ糖)だけを煮詰めると、結晶化して加熱が止まった例が報告されている[5]。

では、水あめは何を変えるのか。煮詰めて冷やすという作り方、結晶を避ける条件、湿度に左右される現場の工夫まで、資料をもとにその理由が分かる。

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1. あめは なにを どうして つくるの?

1. 砂糖と水あめを煮詰めて、冷やして固める

1. 固あめの工程 ── 煮詰め・冷却・成形

あめの もとに なるのは、さとうと みずあめです。この ふたつを なべに 入れて、火に かけて にて いきます[1]。

にて いるうちに、みずが じょうはつして、どろどろに なります。そこへ あじや かおりを くわえ、ひやして かたちを ととのえると、あめの できあがりです[1]。

みずあめは、むかしながらの ものは、麦の めを つかって つくられました[2]。ふつうの あめは、この みずあめを さらに 火に かけて ねり、ひやして かためた ものです[2]。

さとうと みずあめの わりあいや かおりを かえると、いろいろな あめに なります[1]。

農林水産省の広報誌によると、あめは、砂糖と水あめを煮詰め、味や香りを加えて、冷やして形を整えれば完成します。砂糖と水あめの割合や香料を変えることで、多くの種類ができます[1]。

水あめをさらに火にかけ、いっそう練って冷やして固めたものが、固あめと呼ばれます[2]。つまり固あめは、水あめより水分が少なく、冷めると固まる状態まで煮詰めたものだと言えます。

手順だけを見ると単純です。それなのに、あめ作りは職人の腕に左右される難しい作業だとされます。煮詰める温度と、冷ますタイミングの見きわめが、難しいところです[1]。何がそんなに難しいのでしょうか。それを知るために、まず砂糖だけで作る場合を考えてみます。

農林水産省の広報誌は、あめを「砂糖と水あめを煮詰め、味や香りを加え、冷却・成形したもの」として説明する。砂糖と水あめの配合比や香料の違いで、多くの種類ができる[1]。水あめをさらに加熱して練り、冷却したものが固あめだ[2]。つまり固あめは、水あめの水分をいっそう減らし、常温で固体として扱える状態にしたものといえる。

工程は単純でも、煮詰める温度と冷却のタイミングの見きわめは、職人の腕にかかるといわれる[1]。ここで疑問が生じる。冷やせば固まるのなら、砂糖だけで煮詰めても足りるはずだ。それなのに、なぜ水あめが必要なのか。実験の報告から、その答えを探す。

2. さとうだけでは、どうして うまく いかないの?

2. 砂糖だけで煮詰めると、結晶になってしまう

2. ショ糖100%の試料は、130℃まで加熱できなかった

さとうだけで あめを つくると、とちゅうで 「けっしょう」に なって しまう ことが あります。けっしょうとは、つぶが きれいに ならんで、ざらざらに かたまった すがたです。

ある けんきゅうでは、さとう 100%の あめだけ、130℃まで あげられませんでした。けっしょうに なって、121℃で とまって しまったのです[5]。

みずあめの なかまの シロップを まぜると、けっしょうが できるのが おそく なりました[5]。さとうの つぶが きれいに ならぶのを、じゃまして くれるからです[5]。

ただし これは、じっけんしつの はなしです。おうちで かならず しっぱいする、という いみでは ありません。

砂糖(ショ糖)だけを使ったあめは、どうなるのでしょうか。食品科学の論文に、あめの配合を変えて加熱した実験が載っています。ショ糖100%の試料だけが、130℃まで加熱できませんでした。途中で結晶化して、121℃で止まってしまったのです[5]。

一方で、グルコースシロップなど、水あめの仲間にあたる糖を加えた試料では、結晶化が遅れました。ショ糖の分子のあいだに、ほかの単純な糖が入りこんで、分子が規則正しく並ぶのをじゃまするためだと説明されています[5]。

水あめは、いわば「結晶になりにくくする役」を担っているのです。ただし、これは実験室での条件です。家庭で作ると、必ず失敗するという意味ではありません。

では、結晶にならずに固まったあめは、そもそもどんな状態の固体なのでしょうか。

Frontiers in Food Science and Technology(2024)の硬いあめの研究では、ショ糖と水あめ系の糖の配合を変えた試料を加熱している。そのなかで、ショ糖100%(質量比)の試料だけが、130℃まで加熱できず、結晶化して121℃で止まった[5]。

グルコースシロップのような結晶化抑制剤を加えると、ショ糖分子のあいだに単純な糖が入りこみ、規則的な配列が乱される。そのため結晶化が遅れる、と解釈されている[5]。つまり水あめ系の糖には、結晶化を遅らせる働きがある。糖の種類によっては粘度を高める働きもあり、それも結晶を作りにくくする要因になる。

ただし、これは実験室条件での結果で、家庭の調理で必ず結晶化するとはいえない。

結晶にならずに固まったあめは、固体としてどう分類されるのか。次の章で整理する。

3. かたまった あめは、なにに にて いるの?

3. 結晶ではない固体 ── ガラスに近い状態

3. 非晶質とガラス転移温度 ── 水分が果たす役割

さとうを あつくして にると、みずが とんで、どろどろに なります。じょうけんが そろえば、ゆっくり ひやすと、けっしょうには ならずに、ガラスのような かたまりに なります。これが べっこうあめです[4]。

かたい ものには、つぶが きれいに ならんで いる ものと、ならんで いない ものが あります。あめは、ならんで いない ほうです[4]。

けんきゅうでは、ある 温度より ひくいと かたく、ガラスの ような じょうたいだと いわれます。この 温度を 「ガラスてんいおんど」と いいます[5]。

みずは、この 温度を ひくく する はたらきが あります[5]。みずが おおいと、やわらかく なりやすい、ということです。

砂糖を少量の水で加熱すると、水分が蒸発して、どろどろの液になります。条件がそろえば、それをゆっくり冷ますと、結晶にはならず、ガラスのような固体になります。これがべっこうあめです[4]。固体には、分子が規則正しく並んだ結晶のほかに、結晶でない状態もあります[4]。

ガラス転移温度とは

研究では、硬いあめは、結晶でない「ガラス状」の部分が、ガラス転移温度(Tg)より下にある状態として扱われます。Tgが、硬いあめの性質を決める目安になります[5]。

水は、Tgを下げて固体をやわらかくしやすくする「可塑剤」として働きます[5]。この研究のあめの初期の水分は、およそ2〜7%(質量比)でした[5]。これは研究試料の値で、市販のあめ一般の数字ではありません。

もう一つ大事なのは、ガラス状態が、いつかは結晶に変わりうる、安定ではない状態だということです。結晶化が起こりうる、動きにくいだけの状態です[5]。固まったあめにも、ゆっくり結晶になる可能性が残っている、ということになります。

砂糖水を加熱して水分を蒸発させ、ゆっくり冷却すると、結晶化せずガラス状の固体となる。これがべっこうあめだ[4]。固体には、結晶のほかに、結晶でない状態もある[4]。

硬いあめの研究では、非晶質の部分がガラス転移温度(Tg)より下にある状態を「ガラス状態」と定義する。Tgが硬いあめの物性を決める[5]。水は可塑剤として働き、Tgを下げる[5]。この研究の試料の初期水分は2.04〜7.08%(質量比)と報告されている。ただし、これは研究試料の範囲で、市販品一般の水分率ではない[5]。

さらに、ガラス状態は熱力学的に安定な状態ではなく、速度論的に安定なだけの擬似的な状態である。したがって、ショ糖の結晶化は原理的には起こりうる[5]。結晶化を遅らせる水あめ系の糖と、水分量の管理は、この不安定な状態を保つための条件だと整理できる。

なお、砂糖の煮詰め段階(糸引き〜ハードクラック)が進むほどTgが高くなる傾向がある、という報告もある。ただし例外も示されており、段階は製菓の実用的な目安にとどまる[6]。

4. みずあめって、なにから できて いるの?

4. 水あめは、デンプンを糖に変えて作る

4. 水あめの成分と、昔の作り方

みずあめは、米や いもなどの でんぷんから つくる、ねばねばの あまい ものです[3]。でんぷんを、あまい ものに かえる ことを、「とうか」と いいます。

むかしは、麦の めを つかいました。その めの はたらきで、でんぷんが あまく なるのです[2]。

平安じだいの 本には、米の めを つかった という きろくが あります[2]。千年ほど まえから、日本の 人は あめを つくって いたのです。

みずあめは 平安じだいから うられて いて、はじめは あまみを つける ものとして つかわれました[1]。

水あめは、米やいもなどのデンプンを、酵素や酸で糖に変えて作る、粘りのある甘味料です。成分は、麦芽糖またはぶどう糖と、デキストリンを含むとされます[3]。

昔ながらの水あめは、麦芽(麦のもやし)の酵素を使ってデンプンを糖にして作られました[2]。10世紀はじめの辞書『和名抄』には、あめの原料として「米蘖(もやし)」と書かれており、麦もやしや米もやしが使われたことが分かります[2]。

水あめは平安時代から売られ、はじめはおもに調味料や甘味料として使われました。室町時代に砂糖の輸入が始まってから、あめは甘味菓子として広まり、江戸時代には地名や店名のついたあめが増えたといいます[1]。

砂糖が貴重だった時代にも、デンプンさえあれば、あめを作れたことになります。身近な米や麦が、糖の材料だったのです。

水あめは、デンプンを酸または酵素で糖化して得る、粘性のある甘味料だ。成分は麦芽糖またはぶどう糖とデキストリン(デンプンが分解した途中のもの)を含む[3]。さきに見た「結晶化抑制剤」としての働きは、この糖の混合物が、ショ糖の規則的な並びを乱すことと対応する。

伝統的な水あめは、麦芽(もやし)の酵素でデンプンを糖にして作られた[2]。あめの具体的な記録は奈良時代にあり、10世紀はじめの『和名抄』に「米蘖為之」とあるため、麦もやし・米もやしが原料として使われたと分かる[2]。

流通面では、水あめは平安時代から売られ、おもに調味・甘味料だった。室町時代に砂糖の輸入が始まると、あめは甘味菓子として広まり、江戸時代には地名・店名つきのあめが増えた[1]。なお『日本書紀』にもあめの記述があるが、それが固あめかどうかは分からないため、ここでは扱わない。

5. あめやさんは、どうして 天気を 見るの?

5. あめ屋さんは、その日の湿度を測って火加減を変える

5. 組みあめ工房の現場 ── 湿度に応じた火力・時間の調整

ジブリびじゅつかんの ショップには、あめを つくる こうぼうが あります。ここでは、みずあめと さとうを、大きな かまで にて いきます。

20キロほどの ざいりょうを、ガスの 火で 20分ほど にます。ざいりょうが ひえる とちゅうで、かおりと クエンさんを くわえます[7]。

しっけが おおいと、あめが べたつきます。だから その 日の しつどを はかって、火の つよさや 時間を かえるのです[7]。ただし、きじには どうして それで よいのか、くわしい せつめいは ありません。

いろわけした ざいりょうを くみあげた 太い まきを、手で しぼって 2センチほどの ぼうに のばし、カッターで 切って いきます[7]。

東京のジブリ美術館ショップの「組みあめ工房」の記事には、あめ作りの現場が紹介されています。水あめと砂糖、約20kgを釜に入れて混ぜ、ガスで20分ほど煮詰めます[7]。

ここで興味深いのは、湿気が多いとあめがべたつくという点です。そのため、その日の湿度を計り、火力や時間を調整するそうです[7]。あめ作りは、天気にも左右されるのです。

水は、あめのガラス転移温度を下げる働きがあります[5]。湿度の高い日に水分が入りこみやすいことと、この働きが、現場の工夫に関係している可能性があります。ただし、工房の記事は仕組みを説明していません。

冷却台に広げて冷ます途中で、香料とクエン酸を加えます。色分けした材料を組み上げた太巻きの端を、手で絞って、直径約2cm、長さ約30cmの棒に延ばし、カッターで切ります[7]。熱いうちに手早く形を作るのも、固まる前だからこそできる作業です。

ジブリ美術館ショップの組みあめ工房の報告によると、水あめと砂糖約20kgを釜で混ぜ、ガスで20分ほど煮詰める。湿気が多いとあめがべたつくため、その日の湿度を計り、火力と時間を調整する[7]。

この湿度調整は、水がTgを下げる可塑剤として働くこと[5]と関係している可能性がある。ただし、工房の記事は仕組みを説明していない。

成形の工程では、冷却台で冷ましながら香料とクエン酸を加え、色分けした材料を組んだ太巻きを手で絞って直径約2cm・長さ約30cmの棒に延ばし、カッターで切る。クエン酸が「甘すぎない味のひみつ」とされる[7]。

煮詰め温度と冷却のタイミングは、職人の見きわめにかかる[1]。水あめを使った配合や煮詰め、湿度に応じた調整が、固あめの状態を保つ工夫になっている。

6. ふくろの うらを 見て みよう

6. 袋の裏の原材料名で、水あめを探してみる

6. 市販品の原材料表示と、資料の読みくらべ

うちに ある あめの ふくろを、見て みましょう。うらに 「げんざいりょうめい」が かいて あります。

「さとう」と「みずあめ」は、どちらが さきに かいて ありますか。かおりの なまえも、さがして みましょう。

いろいろな あめを くらべると、わりあいが ちがうかも しれません。火を つかう あめづくりは、おとなと いっしょでも きけんです。まずは ふくろを 見るだけで、じゅうぶんです。

家にある、袋入りのあめを手に取って、裏の原材料名を見てみてください。砂糖や水あめ(「水飴」と書かれることもあります)が、どの順に書かれているでしょうか。のど飴、フルーツ味、ミルク味など、種類のちがうあめを並べてみると、配合が少しずつちがうことに気づくかもしれません。

日本語で読める原典もあります。湿度を計る現場の話(ジブリ美術館ショップの工房レポート)と、あめの作り方や歴史(農林水産省の広報誌)を読みくらべると、同じあめが、職人技と歴史の両方から見えてきます。結晶化の実験は英語の論文ですが、図や表だけでも眺めると、理科の目で見たあめの姿が分かります。

なお、砂糖を煮詰める作業は高温になり、やけどの危険があります。家で試すのはおすすめしません。

手元のあめの原材料表示を見ると、砂糖と水あめ(水飴・還元水飴など)の表記順から、配合の傾向を推測できる。表示は含有量の多い順に書くのが一般的だが、製品ごとの正確な割合までは分からない。

原典にあたるなら、現場の工夫はジブリ美術館ショップの工房レポート、あめの作り方と歴史は農林水産省の広報誌(どちらも日本語)が出発点になる。結晶化抑制の実験は Frontiers in Food Science and Technology(2024)の英語論文だ。なお、本文のTgや水分の数値は研究試料のもので、市販品一般の値ではない。

砂糖を煮詰める作業は高温で危険だ。この記事では、家庭での再現はすすめない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の[ ]は、下の資料の番号に対応しています。

  1. 農林水産省「aff 2016年11月号 特集 飴」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1611/spe2_01.html (あめの作り方・歴史の概要)
  2. コトバンク「飴」(日本大百科全書・和名抄の記述) https://kotobank.jp/word/%E9%A3%B4-427402 (固あめと水あめの関係・古い記録)
  3. コトバンク「水飴」(大辞泉・ブリタニカ) https://kotobank.jp/word/%E6%B0%B4%E9%A3%B4-138565 (水あめの成分と作り方)
  4. 神戸YWCA「ふしぎワールド25」2010年報告(べっこうあめの実験) https://www.kobe.ywca.or.jp/science/bekkoame2010.pdf (結晶にならないガラス状の固体)
  5. Frontiers in Food Science and Technology (2024) 硬いあめのガラス転移温度と水分に関する研究 https://www.frontiersin.org/journals/food-science-and-technology/articles/10.3389/frfst.2024.1263380/full (結晶化抑制・Tgと水の役割)
  6. Illinois Experts "Characterization of the glass transition of commercial confection" https://experts.illinois.edu/en/publications/characterization-of-the-glass-transition-of-commercial-confection/ (煮詰め段階とTgの傾向。要旨のみ参照)
  7. ジブリ美術館ショップ「組みあめ工房レポート」 https://www.ghibli-museum.jp/shop/gior/note/009386/ (工房の工程と湿度への対応)

なおした ところ

更新履歴

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