1. にほんで いちばん ちいさい ねずみ
1. 日本でいちばん小さいネズミの家
1. 頭胴長5~8センチ ── 日本最小のネズミがつくる球形の巣
カヤネズミは、にほんに いる ねずみの なかで、いちばん ちいさい なかまです[1]。おもさは 7グラムから 14グラムくらい。1えん玉 7まいから 14まいぶんくらいの おもさしか ありません。
せなかは オレンジいろで、おなかは まっしろ。しっぽは ものに まきつけられるので、くさの くきを のぼったり おりたり するのが とくいです。
この ちいさな どうぶつが つくる おうちは、すすきや ちがやなど、いねの なかまの くさの はで あんだ、まんまるい かたちを しています。はを くきから きりはなさずに つかうので、くさむらの なかでは くきから ぶらさがったように 見え、あまり めだちません[2]。
カヤネズミ(学名:Micromys minutus)は、頭からおしりまでの長さが54~79ミリ、しっぽの長さが47~91ミリ、体重は7~14グラムという、日本にすむネズミの中でいちばん小さい種です[1]。10円玉2、3枚ぶんほどの重さしかありません。
背中はオレンジがかった茶色、おなかは白色。しっぽは物に巻きつけられるようになっていて、イネ科の草の茎を上り下りするのに向いています。ユーラシア大陸に広く分布する種と同じなかまで、英語では「harvest mouse(収穫のネズミ)」と呼ばれています[1]。
カヤネズミがつくる巣は、ススキやチガヤ、エノコログサといったイネ科の植物の葉を編んでつくる、直径7~10センチほどのボール状の巣です。葉は株から切り離さずに使うため、茎からぶら下がったような形になり、草むらの中ではとても目立ちません[1][2]。
カヤネズミ(Micromys minutus)は、頭胴長54~79ミリ、尾長47~91ミリ、体重7~14グラムという、日本産のネズミの中で最小の種である[1]。背中は橙色を帯びた茶色、腹部は白色の毛でおおわれ、巻きつけられる尾を使ってイネ科植物の茎を上り下りする。ユーラシア大陸からグレートブリテン島まで広く分布する種と同一で、英名は「Eurasian harvest mouse」と呼ばれる[1]。
野生のネズミの多くは地中に穴を掘って暮らすが、カヤネズミは地上に営巣する。ススキ、チガヤ、エノコログサなどイネ科植物の葉を編み、直径7~10センチほどの球形の巣をつくる。葉は株から切り離さないため茎からぶら下がった状態になり、草地の中ではあまり目立たない[1][2]。
これほど小さな体で、いったいどうやってこの巣を編み上げるのか。それを一晩かけて記録した観察がある。
2. どうぶつえんで 見た、おうちづくりの よる
2. 動物園が記録した、巣づくりの一晩
2. 上野動物園の観察記録 ── 緻密な巣を編むのはメスだけ
2002ねん、東京都の上野動物園で、カヤネズミの おうちづくりを ビデオに とる ことに なりました[2]。
よる、1ぴきの メスが、すすきの はを 前あしで たぐりよせて、はを ほぐしはじめました。くわえた はを もちながら からだを まわして、すこしずつ まるい かたちに あんでいきます。2じかんほど たつと、メスは おうちの なかで じっと おちついていました。おうちが できあがった しるしと かんがえられています[2]。
おもしろい ことに、あかちゃんを うむ ための おうちを あむのは、メスだけ。ていねいに あまれています。ちょっと かくれるだけの おうちなら、オスが つくる ことも あります[2]。
2002年、東京都恩賜上野動物園の飼育員・宮田桂子さんは、カヤネズミの巣づくりの様子をビデオで記録しようと試みました[2]。それまでの飼育で、新しい場所に移すと翌朝には巣ができていることは分かっていましたが、作業中の様子は誰も見たことがなかったのです。
ある夜、それまでの巣を切り取っておいたケージにカヤネズミを入れると、20分後、1匹のメスが高さ30~40センチほどのススキの茎で葉をほぐし始めました。前足で葉先をたぐり寄せ、歯で切れ目を入れると、くわえたまま体を回転させながら、少しずつ球形に編み上げていきます。作業を始めて2時間ほどたつと、メスは巣の中でおとなしくなり、それで完成したと考えられました[2]。
この夜の観察では、巣を編んでいたのはメスだけで、オスや子どもは周りでえさを食べたり動き回ったりするだけでした。宮田さんの報告によれば、子育て用のていねいな巣を編むのはメスだけですが、一時的に隠れるだけの粗い巣なら、オスがつくることもあります。子育て用の巣はとくに緻密に編まれ、粗い巣は中が透けて見えるほど雑だったそうです[2]。切り取った巣を測ると、長さ7.0センチ、幅6.5センチ、入り口の穴の直径は3.0センチでした[2]。
2002年、東京都恩賜上野動物園の飼育員・宮田桂子は、カヤネズミの巣づくり行動をビデオで記録する試みを行った[2]。それ以前の飼育でも、新しいケージに移すと翌朝には巣が完成していることは確認されていたが、作業中の行動は観察されていなかった。
10月7日夜、それまでの巣を切り取っておいた展示室にカヤネズミのつがいと仔2頭を入れると、20分後、高さ30~40センチのススキの株でメスが葉をほぐし始めた。葉先をくわえて株の根もとへ差し込み、かごのように編み込んでいく。粗くほぐした葉を巣へ引き込む動作を繰り返し、外からは姿が見えなくなっていった。作業開始から2時間が経過したところで、メスは巣内で静かになり、完成したと判断された[2]。
観察からは、繁殖用の緻密な巣を編むのはメスだけであることが分かった。オスと仔は餌を食べたり動き回ったりするだけで、この夜の営巣には関わらなかった。一方、一時的に隠れるだけの粗い巣であれば、オスが作ることもあり、中が透けて見えるほど雑につくられる[2]。実際に切り取った巣を測定すると、長径7.0センチ、短径6.5センチ、入り口の直径は3.0センチだった[2]。野生でも巣は乾燥によって数日で変色し、1か月ほどで壊れるが、仔が巣立つ生後3週齢前後までの耐用期間としては十分だと考えられている[2]。
これほど手間のかかる巣を、野生のカヤネズミはどんな場所でつくっているのだろうか。
3. どんな ばしょに すんでいるの?
3. どんな場所で暮らしているのか
3. 生息環境 ── 山奥ではなく、田んぼのふちや河川敷
カヤネズミと きくと、ひとが いない やまおくを そうぞうするかもしれません。でも すんでいるのは、たんぼの ふちや かわら、つかっていない はたけなど、イネの なかまの くさが のびる、みじかな ばしょです[1]。
むかしは、やねを ふく くさや、うしや うまの えさを とる くさはらが、あちこちに ひろがっていました。そういう ばしょは、カヤネズミにとって すみやすい ばしょでも ありました[1]。
2015ねんに はっぴょうされた けんきゅうでは、くさはらや たんぼが おおい ばしょほど、カヤネズミの すが 見つかりやすい ことが わかりました[4]。
カヤネズミと聞くと、人のいない山奥を想像するかもしれません。しかし実際に暮らしているのは、田んぼのふちや川の河川敷、使われなくなった田んぼ(休耕田)といった、イネ科の草がのびる身近な場所です[1]。
かつて、屋根をふく茅(かや)や、家畜のえさを取るための草地は「茅場」と呼ばれ、日本各地に広く残っていました。ススキやオギがまとまって茂るこうした場所は、カヤネズミにとっても暮らしやすい環境でした[1]。
2015年に発表された、大阪府堺市の47か所の草地を調べた研究では、周囲500メートルの範囲に草地や水田が多く残る場所ほど、カヤネズミの巣が見つかりやすいという結果が出ています。また、草刈りなどのかく乱が年に1回未満と少ない草地や、巣の材料になる植物がよく茂った草地では、巣が見つかった地点が統計的に多いこともわかりました[4]。
カヤネズミの生息地というと山地を思い浮かべやすいが、実際には低地の畑や水田、休耕田、沼沢地、河川敷など、イネ科植物が密生する草地に生息する[1]。日本国内では、本州の日本海側は新潟県より南、太平洋側は宮城県より南、および四国、九州で生息が確認されている[2]。
かつて、屋根材や家畜の飼料・敷料として草を刈り取る「茅場」「刈場」は、全国の農村に広く存在した。ススキやオギが大面積で維持されるこうした半自然の草地は、結果としてカヤネズミの生息環境としても機能していた[1]。
澤邊久美子・夏原由博(2015)は、大阪府堺市の47地点で営巣調査を行い、うち14地点で巣を確認した。ロジスティック回帰分析の結果、調査地点を中心とする半径500メートル以内に占める草地・水田の面積率が、営巣確率にもっとも強い正の影響を与える変数として選ばれた。あわせて、かく乱の頻度が年1回未満と少ない草地タイプ、および営巣植物の平均被度が高い草地で、営巣が確認された地点数が統計的に有意に多かった(それぞれχ²検定・U検定でP<0.05)[4]。
では、こうした環境は日本全体でどこまで広がっているのだろうか。分布の端をたどると、思いがけない発見が出てくる。
4. どこまで すんでいるの?
4. 分布はどこまで広がっているのか
4. 分布の北限 ── 2018年、仙台で更新された記録
カヤネズミは、ほんしゅう・しこく・きゅうしゅうの ひろい はんいに すんでいます。ただし あおもりけんや あきたけんなど、とうほくの きたのほうと、おきなわなどの しまじまでは、まだ 見つかっていません[1]。
2018ねん、みやぎけん仙台市の かわぞいで、あたらしい すみかが 3か所 見つかりました。とくに ひろせがわの ふちで 見つかった ばしょは、それまでの きたの さかいめよりも、さらに きたに ありました[3]。
とうきょうの まちの ちかくでも、カヤネズミが 見つかった きろくが あります[1]。おもっているより、ちかくに いるかもしれません。
カヤネズミは本州・四国・九州に広く分布していますが、青森県や秋田県、岩手県など北東北より北と、沖縄など南西諸島では、これまで見つかっていません[1]。
2018年、全国カヤネズミ・ネットワークの畠佐代子さんたちの調査で、宮城県仙台市内の3か所で新しい生息地が見つかりました。とくに、広瀬川の左岸の河川敷で見つかった生息地は、それまで分布の北限とされていた同じ仙台市内の「坪沼」という場所よりも、さらに北に位置していました。この論文は、新しい記録として発表されています[3]。
ただしこの論文は同時に、新しく見つかった生息地の周辺で田んぼの整備や川の護岸工事が進んでいて、まとまった草地がほとんど残っていないことも報告しています。カヤネズミの行動範囲はせまく、道路や川で移動をさえぎられやすいため、それぞれの生息地は孤立した集団になっている可能性が高いと論文は推察しています[3]。
一方で、東京都町田市など、都心に近い場所でカヤネズミが確認された記録もあります[1]。分布の広がりを見ていくと、思っているより身近な場所にいる可能性が見えてきます。
カヤネズミは本州(日本海側は新潟県、太平洋側は宮城県より南)、四国、九州に分布し、北東北(青森・秋田・岩手など)以北と南西諸島では生息が確認されていない[1][2]。
畠佐代子ほか(2018)は、宮城県仙台市若林区内の3か所で新たな生息地を報告した。とくに広瀬川左岸の河川敷で発見された生息地は、それまで国内における分布北限として知られていた同市内の「坪沼」よりも北に位置しており、新たな北限記録となった[3]。論文は同時に、周辺で圃場整備や護岸工事が進行中で、カヤネズミが生息できるまとまった草地がほとんど残されていないこと、狭い行動圏と道路・河川による移動の制約から、新産地の各生息地は孤立した個体群である可能性が高いと推察されることを報告し、早急な保全を求めている[3]。
興味深いのは、新産地のうち2か所が、東日本大震災の津波で浸水した区域にあったことだ。1か所はもとクロマツ林の中の池だったが、津波で林と池の大部分が失われ、スゲやショウブの茂る湿地に姿を変えていた。もう1か所は津波で運ばれた土砂に覆われて休耕田となり、一年生のイネ科植物が広がっていた。論文は、震災前はカヤネズミの生息に向かなかった環境が、災害後の変化によって新たに利用可能になった可能性を指摘している[3]。
分布の縁ではこうした発見・更新が起こる一方、東京都町田市のような都市近郊でも生息記録がある[1]。低地の草地という条件さえそろえば、人口の多い地域からそう遠くない場所でも生息しうるということだ。
世界全体で見ればありふれた種であるカヤネズミが、国内では多くの地域で心配される存在になっているのは、なぜだろうか。
5. せかいでは ふつうでも、にほんでは しんぱいされている
5. 世界ではふつうの動物なのに、日本では心配されている理由
5. 世界的には低懸念、国内の約8割の県では要注意種という食いちがい
せかいぜんたいで 見ると、カヤネズミは とくべつ めずらしい どうぶつでは ありません。IUCN(国際自然保護連合)という そしきの絶滅のおそれの リストでも、「あまり しんぱいない」なかまに 入っています[6]。
ところが にほんでは、カヤネズミが すんでいる とどうふけんの うち、やく8わりが、じぶんの けんの リストに、きえてしまうかもしれない どうぶつとして のせています[7]。りゆうは、すみかで ある せの たかい くさはらが、へって しまったから です。
世界全体で見ると、カヤネズミは特別珍しい動物ではありません。IUCN(国際自然保護連合)が作る、絶滅のおそれを評価するレッドリストでも、もっとも心配が少ない「低懸念(LC)」という区分に分類されています[6]。
ところが日本国内では、カヤネズミの生息が確認されている都道府県のうち、41都道府県のうち33都道府県(約8割)が、独自のレッドデータブック(絶滅の心配がある生きものの一覧)にカヤネズミを載せています。これは2017年の日本自然保護協会の記事にある数字で、今の数とはちがうかもしれません[7]。世界規模ではふつうの動物でも、国内の一つひとつの地域では、追いつめられているということです。
理由として考えられているのは、生息地である背の高い草地そのものが減っていることです。屋根材や飼料を取るための茅場としての利用がなくなって草地の姿が変わったり、田んぼの整備や川の護岸工事によって、まとまって草が茂る場所が小さく分断されたりしています[1][4]。
世界全体で見ると、カヤネズミは特に希少な動物ではない。IUCNレッドリスト(2019年評価)では、もっとも懸念の少ない「低懸念(Least Concern)」に区分されている[6]。
一方、日本国内では、生息が確認されている都道府県のうち、41都道府県のうち33都道府県(約8割)が独自のレッドデータブックに掲載している。ただし、この数字は日本自然保護協会の2017年の記事によるもので、現在の状況とは異なる可能性がある[7]。世界規模での希少性と、地域個体群の状況が食いちがっている例といえる。
背景として指摘されているのが、生息環境である背の高い草地の減少である。かつて全国に存在した茅場・刈場としての利用がなくなり、草地そのものが宅地や別の用途に転用されたこと、圃場整備や河川の護岸工事によって、まとまった面積の草地が分断・縮小したことが挙げられる[1]。実際、澤邊・夏原(2015)の調査でも、周囲に占める草地・水田の面積率の低さが、営巣に適した場所の少なさと結びつくことが統計モデルで示されている[4]。
では、この小さな動物を見つけて記録することに、意味はあるのだろうか。
6. ちかくでも 見つけられるの?
6. 近くでも見つけられるのか
6. 市民参加の分布調査 ── 近くでも見つかる可能性
「全国カヤネズミ・ネットワーク」という かいが、カヤネズミの すを さがす かつどうや、見つけた ときの ほうこくを あつめて、すんでいる ばしょの ちずを つくっています[5]。
たんぼの ふちや かわらの、せの たかい くさむらを、とおくから めで さがすと、ちじょう 30センチから 1メートルくらいの たかさに、まるい かたまりが ないか わかるかもしれません。
でも、かならず 見つかるとは かぎりません。くさかりや こうじで、すが なくなって いることも あります。もし すを 見つけても、ぜったいに さわらないで、とおくから 見るだけに しましょう。すに さわると、おやが つかわなく なってしまいます[2]。
「全国カヤネズミ・ネットワーク」という市民団体は、カヤネズミの巣を探すイベントや、見つけた場所を報告するフォームを通じて、全国の分布を「カヤマップ」としてまとめる活動をしています[5]。
探すときのポイントは、ススキやオギ、チガヤといったイネ科の草が背丈ほど茂った、田んぼのふちや河川敷、休耕田を、遠くから目で追うことです。地上30センチから1メートルくらいの高さの茎に、直径7~10センチほどのボール状のかたまりがないか探してみましょう[1][2]。
ただし、必ず見つかるとは限りません。草刈りや工事で、その年だけ生息地の様子が変わることもありますし、巣があってもカヤネズミが今そこにいるとは限りません。もし巣を見つけても、絶対にさわらず、離れた場所からそっと観察するだけにしましょう。巣にさわると、親がその巣を使わなくなってしまうことが分かっています[2]。
「全国カヤネズミ・ネットワーク」は、カヤネズミの巣探しイベントや、市民からの営巣報告フォームをもとに、全国の分布状況を「カヤマップ」として公開している市民団体である[5]。
探索の手がかりは、ススキ・オギ・チガヤなどイネ科の草が密生した、田んぼのふちや河川敷、休耕田である。地上30センチから1メートルほどの高さの茎に、直径7~10センチほどの球形のかたまりがないかを、遠くから確認する[1][2]。
ただし、確実に見つかる保証はない。生息地は草刈りや河川工事によって年ごとに変化しうるし、巣が残っていても、そのとき個体が在巣しているとは限らない[3]。巣を発見した場合も、手を触れず離れた位置から観察するにとどめる。巣に触れると、親がその巣を放棄することが観察で分かっている[2]。
地面に穴を掘るのではなく、生きた草を編んで宙に浮かぶ家をつくる。この小さなネズミの暮らしは、身近な草地の中に、まだ気づかれずに残っているかもしれない。
じぶんでも しらべてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
ちかくに たんぼの あぜみちや、かわらが あったら、あきから ふゆに かけて、せの たかい くさむらを とおくから ながめてみましょう。まるい かたまりが あるか、めで さがすだけで だいじょうぶです。すには ぜったいに さわらないでください。
「カヤネズミ」で しゃしんを けんさくすると、オレンジいろの せなかと まっしろい おなかが よく わかります。どうぶつえんで しいくされている ことも あるので、いえの ちかくの どうぶつえんに いるか、しらべてみるのも いいですね。
近くに田んぼの畦道や河川敷があれば、秋から冬にかけて、背の高い草むらを遠くから眺めてみましょう。まるいかたまりが茎にないか、目で探すだけで十分です。巣を見つけても、絶対にさわらないようにしましょう。
「全国カヤネズミ・ネットワーク」の公式サイトには、これまでに報告された生息地をまとめた「カヤマップ」や、巣を探すイベントの情報が載っています。自分の住んでいる地域に近い記録があるか、確かめてみるのもおもしろいでしょう。
動物園で飼育・展示されていることもあります。上野動物園はかつてカヤネズミの巣づくりを展示したことがあるので、近くの動物園で今どんな小さな哺乳類が見られるか、調べてみるのもよいでしょう。
近くに田んぼの畦道や河川敷があれば、秋から冬にかけて、背の高い草むらを遠くから確認してみるとよい。球形のかたまりが茎に付いていないか、目で追うだけで十分であり、巣に手を触れることは避ける。
「全国カヤネズミ・ネットワーク」のウェブサイトには、これまでの営巣報告をまとめた「カヤマップ」や、巣探し体験イベントの情報が公開されている。自分の住む地域周辺の記録の有無を確認してみるのもよい。
もっと調べたい人は、この記事の元になった論文を、参考にした情報源から直接あたってみてほしい。とくに宮田(2005)の観察記録と、畠ほか(2018)の分布北限の報告は、どちらも短く、現地・現物に即した内容が具体的で読みやすい。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
- 日本語版Wikipedia「カヤネズミ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/カヤネズミ (体の大きさ・体重、国内の分布範囲、生息環境、茅場との関わりの歴史は同記事による)
- 宮田桂子(2005)「カヤネズミのゆりかご作り―日本で一番小さなネズミの巣作り行動―」哺乳類科学45(1): 51-54. https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/45/1/45_1_51/_article/-char/ja (上野動物園での飼育下における巣づくり行動の観察記録、繁殖用の緻密な巣を編むのはメスだけで一時的な粗い巣はオスも作ること、巣の寸法、乾燥による劣化と耐用期間は同論文による)
- 畠佐代子・新野聡・富樫悦夫・上野山雅子・澤邊久美子(2018)「カヤネズミの新北限産地」伊豆沼・内沼研究報告12: 53-62. https://www.jstage.jst.go.jp/article/izu/12/0/12_53/_article/-char/ja (宮城県仙台市での新しい生息地の発見、それまでの分布北限であった坪沼との位置関係、周辺の圃場整備・護岸工事と生息地が孤立した個体群である可能性が高いという推察、新産地2か所が東日本大震災の津波浸水区域にあり震災後の環境変化で生息可能になった可能性は同論文による)
- 澤邊久美子・夏原由博(2015)「景観構造がカヤネズミの生息率におよぼす影響」応用生態工学18(2): 69-78. https://www.jstage.jst.go.jp/article/ece/18/2/18_69/_article/-char/ja (大阪府堺市47地点の調査で草地・水田の面積率が営巣確率に最も強い正の影響を与える変数として選ばれたこと、かく乱の少ない草地タイプと営巣植物の被度が高い草地で営巣地点が有意に多かったことは同論文による)
- 全国カヤネズミ・ネットワーク公式サイト。 https://kayanet-japan.com/ (市民参加型の巣探しイベント、営巣報告フォーム、全国のカヤマップの公開は同サイトによる)
- Kryštufek, B., Lunde, D.P., Meinig, H., Aplin, K., Batsaikhan, N., Henttonen, H.(2019). "Micromys minutus". The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T13373A119151882. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2019-1.RLTS.T13373A119151882.en (IUCNレッドリストでの評価区分「低懸念(Least Concern)」は同評価による)
- 日本自然保護協会「親指サイズで編み物上手! 超キュートなカヤネズミ」(2017年8月8日公開)。 https://www.nacsj.or.jp/report/5561/ (生息が確認されている1都2府38県のうち1都2府30県のレッドデータブックに掲載されているという数字は同記事による。公開時点の数字であり、現在は変わっている可能性がある)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
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