1. ヒトデは どのくらい 深い 海まで いるの?
1. 潮だまりから深海まで、ヒトデはどこまで広がるのか
1. 潮間帯から数千mの深海まで:ヒトデ類のすむ深さはどこまで広がるのか
しおが ひいた いその いわの あいだに、水が のこった ところが できます。そこで ヒトデを 見た 人も いるでしょう。
ヒトデの なかまは、こういう あさい ところから、深さ 数千メートルの 深い 海まで います[2]。ひとつの なかまが、とても ひろい 場所で くらして いるのです。
ただし、ぜんぶ 海の 中です。かわや 池に すむ ヒトデは いません。せかいには、だいたい 2000しゅるい いると いわれます[1]。
2025年の 研究では、7956メートルの 深さの きろくも ありました[3]。でも、それが ヒトデの すめる いちばん 深い ところだとは、いえません。
干潮のとき、岩場に海水が残ってできる潮だまりで、星形の生きものを見たことがあるかもしれません。ヒトデの仲間は、そうした海岸の浅瀬から、深さ数千メートルの深海まで、岩場や泥の底などに広く分布しています[2]。
ただし、すむのはすべて海で、淡水にすむ種類はいません。世界の種数は約2000種とされますが、事典によって1500余種から2000種までばらつきがあります[1]。
2025年の研究は、記載された1,916種のうち1,751種(91.4%)の分布記録を集めて調べました。記録の水深は0〜7,956mに及びます。ただし解析に使ったのは6,000mまでで、それより深い超深海の記録は除かれています[3]。7,956mは記録のなかの最大の水深で、ヒトデがすめる限界だとは言えません。
干潮時に岩礁の窪みに海水が残る潮だまりは、満潮と干潮のあいだに水面から出入りする帯、すなわち潮間帯にできる。ヒトデ類はこの潮間帯の浅瀬から、深さ数千mの深海まで分布し、岩礁や泥底などにすむ[2]。ただし生息は海に限られ、淡水にすむ種はいない。世界の種数は世界大百科事典で約2000種とされるが、他の事典には1500余種や現生約1700種と書くものもあり、数え方で幅がある[1]。
では、いま分かっている記録は、どこまで深いのか。2025年の研究は、記載済みの1,916種のうち1,751種(91.4%)の分布記録を集めた。1,751÷1,916を計算すると約0.914で、割合は一致する。記録の水深は0〜7,956mに及び、論文は「7,500m超の幅」とも書く。しかし、解析に使ったのは6,000mまでで、6,000m超の超深海(hadal)の記録は除いてある[3]。したがって7,956mは「記録にある最大の水深」であり、生息の上限を示す数字ではない。
2. すなや どろの そこで、ヒトデは なにを たべるの?
2. 底にはりつく暮らしと、貝を食べる食事
2. 底で動物を食べる暮らし:口の位置と管足が示す体の使い方
ヒトデは 草では なく、貝や しんだ どうぶつなどを たべる 肉食の いきものです[2]。とくに、ゆっくり うごく 二まいがいを このむ なかまが 多いと いわれます。
ヒトデの 口は、体の 下がわの まんなかに あります。口から うでの さきまで、みぞが のびて、そこに 小さな あしが ならんで います。この あしを 「管足」と いいます[1]。
ですから、ヒトデが 水そうの ガラスに はりついて いたら、下がわが 見えるかも しれません。口と みぞを さがして みましょう。
ヒトデは、ほとんどが肉食で、貝や死んだ動物などを食べます。動きの遅い獲物、とくに二枚貝を好む種類が多いとされています[2]。
体のつくりも、底での暮らしに合っています。口は体の下面(腹側)の真ん中にあり、そこから各腕の先まで溝がのびています。溝のなかには、管足と呼ばれる小さな足が2列または4列に並んでいます[1]。
ここまでで、「ヒトデは底の近くで、ゆっくり動く獲物を食べる動物」という姿が見えてきました。では、水温の高いサンゴ礁では、どんなヒトデが暮らしているのでしょうか。
ヒトデの食べ方は、すむ場所と体のつくりを結びつけて読むと分かりやすい。事典の記述では、ヒトデはみな肉食で、貝や死んだ動物などを食べ、動きの遅い獲物、とくに二枚貝を好む種が多い[2]。「みな」という表現は事典のもので、死んだものを食べる種がいることからも、食べ方には幅があると読める。
体の下面(腹側)の中央に口があり、口から各腕の先へ向かう溝に、管足が2列または4列に並ぶ[1]。つまり口は、底に接する側に開いている。水槽のガラスに張りついた個体なら、この下面を外から観察できる。ただし、管足の形や数は分類群でちがうため、一例を全体に一般化しないほうがよい。底に暮らす動物であることは、次に見るサンゴ礁の種にも当てはまるのか。
3. サンゴの ある 海の ヒトデは、どうやって たべるの?
3. サンゴ礁のオニヒトデは、胃を外に出して食べる
3. サンゴ礁に広く分布するオニヒトデ:胃を体外に出す食べ方
あたたかい 海の サンゴしょうには、オニヒトデが います[5]。大きさは 30〜50センチ。うでは 14〜18ぽんも あります。
この ヒトデは、ふしぎな 食べ方を します。胃を 体の そとに 出して、サンゴを つつむように して とかして たべるのです。
口に 入れる だけでは ありません。ヒトデの 食べ方は、すむ 場所の えものに 合わせて、いろいろだと わかります。
暖かい海のサンゴ礁には、オニヒトデが広く分布しています。直径は30〜50cmで、腕は14〜18本あります[5]。
食べ方は変わっています。胃を体の外に出し、サンゴを包みこむようにして消化し、吸収するのです[5]。
浅い砂泥底では貝、サンゴ礁ではサンゴ、と、すむ場所によって獲物は違います。次の疑問は、ヒトデは地球のどこに、どんな割合ですんでいるのか、ということです。
オニヒトデは暖かい海のサンゴ礁に広く分布し、直径30〜50cm、腕は14〜18本にもなる。この種の特徴は、胃を体の外に出してサンゴを包みこみ、消化吸収する食べ方にある[5]。
この章で見た二つの例では、すむ場所によって獲物が違う。では、こうした種はそれぞれ地球のどこに偏って分布するのか。
4. しゅるいが 多いのは、どんな 海?
4. 種類が多い場所は、浅い海と深い海で入れかわる
4. 種数のピークは浅い熱帯、深い海では温帯:緯度による逆転
ヒトデの しゅるいが いちばん 多いのは、あさくて あたたかい 海です。赤道の 北、10どの あたりが 多いと いう 研究が あります[3]。
ところが、深い 海では ようすが かわります。熱帯では なく、すこし すずしい 温帯の ほうが、しゅるいが 多いと いうのです。
これは、くらべた けっかです。深い 海の 熱帯に ヒトデが いない、という 意味では ありません。
どうして そう なるのかは、この きじの 資料では わかりません。1つの 研究の ほうこくなので、「そう いう けっかが 出た」と 考えて ください。
ヒトデの種類は、どこに多いのでしょうか。2025年の研究によると、種の数が最も多いのは、浅い熱帯の海です。赤道の北、約10度の付近にピークがあります[3]。
ところが、深い海になると様子が変わります。漸深海から深海底にかけての深さでは、熱帯よりも、温帯など緯度の高い側で種数が多くなると報告されています[3]。
これは、場所どうしを比べた結果です。深い海の熱帯にヒトデがいないという意味ではありません。論文は水温や栄養塩の流れとの関係を報告していますが、この逆転を一つの原因で説明しているわけではありません。ただ、「ヒトデが多い場所」は一つに決まらず、深さによって入れかわることが、この研究から読み取れます。
では、深いところで見つかるヒトデは、どんな出来事で私たちの前に現れるのでしょう。日本の近くで、ごく最近の例があります。
種数の分布には、深さによる逆転がある。2025年の研究では、種数は浅い熱帯の海でピークをもち、その位置は赤道の約10°N付近にある。一方、漸深海(bathyal)や深海底(abyssal)では、熱帯よりも温帯などの高緯度側で種数が多い[3]。
ここで注意したいのは、これが「地域どうしの比較の結果」だという点である。深海の熱帯にヒトデがいないという意味ではない。また、解析は6,000mまでで超深海の記録を除いているので、結論は深さの範囲を限った話になる。論文は水温や栄養塩フラックスとの関係を報告しているが、分布の逆転を単一の原因で説明しているわけではない。種数の偏りは、一つの研究の報告として受け取るのが妥当である。
では、まだ記録が少ない深い海では、いま何が見つかるのか。日本の近くで、2021年に実例が出ている。
5. おきなわの 深い 海で、あたらしい ヒトデが 見つかったの?
5. 沖縄の深海で見つかった新属新種のヒトデ
5. 2021年、沖縄本島周辺の水深100〜250mで見つかった新属新種
2021年の 3月、沖縄の 海で、あたらしい ヒトデが 見つかりました。水中ロボットの ような 小さな きかいで しらべて いて、見つけました[4]。
名前は 「チュラウミゴカクヒトデ」。深さ 100〜250メートルの 海に すんで います。
水ぞくかんでは これも 「深海」と よびますが、数千メートルでは ありません。それでも、あたらしい なかまが 見つかる 深さなのです。
2021年3月、沖縄本島の周辺で、ROV(無人潜水艇)を使った調査が行われました。そこで、水深100〜250mの深海から、新属新種のヒトデが見つかりました。名前は「チュラウミゴカクヒトデ」です[4]。
沖縄美ら海水族館は、このヒトデの世界初の生体展示を始めたと発表しています。
ここでいう「深海」は水族館の呼び方で、数千メートルの海底とは違います。それでも、100〜250mという深さで、いまも新しい属のヒトデが見つかることは注目に値します。新属は、すでに知られている属のどれにも当てはまらない仲間という意味です。
2021年3月、沖縄本島周辺でROV(小型の無人潜水艇)による調査が行われ、水深100〜250mの深海から新属新種のヒトデが見つかった。「チュラウミゴカクヒトデ」と名付けられ、沖縄美ら海水族館は世界初の生体展示を始めたと発表した[4]。
この「深海」は水族館側の用語で、前の章で見た数千mの深海とは尺度がちがう。ここで言えるのは、日本の近海でも、百数十mの深さで新しい属の動物がなお見つかっている、という事実までである。新属とは、既知のどの属にも収まらないという意味だ。
この発見は、種数の数え方にも関わってくる。次の章では、資料ごとにばらつく数字そのものを見てみる。
6. ヒトデは なんしゅるい いるの? 本に よって ちがうのは どうして?
6. 世界と日本のヒトデは何種類か:資料で数字が割れる
6. 世界約2000種、日本200〜300種:数字が資料ごとに割れる読み方
ヒトデは せかいに だいたい 2000しゅるい と いわれます。でも、1500しゅるいあまりと 書く 本も あります[1]。
日本には、北海道から 沖縄まで ヒトデが います。しゅるいの 数は、200〜300しゅるいほど と 書かれて います[2]。
本に よって 数が ちがうのは、数え方が 本ごとに ちがう ためだと 思われます。新しい ヒトデが 見つかる ことも あります。
世界のヒトデは、世界大百科事典では約2000種とされています。他の事典には、1500余種や現生約1700種と書くものもあります[1]。2025年の研究では、記載済みの種を1,916種とし、そのうち1,751種の記録を集めて解析しました[3]。1,751は解析に使った数で、全体の数ではありません。
日本のヒトデは北海道から沖縄まで広くすんでいて、種数は資料により約200〜300種とばらつきがあります。世界大百科事典は280種ほど、日本大百科全書などは約200種と書いています[2]。
数字が割れるのは、資料によって数え方や範囲が違うためでしょう。
世界の種数は、世界大百科事典で約2000種、他の事典では1500余種や現生約1700種と、資料ごとにばらつく[1]。2025年の研究は、記載済みの1,916種を基準にして、その91.4%にあたる1,751種の分布記録を解析した[3]。この1,751は解析に使った記録の数であり、世界の種数ではない。
日本については、北海道から沖縄まで広くすみ、世界大百科事典は280種ほど、日本大百科全書やマイペディアは約200種とする。幅にすると200〜300種ほどである[2]。
ここから分かるのは、種数が資料の種類や数え方に左右されるということだ。2021年のように新属新種が見つかることもあるので、数字は固定されたものではない[4]。
7. ヒトデを 見に 行くなら、どこを 見る?
7. ヒトデを見に行くなら、「どこにいるか」に注目する
7. ヒトデを観察する前に:「どの深さ・どの底にいるか」をメモする
うちでは、ずかんや 水ぞくかんの せつめいを 見て、「どこに すむか」の ところを 見て みましょう。
水ぞくかんでは、ヒトデの 下がわや うでの かずを 見て みましょう。口は どこに ありましたか。
うみの いそに 行く ときは、おとなと いっしょに 行きましょう。しおが みちて くる 時間や、すべりやすい いわに 気を つけます。見つけた いきものは、もとの 場所に のこします。
家にいるときは、図鑑や水族館の解説で、そのヒトデが「どんな場所にすむか」「どのくらいの深さか」の欄を探してみてください。同じ形でも、すむ場所がまったく違うことがあります。
水族館では、水槽のガラスにはりついた個体の下面を見ると、口と管足の並ぶ溝を観察できることがあります。
海岸の磯に行くときは、必ず大人と一緒に行き、潮の満ち引きの時間と、足元の滑りやすさに注意します。見つけた生きものは、元の場所に残します。
図鑑や水族館の解説を二つ見比べて、同じ種類のヒトデがすむ深さの書き方がそろっているか、ちがっているかを調べてみるのもおもしろいでしょう。
観察では「何がいたか」に加えて、「どんな環境にいたか」を記録すると、この記事の内容と結びつく。潮だまりなら、岩場か砂か泥か、海面からの高さ、見つけた時刻を書く。図鑑や水族館の解説では、分布する深さや、食べるものの欄に注目する。
磯に出るときは大人と同行し、潮の満ち引きの時間、滑りやすい岩、波の高さに注意する。生きものは元の場所に残す。
数字や発見の経緯を自分で確かめるなら、2025年のPMC掲載の論文(出典[3])と、沖縄美ら海水族館の発表を伝える報道(出典[4])が出発点になる。ただし本稿は二次資料の事典も使っているので、種数や分布の細部は、原典で最新版を確かめたい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
ヒトデの種数と体のつくりは事典、研究データは公開論文、発見の経緯は報道、オニヒトデは環境省の資料で確かめました。
- コトバンク「ヒトデ」(世界大百科事典ほか) https://kotobank.jp/word/%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%87-120360 (世界の種数、すべて海産、口と管足)
- コトバンク「ひとで」(日本大百科全書・マイペディアほか) https://kotobank.jp/word/%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%A7-3165402 (すむ深さ、食べもの、日本の種数)
- Deep-sea-floor diversity in Asteroidea (PMC) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12507690/ (種数の偏り、水深の範囲)
- 琉球新報 沖縄美ら海水族館の発表報道 https://ryukyushimpo.jp/national/entry-2766469.html (新属新種の発見)
- 環境省 近畿地方環境事務所 串本 オニヒトデの話題 https://www.env.go.jp/nature/nco/kinki/kushimoto/JP/topics/topics200302o.html (オニヒトデの大きさと食べ方)
なおした ところ
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