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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

貝は どこで くらして いるの? いそから 森、ふかい 海の そこまで

貝はどこで暮らしている? 磯から川、森、光の届かない深海まで

貝は、海辺のほかにどこで暮らしているのか ── 磯・砂地・川・森・深海の食べ方と息の仕方

分野:生きもの

もりの 中を あるく カタツムリの なかまには、むかし、海や 川から りくに あがった ものが いる、と かんがえられて います。しかも、あがったのは 1回では ありません。

貝は、どこまで すんで いるのでしょう。いそ、すな、川、森、そして ひかりの とどかない ふかい 海の そこまで、すむ ばしょごとに ちがう くらし方を 見て いくと、わかります。

森を歩くカタツムリは、実は海や川の貝に近い仲間から陸へ上がった系統を含み、その「上陸」は少なくとも3回起きたと考えられています[6]。ふだん私たちが思い浮かべる「貝」より、貝の世界はずっと広いようです。

深海には、鉄のうろこをもつ巻貝もいます。貝はいったい、どこまで暮らしているのでしょうか。磯の岩場、砂の中、川、森、そして光の届かない深海まで、場所ごとの食べ方や息の仕方のちがいから、貝の暮らす範囲が分かります。

陸にすむ巻貝(カタツムリ)には、海の巻貝や淡水の巻貝に近縁な系統が含まれ、陸への進出は少なくとも3回起きたとされる[6]。「貝」と聞いて思い浮かべる海辺の貝殻より、実際の生息域はずっと広い。

では貝は、どんな場所に、どんな体の使い方で暮らしているのか。潮だまり、砂地、川、陸、光の届かない深海の熱水域を順に比べ、食べ方と息の仕方が場所ごとに変わることが分かる。数字は出所の資料名をつけて読む。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 貝がらの ない イカも、貝の なかま?

1. 殻のないイカやナメクジも、貝の仲間に入るのか

1. 「貝」の範囲 ── 軟体動物の種数と、殻のない仲間

うみの すなはまで 貝がらを ひろった ことは ありますか。貝がらの 中には、ふつう、やわらかい 体の いきものが 入って いました。

この やわらかい 体の いきものを、ぜんぶ ふくめて「なんたいどうぶつ」と よびます。イカや タコ、ナメクジにも、貝がらは ありません。でも、ひろい いみでは、これも 貝の なかまです[1]。

貝の なかまは、世界で 10万しゅるい いじょうと いわれます。虫の なかまに つぐ、おおきな グループです[1]。では、そんなに たくさんの 貝は、どこで くらして いるのでしょう。まず、うみの いそから 行って みましょう。

海辺で拾った貝殻には、持ち主がいました。やわらかい体をもつ動物で、まとめて軟体動物と呼ばれます。ふつう貝は殻をもちますが、殻のないイカやタコ、ナメクジも軟体動物で、広い意味では貝類の仲間です[1]。

種数は、資料によって幅があります。宮崎県総合博物館は世界で10万種以上とし、昆虫類に次いで大きな分類群だと述べます[1]。オーストラリア博物館は約20万種とし、そのうち巻貝とナメクジの仲間が約70%を占めると紹介しています[2]。どちらかが正しいというより、数え方や整理の進み具合で推定が変わるのでしょう。ここでは「10万〜20万種」と幅をもたせて読みます。

これだけ数が多ければ、暮らす場所もさまざまなはずです。まず、いちばん身近な磯から見てみましょう。

一般に貝は殻をもつが、殻のないイカ・タコ類やナメクジも軟体動物で、広い意味では貝類に含まれる[1]。この「貝」の範囲の広さは、種数にも表れる。宮崎県総合博物館は世界で10万種以上、昆虫類に次ぐ大きな分類群とする[1]。一方、オーストラリア博物館は約20万種とし、巻貝とナメクジの仲間が全体の約70%を占めるとする[2]。

10万と20万では2倍ちがう。どちらも推定値であり、同列の確定値として扱えない。以下では「10万〜20万種」と幅を示す。なお、オーストラリア博物館は、軟体動物が海・淡水・陸のすべての主要な環境にすむ、と説明している[2]。

では、その環境ごとに、貝はどんな暮らし方をしているのか。最初は、最も観察しやすい岩礁海岸の潮だまりから始める。

2. いその いわの 上と 下で、ちがう 貝が いる?

2. 同じ岩場でも、岩の上と裏と隙間で貝がちがう

2. 岩礁海岸 ── 潮だまりと、岩の上面・下面・隙間の環境差

うみの いわばで、しおが ひいた あとに、水たまりが のこる ことが あります。これが「しおだまり」です。なかには、生きた 貝が たくさん います[1]。

おなじ いわでも、上の めん、下の めん、すきまでは、すこしずつ ようすが ちがいます。そのぶん、すむ 貝の しゅるいも ふえます[1]。

貝には、たべかたが ちがう ものも います。いわに ついた そうを、はのような もので けずって たべる まきがい。ほかの 貝の からに あなを あけて たべる まきがいも います[1]。

ところで、からに あなを あけられて しまう 貝は、いわの 上に いて だいじょうぶなのでしょうか。

潮が引いた岩場に、水たまりが残ることがあります。潮だまりです。そこには生きた貝が多く暮らしています[1]。岩の上の面、下の面、すき間と、数センチ動くだけで環境が少しずつ変わるので、見つかる種類も多くなります[1]。

海岸の岩場は、潮上帯・潮間帯・潮下帯に分けて考えられます。環境条件が大きくちがい、その環境に応じて海藻、魚、貝、甲殻類がそれぞれ暮らします[3]。潮だまりは、干潮のときに潮間帯にできる一時的な水たまりで、場所によって水面に出ている時間や水温、塩分が変わります[3]。同じ岩場の中に、小さな「住所」がたくさんあるわけです。

食べ方も貝によってちがいます。巻貝には、歯舌(しぜつ)という器官で岩の藻をけずる草食のものや、二枚貝の殻に穴をあけて食べる肉食のものがいます[1]。では、穴をあけられる側の二枚貝は、どこで暮らしているのでしょう。

岩礁海岸は、潮上帯・潮間帯・潮下帯で環境条件が大きく異なる。環境に応じて多様な海藻類・魚類・貝類・甲殻類が生息する[3]。このうち潮間帯に、干潮時にできる一時的な水たまりが潮だまりで、位置によって干出時間・水温・塩分が異なる[3]。そのため、潮だまりには生きた貝が多く、岩の上面・下面・隙間と、わずかな距離で環境が変わることが種数の多さにつながる[1]。

貝の食べ方も場所と関係して多様だ。巻貝には、歯舌で岩の藻を削る草食のものと、二枚貝の殻に穴をあけて食べる肉食のものがいる[1]。ここで取り上げた資料は、岩礁の潮位ごとに貝がどう住み分けるかまでは述べていないため、本稿もそこには踏みこまない。

では、肉食の巻貝に狙われる二枚貝は、どんな場所で暮らし、どう食べているのか。次は、岩を離れて砂の中へ向かう。

3. すなの 中で、アサリは なにを たべて いるの?

3. 砂にもぐるアサリは、水をこして食べる

3. 砂地 ── アサリの分布と、水管・えらによるろ過食

アサリは、すなの 中に もぐって くらして います。すなの 上に 出て いるのは、「すいかん」という くだ だけです。

すいかんから うみの 水を すいこみ、水の 中の ちいさな プランクトンなどを、えらで こして たべます[1]。たべながら、水を きれいに して いる ようにも 見えます。ただし ほんとうは、水を きれいに する ことが ねらいでは なく、えさを とって いるのです。

アサリは、しおが ひいたり みちたりする ところから、水の ふかさが 10メートルほどの すなじまで、ひろく います[4]。うまれたばかりの こどもが うみの そこに おりると、すなに もぐります[4]。

すなの 中の くらしは、わかりました。では、うみから はなれた 川には、貝は いるのでしょうか。

アサリは、砂の中で暮らす貝の代表です。二枚貝は水管から海水を体内に取り込み、水中のプランクトンや有機物をえらでこし取って食べます[1]。岩をけずる巻貝とは、食べ方がまるでちがいます。

分布は意外に広く、潮間帯(満潮と干潮のあいだ)から水深10m前後の砂地までです[4]。干潟だけにいるわけではありません。着底した幼生は砂にもぐって育ちます[4]。

水をこして食べるので、岩の上を歩き回って藻を探す必要はありません。砂にもぐったまま、海水のほうが運んでくるごちそうを受け取る暮らし方です。ただし、これは資料の「こして食べる」という説明から言いかえたたとえで、貝が「待っている」わけではありません。

では、海水そのものがない川には、貝はいるのでしょうか。

二枚貝は水管から海水を取りこみ、プランクトンや有機物をえらでこし取って食べる[1]。アサリはその代表で、潮間帯(満潮と干潮の間)から水深10m前後までの砂地に分布する。着底した幼生は砂にもぐり、海水中のプランクトンや有機物を餌としてろ過する[4]。

この分布は、アサリが干潟だけの貝ではないことを示す。ただし、砂の中の暮らし方は貝に共通ではない。同じ海でも、岩の藻を歯舌で削る巻貝は岩上を動き回る。ろ過食は、水が流れこむ場所にとどまる暮らし方と結びつく。ここは資料の記述から読み取れる範囲で、貝の行動の理由まで言い切るものではない。

海の貝の暮らしはここまで。では、塩分を含まない淡水の環境、つまり川では、貝はどんな役割を持つのか。

4. 川に いる 貝は、ほたると つながって いる?

4. 川の貝カワニナは、ホタルの幼虫の食べ物になる

4. 淡水 ── カワニナの食性と、ゲンジボタル幼虫との関係

貝は、川にも います。たとえば カワニナです。カワニナは、川の いしに ついた 川そうを たべて くらして います[5]。

この カワニナを、ゲンジボタルの ようちゅうが たべます[5]。ホタルが ひかる ばしょには、貝の くらしも ある、という ことです。

ただし、むきを まちがえないで ください。たべるのは ホタルの ようちゅうで、たべられるのが カワニナです。

川にも 貝が います。では、水から 出て、かわいた りくに あがった 貝は いるのでしょうか。

貝は川にもいます。島根県の資料によると、ミスジカワニナは川にすみ、川藻を食べ、ゲンジボタルのエサになっています[5]。向きに注意が必要で、食べるのはホタルの幼虫、食べられるのがカワニナです。

ホタルの光は夏の川辺の風景として知られますが、その足もとの川底では、貝が藻を食べて暮らしています。川の貝は、ほかの生きものの暮らしを支える立場にもなっているわけです。

ここまでは、海も川も「水の中」の暮らしでした。水から出た貝は、どうなるのでしょうか。

淡水にも貝はいる。島根県の資料によれば、ミスジカワニナは川に生息し、川藻を食べ、ゲンジボタルのエサとなる[5]。食べる側がホタルの幼虫で、カワニナは食べられる側だ。逆に書かれやすいので注意する。

この関係から、川の貝は、藻を食べる消費者であると同時に、ホタルの幼虫の餌でもある。藻→カワニナ→ホタル幼虫と、食べる・食べられるの鎖の途中に位置する。ただし資料が述べているのは「エサとなる」という点までで、個体数や生態系全体への影響の大きさまでは言えない。

ここまで、海も川も水中の暮らしだった。では、水から出た貝は、どのように陸で暮らしているのか。

5. カタツムリは、いつ りくに あがったの?

5. 森のカタツムリは、水の貝から陸へ上がった

5. 陸貝 ── 少なくとも3回の陸上進出と、肺と殻の乾燥対策

カタツムリは、りくに すむ まきがいを まとめた よび名です。「カタツムリ」と いう グループが あるわけでは ありません[6]。

りくに あがる ことは、1回では ありませんでした。ふたの ない マイマイの なかま、うみの 貝に ちかい なかま、川の タニシに ちかい なかま。3つの けいとうが、それぞれ りくに あがった、と かんがえられて います[6]。

マイマイの なかまは、はいで いきを します。かわくのが にがてで、かわくと から の 中に ひっこんで、うすい まくを はって、水が にげるのを ふせぎます[6]。水の 中に 入れると、おぼれて しまいます[6]。

日本には カタツムリが 800しゅるいほど いると、沖縄おきなわの はくぶつかんの しりょうに あります。そのうち 140しゅるいほどが 沖縄おきなわです。800の うち 140は、およそ 6ぶんの 1です。沖縄おきなわは、かいがらの ざいりょうに なる せっかいがんの 大地で、すみやすい そうです[6]。

では、ひかりの とどかない ふかい 海の そこにも、貝は いるのでしょうか。

「カタツムリ」は分類群の名前ではなく、陸にすむ巻貝をまとめた呼び名です[6]。陸への進出は1度きりではなく、少なくとも3回起きたとされます。殻にふたのないマイマイの仲間、海のアマオブネに近いふた付きの系統、淡水のタニシに近いふた付きの系統です[6]。

陸で暮らすマイマイ類にとって、大きな課題の一つは乾燥です。マイマイの仲間は肺をもち、乾くと殻にひっこんで、エピフラムという膜を張って水の蒸発を防ぎます。肺で息をするため、水の中ではおぼれてしまいます[6]。水の貝だった祖先から、水に入れない体へ。ここは、場所が変わると体の使い方まで変わる例です。ただし、ふた付きのグループは別なので、肺とエピフラムはマイマイ類の話です。

種数は、沖縄県立博物館・美術館の資料によると、日本のカタツムリが約800種、そのうち沖縄に約140種です。割合は140÷800=0.175で、約6分の1にあたります。ほとんどが島ごとの固有種で、島に隔離されて独自に進化したためとされ、石灰岩の大地が殻の材料になる点も住みやすさにつながるそうです[6]。日本の陸貝の種数は資料によって幅があり、ここでは出所をつけて「約800種」としました。

水中、陸上と来ました。では、光がまったく届かない深海には、貝はいるのでしょうか。

「カタツムリ」は分類群ではなく、陸生の巻貝の総称である[6]。沖縄県立博物館・美術館の資料は、陸貝への進化は1度きりではなく、少なくとも3回起きたとする。蓋のないマイマイ類、海のアマオブネ類に近い蓋のある系統、淡水のタニシ類に近い蓋のある系統である[6]。

陸上の最大の制約は乾燥だ。マイマイ類は肺をもち、乾燥すると殻に引っこんでエピフラムという膜を張り、水の蒸発を防ぐ。肺呼吸なので水中では溺れる[6]。ただし、これは蓋をもたないマイマイ類についての記述で、蓋のある系統の呼吸・乾燥対策は別に考える必要がある。

同資料は、日本のカタツムリを約800種、うち沖縄を約140種とする。140÷800=0.175で、約17.5%、およそ6分の1だ。ほとんどが島ごとの固有種で、島に隔離されて独自に進化したと説明され、石灰岩の大地は殻の材料が得られることから住みやすいという[6]。日本の陸貝の種数は他の資料で600余〜約1000種と幅があるため、約800種は「この資料の数字」として読む。

水中も陸上も、光のある世界だった。では、光が全く届かない深海で、貝は何を食べ、どう生きているのか。

6. まっくらな 海の そこで、貝は なにを たべるの?

6. 光の届かない深海で、貝は何を食べて生きているのか

6. 深海の熱水域 ── 化学合成と共生、鉄のうろこをもつ巻貝

ひかりの とどかない ふかい 海の そこには、あつい お湯が わき出す ところが あります。そこには、ひかりが なくても、いおうの ような ものから えいようを つくる、とても ちいさな いきものが います[8]。

この ちいさな いきものを、体の 中に すまわせて いきて いる 二まいがいが います。たとえば、いずから おがさわらの 海に いる シチヨウシンカイヒバリガイです。えらの 中に さいきんと いう ちいさな いきものが いて、共生きょうせいして います[8]。

もっと ふしぎな 貝が います。スケーリーフットです。足が、鉄と いおうが くっついた うろこで おおわれて います。インド洋の ふかい 海の そこで みつかり、貝がらの 大きさは 4.5センチほどです[7]。

この 貝は、えらでは なく、食道に さいきんを すまわせて います[7]。うろこは、てきから 身を まもる やくわりが あると かんがえられて います[7]。

2009年、ふかい 海を しらべる しんかい6500で、水の ふかさ 2,420メートルに、数千びきの 大きな むれが みつかりました[7]。あつい お湯の えいきょうが つよい ところにも すむ、と わかりました[7]。

光の届かない深海の熱水域では、硫化水素やメタン、水素などの化学物質をエネルギーにして有機物をつくる化学合成微生物が、食べ物を生み出す役を担います。二枚貝などは、その微生物を体の中や外に住まわせて生きています[8]。伊豆・小笠原海域のシチヨウシンカイヒバリガイは、えらの細胞の中に共生細菌をもつ二枚貝です[8]。

さらに不思議なのが、スケーリーフット(和名ウロコフネタマガイ)です。2001年に米国の研究者らが発見した、世界でただ一つ、硫化鉄のうろこをまとう巻貝で、インド洋のかいれいフィールドの熱水活動域にすみ、貝殻は最大4.5cmです[7]。他の熱水域の生物のようにえらではなく、食道に共生微生物をもちます。うろこの硫化鉄は強い磁性をもち、強度のすぐれた骨格材料と報告されています。足のうろこは、捕食動物から身を守ると考えられています[7]。

この貝の暮らす場所についての理解は、2009年に変わりました。しんかい6500の調査で、水深2,420mのかいれいフィールドに、少なくとも数千匹の大群集が見つかったのです。2006年の調査では、水温5℃程度で熱水の影響が弱いチムニー(熱水の噴出口が作る煙突状の構造)の表面にいると考えられていました。ところが、高温・高硫化水素・低酸素という熱水の影響が強い環境にも広く生息すると分かりました[7]。

磯、砂、川、陸、深海と、貝はどの場所でも、その場所に合った方法で暮らしていました。

光の届かない深海の熱水域・湧水域では、硫化水素・メタン・水素などの化学物質をエネルギー源に有機物をつくる化学合成微生物が生産者となり、二枚貝やチューブワームなどは、それを体内外に住まわせて生きる[8]。伊豆・小笠原海域のシチヨウシンカイヒバリガイは、えら細胞内に共生細菌をもつ二枚貝だ[8]。

巻貝のスケーリーフット(和名ウロコフネタマガイ)は、2001年に米国の研究者らが発見した、世界唯一の硫化鉄のうろこをもつ貝で、インド洋のかいれいフィールドの熱水活動域にすむ。殻は最大4.5cmだ[7]。他の熱水域の生物のようにえらではなく、食道に共生微生物をもち、うろこの硫化鉄は強い磁性を帯びる結晶構造をもつ。うろこは優れた強度の骨格材料と報告され、捕食動物から身を守ると考えられている(役割は推定の範囲)[7]。

この貝の生息域の理解は、2009年に更新された。2006年の調査では、水温5℃程度で熱水の影響が弱いチムニーの表面に限られると考えられていた。ところが、2009年11月のしんかい6500の調査で、水深2,420mのかいれいフィールドに少なくとも数千匹の大群集が見つかり、高温・高硫化水素・低酸素という熱水の影響が強い環境まで広く生息すると分かった[7]。

潮だまり、砂地、川、陸、深海の熱水域と比べると、貝の「食べ方」と「息の仕方」は場所ごとに異なる。岩の藻を削る、水をこす、藻を食べる、肺で息をする、体内の細菌に食事を任せる。体の使い方が環境ごとに分かれていることが、貝の分布の広さを支えていると読めるが、その因果は資料が述べる範囲を超えるため、ここでは比較にとどめる。

7. 貝が いる ばしょを、さがして みよう

7. 家の近くで「貝のいる場所」を探してみる

7. 出口 ── 場所と貝を結びつけて観察する

おうちの ちかくの こうえんや、はたけの まわりを、あるいて みましょう。カタツムリは、いつ、どこに いるでしょうか。

あめの 日の あと、きの はの うら、いしの かげ、かべなどを、見て みましょう。かわいた 日と くらべると、いる ばしょが ちがうかも しれません。カタツムリは かわくのが にがてだからです[6]。

見つけたら、さわらずに、いた ばしょと 時間を メモして おきます。みつけた あとは、そっと その ままに しておきます。

うみや 川へ 行く ときは、かならず おとなと いっしょに、天気と しおの じかんを たしかめて ください。

雨上がりや曇りの日に、近所の公園や庭を歩いて、カタツムリを探してみましょう。葉の裏、石の陰、塀の壁など、見つけた場所と時間をメモします。晴れて乾いた日と比べると、見つかる場所や数がちがうかもしれません。乾燥が苦手だからです[6]。

見つけたらさわらず、そのままにしておきます。「いつ・どこに・どんな天気で」を残すと、貝がどんな環境を選んでいるのかが、自分のデータとして見えてきます。

海や川に出かけるときは、必ず大人といっしょに、天気と潮の時刻を調べてから行きます。資料を読むなら、宮崎県総合博物館の「貝について」[1]と、沖縄県立博物館・美術館の「カタツムリのふしぎにせまってみよう!」[6]が、写真も多く読みやすいでしょう。

観察で確かめられる場所の比較の軸は、本稿の資料から3つに整理できる。水が流れこむ場所か(砂地のろ過食)、乾燥にさらされる場所か(陸貝の肺とエピフラム)、光が届かず化学物質に頼る場所か(共生細菌)、である。身近に確かめやすいのは陸貝で、雨上がりと晴れた日に、同じ公園でカタツムリの見つかる場所と数を、時刻・天気とともに記録して比べるとよい[6]。

原典として読みやすいのは、宮崎県総合博物館の「貝について」[1]、沖縄県立博物館・美術館の陸貝ガイドブック[6]、深海については海洋研究開発機構(JAMSTEC)の2009年と2015年の発表資料[7][8]。いずれも日本語で読める。海辺・川での観察は、大人と一緒に、天気と潮時を確認してから行う。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:博物館・県の公的資料と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの発表資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 宮崎県総合博物館「貝について」。https://www.miyazaki-archive.jp/museum/common/images/sec/shellfish/about_shell.pdf (貝の範囲、種数、潮だまり、食べ方について)
  2. Australian Museum「Molluscs」。https://australian.museum/learn/animals/molluscs/ (種数の推定と、すむ環境について。二次資料)
  3. 兵庫県「岩礁海岸の保全(個票13)」。https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/download_file/view/27007/20700 (岩礁海岸の環境区分と潮だまりについて)
  4. 神奈川県「アサリ(図鑑)」。https://www.pref.kanagawa.jp/docs/mx7/cnt/f430693/zukan-asari.html (アサリの分布と食べ方について)
  5. 島根県「島根の貝類」。https://www.pref.shimane.lg.jp/infra/nature/shizen/shimane/sizennkansatu/doubutu_kaisetu/kai.html (カワニナとゲンジボタルについて。二次資料)
  6. 沖縄県立博物館・美術館「カタツムリのふしぎにせまってみよう!」(2023年)。https://okimu.jp/userfiles/files/haku_column/okimu_landsnail_guidebook.pdf (陸貝の進化、肺と乾燥対策、種数について)
  7. JAMSTEC・北海道大学・新江ノ島水族館 プレスリリース(2009年11月30日)。https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/archive/2009/20091130.pdf (スケーリーフットの発見、生息域、共生とうろこについて)
  8. JAMSTECほか プレスリリース(2015年9月29日)。https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/archive/2015/20150929_2.pdf (化学合成微生物と二枚貝の共生について)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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  •  中学生向けの題名を、日常の疑問が先に来る形に見直した。

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