1. つくしの あたまを、ちかくで 見ると?
1. つくしの頭は、近くで見ると六角形でできている
1. 土筆の頭部 ── 六角形に分かれた胞子のうと、すきまの緑
つくしを つまんで、あたまを じっと 見て みましょう。ちいさな 六角形が、ぎっしり ならんで います。
その 六角形の すきまから、みどりいろの 粉が 見えます[2]。ふでの さきに にて いるので、むかしの 人は 「土筆」と かきました[2]。
あたまが ひらいて、すかすかに なった つくしは、なかの こなが もう とんだ あとです[2]。
2. みどりの こなは、たねなの?
2. 緑の粉は、種ではなく胞子と呼ばれる
2. シダ植物の増え方 ── 花も種子もつくらず、胞子で増える
この こなは、たねでは ありません。胞子と いいます。
スギナは、シダの なかまです。シダの なかまは、花が さかず、たねも つくりません。かわりに、この ちいさな 胞子で なかまを ふやします[3]。
つくしは、胞子を つくって とばす ための、春の 先ぶれの くきなのです。
この粉は胞子です。スギナはトクサ科のシダ植物で、シダの仲間は花を咲かせず、種子もつくりません。その代わりに胞子で仲間を増やします[3]。
花が咲いて種ができる、という植物の増え方とは別の道です。つくしは、その胞子をつくって送り出すための茎だと考えると、頭にぎっしり並んだ六角形の意味が分かってきます。
ところで、胞子は粉のように軽いものです。風に運ばれず親の足もとにそのまま落ちるだけなら、遠くには広がれません。何か仕掛けはあるのでしょうか。
3. こなは、どうやって とぶの?
3. 胞子は、湿り気で動く「糸」を持っている
3. 弾糸の伸縮 ── 湿度に応じて動く散布の仕掛け
この 胞子には、小さな 糸のような ものが ついて います。弾糸と いいます[2]。
弾糸は、水気が あると ちぢみます。かわくと ひろがります[2]。からっと はれた 日に ひろがると、風に のりやすく なると いわれて います[2]。
水気は、人の 息でも 足りる と いわれて います。ですから、ぬれた 日と かわいた 日で、胞子の とび方が かわる のかも しれません。
4. おちた こなは、そのあと どうなるの?
4. 落ちた胞子は、まず小さな「前葉体」になる
4. 胞子から前葉体、そして次のスギナへ
風に のった 胞子が じめんに おちると、まず 前葉体に なります[3]。
前葉体には、おすの 部分と めすの 部分が あります。ここで はじめて、おすと めすが あわさります。そのあと、つぎの スギナの からだが そだって いきます[3]。
こなを とばした つくしは、やくめを おえて かれます[3]。ところが、スギナは 毎年 また 出て きます。つくしが かれたら、どうして?
5. つくしと スギナは、どこで つながるの?
5. つくしとスギナを結ぶのは、地面の下の茎
5. 胞子茎と栄養茎 ── 地下茎でつながる一つの植物
つくしと スギナの 緑の くきは、じめんの 下の くきで つながって いることが 多いと いわれます[1]。
春の はじめに、先に 出て くるのが つくしです。胞子を とばす ころに、スギナの 緑の くきと 葉が のびて きます[1]。
スギナは、胞子だけでなく、じめんの 下の くきでも ふえる、毎年 そだつ 草です[2]。つくしが かれても、スギナが 出て くるのは、下で いきて いる くきが あるからです。
つくしと スギナは、ちがう 草に 見えて、ひとつづきの 草の、べつべつの すがたなのです。
つくしと、緑色のスギナの茎は、土の中の茎でつながっていることが多いと説明されています[1]。多くの場合、であって、すべてのつくしが必ず同じ株につながっているとまでは、資料は言っていません。
資料では、春に先につくしが出ると説明されています。胞子を出すころに、スギナの緑の茎と葉が伸びてきます[1]。
スギナは、胞子と地下茎の両方で繁殖する多年生のシダ植物です[2]。つくしが枯れても毎年出てくるのは、地下茎が生き続けているからだ、と読めます。
つくしとスギナは、見た目こそ別の草のようですが、同じ植物が季節ごとに見せる、役割のちがう二つの姿です。
札幌市博物館活動センターの資料では、胞子をつくる胞子茎(つくし)と、緑色の栄養茎は、土の中の茎でつながっていることが多いとされる[1]。「ことが多い」という言い方は、常に同一の株につながるとまでは述べていない点で慎重であり、ここでもそれに合わせる。
出現の順序は、春に胞子茎が先に伸び、胞子を出すころに栄養茎が伸びてくる、というものだ[1]。スギナは多年生で、胞子と地下茎の両方で繁殖する[2]。つくしは、地下の茎とつながった、地上の胞子をつくる茎だと言える。
したがって、枯れるつくしと毎年戻るスギナの食いちがいは、一つの植物の中で役割が分かれていることで説明がつく。胞子をつくる茎は一年ごとに役目を終えるが、地下で生き続ける部分が次の春にまた茎を送り出す。
6. じめんの 下の くきは、どれくらい つよいの?
6. 地面の下の茎が、畑で嫌われる理由
6. 地下茎の強さと、畑での扱い
スギナの 地下茎は、じめんの 下に ながく のびる ことが あります。
うえの スギナを とっても、したの くきが のこって いると、また 出て きます。ちぎれても ふえる ことが あるので、畑では こまる 草として あつかわれる ことが あります。
つくしを 見つけた とき、足もとの したには、ずっと ひろい せかいが あるかも しれません。
スギナの地下茎は、地面の下を長く横に伸びることがあります。
地上の部分を取り除いても、地下に茎が残れば、そこからまた芽が出ます。地下茎が分断されても増えることがあるため、畑では対処しにくい雑草として扱われることがあります。
春先にかわいらしく顔を出すつくしの足もとには、これだけ強い仕組みが隠れているわけです。かたや、そのしぶとさこそが、毎年同じ場所に戻ってこられる理由でもあります。
スギナの地下茎は、地中を長く伸びることがある。地上部を除去しても地下に残れば再生し、断片化されても増えるため、畑では扱いにくい雑草とされる。
ここで、前節までの話とつながる。胞子による繁殖は一年ごとに新しい個体のスタートだが、地下茎による栄養繁殖は、すでに根づいた体の一部から新しい茎を送り出す方式だ。地上部を取り除いても地下に体が残るので、畑で扱いにくい草とされるのは、この性質によると読める。
7. ロボクの 化石って、なに?
7. 石炭紀のロボク類の化石が、博物館に展示されている
7. 石炭紀のロボク類の化石と、トクサ属の現在
スギナの なかまには、とても ふるい 化石が のこって いる ものが あります。
ぐんまけんの はくぶつかんには、せきたんきと いう むかしの 時代の、ロボクの なかまの 化石が かざられて います[5]。
ただし、スギナそのものが その 時代から いた、という 話ではありません。
8. つくしを 見たら、つぎに しらべたい こと
8. つくしの次に、調べたくなること
8. 資料に当たるなら ── 読む順と、残る問い
つくしを 見かけたら、あたまが とじて いるか、ひらいて いるかを 見くらべて みましょう。ひらいた つくしは、なかの こなが もう とんだ あとです[2]。
まだ わからない ことも あります。つくしは、どれくらいの 早さで のびるのでしょう。スギナの 緑の くきは、どんな はたらきを して いるのでしょう。じぶんで 本や はくぶつかんで しらべて みたく なります。
つくしの頭の状態を見くらべるのも、一つの調べ方です。頭が閉じていれば、胞子はまだ中にあります。開ききっていれば、胞子はもう飛んだあとです[2]。同じ場所で何本か見くらべると、散布の進み具合のちがいが見えるかもしれません。
つくしの伸びる速さや、スギナの緑の茎の光合成は、この記事では扱っていない問いです。自分で図鑑や博物館の展示を見て、確かめてみる余地があります。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。インターネットの資料は、2026年10月4日に見た内容にもとづきます。
- 札幌市博物館活動センター「つくしとスギナ」 https://www.city.sapporo.jp/museum/ouchimuseum/0502.html (つくしとスギナのつながり、出てくる時期)
- 宮城県総合教育センター「ツクシとスギナ」 https://www.edu-c.pref.miyagi.jp/midori/science/kagaku-junkai/junkaikyouzai/tukushi.pdf (頭の観察、弾糸、名前の由来、繁殖の方法)
- 医薬基盤・健康・栄養研究所「That's きっと」令和2年3月号 https://www.nibiohn.go.jp/eiken/info/pdf/k266.pdf (シダ植物の増え方、前葉体)
- Wikipedia「スギナ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/スギナ (弾糸のつくり)
- 群馬県立自然史博物館「いろいろな化石」 https://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/01_iroironakaseki.pdf (ロボク類の化石)
なおした ところ
更新履歴
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