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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ストローで のむと、のみものが どうして のぼって くるの?

ストローで飲みものを口まで押し上げているのは何?

ストローで飲みものが口まで上がるとき、飲みものを動かしているのは何か ── 圧力の差と約10メートルの限界

分野:技術

ストローで のむ とき、わたしたちは のみものを「ひっぱって」いる ように かんじます。でも、のみものを おして いるのは、ほんとうは まわりの 空気です。

しかも、くちの 中を まったくの からっぽに できても、水は 10メートルくらいまでしか のぼりません。どうして でしょう。ストローが はたらく わけと、ストローの かたちが かわって きた わけが わかります。

ストローで飲むとき、口が飲みものを引っぱり上げているように感じます。ところが解説では、飲みものを押し上げているのは、まわりの空気だとされています[1]。しかも、口の中を完全な真空にできたとしても、空気に押されて上がる水は約10メートルまでしか上がりません。

吸っているのに、押されるとはどういうことでしょうか。ストローの中で起きていること、約10メートルという限界の理由、そして洗剤を加えた水で15.4メートルのサイフォンが報告された話や、麦わらから紙、曲がるストローへと形が変わってきたわけが分かります。

ストローで飲みものが上がるのは、口が引っぱるからではなく、飲みものの表面にかかる大気圧が、ストロー内の低くなった圧力に向けて液体を押し込むからだと説明される[1]。この考え方に従えば、口の中を理想的な真空にしても、大気圧で押し上げるかぎり水が上がる高さには上限がある。その上限が約10メートルである。一方で、洗剤を加えた水で15.4メートルのサイフォンが報告されており、これは通常のストローの上限とは別の条件での話である。

では、なぜ約10メートルなのか。人が実際に飲める高さはそれよりずっと低いのはなぜか。さらに、その上限を超えたとされる実験は何をしたのか。ストローの仕組みと限界、そして形が変わってきた理由が分かる。

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1. ストローを さしただけでは、どうして のみものは あがって こないの?

1. ストローを入れただけで、飲みものが上がってこないのはなぜ?

1. ストロー内外の液面にかかる圧力 ── 「引く」のではなく「押される」

コップに ストローを さして、まだ すって いない ところを 見て ください。ストローの 中の 水と、コップの 水は、おなじ 高さです。ひとりでに のぼって くる ことは ありません。

それは、ストローの 中の 水にも、コップの 水にも、おなじ 空気の おもさが かかって いるからです[2]。

ところが、ストローの 中の 空気だけを へらすと、ストローの 中の 水を おす 力が よわく なります。すると、コップの 水を おす 空気の ほうが つよく なり、水が ストローの 中へ おし こまれます[2]。

たとえば、水の 上に 大きな 手が のって いて、ぎゅっと おして いる ところを 思いうかべて ください。ストローの 中だけ 手が はなれると、そこへ 水が おし あげられます。ただし 本当は、空気に 手は ありません。空気の 力です。

では、すう とき、くちの 中では 何が おきて いるのでしょう。

コップの飲みものにストローを入れた直後、ストローの中の液面は、コップの液面と同じ高さにあります。飲みものがひとりでに上がってこないのは、ストローの中の液面にも、コップの液面にも、同じ大気の圧力がかかっているからです[2]。

吸うと、ストローの中の空気だけが減って、そこにかかる圧力が下がります。すると、ストローの中の液面を押す力のほうが、コップの液面を押す力より小さくなります。この差があるために、飲みものがストローの中へ押し込まれます[2]。

飲みものの上に大きな手がのって押しているところを、想像してみてください。ストローの中だけ手がはなれると、そこへ飲みものが押し上げられます。ただし実際には、押しているのは手ではなく、まわりの空気です。解説でも、口の力で引くのではなく、外側の高い圧力が飲みものを口のほうへ押す、と説明されています[1]。

では、吸うとき、口の中ではストローの空気にどんなことが起きているのでしょうか。

ストローを液体に入れただけの状態では、ストロー内の液面にもコップの液面にも同じ大気圧がかかるため、力はつり合い、液体は動かない[2]。ところが吸ってストロー内の圧力だけを下げると、ストロー内の液面を押す力がコップ側より小さくなる。この圧力の不均衡が、液体をストローの中へ押し込む原因である[2]。

つまり、液体を動かす主役は「口の引く力」ではなく、「コップ側の液面にかかる大気圧」である。解説も、吸うことでストロー内の圧力を下げ、残りの表面にかかる高い圧力が飲みものを押し上げる、という順序で説明している[1]。日常の言い方の「吸い上げる」は、結果としては間違いではないが、力の向きを正確には表していない。

この見方を取ると、次の疑問が出る。圧力を下げるための「吸う」という動作は、体の中ではどう起きているのか。

2. すう とき、くちの 中の 空気は どうなって いるの?

2. 吸うとき、ストローの中の圧力はどうやって下がるのか

2. 吸気の動作とストロー内圧力の低下 ── 肺を広げて外との差をつくる

空気を すうと き、おなかの 上に ある 大きな きんにくが さがり、むねが ひろがります。すると、はいの 中の 空気が ひろい ところに ひろがって、まわりの 空気より うすく なります。だから 外の 空気が はいって きます。これは、いきを すう ときの ふつうの しくみです。

ストローの 中の 空気も、おなじ むきに ひっぱられ、へって いきます。そのぶん、ストローの 中の 空気の 力が よわく なります。

そこへ、コップの 水を おす 空気の 力が はたらきます。のみものが 口に とどくのは、このためと いわれます[1]。

ここで 気に なる ことが あります。もし 口の 中の 空気を ぜんぶ ぬく ことが できたら、どのくらい 高い ところまで のめるのでしょう。

息を吸うとき、胸の下にある横隔膜が縮んで下がり、胸のまわりの空間が広がります。すると肺の中の圧力が外の大気圧より低くなり、空気が入ってきます。これは呼吸の一般的な仕組みです。

ストローで吸うときも、ストローの中の空気は肺のほうへ引かれて減り、中の圧力が下がります。そのため、コップの液面にかかる大気圧のほうが大きくなり、飲みものがストローを上がって口に届きます[1]。

ここで「吸う」という動作が担っているのは、あくまで圧力を下げる役目です。飲みものそのものを動かす力は、外の空気のほうが出しています。

そうなると、素朴な疑問が生まれます。口の中の空気をすべて抜けるなら、飲みものはどこまで高く上がるのでしょうか。

吸気では、横隔膜が収縮して下がり、胸郭が広がって胸腔の容積が増える。その結果、肺内の圧力が大気圧より低くなり、空気が流れ込む。これは呼吸の一般的な仕組みであり、ストロー専用の動作ではない。ストローをくわえて吸うときも、同じ向きの空気の動きがストロー内の空気に及び、内部の圧力が下がる[1]。

ここで重要なのは、体がしているのは「圧力を下げること」までで、液体を押し上げる力そのものは外から来るという分担である。だから、液体が上がる高さは、口の筋力ではなく、押す側の力(大気圧)と、持ち上げる液体の重さのつり合いで決まる。

すると、口の中を理想的に空にできた場合の上限が計算できる。その上限が約10メートルになる理由を、次の章で確かめる。

3. ストローが ながければ、どこまでも のめるの?

3. 空気に押されて上がる水は、完全な真空でも約10メートルまで

3. 大気圧で支えられる水柱の上限は約10メートル ── 水銀気圧計と13.6倍の関係

ふつうの ストローのように 空気の 力で おし あげる ときは、ながくても 水では 10メートルくらいまでです。空気が ささえられる 水の はしらの 高さが、そのくらいだからです[1]。くちの 中を まったくの からっぽに できたと しても、それより 上には 水は のぼりません。

これを たしかめたのが、イタリアの トリチェリです。水の かわりに、水の 13.6ばい おもい 水銀を つかいました。すると、はしらの 高さは 76センチほどに なりました[3]。

13.6 かける 76 は、1034センチ。つまり 水なら 10メートルあまりです。水銀の ほうが ずっと みじかい はしらに なります。水銀の はしらで 空気の おもさを はかる どうぐは、気あつけいとして つかわれます[4]。

ストローで 1メートル あげる ごとに、空気の 力の 10ぶんの 1くらいを つかう、と かんがえる ことが できます。10メートルで ちょうど つかいきる、という わけです。

ストローのように大気圧で押し上げる場合、空気の圧力が支えられる水の柱の高さは、海面で約30フィート、およそ9メートルあまりと紹介されています[1]。トリチェリは1640年代に、大気圧が支える水の柱は約10.33メートルだとしました。この数字は、水銀を使った実験から導かれます[3]。

水銀は水の約13.6倍重いので、同じ大気圧が支えられる柱の高さは、水の13.6分の1の約760ミリになります。逆に、760ミリに13.6をかけると約10.3メートル。計算がそろいます[3]。気象庁の解説では、トリチェリがつくった水銀気圧計によって気圧が初めて観測されたのは1643年とされています[4]。出典によって年が1年ずれるので、ここでは1640年代と書きます。

水の柱を1メートル持ち上げるのに必要な圧力の差は、約9.8キロパスカルです。1気圧は約101キロパスカルなので、1メートルごとに大気圧のおよそ10分の1を使うことになります。10メートルほどで使い切るのです。これは、密度と重力から私が計算した値です。

では、私たちがふつうに飲むとき、実際にはどこまで届くのでしょうか。

ストローのように大気圧で押し上げる場合に、大気圧が支える水柱の高さは、IPMの解説では海面で約30フィート(約9.1メートル)とされ[1]、トリチェリが1644年に示したとされる値は約10.33メートルである[3]。両者がわずかにずれているのは、前者が概数であるためと考えられ、「約10メートル」と丸めれば双方と矛盾しない。気象庁の解説は、トリチェリの水銀気圧計による気圧の初観測を1643年とする[4]。1643年と1644年は出典の書き方による差で、ここでは「1640年代」にとどめる。

水銀柱が約760ミリである理由は、比重で説明できる。水銀は水の約13.6倍重いので、同じ大気圧とつり合う柱の高さは水の13.6分の1になる。逆算すると、760ミリ×13.6≒10.3メートルとなり、水柱の値と一致する[3]。水銀を使うと柱が短くて済むので、装置を実験室に収めやすい。

圧力の面から見ても整合する。水1立方メートルは約1000キログラム、重力加速度を9.8m/s²とすると、水柱1メートルあたりの圧力は約9.8キロパスカルで、1気圧(約101.3キロパスカル)の約10分の1である。したがって約10メートルで大気圧とつり合う。底面積1平方センチの水柱を10.33メートルに延ばすと、重さは約1.03キログラム重に相当する。これは公式の値ではなく、密度と重力による自分の計算である。

ただし、これは口の中が完全な真空になる場合の上限であり、人間の口ではそこまで届かない。現実の限界はどこにあるのか。

4. ほんとうに 10メートルの ストローで のめるの?

4. 実際に飲める高さは、もっと低い

4. ストローで飲める高さは、液面と口の差で決まる ── 実際の限界と宇宙で使えない理由

のめません。人の くちの 中を、まったくの からっぽに する ことは できないからです[2]。

ある きじでは、3フィート、つまり 1メートルより すこし みじかい ストローでも、のみにくい 人が いると しょうかい されて います。いっぽうで、のみものより 8フィート、およそ 2.4メートル 高い ところでも のめる 人も いると いいます[2]。

だいじなのは、ストロー ぜんぶの ながさでは ありません。のみものの 水めんと、口との 高さの ちがいです[2]。

うちゅうのように、空気の ない ところでは、ストローでは のめません[1]。のみものを おす 空気が ないからです。

それでも、10メートルの かべを こえようと した 人が います。

現実の限界は、10メートルよりずっと低くなります。人の口の中を完全な真空にすることはできないため、実際の限界は10メートルより低くなります[2]。

ある解説では、3フィート(約0.9メートル)のストローでも飲みにくい人がいる一方で、飲みものより約8フィート(約2.4メートル)高い場所でも飲める人がいると紹介されています[2]。個人差が大きい、ということです。

ここで大切なのは、ストローの全長ではありません。飲みものの液面と、口との高さの差です[2]。長いストローでも、液面からの高低差が小さければ、飲むことができます。

大気圧のない宇宙では、ストローで液体を飲むことはできません[1]。押してくれる空気がないからです。

ところが、約10メートルという壁を、実験で超えたという報告があります。

理論上の上限が約10メートルでも、実際にはずっと低い。人の口の中を完全な真空にすることはできないからである[2]。解説によれば、3フィート(約0.9メートル)のストローで苦労する人もいれば、液面より約8フィート(約2.4メートル)高い場所で飲める人もいる[2]。ただし、これは一つの解説に載っている個人差の例で、年齢や体格ごとの平均値を示すものではない。

重要なのは、必要な圧力差を決めるのが「ストローの全長」ではなく「液面と口の高さの差」だという点である[2]。曲がりくねった長いストローでも、液面と口の高さの差が小さければ、必要な圧力差は小さくて済む。ただしストロー内の流れの抵抗は別の問題で、この記事の資料では扱わない。

この仕組みが大気圧に頼っているため、大気圧のない宇宙ではストローは働かない[1]。逆に言えば、約10メートルは「大気圧の押す力」の上限であり、水の性質まで含めて本当に絶対的な壁なのか、という疑問が残る。この問いに挑んだ実験がある。

5. 10メートルの かべは、こえられないの?

5. 洗剤を入れた水で、約10メートルの壁を超えた実験

5. トリチェリの限界を超えたサイフォン ── 界面活性剤と泡の抑制

こえた じっけんが あります。ただし ストローではなく、サイフォンと いう、水を ちがう 高さへ うつす しかけの じっけんです[3]。

水に、おさらを あらう せんざいを まぜると、15.4メートルの 高さまで 水が とどいた、と ほうこく されて います。ふつうの 水の かぎり 10.33メートルの、およそ 1.5ばいです[3]。

せんざいを まぜると、水の 中に あわが できにくく なります。それが うまく いった りゆうかも しれない、と かんがえられて います[3]。

ただし、水の ながれは 224びょうで とまりました。ストローで 15メートルの ジュースが のめる、という はなしでは ありません。

ところで、ストローそのものは、どんな ふうに かわって きたのでしょう。

PMCに載った論文では、食器洗い用の洗剤(界面活性剤)を加えた水で、トリチェリの限界10.33メートルを超える15.4メートルのサイフォンがつくられたと報告されています[3]。10.33メートルのおよそ1.5倍です。

サイフォンとは、管を使って水をいったん高い所へ持ち上げてから、低い所へ流す仕組みです。ふつうの水では、高さが限界に近づくと、水の中に気泡ができて水の流れが途切れてしまいます。洗剤を入れると気泡ができにくくなることが、限界を超えられた理由に関係した可能性がある、と著者は考えています[3]。

ただし、この実験でも流れは224秒、つまり3分44秒ほどで止まりました[3]。また、これはサイフォンの実験であり、ストローで15メートルの高さの飲みものを飲める、という話ではありません。

圧力の仕組みを使うストローは、これほど長くはなれません。では、ストローの形はこれまでどう変わってきたのでしょうか。

トリチェリの限界10.33メートルを超えたという報告が、PMCの論文にある。界面活性剤(食器洗い用洗剤)を加えた水を使い、15.4メートルのサイフォンをつくったという内容である[3]。従来の限界の約1.5倍(15.4÷10.33≒1.49)にあたる。論文は、これによって「絶対的な負の圧力は禁止されていない」ことが示されたとし、気泡の発生を抑える働きが成功に関係した可能性を挙げる[3]。

この結果は、約10メートルという数字が、水に気泡(空洞)ができて流れが切れる条件に左右されることを示唆する。つまり、「真空にできれば約10メートルが絶対の壁」という単純な話ではなく、水の中の状態によっては超えうる。ただし流れは224秒(約3分44秒)で止まっており、安定して使える技術ではない[3]。

また、サイフォンと吸い上げは別の装置である。この論文の実験を、ストローで15メートル飲める根拠として読むことはできない。ストローの限界は、先に見た圧力のつり合いと人の口の限界で決まる、という整理は変わらない。

圧力の議論から離れて、ストロー自体の形が、人の困りごとに合わせてどう変わってきたかを見る。

6. ストローの かたちは、だれの こまりごとから かわったの?

6. 麦わらから紙、曲がるストローへ ── 困りごとから生まれた形

6. 筒から曲がるストローへ ── 素材と形の変遷とその背景

5000ねんほど まえ、シュメール人は、ビールを のむ ときに ほそい つつを つかったと かんがえられて います。しずんだ ざっこくの かすを さけるためと いわれます[6][5]。

むぎわらも、むかしの ストローでした。1888ねん、アメリカの マービン・ストーンは、むぎの くきの ストローが のみものの 中で いたんだのを きっかけに、紙を えんぴつに まいて、ろうで つつんだ ストローを つくった、といわれます[5]。

日本では 1901ねんごろ、おかやまけんの よりしまで、むぎわらを つかった ストローづくりが はじまったと いわれます[6]。

1937ねんには、ジョセフ・フリードマンが、むすめが ミルクセーキを のみにくそうに していたのを 見て、まがる ストローを かんがえた、と つたえられます[5]。

ストローは、どの じだいも、りょうはしが あいた ほそい つつです。かたちや ざいりょうは、人の こまりごとに あわせて かわって きました。

5000年ほど前、シュメール人は貴金属製の細長い筒を使って、ビールを飲んでいたと考えられています。沈んだ穀物のかすを避けるためといわれます[6][5]。

飲用ストローの特許を最初に申請したのは、アメリカでたばこ用の巻紙をつくっていた会社の経営者、マービン・ストーンで、1888年のことでした[5]。ライ麦の茎のストローが飲みものの中で傷んだことから、紙を鉛筆に巻いて糊づけし、ろうで包んでつくった、と伝えられています[5]。

日本では、1901年(明治34年)ごろ、岡山県の寄島町で川崎三一が麦わらを使ってストローをつくり始めたとされます[7]。麦わら帽子の材料づくりの技術が生かされました[6]。

曲がるストローは、発明家のジョセフ・フリードマンが、娘がミルクシェイクをうまく飲めない様子を見て考えたと伝えられます。ストローにねじを通して糸を巻き、蛇腹の溝をつけました。特許は1937年、商業販売は1947年です[5]。

どの時代のストローも、両端が開いた細い筒です。変わったのは素材と形で、きっかけは人の困りごとでした。

ストローの元の形は古い。シュメール人は約5000年前(紀元前3000年ごろ)、ビールを飲むときに細い筒を使ったと考えられており、沈んだ穀物のかすを避けるためだと説明される。ただし用途は推定である。素材は貴金属製とされ、麦わらではない[6][5]。

近代では、素材の傷みが転機になった。飲用ストローの特許を最初に申請したのは、米国でたばこ用巻紙の製造会社を経営していたマービン・ストーンとされ、1888年である。ライ麦の茎のストローが飲みものの中で傷んだことから、紙を鉛筆に巻いて糊づけし、ろうで包んでつくったという経緯が伝わる[5]。このミントジュレップの逸話は伝承の色が強く、確定した事実とは限らない。

日本では、1901年(明治34年)ごろ、岡山県浅口郡寄島町で川崎三一が麦稈を使ってストローをつくり始めたとされる[7]。背景には、麦稈真田業という麦わら帽子の材料づくりの技術があった[6]。

曲がるストローは、ジョセフ・フリードマンが、娘がミルクシェイクをうまく飲めない様子を見て考案した。ストローにねじを通して糸を巻き、蛇腹の溝をつけた。特許は1937年、商業販売は1947年である[5]。

形や素材が変わっても、ストローは両端が開いた細い筒であり、飲めるのは圧力の差によるという原理は共通している。この原理が分かると、日常の小さな実験で、自分で確かめられる。

ストローで ためして みよう

ストローで「押される力」を、自分の目で確かめるには

ストローの実験を、圧力の言葉で説明してみる

おうちで

コップに 水を 入れて、ストローを さします。ストローの 上の あなを ゆびで ふさいで、そっと 上へ もちあげて みましょう。水は ストローの 中に のこるでしょうか。つぎに ゆびを はなして みます。どうなるか 見て、さっきの 空気が おす 話で せつめい できるか かんがえて みて ください。こぼれても いい ばしょで やります。

しらべる ときは

図書かんの 理科の 本で、「たいきあつ」や 「トリチェリ」を さがして みましょう。

家でできること

コップに水を入れ、ストローをさします。ストローの上の穴を指でふさいでから、そっと持ち上げてみましょう。ストローの中に水が残るかどうか、よく見ます。次に指をはなすと、どうなるでしょうか。飲むときの話と同じ考え方で、その理由を説明できるか考えてみてください。こぼれても困らない場所で行います。

調べるには

理科の本で「大気圧」や「トリチェリの実験」を探し、水銀の柱が約760ミリになる理由を読んでみましょう。家では、ストローを持ち上げる高さを変えると、ストローの中に残る水の量がどう変わるかも見られます。

家でできること

コップの水にストローを入れ、上の穴を指でふさいで持ち上げ、ストロー内の水がどうなるかを観察する。指を離したときの変化も見る。ストロー内外の液面にかかる圧力を考えて、結果を説明してみる。こぼれてもよい場所で行う。

資料を読むなら

日本語の理科の本で「大気圧」や「トリチェリの実験」を探し、水銀柱が約760ミリになる理由を、本文の比重の計算と照らし合わせてみよう。家では、ストローを持ち上げる高さを変えたとき、ストロー内に残る水の量がどう変わるかを観察し、液面にかかる圧力で説明できるか考えてみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

仕組みの説明は科学解説記事と学術論文、気圧の観測年は気象庁の解説、ストローの歴史は解説記事と百科事典による。数値の一部は本文に書いたとおり自分で計算した。

  1. A Moment of Science(Indiana Public Media)"How Drinking Straws Work" https://www.ipm.org/amomentofscience/drinking-straws-work/ (ストローで飲める仕組み・約30フィート・宇宙では使えない)
  2. Scientific American "A Really Long Straw" https://www.scientificamerican.com/article/a-really-long-straw/ (圧力の差・口の限界・液面との高さの差)
  3. Negative Pressures and the First Water Siphon Taller than 10.33 Meters(PMC4824372) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4824372/ (トリチェリの約10.33m・15.4mのサイフォン)
  4. 気象庁 仙台管区気象台「気圧の測定」解説 https://www.jma-net.go.jp/sendai/knowledge/sokki/detail_sokki3.html (水銀気圧計による気圧の初観測)
  5. 99% Invisible "Last Straws: Inventing the Modern Drinking Tube / Flexible Bendy Straw" https://99percentinvisible.org/article/last-straws-inventing-modern-drinking-tube-flexible-bendy-straw/ (紙のストロー・曲がるストロー)
  6. Wikipedia(日本語)「ストロー」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC (ストローの歴史・シュメール人・日本の始まり)
  7. 幻冬舎GOLD ONLINE 記事 https://gentosha-go.com/articles/-/41784 (日本でのストローづくりの始まり)

なおした ところ

更新履歴

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