1. もやした あとの 灰は、ぜんぶ おなじ ものなの?
1. 燃やしたあとに残る灰は、一種類ではない
1. 焼却で出る灰は主灰と飛灰に分かれ、行き先も分かれる
清掃工場で ごみを もやすと、あとに 灰が のこります。この 灰には、しゅばいと ひばいが あります。ひばいは、もやした ときの けむりから あつめる 灰です。
行き先は、おもに 3つ あります。一つ目は、うめる ばしょです。二つ目は、セメントの 原料です。三つ目は、人工の すなや、スラグと よばれる かためた ものです。
国の かんきょうの けんきゅう所の はなしでは、灰ぜんぶの やく 4ぶんの 1が、リサイクル されるように なったと、国の けんきゅう所の 解説に 書かれて います。いつの、どの はんいの 数字かは、しりょうには 書かれて いません。のこりの 多くは、うめる ほうへ いく と 考えられます。
では、うめる ばしょでは、どんな ことを して いるのでしょう。
清掃工場の炉でごみが燃え終わっても、あとに灰が残ります。国立環境研究所の解説では、ごみを加熱して焼却すると、焼却主灰、飛灰、溶融スラグができるとされています[1]。飛灰は、集じん灰とも呼ばれ、煙にふくまれる小さな灰を集じん機で集めたものです[7]。
行き先は、大きく二つに分けられます。ひとつは最終処分場への埋め立て。もうひとつは資源として使う道で、セメントの原料にしたり、灰を高温で処理して人工砂やスラグにしたりします。東京23区の資料には、溶融処理ができない灰は、主灰はそのまま、飛灰は安定化処理をしてから最終処分場に埋め立てる、と書かれています[6]。
国立環境研究所の別の解説は、焼却灰全体の約4分の1が、スラグ化やセメント原料化でリサイクルされるようになったと述べています[2]。ただし、この割合がいつの、どの範囲の数字なのかは、この解説からは分かりません。
まず、埋め立てられる灰から見てみましょう。
ごみを加熱・焼却すると、焼却主灰、飛灰、溶融スラグが生じる[1]。このうち飛灰は、集じん灰とも呼ばれ、煙にふくまれる小さな灰を集じん機で集めたものである[7]。同じ「焼却灰」でも、性質が異なるため、行き先も一本ではない。
道筋は、埋め立てと資源化に大別できる。資源化にはセメント原料への転用と、灰を高温で処理して作る人工砂やスラグがある。東京23区の検討報告書には、溶融処理ができない灰について、主灰は直接、飛灰は安定化処理を経て、最終処分場に埋め立てるとの記述がある[6]。この報告書は、東京23区の灰の扱いを整理したものだ。
リサイクルの規模については、国立環境研究所の解説に、焼却灰全体の約4分の1がスラグ化やセメント原料化で資源化されるようになった、とある[2]。ただしこの数字がどの年の、どの範囲を指すかは解説から読み取れず、現在の割合として扱うことはできない。
では、埋め立てる灰は、どのような場所に、どのような処理をして置かれるのか。次の章で、まず埋め立ての側を見る。
2. うめる 灰から、どうして みずが もれない ように するの?
2. 埋め立てる灰から、水を外へ出さない二つの工夫
2. 最終処分場の遮水シートと、飛灰の事前処理
灰に ふれた 水が、土に しみこんで 外へ もれたら こまります。そこで、明石市の うめたて 場では、うめる 場所ぜんたいに、じょうぶな プラスチックの シートを 二まい かさねて しいて います。
ひばいには、からだに よくない 金属が 多く ふくまれる ことが あります。しりょうによると、うめる 前に、くすりを つかって、金属が 水に とけ出さない ように する しごとも 行われて きました。
ところが、うめる 場所は かぎりが あります。国の 調べでは、2019年度の おわりに、のこりの ばしょは あと 21.4年ぶんと されました。国は、うめる 場所を ふやす ことは 引きつづき きびしいと 話して います。
うめる 場所が たりなく なるなら、灰を ほかの ものに かえられないのでしょうか。
埋め立てた灰にふれた水が、地下や川へ流れ出てはいけません。明石市の最終処分場では、埋立地の全面に高密度ポリエチレン製の遮水シートを二重に敷いて、水を遮っています[3]。シートは、灰と地面の間をへだてる底板のような役目です。
もうひとつの工夫は、灰そのものの処理です。飛灰には重金属が含まれることがあり、北海道大学の学位論文の要旨によると、溶け出しを抑える中間処理が行われ、キレート剤などを使う薬剤処理が主に使われてきました[7]。シートで囲み、灰も落ち着かせる、という二段がまえです。
けれども、埋め立てる場所は無限ではありません。環境省の調査では、一般廃棄物の最終処分場の残余容量は、2019年度末で9,951万立方メートル、残余年数は21.4年でした。環境省は、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況だと述べています[9]。
場所に限りがあるなら、埋め立てる灰を減らす道はないのでしょうか。
最終処分場では、灰に触れた水の流出を防ぐことが課題になる。明石市の第3次最終処分場は、埋立地の全面に高密度ポリエチレン製の遮水シートを二重に敷設している[3]。一枚が傷んでも、もう一枚が受け止める構成といえるが、この点は同市の資料が述べているわけではなく、二重にする理由は筆者の推測である。
灰そのものの対策もある。飛灰は重金属を含みうるため、北海道大学の学位論文の要旨では、重金属の溶出を抑える中間処理が行われ、キレート剤などを用いる薬剤処理が主に実施されてきたと整理されている[7]。キレート剤による不溶化の長期安定性については、研究上の関心が続いている。
こうして守っても、置き場所は有限である。環境省の令和元年度の調査では、最終処分場の残余容量は9,951万立方メートル、残余年数は21.4年で、確保は引き続き厳しい状況とされた[9]。数字は過去のものだが、方向としては、埋め立てに頼りすぎない道を探る理由を示している。
では、灰を別の物に変えるとしたら、何になり得るのか。次の章では、東京の事例を見る。
3. うめる ばしょが たりなく なったら、灰は どうなるの?
3. 灰がセメントの原料に変わる:東京23区と多摩地域の取り組み
3. 灰のセメント原料化:東京23区・多摩地域の事例と、飛灰の塩素の問題
東京23区では、灰を セメントの 原料に する しごとを、2015年度から ほんかくてきに 行って います。2025年度は、77,295トンの 灰が セメントの もとに なりました。
10トン つめる トラックで はこぶと、やく 7,700台ぶんです。(トラックの おおきさを 10トンと かんがえた、かんたんな 計算です。)
たまちいきの 25市1町 でも、清掃工場の 灰を、セメントの 原料に する エコセメントの しごとを しています。
川口市の しりょうでは、セメントに する 前に、ひばいからは 塩素を とりのぞく ひつようが ある としています。
東京23区では、焼却灰をセメント原料にする事業を、安全で安定して続けられると確認したうえで、2015年度から本格実施しています[4]。2025年度に資源化した灰は77,295トンです。10トン車で運ぶと約7,700台ぶんにあたります(10トン車という仮定での計算です)。
東京の多摩地域(25市1町)でも、清掃工場から出る焼却残さをセメントの原料にする「エコセメント」事業があります[5]。灰が、建材の元になる原料の一部に変わる、ということです。
ただし、どんな灰でもそのまま使えるわけではありません。川口市の資料には、セメント原料化の前処理として、主灰には異物の除去、飛灰には塩素の除去が必要だと書かれています[8]。同じ灰でも、性質によって手間が違うのです。
セメントのほかに、灰が姿を変える例はあるのでしょうか。
東京23区では、焼却灰のセメント原料化について、安全で安定的な実施が確認できたとして、2015年度から本格実施に移っている[4]。2025年度に資源化した灰は77,295トンで、10トン車に積むと約7,700台に相当する(77,295÷10。車の積載量を仮定した概算)。
多摩地域の25市1町では、清掃工場から出る焼却残さをセメント原料にするエコセメント事業を行っている[5]。こうした事業では、焼却残さをセメントの原料の一部に使っている。
前処理の条件も、灰の種類で異なる。川口市の資料では、主灰には異物除去、飛灰には塩素除去が必要としている[8]。
では、セメント以外の道はあるのか。灰を焼いて砂を作る事業が、同じ東京23区にある。
4. セメントの ほかにも、灰は すなに なるの?
4. 灰を約1,000℃で焼いて、人工砂にする
4. 焼成による人工砂とスラグ:灰を「無害化」して使う
東京23区には、灰を つかった 人工の すなを つくる しごとも あります。やり方は、こうです。
まず、灰を やく 1000どで 焼成します。そうして、あんぜんに した あと、こまかく くだいて、つぶに します。そうして できた ものが、人工の すなです。
ほかにも、灰を とかして かためた スラグ という ものも あります。
ごみの 灰が、うめられる だけで なく、つぎの ざいりょうの もとに なるのです。
灰の行き先は、セメントだけではありません。東京23区の清掃一部事務組合は、灰を約1,000℃で焼成して無害化したあと、粉砕・造粒して人工砂(焼成砂)を作る事業を紹介しています[4]。
焼く、砕く、粒にそろえる。三つの手順を踏んで、灰は砂のような粒に姿を変えます。また、灰を溶かして固めたスラグ(溶融スラグ)も、国立環境研究所の解説に、焼却で生じるものの一つとして出てきます[1]。
こうして見ると、灰の行き先は、埋め立てかリサイクルかの二つに分かれるのではなく、「どんな手順で、何に変えるか」によって、細かく枝分かれしていることが分かります。
では、この灰の中に、もっと価値のあるものは入っていないのでしょうか。
セメント原料化のほかに、灰を砂状の材料にする道もある。東京23区の事業では、灰を約1,000℃で焼成して無害化したのち、粉砕・造粒して人工砂(焼成砂)を製造する[4]。灰を一度高温で処理し、その後に砕いて粒をそろえることで、骨材のような使い方が想定される形になる、と読める。ただし用途の詳細は、今回の資料では示されていない。
国立環境研究所の解説は、焼却により生じる生成物として、主灰・飛灰と並べて溶融スラグを挙げている[1]。溶融スラグは、名前のとおり灰を溶融して固めたものと考えられる。東京23区の報告書が「溶融処理できない焼却灰」を主灰・飛灰の埋め立て対象としているのは、溶融という道が別にあるためだと読める[6]。
以上から、焼却灰の道筋は、埋め立て、セメント原料、焼成砂、溶融スラグと、複数ある。どの道に進むかは、灰の性質と、各自治体が整えた設備による。
残る問いは、灰の中の成分に、取り出す価値のあるものが含まれていないかである。
5. 灰の 中の きんぞくを とり出す ことも できるの?
5. 灰の中の貴金属を取り出す動き
5. 主灰から貴金属を回収する技術:ヨーロッパでの利用と日本への示唆
ヨーロッパでは、しゅばいの 中から、ねうちの 高い きんぞくを 多く ふくむ つぶを えらんで あつめる ぎじゅつが、つかわれて いると しょうかいされて います。
日本でも、この ぎじゅつを つかって、灰から きんぞくを とり出せるかどうかを 考える 記事が、国の けんきゅう所から 出て います。
これは、これからの はなしで、いまは まだ、灰の 行き先として 大きく ひろがって いるわけでは ありません。
灰を ただの のこりものと 見るか、つかえる ものを ふくんだ ざいりょうと 見るかで、行き先は かわって いきます。
国立環境研究所の解説によると、ヨーロッパでは、貴金属を高い濃度で含む灰の粒を選び出して回収する技術が使われている、と紹介されています[2]。粒の重さ(比重)のちがいなどを使って、選り分ける考え方です。
同じ解説は、日本の焼却主灰からも貴金属や有害な金属を回収できる可能性を検討する、という立場で書かれています。ただし、日本でどこまで実用化されているかは、この資料からは分かりません。
ここまで見てきた灰の道は、「埋め立てる」「セメントや砂に変える」「中の金属を取り出す」と、考え方が少しずつ違います。灰を、捨てる物と見るか、資源の入れ物と見るかで、同じ灰の行き先が変わっていきます。
ヨーロッパでは、貴金属を高濃度で含む灰粒子を選別して回収する技術が使われている、と国立環境研究所の解説は紹介している[2]。選別の原理の詳細は、今回の資料からは読み取れず、高比重の粒子を対象にするという記述が見られる程度である。
日本の焼却主灰に同様の回収が当てはまるかどうかが、この解説の主題で、題名にも「可能性」とある。したがって、日本で貴金属回収がすでに広く行われているとは言えない。確かなのは、検討が進んでいること、海外に先行例があることまでである。
ここまでの道筋を並べると、灰の扱いには三つの発想がある。埋め立てる(隔離する)、別の物に変える(原料・砂)、中身を取り出す(金属回収)。どの発想も、灰を「ごみの終点」ではなく、成分を持つ物質として扱う点で共通する。
東京23区が2025年度に77,295トンをセメント原料にした事例は[4]、二つ目の発想が、すでに一定の規模に達していることを示す。
6. じぶんの 町の 灰の 行き先を しらべて みよう
6. 自分の町の灰の行き先を調べる
6. 自治体の資料で、灰の行き先の内訳を確かめる
おうちで できる こと
おうちの 人と いっしょに、住んで いる 町の ホームページを ひらいて、「ごみ」の ページを 見て みましょう。清掃工場の ページに、灰の 行き先が 書いて ある ことが あります。うめて いるのか、セメントの 原料に して いるのかが、町に よって ちがうかもしれません。
計算して みよう
77,295トンを 10トンで わると、やく 7,700台です。10トンの トラックが 何台も ならぶ ところを そうぞうして みましょう。
町のページで探す
自分の住む市や区のホームページで、「ごみ処理」「焼却灰」「最終処分場」などの言葉を探してみてください。灰を埋めているのか、セメントなどに資源化しているのかは、自治体によって違います。
数字を計算してみる
見つけた灰の量を、10トン車の台数に直してみると、規模がつかみやすくなります。77,295トンなら約7,700台です。計算に使う車の大きさは、自分で決めた仮定だということも書き添えると、後で見返したときに分かります。
資料を読むなら
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター「ごみの組成から焼却灰の化学性状を予測する」. https://www-cycle.nies.go.jp/magazine/genba/201506.html (焼却で主灰・飛灰・溶融スラグができること)
- 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター「一般廃棄物焼却主灰からの貴金属・有害金属回収の可能性」. https://www-cycle.nies.go.jp/magazine/mame/201903.html (リサイクルの割合/貴金属回収技術)
- 明石市「第3次最終処分場」. https://www.city.akashi.lg.jp/kankyou/clean_cen/kurashi/gomi/shisetsu/shobunjou.html (遮水シートの二重敷設)
- 東京二十三区清掃一部事務組合「焼却灰の資源化事業について」. https://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kanri/haiki/kumiai/oshirase/sementogenryouka.html (セメント原料化の開始年度と量/人工砂の製法)
- 東京都 多摩地域廃棄物広域資源循環組合「エコセメント事業」. https://www.tama-junkankumiai.com/eco_cement (焼却残さのセメント原料化)
- 東京二十三区清掃一部事務組合「ごみ焼却灰の処理及びそれに伴う資源の有効利用等について 検討報告書(資料1)」. https://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kikaku/kikaku/kumiai/kekaku/kihon/documents/shiryo3-1.pdf (主灰・飛灰の埋め立てまでの扱い)
- 北海道大学 学位論文(坂倉宏史)要旨. https://www.lib.hokudai.ac.jp/gakui/1999/5159_sakanakura.pdf (集じん灰の中間処理の義務化と薬剤処理)
- 川口市 資料(3-2). https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/96/3-2.pdf (セメント原料化の前処理)
- 環境省 報道発表資料「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)」. https://www.env.go.jp/press/109290-print.html (最終処分場の残余容量・残余年数)
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