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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

話せない あかちゃんは、いつから ことばの いみが わかるの?

話せない赤ちゃんは、いつから言葉の意味が分かっているのか

話す前の赤ちゃんは言葉の意味をいつ分かるのか:視線を測る実験から読み取れること

分野:からだ

まだ 1ことも 話せない、うまれて 6か月の あかちゃんが、「ママ」と 声を 聞くと、お母さんの ほうを 先に 見る。そんな 研究けんきゅうの ほうこくが あります。しゃべれない あかちゃんの「わかる」を、どうやって しらべたのでしょう。

この きじでは、あかちゃんの 目の 動きを つかった 実験じっけんから、ことばの いみが 6か月ごろに はじまっているらしい ことと、まだ わかっていない ことが わかります。

まだ一言も話せない生後6か月の赤ちゃんが、「ママ」と聞くと、お母さんの映像を先に見る。しかも、見知らぬ赤ちゃんの母親の映像では、同じ偏りは出なかったそうです。1999年に、そんな実験の結果が報告されました。それまでは、言葉の理解が始まるのは9か月以降だろうと考えられていたそうです。話せない赤ちゃんの「分かる」を、研究者はどうやって知るのでしょうか。

この記事では、視線を測る実験をたどりながら、6か月ごろの赤ちゃんが言葉をどのくらい分かっていそうか、そして研究者にも理由が分からないことが何かが分かります。

生後6か月の赤ちゃんは、まだ一言も発しない。それでも、並んだ2つの動画のうち「ママ」と呼ばれたほうの親を、偶然より多く先に見る。1999年の報告は、言葉の理解が始まる時期の推定を、それまでの9か月以降から引き下げた。話せない乳児の「理解」は、そもそもどう測られ、どこまで言えるのか。

この記事では、視線を指標にした実験の工夫、「ママ」「パパ」と食べ物・体の部位の名詞での結果、6か月児の語の意味が大まかである可能性、家庭での言葉の聞こえ方との関連、そして14か月ごろまで成績が平らな理由が分かっていないことが分かる。

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1. しゃべれない あかちゃんに、どうやって「わかる?」と ききますか

1. まだ話せない赤ちゃんに、どうやって「分かる?」と聞くのか

1. 話せない赤ちゃんの「分かる」は、視線でどう測られるのか

あかちゃんは、うまれて 1年ぐらい たつまで、ほとんど 話しません。それなら、ことばの いみが わかるように なるのも、話せるように なってからでしょうか。

そうでは ないかもしれない、という 研究けんきゅうが あります。あかちゃんは「わかったよ」と 言えません。そこで 研究する 人は、あかちゃんが どこを 見るかを しらべます。

画面に 絵を 2まい ならべて、「りんごを 見て」と 声を 聞かせます。そして、どちらを 長く 見るかを はかります。名前を 言われた ほうを 長く 見れば、その ことばと 絵が つながっているかも しれない、と 考えるのです。

お母さんや お父さんが あかちゃんを だっこして いっしょに 参加さんかする ことも あります。その ときは、親は 画面が 見えない ようにして、ヘッドホンで 声を 聞きます。親の 顔つきで 答えが つたわって しまわない ための くふうです[5]。

では、あかちゃんが いちばん はじめに 意味を つかまえる ことばは、なんでしょう。

赤ちゃんは、1歳ごろまでほとんど言葉を話しません。だからといって、言葉の意味が分かっていないとは限りません。ただし、本人に「分かった?」と聞くことはできません。そこで研究者は、赤ちゃんが何を見るかで答えてもらいます。

画面に絵を2枚並べ、「りんごを見て」のように片方の名前を聞かせて、どちらを長く見るかを測ります。名前を呼ばれた絵を、呼ばれないときより長く見るなら、その言葉と絵が結びついている手がかりになります。

この方法には落とし穴があります。赤ちゃんが、もともと好きな絵を見ているだけかもしれません。2012年のペンシルベニア大学の実験では、それぞれの絵が「呼ばれないとき」にどのくらい見られやすいかを測っておき、その分を差し引いて比べました。また、親は赤ちゃんを抱いて参加しますが、画面が見えない覆いをつけ、ヘッドホンから聞いた指示を赤ちゃんに伝えます。親の表情で赤ちゃんが答えを察してしまうのを避けるためです[5]。

こうして、見る場所という赤ちゃんなりの「答え」が、集められます。では、最初に意味と結びつくのは、どんな言葉なのでしょうか。

乳児に「分かるか」と尋ねることはできないため、研究者は選好注視の考え方を使う。2つの絵を並べて片方の名前を聞かせ、どちらを長く見るかを記録する。名前を呼ばれた絵への視線が偶然以上に偏れば、語と物の結びつきを示す手がかりになる。

ただし視線の偏りには、もともと目を引く絵を見ているだけという疑いがつきまとう。2012年のペンシルベニア大学の実験は、そこに手を打った。各絵が「呼ばれていないとき」にどれだけ見られやすいかを別に測り、その分を差し引いて比べている。さらに、親が子の反応を無意識に誘導する可能性にも備えた。親は画面が見えないバイザーをつけ、ヘッドホンで聞いた「〇〇を見て」という指示を子に伝える。親の表情から答えが漏れないようにするためである[5]。

とはいえ、この方法が測っているのは視線であり、「意味を分かっている」ことそのものではない。『理解』は視線の偏りからの推定だという前提は、以下の結果を読むときも忘れないでおきたい。では、最初にこの方法で理解が確かめられたのは、どんな語だったのか。

2. 6か月の あかちゃんは、「ママ」と 聞いて だれを 見るの?

2. 6か月の赤ちゃんは「ママ」と聞いて、だれを見るのか

2. 「ママ」「パパ」は、6か月児にとって「自分の親」を指すのか

まず、「名前」の 話です。生後 4か月半の あかちゃん 24人は、自分の 名前と、リズムの 同じ ほかの 名前を くらべて、自分の 名前の ほうを 長く 聞きました[1]。これは 名前の 音を おぼえはじめている しるしです。いみが わかった、という ことでは ありません。

いみの ほうは、1999年の 研究です。生後 6か月の あかちゃんに、お父さんと お母さんが ならんだ 2つの どうがを 見せながら「ママ」「パパ」と 聞かせました。すると、よばれた ほうの 親を 先に 見る ことが、ぐうぜんより 多かったのです[2]。

もう 1つ、おもしろい 実験じっけんが あります。よその あかちゃんの 両親の どうがを 見せたら、この かたよりは 出ませんでした[3]。6か月の あかちゃんにとって「ママ」は、女の人ならだれでも、ではなくて、自分の お母さんと むすびついて いたように 見えます。

次は、ママと パパの ほかの ことばです。

まず、自分の名前です。ニューヨーク州立大学バッファロー校の1994年の発表によると、生後4か月半の赤ちゃん24人は、自分の名前を、リズムやイントネーションが同じ別の名前より長く聞きました[1]。名前の音の並びを覚え始めているしるしですが、これは音の認識で、意味が分かった証拠とは言えません。

意味の側の最初の手がかりは、1999年に出ました。ティンコフとユシチクは、生後6か月の赤ちゃんに、両親が並んだ2つの動画を見せながら「ママ」「パパ」と聞かせました。すると、呼ばれたほうの親を先に見る傾向が、偶然より多く出たのです。実験は24人ずつの2グループで行われています。それまで、理解の始まりは9か月以降と推定されていました[2]。

ここで工夫されているのが、2つ目の実験です。同じことを、別の赤ちゃんの両親の動画でやると、偏りは出ませんでした[3]。6か月児にとって、この2語は「女の人・男の人なら誰でも」ではなく、「自分の親」と結びついていた可能性を示す結果です。ユシチクは「6か月までに、この2語は誰にでも使う言葉ではなくなる」と述べました[2]。

では、ママとパパのように毎日呼ばれる特別な言葉だけが分かるのでしょうか。それとも、ふつうの物の名前も分かるのでしょうか。

理解の手がかりのうち、最初に単純な音の認識が現れる。バッファロー大学の1994年の発表によれば、生後4か月半の乳児24人は、自分の名前を、リズムとイントネーションが同じ別の名前より長く聞いた[1]。これは名前の音の並びを覚え始めている目安だが、語の指すものを分かっていることの証拠ではなく、あくまで音の認識である。

意味の理解が確認されたのは、1999年のティンコフとユシチクの実験である。生後6か月児に、両親が並んだ2つの動画を見せながら「ママ」「パパ」と聞かせたところ、呼ばれたほうの親を先に見る傾向が偶然より多く出た(24人ずつの2グループ)。それまでの推定では、理解の始まりは9か月以降だった[2]。

決め手になったのは、2つ目の実験である。別の赤ちゃんの両親の動画では、この偏りが消えた[3]。もし6か月児が「ママ=成人女性一般」と捉えているなら、見知らぬ母親にも反応するはずなので、この結果は、2語が「自分の親」という特定の人と結びついていたことを示唆する。ただし示唆であり、赤ちゃんが「母親」という概念を持っていると断定できる材料ではない。

この2語は毎日何度も呼ばれる、いわば特別な語だ。では、そうでない、ふつうの物の名前はどうなのか。

3. りんごや はなの 名前も、6か月で わかるの?

3. 食べ物や体の名前も、6か月で分かっていそうなのか

3. 食べ物や体の部位の名詞でも、6〜9か月児の視線は偏るのか

2012年、アメリカの ペンシルベニア大学の 研究チームは、生後 6〜9か月の あかちゃん 33人に、りんごや 鼻のような 食べ物と 体の ぶぶんの ことばを 聞かせて、画面の 2まいの 絵の どちらを 見るか しらべました[4]。

あかちゃんは、名前を 言われた ほうの 絵を 長く 見ました。6〜7か月の 子と、8〜9か月の 子の あいだで、せいせきに さは ありませんでした。くらべるために、10〜20か月の 子 50人にも おなじ 検査けんさを しています[4]。

研究チームは「6か月の あかちゃんも、ふだんの ことばの いみを たくさん わかっているようだ」と 考えました。ほかの 研究けんきゅう者も、手や 足のような 体の ぶぶんを あらわす ことばは 6か月の 子が わかると つたえて います[8]。

ただし これは 見る 場所からの すいそくです。話したり、ゆびさしたり して たしかめた わけでは ありません。

では、その「わかる」は、大人の 「わかる」と おなじ くらい はっきり しているのでしょうか。

2012年、ペンシルベニア大学のバーゲルソンとスウィングリーは、生後6〜9か月の赤ちゃん33人に、リンゴや鼻など、食べ物と体の部位の名前を聞かせ、2つの絵のどちらを見るかを測りました[4]。

結果は、名前を呼ばれた絵を長く見るというものでした。6〜7か月と8〜9か月で成績に差はなく、月齢が上がっても、この範囲では伸びが見えなかったことになります。比べるために、10〜20か月の50人も同じ検査を受けています[4]。

研究者は、6か月の赤ちゃんでも、よく出会う名詞の意味をかなり分かっているように見える、と述べています[4]。体の部位を指す語(手や足)についても、6か月児が理解するという報告があります[8]。一般に、理解のほうが話すことより先に進むとされています。

ただし「理解している」は、視線から推定した言い方です。言葉を話すことや指さしで確かめたわけではありません。そして、この「分かる」がどれくらい細かいのかも、別の実験が問うています。

ママとパパ以外にも広げて確かめたのが、2012年のバーゲルソンとスウィングリー(ペンシルベニア大学、PNAS)である。生後6〜9か月の33人に、リンゴや鼻など食べ物・体の部位の名詞を聞かせ、2つの絵への視線を測った。比較用に、10〜20か月の50人にも同じ検査を行っている[4][5]。

結果は、名前を呼ばれた絵を長く見るというもので、6〜7か月と8〜9か月に成績の差はなかった。つまり6か月の時点で、すでに日常の具体的な名詞の意味と結びつき始めているように見える。研究者はこれを、話し始めるずっと前に意味の理解があることを示すものとして位置づけた[4]。同様に、手・足など体の部位の語が6か月児に理解されるという報告もあり、一般に、理解は話すことに先行するとされる[8]。

ここで限界を確認しておく。測っているのは視線であり、言葉を話すことや指さしで確かめた理解ではない。また題材は、食べ物や体の部位のような、目の前にある具体的な物の名詞に限られる。では、この「分かる」は、大人の分かるのと同じくらい細かく区別できているのか。

4. 「ほにゅうびん」と「スプーン」は、同じ ように 見えるの?

4. 6か月の「意味」はまだ大まかで、似た物は区別しにくいのか

4. 6か月児の語の意味は大まかで、近い物どうしが混ざるのか

2017年の 研究では、生後 6か月の あかちゃん 51人に、2まいの 絵を 見せました。「ほにゅうびん」と「鼻」のように、ぜんぜん ちがう 2つの 絵なら、あかちゃんは 名前を 言われた ほうを 長く 見ました[6]。

ところが、「ほにゅうびん」と「スプーン」や、「ジュース」と「ぎゅうにゅう」のように、にている 2つの 絵だと、どちらも おなじ くらい 見ました[6]。

この 実験じっけんの 見え方では、6か月の あかちゃんの ことばの いみは、まだ おおざっぱなのかもしれません。たとえば「口に 入れる もの」という ぐらいの わけ方で、「ほにゅうびん」と「スプーン」は ちかい なかまに 見えているのかもしれません。ただし これは ひとつの 実験じっけんの 見え方で、「くべつ できない」と 言い切る ことは できません。

そう 考えると、ひとつ 気に なります。あかちゃんの ことばの わかり方は、家で 聞く ことばに えいきょうされるのでしょうか。

2017年、バーゲルソンとアスリンは、生後6か月の51人で、もう一歩踏みこんだ実験をしました。哺乳びんと鼻のように関係の遠い2枚なら、赤ちゃんは名前を呼ばれた絵を長く見ました。ところが、哺乳びんとスプーンや、ジュースと牛乳のように関係の近い2枚では、両方を同じくらい見たのです[6]。

この結果から、研究者は、6か月児の語の意味はまだ大まかで、語どうしの近さに左右されると解釈しました。「哺乳びん」と聞いて「口に入れる、食事の道具」くらいのまとまりを思い浮かべていれば、スプーンとの区別は難しくなるかもしれません。ただしこれはこの実験での見え方で、6か月児は近い物を区別できない、と言い切れるわけではありません[6]。

それなら、意味の細かさは、いつ、何によって変わっていくのでしょう。次は、赤ちゃんが毎日聞いている言葉に目を向けます。

2017年のバーゲルソンとアスリン(PNAS)は、生後6か月の51人で理解の細かさを調べた。哺乳びんと鼻のように意味の遠い2枚では、名前を呼ばれた絵を長く見る。しかし哺乳びんとスプーン、ジュースと牛乳のように意味の近い2枚では、両方を同じくらい見たと報告されている[6]。

ここから、6か月児の語の意味はまだ大まかで、語どうしの意味の近さが成績に影響する、という解釈が出る。例えば「哺乳びん」を「口に入れる、食事に関わる物」くらいの粗いまとまりで捉えているなら、スプーンとの区別がつきにくくなる。ただし、これはあくまでこの実験の見え方である。「区別できない」ではなく、この条件では差が出なかった、と書くのが適切だ[6]。

なお、この結果からは、語の意味の細かさが月齢とともにどう変わるかは分からない。それは別の問いとして残る。では、意味の細かさに差を生むものは何か。研究者は、赤ちゃんが実際に聞いている家庭での言葉との関係も調べた。

5. 家で ものの 名前を たくさん 聞く 子ほど、よく わかるの?

5. 家で物の名前を聞く量と、理解の成績は関係があるのか

5. 家庭での語りかけと、6か月児の理解の成績に関連はあったのか

2017年の 研究では、あかちゃんの 家での 1日分の 声を ろくおんして、小さな カメラでも とりました。そして、お父さんや お母さんが「その ばに ある 物」の 名前を 言う わりあいを しらべました[7]。

すると、その わりあいが 多い 家の 6か月の あかちゃんほど、研究室での ことばの テストの せいせきが よい ことが 多かったのです[7]。

ここで 気を つけたい ことが あります。これは「つながりが ある」という 話で、「たくさん 話しかければ ことばが のびる」と わかった わけでは ありません。研究者も、親に アドバイスを するには まだ 早い、と 言って います[7]。

あかちゃんが 毎日 聞く ことばは、ごはんや おふろの 場面で、目の前の 物を 指して 言う ものが 多いのかもしれません。その あとの 時期は、どうなっていくのでしょう。

この2017年の研究では、赤ちゃんの家での様子も調べられました。1日分の音声録音と小型カメラで記録し、親が「実際にその場にある物」の名前を言う割合を測ったのです[7]。

その割合が高い家庭の6か月児ほど、実験室での言葉の理解の成績が良い傾向がありました[7]。目の前の物の名前が、見ながら聞こえることが、手がかりになっているのかもしれません。

ただし、ここから言えるのは「関連がある」までです。物の名前をたくさん聞かせれば成績が伸びる、という因果は、この研究では示されていません。研究者自身も、親に助言を出すのは早すぎる、と述べています[7]。

では、月齢が上がると、成績はどう変わっていくのでしょうか。

2017年の研究は、実験室の成績だけでなく、家庭での言語入力との関連も調べた。1日分の音声録音と小型カメラで記録し、親が「その場に実際にある物」を話題にして名前を言った時間の割合を算出した。その割合が高い家庭の6か月児ほど、実験室での語の理解の成績が良い傾向があった[7]。

この結果の読み方には注意がいる。示されたのは相関であり、因果ではない。話しかけを増やせば成績が上がる、とは言えない。家庭の違いと、赤ちゃんの注意の向け方や気質など、別の要因が両方に関わる可能性も残る。研究者自身が、親へ助言を出すには早すぎると述べている[7]。

では、意味の理解は、月齢とともに一直線に伸びていくのか。同じ研究者たちが検査の結果に見たのは、意外な形だった。

6. 14か月ごろまで、せいせきが のびないのは なぜ?

6. 6か月から14か月ごろまで成績が伸びないのは、なぜなのか

6. 6か月から14か月ごろまで成績が平らなのは、本当に理解が増えないからか

2012年の 研究では、6か月から 14か月ごろまで、この テストで 見えた せいせきは ほとんど かわらず、14か月ごろに きゅうに 上がりました。研究者の スウィングリーさんは、なぜ 平らな ままなのか わかっていない、と 話しています[5]。

理由として、考えられる ことが いくつか あげられています。テストを あそびだと わかる 力、音を 聞きわける 力、ぶんぽうの わかり方などです[5]。たとえば、テストを あそびだと わからないと、絵を 見て くれなくて、せいせきに 出にくいのかもしれません。

注意したいのは、「14か月まで わかる ことばが ふえない」とは 言えない ことです。実験じっけんで 見えにくい だけの かもしれません。

もう1つ、のこされた 問いが あります。「あ、おっと」や「なくなった」のような、場面で 意味が かわる ことばは、あかちゃんに とって むずかしいと 研究者は 見ています。今回 とりあげた ことばは、食べ物や 体のような 目の前の 物ばかり でした。つぎに しらべる ことと されて います[4]。

わかる ほうが 話すより 先に すすむ といわれます。12か月で わかる ことばは 多くて 50ごろ という めやすも ありますが、ひとりずつ とても ちがうそうです[8]。

2012年の実験では、6か月から14か月ごろまで、この検査で見えた成績はほぼ平らで、14か月ごろに急に上がりました。研究者のスウィングリーは、平らなままの理由は分かっていない、と述べています。候補として、課題を遊びとして理解する力、音の聞き分け、文法の理解などが挙げられました[5]。たとえば課題を遊びだと分かっていない赤ちゃんは、絵を見てくれず、理解があっても成績に出にくいかもしれません。

注意したいのは、14か月まで理解が増えない、とは言えない点です。実験で見えにくいだけかもしれません。この検査が測れるのは、検査という場面で視線に出る分だけです。

もう一つ、残された問いがあります。この研究で扱ったのは、食べ物や体の部位のように、目の前にある具体的な物の名前です。「あ、おっと」や「なくなった」のように、場面によって意味が変わる言葉は、赤ちゃんにとって学びにくいと、バーゲルソンは見ています。これは次の研究課題とされました[4]。

一般に、理解は話すより先に進むとされ、12か月で理解できる語は多くても約50語、という目安も紹介されます。ただし個人差が大きく、標準の数ではありません[8]。

2012年の研究では、6か月から約14か月まで、この検査で見えた成績がほぼ平らで、14か月ごろに急に上がった。研究者のスウィングリーは、なぜこれほど長く平らなのか分からないと述べる。候補として、課題を遊びとして捉える力、音の聞き分け、文法の理解などが挙がっている[5]。例えば課題を遊びと捉えられない乳児は絵を見ないので、理解があっても成績に表れにくい、という筋道が考えられる。

この「平ら」を、14か月まで理解が増えないことと読むのは早計だ。この検査は、検査場面で視線に表れた分しか拾えない。実際の理解は伸びているのに、課題の側が見えなくしている可能性がある。つまり、この結果の解釈は「理解が止まっている」ではなく「この方法では伸びが見えない」と書くほうが、根拠に合う。

もう一つの限界は語の種類にある。この研究が扱ったのは、食べ物や体の部位のような、目の前の具体物の名詞だった。「あ、おっと」や「なくなった」のように、使われる場面ごとに意味が変わる語は、赤ちゃんにとって学びにくいとバーゲルソンは見ており、次の研究課題とされた[4]。

なお、理解が産出に先行し、12か月で理解できる語は最大約50語という目安も紹介される。ただし個人差が大きく、これは上限に近い目安であって標準値ではない(解説サイトの記述)[8]。日本語の赤ちゃんで同じ実験がどうなるかは、この記事の資料には含まれていない。

7. えほんで 名前を 聞くと、自分は どこを 見る?

7. 絵本で名前を聞くと、自分はどこを見るのか

7. 視線という「答え」を、日常でどう受け取るか

家に ある 絵本の、2つの 絵が 出ている ページを ひらいて みましょう。だれかに「りんごは どれ?」と 言って もらい、聞いた とき、自分の 目が どの 絵に 行くかを 気にして みます。

言われた 絵を すぐ 見つけられた ときは、研究の 画面の あかちゃんと すこし にています。ただし、これは 研究と おなじ 検査けんさでは ありません。自分の 目の うごきで、だれかが「わかる」「わからない」を 決める ものでも ありません。

見る 場所は、気分や 絵の すききらいでも かわります。あかちゃんを ためしたり、ほかの 子と くらべたり しないで ください。

もっと 知りたく なったら、日本語で 読める ものを、ページの 下の しりょうから さがして みてください。

家にある絵本の、絵が2つ以上並んだページを開いてみましょう。誰かに「りんごはどれ?」と言ってもらい、その声を聞いた瞬間、自分の視線がどの絵へ動くかを意識してみます。

赤ちゃんの実験では、名前を聞いた後の視線の動きが「答え」として記録されました。自分の目の動きを意識すると、その「答え」がどんなものか想像しやすくなります。ただし、これは研究と同じ検査ではなく、視線だけで誰かの理解を判定することもできません。見る場所は、気分や絵の好き嫌いでも変わります。赤ちゃんを試したり、ほかの子と比べたりするのは避けてください。

この記事は、大学の広報や報道、論文の要旨を材料にしています。細かい数値や統計は、原典の論文で確かめる必要があります。出典の一覧から、元の記事に進めます。

この領域の研究では、視線が唯一の窓口である。しかし視線の偏りは、好みや注意、検査場面への慣れでも変わる。結果を読むときは、①何を指標にしたか、②比べた相手は何か、③言えるのが相関か因果か、④どの種類の語を扱ったか、を毎回見たい。

この記事の数値は、公式の大学広報や報道、論文の要旨に基づく。論文本文の統計(有意差など)は扱っていないので、詳細は原典(Bergelson & Swingley 2012, PNAS 109(9); Bergelson & Aslin 2017, PNAS)に当たる必要がある。日本語の赤ちゃんでの月齢別の理解語数についても、この記事は数値を載せていない。

日常で試すなら、絵が複数並んだ絵本のページで、誰かに物の名前を言ってもらい、自分の視線がどこへ動くかを意識する程度にとどめたい。それは研究と同じ検査ではなく、他人や赤ちゃんの理解を判定するものでも、他の子との比較に使うものでもない。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の[ ]は下の番号に対応します。論文本文ではなく、大学の広報・報道・要旨を確認した内容です。

  1. University at Buffalo, News release (1994) on Mandel, Jusczyk & Pisoni. https://www.buffalo.edu/news/releases/1994/06/3135.html (4か月半児の自分の名前の認識)
  2. ScienceDaily (1999), Tincoff & Jusczyk の研究紹介. https://sciencedaily.com/releases/1999/02/990216135800.htm (6か月児の「ママ」「パパ」)
  3. Psychological Science 10(2), Tincoff & Jusczyk (1999), 要旨. https://www.psychologicalscience.org/journals/psychological-science/1467-9280.00127/ (見知らぬ親の動画での結果)
  4. Penn Today (2012) Penn study finds infants know more than you think. https://penntoday.upenn.edu/2012-02-16/latest-news/penn-study-finds-infants-know-more-you-think (6〜9か月児の名詞の理解、抽象的な語)
  5. ScienceDaily (2012), Penn release on Bergelson & Swingley, PNAS 109(9). https://www.sciencedaily.com/releases/2012/02/120213154057.htm (実験の工夫、14か月まで成績が平らな点)
  6. Science News (2017), Bergelson & Aslin, PNAS の報道. https://www.sciencenews.org/blog/growth-curve/babies-recognize-common-words-6-months (関係の遠い絵と近い絵)
  7. Neuroscience News (2017) 6か月児の語の理解と家庭の言葉の記事. https://neurosciencenews.com/baby-related-words-7991/ (家庭での語りかけとの関連)
  8. Before First Words, Universitat Pompeu Fabra. http://beforefirstwords.upf.edu/precursors-of-language/word-comprehension/ (理解が話すより先に進むこと、語数の目安)

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