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中高 いっかん校は あたらしい 学校なの?

中高一貫校は新しい学校なのか ── 100年前の七年制高校と、公立で「学力試験なし」が求められた理由

中高一貫教育の制度化 ── 1918年の七年制高校から、1999年の選択的導入と公立の学力試験なし条件まで

分野:歴史・文化

中学と 高校を つなげて 6年 まなぶ 学校は、じつは 100年 いじょう まえにも ありました。それなのに、1999年に 公立でも えらべるように なった ときには、「入学で 学力しけんを しない」という やくそくが つきました。

どうして つなげたいと 考えられたのでしょう。この 記事では、そのわけと、3つの 形、やくそくの 中みが 分かります。

中学と高校をつなげて6年間学ぶ学校は、100年以上前の旧制の時代にもありました。ところが1999年に公立でも選べるようになったとき、国会は「入学者を決めるのに学力試験をしない」ことを求めました。

新しい制度に見える中高一貫校は、どこから来て、なぜその条件がついたのでしょうか。昔の学校、1999年の法改正、3つの形、条件の中身が分かります。

公立の中高一貫教育は、1998年6月の学校教育法等の改正で、1999年4月から選択的に導入できるようになった[1]。ただし6年続けて学ぶ学校自体は新しくなく、旧制の1918年の高等学校令改正にまでさかのぼる[6]。

では、なぜ1990年代に「公立でも」となったのか。そして国会の附帯決議が、公立に学力試験を行わないことを求めたのはなぜか。旧制の七年制高校、1971年の中教審答申、1997年の第二次答申、現在の設置数が分かる。

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1. 6年 つづける 学校は、いつから あったの?

1. 6年つづけて学ぶ学校は、いつからあったのか

1. 旧制の七年制高校 ── 1918年の高等学校令改正

いまの 中高 いっかん校は、ここ 数十年で できた あたらしい 学校だと 思うかも しれません。でも、むかしの 学校にも、つなげて まなぶ しくみが ありました。

1918年に、高等学校の きまりが あらためられました。あたらしい しくみでは、7年間 まなぶ 高等学校が 中心に なりました。はじめの 4年が じんじょう科、あとの 3年が 高等科です[6]。

7年間の 高等学校のうち、国が つくる 学校で じんじょう科が あったのは、東京高等学校 だけでした。公立と しりつの 学校は、ぜんぶ じんじょう科を つけました[6]。

では、どうして 1999年に、また「つなげよう」という 話に なったのでしょう。

1918年にあった「7年の高校」

1918年(大正7年)の高等学校令の改正で、修業年限が7年の高等学校が制度の本体になりました。前半の4年が尋常科、後半の3年が高等科です[6]。学ぶ段階でいえば、中学にあたる部分から高校にあたる部分までを、一つの学校で教えていました。

七年制の高等学校のうち、国が設ける官立で尋常科を持つのは東京高等学校だけでした。一方、公立と私立の高等学校は、すべて尋常科を付設しています[6]。

6年や7年を続けて学ぶ発想は、1990年代の発明ではありません。では、なぜ1990年代の終わりに、公立でも選べるようにする話が出てきたのでしょうか。

1918年(大正7年)の高等学校令改正で、修業年限7年の高等学校が制度の本体となった。7年は尋常科4年と高等科3年に分かれ、七年制高校では、官立で尋常科を持つのは東京高等学校だけだったが、公立・私立はすべて尋常科を付設した[6]。学ぶ段階でいえば、中学にあたる部分から高校にあたる部分までを、一つの学校で通して教えていた。

したがって、6年や7年を通して学ぶ型は、1990年代に初めて現れたものではない。

では、なぜ1990年代に、公立でもこの型が検討されたのか。次章でその背景を見る。

2. どうして また「つなげたい」と 考えられたの?

2. なぜ「つなげたい」という声が出てきたのか

2. 高校の準義務教育化と入試 ── 1971年答申から1990年代へ

1960年ごろから、高校へ 行く 人が どんどん ふえました。高校は、多くの 人が 行く 学校に なったのです[8]。

そこで、中学校と 高校を つなげれば、高校に 入る しけんの えいきょうを うけずに まなべる、という 考えが 出て きました[3]。

1971年には、国の 会ぎが、中学校と 高等学校を つなげる 学校を ためしに つくる ことを、あげていました[5]。じっさいには、しりつの 学校や、国立大学の 学校で、つなげた 教育が おこなわれて きました[8]。

こうして 長く 話しあわれた あと、1990年代に、公立でも えらべるように する 話が すすみました。

高校へ行くのがふつうになった

1960年代以降、進学率が上がり、高校は準義務教育のようになっていったといわれます。そのなかで、中学と高校をつなげれば高校入試の影響を受けずに学べる、という利点が考えられるようになりました[3]。

1971年の答申と、私立・国立附属の実績

1971年(昭和46年)の中央教育審議会の答申は、学校体系の改革に関する先導的な試行の一つとして、「中学校と高等学校を一貫する学校の設置」を挙げていました[5]。

一方、中高一貫教育は、それまでも私立学校や国立大学附属学校で行われてきました[8]。後の制度は、この長い検討と、私立学校での実績を踏まえたものだと説明されています[4]。

1960年代以降の進学率の上昇で、高校は準義務教育化していった。そのなかで、中高を接続すれば高校入学者選抜の影響を受けずに学べる、という利点が挙げられるようになった[3]。

こうした流れのなかで、1971年(昭和46年)の中央教育審議会答申(四六答申)は、学校体系の改革に関する先導的試行として「中学校と高等学校を一貫する学校の設置等」を挙げた[5]。ところが実際に中高一貫教育を担ってきたのは、私立学校と国立大学附属学校だった[8]。1990年代の制度化は、この1971年以来の検討と私立学校での実績を踏まえたものと位置づけられる[4]。

3. 1999年に、なにが かわったの?

3. 1999年に、法律で何が変わったのか

3. 学校教育法等の一部改正 ── 中等教育学校の創設と「選択的」導入

1997年6月に、国の 会ぎが 答えを 出しました(第二次答申)。それを うけて、1998年6月に、学校の きまりを あらためる ほうりつが できました。1999年4月から、中高 いっかん教育を 「えらべる」ように なりました[1]。

ねらいは、せいとや ほごしゃが、6年間 つづく 学びも えらべるように する ことです。まなび方を いろいろに して いく ためです[1]。

ここで だいじなのは「えらべる」ところです。ぜんぶの 学校を いっかん校に する わけでは ありません。

そのとき、あたらしい 学校の しゅるいも できました。「中等教育学校」です。6年間で、前の 3年と あとの 3年に 分かれます[2]。

1997年の答申から、1999年の開始まで

中央教育審議会の第二次答申(1997年6月)を受けて、1998年6月に「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立しました。1999年4月から、中高一貫教育を選択的に導入できるようになりました[1]。

目的は、生徒や保護者が、6年間の一貫した教育課程と学習環境のもとで学ぶ機会も選べるようにして、中等教育の多様化を進めることでした[1]。

新しい学校の種類「中等教育学校」

法改正では、中等教育学校という学校の種類も作られました。修業年限は6年で、前期課程3年と後期課程3年に分かれます[2]。

ここでの「選択的」は、すべての中学・高校を一貫校にするのでなく、地域や学校が必要に応じて取り入れてよい、という意味で使われています。

1997年6月の中央教育審議会第二次答申を受け、1998年6月に「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立し、1999年4月から中高一貫教育を選択的に導入できるようになった[1]。導入の目的は、生徒や保護者が6年間の一貫した教育課程や学習環境のもとで学ぶ機会も選べるようにし、中等教育の一層の多様化を進めることにある[1]。

この改正で、中等教育学校が新しい学校種として設けられた。修業年限は6年で、前期課程3年・後期課程3年に分かれる[2]。「選択的」とは、全国一律に切り替えるのでなく、設置者が選んで導入できるという意味だ。

では、「選ぶ」形は一つだったのか。次章で、制度が用意した3つの形を見る。

4. 中高 いっかん校には、どんな 形が あるの?

4. 3つの形 ── 中等教育学校・併設型・連携型

4. 中高一貫教育校の3類型 ── 中等教育学校・併設型・連携型

形は 3つ あります[1]。

1つめは「中等教育学校」。1つの 学校として、6年間を いっしょに おしえます。

2つめは「へいせつがた」。おなじ 人や 会社が 作った 中学校と 高校が、高校の 入学しけんを せずに つながります。

3つめは「れんけいがた」。べつべつの 人や だんたいが 作った 中学校と 高校でも、教える 内ようや こうりゅうで、つながります。

自分の 町の 学校は、どの 形なのでしょう。のちほど 調べ方を 書きます。

そのまえに、公立には ある やくそくが ついた ことを 見て みましょう。

一つの学校か、つながる2校か

中等教育学校は、一つの学校として、6年間を一体的に教えます。併設型は、同じ設置者の中学校と高校を、高校入試をせずにつなぎます。連携型は、設置者がちがう中学校と高校でも、教育課程や交流を通じて連携する形です[1]。

名前は似ていますが、つなぎ方がちがいます。身近な学校がどの形かは、学校や教育委員会の紹介で調べられます。

中高一貫校を広げるとき、国は「入学の決め方」にも条件をつけました。その中身を次章で見ます。

制度が用意した形は3つある。中等教育学校は一つの学校として一体的に中高一貫教育を行うもの、併設型は高等学校入学者選抜を行わずに同一の設置者による中学校と高等学校を接続するもの、連携型は異なる設置者の間でも実施できる形態である[1]。

この3類型は、「学校をひとつにする」ものから「別々の学校が教育課程や交流で連携する」ものまで幅がある。そのため、同じ「中高一貫」でも、実際の仕組みは設置者や地域で異なる。

次に、制度を公立に広げる際に、国会が条件をつけた理由を見る。

5. 公立には、どうして「しけんを しない」と いう やくそくが ついたの?

5. 公立の入学で「学力試験をしない」ことが求められた理由

5. 附帯決議と中教審答申 ── 利点・課題・条件の対応

中高 いっかん校には、いい ところが 考えられました。国の 会ぎは、高校の 入学しけんの えいきょうを うけず、ゆとりの ある 学校生活が おくれる ことを あげました[3]。

6年間を 見とおして、けいかくてきに おしえられる こと、ながく 子どもを 見て、その 子らしさを のばせる ことも あげました[3]。

いっぽうで、しんぱいも ありました。おなじ なかまが 長いあいだ かわらないと、学校に なじめない 子が 出るかも しれません[3]。

そこで、国会は 公立の 学校には、入学する 人を 決める とき、学力しけんを しない ことを もとめました。「じゅけんの エリート校に なっては いけない」という ねがいも ありました[2]。

ただし、しけんを しない ことと、入りやすい ことは べつの 話です。入学者を どう 決めるかは、学校ごとの あんないで 見られます。

期待された利点

1997年の中央教育審議会の答申は、中高一貫教育の利点として、高校入試の影響を受けずにゆとりある安定した学校生活を送れること、6年間を見通して計画的・継続的に指導できること、6年間生徒を継続して見ることで個性を伸ばしやすいこと、異なる年齢の生徒がいっしょに活動して社会性が育つことを挙げました[3]。

同じ答申が挙げた心配

一方で、答申は心配も挙げました。受験競争が低年齢化しないよう、公立では学力試験をしないこと。生徒の集団が長期間同じメンバーで固定され、学習環境になじめない生徒が出ないようにすること、です[3]。

国会の附帯決議と、「選択的」の理由

法改正にあたっては、国会の附帯決議でも、中高一貫校がいわゆる「受験エリート校」になってはならないこと、公立学校では入学者の決定に学力試験を行わないことが求められました[2]。

制度が「選択的」とされた理由の一つには、同じメンバーが長く固定され、合わない生徒が出るおそれなどがあるためと説明されています[4]。ただし、理由を一つだけとは言い切れません。

なお、学力試験をしないことと、入りやすいかどうかは同じではありません。入学者の決め方の細かい規則は、学校や自治体の案内で確かめられます。

1997年の第二次答申は、中高一貫教育の利点として、高校入学者選抜の影響を受けない「ゆとり」ある安定的な学校生活、6年間の計画的・継続的な教育指導、継続して生徒を見ることによる個性の伸長、異年齢集団の活動による社会性の育成を挙げた[3]。

ところが同じ答申は、課題も明記した。受験競争の低年齢化を招かないよう、公立では学力試験を行わないこと。また、生徒集団が長期間同一メンバーで固定され、学習環境になじめない生徒が生じないようにすることである[3]。1998年の法改正にあたっての国会の附帯決議も、中高一貫校が「受験エリート校」化しないこと、公立では入学者の決定に学力試験を行わないことを求めた[2]。

制度が「選択的」にとどまったことについて、文部科学省の資料は、集団が固定されることで合わない生徒が出るおそれなどを挙げる[4]。理由が一つとは限らない。また、学力試験を行わないことは、入学のしやすさを直接に示すものではない。入学者の決定方法の実際は、各校・自治体の募集要項で確認する必要がある。

6. いま、中高 いっかん校は どれくらい あるの?

6. 中高一貫教育校は、いまどれくらいあるのか

6. 設置数の推移 ── 2016年度の595校から、2022年の673校へ

2016年度には、全国で 595校 ありました。中等教育学校が 52校、へいせつがたが 461校、れんけいがたが 82校です[7]。

べつの しりょうでは、2022年5月に、こくりつ・こうりつ・しりつ あわせて 673校と されています[7]。

年が ちがう 数なので、くらべる ときは 気を つけましょう。1999年に はじまった しくみが、その後 ひろがりました。

2016年度は、全国で595校(中等教育学校52校、併設型461校、連携型82校)でした[7]。別の資料では、2022年5月現在、国公私立を合わせて673校とされています[7]。

年度や数え方がちがう数字なので、増減の細かい比較はできません。ただ、1999年の制度開始のあと、設置が広がってきたことは読み取れます。内訳を見ると、2016年度は併設型が461校で、3つの形のうち最も多くなっています。

設置数は、2016年度に595校(中等教育学校52・併設型461・連携型82)である[7]。別資料では、2022年5月現在で国公私立合わせて673校とされる[7]。

年度と区分が異なるため、増減の厳密な比較はしない。ただし、2016年度は併設型が461校で、3類型のうち最も多い。595校の約77%にあたる(461÷595、小数第1位を四捨五入)。

7. 自分の 町の 学校を 調べて みよう

7. 自分の町の中高一貫校を調べてみよう

7. 出口 ── 近くの学校の「形」と、一次資料の読みどころ

おうちの 人と、近くに 中高 いっかん校が あるか 調べて みましょう。学校の 名前を 本や ネットで 調べます。

学校の しょうかいの ページに、中等教育学校、へいせつがた、れんけいがたの どれか 書かれて いる ことが あります。

見つかったら、「どうして この 形なのかな」と 考えて みましょう。1つの 学校に なっているか、2つの 学校が つながって いるか、見ると 分かります。

この 記事で つかった しりょうは、いちばん 下に まとめて あります。

近くの中高一貫校を調べて、どの形にあたるか見てみましょう。学校の紹介ページには、中等教育学校、併設型、連携型のどれかが書かれていることがあります。

形を確かめたら、次の2つを比べてみてください。1つの学校としてつながっているのか、それぞれの学校が連携しているのか。そして、入学者をどう決めているのか。この記事の第5章で見た「学力試験をしない」という条件と、見比べると分かることがあります。

この記事は受験をすすめるものではありません。学校の制度がどう生まれたかを知る入口として使ってください。

近くの中高一貫校がどの類型か、学校や自治体の案内で確認してみよう。もう一つの調べ方は、制度を説明する資料を読むことだ。文部科学省の「中高一貫教育制度の概要」は3類型と導入目的を、「学校教育法等の一部改正の概要」は附帯決議の趣旨を、中央教育審議会第二次答申は利点と課題を、それぞれ示す。

読むときは、利点と課題がどの資料のどの記述かを分けてメモするとよい。本稿の設置数は、年度の異なる複数の資料から引いているため、最新の数は文部科学省の公表資料で確かめてほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

文部科学省の資料を中心に使い、私立・国立附属の実績は事典の記述で補った。

  1. 文部科学省「中高一貫教育制度の概要」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/2/1316125.htm (導入の時期・目的・3つの形)
  2. 文部科学省「学校教育法等の一部改正の概要(平成10年)」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/3/980601.htm (中等教育学校・附帯決議)
  3. 中央教育審議会「第二次答申」(1997年6月) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/4/970601.htm (利点と課題)
  4. 文部科学省「中高一貫教育の現状」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/ikkan/10/1315800.htm (選択的導入の背景)
  5. 文部科学省「学制百二十年史 四六答申」 https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318291.htm (1971年の答申)
  6. 文部科学省「学制百二十年史 高等学校および専門学校の改革と拡充」 https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317665.htm (旧制の七年制高校)
  7. 文部科学省「中高一貫教育校の設置状況」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/detail/1384268.htm (設置数)
  8. コトバンク「中高一貫教育」 https://kotobank.jp/word/中高一貫教育 (私立・国立附属の実績と背景)

なおした ところ

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