1. おなじ 町でも、すずめばちの 「すむ ところ」は ちがうの?
1. 同じ町でも、土の中と庭木と軒下で「住所」が違う
1. 営巣場所は、種類ごとにどこに偏るのか
おなじ 町に いても、すずめばちの しゅるいが ちがうと、すを つくる 場所も ちがいます。
オオスズメバチは、土の 中に すを つくります。木の ねもとに ある あなの 中などです。コガタスズメバチは、庭の 木や いけがきの えだの しげみに つくります。キイロスズメバチは、のきしたや 屋根うらに つくる ことが 多い ハチです。ヒメスズメバチは、ゆかしたや かべの あいだ、ものおきの 中など、とじた 場所に つくります。
ただし、これは「多い 場所」で、いつも ここと きまって いる わけでは ありません。キイロスズメバチは 土の 中にも つくるし、オオスズメバチが 屋根うらに つくる ことも あります。
では、ひろい 日本の 中で、すずめばちは 何しゅるい くらい いるのでしょう。
庭木の枝の茂みは、コガタスズメバチが巣をつくる場所の一つです。自治体の資料によると、コガタは生け垣や庭木の枝の茂みに巣をつくり、軒下にも見られます[2]。
同じ町でも、ほかの種類は別の場所に暮らしています。オオスズメバチは、木の根もとの空洞などの土中に巣をつくります[1]。キイロスズメバチは、軒下、屋根裏、崖、枝の茂みなどに営巣する、場所の幅が広い種類です[1]。ヒメスズメバチは、床下や壁の間、物置の中のような、閉じた空間を選びます[3]。
クロスズメバチも、土の中に巣をつくるのがふつうです[1]。つまり、土の中の巣は、オオスズメバチだけのものではありません。
ただし、自治体の資料が書いているのは「多い場所」で、「必ずここ」ではありません。オオスズメバチがまれに屋根裏に営巣する例も、キイロが土中や樹洞に巣をつくる例も挙げられています[1]。住所は「傾向」です。では、この傾向は、日本のスズメバチ全体のどのくらいの話なのでしょうか。
営巣場所は、種類ごとに傾向が分かれる。オオスズメバチは、木の根もとの空洞などの土中や樹洞に巣をつくる[1]。コガタスズメバチは、庭木や生け垣、樹木の枝の茂みに営巣し、軒下にも見られる[2]。キイロスズメバチは、軒下・屋根裏・崖・枝の茂みなどに営巣し、場所の幅が広い[1]。ヒメスズメバチは、床下・壁の間・物置の中など、閉鎖された空間に巣をつくる[3]。クロスズメバチは、土中に営巣するのがふつうで、まれに樹洞や軒下、家の壁に作る[1]。
ここで注意したいのは、これらが「多い場所」であって、種類ごとの絶対的な決まりではない点である。オオスズメバチにも、まれに樹洞や屋根裏への営巣が報告されており[1]、キイロには土中や樹洞に作る例がある。場所の幅の広さは種類によって違い、キイロはその幅が広い側にある。
では、なぜ種類ごとに偏りが出るのか。資料は理由までは書いておらず、本記事も推測では書かない。確かなのは、同じ町の中でも、地面の下、枝の茂み、人家の軒、床下のように、利用される空間が種類によって分かれていることである。
この傾向は、全体ではどのくらいの広がりを持つのか。
2. 日本には、すずめばちが 何しゅるい いるの?
2. 日本には何種類いて、どこまで広く分布するのか
2. 日本の16〜17種は、どの範囲に分布しているのか
日本には、すずめばちの なかまが 16しゅるい いると いわれます。しりょうに よっては 17しゅるいと 書いて あります。世界では 61しゅるい と されて います。しゅるいの かずは、分け かたに よって かわる ことが あるのです。
日本の ほとんどの 場所に いて、平地から ひくい 山の あたりまで すんで います。
すの 場所は、木の えだ、木の ほら あな、岩の かべ、家の のきしたや 屋根うら、土の 中と、いろいろです。
こんなに いろいろな 場所を つかうので、すずめばちの すは、自分たちの まわりで 見つかる ことが あるのです。では、その すは、いつまで 使われるのでしょう。
スズメバチの仲間であるスズメバチ科は、世界で61種、日本では16種が知られ、日本全土の平地から低い山までに分布するとされます[5]。神戸市の資料は日本の種類を17種類としています[3]。種の数は分類の考え方によって変わるため、資料によって16種や17種と書かれています。
巣をつくる場所は、スズメバチ類全体では、木の枝、樹洞(木にできた空洞)、岩壁、家屋の軒下や屋根裏、土中などと幅広く挙げられています[5]。平地から低山までという分布は、人が暮らす町や村と重なります。家の軒下や屋根裏が営巣場所に入っているのも、この重なりと関わりがありそうです。
では、そうして苦労してつくった巣は、次の年にも使われるのでしょうか。
日本大百科全書は、スズメバチ類が世界で61種、日本では16種が知られ、日本全土の平地から低山地帯に分布するとする[5]。一方、神戸市の資料は日本の種類を17種類と記す[3]。種数は分類の扱いで変わるため、「16〜17種が知られる」と、出典ごとの数字を併記して受けとめるのが妥当である。
同じ資料は、営巣場所を木の枝、樹洞、岩壁、家屋の軒下や屋根裏、土中などとまとめて示す[5]。種類別の傾向が分かれても、全体としては、地上の枝から地下まで、利用される空間は多岐にわたる。
平地から低山地帯という分布は、人の生活圏と重なる。家の軒下や屋根裏が営巣場所に含まれるのは、この重なりの結果とみられるが、資料はその因果を明記していないため、断定はしない。
さて、こうしてつくられた巣は、翌年も使われるのか。
3. すは、つぎの 年も 使うの? ふゆは どこに いるの?
3. 巣は1年かぎり。冬を越すのは、巣の外にいる新女王だけ
3. 巣はなぜ毎年つくり直されるのか:冬を越すのは巣の外の新女王
すずめばちの すは、1年だけの すまいです。ふゆに なると、すの 中は からっぽに なり、つぎの 年に おなじ すを 使う ことは ありません。
ふゆを こせるのは、新しい 女王バチだけです。この 女王バチは、すを はなれて、石がきの すきまや、くさった 木の すきま、土の 中で ねむります。
むかしの 女王バチや、はたらく ハチ、オスは、ふゆまでに しんでしまいます。
ふゆの すの 中には、ハチは のこって いません。この すは、つぎの 年には 使われません。では、春に なると、女王バチは どう するのでしょう。
家の 人が、「まだ すが あるのに、ハチは いない」と 言う ことが あるかも しれません。それは、ふゆの すが からっぽ だからです。
冬の巣の中は、空になります。巣は1年かぎりで、翌年に同じ巣が使われることはありません[3][4]。
では、冬を越す個体はどこにいるのでしょうか。それは、新しく生まれた新女王だけです。新女王は巣から離れて、石垣のすきまや朽木のすきま、土の中などで、1匹で冬を越します[3][5]。旧女王や働きバチ、オスは、冬までに死にます[3]。
つまり、冬のスズメバチは、巣の中ではなく、巣の外の小さなすきまで、新女王が1匹で冬を越しています。群れで暖まって冬を過ごすのではありません。
新女王が見つけたすきまが、次の年の始まりです。では、春になって目を覚ました女王は、何をするのでしょうか。
巣は1年かぎりで、冬には中が空になり、翌年に再び使われることはない。この点は、神戸市・千葉市など複数の自治体の資料が一致している[3][4]。
では、群れはどう冬を越すのか。越冬するのは群れではなく、新女王だけである。新女王は巣から離れた石垣のすきまや朽木のすきま、土中などで単独で冬を越す[3][5]。旧女王、働きバチ、オスは、冬までに死ぬ[3]。
このことから、スズメバチの「巣」は、冬を越すための家ではなく、夏から秋に群れを育てる、1シーズンかぎりの巣だと分かる。冬の居場所は巣の中でなく、新女王が見つけた巣の外のすきまである。
この単独越冬が、次の章で見る「春の巣づくりが1匹から始まる」ことに直結している。
4. 女王バチ 1ぴきから、どう やって 大きな すに なるの?
4. 1匹の女王が、夏には数百匹の巣をつくる
4. 1匹の女王から、巣はどのくらいの規模になるのか
春に なって、女王バチが 目を さまします。そして、1ぴきだけで すを つくりはじめます。月は、場所や しゅるいに よって ちがい、4月から 6月ごろと 言われます。
すは はじめは 小さいのですが、夏から 秋に かけて、どんどん 大きく なります。ふつうの 大きさは、いろいろです。コガタスズメバチの すは、たて 15センチ、よこ 20センチ ぐらいです。キイロスズメバチの すは、たて 40センチ、よこ 60センチ ぐらいに なる ことが あります。
すに いる はたらく ハチの かずも、コガタは 100ぴき ぐらい、キイロは 1000ぴき いじょうに なる ことも あります。
では、こんなに 大きな すを つくる ハチは、町の 中でも 住めるのでしょうか。
春になると、冬を越した女王が目を覚まし、1匹だけで巣をつくりはじめます。時期は、名古屋市の資料では4〜5月ごろ、神戸市の資料では6月ごろとあり、資料や地域で幅があります[1][3]。
巣は夏から秋にかけて、働きバチが増えるにつれて大きくなります。ピーク時の働きバチの数は、コガタで100頭前後、オオスズメバチで数百頭、キイロでは1000頭以上になることもまれではありません[1]。
巣の大きさも種類で違います。仙台市の資料は、コガタの巣を15×20cm、キイロの巣を40×60cmと紹介しています[2]。縦と横の数字をかけると、300と2400で、見かけの面積は約8倍です。働きバチの数の差は約10倍で、巣の大きさの差と同じくらいのように見えます。ただし、これは別々の資料の数字をそろえた計算で、同じ条件で測った比較ではありません。
1匹から始まった巣が、これほど大きくなります。では、そんな大きな巣をつくる種類は、舗装された市街地でも暮らせるのでしょうか。
春、越冬から覚めた新女王は、1匹だけで巣づくりを始める[1][3]。開始時期は資料で幅があり、名古屋市は4〜5月ごろ、堺市は5月ごろ、神戸市は6月ごろとする。種類や地域で変わるため、月を固定して覚えるのは適切でない。
群れの規模は種類で大きく異なる。名古屋市の資料では、ピーク時の働きバチは、コガタで100頭前後、オオスズメバチで数百頭(500頭以上のこともある)、キイロでは1000頭以上になることもまれではない[1]。日本大百科全書は、巣が最盛期にほぼ球形で直径40〜60cmに達するとし[5]、名古屋市は直径50cm以上・働きバチ1000頭以上の例を挙げる。
仙台市の資料の数字(コガタ15×20cm、キイロ40×60cm)[2]を縦×横で掛けると、300と2400で約8倍になる。働きバチの数のピークは、コガタ100頭前後に対しキイロ1000頭以上で、約10倍以上にあたる。ただし、出典が別で測り方も異なるため、これは目安の計算であり、同じ条件の比較ではない。
注意すべきは、これらがすべての巣に当てはまる数ではない点である。1匹の巣づくりが、数百〜1000頭の群れに育つこともある、という幅をもって受けとめる必要がある。
こうして夏に大きくなる巣は、地面の下や木の上など、場所を選ぶ。では、地面が舗装された場所はどうなのか。
5. 道が かためられた 町には、オオスズメバチは すめないの?
5. 舗装された市街地には、オオスズメバチは巣をつくれないのか
5. 舗装と土中営巣:「市街地には住めない」という記述をどう読むか
千葉市の しりょうには、オオスズメバチは 土の 中に すを つくるので、道が かためられた 町には「すめない」と 書いて あります。
これは、「町に 1ぴきも いない」と いう 意味ではありません。地面の 下に すを つくる ところが 見つからない、と いう 話です。
この 話は、ひとつの しりょうに ある ことです。ほかの しりょうでは 書いて いないので、「そうかも しれない」と 考えて おくのが よさそうです。
町の 中でも、土の ある ところなら、オオスズメバチの すが ある かも しれません。
千葉市保健所の資料には、オオスズメバチは地中に巣をつくり、「舗装してある市街地には住めない」と書かれています[4]。
この一文は、「市内に1匹もいない」という意味ではありません。地面の下に巣をつくるのに、地面がコンクリートやアスファルトでおおわれていると、巣をつくれない、という話です。
ただし、この記述は、ここで読んだ資料のうち千葉市のものだけにあります。ほかの自治体の資料は、土中や樹洞、まれに屋根裏への営巣を挙げており[1]、舗装の話は書いていません。ですから、これは「一つの資料にある見方」として受けとめるのがよさそうです。
確かなのは、種類によって巣をつくる場所が違うので、同じ町でも種類ごとに暮らしやすい場所が違う、ということです。庭や公園の土、生け垣、軒下と、場所はさまざまです。
千葉市保健所の資料は、オオスズメバチを「地中(舗装してある市街地には住めない)」と記す[4]。これは「市内に1匹もいない」という主張ではなく、地面の下に営巣する種類にとって、舗装された場所が営巣の条件を満たさない、という意味に読める。
ただし、この記述は単独の自治体資料である。名古屋市などの資料は、オオスズメバチの営巣を土中や樹洞、まれに屋根裏とし[1]、舗装との関係には触れない。したがって、舗装された市街地では巣をつくれないという一般論として扱うには、根拠が足りない。
この例が示すのは、営巣場所の傾向が、そこに「条件に合う場所があるか」と結びつくという視点である。地面の下に営巣する種類は、土のある場所に左右される。軒下や枝の茂みに営巣する種類なら、人家や庭木の多い町でも暮らせる、と考えることはできる。ただし、これは営巣場所の傾向からの推論であり、資料が直接述べているわけではない。
なお、自治体資料が示す営巣場所は「多い場所」であり、「必ずここ」ではない点は、第1章と同じである。
6. すずめばちの 「すむ ところ」を、絵に かいて くらべて みよう
6. 種類ごとの「住所」を、絵にかいて比べてみる
6. 自分の地域の営巣場所を、資料と照らして考える
この 記事に 出て きた「すむ ところ」を、ノートに 絵で かいて みましょう。
土の 中、庭の 木の しげみ、のきした、ゆかしたの 4つです。1まいずつ かいて、どの ハチが、どこに すを つくる ことが 多いのか、ならべて くらべます。
おうちの 人と、住んで いる 町の ホームページの 「スズメバチ」の ページを 見ても、おもしろいです。
本ものの すや ハチを 見つけても、ぜったいに 近づかないで ください。さわっても いけません。とおくから 見るだけに して、大人に 知らせましょう。
この記事で出てきた「住所」を、ノートに絵にかいて比べてみてください。土の中、庭木の茂み、軒下、床下や物置のような閉じた場所を1枚ずつかき、どの種類がどこに巣をつくることが多いかを並べると、同じ町の景色が違って見えるはずです。
実際の巣やハチを見つけても、近づいたりさわったりしてはいけません。遠くから見るだけにして、大人や自治体に知らせてください。巣は1年かぎりなので、冬の巣はからっぽですが、近づかないことが前提です。
もう少し調べたいときは、自分の町の自治体のホームページにある「スズメバチ」のページを開くと、その地域で多い種類や営巣場所が載っていることがあります。この記事の出典の自治体資料も、そうしたページです。
この記事で言えるのは、スズメバチの営巣場所は種類ごとの傾向があり、巣は1年かぎりで、冬を越すのは巣の外の新女王だけであること、舗装された市街地には住めないという記述は単独の資料にとどまることである。
各自治体の資料は、営巣場所を「多い場所」として示す。自分の地域の実際の傾向を知りたければ、居住する自治体の資料を読み、異なる自治体の記述を比べるとよい。種類によって営巣場所の傾向が違うことは、自治体の資料どうしで一致している。
一方、種数(16種とする資料も17種とする資料もある)や、舗装と営巣の関係は、資料によって扱いが異なる。気になる点は、出典に挙げた資料の原文にあたって確かめてほしい。
野外で巣やハチを見かけた場合は、近づかず、大人や自治体に知らせること。調べ学習は、資料と離れた場所からの観察にとどめる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
営巣場所は、多く見られる場所を示す自治体の資料が中心です。種類・時期・数字は、資料によって幅があります。
- スズメバチの生態(名古屋市) https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/eisei/1015269/1034848/1015298/1034489/1034408/1015333.html (種類ごとの営巣場所・巣づくりの時期・働きバチの数)
- ハチ(仙台市) https://www.city.sendai.jp/sekatsuese/kurashi/anzen/ese/sumai/gaichu/hachi.html (コガタの営巣場所・種類別の巣の大きさ)
- スズメバチ(神戸市) https://www.city.kobe.lg.jp/a84140/kenko/health/hygiene/life/bee/suzumebachi.html (ヒメの営巣場所・巣は1年かぎり・新女王の越冬)
- スズメバチ(千葉市保健所) https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/iryoeisei/hokenjo/kankyo/suzumebachi.html (オオスズメバチと舗装・巣の再利用)
- スズメバチ(日本大百科全書〈ニッポニカ〉、コトバンク) https://kotobank.jp/word/スズメバチ-3156198 (種数・分布・営巣場所の全体像・巣の大きさ)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。