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とんびは どうして、海にも 山にも 町にも 住んで いるの?

海岸から山、漁港や都会のごみ捨て場まで:トビはなぜ、そんなに広い場所で暮らせるのか

海岸から高山帯、漁港や都会まで:トビはなぜ、これほど広い場所で暮らせるのか

分野:生きもの

空で「ピーヒョロロロ」と なく とんびは、大きな 生き物を ほとんど おそいません。ごはんの 中心は、死んだ 動物です。どうして、そんな 鳥が 海にも 山にも 町にも 住めるのでしょう。

この メモを 読むと、食べ物と 巣すの ふたつから、とんびの くらしが わかります。町で なにが かわるのかも わかります。

空を飛びながら「ピーヒョロロロ」と鳴くトビは、猛禽の仲間なのに、生きている大きな動物をほとんど襲いません。主な食べ物は、死んだ動物です。それでも海岸にも高い山にも、漁港や都会のごみ捨て場にまで暮らしています。なぜ、そんなに広い場所で暮らせるのでしょうか。

この記事を読むと、トビの暮らしを支える「食べ物」と「巣」の2つの条件と、人の近くで何が変わるのかが分かります。

トビは日本では海岸から高山帯まで広く暮らし、とくに漁港や都会のごみ捨て場には数が多いとされる。ところが食べ物の中心は、狩りの獲物ではなく、死んだ動物である。猛禽でありながら生きた大型の動物をほとんど襲わない鳥が、なぜこれほど多様な環境に入りこめたのか。

この記事を読むと、広い分布を支える「食べ物」と「巣」の条件、そして人のそばで暮らすトビに起きる変化が、自治体・百科事典・論文の記述から分かる。

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1. とんびは、どんな 場所で 見られる 鳥?

1. 海岸から高山帯まで、トビはどこにいる?

1. 海岸から高山帯まで:トビの分布はどこまで広いのか

外で「ピーヒョロロロ」と 聞こえたら、空を 見上げて みましょう。大きな 鳥が 羽を ひろげて ゆっくり とんで いたら、それは とんびかも しれません。

ある 県の ページには、とんびは 海岸から 高い 山まで、はば広く くらして いると 書いて あります[1]。海の ちかくの 漁港ぎょこうや、町の ごみを あつめる 場所には、とくに 数が 多いそうです[2]。

世界を 見ても、ユーラシア、アフリカ、オーストラリアに 広く います。ヨーロッパの なかまだけは、旅を する ことが 多く、ほかは ほとんどが 一年中 同じ 場所に 住んで いると いわれます[3]。

山の 上から 町の 中まで 住めるなんて、すごい ことです。いったい、なにを 食べて いるのでしょう。

「ピーヒョロロロ」という声が上から聞こえて見上げると、大きな鳥が羽を広げてゆっくり飛んでいる。そんな場面なら、トビかもしれません[4]。

新潟県の解説では、トビは海岸から高山帯まで幅広い環境で暮らし、佐渡島や粟島を含む県内に広く生息・繁殖しています[1]。日本大百科全書には、海岸から山地の開けた所にすみ、とくに漁港や都会のごみ捨て場には数が多いとあります[2]。

世界ではユーラシア、アフリカ、オーストラリアに広く分布します。札幌市円山動物園の解説によると、ヨーロッパの集団は渡りの性質が強く、ほかはほとんどが留鳥、つまり一年を通して同じ地域にいる鳥です[3]。

山の上から魚市場のある港、都会まで。住む場所がこれだけ違うのに、同じ鳥が暮らしています。その鍵は、何を食べているかにありそうです。

「ピーヒョロロロ」と鳴きながら上空を舞う姿は、身近な猛禽の一つとして知られる[4]。では、その分布はどこまで広いのか。新潟県の解説は、トビを海岸から高山帯まで幅広く生活する鳥とし、佐渡島・粟島を含む県内に留鳥として広く生息・繁殖すると述べる[1]。『日本大百科全書』も、海岸から山地の開けた所にすみ、とくに漁港や都会のごみ捨て場には数が多いとする[2]。

範囲は日本にとどまらない。ユーラシア、アフリカ、オーストラリアにかけて広く分布する[3]。留鳥とは、季節で大きく移動せず、年中同じ地域で暮らす鳥のことである。円山動物園の解説では、ヨーロッパで生息する集団は渡りの性質が強いが、ほかはほとんどが留鳥だという[3]。長い距離を移動して季節をしのぐ必要がないなら、土地で食べ物を確保できることが条件になる。

ここで、高山帯と漁港と都会という3つの環境を並べてみる。地形も気温も人の数もまるで違う。それでも同じ種が暮らしているなら、環境ごとに別の能力を使い分けているのではなく、どの環境でも通用する「暮らし方」を持っている可能性が高い。次は、その中心になる食べ物を調べる。

2. 生きた 動物を おそわないのに、どうやって ごはんを 見つけるの?

2. 狩りに頼らないトビは、空から何を探しているのか

2. 主な食べ物は死んだ動物:狩りに頼らない食性は何を可能にしたか

とんびの ごはんの 中心は、死んだ 動物や 魚です[4]。生きた 大きな 動物を おそう ことは ほとんど ありません[5]。川原や 海岸で、動物の からだを さがして 食べる ことが 多く、「自然しぜんの そうじ屋」と よばれる ことも あります[2]。

もちろん、生きた 小さな 動物も 食べます。カエルや ネズミなどです[4]。魚を 食べる ことも あります。

見つけ方は、こうです。空を とびながら 下を 見て、食べ物を 見つけたら、そこへ 急に おりて、足で つかまえます。視力しりょくが とても いいそうです[4]。

ここが ふしぎな ところです。食べ物が 見つかる 場所は、うみべや 山、町にも あります。食べ物を えらばない とんびは、住む 場所も 広げやすいのです。ただ、巣すを 作れる 場所も ひつようです。

トビの食べ物は、主に動物や魚の死骸です。生きている大型の動物を襲うことはほとんどありません[4][5]。河原や海岸で動物の死体をあさる姿がよく見られ、「自然界の掃除屋」とも呼ばれます[2]。

ただし、「獲物を捕らない」わけではありません。カエルやネズミなど生きた小動物も食べ、都市部では生ゴミも口にします[4]。魚も食べます。

探し方は、上空を飛びながら地上を見渡し、餌を見つけるとその場所へ急降下して捕らえるというものです。視力がたいへんよいと説明されています[4]。

ここから分かるのは、トビの食べ物が「特定の生き物」ではなく「落ちているもの」だということです。死んだ動物や魚は、海辺や川辺、山、人の暮らしの近くでも見つかることがあります。食べ物を選ばないので、住む場所の幅も広がります。ただ、食べ物があっても、卵を育てる場所がなければ、そこで子どもを育てることはできません。トビは巣をどこに作るのでしょうか。

トビの食性を整理すると、主な食べ物は動物や魚の死骸であり、これに生きた小動物が加わる。鳥取県の解説は、主に動物や魚の死骸を食べるが、カエルやネズミなど生きた小動物も食べ、都市部では生ゴミなども食べるとする[4]。我孫子市鳥の博物館の資料は、死んだ動物が主な食べ物で、生きている大型の動物を襲うことはほとんどないと述べる[5]。したがって「ほとんど襲わない」は「まったく狩らない」ではなく、カエルやネズミなどの小動物を食べることが、鳥取県の解説に記されている。

河原や海岸で動物の死体をあさる姿がよく見られ、「自然界の掃除屋」と呼ばれる[2]。見つける方法は上空からの探索である。上空を飛びながら餌を探し、見つけるとその場所に急降下して捕らえる。視力が非常によいとされる[4]。

この食性は、分布の広さを説明する材料になる。獲物を追いかける捕食者は、特定の獲物がいる環境に縛られやすい。一方、死骸は川にも海岸にも、山にも都市にも、場所を問わず発生する。資料はトビの分布と食性を別々に述べており、「だから広く分布できる」という因果を直接書いた文は見当たらない。これは両者を並べたうえでの推論であることに注意したい。いずれにせよ、食べ物だけでは暮らしは成り立たない。繁殖の場所、つまり巣はどう確保されているのか。

3. とんびは、どこに 巣すを つくるの?

3. 巣は高い木の上、ときには崖の地面

3. トビはどこに巣を作るのか:樹上と、まれな崖の地上

とんびの 巣すは、木の 上に あります。かれた えだを つみ重ねて つくります[3]。大きな 木が 目じるしに なります。

とても まれに、がけの 地面に 巣すを つくる ことも あります[3]。

ひろい 場所に 住めるのは、食べ物が 見つかるから。そして 木や がけが あるから、卵たまごを そだてる 場所も 見つかるから、と 考えられます。海の ちかくの 林や、町の 公園の 木でも、巣すは つくれそうです。

でも、木が まったく ない 場所は どうなのでしょう。町に 近づくと、とんびの くらしには ちがいも 見えます。

札幌市円山動物園の解説では、トビは樹上に営巣し、巣は大木の樹上に枯れ枝を積んで作ります。まれに断崖の地上に巣を作ることもあるそうです[3]。

巣を置く場所が「高い木」か「崖」なので、森や林、神社の木立、海辺の崖など、トビがいる場所の多くに巣を作れる場所があるはずです。ただし資料は、特定の環境のどこに営巣が多いかまでは述べていません。ここは、巣の条件がそろう場所なら暮らせる、と読むのがよさそうです。

食べ物は空から探せて、巣は木の上や崖に作れる。この2つがあれば、海岸でも山でも暮らせる鳥になれます。そこへ人の暮らしが加わると、何が起こるのでしょうか。

巣については、札幌市円山動物園が、樹上に営巣するが、まれに断崖の地上に営巣することもあると述べる。巣は大木の樹上に枯れ枝を積んでつくる[3]。

ここで、食べ物と営巣の2条件を重ねてみる。死骸という食べ物は場所を選ばずに存在する。巣の置き場所は樹上や断崖で、樹林がある地域や海岸の崖で確保できそうに見える。ただし資料は、この2条件が分布を決めると直接述べてはいない。記述を組み合わせた見通しであり、他の要因を排除するものではない。

では、条件が揃う場所に人の暮らしが重なると、トビの暮らしはどう変わるのか。

4. 町の とんびは、どうして 人の 食べ物を ねらうの?

4. 町のトビが人の食べ物を狙うのは、どんな場所か

4. 相模湾沿岸5地点の調査:人の食べ物を狙う行動は何に左右されるか

鎌倉かまくら市の せつめいでは、とんびは もともと けいかい心が 強く、人に かんたんには 近づかない 鳥です[7]。ところが、食べ物を あげたり、人の そばの ごみを あさったり していると、人を こわがらなく なりやすいと いいます[7]。

海の ちかくの 5つの 町(えのしま、かまくら、ずし、おおいそ、まなづる)では、こんな けんきゅうが ありました。人の 食べ物を ねらう ようすは、とんび 1羽に ついて、まわりの 森や 畑が すくない 場所ほど 強く、春の ころには さらに 強まったそうです[6]。

まわりの 森や 農地が 少ない 場所や、春には、人の 食べ物を ねらう ようすが 強まったと つたえられて います。そして 人も、とんびの ようすを かえる 場面に かかわって います。

鎌倉市の説明によると、トビはもともと警戒心が強く、人には安易に近づかない鳥です。ところが、安易な餌付けや、人のそばで生ごみをあさることが続くと、人を恐れなくなりやすいといいます[7]。

神奈川県の相模湾沿岸では、江の島・鎌倉・逗子・大磯・真鶴の5地点で、都市のトビが人の食べ物を狙う行動が調べられました。この研究では、トビ1羽あたりの森林面積と、水田以外の農地面積が少ない地域ほど、狙う行動が強いと報告されています。季節にも左右され、春の繁殖期に強まりました[6]。

この結果は、トビが「悪い鳥」だと言っているのではありません。まわりの食べ物が少ない場所ほど、人の食べ物を狙うようになる、というつながりを示した報告です。そしてもう一つ、人のほうの行動も関わります。餌を与えたり、生ごみを無防備に出したりする行動が、トビの慣れを後押ししうるのです。

一つの地域の5地点の結果なので、日本全体にあてはまるとまでは言えません。

人の近くで暮らすトビには、どんな変化が起きるのか。鎌倉市は市民相談への回答で、本来トビは警戒心が強く、人間には安易に近寄らないことが多いと説明する。そのうえで、安易な餌付けや、人のそばで生ゴミをあさる行動が、人を恐れなくさせやすいという[7]。

これを研究で見たのが、Galbreathらによる2014年の報告である。相模湾沿岸の5地点(江の島・鎌倉・逗子・大磯・真鶴)で、都市のトビが人の食べ物を狙う行動を調べた。その結果、行動の強さは、トビ1羽あたりの森林面積、水田以外の農地面積、そして季節に有意に左右された。森林や農地が少ない地域ほど強く、春の繁殖期に強まった[6]。

解釈には注意が要る。これは相関の結果であり、森林が少ないからトビが悪さをする、という話ではない。トビ1羽あたりの自然の食べ物が少ない場所ほど、人の食べ物が選ばれやすくなる、という見方はできるが、論文の抜粋から直接確認できるのは上記の関連までである。また、調査地は相模湾沿岸の5地点だけで、他地域に一般化することはできない。

つまり、トビを広い場所で暮らせるようにしている「食べ物を選ばない」性質は、人のそばでは、人の食べ物へ向かう行動としても現れうる。どちらも、トビの暮らし方の同じ根から出ていると読める。ただしこれも、資料を重ねた推論である。

5. 空を 見上げて、とんびを さがして みよう

5. 空を見上げて、トビかどうかを確かめる

5. トビを見分けて観察するための手がかり

近くの 空を 見上げて、とんびを さがして みましょう。見る ときは、太陽を 見ない ように します。まわりの 人や 車にも 気を つけます。

  • カラスより 一回り 大きい 鳥です[4]。
  • とんだ とき、しっぽの 先の まん中が へこんで います[3]。
  • どこから どこへ とんで いくでしょう。その 下に、海や 川や 町が ありませんか。

見つけたら、えさを あげずに 見る だけに しましょう。人が 食べ物を あげると、とんびが 人を こわがらなく なりやすいと いわれます[7]。

近くの空で、トビを探してみませんか。太陽を直接見ないことと、周囲の人や車に気をつけることは守ってください。

  • カラスより一回り大きく、体は褐色と白のまだら模様です[4]。
  • 尾の先端の中央がへこんでいるのが、見分ける目印になります[3]。
  • 飛んでいく先と、その下の地面(海、川、町、山)を一緒に見ると、食べ物と巣の条件が見えてくるかもしれません。

見つけても、餌は与えず、見るだけにしておきます。安易な餌付けは人を恐れなくさせやすいと、鎌倉市が説明しています[7]。

観察の手がかりを、資料から3つ拾う。第一に大きさと色。カラスより一回り大きく、褐色と白のまだら模様をしている[4]。第二に尾。尾の先端は中央がへこんでいる[3]。第三に、飛ぶ向きと下の地形。食べ物の探し方(上空から探索し、急降下で捕らえる)と、巣の条件(樹上、まれに断崖)が、実際にその場所と合っているかを、自分の目で確かめる手がかりになる。観察のときは、太陽を直接見ないこと、周囲の安全に気をつけること。

調べを進めるなら、本記事の出典欄にある自治体や動物園の解説が出発点になる。鳥取県は食べ物と探し方、札幌市円山動物園は巣と渡りの有無、鎌倉市は餌付けを取り上げており、読み比べると、トビの暮らしの別々の面が見えてくる。

餌付けについて、鎌倉市は、安易な餌付けが人を恐れなくさせやすいと説明している[7]。観察は、距離を保って見るだけにとどめたい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。数字や分布の説明は、資料の記述を自分の言葉で言いかえています。

  1. 新潟県 環境対策課「野生鳥獣の解説ページ」 https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyotaisaku/1356908743310.html (分布・生息環境)
  2. コトバンク「トビ」(日本大百科全書・世界大百科事典) https://kotobank.jp/word/%E3%83%88%E3%83%93-2067853 (漁港・ごみ捨て場、死体をあさる行動)
  3. 札幌市円山動物園「トビ」 https://www.city.sapporo.jp/zoo/100-k.html (営巣、渡りと留鳥)
  4. 鳥取県「トビ」の解説ページ https://www.pref.tottori.lg.jp/329087.htm (食べ物、餌の探し方、鳴き声)
  5. 我孫子市 鳥の博物館「手賀沼の鳥」2020年1月号 https://www.city.abiko.chiba.jp/bird-mus/info2/tegatan/tegatan2017_.files/tega202001.pdf (主な食べ物、手賀沼の魚食)
  6. Galbreath et al. (2014) Landscape Ecology 29(1):169-178 https://agris.fao.org/search/en/records/65df4ac063b8185d9cac2b4d (相模湾沿岸5地点の調査)
  7. 鎌倉市 市民相談への回答(27-39) https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/soudan/joho/documents/27-39.pdf (警戒心と餌付け)

なおした ところ

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