1. ごみに あめが ふると、水は どこへ いくの?
1. ごみの山に雨がふると、にごった水はどこへ行くのか
1. 雨水がごみの層を通ると「浸出水」になる:底と斜面を包む遮水工
うめたて地に あめが ふると、水は ごみの すきまを とおって、下へ むかいます。ごみが もともと もって いた 水と ふった あめが まざった ものが、しみて いきます。
この 水は、よごれて いる ことが あります。そのまま 土に しみこむと、地面の 下の 水を よごす おそれが あります。
だから、うめたて地の そこと、ななめの ところを、水を とおさない もので ぐるりと つつみます。
シートを しく 前には、じめんの 石ころや とがった ところを とって、ならして かためます。シートを きずつけない ためです。
では、シートは 1まい あれば 足りるのでしょうか。
埋立地に雨が降ると、水はごみの間をしみこみながら下へ向かいます。ごみがもともと含んでいる水分と、しみこんだ雨水などをあわせて、浸出水(保有水等)と呼びます[3]。
この水が地面にしみ出せば、汚れが埋立地の外へ出ていってしまいます。そのため、埋立地の底や斜面には、水を通さない資材の層を設けます。この層が遮水層です。遮水層、鋼矢板、基礎地盤、日光からシートを守る不織布などをまとめた設備を、遮水工と呼びます[4]。
見えにくいのは、シートの下の地面です。基礎地盤は、とがった突起物や角ばった石を取り除き、形を整えて締め固めてから使います[4]。シートを傷つけないための下ごしらえです。
では、水を止めるシートは、1枚あれば足りるのでしょうか。
雨水は、廃棄物の層をしみ通りながら、廃棄物が含んでいた水分と混じる。この水を浸出水(保有水等)という[3]。汚染物質を含みうるため、埋立地の外へ流出させないことが、構造の出発点になる。
そのために、埋立地内の底部と斜面に、不透水性の資材による構造物を設ける。これが遮水層である。遮水層に、鋼矢板、基礎地盤、遮光のための不織布などを加えた設備全体を、遮水工と定義している[4]。つまり遮水工は、シート1枚の名前ではなく、シートが働ける条件ごと整える設備を指す。
その条件の一つが基礎地盤である。突起物や角れきを除いて整形し、締め固める。これを怠ると、上に載る廃棄物や車両の重さで、シートが下から傷つくおそれがあるからだ[4]。
では、遮水層の構造は、具体的にどう決められているのか。
2. シートは どうして ふたえに するの?
2. 遮水層の二重化が決まったのは1998年の改正から
2. 粘土層+シート、または二重シート:1998年改正で強まった遮水の基準
うめたて地の きまりは、むかしから 少しずつ かわって きました。1977ねんの きまりで、水を とめる しくみと、水を きれいに する しせつが ならべて かかれました。
1998ねんの かいせいで、水を とめる ところを ふたえに する ことが さだめられました。
ふたえの やり方は いくつか あります。ねんどの 上に シートを しく。シートを 2まい かさねる。2まいの あいだには、やわらかい ぬののような ものを はさみます。
ぬのを はさむのは、車が はしった ときの しょうげきで、2まいが いっしょに やぶれないように する ためです。
それでも、シートが やぶれる ことは あるかも しれません。やぶれたら、どう 見つけるのでしょう。
埋立地のきまりを定める省令は、1977年に出されました。北海道大学の資料によると、このとき遮水工と浸出水処理施設が明記されました[1]。1998年6月の改正では、遮水層を二重にすること、基礎地盤を整えること、放流水と周辺の地下水の検査を明確にすること、廃止の基準を新しく置くことが決まりました[2]。すでにある処分場には猶予期間がありました[2]。
二重の中身は、次のいずれかです[3]。
- 厚さ50cm以上の粘土の層(水の通しにくさが決まった値以下)に、遮水シートを敷く。
- 厚さ5cm以上のアスファルト・コンクリートの層に、遮水シートを敷く。
- 不織布などの上に、遮水シートを二重に敷く。
三つ目には条件がつきます。二重のシートの間に、車両の走行などの衝撃で両方が同時に傷つくのを防ぐ不織布などを入れることです[3]。2枚重ねるだけで安心とはせず、2枚が一度に傷つかない工夫まで求めている点が目を引きます。
あるアンケート調査では、1998年以降に造られた処分場の遮水構造は、ほぼすべてが二重でした[1]。ただし、これは回答した処分場の話です。
なお、1977年より前の処分場にシートがなかったとまでは、この資料からは言えません。
では、シートの上には何が載るのか。そして、破れたらどう見つけるのでしょうか。
遮水工の基準は、北海道大学の資料によると1977年の省令で遮水工と浸出水処理施設が明記されたところから始まり[1]、1998年6月の改正で大きく強まった。改正では、遮水層の二重化、基礎地盤の整備、放流水と周縁地下水の検査の明確化、廃止基準の新設が盛り込まれた。既存の処分場には猶予期間がある[2]。ただし、1977年以前の処分場にシートがなかったとまでは、資料からは言えない。
では、二重化とは具体的に何か。省令の遮水工の基準は、次のいずれかを満たすことである[3]。
- 厚さ50cm以上、透水係数1×10-6cm/秒以下の粘土等の層に、遮水シートを敷く。
- 厚さ5cm以上、透水係数1×10-7cm/秒以下のアスファルト・コンクリート層に、遮水シートを敷く。
- 不織布その他の物の表面に、二重の遮水シートを敷く。
透水係数は水の通りやすさの目安で、1×10-6cm/秒は、条件をそろえたときに1日で1mmに満たない速さにあたる。計算すると約0.86mmである。アスファルト・コンクリート層の基準値は、その10分の1にあたる。「止める」のではなく「ほとんど通さない」ことを数字で決めている。
三つ目の二重シートには、間に不織布などを設け、車両の走行などの衝撃で双方のシートが同時に傷つくのを防ぐことが条件である[3]。シートを重ねる目的は、1枚が破れても残りの1枚で守ることにある。同時に傷ついてしまえば、その意味が薄れる。そこでクッションの層を挟む。さらに、日射で劣化するシートは、遮光の不織布などで覆う[3]。
北海道大学の資料にまとめられたアンケート調査では、1998年以降に造られた処分場の遮水構造は、ほぼすべてが二重だった[1]。ただし、回答した処分場の割合であり、全国の数ではない。
では、二重にしても破れることがあるなら、それをどう見つけるのか。
3. シートが やぶれたら、どうやって 見つける?
3. 破れた場所を、電気で探す
3. 保護層と漏水検知:シートを守り、破れを電気で特定する
うめたて地の ある れいでは、ゴムで できた シートの 上に、あつい マットと 土を のせて います。シートの あつさは 1.5ミリ。マットは 10から 20ミリ。マットは、シートの 7ばいから 13ばいも あつい ことに なります。
これは ひとつの しせつの れいで、ぜんぶの うめたて地が おなじ わけでは ありません。
やぶれた ところを さがす くふうも あります。シートの 上に、でんきを とおす ぬのを しいて おくと、やぶれて 水が もれた ところで でんきの ながれ方が かわります。そこから、あなの ばしょが わかります。
ある かいしゃは、水に ふれると ふくらむ つぶを ぬのに はさんだ マットも つくりました。小さな あなを ふさぐ ためです。
もし やぶれて いなくても、水は ごみから しみ出して きます。その水は、どうなるのでしょう。
埼玉県の埋立地の例では、厚さ1.5mmの合成ゴム製の遮水シートと、厚さ10〜20mmの保護マットが二重に敷かれ、その上に厚さ1mの保護土がかぶせられています[5]。1.5mmのシートに対して、保護マットは約7〜13倍の厚さです。これは一つの施設の例で、全国共通の数字ではありません。
それでも破れが起きたときのために、検知の仕組みもあります。大林組が発表した「導電性自己修復マット」は、上面の不織布に、電気を流せるカーボン繊維を混ぜています。上のシートが破れて水が通った場所を、電気の変化から特定できます。下の層には、水に触れるとふくらむ粒状のベントナイトを不織布で挟んだ層があり、小さな穴をふさぎます[6]。これも一企業の製品の例で、どの処分場も使っているわけではありません。
では、どのくらい使われているのでしょうか。先ほどのアンケート調査では、漏水検知設備は共同命令(1998年)より前の処分場にはなく、1998年以降の処分場では8割近くが設置していました。調査全体では約3割です[1]。基準が変わった1998年を境に、「破れたら探す」ことが標準に近づいたと読めます。
では、底に集まった水は、そのあとどうなるのでしょうか。
シートは敷いたら終わりではない。施工後もシートの上に物が載り、車が走る。埼玉県の埋立地の例では、厚さ1.5mmの合成ゴム製遮水シートと、厚さ10〜20mmの保護マットが二重に敷かれ、その上に1mの保護土をかぶせる[5]。シートの約7〜13倍の厚さのマットと、それより厚い土が、上からの衝撃や傷を受け止める役である。ただし、これは一施設の例であり、数値は全国共通ではない。
では、守っても破れたことは、どうやって分かるのか。ここに電気が使われる。大林組の導電性自己修復マットは、上面の不織布に導電性のカーボン繊維を混ぜ、上のシートが破れた場所を電気的に特定する。下の層は、水に触れてふくらむ粒状ベントナイトを不織布で挟んだもので、小さな穴をふさぐ[6]。「見つける層」と「ふさぐ層」を一体にした構造である。これも企業の一製品の例で、すべての処分場に使われているわけではない。
では、普及の度合いはどうか。北海道大学の資料にまとめられたアンケートでは、漏水検知設備は1998年の共同命令以前にはなく、1998年以降の処分場では8割近くが設置し、調査対象全体では約3割だった[1]。回答した処分場の割合であり、全国の数ではないが、基準の改正の前後で検知の位置づけが変わったことは読み取れる。
では、遮水工が働いているあいだ、底に集まる水はどう扱われるのか。
4. あつめた 水は、どう きれいに するの?
4. 集めた水を、基準に合わせてから川に流す
4. 浸出水の集排水と処理:基準を超えたら放流を止める
うめたて地の そこには、水を あつめる くだが ならんで います。あつまった 水は、いけのような ところに 入り、しせつで きれいに されます。
きれいに した 水は、きまりの ねだんに あうか しらべてから、川などに ながします。もし きまりを こえたら、すぐに ながすのを やめて、げんいんを しらべます。
ある ちょうさでは、水を きれいにする しせつの やり方として、びせいぶつの はたらきを つかう ものが 88パーセントの しせつに ありました。ながす さきは 川が 多く、げすいどうに ながす ところも 15パーセントほど ありました。
ところで、ごみが うめられた 中は、くらくて 空気も すくなそうです。その中は どうなって いるのでしょう。
埋立地の底には集排水管が通っていて、浸出水を集めます。集めた水は調整池や浸出液処理設備に送られ、排水基準に合わせてから放流されます[3]。
基準に合っているかを確かめるのは、放流水の水質検査です。基準を超えていたら、直ちに放流を中止し、原因を調べ、必要な措置を取ります[3]。水を流しながら見張るのではなく、基準を超えたら止める決まりが入っているのが特徴です。
処理の中身は処分場によって違います。アンケート調査では、設置の割合は、生物処理が88%、高度処理が89%、窒素除去が53%、カルシウム除去が44%、膜分離が10%でした。放流先は河川が多く、下水への放流も約15%ありました[1]。回答した処分場の割合なので、全国の数とは限りません。
では、ごみの中そのものは、水の処理だけで落ち着くのでしょうか。
浸出水は、底に敷かれた集排水管で集められ、調整池や浸出液処理設備に送られる。ここで排水基準に合う水質にしたうえで放流する[3]。調整池が間にあるのは、雨の量によって浸出水の量が変わるためと考えられるが、資料はその理由まで述べていない。
注目したいのは、放流後ではなく放流前の検査と、基準超過時の動作が決まっていることである。放流水の水質検査で排水基準等を超えていれば、直ちに放流を中止し、原因を調べ、必要な措置を講じる[3]。
処理方式の実態は、アンケートでは、生物処理88%、高度処理89%、窒素除去53%、カルシウム除去44%、膜分離10%の設置率だった。放流先は河川が多く、下水放流も約15%を占めた[1]。1つの処分場が複数の処理を組み合わせることがあるため、割合の合計は100%にならない。また回答した処分場の割合であり、全国の数ではない。
水の処理は、ごみの外へ出る水を受け持つ。一方、ごみの内部を分解の進む環境にしておくという別の発想もある。
5. きかいが ないのに、ごみの 中へ 空気が 入る?
5. 送風機なしで空気を呼ぶ福岡方式
5. 準好気性埋立構造(福岡方式):熱対流で空気が自然に入る
ごみの 中には、びせいぶつが すんで います。びせいぶつは 空気が あると、よく はたらいて、ごみを こわして いきます。
日本で 考えられた「ふくおか方式」では、うめたて地の そこに、石と あなの あいた くだを おきます。水は ここから すばやく でて いきます。
びせいぶつが はたらくと、ねつが でます。中が 外より あたたかく なって、あたたかい 空気が 上へ のぼると、くだから 空気が すいこまれて きます。ストーブの えんとつのように、じぶんの ねつで 空気を よびこむ のです。ただし ほんとうの えんとつとは ちがい、ごみの 中の 空気の ながれ方は、もっと ゆっくりで ふくざつです。
空気を おくる きかいは いりません。この やり方は、いまでは 21の くにに ひろがって います(2022ねん8がつの じてん)。
では、ごみの うめたては、いつ おしまいに して いいのでしょうか。
ごみは、微生物が分解します。空気のある環境で働く微生物は、分解を速く進めます。福岡方式(準好気性埋立構造)は、この性質を使います[7]。
埋立地の底に、栗石と有孔管(穴の開いた管)の集排水管を置き、浸出水をすばやく外へ出します。微生物の分解で熱が出ると、内部の温度が外気より高くなります。この温度差による熱対流で、空気が集排水管から埋立地の中へ自然に流れ込みます。水の流れとは逆向きです。そのため送風機がいらず、造るのも維持するのも簡単だと説明されています[7]。浸出水も、集められる段階で浄化が進みます[7]。
福岡大学の花嶋正孝氏が研究し、福岡市と実用化しました。1973年から3年間、久山埋立場で大規模な実験をして、1975年に新蒲田埋立場で実用化されました。1979年には、旧厚生省の最終処分場指針で日本の標準構造に採用されています[8]。2011年7月に国連のクリーン開発メカニズムで手法として認められ、2022年8月の時点で21か国に導入されています[8]。導入国の数は、時点によって変わります。
遮水シートが外へ出る水を止め、集排水管が水と空気の通り道になる。二つの役目が、底の構造でつながっています。
では、そうして埋め終わったあと、いつ閉じてよいのでしょうか。
遮水と集排水で水を管理する一方、廃棄物そのものの分解を進める構造がある。準好気性埋立構造、いわゆる福岡方式である。埋立地の底に、栗石を使った有孔管の集排水管を置いて浸出水を速やかに排出する。微生物の分解熱で内部が外気より暖かくなると、熱対流により空気が集排水管から自然に内部へ入る。空気は水の流れと逆向きに流入する。好気性の分解が進み、浸出水は集められる段階で浄化される[7]。送風機は不要で、施工も維持管理も簡易だと説明される。
この方式は、福岡大学の花嶋正孝氏が研究し、福岡市と実用化した。1973年からの3年間の久山埋立場での大規模実験を経て、1975年に新蒲田埋立場で実用化され、1979年には旧厚生省の最終処分場指針で日本の標準構造となった。2011年7月に国連のクリーン開発メカニズムで手法として認定され、2022年8月の時点で21か国に導入されている[8]。導入国数は時点により変わり、23か国とする記述もあるため、数字には時点を添える必要がある。
なぜ送風機なしで成り立つのか。この説明の鍵は、熱が空気の動力になるという因果である。この仕組みでは、内部と外気の温度差が空気を引き込む力になる。分解が落ち着いて温度差が小さくなれば、その力も弱まる。埋立地が「落ち着いたかどうか」を測る指標に、温度が含まれる理由は、次の章に出てくる。
では、閉じてよいと判断するための条件は、何か。
6. ごみの うめたては、いつ おしまいに できるの?
6. 閉じるまでに、水とガスを2年以上みる
6. 廃止基準:水質・ガス・温度・周縁地下水がそろって安定したと確認する
うめたてを おえても、すぐには 「おしまい」に できません。きまりでは、水を あつめて しらべます。水と ガスは、2ねん いじょう しらべます。
ほかにも、中が まわりの じめんより とても あつく なって いないか、まわりの 地下の 水が よごれて いないかも たしかめます。
水や ガスなどの きまりを みたして はじめて、うめたて地を 「はいし」できます。
あとの つかい道は、こうえんや うんどうじょう、たいようこうの はつでん などです。ただし、すべての あとちが つかえる わけでは ありません。
うめられる ところにも かぎりが あります。2023ねん度の おわりの じてんで、日本の 町や 市の ごみの うめたて地は、あと 24.8ねん ぶん のこって いると 発表されました。
埋立てが終わっても、すぐには閉じられません。省令の廃止の基準には、次のような条件があります[9]。
- 集排水設備で集めた保有水等の水質が、2年以上の検査で、すべての項目で排水基準等に合うこと。
- ガスの発生がほとんどないか、増え続けていないことが2年以上続くこと。
- 埋立地の内部が、周辺の地中の温度に比べて異常に高くなっていないこと。
- 周縁の地下水を汚染しておらず、生活環境上の支障がないこと。
温度には、「何度以下」という数字の基準は条文にありません。
閉じた跡地は、公園や運動場、太陽光発電などに使われる例があります。ただし、環境省が2017年のガイドラインのために集めた49件では、跡地利用の計画がない処分場が53.1%、太陽光発電を位置づけた例は10件でした。利用するにしても、地盤、ガス、浸出水への対策が要ります[11]。
埋立てる場所が限られている点も見逃せません。環境省の発表では、令和5年度末の一般廃棄物の最終処分場の残余容量は9,575万立方メートル、残余年数は24.8年でした。前の年度の23.4年から延びていて、最終処分量は337万トンから316万トンへ減っています[10]。産業廃棄物の処分場は、この数字には入っていません。
残りの年数が増えたのは、埋める量が減ったためと読めますが、資料はその理由までは示していません。ここから先は、自分の町の処分場や、読んだ資料に戻って調べる話になります。
処分場の埋立てが終わっても、すぐには廃止できない。省令の廃止基準は、次の条件を求める[9]。集排水設備で集めた保有水等の水質が、2年以上にわたる検査で、すべての項目について排水基準等に適合していること。ガスの発生がほとんどないか、増加が2年以上認められないこと。埋立地の内部が、周辺の地中の温度に比べて異常な高温になっていないこと。周縁地下水を汚染しておらず、生活環境上の支障がないこと。
「2年」が使われるのは、水質とガスの条件である。温度の条件に数値基準は条文にない。前の章で見た福岡方式のように、内部の分解の熱が空気を引き込む構造であっても、廃止の時点には「異常な高温になっていない」ことを確認する。つまり温度の条件は、内部の熱の状態を確かめるものだと読める。ただし、条文にそう書いてあるわけではなく、筆者の読みである。
廃止後の跡地は、公園、運動場、太陽光発電などに使われる例がある。環境省が2017年のガイドラインのために調べた49件では、跡地利用の計画がない処分場が53.1%を占め、太陽光発電を位置づけた例は10件だった。利用には地盤、ガス、浸出水への対策が要る[11]。「廃止すれば何にでも使える」わけではない。
最後に容量を見る。環境省の発表では、令和5年度末の一般廃棄物最終処分場の残余容量は9,575万m3(前年度9,666万m3、約0.9%減)、残余年数は24.8年(前年度23.4年)である。最終処分量は316万トン(前年度337万トン)に減った[10]。残余年数が延びた理由は、処分量の減少が一因と読めるが、資料に因果は書かれていない。また、産業廃棄物の処分場の数字は含まれていない。
7. ふくろ 2まいで、「ふたえ」を ためして みよう
7. ポリ袋2枚で、「ふたえ」の意味を試す
7. ポリ袋の穴で試す二重化と、公開資料の読み方
きょう できる こと
うちに ある ポリぶくろを 2まい つかいます。つまようじで、1まいに 小さな あなを 1つ あけます。せんめんきの 上で、水を 入れて みましょう。あなから 水が もれます。
つぎに、もう 1まいにも あなを 1つ あけて、2まいを かさねます。2まいの あなは、わざと ちがう ばしょに します。水を 入れると、もれ方は どう かわるでしょうか。
つまようじの さきで 指を ささないように 気をつけます。水を つかうときは、おうちの 人と いっしょに、せんめんきや シンクの 上で やりましょう。
これは ほんものの しくみの まねでは ありません。ふたえに すると どう なるかを、じぶんで 見る だけの ものです。
今日できること
家にあるポリ袋を2枚用意します。1枚にだけ、つまようじで小さな穴を1つ開けて、洗面器かシンクの上で水を入れてみます。次に、もう1枚にも穴を1つ開けて、2枚を重ねます。穴の位置はわざとずらします。水の漏れ方がどう変わるかを見ます。
つまようじで指を刺さないように注意します。水を使うので、洗面器かシンクの上で、家の人と一緒に行います。これは処分場の本物の仕組みの再現ではなく、穴の位置をずらすと水の漏れ方がどう変わるかを見るだけの実験です。
資料を読むなら
基準の条文や数字は、環境省の資料[2][3]に日本語でまとまっています。福岡方式は、福岡市の資料[7]が、図つきで空気の流れを説明しています。
閉じるまでの水質の検査が、実際にどこまで公開されているかは、自分の町の清掃に関するページで探せます。「廃止」の条件のうち、温度だけ数値がないのはなぜか。その答えは、まだこの記事にはありません。
今日できること
ポリ袋を2枚用意し、1枚に、つまようじで小さな穴を1つ開ける。洗面器かシンクの上で水を入れ、漏れ方を見る。続いて、もう1枚にも穴を1つ開け、2枚を重ねる。穴の位置はずらす。漏れ方の変化を観察する。つまようじで指を刺さないこと、水は洗面器かシンクの上で、家の人と一緒に使うことが条件である。
この実験は、実際の二重遮水の再現ではない。省令は、二重シートの間に衝撃を和らげる不織布等を設けることまで求めている[3]。ポリ袋の実験が示せるのは、穴の位置をずらして重ねたとき、漏れ方がどう変わるかだけである。実験の限界まで書き出してから、本物の構造と比べてみる。
資料を読むなら
基準の条文は環境省の資料[2][3][9]、遮水工の定義は性能指針[4]、福岡方式は福岡市の資料[7][8]、処理方式の実態は北海道大学の資料[1]にある。アンケートの割合と、条文の基準は別の性質の数字であり、同じ表に並べないほうがよい。
問いを一つ残しておく。廃止基準で、温度だけ数値がなく「異常な高温でない」という書き方になっているのはなぜか。条文の制定の経緯までは、ここで使った資料に書かれていない。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- 北海道大学 廃棄物工学研究室の資料(最終処分場の調査). https://www.eng.hokudai.ac.jp/labo/waste/wp-content/uploads/2020/03/a52dd4d0e76f09aa3d40888ac6b8ab5f.pdf (1977年・1998年の基準の流れ、漏水検知・二重構造・処理方式の調査)
- 環境省 報道発表(平成10年6月). https://www.env.go.jp/recycle/kosei_press/h980616a.html (1998年の改正の内容)
- 環境省 基準省令の海面処分場への適用方針(省令条文の引用を含む). https://www.env.go.jp/recycle/report/h21-09/mat2.pdf (遮水工の基準、浸出水の処理と放流水の検査)
- 厚生省 廃棄物最終処分場性能指針(平成12年通知). https://www.env.go.jp/recycle/waste/3r_network/7_misc/syobunzyoseinou.pdf (遮水工・遮水層の定義、基礎地盤)
- 埼玉県 埋立の工法(広報ページ). https://www.pref.saitama.lg.jp/b0509/umetate/kouhou.html (シート・保護マット・保護土の一例)
- 大林組 ニュース(導電性自己修復マット). https://www.obayashi.co.jp/news/detail/post_6.html (漏水検知マットの一例)
- 福岡市 準好気性埋立構造とは(資料). https://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/shisetsu/life/documents/1111.pdf (福岡方式の構造)
- 福岡市 国際環境技術協力ページ. https://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/shisetsu/hp/gijutsu-kyouryoku.html (福岡方式の経緯と導入国)
- 環境省 専門委員会資料(令和6年12月)に掲載の基準省令の条文. https://www.env.go.jp/council/content/i_03/000276944.pdf (廃止の基準)
- 環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度). https://www.env.go.jp/press/press_04470.html (残余容量・残余年数)
- 環境省 廃棄物最終処分場等における太陽光発電の導入・運用ガイドライン(平成29年). https://www.env.go.jp/content/900536022.pdf (跡地利用)
なおした ところ
更新履歴
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