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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

もぐらは、まっくらな 土の中で、どうやって まわりを しるの?

目が小さくても、モグラは暗い地下でなぜ困らないのか

モグラの「目の代わり」── 体毛の触覚・アイマー器官(1871年記載)・左右の鼻孔の嗅覚

分野:生きもの

もぐらは、土の 中の まっくらな トンネルで くらして います。目は とても 小さいと いわれます。

それでも、もぐらは トンネルの 中で こまって いないように 見えます。どうしてなのか、いっしょに 見て いきましょう。

モグラが暮らすのは、光がほとんど届かない地下のトンネルです。目はとても小さく、毛の下にかくれていて、はっきり見ることはできないといわれます。

それでも、細い道の中を行き来し、ミミズや虫を見つけて食べています。目の代わりに何を使っているのか、日本語の解説と研究の報道をたどってみます。

モグラの目は、ヨーロッパモグラで直径約1mm。毛の下にあり、明暗の区別はできるが、細かい像を見る目ではないと説明される[4]。暗いトンネルでの行動を支えているのは、体毛と鼻先の触覚、そして嗅覚らしい[2][5]。

このメモでは、日本の解説(アズマモグラ[1]、国立科学博物館の研究者の回答[2])を軸に、アイマー器官の記載[3]、ホシバナモグラ[6]、トウブモグラの嗅覚実験[5]を突き合わせる。

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1. 目は ほんとうに 見えないの?

1. 目は小さいが、光は感じている

1. 退化した目 ── 直径約1mm、明暗の区別は可能

もぐらの 目は、毛の 下に あって、とても 小さいです。日本に いる あずまもぐらは、上と 下の まぶたが くっついて いると いわれます[1]。

でも、まったく 見えないのでは ないようです。あかるいか くらいかは、わかると いわれます[1]。

もぐらの 研究を して いる 人は、トンネルに あなが あいて 光が 入ると、それが きけんの しらせに なり、もぐらは トンネルを なおすと 話して います[2]。

毛の下の小さな目

日本にすむアズマモグラは、上下のまぶたがくっついていて、物の形は見えないと解説されています。それでも明暗は分かるようです[1]。近い仲間のヨーロッパモグラでは、目は直径約1mmで毛の下にあり、完全な盲目ではなく明暗を区別できると書かれています[4]。

光は「危険の合図」になる

国立科学博物館の川田伸一郎さんは、モグラは光くらいは感じていると説明しています。トンネルに穴が空いて光が入ると、それが危険信号になり、モグラはトンネルを修復するそうです[2]。目は、景色を見るためではなく、「どこかが破れた」と知るための道具になっているのかもしれません。

ヨーロッパモグラの目は直径約1mmで毛の下にあり、細胞性のレンズをもつが、完全な盲目ではなく明暗の区別課題ができるとされる。網膜の錐体細胞は高解像度の視覚には向かないが、動きの検出やわずかな色の区別には使える可能性が指摘されている。光受容体の外節はかなり退化している[4]。

アズマモグラは上下のまぶたが癒合し、目は見えないが明暗は分かるようだ、と民間の解説にある[1]。川田氏は、トンネルに穴が空いて光が入ると危険信号になり、モグラは修復行動をとると説明する[2]。地下性哺乳類の視覚は、トンネルに侵入した捕食者の検出に使われるのではないかという説もあるが、これは提案された仮説である[4]。視力の数値は、今回あたった資料では見つからなかった。

2. 体じゅうの 毛が「せんさー」?

2. 体中の毛が、トンネルの壁を読む

2. 体毛と触角 ── 壁への接触がトンネル内の位置を教える

くらい トンネルの 中では、体じゅうの 毛に ものが さわる かんじが、たいせつだと いわれます[2]。

あずまもぐらは、トンネルの かべに 毛が さわって いる ことで、「いま トンネルの 中に いる」と たしかめて いるようです[1]。

ちょうど、くらい へやで かべに 手を あてて あるく ときのようです。ただし もぐらは、手では なく 毛で さわって います。

川田さんは、モグラのひげは触角の器官で、真っ暗なトンネルの中で行動するには、体中の毛が触れる感覚が大切だと述べています[2]。アズマモグラも、トンネルの壁に毛が触れていることで、自分がトンネルの中にいると確かめているようです[1]。

たとえば、暗い部屋で壁に手をそえて歩くと、進む向きが分かります。モグラの毛は、それを体全体でしているようなものです。

川田氏は、ひげは触角器官であり、真っ暗なトンネルでの行動には体中の毛の触れる感覚が重要だと述べる[2]。アズマモグラについても、壁に毛が触れることでトンネル内にいると確認しているとされるが、これは民間の解説ページの記述であり、断定は避けたい[1]。

この章で述べた体毛の触覚は、川田氏の説明と一般向け解説にとどまる。

3. はなさきの ちいさな ドーム

3. 鼻先のドーム ── アイマー器官

3. アイマー器官 ── 鼻先の触覚受容器(Eimer 1871)

もぐらの はなさきには、アイマーきかんと いう、ちいさな ドームの ような ものが たくさん あります[3]。

これは、ものに ふれた ことを かんじる、さわる ための しくみです。おされる かんじや ふるえを かんじとる、いろいろな しくみが まざって いるそうです[3]。

もぐらの 研究を して いる 人は、この きかんの かずは、多くの しゅるいで 数百、いちばん 多い ホシバナモグラでは 数万だと 話して います[2]。

150年以上前に見つかった触覚のドーム

アイマー器官は、鼻先の皮膚にあるドーム状の触覚器官です。名前のもとになったアイマーという人が、1871年にヨーロッパモグラの鼻で記した、と説明されています[3]。押される刺激や、振動に反応する何種類かの触覚の受容器が含まれています[3]。

数は種によってちがう

川田さんによれば、数は多くの種で数百ほど、最も多いホシバナモグラでは数万あり、物の違いを見分けられるといわれます[2]。アイマー自身は、ヨーロッパモグラの鼻に5,000個を超える器官があると見積もったと、資料に書かれています[3]。ただしこれは昔の見積もりで、今の測定値ではありません。

アイマー器官は、鼻先の皮膚にあるドーム状の触覚器官で、1871年にヨーロッパモグラの鼻で記載された。メルケル細胞・層板小体・自由神経終末など、押される刺激や振動に選択的に反応する複数種の受容器を含む。Eimerは同種の鼻に5,000個超の器官と約10万5千本の神経線維があると見積もった、とされる[3]。これは歴史的な見積もりで、現代の測定値ではない。

川田氏は、器官数は多くの種で数百、最多のホシバナモグラで数万と説明する[2]。アズマモグラの実数は今回の資料では確認できなかった。

4. ほしの はなを もつ もぐら

4. 星形の鼻をもつホシバナモグラ

4. ホシバナモグラ ── 22本の突起と約2万5千のアイマー器官

ほしばなもぐらは、はなさきが 星の かたちを して います。22ほんの とっきが ならんで、まるい かたちを つくります[6]。

大きさは、はば およそ1センチメートルです。この 小さな ところに、およそ2万5千の アイマーきかんが あると いわれます[6]。

この もぐらは、たべられる ものかどうかを、およそ 0.008びょうで きめると いわれます[7]。まばたきよりも ずっと はやい ようです。

1センチの星に集まる神経

ホシバナモグラの鼻先の「星」は22本の突起でできていて、直径は約1cmです。約2万5千〜3万個のアイマー器官があり、鼻先の約1cmに10万を超える神経終末が集まっています[6]。器官の数は資料によって幅があります。

8ミリ秒の判断

ホシバナモグラは、触れたものが食べられるかどうかを約8ミリ秒(0.008秒)で判断し、1つの獲物を食べるのにかかる時間は最短で120ミリ秒だと報告されています[7]。

星の一番小さな突起と、人の目の中心窩(ものを一番細かく見る部分)は、どちらも大脳皮質で広い面積を割り当てられているそうです。そのため、目の代わりに鼻で環境を「見ている」と解釈されています[6]。「見ている」は比喩で、視覚ではありません。

ホシバナモグラの「星」は22本の突起からなり、直径約1cm。アイマー器官は約25,000個で、Smithsonianは合計約30,000個、Wikipediaは25,000超と書くなど数に幅がある。鼻先の約1cmに10万超の神経終末が集まる[6]。

食べられるかの判断は約8ミリ秒、1個体の獲物の処理は最短120ミリ秒(平均227ミリ秒)と報告される[7]。最小の突起と人の中心窩は、どちらも大脳皮質で面積が過大に割り当てられるという指摘があり、鼻で環境を「見る」と解釈される[6]。これは比喩であり、視覚ではない。

5. 右と 左の はなの あなで においを ききわける

5. 左右の鼻の穴で、においの向きを知る

5. 嗅覚 ── 左右の鼻孔による方向推定(Catania 2013)と水中の嗅ぎ

もぐらは、においも たよりに して います。アメリカに いる とうぶもぐらは、右と 左の はなの あなで、べつべつに においを とりこむと いわれます[5]。

そこで、けんきゅうを した 人が、かたほうの はなの あなを ふさぎました。すると、みぎの あなを ふさぐと ひだりへ、ひだりの あなを ふさぐと みぎへ すすんだと つたえられて います[5]。

ふたつの はなの あなで、においの 来る 向きを くらべて いるようです。ただし、あずまもぐらで おなじ じっけんを した ことは、しられて いません。

鼻をふさぐと、道がそれる

北米のトウブモグラの研究では、左右の鼻孔から別々ににおいを取り込み、においの向きを立体的に知っていると報告されています。左の鼻孔をふさぐと進路は右にそれ、右をふさぐと左にそれました。チューブで左右を交差させると、誤った向きに進んだとされています[5]。

水の中でも鼻を使う

ホシバナモグラは、水中で鼻から泡を吹いて素早く吸い戻し、においを嗅ぐことが報告されています。泡が獲物のにおいに届くと、75〜100%の割合で正しい道を選び、泡を遮ると50%に落ちました[8]。

これらはトウブモグラとホシバナモグラの実験です。アズマモグラでも同じかどうかは、今回の資料では分かりません。

トウブモグラは左右の鼻孔で別々ににおいを取り込み、においの方向を立体的に把握する。左鼻孔を塞ぐと進路は常に右へ、右鼻孔を塞ぐと左へそれ、チューブで左右を交差させると誤った向きに進んだ(Catania 2013, Nature Communications)[5]。対象は北米のトウブモグラで、アズマモグラで同実験を行った証拠は今回の資料にない。

ホシバナモグラは水中で鼻から泡を吹き、直ちに吸い戻してにおいを嗅ぐ(約1秒に10回程度)。泡が獲物のにおいに届くと75〜100%で正しい道を選び、泡を遮ると50%に落ちた(Catania 2006, Nature)[8]。正答率は出典により「75〜100%」「85%以上」と幅がある。

6. まだ わからない ことも あるよ

6. 目の代わりは、いくつも重なっている

6. 複数の感覚の重なりと、残る問い

もぐらは、体の 毛、はなさきの アイマーきかん、はなの あなで かぎとる においを つかって、まわりを しって いるようです。

ちいさな 目も、光が 入ってきた ときの しらせに なるようです。

でも、日本の あずまもぐらの はなさきに、アイマーきかんが どれくらい あるのかは、わかって いません[2]。ちかい なかまの 話を、そのまま あてはめては いけないのです。

ここまでの話をまとめると、モグラは、光を感じる小さな目、体中の毛、鼻先のアイマー器官、においを嗅ぐ左右の鼻孔を重ねて、暗い地下で周りをつかんでいるようです。

ホシバナモグラやトウブモグラの実験の結果を、そのままアズマモグラに当てはめることはできません。近い仲間では、という言い方が必要です。アズマモグラ自身のアイマー器官の数や、鼻先の受容体の測定値は、一般向けの資料では見つかりませんでした。

地下の動物で、視覚は、トンネルに入ってきた捕食者の検出に使われるのではないかという説もあります。ただし、これは提案された仮説です[4]。

モグラは、光受容の残る小さな目(警報としての光)、体毛の触覚、鼻先のアイマー器官、左右の鼻孔による嗅覚を組み合わせて、暗いトンネルの中の位置や獲物を把握しているとみられる[2][3][5]。

ただし根拠の多くは、ヨーロッパモグラ・トウブモグラ・ホシバナモグラの知見か、一般向けの解説である。アズマモグラに当てはめるなら「近い仲間では」と限定が要る。アズマモグラのアイマー器官の数や鼻先の受容体の測定値は、今回の一般向け資料では確認できなかった。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちに ある ものを ふくろに 入れて、目を つぶって、手で さわって なにか あてる あそびを して みましょう。ゆびさきで かんじる ものが、いろいろ あると わかります。ふくろは かるい もの だけに して、とがった ものは 入れません。

本や ホームページで しらべるなら、あずまもぐらの かいせつが 日本語で 読めます。

今日できること:ふくろに家にある物を入れ、目をつぶって指先だけで当てる遊びをしてみてください。目を閉じても、指先や手のひらだけでどんな情報が手に入るかを考えられます。とがった物や割れ物は入れないでください。

資料を読むなら、川田伸一郎さんの子ども向けの回答(子ども大学)や、アズマモグラの解説は日本語で読めます。

アズマモグラの解説[1]と、国立科学博物館の研究者による子ども向けの回答[2]は日本語で読める。トウブモグラの嗅覚実験は日本語の報道[5]があり、ホシバナモグラと水中の嗅ぎは英語の報道[6][8]が入り口になる。原著論文はそれらの報道が挙げる著者名(Catania)から探せる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:日本語の解説・国立科学博物館の研究者の回答・報道と、英語の百科事典・報道を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. おもしろ哺乳動物大百科 No.061 アズマモグラ。https://www.elephanttalk.jp/site/pet-column/1010.html (アズマモグラの目・毛の触覚について)
  2. 子ども大学 川田伸一郎先生(国立科学博物館)の回答。https://cug.cu-mito.or.jp/report/answer_12-sp1/ (光の警報・体毛・アイマー器官の数について)
  3. Wikipedia「Eimer's organ」。https://en.wikipedia.org/wiki/Eimer's_organ (アイマー器官の構造と1871年の記載について)
  4. Wikipedia「European mole」。https://en.wikipedia.org/wiki/European_mole (ヨーロッパモグラの目・視覚の仮説について)
  5. ナショナル ジオグラフィック日本版「モグラの鼻、においを立体的に把握」。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7512/ (トウブモグラの左右の鼻孔の実験について)
  6. Smithsonian Magazine「How the Star-Nosed Mole ‘Sees’ With Its Ultra-Sensitive Snout」。https://www.smithsonianmag.com/science-nature/how-the-star-nosed-mole-sees-with-its-ultra-sensitive-snout-8926067/ (ホシバナモグラの星の大きさ・数・大脳皮質について)
  7. Wikipedia「Star-nosed mole」。https://en.wikipedia.org/wiki/Star-nosed_mole (判断の速さについて)
  8. Nature News (2006)。https://www.nature.com/news/2006/061218/full/news061218-5.html (ホシバナモグラの水中で泡を使った嗅ぎについて)

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