1. 目は ほんとうに 見えないの?
1. 目は小さいが、光は感じている
1. 退化した目 ── 直径約1mm、明暗の区別は可能
もぐらの 目は、毛の 下に あって、とても 小さいです。日本に いる あずまもぐらは、上と 下の まぶたが くっついて いると いわれます[1]。
でも、まったく 見えないのでは ないようです。あかるいか くらいかは、わかると いわれます[1]。
もぐらの 研究を して いる 人は、トンネルに あなが あいて 光が 入ると、それが きけんの しらせに なり、もぐらは トンネルを なおすと 話して います[2]。
毛の下の小さな目
日本にすむアズマモグラは、上下のまぶたがくっついていて、物の形は見えないと解説されています。それでも明暗は分かるようです[1]。近い仲間のヨーロッパモグラでは、目は直径約1mmで毛の下にあり、完全な盲目ではなく明暗を区別できると書かれています[4]。
光は「危険の合図」になる
国立科学博物館の川田伸一郎さんは、モグラは光くらいは感じていると説明しています。トンネルに穴が空いて光が入ると、それが危険信号になり、モグラはトンネルを修復するそうです[2]。目は、景色を見るためではなく、「どこかが破れた」と知るための道具になっているのかもしれません。
ヨーロッパモグラの目は直径約1mmで毛の下にあり、細胞性のレンズをもつが、完全な盲目ではなく明暗の区別課題ができるとされる。網膜の錐体細胞は高解像度の視覚には向かないが、動きの検出やわずかな色の区別には使える可能性が指摘されている。光受容体の外節はかなり退化している[4]。
アズマモグラは上下のまぶたが癒合し、目は見えないが明暗は分かるようだ、と民間の解説にある[1]。川田氏は、トンネルに穴が空いて光が入ると危険信号になり、モグラは修復行動をとると説明する[2]。地下性哺乳類の視覚は、トンネルに侵入した捕食者の検出に使われるのではないかという説もあるが、これは提案された仮説である[4]。視力の数値は、今回あたった資料では見つからなかった。
2. 体じゅうの 毛が「せんさー」?
2. 体中の毛が、トンネルの壁を読む
2. 体毛と触角 ── 壁への接触がトンネル内の位置を教える
くらい トンネルの 中では、体じゅうの 毛に ものが さわる かんじが、たいせつだと いわれます[2]。
あずまもぐらは、トンネルの かべに 毛が さわって いる ことで、「いま トンネルの 中に いる」と たしかめて いるようです[1]。
ちょうど、くらい へやで かべに 手を あてて あるく ときのようです。ただし もぐらは、手では なく 毛で さわって います。
3. はなさきの ちいさな ドーム
3. 鼻先のドーム ── アイマー器官
3. アイマー器官 ── 鼻先の触覚受容器(Eimer 1871)
もぐらの はなさきには、アイマーきかんと いう、ちいさな ドームの ような ものが たくさん あります[3]。
これは、ものに ふれた ことを かんじる、さわる ための しくみです。おされる かんじや ふるえを かんじとる、いろいろな しくみが まざって いるそうです[3]。
もぐらの 研究を して いる 人は、この きかんの かずは、多くの しゅるいで 数百、いちばん 多い ホシバナモグラでは 数万だと 話して います[2]。
4. ほしの はなを もつ もぐら
4. 星形の鼻をもつホシバナモグラ
4. ホシバナモグラ ── 22本の突起と約2万5千のアイマー器官
ほしばなもぐらは、はなさきが 星の かたちを して います。22ほんの とっきが ならんで、まるい かたちを つくります[6]。
大きさは、はば およそ1センチメートルです。この 小さな ところに、およそ2万5千の アイマーきかんが あると いわれます[6]。
この もぐらは、たべられる ものかどうかを、およそ 0.008びょうで きめると いわれます[7]。まばたきよりも ずっと はやい ようです。
1センチの星に集まる神経
ホシバナモグラの鼻先の「星」は22本の突起でできていて、直径は約1cmです。約2万5千〜3万個のアイマー器官があり、鼻先の約1cmに10万を超える神経終末が集まっています[6]。器官の数は資料によって幅があります。
8ミリ秒の判断
ホシバナモグラは、触れたものが食べられるかどうかを約8ミリ秒(0.008秒)で判断し、1つの獲物を食べるのにかかる時間は最短で120ミリ秒だと報告されています[7]。
星の一番小さな突起と、人の目の中心窩(ものを一番細かく見る部分)は、どちらも大脳皮質で広い面積を割り当てられているそうです。そのため、目の代わりに鼻で環境を「見ている」と解釈されています[6]。「見ている」は比喩で、視覚ではありません。
5. 右と 左の はなの あなで においを ききわける
5. 左右の鼻の穴で、においの向きを知る
5. 嗅覚 ── 左右の鼻孔による方向推定(Catania 2013)と水中の嗅ぎ
もぐらは、においも たよりに して います。アメリカに いる とうぶもぐらは、右と 左の はなの あなで、べつべつに においを とりこむと いわれます[5]。
そこで、けんきゅうを した 人が、かたほうの はなの あなを ふさぎました。すると、みぎの あなを ふさぐと ひだりへ、ひだりの あなを ふさぐと みぎへ すすんだと つたえられて います[5]。
ふたつの はなの あなで、においの 来る 向きを くらべて いるようです。ただし、あずまもぐらで おなじ じっけんを した ことは、しられて いません。
鼻をふさぐと、道がそれる
北米のトウブモグラの研究では、左右の鼻孔から別々ににおいを取り込み、においの向きを立体的に知っていると報告されています。左の鼻孔をふさぐと進路は右にそれ、右をふさぐと左にそれました。チューブで左右を交差させると、誤った向きに進んだとされています[5]。
水の中でも鼻を使う
ホシバナモグラは、水中で鼻から泡を吹いて素早く吸い戻し、においを嗅ぐことが報告されています。泡が獲物のにおいに届くと、75〜100%の割合で正しい道を選び、泡を遮ると50%に落ちました[8]。
これらはトウブモグラとホシバナモグラの実験です。アズマモグラでも同じかどうかは、今回の資料では分かりません。
トウブモグラは左右の鼻孔で別々ににおいを取り込み、においの方向を立体的に把握する。左鼻孔を塞ぐと進路は常に右へ、右鼻孔を塞ぐと左へそれ、チューブで左右を交差させると誤った向きに進んだ(Catania 2013, Nature Communications)[5]。対象は北米のトウブモグラで、アズマモグラで同実験を行った証拠は今回の資料にない。
ホシバナモグラは水中で鼻から泡を吹き、直ちに吸い戻してにおいを嗅ぐ(約1秒に10回程度)。泡が獲物のにおいに届くと75〜100%で正しい道を選び、泡を遮ると50%に落ちた(Catania 2006, Nature)[8]。正答率は出典により「75〜100%」「85%以上」と幅がある。
6. まだ わからない ことも あるよ
6. 目の代わりは、いくつも重なっている
6. 複数の感覚の重なりと、残る問い
もぐらは、体の 毛、はなさきの アイマーきかん、はなの あなで かぎとる においを つかって、まわりを しって いるようです。
ちいさな 目も、光が 入ってきた ときの しらせに なるようです。
でも、日本の あずまもぐらの はなさきに、アイマーきかんが どれくらい あるのかは、わかって いません[2]。ちかい なかまの 話を、そのまま あてはめては いけないのです。
ここまでの話をまとめると、モグラは、光を感じる小さな目、体中の毛、鼻先のアイマー器官、においを嗅ぐ左右の鼻孔を重ねて、暗い地下で周りをつかんでいるようです。
ホシバナモグラやトウブモグラの実験の結果を、そのままアズマモグラに当てはめることはできません。近い仲間では、という言い方が必要です。アズマモグラ自身のアイマー器官の数や、鼻先の受容体の測定値は、一般向けの資料では見つかりませんでした。
地下の動物で、視覚は、トンネルに入ってきた捕食者の検出に使われるのではないかという説もあります。ただし、これは提案された仮説です[4]。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちに ある ものを ふくろに 入れて、目を つぶって、手で さわって なにか あてる あそびを して みましょう。ゆびさきで かんじる ものが、いろいろ あると わかります。ふくろは かるい もの だけに して、とがった ものは 入れません。
本や ホームページで しらべるなら、あずまもぐらの かいせつが 日本語で 読めます。
今日できること:ふくろに家にある物を入れ、目をつぶって指先だけで当てる遊びをしてみてください。目を閉じても、指先や手のひらだけでどんな情報が手に入るかを考えられます。とがった物や割れ物は入れないでください。
資料を読むなら、川田伸一郎さんの子ども向けの回答(子ども大学)や、アズマモグラの解説は日本語で読めます。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:日本語の解説・国立科学博物館の研究者の回答・報道と、英語の百科事典・報道を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- おもしろ哺乳動物大百科 No.061 アズマモグラ。https://www.elephanttalk.jp/site/pet-column/1010.html (アズマモグラの目・毛の触覚について)
- 子ども大学 川田伸一郎先生(国立科学博物館)の回答。https://cug.cu-mito.or.jp/report/answer_12-sp1/ (光の警報・体毛・アイマー器官の数について)
- Wikipedia「Eimer's organ」。https://en.wikipedia.org/wiki/Eimer's_organ (アイマー器官の構造と1871年の記載について)
- Wikipedia「European mole」。https://en.wikipedia.org/wiki/European_mole (ヨーロッパモグラの目・視覚の仮説について)
- ナショナル ジオグラフィック日本版「モグラの鼻、においを立体的に把握」。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7512/ (トウブモグラの左右の鼻孔の実験について)
- Smithsonian Magazine「How the Star-Nosed Mole ‘Sees’ With Its Ultra-Sensitive Snout」。https://www.smithsonianmag.com/science-nature/how-the-star-nosed-mole-sees-with-its-ultra-sensitive-snout-8926067/ (ホシバナモグラの星の大きさ・数・大脳皮質について)
- Wikipedia「Star-nosed mole」。https://en.wikipedia.org/wiki/Star-nosed_mole (判断の速さについて)
- Nature News (2006)。https://www.nature.com/news/2006/061218/full/news061218-5.html (ホシバナモグラの水中で泡を使った嗅ぎについて)
なおした ところ
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