1. 0さいと 5さいは、どこが ちがうの?
1. 同じ園でも、0歳児と5歳児では流れが別物
1. 西宮市の例に見る、年齢ごとの一日の流れ
ある 市の ほいくえんの 一日を みて みましょう[2]。
0さいの 子は、朝 少しずつ 園に きて、あそびます。ミルクを のんで、ねむく なったら ねます。おきて あそんで、ごはんを 食べて、また ひるねを して、おやつを 食べて、おむかえを まちます。
3さいより 大きい 子は、あそんで、ごはんを 食べて、ひるねを して、おやつです。この 市では、ひるねを するのは 3さいと 4さいだけで、5さいの 子は ひるねを しません[2]。
ただし、これは 一つの 市の ばあいです。ほかの 市や 園では、ちがう ことも あります。
では、どうして 0さいの 子は、ねる 時間を そろえないのでしょう。
西宮市の公立保育所の一日の流れの例を見てみます[2]。
0歳児は、午前7時30分ごろから順に登所して遊び、ミルクや牛乳をとります。必要に応じて眠り、また遊び、食事をして午睡をし、おやつと遊びを経て降所します。眠りが一日に何度か入るのが特徴です。
3歳児以上は、登所、遊び、食事、午睡、おやつと遊び、降所という流れで、全員がほぼ同じ順に動きます。しかも午睡は3・4歳児だけで、5歳児は午睡の時間がありません[2]。
ただし、これは一つの市の例です。5歳児の午睡の有無は、自治体や園によって異なります。では、なぜ0歳児の眠りは、時計に合わせて決められていないのでしょうか。
西宮市の公立保育所の例では、0歳児は7時30分ごろから順次登所し、遊び、ミルク・牛乳、必要に応じた睡眠、遊び、食事、午睡、おやつ・遊び、降所と進む[2]。眠りが午前と午後に分かれて入る組み立てだ。一方、3歳児以上は登所、遊び、食事、午睡(3・4歳児のみ)、おやつ・遊び、降所で、全員が同じ順に動く。つまり5歳児では午睡が消え、一日の骨組みがクラス単位でそろう[2]。
この流れは一つの自治体の例であり、全国一律の決まりではない。5歳児に午睡を置かない園が多いと一般化することも、資料からはできない。ただ、年齢が上がるほど個別の眠りが減り、共通の流れに近づくという方向は、次の章の睡眠の発達とも整合する。
2. 赤ちゃんの ねむたい 時間は、ひとりひとり ちがう
2. 眠る時間は、時計ではなく一人ひとりに合わせる
2. 多相性の睡眠と、「生活のリズムに応じた午睡」
赤ちゃんは、夜に まとめて ねる ことが まだ できません。みじかく ねて、おきて、また ねる。これを 何回も くりかえします[6]。
大きく なると、夜に ながく ねる ように なって、ひるねは だんだん いらなく なります。
だから ほいくえんは、0さいの 子を、同じ 時間に ねかせません。ほいくの きまりを かいた 国の ものにも、一人ひとりの 生活の リズムに あわせて、安全な 場所で ぐっすり ねる、という ことが かいて あります[5]。
ねむい 時に ねられると、おきた あとの 気分も よく なります。ほいくえんの 先生は、あくびや 目の ようすを みて、ねむい 合図を 見つけて います。
赤ちゃんは、短い眠りを何度も繰り返す
乳幼児は、短い睡眠と目覚めを何度も繰り返す「多相性」の睡眠を示し、成長とともに夜にまとまって眠る「単相性」へ移っていくと、研究で説明されています[6]。年齢によって必要な昼寝の量が変わるのは、この発達の流れがあるからです。
だから、一斉に寝かせない
保育所保育指針の乳児保育の内容には、一人ひとりの生活のリズムに応じて、安全な環境のもとで十分に午睡をするという趣旨の記述があるとされています[5]。午睡は全員一律の時間割ではなく、その子の状態に合わせるという考え方です。
西宮市の例では、年齢が上がると園の流れは共通のものに近づいています。
では、眠りだけでなく、園の「勉強」にあたるものも、年齢で形を変えるのでしょうか。
乳幼児の睡眠は、短い睡眠と覚醒を繰り返す多相性を示し、発達に伴って睡眠―覚醒リズムが夜間に集中する単相性へと変わる、と報告されている[6]。そのため、0歳児を全員同じ時刻に眠らせようとしても、眠気のタイミングは子ごとにずれる。逆に年長児では夜の睡眠が主になり、昼の睡眠の必要量が下がる。これが、前章で見た「0歳は必要に応じて睡眠、5歳は午睡なし」の背景として考えやすい。ただし、午睡をやめる年齢の基準を、この資料は示していない。
保育所保育指針(2017年告示)についても、乳児保育の内容に「一人一人の生活のリズムに応じて、安全な環境の下で十分に午睡をする」という趣旨の記述があると、研究論文が引用している[5]。ここでは指針の原文を直接照合した形ではなく、論文による引用に依拠している。それでも、午睡を時間割として一斉に与えるのではなく、個々の生活のリズムを基準にするという方向が読み取れる。
3. 0さいの 子は、「べんきょう」を どう まなぶの?
3. 0歳児は「教科」に分けない ── 3つの視点
3. 乳児保育の「3つの視点」と1歳以上の「5領域」
小学校には、国語や さん数が あります。ほいくえんにも、教え方の 分け方が あります。
1さいから 5さいの 子には、「けんこう」「人との かんけい」「まわりの もの」「ことば」「ひょうげん」という 5つの 分け方が あります[1]。
でも、0さいの 子は ちがいます。分け方は 3つです。「げんきに のびのび そだつ」「身近な 人と 気もちが つうじ あう」「身近な ものと かかわって、かんじる 心が そだつ」[1]。
赤ちゃんは、だっこされて、にこっと して、おもちゃを なめて、一つずつ 身に つけます。べんきょうの 科目のようには 分けにくい のだと、考えられます。
0歳児の保育は、1歳以上の子の保育と書き方が異なります。保育所保育指針は、0歳児(乳児)の保育を「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」という3つの視点で書いています[1]。
1歳以上の保育は、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域で書かれています。0歳児に5領域があるわけではなく、5領域が始まるのは1歳以上からです[1]。
赤ちゃんの育ちは、体、人との関わり、ものへの興味が、ほとんど同時に動くのが特徴です。抱っこされて安心し、顔を見て笑い、手に触れたものをなめて確かめる。その一つひとつが、体と心と感覚を同時に育てているため、教科のようには切り分けにくいのだと、読み取れます。
つまり、年齢で変わるのは流れだけではありません。何を育てようとしているかの「数え方」まで、年齢で変わります。
保育所保育指針(2017年3月31日告示、2018年4月1日適用)は厚生労働大臣の告示で、保育の内容とこれに関連する運営事項を定める。全5章のうち、第1章が総則、第2章が保育の内容にあたる[4]。
第2章の特徴は、年齢で内容の書き方を変えていることだ。0歳児は「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」の3つの視点、1歳以上は「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域で示される[1]。0歳児に5領域があると読むのは誤りで、5領域は1歳以上からだ。
では、なぜ0歳だけ視点なのか。この資料は理由を明示していない。ただ、「領域」は教科ではなく、育ちを見る窓として使われるものだ。なぜこの数なのかは資料に説明がないため、理由は推測せず、1歳以上の5領域との違いに注目しておく。
4. あそんで いるだけで、ほんとうに まなべるの?
4. 「遊んでいるだけ」に見える時間が、学びになる理由
4. 「環境を通して行う保育」と、養護・教育の一体性
ほいくえんの 先生が たいせつに して いる ことの 一つは、「まわりの かんきょうを とおして 学ぶ」ことです[1]。
子どもは、毎日の 生活や あそびの 中で、人や もの、しぜんと かかわりながら 学ぶ と されています[1]。
たとえば、すなばで 水を ながす。水は 下へ ながれる、と 手で わかります。友だちと 同じ スコップを ほしがって、ゆずる ことを おぼえます。
ほいくえんは、生活の 場でも あります。ねる、食べる、あそぶが ぜんぶ つながって、子どもを 育てて いるのです[4]。
保育所の保育は「環境を通して行う保育」を基本とし、子どもの好奇心や集中力を支えるとされています。子どもは日常の生活や遊びの中で、人・もの・自然と関わりながら学びます[1]。
たとえば砂場で水を流せば、水は低いほうへ流れると体で分かります。同じスコップを友だちと取り合えば、順番や気持ちの伝え方を試すことになります。先生が教え込むのではなく、そうなる場や物を用意しておくのが、環境を通した保育です。
もう一つの特徴は、保育所が生活の場でもあることです。指針は、子どもの命を守り、気持ちを安定させる「養護」と、育ちを助ける「教育」を、一体として行うことを保育の特性としています[4]。おむつを替えながら声をかける時間も、保育の一部です。
遊びも、食べることも、眠ることも、バラバラの時間割ではなく、一日の中でつながっています。その例が、次の章の食事です。
保育所の保育は「環境を通して行う保育」を基本とし、子どもは日常の生活や遊びを通して、人・もの・自然と関わりながら学ぶとされる[1]。ここでの「環境」は、教室の設備だけではなく、保育者の関わり、他の子どもも含む広い概念として読める。重要なのは、遊びを学習の「前段階」や「休憩」と見なさず、それ自体を学びの主な場に置いている点だ。
この考え方を支えているのが、養護と教育の一体性である。指針の解説を引く研修資料によれば、養護とは子どもの生命の保持と情緒の安定を図る援助、教育とは発達を援助して活動を豊かにすることを指す[4]。保育所は生活の場であるため、この2つは時間で切り分けられず、一つの行為に同居する。たとえば食事の介助は、栄養の補給(養護)であると同時に、食べる意欲や言葉を育てる機会(教育)でもある。
養護と教育の法的な位置づけや保育士の役割そのものは、本記事の範囲を超える。ここでは、年齢別の流れや視点が、この一体性を前提に組まれていることを押さえておけばよい。
5. ごはんの 時間も、ほいくの 一つ?
5. 食べる時間も保育の一部 ── 調理員と先生の連携
5. 食育 ── 保育者と調理員の連携という設計
ほいくえんの ごはんは、おなかを いっぱいに するだけでは ありません。
ある 市の ほいくえんは、「食べる」ことで、食事の 楽しさや おいしさ、しぜんの めぐみ、作って くれた 人への ありがとうが 育つ ように、先生と 調理を する 人が 力を あわせて いる、と 書いて います[2]。
年れいに よって、食べる ものも、食べ方も かわります。それを 見まもりながら、先生と 調理の 人が 話しあいます。ごはんの 時間は、毎日 つづく、大事な 学びの 時間なのです。
食事も、年齢ごとの流れの中で重要な位置を占めます。西宮市の公立保育所は、食べることを通して、食事の楽しさやおいしさ、自然の恵みや食事を作ってくれた人への感謝の気持ちが育つように、保育者と調理員が連携して食育に取り組むとしています[2]。
ここで注目したいのは、「食べさせる」ではなく「楽しさ」「感謝」が目標に置かれている点です。ミルクの時期の0歳児と、みんなで食卓を囲む5歳児とでは、食べ方もそこで育つことも変わります。それでも、食事を保育の一部として扱う考え方は同じです。
ただし、この記述は一つの自治体の例です。食育の具体的な内容は園や自治体で異なります。
流れも育ちも、年齢で変わる保育園。では、子どもは一日のうち、どのくらいの時間を園で過ごしているのでしょうか。
西宮市の公立保育所は、食べるという行為を通して、食事の楽しさやおいしさ、自然の恵みや食材を作る人への感謝の気持ちが育つよう、保育者と調理員が連携して食育に取り組むとしている[2]。保育者と調理員が連携するとされており、食事の準備も園の保育とつながっている例だ。
食育の位置づけを国の指針から確認する作業はここでは行っていない。この一文は自治体の方針の記述にとどまり、他の園や自治体の取り組みを代表するものではない。それでも、前章の養護と教育の一体性を食事の場面に当てはめた例として読むことはできる。
6. ほいくえんには、なん時間 いるの?
6. 園にいる時間はどう決まるのか ── 標準時間と短時間
6. 保育標準時間と保育短時間 ── 利用区分の条件
ほいくえんで すごせる 時間には、2つの くぶんが あります[3]。
「ふつうの 時間」は、一日 8時間から、長くて 11時間まで。「みじかい 時間」は、長くて 8時間までです[3]。おうちの 人の 仕事の 時間などで、どちらかが きまります。
ある 市では、ふつうの 時間は 午前 7時30分から 午後 6時30分まで。みじかい 時間は 午前 8時30分から 午後 4時30分まで。その 外に、午後 7時までの のびた 時間も あります[2]。
「11時間」は、いつも 11時間 いる という 意味では ありません。長くて 11時間、という ことです。
保育を受けられる時間には、2つの区分があります。「保育標準時間」は、開園時間のうち原則8時間、最長11時間まで。「保育短時間」は、園が定めた最長8時間までです[3]。保護者の就労時間などで決まります。
西宮市の公立保育所の例では、保育標準時間は午前7時30分から午後6時30分まで、保育短時間は午前8時30分から午後4時30分までです。その外側に、午後7時までの延長保育があります[2]。
注意したいのは、最長11時間は「全員が11時間いる」という意味ではないことです。区分の細かい条件は、自治体ごとに決められています。
こうした時間の長さを考えると、保育園の一日に、眠る・食べる・遊ぶが全部入っている理由が見えてきます。保育園は、子どもにとって「生活の場」でもあるからです。
保育を受けられる時間は、2つの区分で整理される。保育標準時間は開園時間のうち原則8時間、最長11時間、保育短時間は園が定めた最長8時間である[3]。区分は保護者の就労時間などで決まる。
西宮市の公立保育所の例では、標準時間は午前7時30分〜午後6時30分、短時間は午前8時30分〜午後4時30分、延長保育は午後6時30分〜午後7時である[2]。標準時間の枠は11時間、短時間の枠は8時間だが、これは利用できる上限の枠であり、実際の在園時間ではない。
長い時間を過ごすからこそ、保育所には食事・午睡・遊びが組み込まれ、前章までの「生活の場」という性格が出てくる。年齢で変わる一日の流れは、こうした長さに耐える生活を、発達に合わせて設計し直した結果と読める。
7. 自分の 一日を、ふりかえって みよう
7. 自分の一日を、眠る・食べる・遊ぶで振り返る
7. 年齢ごとの「生活の設計」を、自分の経験と照らす
きょうの 一日を、じゅんばんに 思い出して みましょう。いつ おきて、いつ 食べて、いつ あそんで、いつ ねましたか。
むかし、小さい ころは どう だったのでしょう。おうちの 人に、ほいくえんや 家で、いつ ひるねを して いたか、聞いて みると おもしろいですよ。聞ける 人が いなければ、きょうの 自分の 一日を おもいだして みても いいですね。
こたえが 一つに きまらなくても だいじょうぶです。「そうだったんだ」と 思えたら、それが 学びの はじまりです。
今日の一日を、起きる・食べる・遊ぶ・眠るの順に思い出し、時刻を書き出してみると、自分の流れが見えてきます。毎日同じ時刻のものと、日によってずれるものがあるはずです。
小さいころのことを、家の人に聞くのもおもしろいでしょう。何歳ごろまで昼寝をしていたか。園では何時ごろ眠っていたか。覚えている人がいれば、今回の記事の「年齢で流れが変わる」を、身近な例で確かめられます。聞ける人がいなければ、今日の自分の一日を思い出して、食事や休みの流れを書き出してみるのもよい方法です。
もっと知りたくなったら、厚生労働省の保育所保育指針の解説や、お住まいの市区町村が公開している保育所の一日の流れを読み比べてみてください。同じ年齢でも、園によって工夫がちがうことに気づくはずです。
本記事で使った事実は、大きく3つ。①0歳児は3つの視点、1歳以上は5領域で書かれること、②眠りは時計ではなく個々のリズムに合わせること、③在園時間は2つの区分で決まること。これらは、保育所保育指針の概要ページ、自治体の資料、研究論文を突き合わせて整理したものだ。
自分で確かめるなら、保育所保育指針の告示本文を読み、乳児保育の内容に「生活のリズム」と「午睡」に関する記述が実際にどう書かれているかを照合するとよい。本記事では指針本文を直接確認していない箇所があるため、そこは原典で確かめる価値が高い。
もう一つは、自分が住む自治体の保育所の一日の流れを調べ、西宮市の例と比べることだ。5歳児の午睡の有無や延長保育の時間が、地域でどうちがうかが見えてくる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の事実は、次の資料から確かめています。指針本文は直接照合できていない箇所があり、その点は本文で弱めて書いています。
- 厚生労働省「保育所保育指針の改定について」 https://www.mhlw.go.jp/hoikusyo123/daizi/page-2.html (3つの視点・5領域・環境を通した保育)
- 西宮市「公立保育施設について」 https://www.nishi.or.jp/kosodate/hoikujo/hoikujo/hoikushisetsu/20240510.html (一日の流れの例・食育・保育時間)
- 大田区「保育時間について」 https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/kodomo/hoiku/hogosya/hoiku-jikan.html (保育標準時間と保育短時間)
- 厚生労働省「保育所保育指針(告示)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000800750.pdf (指針の構成・養護と教育の一体性)
- 中川ほか(2021)保育所保育指針を引く研究論文 https://meilib.repo.nii.ac.jp/record/838/files/mgjc.journal.2021.10.nakagawa.pdf (乳児の午睡に関する指針の引用)
- 乳幼児の睡眠に関する研究論文(静岡大学リポジトリ) https://shizuoka.repo.nii.ac.jp/record/6190/files/64-0143.pdf (多相性睡眠と単相性睡眠)
なおした ところ
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