1. おなじ とうほくで、なぜ 山の むこうと こっちで ちがうの?
1. 山をはさんで、東北の夏が分かれる
1. 奥羽山脈をはさんで、気温が分かれる理由
とうほくの まんなかには、ながい 山が つづいて います。夏、この 山の 東がわ(太平洋がわ)には、東から つめたくて しめった 風が ふきこむ ことが あります。この 風を「やませ」と いいます。
やませが ふくと、くもって、さむい 日が つづきます。ところが 山の 西がわ(日本海がわ)は、山に さえぎられて やませの えいきょうが よわいので、はれて あつい 日が つづきます。
では、この つめたい 風は、どこから 来るのでしょう。さがすと、きたの 海の 上の「高気圧」に たどりつきます。
東北地方には、中央を南北に奥羽山脈が走っています。夏のあいだ、太平洋側にやませが吹きこむと、曇りや霧雨で気温の低い日が続きます。日本海側では、霧や低い雲が奥羽山脈にさえぎられ、やませの影響をほとんど受けず、晴れが続いて太平洋側より気温が高くなります[1]。
つまり、同じ東北でも、山の両側で夏の天気がちがいます。
やませは、東北の太平洋側の人たちにとって、昔から夏の天気を左右する風でした。では、この冷たい東風は、どこで生まれるのでしょうか。
2. 「つめたい 高気圧」は、どうして できるの?
2. 冷たい海の上に、なぜ高気圧ができるのか
2. オホーツク海高気圧:冷たい海は、発生にどう関わるか
高気圧と いうと、あつい 夏の はれた 日を 思い うかべますね。でも、北の オホーツク海には、つめたい 高気圧が できます。
夏、ひろい りくの シベリアは、日ざしで 地面が あたたまります。オホーツク海は、つめたくて あたたまりにくい 水で いっぱいです。気象庁の せつめいでは、これが 高気圧の できる わけの ひとつです。
その 高気圧から、まわりへ 風が ふき出します。これが、やませの もとです。気象庁の せつめいでも、高気圧が いすわると、そこから つめたく しめった 風が ふき出すと せつめいされて います。
ただし、海が つめたい ことだけで 決まる わけでは ありません。わけは ほかにも あると されて います。
この高気圧は、オホーツク海高気圧と呼ばれます。オホーツク海付近に中心をもち、6〜7月に現れることが多く、下層に寒気をともなう高気圧です[1]。
なぜ、冷たい海の上に高気圧ができるのでしょうか。気象庁の北海道のコラムによると、夏のシベリアは日射で地面が暖まり、気圧が低くなります。逆にオホーツク海は、冷たいうえに暖まりにくい海水で満たされているため、海面付近では周囲より気圧が高くなります[2]。初夏まで海氷が残る冷たい海であることも、発生要因のひとつとされています[2]。
この高気圧から、冷たく湿った北東の風が吹き出します。日本の北の海上に冷たい高気圧が居座ると、そこから吹き出す風が、梅雨から盛夏にかけて東北へ届く、と解説されています[4]。これがやませの正体です。
ただし、海が冷たいことだけで決まるわけではありません。発生要因の「ひとつ」であることに注意してください。では、この高気圧は、何がきっかけで長居するのでしょうか。
オホーツク海高気圧は、オホーツク海付近に中心をもつ高気圧で、6〜7月に現れることが多く、下層に寒気をともなう[1]。気象庁の北海道のコラムは、その成り立ちを次のように説明している。夏のシベリアは日射で地面が暖まり、気圧が低くなる。これに対しオホーツク海は、冷たく暖まりにくい海水で満たされるため、海面付近では周囲より気圧が高くなる[2]。初夏まで海氷が残る冷たい海であることも、発生要因のひとつとされる[2]。
この高気圧が日本の北の海上に居座ると、そこから冷たく湿った北東風が吹き出す。梅雨から盛夏にかけて、これがやませとして東北に達する[4]。
冷たい海面は、発生要因のひとつである。コラムも冷たい海を「発生要因のひとつ」として挙げている[2]。では、高気圧が長居するかどうかは何で決まるのか。
3. 高気圧が いすわると、どうなるの?
3. 高気圧の居座りが、夏の気温に関わる
3. 偏西風の蛇行と、居座りの長さ
この 高気圧は、あらわれては すぐ きえる ことも あります。でも、一どき あらわれると、数日から 1しゅうかん ほど、ながい ときは 2しゅうかん ほども いすわります。
いすわると、その あいだ ずっと、つめたい 風が とうほくへ ふきつづけます。日ざしも すくなくなります。これが つづく 年は、夏が すずしい「れいか」に なります。
では、どうして いすわる 年と、すぐ きえる 年が あるのでしょう。空の 上の 風の 道すじが、おおきく うねって、うごかなく なる ことが きっかけだと せつめいされて います。くわしい しくみは、いまも けんきゅうが つづいて います。
オホーツク海高気圧は、ひとたび現れると、数日から1週間ほど、長いときは2週間ほど居座ります[2]。そして出現が多い年は、顕著な低温や日照不足になり、大きな冷害につながることもあります[2]。
つまり、やませの冷たさに加え、長く吹き続けるかどうかも、夏の気温に関わります。2週間続くと、稲にとっては大きな影響になります。
では、なぜ居座る年と、すぐ消える年があるのでしょうか。気象庁のコラムによると、偏西風が弱かったり、大きく蛇行していたりすると、発生・持続しやすくなります。5月ごろ、偏西風が大きく蛇行して気圧の尾根がほぼ動かなくなると、海面付近に高気圧ができて長く居座ることがあります[2]。
上空の風の流れが大きくうねって動かなくなると、地上の高気圧も居座りやすい、という関係です。詳しい仕組みについては、今も研究が続いています。
オホーツク海高気圧は、現れるとすぐに消えるとは限らない。ひとたび現れると数日から1週間程度、長いときは2週間ほど居座る。出現の多い年は顕著な低温と日照不足になり、大冷害につながることもある[2]。
ここから、夏の低温には、高気圧が現れるかどうかだけでなく、どれだけ居座るかも関わると読める。2週間続けば、稲の生育期間の大きな部分が冷たい風と日照不足にさらされる。
では、居座りを左右するのは何か。気象庁のコラムによれば、偏西風が弱かったり大きく蛇行していたりすると、オホーツク海高気圧は発生・持続しやすい。5月ごろ、偏西風が大きく蛇行して気圧の尾根がほぼ動かなくなると、海面付近に高気圧ができ、長く居座ることがある[2]。
上空の風の流れが停滞し、地上の高気圧が動かなくなる、という対応関係である。ただし、このうねりがなぜ生じ、なぜ長く続くのかという詳しい仕組みは、現在も研究の対象であり、解明が済んだとはいえない。では、実際の夏にどんな影響が出たのか。
4. れいかの 夏には、なにが おきたの?
4. 1993年と2003年の冷夏から分かること
4. 1993年と2003年:冷夏の実例と、高気圧だけでは説明できない点
1993ねんの 夏は、ほぼ ぜんこくで 記ろくてきに すずしい 夏に なりました。オホーツク海の 高気圧が たびたび あらわれ、やませで つめたい 風が 入って きたのです。気象庁の しらべでは、この 年の いねの できぐあいを あらわす 数字(さくきょう指数)は、ぜんこくへいきんで 74でした。ふつうの 年を 100と する めやすで、この 年は 74でした。この 年は、おこめが たりなくなり、「へいせいの 米そうどう」と よばれました。
2003ねんの 夏は、北海道で 気温が へいねんより 1.6度 ひくく なりました。7月21日には、へいねんより 4度 いじょう ひくい ところも ありました。
ただし、1993ねんの すずしさは、高気圧だけが わけでは ありません。ほかにも、雨が ふりつづく 天気が かさなって いました。
1993年の夏は、オホーツク海高気圧がたびたび現れ、やませの北東風で寒気が入りました。ほぼ全国的に記録的な低温となり、水稲の作況指数は全国平均で74の「著しい不良」でした[3]。作況指数は平年を100とした収穫の目安なので、平年の収穫より4分の1ほど少なかった計算です(資料により73などの記述もあり、74は気象庁の資料の値です)。全国的な米不足となり、「平成の米騒動」と呼ばれました[3]。
2003年は、北海道の夏の平均気温が平年より1.6℃低く、水稲の作況指数は73でした。7月21日には、オホーツク海側や太平洋側で、平年より4℃以上低い所もありました[2]。この73は北海道の値で、全国の値ではありません。
ここで、1つ大事なことがあります。1993年は、太平洋高気圧の張り出しが弱く、梅雨前線が日本付近に停滞しやすかった点も重なり、長雨と日照不足が続きました。沖縄・奄美を除いて梅雨明けを特定できなかった、唯一の年とされています[3]。オホーツク海高気圧だけが冷夏の原因ではありません。
この仕組みが実際の夏に現れた例が、1993年である。この夏は、オホーツク海高気圧がたびたび現れ、やませの北東風で寒気が入った。その結果、ほぼ全国的に記録的な低温となり、水稲の作況指数は全国平均74の「著しい不良」だった[3]。作況指数は平年の収穫を100とした値なので、平年より約4分の1少ない計算になる。資料により73などの記述もあり、ここでの74は気象庁(仙台管区気象台)の資料の値である。全国的な米不足から、「平成の米騒動」と呼ばれた[3]。
2003年には、北海道の夏の平均気温が平年を1.6℃下回り、作況指数は73の不良となった。7月21日には、オホーツク海側や太平洋側で、平年より4℃以上低い所があった[2]。この73は北海道の値で、全国値ではない。
ただし、1993年を高気圧だけで説明することはできない。この年は、太平洋高気圧の日本付近への張り出しが弱く、梅雨前線が停滞しやすかった点も重なり、長雨と日照不足が続いた。沖縄・奄美を除いて梅雨明けを特定できなかった唯一の年とされる[3]。冷夏は、複数の条件が同時に重なった結果として読むほうが、資料の記述に合う。
5. 夏に、とうほくの 天気を くらべて みよう
5. 天気予報で、山の両側の気温を見比べる
5. 気温と天気図で、高気圧の居座りを確かめる
きょう できる こと
6月から 7月に、テレビや 新聞の 天気よほうで、とうほくの 日本海がわと 太平洋がわの 気温を くらべて みましょう。ふだんは 気温が 近いのに、太平洋がわだけ ひくい 日が あれば、やませかも しれません。
天気図が のって いたら、きたの 海の 上に 高気圧の マークが ないか、おうちの 人と さがして みましょう。
気温を見比べる
6〜7月に、新聞やテレビの天気予報で、東北の日本海側と太平洋側の気温を見比べてみましょう。太平洋側だけが低い日が続いたら、やませかもしれません。
天気図を見る
気象庁のホームページには、過去の天気図が掲載されています。冷夏だった年と、そうでない年の6〜7月を見比べて、天気図で高気圧が現れていたかを見て、本文の説明と比べてみましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- 気象庁 東北地方の気候 夏. https://www.data.jma.go.jp/cpd/j_climate/tohoku/summer.html (やませの定義/山をはさんだ気温差/オホーツク海高気圧の定義)
- 気象庁 北海道の天候コラム「オホーツク海高気圧」. https://www.data.jma.go.jp/cpd/j_climate/hokkaido/column_okho.html (できる理由/居座る長さ/偏西風の蛇行/2003年の数値)
- 仙台管区気象台 災害・やませ(100周年記念). https://www.data.jma.go.jp/sendai/information/100th/articles/disaster_yamase.html (1993年の冷夏と作況指数)
- 科学技術振興機構 サイエンスポータル. https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20170627_01/ (高気圧からやませが吹き出す流れ)
なおした ところ
更新履歴
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