このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

目に 見えない 空気の 中の 水は、どうやって 雲に なるの?

目に見えない水蒸気は、どうやって雲になるのか ── 空気のちりと、雲が消えるまで

雲ができる条件 ── 上昇流・冷却・雲核の3つと、雨が雲を消すまで

分野:自然

雲は、水だけでは できません。空に ういている とても 小さな つぶ、ちりのような ものが ないと、はじまらないと いわれます[3]。

では、その ちりに 水は どう くっついて、やがて どう きえて いくのでしょう。空気が 上に もちあげられて、雨で きえるまでが わかります。

空気中の水蒸気は、目に見えません。そして、水蒸気がたっぷりあるだけでは、雲は始まらないといわれます。雲の発生には、空気中をただようちりなどの微粒子が必要です[3]。

では、その微粒子と水蒸気は、どんな順番で雲になるのでしょう。しかも雲は、雨を降らせると自分で消えていく面もあります。生まれてから消えるまでの流れが分かります。

空気中の水蒸気は、湿度100%になっただけでは雲粒にならない。実際の大気の過飽和度はたかだか1%程度で、雲粒の芯になれるのは、半径がおよそ0.1マイクロメートル以上の吸湿性の粒子(雲核)に限られるとされる[2]。

では、雲核はどの段階で働き、育った雲粒はなぜ雨になり、その雨がなぜ雲を消すのか。上昇流による冷却、雲核への凝結、衝突による成長、下降流による消滅の順に、因果のつながりが分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 雲は、空気が 上に もちあげられると できはじめる

1. 雲は、空気が持ち上げられた場所で生まれる

1. 雲の出発点は上昇流 ── 持ち上げられた空気が冷える

雲は、小さな 水の つぶが、上に むかう 風に のって ういて いるものです[1]。上に むかう 風を、「じょうしょうりゅう」と いいます。

空気は、上に あがるほど まわりが うすく なって ふくらみ、ひえて いきます。ひえた 空気には、水を ふくむ 力が へります。山の しゃめんや、ぶつかりあう 空気の まくなどで、空気は もちあげられると いわれます。

ただし、水が ふえる わけではありません。目に 見えない 水が、見える つぶに かわる のです。

雲は、小さな水の粒が、上向きの風(上昇流)によって浮かんでいるものです[1]。では、その水はどこから来るのでしょうか。もとは、空気にふくまれている目に見えない水蒸気です。

空気は持ち上げられると、まわりの圧力が下がって膨らみ、温度が下がります。冷えた空気は水蒸気をふくめる量が減るので、あふれた分が水の粒に変わりはじめます。空気が持ち上がる場所の例として、山の斜面、前線、低気圧の近くなどがあげられます。

水の量が増えるのではなく、見えない水蒸気が、見える粒に姿を変える。これが雲の出発点です。ただし、冷えれば自動的に雲になるわけではありません。次の章の条件が必要です。

雲の正体は、上昇流によって浮かぶ小さな水の粒だ[1]。では、その水はどこから来るのか。もとは空気中の水蒸気で、空気が持ち上げられることで状況が変わる。

持ち上げられた空気は、周囲の気圧が低いところへ移るため膨張し、外から熱をもらわなくても温度が下がる(断熱膨張)。空気が持ち上がる場所の例としては、山の斜面、前線、低気圧の近くなどが教材で挙げられる。水蒸気が凝結していない間の冷え方は、100mあたり約1℃とされる。雲の中のように飽和した空気では、凝結で熱が出るため、冷え方はそれより小さくなる。ただしその大きさは気温や高さなどの条件で変わり、一定ではない[2]。

空気の温度が下がれば、含める水蒸気の上限が下がり、湿度が100%に近づく。ここまでは「冷えれば雲になる」と考えたくなる流れだ。ところが実際には、湿度が100%に届いただけで水の粒が次々にできるわけではない。そのわけが次の章である。

2. 水の つぶには、くっつく 「あいて」が いる

2. 冷えるだけでは足りない ── 雲を始める小さなちり

2. 過飽和はたかだか1% ── 雲核になれる粒は限られる

空気が ひえても、水は すぐには つぶに なりません。空には、目に 見えない ちりのような 小さな つぶが たくさん うかんで います。水は、その つぶに くっついて、はじめて 水の つぶに なると いわれます[3]。

ちりは、雲の「たね」の ようなものです。たねが なければ、水は くっつく ばしょが 見つからず、つぶに なりにくいのです。

ここまでが、題名の 答えです。空気が 上に もちあげられて ひえる。そこに ちりが ある。水が ちりに くっついて、見える つぶに なる。これが 雲の はじまりです。

空気が冷えて、含められる水蒸気の限界をこえると、水の粒ができそうに思えます。ところが現実には、そう簡単ではありません。実際の大気では、湿度が100%をこえる量(過飽和度)は、たかだか1%程度にすぎないからです[2]。

そこで必要になるのが、空気中をただようちりなどの微粒子(エアロゾル)です[3]。水蒸気はこの粒の表面につくことで、水の粒になります。水の粒(雲粒)のたねになる粒は、半径がおよそ0.1マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)以上で、水をよく吸う性質のものに限られるとされます[2]。これを雲核と呼びます。

まとめると、題名の問いへの答えはこうです。空気が持ち上げられて冷え、そこに雲核があると、水蒸気が雲核につき、水の粒の雲ができます(氷の粒でできる雲には、別の道すじもあります)。見えなかった水蒸気が、ちりを足がかりにして目に見える姿になる。そう考えると、雲は空気とちりが組んでつくっているものだといえます。

水蒸気が水の粒になるとき、粒が小さいほど表面からは水が逃げやすく、何もない空間で粒が生まれるには、湿度が100%をかなり超える必要がある。ところが実際の大気の過飽和度(湿度が100%をこえた分)は、たかだか1%程度にすぎない[2]。つまり、何もないところで水の粒が自力で生まれるような高い湿度には、普通の大気はならない。

そこで働くのが、大気中を漂う微粒子(エアロゾル、エーロゾルとも)である[3]。水蒸気がその表面に凝結すれば、はじめから「ある程度の大きさの面」があるので、1%程度の過飽和でも水の粒が育つ。凝結の足場になる粒を凝結核といい、雲粒の芯として働くものを雲核と呼ぶ。自然の雲粒や霧粒で凝結核として働くのは、半径がおよそ0.1マイクロメートル以上で、水を吸いやすい(吸湿性の)粒子に限られる[2]。

ここまでが題名の答えになる。上昇流で空気が持ち上がって冷える、湿度が100%に届く、雲核に水蒸気が凝結する。この3つがそろうと、水滴の雲粒ができる(氷晶ができる雲は別の道すじになる)。なお、雲核の数が空気1立方センチメートルあたりいくつあるかは、この記事で使った資料では示されていないので、数字は挙げない。

3. 小さな つぶは、どうやって 雨つぶに なるの?

3. 雲の粒が、雨の粒になるまで

3. 雲粒から雨粒へ ── 体積100万倍の成長と、半径の計算

雲の つぶは、とても 小さいです。はんけいは およそ 0.01ミリ。かみの 毛の 太さの 5ぶんの 1ほどだと いわれます[3]。

この つぶが ぶつかって くっつき、すこしずつ 大きく なります。大きく なりすぎると、上に むかう 風でも ささえきれず、雨として おちはじめます[1]。

雨つぶは、雲の つぶが 体せきで 100まんばいほどに そだった ものだと、本の しょうかい記じで いわれます[3]。おちる とちゅうでも、まわりの つぶと ぶつかるので、雲の 下の ほうほど 雨つぶは 大きく なって います[1]。

雲の粒(雲粒)の半径は、およそ0.01ミリです。髪の毛の太さの5分の1ほどしかありません[3]。これでは、そのまま落ちてくることはなく、上昇流に支えられて浮かんでいます。

この粒どうしがぶつかってくっつくと、少しずつ大きくなります。粒の大きさに差ができると落ちる速さにも差が生まれ、大きな粒が小さな粒に追いついてぶつかり、さらに育ちます[3]。ある程度の大きさになると、上昇流では浮かべなくなり、雨として落ちはじめます[1]。落ちながらも雲の中の水滴とぶつかるので、雲の下のほうほど、雨粒は大きくなります[1]。

雨粒は、雲粒が体積で約100万倍に成長したものだと、本の紹介記事で説明されています。おおよその目安として読んでください[3]。100万倍と聞くと驚きますが、これは体積の話です。半径にすると、100万の3乗根で約100倍。0.01ミリの100倍は1ミリですから、計算上の雨粒の半径は1ミリほど、直径で2ミリほどになります。

雲粒の半径はおよそ0.01mm、髪の毛の太さの5分の1ほどしかない[3]。この小さな粒は、上昇流を振りきって落ちることができない。だが、雲粒どうしの大きさに差ができると落下速度に差が生まれ、衝突・併合(くっついて一つになること)によって雨粒が育つ[3]。ある程度の大きさになった水の粒は、上昇流では浮かんでいられず、雨として落下を始める[1]。

落ちる途中でも雲の中の水滴と衝突するので、雲の下のほうほど雨粒は大きい[1]。また、上昇流が地表付近の水蒸気を多く含む空気を吸いこむと、新しい小さな水滴が生まれて雲が大きくなることもある[1]。雲は上で作られ続け、中で育ち、下から落ちるという流れが同時に進む。

数字も確かめておく。雨粒は雲粒が体積で約100万倍になったものとされる(書籍の紹介記事にある概算の説明)[3]。体積は半径の3乗に比例するから、半径は100万の3乗根で約100倍。0.01mmの100倍は1mmで、直径2mm程度の水滴に相当する計算になる。これは「体積が100万倍」という説明の単純計算であり、実際の雨粒の大きさには幅がある。また、粒の個数の比ではない点にも注意したい。

4. 雨が ふると、雲が きえる ことが ある

4. 雨は、雲を消すほうにも働く

4. 雨が引きおろす下降流 ── 雲が消える条件

雨が おちる とき、まわりの 空気も いっしょに 下へ ひっぱります。すると 下に むかう 風が できます[1]。

この風で、上の 空の かわいた 空気が、雲の 中に はいって きます。かわいた 空気は、小さな 水の つぶを 目に 見えない 水に もどして しまいます。新しい つぶが できなく なると、雲は きえて いく ことが あります[1]。

気象庁きしょうちょうは、せつめいの ために、もくもくした 雲が 1じかんくらい 生きると かんがえて います。これは かりの はなしで、すべての 雲が 1じかんで きえる わけでは ありません[1]。

雲は、雨を降らせると、自分を弱らせる面を持っています。雨粒が落ちるとき、まわりの空気を下に引っぱって下降流ができるからです[1]。

この下降流のせいで、上空の乾いた空気が雲の中に入ってきます。乾いた空気に触れた小さな水滴は蒸発してしまいます。上昇流が弱まって新しい水滴もできなくなり、小さな水滴がなくなると雲は消えます[1]。

気象庁は、積雲(もくもくした雲)が1時間程度の命をもつと仮定して、この流れを説明しています。ただし、1時間は説明のための仮定です。すべての雲がそうだという意味ではありません[1]。雲を育てた上昇流と、雨が起こした下降流。その入れかわりが、雲の一生をつくっているわけです。

雲が育って雨になると、雨はそこで終わりではなく、雲に影響を返す。雨粒が落下するとき、周囲の空気を下へ引きずるため下降流が生まれる[1]。

この下降流が起きると、雲の中に上空の乾いた空気が入る。乾いた空気では小さな水滴が蒸発し、新しい水滴も生まれなくなる。そうして小さな水滴が尽きたとき、雲は消える[1]。つまり、雲が育つ条件(上昇流で湿った空気が補給されること)が、雨による下降流で失われるため消滅に向かう、という因果になっている。

気象庁の説明は、積雲が1時間程度の命をもつという仮定を置いている。これは筋道を示すための仮定で、すべての雲の寿命ではない[1]。なお、氷の粒を経由して降る雨(冷たい雨)の道すじは、この記事では扱わず、別の記事で取り上げている。

5. まどから、雲の 一生を 見て みよう

5. 窓の外で、雲が生まれて消えるのを待つ

5. 雲の一生を自分の目で追う ── 仮定の「1時間」と見比べる

よく はれた 日に、まどから もくもくした 雲を さがして みましょう。ぜったいに、太陽を 直せつ 見ては いけません。

雲の かたちを かんたんに ノートに かいて、10分ごとに 見くらべます。大きく なって いるでしょうか。まんなかが くずれて きえて いませんか。

雨が ふりそうな ときは、雲の 下の はしが どう なって いるかも 見て みましょう。気象庁きしょうちょうの 1じかんは かりの はなしです。みなさんの 空では、どのくらいで きえるでしょう。

雲は、見ようと思えばすぐに観察できます。晴れた日に、窓から小さな積雲(もくもくした雲)を一つ選んでください。太陽は直接見ないよう、いつも太陽から離れた雲を選びます。

10分おきに、雲の形と大きさを簡単にスケッチします。雲が育っているときは、上昇流が水蒸気を運んでいるのかもしれません。ふちがほぐれて薄くなり、形がくずれてきたら、消えていく段階かもしれません。

気象庁が仮定した「1時間」と、自分の空の雲の寿命を見比べるのも一つの楽しみです。育ち方も消え方も、その日の空気しだいなので、人によって答えが変わるはずです。雲の育ち方をもっと知りたくなったら、気象庁のこども向けページ「雨と雲」の回答が、この記事の説明の元になった資料です[1]。そこには、雨雲が大きくなる流れが短くまとまっています。

この記事の因果は、上昇流で冷える、雲核に凝結する、衝突で育って雨になる、下降流で消える、の4段だった。窓から雲を一つ追えば、どの段がいま見えているかを自分で判断できる。晴れた日に積雲を一つ選び(太陽を直接見ないこと)、10分おきに形と大きさを記録する。

見るポイントは2つ。成長中はふちが盛り上がって輪郭がはっきりしており、消えかけは輪郭がぼやけて薄くなっていく、という違いがあるはずだ。そして、気象庁が説明のために仮定した「1時間」と、観察した寿命を比べる。1時間は仮定で、すべての雲の寿命ではない[1]。

原典にあたるなら、まず気象庁こどものひろばの「雨と雲」の回答を読み、雲核については大百科全書の「凝結核」の項を開くとよい[1][2]。荒木健太郎ほか『図解 天気の話』は、紹介記事から本の存在を知り、本そのものにあたる手がかりにできる[3]。雲核の数や、冷たい雨の細部は、ここで挙げた資料では扱われていないので、次に調べる題材になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。数値・説明は、それぞれ次の資料に基づきます。

  1. 気象庁「こどものひろば よくある質問(雨と雲)」 https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a1_05.html (雲と上昇流、雨になる流れ、下降流による消滅と1時間の仮定)
  2. 日本大百科全書「凝結核」(コトバンク) https://kotobank.jp/word/%E5%87%9D%E7%B5%90%E6%A0%B8-52578 (過飽和度1%程度、雲核の条件。冷え方の目安は辞典類の記述による)
  3. serai.jp「荒木健太郎ほか『図解 天気の話』(日本文芸社)の紹介記事」 https://serai.jp/living/1242401 (エアロゾルの必要性、雲粒の大きさ、体積約100万倍)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。