このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

しん たまねぎは、きっても なみだが 出にくいって ほんとう?

新玉ねぎは、切っても本当に涙が出にくいのか

新玉ねぎは本当に涙が出にくいのか:催涙成分が生じる反応と、新旧の玉ねぎを比べた資料の範囲

分野:自然

目に しみる ものは、たまねぎの 中に はじめから 入って いるのでは ありません。ほうちょうで きった あとに、中に あった 「もと」から、はじめて できると 考えられて います。

では、はるに 出まわる 「しん たまねぎ」は、きっても なみだが 出にくいのでしょうか。なみだを 出なく した たまねぎでは、なみだの もとに なる はずだった ものが べつの ものに かわる ことも わかって います。この ページを 読むと、なみだの できる ところと、しん たまねぎに ついて 言えることが わかります。

目を刺激する催涙成分は、玉ねぎの中に最初からあるものではありません。中にあるのは材料になる物質で、包丁で組織や細胞をこわしたあとに、初めて催涙成分が作られると説明されています[1]。

では、春先に出回る新玉ねぎは、本当に涙が出にくいのでしょうか。辛みが少ないという資料はありますが、涙の出方そのものは、まだ比べられていないようです。涙の出ない玉ねぎが作られたとき、催涙成分になるはずだった硫黄の成分は、別の化合物に流れたことも報告されています。この記事を読むと、涙ができる順番と、新玉ねぎについて言えること・言えないこと、家で切り比べるときの条件のそろえ方が分かります。

玉ねぎの催涙成分そのものは、切断前の組織内には存在せず、前駆物質から、組織や細胞が破砕されたあとに初めて生成される[1]。この前提に立つと、「新玉ねぎは涙が出にくい」という通説は、収穫後の乾燥の有無や辛みの強さとは別に、切った直後の反応で何が変わるのかを問うことになる。

辛みが少ないことを示す資料はあるが、新玉ねぎと貯蔵玉ねぎで涙の量や催涙成分の量を直接比べた公的資料や論文は、今回の範囲では見当たらない。この記事を読むと、催涙成分が生じる二段階の反応、新玉ねぎの位置づけ、比較の難しさ、涙の出ない玉ねぎの研究例、そして条件をそろえた切り比べの考え方が分かる。涙を抑えた玉ねぎでは、前駆物質由来の反応産物の一部が別の化合物へ流れるという、意外な行き先も出てくる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. なみだの もとは、いつ できるの?

1. 涙のもとは、切ったあとの反応で作られる

1. 催涙成分は貯蔵されておらず、組織の破壊後に二段階で生じる

たまねぎを きると、目が いたくなって なみだが 出ます。それなら、たまねぎの 中には、なみだの もとが ぎっしり つまって いるのでしょうか。

じつは、ちがうと 考えられて います。たまねぎの 中に あるのは、まだ なみだの もとに なる まえの ものです。ほうちょうで たまねぎの 中が こわれると、その ものと、それを かえる 「酵素こうそ」という はたらきものが 出会います。そこで 一つ めの はたらきが おこり、その あとに もう 一つの こうそが はたらいて、はじめて 目に しみる ものが できます。

たとえば、こなの ジュースの もとと、水が ちがう ふくろに 入って いて、ふくろを やぶると まざる ようすを 思いうかべて ください。やぶる まえは、まだ なにも おきません。ただし、これは わかりやすくした たとえで、ほんとうは もっと 細かい ものです。

この 二つ めの こうそは、2002年に 日本の 会社の けんきゅうで 見つかりました。それまでは、一つ めの はたらきの あとは、ひとりでに なみだの もとが できると 思われて いました。

玉ねぎを切ると涙が出るのは、玉ねぎの中に涙のもとがたまっているからだ、と考えたくなります。ところが、催涙成分そのものは切る前の玉ねぎにはなく、材料の物質から、組織や細胞がこわれたあとに初めて作られるとされています[1]。

切る前の玉ねぎにあるのは、PRENCSOと呼ばれる前の段階の物質です。包丁で細胞がこわれると、これがアリイナーゼという酵素こうそで分解され、プロペニルスルフェン酸という物質ができます。そこに催涙因子合成酵素(LFS)が働くと、目を刺激する催涙成分になります[2]。切る前は材料と酵素が別々の場所にあり、切ったときに出会う、という順番です。

この二つ目の酵素は、2002年10月17日にハウス食品の今井真介さんらが、英科学誌Natureに発表しました。それまでは、アリイナーゼで分解したあとの催涙成分は、自然にできると考えられていました。実験の中での偶然の発見だったと伝えられています[2]。

涙が、切ったあとに進む反応で作られるなら、ほかの条件で涙の出方が変わるのでしょうか。次に、春の新玉ねぎが普通の玉ねぎと何がちがうのかを見ます。

催涙成分(LF)は、玉ねぎ中に既存の化合物として蓄えられているのではない。切断前に存在するのは前駆物質で、組織や細胞が破砕されたあとの酵素反応で、はじめて生成される[1]。切る前の玉ねぎに存在するのは前駆物質PRENCSOであり、細胞が壊れるとアリイナーゼ(酵素こうそ)によって分解されてプロペニルスルフェン酸となる。これに催涙因子合成酵素(LFS)が作用して、催涙成分が生じる[2]。切断前は基質と酵素が別の区画にあり、細胞の破壊で接触する、という順序である。

この第二の酵素LFSは、ハウス食品の今井真介らが2002年10月17日に Nature 誌(419:685)で報告した。それ以前は、アリイナーゼがはたらいたあとの催涙成分は自然に生成すると考えられており、玉ねぎに必要な酵素はアリイナーゼだけだとみなされていた。LFSは実験の過程で偶然見つかったと伝えられる[2]。

涙の正体が切断後の反応で決まるなら、「新玉ねぎは涙が出にくい」という通説は、収穫後の扱いや辛みの強さが、この反応のどこに効くのかという問いになる。ところが、この問いを直接検証した資料は、後で述べるとおり見当たらない。では、新玉ねぎは、そもそも普通の玉ねぎと何がちがうのか。

2. しん たまねぎは、ふつうの たまねぎと なにが ちがうの?

2. 新玉ねぎは、ふつうの玉ねぎと何がちがうのか

2. 新玉ねぎの位置づけ:乾燥の有無と、資料が述べる辛み・水分

スーパーの たなで、はるに なると 「しん たまねぎ」が ならびます。ふだんの たまねぎは、かわが かさかさして、ずっしり かたいのに、しん たまねぎは やわらかくて みずみずしい ものが 多いです。

日本の たまねぎの 多くは 黄色い たまねぎで、とれた あと 一か月ほど かわかして から お店に 出されます。かわかすと、長く おいて おけます。いっぽう はるさきに 出る しん たまねぎは、かわかさずに はやく 出します。やさいの ことを しらべて 知らせる ところ(ALIC)の しりょうでは、からみが すくなく、サラダなど 生でも 食べやすいと かかれて います。

その かわり、みずが 多くて いたみやすいので、はやめに 食べきる ように、とも 書かれて います。

ここで 気を つけたいのは、「からみが すくない」と 「なみだが 出にくい」は、同じ ことでは ない ことです。しん たまねぎの なみだを くらべた しりょうは、見あたりません。

スーパーで春になると並ぶ新玉ねぎは、ふだんの玉ねぎより皮がうすく、やわらかくてみずみずしい、という印象があります。農畜産業振興機構(ALIC)の説明を読むと、その理由の一つが分かります。

日本で出回る玉ねぎの大部分は黄玉ねぎで、辛みがあり貯蔵性が高いのが特徴です。収穫したあと約1か月乾燥させて出荷するのが一般的です。一方、春先に出る府県産の新玉ねぎは、辛みが少なく、生やサラダでも食べやすいと説明されています[3]。この約1か月は黄玉ねぎの一般的な話で、すべての品種に共通するわけではありません。

新玉ねぎは、収穫後すぐに出荷されます。水分が多くて傷みやすいので、できるだけ早く食べ切るように勧められています[4]。ハウス食品の案内でも、乾燥させていない新玉ねぎは保存がきかないため、冷蔵庫の野菜室に入れるとされています[5]。

ここまでで分かるのは、新玉ねぎが「乾燥させず早く出す」「水分が多い」「辛みが少ない」と説明されていることです。涙が出にくいとは、どこにも書かれていません。辛みが少ないことと涙が出にくいことは、別の話です。

では、涙の出方を比べた資料は本当にないのでしょうか。

日本で流通するたまねぎの大部分は黄たまねぎで、辛みがあり貯蔵性が高い。収穫後に約1か月乾燥させて出荷するのが一般的である。一方、春先に出る府県産の新たまねぎは辛みが少なく、生食やサラダにも向く、とALICの野菜情報は説明している[3]。ただし約1か月という乾燥期間は黄たまねぎの一般的な話であり、全品種に共通するとは限らない。また、

新たまねぎは収穫後すぐに出荷され、水分が多く傷みやすい。ALICの消費者向けページは、できるだけ早めに食べ切るよう勧め、生で薄く切って水にさらすと辛みがやわらぐ、とも述べる[4]。ハウス食品の食材辞典も、乾燥させていない新玉ねぎは保存がきかないので冷蔵庫の野菜室に入れるよう案内している[5]。

この二つの説明をつなぐと、新玉ねぎは「乾燥させず早く出荷する」「水分が多い」「辛みが少ない」と特徴づけられる。ところが、辛みが少ない理由が、品種、水分、乾燥の有無のどれにどの程度よるのかは、資料から因果まで言えない。さらに、辛みの少なさと涙の出にくさは別の量であり、新玉ねぎの催涙成分の量を貯蔵玉ねぎと比べた資料も、今回確認した範囲にはない。

では、なぜ涙そのものは比べにくいのか。

3. なみだを くらべるのは、どうして むずかしいの?

3. 涙の出方を比べるのが、思ったより難しい理由

3. 催涙成分の比較が難しい理由:品種・貯蔵期間・測り方

なみだの 出かたを くらべる ときは、まず「なみだが 出た」を どう 数えるかが むずかしいです。かんじ方は 人に よって ちがうし、同じ 人でも、その 日の ようすで かわるかも しれません。

けんきゅうする 人が、たまねぎの 中の なみだの もとが どれくらい あるかを はかる やりかたも あります。外国の ある けんきゅうでは、二つの たまねぎを 四か月ほど おいて、あいだに はかりました。すると、たまねぎの しゅるいで ちがい、おいて いる あいだにも かわり、きって から はかるまでの 時間でも 大きく かわる、と つたえられて います。

この けんきゅうは、しん たまねぎと ふつうの たまねぎを くらべた ものでは ありません。いまの ところ、「しん たまねぎは なみだが 出にくい」とも「出にくく ない」とも、言いきれません。

涙の出方を比べるには、まず「どれだけ涙が出たか」をそろえて測る必要があります。感じ方には個人差があり、同じ人でも体調や目の乾きで変わるかもしれません。

催涙成分の量を機械で測る方法もあります。ただ、その測り方が結果を左右するという報告があります。2種類の玉ねぎを約4か月貯蔵し、貯蔵のあいだに測った研究では、催涙成分の量と元になる物質の量の関係が品種によってちがい、貯蔵中にも変わりました。さらに、切ってから測るまでの時間でも、結果が大きく変わったとされています[6]。

この研究は、新玉ねぎと貯蔵玉ねぎを比べたものではありません。2品種を長く貯蔵した場合の話なので、新玉ねぎの話に直接つなげるのは慎重にするべきです。ただ、品種、貯蔵のしかた、測るタイミングという3つの条件が結果に響くことは、比べるときに気をつけるべき点として分かります。

今の資料から確かに言えるのは、新玉ねぎが辛みが少なく水分が多いと説明される、というところまでです。涙の出方については、家で切り比べると、感じ方の違いを確かめることはできます。

ところで、涙の出ない玉ねぎを、実際に作った人たちがいます。

新旧の玉ねぎを比べる難しさは、測定にもある。Kopsell らの研究(HortScience 2002)は、2品種のたまねぎを約4か月貯蔵し、その間に催涙成分の量と前駆物質(1-PRENCSO)との関係を調べた。結果として、両者の関係は品種によって異なり、貯蔵中にも変化した。切ってから測定までの時間(培養時間)によっても、定量結果が大きく変わったという[6]。ただし、ここで述べたのは抄録の範囲である。

この研究は新玉ねぎ対貯蔵玉ねぎの比較ではない。2品種を長期貯蔵した場合の結果であり、新玉ねぎへそのまま外挿はできない。それでも、品種、貯蔵、測定タイミングという3つの条件が、催涙成分の量に影響し得ることは示している。したがって新旧を比べる実験では、品種を同じにし、切ってから評価するまでの時間をそろえないと、差が見えても何のちがいか分からない。

以上から、現時点で言えるのは次の範囲である。新玉ねぎは、乾燥させず早く出荷され、水分が多く辛みが少ないと説明される。しかし、涙の出にくさを新旧で直接比べた資料は見当たらないので、「涙が出にくい」は検証されていない通説にとどまる。

一方で、涙のもとの生成を意図して止めた玉ねぎは、実際に作られている。次に、その例を見る。

4. なみだが 出ない たまねぎは、つくれるの?

4. 涙が出にくい玉ねぎは、仕組みを止めて作られている

4. 反応の途中を止める:LFSの抑制と、品種改良のタマネギ

なみだの もとを つくる こうそが はたらかなければ、なみだは 出にくく なるはずです。この 考えから、ハウス食品という 会社は、きっても なみだが 出にくい 「スマイルボール」という たまねぎを 作り、2015年から 売って います。からみも ほとんど 感じない、と かかれて います。

これは しん たまねぎではなく、たねから 作りなおした べつの たまねぎです。しん たまねぎと、スマイルボールを まちがえない ように しましょう。

ニュージーランドの けんきゅうしゃも、たまねぎの 「こうそを つくる もと」の はたらきを おさえて みました。すると、きずを つけても なみだの もとが とても 少なく なりました。もっとも よく 下がった ものでは、こうその はたらきが 1544分の1までに なった、と つたえられて います。

そのとき、なみだの もとに なる はずだった ものは、どこへ いったのでしょう。べつの ものに ながれた、と 書かれて います。つまり、なみだが 出なく なるのは、たまねぎの 中身が かわる ことでも あるのです。

涙のもとを作る酵素LFSが働かなければ、涙は出にくくなるはずです。この考えから、ハウス食品は「スマイルボール」というタマネギを開発し、2015年から青果として販売しています。切ったときに催涙成分がほとんどできないので、調理中に涙が出ず、生で食べても辛みをほとんど感じないと説明されています[7]。

これは新玉ねぎではなく、品種改良のタマネギです。新玉ねぎの話と混ぜないようにしましょう。

ニュージーランドの研究者らも、遺伝子の働きを抑える方法(RNA干渉)で、LFSを働きにくくした玉ねぎを作りました。酵素の活性が、最も大きく下がったもので通常の約1/1,544にまで低下し、傷つけても催涙成分がごく少なくなったと、2008年に報告しています[8]。1,544倍は、いちばん下がった玉ねぎの上限の数字で、すべてがそこまで下がったわけではありません。

面白いのは、材料の行き先です。LFSを止めると、材料から生じた硫黄を含む成分の一部は別の化合物へ流れたと、この論文は述べています[8]。涙が出ないということは、玉ねぎの中で起きる反応が別の道に変わった、ということでもあります。

この二つの例は、涙の有無が反応の途中で決まることを示しています。一方で、新玉ねぎの涙の出方が、同じように決まるかどうかは、これらの研究からは分かりません。それでも、家にある玉ねぎで、切ったときの感じ方を比べてみることはできます。

LFSの働きを止めれば、催涙成分の生成は減るはずである。この発想で、ハウス食品は「スマイルボール」を開発し、2015年から青果として販売している。切断時の催涙成分生成が極端に少ないため調理時に涙が出ず、生食でも辛みをほとんど感じないという[7]。なお、これは新玉ねぎではなく品種改良のタマネギなので、混同しない。ここでは、催涙成分が少ない玉ねぎが辛みも少ないことが示されているが、新玉ねぎでも同じ関係だとは言えない。

基礎研究としては、Eady らがRNA干渉でLFS遺伝子を抑えた玉ねぎを作り、酵素活性が最大で1,544分の1に低下し、損傷しても催涙成分がごく少なくなったと報告した(Plant Physiology 2008)。1,544倍は最も下がった個体の数字で、全体の平均ではない。前駆物質由来の反応産物の一部は、別の化合物(ジ-1-プロペニルチオスルフィネートなど)へ流れた[8]。

この二つの例は、涙の有無が切断後の反応の途中で決まること、そして途中を止めると、基質の行き先が変わることを示す。では、新玉ねぎは貯蔵玉ねぎと、この二段階の反応のどこかがちがうのか。そもそもちがいがあるのかも含めて、調べた資料は見当たらない。

資料が足りないなら、条件をそろえた比較を自分で組み立てるのが、最も確実な確かめ方になる。

5. おうちで、きりくらべて みよう

5. 条件をそろえて切り比べる

5. 自分で条件を設計する:切り比べの手順と、読む価値のある原典

きょう できる こと

しん たまねぎと、ふつうの たまねぎが 家に そろう ときに、おうちの 人と やって みましょう。ほうちょうは かならず おとなに つかって もらいます。

同じ ほうちょうで、同じ ふとさに 切り、同じ ばしょで、同じ 時間 だけ 切ります。切る まえに ひやして おくか どうかも、そろえます。切って いる あいだ、目が どれくらい しみたかを、「ぜんぜん」「ちょっと」「かなり」の三つで、おとなの 人にも 聞いて みます。

わかった ことを、ノートに かいて おきます。一回だけの けっかでは、本当の ちがいか どうか、まだ わかりません。べつの 日に もう 一回 やって、おなじに なるか 見て みましょう。

気を つける こと

目に しみた ときは、こすらずに、水で あらいます。目が ずっと いたい ときは、すぐに おとなに つたえます。

切り比べの手順

新玉ねぎと貯蔵玉ねぎがそろったら、大人と一緒に切り比べてみます。包丁は大人に使ってもらってください。

そろえる条件は、包丁、切り方(同じ厚さ)、切る時間、切る前に冷やしたかどうか、換気の状態、の5つです。ハウス食品の案内では、切る前に冷やすことや、切り口を水でぬらすことが涙対策として挙がっています[5]。今回はそれを両方に同じようにして、ちがいだけを見ます。

涙の感じ方は、「ぜんぜん・少し・かなり」の3段階にして記録します。1回で決めずに、別の日にもう一度やって、同じ結果になるかを確かめてください。第3章で見たとおり、条件がそろわないと、何のちがいか分かりません。

切った玉ねぎは、新玉ねぎなら傷みやすいので、早めに食べ切りましょう。薄く切って水にさらすと辛みがやわらぐと説明されているので[4]、切ったあとの味見も、涙とは別に比べられます。目に違和感があるときは、こすらずに水で洗い、続くようなら大人に相談します。

この先を調べるなら

ハウス食品の発表[1]は、涙ができる仕組みを日本語で読める入口です。新玉ねぎの公的な定義が農林水産省などの資料にどう書かれているかは、次に調べ甲斐のある問いです。

比較実験を設計する

新旧の玉ねぎを比べる実験で、結果を解釈できるようにするには、変える条件を1つに絞る必要がある。ここでは、乾燥の有無(新玉ねぎか貯蔵玉ねぎか)だけを変え、包丁、厚さ、切る時間、冷却の有無、換気を共通にする。品種や貯蔵条件もそろえられるなら、そろえる。市販品では品種や収穫時期も違い得るので、そろえられない場合、差が出ても乾燥の有無だけが原因とは限らず、参考程度の結果になる。ハウス食品の案内には、切る前に冷やす、切り口を水でぬらす、といった涙対策が紹介されている[5]。比較ではこれらも両方に同じ処理をする。

評価は「ぜんぜん・少し・かなり」の3段階など、主観に頼るため、複数回、可能なら日を変えて繰り返す。切ってから評価するまでの時間も、第3章の研究が示したとおり、結果を大きく左右し得るのでそろえる。それでも個人差があるため、1人の結果で新旧のちがいを断定することはできない。包丁は大人が使う。目に違和感があればこすらず水で洗う。

原典を読むなら

催涙成分が生じる反応は、ハウス食品の資料[1]とScience Newsの記事[2]で日本語・英語の両方から読める。新玉ねぎの扱いはALIC[3][4]、貯蔵と測定の関係は[6]、LFSを抑えた玉ねぎはEadyらの論文[8]に当たれる。「新玉ねぎの公的な定義」は、農林水産省などの一次資料で見つかっておらず、今回はALICの説明を使った。その資料を探すこと自体が、次の問いになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. ハウス食品グループ 日本農芸化学会賞関連資料(2025). https://www.jsbba.or.jp/wp-content/uploads/file/award/2025/JSBBAaward_abstracts_2025-07_housefoodsgroup.pdf (催涙成分は切った後にできる)
  2. Science News(催涙因子合成酵素の発見を伝える記事). https://www.sciencenews.org/?p=34770 (二段階の酵素反応と2002年の発表)
  3. 農畜産業振興機構(ALIC)野菜情報(たまねぎ). https://alic.go.jp/content/001263715.pdf (黄たまねぎと新たまねぎのちがい)
  4. 農畜産業振興機構(ALIC)消費者コーナー. https://alic.go.jp/koho/kikaku03_000788.html (新たまねぎの水分と食べ方)
  5. ハウス食品 食材辞典「玉ねぎ」. https://housefoods.jp/recipe/syokuzai/onion.html (保存と涙対策の案内)
  6. Kopsell, D. E. et al. Incubation time, cultivar, and storage duration affect onion lacrimatory factor quantification. HortScience 37(3):567 (2002). https://iifiir.org/en/fridoc/incubation-time-cultivar-and-storage-duration-affect-onion-125581 (品種・貯蔵・測り方と結果)
  7. ハウス食品グループ ニュースリリース(涙の出にくいタマネギ). https://housefoods-group.com/newsrelease/pdf/namida.pdf (スマイルボールの説明)
  8. Eady, C. C. et al. Plant Physiology 147:2096 (2008). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2492635 (LFS遺伝子を抑えた玉ねぎ)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。