1. ジュースを とる まえに、かわの あぶらを とるのは どうして?
1. 搾る前に皮の油を取る:果汁と油を分ける理由
1. 皮の精油は、なぜ搾汁の前か最中に回収されるのか
オレンジを しぼる きかいは、オレンジを まるごと、または はんぶんに して、なかの しるを しぼります。ねらいは、かわの あぶらや すじが しるに まざらないように しながら、できるだけ たくさん とる ことです。
しぼった ばかりの しるは、みの おもさの 5わりほどです。1キログラムの オレンジなら、500グラムくらいと いうことに なります。
かわには、よい かおりの あぶらが はいって います。この あぶらは、しるを しぼる まえか、しぼる とちゅうで あつめられます。かわを みずで あらって、あぶらと みずを わける ほうほうが あります。
あぶらの りょうは、みの おもさの 0.3%ほどです。1キログラムなら、3グラムくらいです。ほんの すこしですが、しるに まざって しまうと じゃまに なるので、さきに わけて おく のです。
オレンジの搾汁機は、オレンジを丸ごと、または半分にして中の果汁を搾り出します。目的は、皮の油や筋が果汁に混ざらないようにしながら、できるだけ多く取ることです[1]。搾った直後の果汁(果肉の粒を含む)は、果実の重さの約50%とされます。1kgのオレンジなら、約500gです[1]。
皮には、香りのもとになる精油(ピールオイル)が含まれます。この油は搾汁の前か最中に回収されます。たとえばフロリダの工場では、皮を水で洗い、油と水を遠心分離して取り出す方式が紹介されています[2]。
回収できる量は、果実の約0.3%(重さの割合)です。1kgなら約3gで、果汁の500gと比べるとごくわずかです[2]。それでも別に取り分けるのは、果汁に皮の成分が混ざらないようにするためと考えられます。
搾ったあとは、仕上げ機(フィニッシャー)で果肉の袋と果汁を分け、必要に応じて遠心分離でさらに整えます[3]。ここまでで、ようやく「搾り汁」ができあがります。では、この搾り汁をなぜ濃くするのでしょうか。
搾汁機は、果実を丸ごと、あるいは半割りにして果汁を搾り出す。設計上の課題は、果皮の油や筋を果汁に混ぜずに、収量をできるだけ高くすることにある。搾り立てのパルプ入り果汁は、果実の約50%である[1]。
では、皮の精油はどう扱われるのか。ピールオイルの回収量は果実重量の約0.3%(重量割合)で、1kgの果実から約3gにすぎない。ところが、この微量の油は搾汁の前か最中に、皮を水洗して油と水を遠心分離するなどして取り分けられる[2]。果汁側に皮由来の成分が混入するのを避けるための工程と考えられる。
搾汁後の果汁は、フィニッシャーで果汁と果肉の袋に分けられ、遠心分離などで整えられる[3]。ここまでが「搾る」段階である。次に起きるのが、果汁の体積を減らす濃縮であり、その理由は運搬と貯蔵にある。
2. しぼった しるの みずを、どうして とばすの?
2. 水を飛ばして小さくする:運ぶ量を減らすための濃縮
2. 真空蒸発による濃縮:体積を減らすことの意味と、加熱の短時間化
しぼった しるは、そのまま はこぶと、おもくて かさも おおきく なります。そこで、みずを すこし とばして、ちいさく します。これを、のうしゅくと いいます。
みずを とばす きかいの なかは、くうきを ぬいて あります。そうすると、あつく しすぎなくても みずが ふっとうしやすく なります。わりと みじかい じかんで すみます。
とばしたあと、しるは「65ど ブリックス」ほどの こさに なります。ブリックスは、あまさを あらわす めやすの すうじです。
この とき、みずと いっしょに かおりも にげて しまいます。にげた かおりは、べつの そうちで あつめます。あつめた かおりは、あとで しるに もどしたり、こうりょうに つかったり できます。
搾った果汁をそのまま運ぼうとすると、水の分だけ重く、かさばります。そこで、果汁を真空の蒸発器に通して水を飛ばし、体積を小さくします。柑橘の業界では、短い時間だけ加熱する蒸発器(TASTE)が標準的に使われています[1]。
蒸発器の中を真空にするのは、水を低い温度でも沸騰させやすくするためです。果汁は蒸発器に入る前に予熱され、これが殺菌も兼ねます。最終的には、約65〜66ブリックスまで濃縮されます[1]。ブリックスは果汁の糖分の濃さの目安で、数字が大きいほど、水が抜けて濃くなったことを意味します。
ここで困るのが香りです。水を飛ばすと、水蒸気と一緒に香りの成分も逃げてしまいます。そこで、蒸発器には香りを集める回収装置がつけられます。集めた香り(エッセンス)は、濃縮した液に戻したり、香料として使ったりできます[3]。
水を飛ばして小さくした液は、そのまま常温に置くわけではありません。次は、それをどう貯めておくのかです。
濃縮は、蒸発器の中で水を除く工程である。蒸発器の中の空気を減らすと、水は低い温度でも沸騰する。そのため、果汁が熱から受ける影響を抑えられる。柑橘産業では、短時間だけ加熱する蒸発器のTASTEが標準的な濃縮装置とされ、果汁は予熱で殺菌も兼ねて処理され、約65〜66°Brixまで濃縮される[1]。Brixは果汁にとけている成分の濃さを示す目安で、濃縮すると数値が大きくなる。
濃縮の副作用は、香気成分の損失である。水蒸気と一緒に揮発性の成分が出ていくためだ。FAOの資料は、そのために、水相と油相の香り成分を集める回収装置(エッセンス回収装置)を蒸発器に備えると述べる。回収したエッセンスは、濃縮液に戻すか、香料用途に使える[3]。ただし、どの程度戻るかは工場や設計で変わると考えられる。
体積を減らす目的は、次の貯蔵と輸送にある。濃縮すると運ぶ量が減り、季節にかかわらず品質をそろえやすい[4]。では、濃縮した液はどう貯められるのか。
3. ひやした そうこで、どうやって きせつを またぐの?
3. 冷たい倉庫で寝かせる:果汁は季節をまたいで貯められる
3. 低温貯蔵:65°Brixは固まらないのに、なぜ「冷凍」と呼ばれるのか
のうしゅくした しるは、とても つめたい ところで ためて おきます。ドラムかんで −20〜−25どくらい、おおきな タンクなら −10どくらいです。
こおりに なる ように おもえますが、のうしゅくした しるは あまさが こいので、−10どでも かちかちには なりません。ですから「れいとう」と いうのは、すこし ちがう いいかたです。
こうして ためて おくと、きせつを またいで つかえます。オレンジは とれる じきが かぎられる くだものですが、ためて おけば、ほかの きせつでも おなじ あじを とどけやすく なります。
濃縮した果汁は、低温で貯蔵します。温度の目安は、ドラム缶なら−20〜−25℃、タンクなら−10℃ほどです[1]。
面白いのは、65ブリックスの濃縮液は−10℃でも固まりきらないことです。「冷凍」と呼ばれることもありますが、厳密には少し違う、と資料は注意しています[1]。水以外の成分が多いので、−10℃でも一部が凍らず、全体が固まりきらないのです。
こうして貯めておく期間は、季節をまたぎます[1]。収穫の時期が限られる柑橘でも、濃縮して冷やしておけば、年間を通して品質をそろえやすくなります[5]。濃縮の目的が「運ぶ量を減らす」だけでなく、「季節のずれをならす」ことにもあるのが分かります。
では、わざわざ濃縮しなければ、どうなるのでしょうか。
濃縮果汁は低温で貯蔵される。目安はドラム缶で−20〜−25℃、タンクで−10℃程度である。65°Brixの濃縮液は−10℃でも固まりきらないため、「冷凍」という呼び方は厳密には少し誤解を招く、とTetra Pakの資料は注記している[1]。水以外の成分が多く、−10℃でも一部が凍らず全体が固まりきらないためで、糖濃度が高いほど凍結点が下がる性質を考えれば理にかなっている。
貯蔵は季節をまたぐ。収穫時期が限られる柑橘も、濃縮と冷凍貯蔵によって年間を通した品質をそろえやすい、とメーカーも説明している[5]。濃縮の効用は体積の削減だけでなく、原料の収穫期と消費期のずれを吸収する点にもある。
ではその対比として、濃縮しない場合は何が起きるのか。次章で、ストレートと濃縮還元の貯蔵の負担を比べる。
4. ストレートと のうしゅくかんげん、なにが ちがうの?
4. ストレートは濃縮しない:貯蔵の負担は5〜6倍になる
4. ストレートと濃縮還元:同じ最終量での貯蔵体積の比較
「ストレート」は、しぼった しるを、そのまま ようきに つめた ものです。「のうしゅくかんげん」は、のうしゅくして ためて おき、ようきに つめる ときに みずを くわえて もとの こさに もどした ものです。
ストレートの ほうが、てまが すくなく みえます。でも、ためる ときの かさが 大きく なります。おなじ りょうの ジュースを つくる とき、ためて おく しるの かさは、ストレートの ほうが のうしゅくした ものの 5〜6ばいです。
だから、どちらが よい わるいでは なく、どこで つくって、どこへ はこぶかで えらばれて います。
メーカーの説明では、搾った果汁をそのまま容器に詰めたものが「ストレート」です。果汁を濃縮して保存し、容器に詰める段階で水を加えて元の果汁の濃さに戻すのが「濃縮還元」です[5]。国語辞典の説明でも、濃縮還元は、搾り汁から水分を取り除いて濃縮し、貯蔵や輸送をしたあとに水を加えて元の状態に戻すことです[4]。
ストレートに近い「NFC」は、濃縮せずに殺菌して貯蔵します。そのため、貯蔵するときの体積が大きくなります。同じ最終量で比べると、NFCの貯蔵体積は濃縮品の5〜6倍です。貯蔵は冷凍(−18℃以下)か無菌タンク(約−1℃)で、最長1年ほどです[1]。この5〜6倍は、同じ最終果汁量で比べた貯蔵体積の比です。
この比を見ると、濃縮の意味がはっきりします。冷やす倉庫やタンクの大きさが5分の1ほどで済むなら、運ぶのも貯めるのも楽になります。そのぶん、水を飛ばす蒸発器と香りの回収装置が必要になります。
どちらが優れているかは、この資料からは決められません。ストレートは「搾ったものをそのまま」というよさがあり、濃縮還元は「運びやすく、年中そろえやすい」というよさがあります。
ストレートは搾汁をそのまま容器に詰めたもの、濃縮還元は濃縮保存した果汁を詰める段階で水で希釈し、元の果汁の濃さに戻したものである[5]。辞書的な定義も同じで、水分を除いて濃縮し、貯蔵・輸送したのち水を加えて元の状態に戻す、という流れを指す[4]。
ストレート相当のNFC(not from concentrate)は、濃縮せずに殺菌して貯蔵する。Tetra Pakの資料によれば、同じ最終果汁量で見た貯蔵体積は、濃縮品の5〜6倍になる。保存は−18℃以下の冷凍か、約−1℃の無菌タンクで、期間は最長で1年ほどである[1]。この「5〜6倍」は、同じ最終果汁量で比べた貯蔵体積の比であり、価格や品質の優劣を直接示す数字ではない。
この比較から、濃縮の経済的な意味が見える。貯蔵と輸送の体積を5分の1前後に減らせれば、冷蔵設備と輸送の負担が減り、収穫期と消費期のずれも吸収しやすい[1][5]。その代わりに、蒸発器と香りの回収装置という設備が要る。濃縮還元は、運搬や貯蔵のしやすさと、香りを保つ工夫を組み合わせた製法である。
5. かおりを まもる べつの やりかたは あるの?
5. 香りを守る別の方法:氷を取り除く凍結濃縮
5. 凍結濃縮という別の道:加熱せずに水を除く
みずを とばすと かおりが にげる のなら、とばさずに みずを へらせば よさそうです。その ほうほうが あります。
しるを ひやして、こおりの つぶを つくり、その こおりを とりのぞきます。これを とうけつのうしゅくと いいます。あつさを つかわない ので、かおりが のこりやすいと いわれて います。
ある けんきゅうでは、りんごの ジュースで しらべた ところ、とうけつのうしゅくの ジュースは、かおりの せいぶんの かずが もとの ジュースと おなじくらいで、あたためて のうしゅくした ジュースより おおかった そうです。オレンジでも おなじとは かぎりません。
水を蒸発させると香りが逃げるのなら、加熱しないで水を減らす方法はないのでしょうか。そのための方法のひとつが凍結濃縮です。果汁を冷やして氷の結晶を作り、その氷を取り除くことで、果汁を濃くします。
青森県産業技術センターの報告では、りんご果汁を使った試験で、凍結濃縮した果汁から検出された香りの成分の数は、もとのジュースと同じ程度で、加熱して濃縮したものより多かったと紹介されています[6]。これはりんご果汁での結果なので、オレンジでも同じになるとは限りません。
低温と真空でゆっくり蒸発させる方法も、香りの損失を抑える工夫のひとつとされます[6]。水を飛ばす、香りを集めて戻す、そもそも熱を使わない。どの道を選ぶかで、ジュースの味の出口が少しずつ変わります。
香気成分の損失を抑える手段は、蒸発を前提にした回収だけではない。低温・真空での蒸発や、氷の結晶を除く凍結濃縮が挙げられる[6]。
凍結濃縮は、果汁を冷却して氷結晶を作り、それを分離して果汁を濃くする方法である。加熱しないため、揮発性の成分が逃げにくい。青森県産業技術センターの報告では、りんご果汁を使った試験で、凍結濃縮果汁で検出された香気成分の数は、もとのジュースと同程度で、加熱濃縮果汁より多かった[6]。りんごでの結果であり、オレンジにそのまま当てはめることはできない。
ここまでの流れをまとめると、濃縮還元の各段階は、体積(運ぶ・貯める)、時間(季節をまたぐ)、香り(逃がさない・戻す)という3つの課題への答えとして並んでいる。加熱濃縮は広く使われる標準的な方法だが、凍結濃縮のように別の選択肢もある。
6. パックの うらを みて、さがして みよう
6. 家のパックの裏で、ストレートか濃縮還元かを探してみる
6. 製品の表示と一次寄りの資料で、濃縮の道すじを確かめる
おうちで みて みよう
おうちに オレンジジュースの パックが あれば、うらの ひょうじを みて みましょう。「ストレート」とか「のうしゅくかんげん」と かいて あるか さがします。ちがう パックを 2つ くらべて みると、おもしろいです。
くらべる とき
「ストレート」の パックと「のうしゅくかんげん」の パックで、うらの ひょうじや ほぞんの しかたの かいて ある ところを くらべて みましょう。ちがいが みつかるかも しれません。
今日できること
家にあるオレンジジュースのパックで、原材料名の欄を見てみましょう。「ストレート」と書かれているか、「濃縮還元」と書かれているか。2種類のパックを並べて見ると、同じ「オレンジジュース」でも、道すじが違うことが確かめられます。
パックを見比べるなら
「ストレート」と「濃縮還元」のパックを並べて、原材料名のほかに、保存方法や果汁の割合の書き方も見比べてみましょう。飲料メーカーのお客様センターの説明ページにも、違いが日本語で載っています[5]。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- Tetra Pak, Orange Book: Fruit processing. https://orangebook.tetrapak.com/chapter/fruit-processing (搾汁・濃縮・貯蔵の工程)
- UF/IFAS EDIS(柑橘精油の回収). https://journals.flvc.org/edis/article/download/115267/113570 (皮の精油の回収)
- FAO, Citrus fruit processing. http://www.fao.org/4/x6732e/x6732e08.htm (仕上げ機と香りの回収)
- デジタル大辞泉「濃縮還元」(コトバンク). https://kotobank.jp/word/%E6%BF%83%E7%B8%AE%E9%82%84%E5%85%83-687056 (濃縮還元の定義)
- サントリー お客様センター FAQ. https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001923.html (ストレートと濃縮還元の違い)
- 青森県産業技術センター 報告(令和2年度). https://www.aomori-itc.or.jp/_files/00184854/r20205.pdf (凍結濃縮と香気成分)
なおした ところ
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