1. おみせに ならんだのは 1973ねん
1. 店に並んだのは1973年4月29日。でも、遊びはもっと前にあった
1. 発売日は1973年4月29日。ただし「生まれた日」とは別に考える
オセロが「オセロ」という なまえで うられたのは、1973ねん4がつ29日です[1]。うった 会社は ツクダ(いまの メガハウス)でした。
この 年の はじめの 1がつには、日本オセロれんめいも できていました[2]。うる まえから、みんなで たのしむ 人たちが いたのです。
ただ、うられた 日と、あそびが うまれた 日は、おなじとは かぎりません。この あそびの もとに なった ものは、もっと 前に あったと いわれます。
発売日ははっきりしている
オセロが「オセロ」という登録商標で売り出されたのは、1973年4月29日です。販売したのは、ツクダ(現在のメガハウス)でした[1]。公式の歴史ページは、この日を「正式デビュー」と呼んでいます。
日本オセロ連盟が設立されたのは、発売より前の1973年1月です[2]。売り出す前から、この遊びを広めようとする人たちの集まりがあったことになります。
「生まれた日」は別の話
ただし、発売日は、商品として店に並んだ日です。遊びを誰かが最初に思いついた日とは限りません。実際に、この遊びの原型は、発売よりずっと前の水戸で思いついたとされています。では、それはどんな場面だったのでしょうか。
2. 水戸の 休み時間に、ごいしで
2. 水戸の中学生が、休み時間に碁石で思いついたとされる
2. 1945年9月の水戸:公式が示す原型の場面
メガハウスの 説明では、はじまりは 1945ねん9がつの 茨城県の水戸です[1]。
そとで 行う じゅぎょうの 休み時間に、ちゅうがくせいだった 長谷川さんが、白と 黒の ごいしで あそびを おもいついた と されます。
うられるまでに、27年ほど かかった ことに なります。これは メガハウスが しょうかいしている お話です。
碁石と、屋外の授業の休み時間
メガハウス公式の歴史ページによれば、オセロの原型が生まれたのは1945年9月、茨城県水戸市です。当時中学生だった長谷川五郎が、屋外で行われた授業の休み時間に、碁石を使って思いついた遊びだとされています[1]。
1945年9月から、発売の1973年4月まで、27年あまりかかった計算になります。
この話の根拠について
この場面は、メガハウスの公式な説明です。当時の記録で裏づけられたものではないため、本記事では「とされる」と書いています。「発明された日」と言い切らず、「原型を思いついたとされる場面」として読むのが安全です。
次に気になるのは、「オセロ」という名前です。碁石の遊びが、どうして劇の名前になったのでしょうか。
メガハウス公式の歴史ページは、オセロの原型が生まれたのを1945年9月、茨城県水戸市とする。当時中学生だった長谷川五郎(はせがわ ごろう)が、屋外の授業の休み時間に、碁石を使って思いついた遊びだという[1]。この日付から1973年4月の発売まで27年あまりある。
この記述は公式の説明であるため、本稿は「原型を思いついたとされる」と限定して書く。「発明した」と言い切ることは、資料からは支えられない。
碁石の遊びに、「オセロ」という名はいつ、誰が付けたのか。
3. 「オセロ」は、おしばいの 名前
3. 「オセロ」の名前は、シェイクスピアの劇から来た
3. 命名の由来:シェイクスピアの戯曲と、石の色の反転
「オセロ」という なまえを つけたのは、長谷川さんの お父さんだと いわれます[1]。えいごの 文学を 勉強する 人でした。
この なまえは、シェイクスピアという 人が 書いた おしばいの なまえです。おしばいでは、イアーゴーという 人の わるだくみで、オセロが おくさんを うたがって いきます。
あそびでは、はさまれた 石の 色が、くるっと かわります。それを おしばいに かさねたのだと、メガハウスは せつめいして います。
名づけ親は父だとされる
名前を付けたのは、長谷川五郎の父で、英文学者の長谷川四郎だとされています[1]。由来は、イギリスの劇作家シェイクスピアの戯曲『オセロ』です。
入れ替わる物語と、入れ替わる石
この戯曲は、家来イアーゴーの策略で、将軍オセロが妻への疑いを深めていく物語です。白と黒の石が、はさまれるたびに色を変えるこの遊びを、メガハウスは、その劇になぞらえたと説明しています[1]。
ちなみに、一般的な名前は「リバーシ」で、「オセロ」はメガハウスだけが使える登録商標だと紹介されています[7]。つまり、箱に「リバーシ」と書かれた商品も、似た遊びです。では、そのリバーシとは、どんな遊びなのでしょうか。
名前は、長谷川五郎の父で英文学者の長谷川四郎(はせがわ しろう)が、シェイクスピアの戯曲『オセロ』にちなんで付けたとされる[1]。戯曲は、イアーゴーの策略でオセロが妻への疑いを深めていく物語である。公式の説明は、これを石の色が裏返るゲームになぞらえたと伝える。
名前の権利にも触れておく。「オセロ」「Othello」の名称は登録商標で、メガハウスが専用使用権を持つとされ、一般名称は「リバーシ」である[7]。商標の主体が「株式会社オセロ」だという記述は日本語版Wikipediaにあるが、公式の登録情報で確かめた内容ではない[6]。いずれにせよ、同じ種類の遊びに「リバーシ」という別の名がある。では、リバーシはいつ、どこで生まれたのか。
4. 90ねん 前の イギリスにも あった
4. 90年ほど前のイギリスに、ほぼ同じ遊びがあった
4. 19世紀のリバーシ:二人が「自分の発明」と主張した遊び
「リバーシ」は、1880ねんだいの イギリスで うられた あそびです[5]。オセロより 90ねんほど 前です。
この あそびを 作ったのは 自分だと、2人の 人が いいました。ウォーターマンさんと、モレットさんです[4]。
うられた ばんは、いまの オセロと おなじ 8×8です[5]。にほんでは「げんぺいご」の なまえでも しられました[3]。
2人が「自分の発明だ」と言った
リバーシは、19世紀後半のイギリスで、ルイス・ウォーターマンとジョン・モレットが考案したとされる遊びです。2人とも、自分が発明者だと主張しました[4]。年は1883年とされることもありますが、はっきりしないため、ここでは「1880年代」にとどめます。
8×8の盤で商品として出されたのはウォーターマンのもので、1880年代のことです。モレットは、それより前の1870年に、十字形の盤で似た「はさんで裏返す」規則の遊びを考えたと主張しました。ただし、これはもし本当ならという話で、確定ではありません[5]。
最初の確かな記録
英語版Wikipediaによれば、リバーシに関する最初の確かな言及は、1886年の、イギリスの雑誌『The Saturday Review』です[4]。日本では「源平碁」の名でも売られていました[3]。
これだけ似ていると、オセロはリバーシから生まれたのか、という疑問が出てきます。本人は、どう説明していたのでしょうか。
リバーシは19世紀後半のイギリスで、ルイス・ウォーターマン(Lewis Waterman)とジョン・モレット(John Mollett)が考案したとされ、両者が自分の発明だと主張した[4]。年は1883年と書く資料もあるが、英語版Wikipediaでは出典に[要出典]が付いており、本稿は「1880年代」にとどめる。
商品としての8×8盤はウォーターマンのもので、1880年代に出版された。モレットは1870年に、十字形の盤の「アネクセイション」で、はさんで裏返す似た規則を考えたと主張した。もし本当なら、リバーシより古い起点がある[5]。ただし、これは主張であり、確定した記録ではない。
英語版Wikipediaは、リバーシについての最初の確かな言及を、1886年の『The Saturday Review』とする[4]。
日本では、リバーシは「源平碁」の名でも売られていた。世界オセロ連盟の歴史ページは、リバーシ、日本の源平碁、そして長谷川のオセロへ、という流れを示している[3]。同じページは1971年を長谷川の製造販売の開始と読める形で書くが、国内の発売日は公式の示す1973年4月29日であり、年にずれがある。では、本人はこの関係をどう説明したのか。
5. ほんにんの せつめいは、かわって いた
5. 本人の説明は、時期によって変わっていた
5. 1971年の出願と2000年ごろ:「改良」から「独立の考案」へ
日本語の ウィキペディアに よると、オセロが うられた ころ、長谷川さんは「リバーシ(げんぺいご)が もとに なった」と 話して いました[6]。
ところが、2000ねんごろからは、「じぶんで かんがえた『はさみご』が もとだ」と 話すように なったと いいます[6]。
どちらが 正しいかは、きまって いません。ただ、せつめいが 時期で かわった という 記ろくが ある、という ことです。
発売のころと、2000年ごろ
日本語版Wikipediaによると、発売当初の長谷川は、リバーシ(源平碁)がオセロの原型だと述べていました。ところが2000年ごろから、自分が考案した「挟み碁」が原型だと主張するようになったとされます[6]。英語版Wikipediaも、当初は「リバーシの改良」と説明していたが、2000年ごろから、リバーシとは関係なく水戸で考えたと言うようになった、と書いています[4]。
同じ日本語版Wikipediaには、長谷川がオセロの発売前の1971年に実用新案を出願し、名称を「源平碁」としていた、という記述もあります。この出願は、のちに拒絶が確定しました[6]。
どちらが正しいかは決着していない
以上は、どれもWikipediaの記述にもとづきます。ここでは「説明が時期で変わったという記録がある」までを書きます。リバーシの改良なのか、水戸での独立した考案なのかは、資料からは決められません。
なお、オセロとリバーシの違いとして、最初の石の置き方が決まっている点がよく挙げられます[5]。リバーシ側の説明では、ほぼ同じゲームとして扱われています。
日本語版Wikipediaは、発売当初の長谷川がリバーシ(源平碁)を原型だとしていたのに対し、2000年ごろから、自分が考案した「挟み碁」が原型だと主張するようになったと記す[6]。英語版Wikipediaも、当初はオセロをリバーシの改良と説明し、2000年ごろから、リバーシと無関係に水戸で考案したと言い出した、と書く[4]。日英の記述はほぼ一致している。
さらに日本語版Wikipediaによれば、長谷川はオセロの発売前の1971年に実用新案を出願し、名称を「源平碁」としていた。この出願は拒絶が確定している。特許庁の文書が脚注に挙がっており、ここではWikipediaの記述として紹介する[6]。
以上から言えるのは、「オセロの原型は、公式の説明では1945年の水戸の碁石の遊びだが、同じ人の説明は時期で変わっている。1971年の出願で源平碁の名が使われた」という範囲までだ。どちらが正しいかは本人の説明も変わっており決着していない。両論を併記し、どちらかに断定しない。
最後にルールの違いも触れる。オセロは開始配置が固定されている点が、リバーシとの違いとしてよく挙げられる。ただしリバーシ側の資料は、ほぼ同じゲームと扱う[5]。この見方は筆者個人の見解を含むので、「いわれる」程度に受け取るのがよい。
6. おうちの オセロで ためして みよう
6. 家のオセロで、「決まった形」を確かめる
6. 手元の盤と公式ページで確かめる
おうちに オセロが あれば、はこの 中の せつめいしょを 見て みましょう。はじめに 石を おく ばしょが、書いて あるはずです。
この 「はじめの 形が きまって いる」ことが、リバーシとの ちがいと いわれて います[5]。
もう 1つ。はこに 「商標」の ひょうじが ないか、さがして みましょう。メガハウスの オセロの ページには、れきしが 書いて あります[1]。
今日できること
家にオセロがあれば、説明書で、ゲームを始めるときの石の置き方を探してみてください。始まりの形が決まっていることが、リバーシとの違いとしてよく挙げられます[5]。もしこれが自由だったら、勝ち方はどう変わるでしょうか。
箱の表示や説明書で、「オセロ」の名前が登録商標として書かれているかも見てみましょう。おもちゃ売り場に「リバーシ」と書かれた商品があれば、見比べるのもおもしろいです。
原典にあたるなら
メガハウスのオセロ公式サイトの歴史ページ(日本語)に、原型の場面と発売日の説明があります[1]。長谷川の説明がどう変わったかは、日本語版Wikipediaの脚注にある特許庁の文書や、本人の著書にあたると、記述の根拠を自分で確かめられます。
確かめられるのは、次の3点である。第一に、手元のオセロ盤の説明書で、開始配置が固定されているかを見る。固定されていることが、リバーシとの違いとしてよく挙げられる[5]。
第二に、メガハウス公式の歴史ページ(日本語)を読み、1945年9月の原型と1973年4月29日の発売が、どう書かれているかを確かめる[1]。
第三に、世界オセロ連盟の歴史ページ(英語)と、日本語版・英語版のWikipediaを、同じ点で見比べる。リバーシから源平碁、オセロへ、という流れと、本人の説明が変わったという記述の出典がどこにあるかを確かめると、言い切れることと言い切れないことの境目が見える[3][6]。長谷川の著書(1973年・1981年・2011年)と特許庁の文書は、本稿では直接見ていない。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。年・人名・名称は、資料によって細部が異なることがあります。
- メガハウス オセロ公式 歴史ページ https://www.megahouse.co.jp/othello/history/ (原型の場面、発売日、名前の由来)
- World Othello Federation, Japan https://worldothello.org/associations/asia/japan (日本オセロ連盟の設立)
- World Othello Federation, The early years https://worldothello.org/about/about-othello/othello-history/pre-history (リバーシと源平碁の流れ。英語)
- Wikipedia, Reversi https://en.wikipedia.org/wiki/Reversi (リバーシの考案者、最初の言及、本人の説明の変化。要約のため二次資料)
- Michael Keller, Reversi -- History, Curiosities, and Variants https://solitairelaboratory.com/abstract/reversi.html (8×8盤、モレットの主張、開始配置の違い。筆者の見解を含む)
- Wikipedia, オセロ (ボードゲーム) https://ja.wikipedia.org/wiki/オセロ_(ボードゲーム) (1971年の出願、説明の変化。二次資料)
- アドタイムズ(2022) https://www.advertimes.com/?p=384462 (登録商標と一般名称)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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