このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

えんぴつの じは、てで こすると なぜ ひろがるの?

鉛筆の字はなぜこすると広がる? 消しゴムは黒い粒をどう運ぶ?

鉛筆の字はなぜ手でこすると広がるのか ── 黒鉛の粒、紙の凹凸、消しかすへの移動

分野:技術

えんぴつで かいた じは、かみに しみこんで いるのでは ないようです。くろい つぶが、かみの うえに のって いるだけだと いわれます。

だから、ゆびで こすると、くろく ひろがる ことが あります。では、けしゴムで けした とき、じは どこへ いくのでしょう。この きじを よむと、こすると ひろがる わけと、けしゴムが じを はこぶ しくみが わかります。

鉛筆で書いた字は、紙にしみこんでいるのではなく、黒い粒が紙の上に付いているだけのようです。そのため、手でこすると粒が動いて、黒く広がることがあります。

では、こすると広がるのに、消しゴムだと消えるのはなぜでしょうか。消しゴムで消したとき、字はどこへ行くのでしょうか。この記事を読むと、こすると広がる理由と、消しゴムが粒を運ぶしくみ、広がりをわざと使う6Bの使い方が分かります。

鉛筆の字は、紙に染み込んでいるのではなく、黒鉛の粒が紙の表面に付着しているだけ、と説明される[6]。そのため、こすっても字は消えず、粒が動いて広がることがある。

ではなぜ、粒は紙に留まり、消しゴムだと紙から離れるのか。辞典・学校資料・解説記事・論文から、こすると広がる理由と、消しゴムが黒鉛の粒を運ぶしくみが分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. ゆびで こすると、どうなるの?

1. 手でこすると、字が「にじむ」場面

1. 手でこすった字は、なぜ消えずに広がるのか

ノートに えんぴつで じを かいて、すぐに てのひらで こすった ことは ありませんか。じが きえずに、くろく ひろがる ことが あります。

インクの ペンは、かわくと しっかり くっつきます。えんぴつは、そうでは ありません。かいた あとでも、こすると ひろがる ことが あります。

この ちがいは、えんぴつの じの しょうたいに ありそうです。

ノートに鉛筆で書いた字を、手のひらでこすってしまい、紙の上が灰色によごれた経験はないでしょうか。字は消えずに、黒い筋が広がることがあります。

インクのように乾いて定着するわけではありません。書いたあとも、こすると広がることがあります。

この違いは、鉛筆の字が何でできているかを見ると、少し分かってきます。

鉛筆の字は、こすっても消えず、周囲へ広がることがある。インクのように乾いて定着するわけではなく、書いたあとも、こすると広がることがある。この現象は、字の正体を考えると説明がつく。

鉛筆の点や線は、紙の表面に黒鉛の粉末が付いているだけで、こするだけでは消えず拡散する、という解説がある[6]。では、その粒は何でできているのか。まずそこから見る。

2. しんの なかみは なに?

2. 芯は、黒い粉と粘土のかたまり

2. 芯の材料と黒鉛の層状構造

えんぴつの しんは、こくえんという くろい こなと、ねんどを まぜて、かためた ものです[1]。

こくえんが おおいほど、しんは やわらかくて こく なります。ふつうの HBでは、こくえんが 7わり、ねんどが 3わりぐらいだと いわれます[2]。メーカーや しゅるいで ちがう めやすです。

こくえんは、うすい くろい かみが なんまいも かさなった ような かたちを して います。かさなりの あいだの つながりは よわいので、ずれやすいと いわれます[3]。

鉛筆の芯は、黒鉛の粉末と粘土を練り合わせて固めたものです[1]。黒鉛が多いほど軟らかくて濃く、粘土が多いほど硬く薄くなります。HBでは、黒鉛が約70%、粘土が約30%という説明があります[2]。これは目安で、メーカーや製品で異なりうるようです。

黒鉛は、炭素の原子が平面に並んだ層が何枚も重なってできています。層と層をつなぐ力は弱いため、層がすべりやすい、とよく説明されます[3]。ただし、辞典が「だから鉛筆で書ける」とまで述べているわけではありません。

すると、書くというのは、芯が削れて、小さな黒鉛の粒が紙に残ることだ、と考えられます。

鉛筆の芯は黒鉛の粉末と粘土を練り合わせて固めたもので、黒鉛が多いほど軟らかく濃い(6B〜B)。粘土が多いほど硬い(H〜9H)[1]。HBでは黒鉛が約70%、粘土が約30%という例が学校資料にあるが、比率は製品で異なりうる目安である[2]。

黒鉛は、炭素の六員環が平面状に連なった層が重なる構造で、層間の結合はファンデルワールス力による[3]。この結合が弱いので層がすべりやすく、それが書き味の一因と説明されることが多い。ただし辞典の記述は構造までで、「だから書ける」という因果は一般的な説明であり、この資料が直接述べたものではない。

そこで問いは、削れて出た黒鉛の粒が、紙の上でどう保たれているのか、に移る。

3. つぶは、かみに くっついて いるの?

3. 粒は紙の凹凸に引っかかっている

3. 黒鉛の粒は紙にどう保持されるのか

かくと、こすれて しんが すこし けずれ、くろい つぶが かみに うつります。つぶは、のりで くっついて いるのでは なさそうです。かみの ざらざらに、ひっかかって いる ぐらいの ようすだと かんがえられます。

かみの ざらざらが つよい ほど、たくさん つく という けんきゅうも あります[4]。

また、こい えんぴつ(2Bや 6Bなど)は しんが やわらかいので、おなじ ちからで かいても、つぶが たくさん つくと せつめいされます[5]。

書いているときには、芯が紙との摩擦で削れて、黒鉛の粒が紙に移ります。粒は、接着剤で付いているのでも、紙の中に染み込んでいるのでもなく、紙の表面の凹凸に引っかかるように付いている(吸着している)状態だと考えられます。

移る量は紙の粗さで変わる、という研究があります。摩擦でのすべりが吸着を促し、粗い面ほどすべりが強く、多く付くと報告されています[4]。

芯が軟らかい鉛筆(2B→4B→6B)は、同じ強さで書いても、紙に付く粒の量が多くなります[5]。粒が紙の表面にのっているだけなら、こすれば動くはずです。

鉛筆で書くと、摩擦で芯が削れて黒鉛の粒が紙に移る。粒は接着も染み込みもせず、紙の表面の凹凸に引っかかるように付いている状態(以下、吸着・付着もこの意味で使う)と考えられる。

移る量については、鉛筆で描くと摩擦でのすべりが黒鉛の吸着を促し、紙の粗さに応じて黒鉛が紙へ移り、粗い面ほど強いすべりが起きて多く付く、と論文で報告されている[4]。論文は鉛筆電極の作製が主題で、字の広がりを直接論じたものではない。

また、芯が軟らかい濃い鉛筆ほど、同じ筆圧で紙に付く粒は多い[5]。以上から、字は紙に固定された色ではなく、表面の凹凸に保持された粒の集まりだと考えられる。これは資料を組み合わせた推論である。

4. こすると、つぶは どうなる?

4. こすると、粒は動くだけ

4. 広がりは「粒の移動」であり、消去ではない

つぶが かみの うえに のって いるだけなら、ゆびで こすった とき、つぶは ゆびに ひっぱられて、よこへ ずれて いきます。

じが きえたのでは ありません。くろい つぶが かみの うえを うごいただけです。けしゴムは ちがいます。つぶを けしかすに つつんで、かみから はこびます。だから、こすると ひろがって、まわりが うすく くろく なる ことが あります[6]。

ゆびにも、くろい つぶが つく ことが あります。こすった ゆびを 見て みると、はいいろに なって いるかも しれません。

粒が紙の上に引っかかっているだけなら、指や手でこすると、その粒は指に引かれて横へずれます。ある粒は指に移り、ある粒は別の場所の凹凸に引っかかります。字は消えたのではなく、粒の並びが乱れて、広い範囲に薄く散らばることがあります。粒は紙の上を動くだけで、紙から運び出されたわけではありません。

鉛筆の線は、紙の表面に付いているだけで、こするだけでは消えずに拡散する、と解説されています[6]。

こすると広がることがあるのは、粒が動いただけで、まだ消えていないからです。それなら、消しゴムは何が違うのでしょうか。

粒が紙の凹凸に保持されているだけなら、こすった際に粒は指の動きに引かれて移動する。一部は指に移り、一部は近くの凹凸に再び保持される。字の輪郭は失われることがある。この記述は上の推論の延長であり、「拡散する」ことは解説記事の記述による[6]。

結論として、こすって広がることがあるのは粒が「移動しただけ」で、紙から取り除かれていないからだと言える。では、消しゴムでは何が起きるのか。

5. わざと こする えんぴつが ある?

5. 広がりを道具にする ── 6Bのぼかし

5. 軟らかい芯とぼかし ── 広がりの利用

こすって ひろがる せいしつを、うまく つかう ひとが います。えを かく ひとです。

やわらかい 6Bの えんぴつは、デッサンに つかわれます。かいたあとに、ゆびなどで こすると、ぼかしを つけられます[2]。

くろい つぶが ひろがって、やわらかい かげに みえる ことを、うまく つかって いるのです。

広がるという性質は、悪いことばかりではありません。絵を描く人は、それを道具にします。

6Bなど軟らかい鉛筆は、デッサンなどに使われ、描いたあとにこすって、ぼかしをつけられると学校の資料に書かれています[2]。軟らかい芯は紙に付く粒が多いので、こすったときにも、広がる粒も多いと考えられます。ぼかしに使えるのは資料に書かれていることで、この理由づけは私の推測です。

ノートの字では困る性質が、絵では、影や丸みを作る手段になります。同じ性質が、場面で欠点にも長所にもなります。

粒が動く性質は、意図的に使われる。6Bなど軟らかい鉛筆はデッサンなどに用いられ、描いたあとにこすってぼかしをつけられる[2]。軟らかい芯ほど紙に付く粒が多い(3章)ことと合わせると、広がる粒の量も多いと考えられる。ぼかしに使えることは資料の記述だが、この理由づけは資料の記述ではなく、両者を結びつけた推論である。

ノートの字では欠点になる「こすれて広がる」性質が、デッサンでは影の表現手段になる。同じ現象を、避けるか使うかは、目的が決める。

6. けしゴムは、じを どこへ はこぶの?

6. 消しゴムは、粒をつかまえて包んで運ぶ

6. 消しゴムによる黒鉛の回収 ── 表面への付着と消しかすへの包み込み

こすっても きえなかった じが、けしゴムだと きえます。それは、けしゴムが つぶを かみから とって、はこぶからだと いわれます[7]。

かみに のった くろい つぶは、はじめに けしゴムの ひょうめんに くっつきます。つぎに、ぼろぼろの けしかすに つつまれて、かみから はなれます[8]。かみより けしゴムの ほうが、つぶが くっつきやすいと せつめいされます。

けしかすが でるのも だいじです。よごれた ひょうめんが かすと なって はがれ、まだ くろく ない あたらしい めんが でて きます[9]。

けしかすが はいいろに なるのは、じが そこに うつって いるからかも しれません。

消しゴムは、こする点は同じでも、結果が違います。粒を紙から取り、消しかすの中に取り込んで、紙から離れるところまで運ぶからです。

紙にのっている黒鉛の粒は、まず消しゴムの表面にくっつき、次に消しかすに包み込まれて、紙と消しゴム表面から取り除かれる、と説明されます。紙より消しゴムのほうが粒がくっつきやすい、という説明もあります[8]。「くっつきやすい」理由(分子の間の力など)は、資料には書かれていないので、ここでは触れません。

現在の鉛筆用の消しゴムは、塩化ビニル樹脂を原料としたプラスチック消しゴムが主流とされ、原理は「黒鉛を吸着して、かすに巻き込んで排出する」ことです[7]。

消しカスが出ることにも意味があります。粒でよごれた部分がカスとなってはがれ、まだ汚れていない面が出てくるので、次のこすりでも新しい面が使えます[9]。ただし、この説明は、メーカーの説明を紹介した記事の検索抜粋による部分があります。

消しゴムは、こすって「動かす」だけの指と異なり、粒を紙から回収して別の場所に固定する。紙上の黒鉛の粒はまず消しゴムの表面に付着し、次に消しかすに包み込まれて紙と消しゴム表面から除かれる。紙より消しゴムの方が粒が付きやすい、とも説明される[8]。付きやすい物理的理由は出典になく、ここでは扱わない。

鉛筆用の消しゴムは塩化ビニル樹脂を原料とするプラスチック消しゴムが主流で、原理は黒鉛を吸着し、かすに巻き込んで排出する、と辞典にある[7]。

消しかすが出ることにも役割がある。粒で黒くなった部分がかすとなって離れ、まだ汚れていない面が露出する。柔らかい消しゴムほど崩れやすく、新しい面で粒を取り込むと説明される[9]。この点はメーカー説明の紹介記事の検索抜粋に基づくため、原文照合はできていない。

以上を合わせると、こすって広がる現象と、消しゴムで消える現象の違いは、粒を紙の上で動かすだけか、紙から取り除いて別のものに包むか、の差である。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

かみに えんぴつで しかくを ぬって、はんぶんだけ ゆびで こすって みましょう。つぎに、けしゴムで けして、けしかすを しろい かみの うえに のせて みます。けしかすの いろは、どう なって いますか。

2Bと HBを くらべると?

おなじ ちからで、2Bと HBの えんぴつで せんを ひいて、こすった あとの ひろがりを くらべます。

こうしきの 情報じょうほう

えんぴつや けしゴムを つくる かいしゃの ホームページや、ぶんぼうぐの ほんにも、ヒントが あります。

今日できること

紙に鉛筆で四角く塗り、半分だけ指でこすってみましょう。残りの半分を消しゴムで消し、出た消しかすを白い紙にのせて、色を見比べます。こすったところと消したところで、何が違うか確かめられます。

濃さで比べる

同じ強さで、2BとHBの鉛筆で線を引き、指でこすったときの広がりを比べてみましょう。

公式情報

鉛筆や消しゴムのメーカーの解説、文具の解説書、出典に挙げた学校の資料などを読むと、続きの手がかりがあります。

今日できること

紙に鉛筆で四角く塗り、半分を指でこすり、残りを消しゴムで消す。出た消しかすを白い紙にのせ、紙の色と比べる。こすった側に広がった黒鉛と、消しかすに取り込まれた黒鉛の違いが観察できる。

濃さの比較

2BとHBで同じ筆圧の線を引き、こすったときの広がりを比べる。芯の軟らかさと、付く粒の量の関係を確かめられる。

公式情報

鉛筆・消しゴムメーカーの解説や、紙の表面と黒鉛の付着を扱う論文(出典[4])を読むと、粒が紙に付くしくみの続きが分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

鉛筆の字が広がる理由は、辞典・解説記事・論文を組み合わせた説明である。メーカーの公式資料で直接述べたものは確認できていない。

  1. 鉛筆(コトバンク) https://kotobank.jp/word/鉛筆 (芯の材料と硬さ)
  2. 聖学院中学校 2025年度資料集2(鉛筆) https://seigakuin.ed.jp/wordpress/wp-content/uploads/2025/03/20250314-67d3b01a0be24.pdf (黒鉛と粘土の比率・6Bのぼかし)
  3. 黒鉛(コトバンク) https://kotobank.jp/word/黒鉛-63722 (層状構造)
  4. Kim et al., ACS Omega (2021), Vertically and Horizontally Drawing Formation of Graphite Pencil Electrodes on Paper by Frictional Sliding https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7841772 (紙の粗さと黒鉛の移る量)
  5. HugKum(文具情報室の解説) https://hugkum.sho.jp/478922 (濃い鉛筆ほど付く粒が多い)
  6. 東洋経済オンライン(涌井良幸・貞美) https://toyokeizai.net/articles/-/228974 (こすると広がる・消しゴムが粒を絡め取る)
  7. 消しゴム(コトバンク) https://kotobank.jp/word/消しゴム-489945 (消しゴムの原理と材料)
  8. tenki.jp サイエンスコラム https://tenki.jp/suppl/usagida/2016/05/02/12061.html (粒が消しゴムに付き、消しかすに包まれる)
  9. マイナビニュース どこでもサイエンス https://news.mynavi.jp/article/dokodemo_science-132/ (消しかすで新しい面が出る)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。