このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

かふんは、まどより ふくから はいるって ほんと?

花粉は窓より服から多く入ることもある? 家に入りこむ道すじ

花粉は窓より衣類から多く入ることがある 環境省マニュアルの実験値で読む室内への流入

分野:自然

おうちの まどを ぜんぶ あけて 1時間。そのあいだに、およそ 1000万この 花粉かふんが はいった という じっけんが あります。ところが、ライオンの ほうこくに よると、ふくに くっついて はいる 花粉かふんの ほうが 6ばい いじょうに なることも ある そうです。どうして ふくから はいるのでしょう。この メモでは、はいる みちと、へらす くふうが わかります。

花粉の多い時期に、マンション1戸の窓を全開にして1時間換気したところ、およそ1000万個の花粉が室内に入った、という実験があります。ところが、ライオンの報告をウェザーニュースが紹介した記事によると、衣類にくっついて持ち込まれる花粉は、窓から入る花粉の6倍以上になることもあるそうです。窓を閉めればよいのではないのか。そもそも、なぜ服に花粉が付くのか。このメモでは、入り口ごとの量と、窓の開け方や服で減らす方法が分かります。

花粉の最盛期に3LDKのマンション1戸を1時間換気すると、およそ1000万個の花粉が流入した、と環境省のマニュアルは伝える。ところが、ライオンの報告をウェザーニュースが紹介した記事によれば、衣類に付いて持ち込まれる花粉は、1時間の換気で窓から入る花粉の6倍以上になることもあるという。窓だけが入り口ではないのか。なぜ花粉は衣類に付くのか。このメモでは、入り口別の量、窓の開け方の効果、素材による付きやすさの違いと、その数字の限界が分かる。

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1. まどを あけると、どれくらい はいるの?

1. 窓を全開にして1時間、花粉はどれくらい入るのか

1. 窓を全開にして1時間換気すると、花粉はどれだけ流入するのか

はるに なると、そとの くうきには 花粉かふんが まじります。環境省かんきょうしょうの マニュアルに、花粉かふんが いちばん おおい ころの 実験じっけんが のっています。

3LDKの マンション 1こで、まどを ぜんぶ あけて 1時間。すると、およそ 1000万この 花粉かふんが へやに はいりました。1時間は 3600びょうなので、1びょうに 2800こくらいです。わり算を した だいたいの かずです。

これは、いちばん おおい ころの 1けんの 実験じっけんです。どの おうちでも おなじ かずが はいる わけでは ありません。

スギの 花粉かふんは、直径ちょっけいが 0.03ミリメートルくらい。33こ ならべて、やっと 1ミリメートルです。めに 見えにくい つぶが、まどから ふわっと はいって くるのです。

環境省の「花粉症環境保健マニュアル」(2022年)には、花粉が最も多い時期に行われた実験が載っています。3LDKのマンション1戸で、窓を全開にして1時間換気したところ、およそ1000万個の花粉が室内に流入しました[1]。1時間は3600秒なので、1秒あたりに直すと約2800個です(割り算で出した平均で、実験の報告にある数字ではありません)。

ただし、これは最盛期の1戸での値です。どの家でも同じ数が入るわけではありません。

数がこれほど大きくなるのは、粒がとても小さいからでもあります。スギ花粉の直径はおよそ25〜30μm(0.03mm前後)で、マニュアルの電子顕微鏡写真では28μmと25.4μmでした。表面には、オービクルスという小さな粒がついています[1][2]。30μmは0.03mmなので、約33個ならべて、ようやく1mmです。目に見えにくい粒が、窓から次々に入りこみます。では、窓を開けない手はないのでしょうか。

環境省の「花粉症環境保健マニュアル」(2022年)によると、花粉の最盛期に3LDKのマンション1戸で行った実験では、窓を全開にして1時間換気すると、およそ1000万個の花粉が屋内に流入した[1]。1時間は3600秒だから、割り算で平均すると1秒あたり約2800個にあたる(筆者の計算で、報告された数字ではない)。ただし、これは最盛期の1戸での実験値であり、どの家でも同じ数が入るとは読めない。

この数が大きくなる背景には、粒の小ささがある。スギ花粉は直径およそ25〜30μm(0.03mm前後)の粒で、同マニュアルの電子顕微鏡写真では直径28μmと25.4μm、表面にはオービクルスと呼ばれる小さな粒が見える[1][2]。30μmは0.03mmだから、約33個を一列にならべてやっと1mmになる計算だ。肉眼では見えにくい大きさの粒が、換気のあいだに窓から出入りする空気にまじって入る。それなら、窓を閉めきるしか手はないのか。

2. まどを 10センチだけ あけると?

2. 窓を10cmだけ開けてレースのカーテンを引くと

2. 窓の開け幅を10cmにしてレースのカーテンを引くと、流入はどう変わるか

どうしても まどを あけたい ときは あります。環境省かんきょうしょうの マニュアルには、まどを あける 幅はばを 10センチくらいに して、レースの カーテンを しめる ほうほうが あります。そうすると、へやに はいる 花粉かふんが およそ 4ぶんの 1に へる そうです。

ぜんぶ あけるのと くらべると、ずいぶん ちがいます。ただし、これは 10センチと カーテンを いっしょに した ときの かずです。どちらか ひとつだけの かずでは ありません。

それでも、空気を入れかえたい日はあります。マニュアルには、窓を開ける幅を10cm程度にして、レースのカーテンをすると、屋内に流入する花粉をおよそ4分の1に減らせる、とあります[1]。窓を全開にするのとくらべて、入る量がかなり減ることになります。

注意したいのは、これが「10cmの幅」と「レースのカーテン」を組み合わせた効果だということです。どちらか1つだけの数字ではありません。また、ウェザーニュースなど複数のサイトが同じ数字を紹介していますが、どれも出典は同じ環境省のマニュアルで、別々に行われた実験ではありません[4]。「4分の1」を、さきほどの1000万個にそのまま掛け算して250万個、と言いきることもできません。

窓を閉めきれない日のために、同マニュアルは対策を示している。窓の開け幅を10cm程度にし、レースのカーテンをすれば、屋内への流入花粉をおよそ4分の1に減らせるという[1]。この数字には条件がつく。「10cm」と「レースのカーテン」を組み合わせたときの効果であり、どちらか単独の値ではない。

数字の出どころにも注意がいる。ウェザーニュースの花粉ハンドブックなど複数のサイトが同じ内容を紹介しているが、出典はいずれも環境省のマニュアルで、独立した別の実験が重なって裏づけているわけではない[4]。「4分の1」を前章の1000万個に掛けて250万個と見ることも、実験条件がそろっているとは限らないので避けたい。では、窓の外から入るのとは別の入り口は、どう考えればよいのか。

3. ふくに くっついて はいる ほうが おおい?

3. 服にくっついて入る花粉は、窓からの量とくらべてどうなのか

3. 衣類に付いて持ち込まれる花粉は、窓から入る量とどう比べられるか

そとを あるくと、花粉かふんは ふくにも くっつきます。そして ふくは、そのまま おうちの なかに はいります。

ある ほうこくでは、ふくに くっついて もちこまれる 花粉かふんは、1時間 まどを あけて はいる 花粉かふんの 6ばい いじょうに なる こともある と しょうかいされて います。1時間 そとに いた ウールの セーターには、8まんこくらい ついた そうです。

「6ばい いじょうに なる こともある」と いう ところが だいじです。いつも そうだ という ことでは ありません。

花粉は、窓から風に乗って入るだけではありません。外を歩いた人の服にも付き、そのまま家の中に入ります。ウェザーニュースが紹介したライオンの研究報告では、衣類にくっついて持ち込まれる花粉は、1時間の換気で窓から入る花粉の6倍以上になることもあるとされています。1時間外出したウールのセーターには、約8万個が付いたそうです[3]。

ここで気をつけたいのは、「6倍以上になることも」という言い方です。いつも6倍ということではなく、条件がそろったときの話として紹介されています。8万個というセーターの数字も、1着の例です。8万個は外出したセーター1着に付いた数で、1000万個はマンションで1時間換気したときに室内へ入った数です。測った対象と条件がちがうので、この2つから6倍という関係は確かめられません。窓の換気量だけでは、衣類から持ち込まれる花粉の量は分かりません。

窓だけが入り口ではない。ウェザーニュースが紹介したライオンの研究報告によると、衣類に付いて家に持ち込まれる花粉は、1時間の換気で窓から入る花粉の6倍以上になることもある。1時間外出したウールのセーターには約8万個の花粉が付いた、という[3]。

この数字は慎重に読む必要がある。まず「6倍以上になることも」は、条件つきの表現で、常にそうなるとは言っていない。つぎに、8万個はセーター1着の例だ。8万個は外出したセーター1着に付いた数、1000万個はマンションで1時間換気したときに室内へ入った数だ。測った対象と条件が違うため、この2つから6倍という関係は確かめられない。また、このライオンの報告は、ニュース記事を通した二次的な紹介で読んでいる。窓の換気量だけでは、衣類から持ち込まれる花粉の量は分からない。では、服の何が花粉を連れてくるのか。

4. どんな ふくや ところに、花粉かふんは つきやすい?

4. 花粉はどんな服や体の部分に付きやすいのか

4. 花粉の付着量は、素材や体の部位でどう違うか

環境省かんきょうしょうの マニュアルに よると、ウールの ふくは、めんや 化学繊維せんいより 花粉かふんが つきやすい と いわれます。おなじ 繊維せんいでも、おり方や つかい方で、つく かずが おおきく ちがう こともあります。

ひとの からだでは、むき出しの あたまや かお、てが つきやすい ところです。ひろい つばの ぼうしや てぶくろを すると、つく 花粉かふんが へらせます。

ひょうごけんでは、おり目が こまかくて、静電気せいでんきを ためにくい ふくや ぼうしを えらぶことを すすめています。

環境省のマニュアルは、ウール製の衣類は木綿や化学繊維にくらべて花粉が付きやすく、屋内に持ち込みやすいと述べています。日中に屋外に4時間置いた各種の繊維を調べたところ、繊維の種類や織り方によって、付いたスギ花粉の数が大きく異なったとされます[1]。同じ繊維でも、織り方や使い方で付く量はかなり変わる、と考えられています。

人のからだでは、むき出しの頭・顔・手に花粉が付きやすいため、つばの広い帽子や手袋で付く量を減らせます[1]。兵庫県は、織り目が細かくて静電気を帯びにくい素材の服や帽子を選ぶことが予防のポイントだと説明しています[2]。

上着を選ぶとき、花粉の付きやすさという目で素材を見ると、ふだんの服がちがって見えてきます。

衣類による差を、同マニュアルはこう整理している。ウール製の衣類は木綿や化繊より花粉が付着しやすく、屋内に持ち込みやすい。日中に屋外へ4時間放置した各種繊維のスギ花粉数を比べた表では、繊維の種類や織り方で付着量が大きく異なる[1]。個別の数値は、原典の表で見られる。

体の側にも付きやすい場所がある。露出している頭・顔・手で、つばの広い帽子や手袋で付着量を減らせる[1]。兵庫県立健康科学研究所の解説は、花粉は衣類や髪に付きやすいので、織り目が細かく静電気を帯びにくい素材の服や帽子を選ぶことが予防のポイントになる、とする[2]。

注意したいのは、静電気が付着の原因だとまでは、これらの資料が述べていないことだ。「静電気を帯びにくい素材」は、選ぶ目安として示されている。素材は付きやすさの一つの手がかりで、織り方や着方によっても量は変わる。では、家に入った花粉は、その後どこへ行くのか。

5. おうちに はいった 花粉かふんは どこへ いくの?

5. 家に入った花粉は、どこに残るのか

5. 流入した花粉は室内のどこに残り、どう減らせるか

はいった 花粉かふんは、ゆかや カーテンに たくさん のこります。ですから、環境省かんきょうしょうの マニュアルは、掃除そうじを する ことと、カーテンを ときどき あらう ことを すすめています。

せんたくものや ふとんを そとに ほさない ことも、すすめられて います。そとで 花粉かふんが つくと、そのまま うちに もちこむ からです。

入った花粉は、空気中にずっと漂っているわけではありません。マニュアルは、流入した花粉は床やカーテンなどに多数残るので、掃除をして、カーテンは定期的に洗濯するよう勧めています[1]。

花粉を持ち込まない工夫としては、洗濯物や布団を外に干さないことも挙げられています[1]。

こうして見ると、花粉は窓・服・干した洗濯物と、いくつもの道で家に入り、床やカーテンにたまります。入り口を1つだけふさいでも、ほかの道が残るのです。

家に入った花粉の行き先について、同マニュアルは、流入した花粉は床やカーテンなどに多数残存するので、掃除を励行し、カーテンは定期的に洗濯するよう勧めている[1]。入った花粉が、そのまま空気中に漂い続けるわけではない、という書き方だ。

持ち込みを減らす側の対策としては、洗濯物や布団を外に干さないことも挙げられている[1]。窓、服、干した洗濯物と、花粉の入り口は複数あり、一つをふさいでも、ほかの道が残る。逆にいえば、窓の開け幅、素材や帽子、洗濯物の干し方を重ねるほど、持ち込みを抑える手段は増える。

換気や衣類、洗濯物ごとの侵入割合は、ここでは示さない。

6. おうちで ためせる ことは?

6. 10cmの窓と、服のタグで試せること

6. 数字を自分の家に当てはめるために

まず、ものさしで まどに 10センチの しるしを つけて みましょう。10センチは、おもったより せまい すきまです。

つぎに、きょう きている ふくの タグを 見て みましょう。「毛(ウール)」と かいて あれば、環境省かんきょうしょうの マニュアルでは、つきやすい ほうの ふくです。げんかんで ふくを はらってから へやに はいる くふうも できます。

もっと しりたい ときは、環境省かんきょうしょうの 「花粉かふんしょう かんきょう ほけん マニュアル」を、おうちの ひとと 見て みましょう。

まず、家の窓の「10cm」がどれくらいの幅かを、定規で測って印をつけてみましょう。思ったより狭い隙間なので、数字のイメージが変わります。

次に、いま着ている服のタグを見てみましょう。素材に「毛(ウール)」とあれば、環境省のマニュアルでは付きやすいとされる素材です。木綿や化学繊維の服と、どちらが付きやすいかを考える手がかりになります。

資料を読んでみたいなら、環境省の「花粉症環境保健マニュアル」の、換気と衣類について書かれた部分(27ページ前後と29ページ前後)が元になっています。実験の条件は、そこで確かめられます。

この記事の数字の多くは、環境省の「花粉症環境保健マニュアル」という一つの資料に集まっている。窓全開の1000万個、10cm+レースで4分の1、素材の違いは、いずれも同じマニュアルの27〜29ページ前後にあり、ウェザーニュースなどの紹介も出典は同じだ。数字を使うときは、「最盛期の1戸の実験」「組み合わせの効果」と、条件も一緒に伝えるのが正確だ。

自分で試せることもある。窓に定規で10cmの印をつけて、開け幅を確かめる。服の組成表示(タグ)で素材を調べ、ウールかどうかを見分ける。それぞれ、家の中の花粉をどこから減らすかを考える手がかりになる。さらに原典を読むなら、環境省のマニュアルの27ページ前後(換気と掃除)、29ページ前後(衣類と体の部位)が、本記事の主な出典箇所だ。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の数字は、次の資料で確かめました。

  1. 環境省『花粉症環境保健マニュアル』(2022年) https://www.env.go.jp/content/900406385.pdf (換気の実験、10cm+レースの効果、衣類・体の部位、掃除と洗濯、花粉の大きさ)
  2. 兵庫県立健康科学研究所『花粉情報』 https://web.pref.hyogo.lg.jp/iphs01/kenkokagaku/pollen_2.html (花粉の大きさ、衣類の素材の選び方)
  3. ウェザーニュース(ライオンの報告の紹介) https://weathernews.jp/news/202403/110255/ (衣類に付いて入る花粉と窓からの量の比較)
  4. ウェザーニュース『花粉ハンドブック』 https://weathernews.jp/pollen/handbook/page3-5.html (環境省マニュアルを出典として同じ数字を紹介していること)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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