1. おなじ 木に、実に ならない 花も さくの?
1. 同じ木に、実にならない花も咲くのか
1. 同じ木に咲く二種類の花:実を結ぶ両性花と、結ばない雄花
6月ごろ、ざくろの 木に 花が さきます[2]。ところが、さいた 花が ぜんぶ 実に なるわけでは ありません。
ざくろは、おなじ 木に 2しゅるいの 花を つけます。ひとつは、実に なる 花。もうひとつは、実を むすばない 「おばな」です[1]。おばなは、めしべが 小さく なって いて、じょうずに そだちません[3]。
では、実に なる 花は、そのあと どう かわって いくのでしょう。
2. 花の ねもとが ふくらんで、実に なる
2. 花のつけ根がふくらみ、3〜4か月で実になる
2. 花のつけ根が実になる:6月の花から9〜10月の果実まで
実に なる 花は、さいた あと、ねもとが ふくらんで いきます[3]。ざくろの 実は、この 花の ねもとが 大きく そだった ものです[2]。
花の さきに あった 「がく」は、実の さきに のこります[3]。ざくろの 実の 先を 見ると、花の あとが 見えるのは、この ためです。
6月に さいた 花が、9月から 10月ごろに みのります[2]。およそ 3か月から 4か月かけて、まるい 実に なるのです。大きさは、はば 5cmから 12cmほどの もの まであります[2]。
秋に なって みのった 実は、そのあと どう なるのでしょう。
花の根もとが、実のもとになる
実になる両性花では、花の根もとの部分(花筒、萼筒とも書きます)がふくらみ、花びらが落ちたあと、がくは実の先に残ります[3]。ザクロの果実は、花のつけ根にあたる部分(花托、果托)が発達したものです[2]。
花から実まで、約3〜4か月
日本では、6月ごろに咲いた花が、9〜10月ごろに熟します。花の時期と実の時期から数えると、およそ3〜4か月ほどです。日本の資料では、実のつく時期は9〜11月とも書かれています[2]。
実は球形で、直径は5〜12cmほどとされます[2]。手のひらにのる大きさに、3〜4か月ほどで育つ計算です。
秋になって熟した実には、どんな変化が起きるのでしょうか。
両性花では、花筒(萼筒)の基部がふくらんで果実の先端に残り、花の根もとの部分が実の本体になる[3]。ザクロの果実は、花のつけ根にあたる花托(果托)が発達した果実で、球形をなす[2]。花に由来する部分が実の外側をつくっているため、実の先にがくが残る、という見え方になる。
日本では花期が6月、果期が9〜11月とされる[2]。ここから数えると、花から実までは3〜4か月ほどという概算になる(実測の日数ではない)。直径は5〜12cmほどとされる[2]。
この日数は、土地や品種で変わる。インドの成熟指標の研究では、満開から収穫までの日数の目安が、Bhagwa で180日、Ganesh で150日、Arakta と Mridula で140日とされる[9]。これは140〜180日、つまり約4.5〜6か月にあたり、日本の花期と果期の季節から見積もった3〜4か月ほどより長い。ただしインドの値は、その土地の品種と気候での収穫の目安であり、日本の木の日数としては読めない。
では、熟した実の皮は、そのあとどう変わるのか。
3. 秋に なると、実は じぶんで われる
3. 秋、実は自分から裂けて赤い粒を見せる
3. 熟して裂ける果実:裂開と、水分・日焼けで起きる裂果
あきに なると、ざくろの 実の あつい かわが、じぶんで われて きます[4]。われ方は、いろいろです。われた ところから、中の 赤い つぶが 見えて きます[2]。
われた あとも、実は えだに ついたまま、ふゆまで ぶらさがる ことが あります[4]。
じつは、われるのは みのった ときだけでは ありません。雨や 水やりで、水が きゅうに かわったり、つよい 日ざしで かわが よわったり しても、われやすく なる ことが あります[5]。ざくろの 実の われ方には、水と 天気も かかわって いるのです。
われて 見える 赤い つぶは、いったい なんなのでしょう。
厚い皮が、自然に裂ける
熟したザクロは、厚い外皮が不規則に自然に裂け、赤く透き通った粒が見えるようになります[2][4]。裂けたあとも実は枝に残り、冬までぶら下がっていることがあります[4]。
裂けやすさには、水と天気も関わる
熟して裂けるのとは別に、水分の急な変化や強い日焼けで皮が弱って割れる「裂果」も、よく知られています。アメリカの大学の普及資料は、実が育つ夏の終わりに水やりのむらをなくさないと、実が割れる、と注意しています[5]。
実が裂ける理由を、種を鳥に運んでもらうためと結びつける説明は、今回見た資料にはありません。ここでは、裂けること自体と、そこに水と天気が関わることだけを押さえておきます。
中から現れた赤い粒は、何者なのでしょうか。
熟したザクロは、厚い外皮が不規則に自然に裂開し、赤く多汁の外種皮に包まれた多数の種子が現れる[2][4]。裂けたあとも実は枝に残り、冬までぶら下がることがある[4]。
ただし、裂けるのは熟したときだけではない。実が育つ夏の終わりの水分の急な変動や、秋の過剰な灌水、強い日焼けで皮が弱ることも、裂果の一因とされる[5]。したがって、「完熟して自然に裂ける」ことと、「水分変動などで割れる」ことは、見た目が似ていても別の現象として区別して読む必要がある。
裂けるしくみを、鳥による種子散布と結びつけて述べた資料は、今回の範囲にはない。種子散布のためと断定することは、避けておく。
では、裂けた実から現れる赤い粒は、植物学的には何にあたるのか。
4. 赤い つぶの 1つ1つは、なに?
4. 赤い粒の1つ1つは、種を包む外側の層
4. 食べる部分の正体:外種皮と、呼び名のゆれ
われた 実の 中には、赤い つぶが、数百こも 入って います[6]。しりょうに よって、200こから 1400こほどと、はばが あります[7]。
この 赤い つぶの 1つ1つは、たねを つつんで いる 外がわの 水っぽい 部分です。まん中に、たねが 1つ 入って います[6]。ざくろを 食べる ときに 口に 入れて いる 赤い ところは、たねの 「ふく」の ような ものです。ただし、本当は たねの 一部が 大きく なった ものです。
この 赤い ところの よび名は、学者の あいだでも ちがいます[7]。そして、ざくろは えだを 土に さしても ふえます。
赤い粒は、種のまわりの層
1つの実には、赤い粒が数百個入っています。数は実の大きさや品種によっても変わります[6]。食べているのは、種子を包む外側の層(外種皮)で、1粒ごとの中心に種子があります[6]。つまり、果肉をかじっているのではなく、種のまわりのみずみずしい層を味わっていることになります。
呼び名は、学者のあいだでもゆれる
この赤い部分は、仮種皮(アリル)とも呼ばれます。しかし2024年の論文は、ザクロで食べる部分は種皮に由来する外種皮で、厳密な意味の仮種皮ではない、と指摘しています[7]。同じものを指す名前が、資料によってちがうのです。
育ち方をたどるには、もう1つ知りたいことがあります。ザクロは、種からではなく、枝からもふやせるのです。
食べる赤い粒は、種子を包む外側の層(外種皮、sarcotesta)で、粒の中心に種子がある[6]。1つの実に含まれる粒の数は数百個とされ[6]、固定の値ではない。品種や実の大きさによって変わると考えられる。
この赤い部分は、慣用的には仮種皮(aril)と呼ばれる。ところが2024年の論文は、ザクロの食べる部分は種皮に由来する外種皮で、厳密な意味の仮種皮ではなく、aril という語をザクロの種子にあてはめること自体が誤用だと指摘している[7]。つまり、同じ部分でも、資料によって呼び名が分かれている。
だから、資料を読むときは、「仮種皮」「外種皮」「アリル」などの語が同じ部分を指しているのかを、前後の文脈で確かめる必要がある。では、この木は、ふつうどうやってふやされているのか。
5. えだを 土に さすと、ふえるって ほんと?
5. 枝を土に挿すと、新しい木になる
5. 挿し木での繁殖:硬枝挿しと、実がなるまでの年数
ざくろは、たねを まく ほかに、えだを 切って 土に さす 「さしき」でも ふやせます[8]。
つかうのは、えんぴつ ほどの 太さの、1ねんせいの えだです。冬の あいだ やすんで いる 木から とります[5]。日本では、3月の はじめから なかごろが よい じきと されて います[8]。
根が 出るまでは、ふつう 8しゅうから 16しゅう(2か月から 4か月ほど)かかります[5]。
実が なるまで、アメリカの ジョージアしゅうの しりょうでは、さしきの 木は 植えて 2ねんめ。たねから そだてると、少なくとも 3年 かかる そうです[1]。木は 高さ 2mから 6mほどの、とげの ある えだの 木に なります[2]。
冬の枝を、土に挿す
ザクロは、挿し木でふやせます。いちばん簡単で確実な方法とされるのは、冬の休眠期に、よく充実した枝(硬枝)を使う方法です。鉛筆ほどの太さの、約1年生の枝を使い、根が出るまで普通8〜16週かかります[5]。日本の資料では、挿し木の適期は3月上〜中旬とされ、太い枝を挿し穂にしてもよいとあります[8]。
実がなるまでの年数
アメリカのジョージア大学の資料によると、硬枝挿しでふやした木は、植えて2〜3年ほどで実がなりはじめる目安とされます。種から育てると、少なくとも3年かかります[1]。これはアメリカの栽培条件での目安なので、日本の庭木では前後するかもしれません。
木は、高さ2〜6mの落葉の小高木で、枝にとげがあります[2][6]。成熟するのに5〜7年かかり、200年生きることもあるといわれます[1]。
西アジアから、日本へ
ザクロは西アジア(イランからヒマラヤのあたり)の原産とされ、日本へは平安時代ごろに伝わったといわれます。日本では、食用より観賞用が多いとされます。伝わった時期は、資料によって説が分かれています[2]。
挿し木の方法としては、冬の休眠期に、よく充実した約1年生の硬枝を使う硬枝挿しがもっとも簡単で確実とされ、鉛筆ほどの太さの枝を使うと、発根までに通常8〜16週かかる[5]。日本の資料では、挿し木のほか、取り木や種まきでもふやせ、挿し木の適期は3月上〜中旬とある[8]。
挿し木の利点は、実のつくまでの年数にも出る。ジョージア大学の普及資料は、硬枝挿しの木は植えて2〜3年ほどで実がなりはじめる目安とし、種から育てた場合は少なくとも3年かかると述べる[1]。数字は米国ジョージア州の栽培条件の目安であり、日本の庭木にそのまま当てはまるとは限らない。日本語版の百科事典には、若木が実をつけるまで10年程度かかる場合もあるとの記述があるが、これも条件による差と考えられ、今回は数値として採らない。
ザクロは落葉の小高木〜低木で、高さは資料によって2〜6m(日本)、2〜4m(フロリダ)と幅があり、枝にはとげがある[2][6]。木としての成熟には5〜7年かかり、200年生きることもある[1]。
原産は西アジア(イラン〜ヒマラヤ)とされ、日本へは平安時代ごろに伝わったとされるが、渡来の時期は資料によって説が分かれる。日本では食用より観賞用が多いとされる[2]。
6. ざくろを 見つけたら、たしかめて みよう
6. 実を手に取って、花の跡と粒の数を確かめるには
6. 確かめられること、原典で読めること
ざくろの 実を てに 入れる ことが できたら、おとなと いっしょに、2つ たしかめて みましょう。
ひとつめは、実の さきです。花の「がく」の あとが のこって いる はずです[3]。さがして みましょう。
ふたつめは、つぶの かずです。おとなに 実を わって もらい、すこしずつ 小ざらに うつして、かぞえて みましょう。数百 あるか、すこし かぞえて みると、「数百」が どのくらいか 分かります。かぞえる 手が とまったら、そこまでで おしまいです。
ざくろの 木を 見かけたら、花が さいて いるか、実が われて いるかを 見るのも たのしいです。まちの 木も 見て みましょう。
今日できること
ザクロの実を手に入れたら、大人といっしょに、実の先を見てみます。花のがくが残っているはずです[3]。
実を割ってもらい、粒を10個ずつ小皿に分けて数えてみます。数百個あると資料にあります[6]。全部数えきれなくても、10個の山がいくつできるかで、おおよその数が分かります。刃物を使うのは大人に任せます。
木を見かけたら
ザクロの木を近所で見かけたら、花、ふくらみはじめた実、裂けた実を、時期をずらして見にいってみます。6月ごろの花から、9〜10月ごろの裂けた実まで、どのくらいの時間で変わるかを、自分の目で確かめられます[2]。人の家の木には、入りこまずに外から見ます。
粒を1つ、よく見る
割った実から粒を1つ取り、まわりの層をつぶさないように割ってみます。中心に種があるか、まわりをみずみずしい層がつつんでいるかを、目で確かめられます[6]。
今日できること
ザクロの実を手に入れたら、大人といっしょに、実の先にがくが残っているかを確かめる[3]。実を割ってもらい、粒を10個ずつ小皿に分けて数えると、「数百個」[6]のどのあたりかの見当がつく。刃物は大人が扱う。
ザクロの木を近所で見かけたら、花、ふくらむ実、裂けた実を、時期をずらして記録する。6月ごろの花から9〜10月ごろの裂けた実までの日数は、日本の資料では約3〜4か月とされ[2]、インドの品種では140〜180日の目安もある[9]。自分の観察は、そのどちらに近いだろうか。
資料にあたる
粒の呼び名と植物学的な位置づけは、2024年の Melgarejo らの論文(出典[7])で原典にあたれる。実の裂けやすさと水分管理は、ネバダ大学の普及資料(出典[5])に具体的な注意が書かれている。「裂けることに何の意味があるのか」は、今回の資料では答えが示されておらず、これも次に調べる問いになる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。数値や時期は、資料や品種、土地で幅があります。
- University of Georgia Extension C997「Pomegranate Production」 https://fieldreport.caes.uga.edu/publications/C997/pomegranate-production/ (2種類の花、挿し木と実がなるまでの年数。英語の資料)
- 三河の植物観察「ザクロ」 https://mikawanoyasou.org/data/zakuro.htm (花期・果期、果実の大きさ、樹高、原産と渡来)
- 庭木図鑑 植木ペディア「ザクロ」 https://www.uekipedia.jp/ (両性花と雄花、花の根もとがふくらむこと、がくが残ること)
- BE-PAL「ナチュラリストが教える…ザクロ」 https://www.bepal.net/archives/611324 (熟して裂ける様子、冬まで枝に残ること)
- University of Nevada Extension「The pomegranate」 https://extension.unr.edu/publication.aspx?PubID=3809 (裂果と水分変動、硬枝挿し。英語の資料)
- UF/IFAS EDIS MG056「Pomegranate」 https://edis.ifas.ufl.edu/publication/MG056 (赤い粒と種子、樹高。英語の資料)
- Melgarejo ほか(2024)Foods 13:201 https://mdpi-res.com/d_attachment/foods/foods-13-00201/article_deploy/foods-13-00201.pdf (外種皮と仮種皮の呼び名、粒の数。英語の資料)
- Wikipedia「ザクロ」(日本語版) https://ja.wikipedia.org/wiki/ザクロ (果実の大きさ、挿し木の適期)
- Indian Journal of Agricultural Sciences(ICAR)成熟指標の研究 https://epubs.icar.org.in/index.php/IJAgS/article/download/74209/31256/187780 (インドの品種ごとの満開から収穫までの日数。英語の資料)
なおした ところ
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