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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

お店の 値段ねだんは、だれが どうやって きめるの?

98円はなぜ安く見えるのか ── 会社が値段を決めるときの「下限」と「上限」

値段は「決めるもの」── 損をしない下限と買ってもらえる上限、越後屋の正札、末尾9の価格、日ごとに変わる入場券

分野:歴史・文化

スーパーで 98円と 100円の ねだんが ならんで います。ちがいは たった 2円。それでも 98円の ほうが 安く 見える 気が する ことは ありませんか。

9で おわる ねだんは、1セント 高い ねだんより 小さく 感じられる、という 研究けんきゅうが あります。でも その ちからは、いつでも 出るわけでは ないそうです[6]。お店の人は、値段ねだんを どう きめて いるのでしょう。むかしの お店から いまの 入場けんまで、値段ねだんが きまる ときの 考え方が わかります。

スーパーの棚に、98円と100円の値札が並んでいます。差は2円、割合にすると2%です。それでも、98円のほうがずいぶん安く見える、と感じたことはないでしょうか。

アメリカの研究では、9で終わる価格は1セント高い価格より小さく感じられるとされています。ただし、それは左端の数字が変わるときに限られる、という条件つきです[6]。会社は値段をどう決めているのでしょうか。損をしない下限と買ってもらえる上限、江戸の越後屋、日ごとに変わる入場券の例から、値段が「決めるもの」だと分かります。

98円と100円では、差は2円で、割合にして2%にすぎない。それでも98円は安く見えることがある。アメリカの研究(Thomas & Morwitz, 2005)は、9で終わる価格が1セント高い価格より小さく感じられるのは、左端の桁が変わるときに限られる、と報告している[6]。つまり、安く感じるかどうかは、数字の置き方しだいで変わりうる。

では、会社はいったい何を手がかりに値段を決めているのか。原価・需要・競合という3つの見方、江戸の呉服店・越後屋が「正札・現金払い」を掲げた理由、末尾9の研究の条件、入場券の日ごとの値段の差を並べると、値段が自動的に決まるものではなく、人が考えて決める判断であることが分かる。

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1. むかしの お店は、お金を もらうのに 半年も かかった?

1. 江戸の呉服店は、代金をもらうのに半年から数年かかった

1. 江戸の呉服店は、代金の回収に半年から数年かかっていた

江戸えどの まちに、ごふくを うる お店が ありました。ごふくとは、きものに する ぬの の ことです。

その ころの ごふくやは、えらい 人の おやしきに ぬのを とどけて、お金は あとで もらう やりかたが ふつうでした。お金は、ぼん と くれの 年に 2回に わけて はらって もらう ことが 多かったそうです。

お金が 手に はいるまでに、半年から 何年も かかる ことも ありました。はらって もらえない ことも あり、お店の もうけを へらして いたと いわれます[2]。

そこへ、ちがう やりかたの お店が あらわれます。

江戸時代の前半、呉服(着物の布地)を売る商人は、いまの店とはずいぶん違う商売をしていました。

社史の解説によると、当時の江戸の呉服商は、武家屋敷へ品物を届ける「屋敷売り」と、盆と暮れの2回に分けて払ってもらう「掛売り」を慣行としていました。代金の回収には半年から数年かかり、払ってもらえない貸倒れも出て、利益を圧迫していたといいます[2]。

品物を渡してから、お金が手に入るまでが長い。これでは、仕入れや店の運営に回せるお金も限られてしまいます。この悩みに、まったく違う商い方で挑んだ店がありました。

江戸時代の呉服商は、品物を渡してからお金が入るまでが長いという、商売の根本的な悩みを抱えていた。社史の解説によれば、当時の江戸の呉服商は、武家屋敷へ出向いて売る「屋敷売り」と、盆と暮れの2回に分けて払ってもらう「掛売り」を慣行とし、代金の回収に半年から数年を要して、貸倒れが利幅を圧迫していた[2]。

ここで注意したいのは、この資料が述べているのは、客ごとに値段を変えていたことではなく、後払いによる回収の遅れと貸倒れだという点である。「掛け値」という言葉には、客に応じて値段を上乗せする意味で説明する資料もあるが、今回使った資料が直接述べているのは、前者である。

回収の遅れは、次の仕入れの資金に響く。値段を決める以前に、「いつ、どうやってお金を受け取るか」が商売の成否を分けた時代だった。この構造を変えようとした店が、越後屋である。

2. えちごやは、なにを かえたの?

2. 越後屋が掲げた「現銀掛値なし」は、何を変えたのか

2. 「現銀掛値なし」・店前売り・小切売り ── 越後屋の商法

1673年、江戸えどの 本町に、みついたかとしと いう 人が ごふくの お店を ひらきました。名まえは「えちごや」です[2]。

この お店は、3つの ことを しました。1つめは、ねふだに かいた ねだんで、その 日の うちに お金を はらって もらう「げんぎん かけねなし」。2つめは、お店の 前で うる「店まえ うり」。3つめは、ぬのを ほしい ぶんだけ きって うる「こぎれ うり」です。

これなら、お金を もらうのが おそく なる しんぱいが へります。ほしい ぶんだけ 買えば よいので、買う ほうも 気がるです。

この お店が、いまの 三越みつこしの はじまりです。名まえは、みついと えちごやから 1字ずつ とって できました[4]。

ところで、お店の人は、ねふだの ねだんを どうやって きめるのでしょう。

1673年、三井高利が江戸の本町一丁目に呉服店「越後屋」を開きました。のちに駿河町へ移っています(移転は1683年とする資料が多くあります)[2]。

越後屋がとった商法は3つです。「現銀掛値なし」は、正札(値札に書いた値段)どおりに現金で払ってもらうこと。「店前売り」は、店先で待って売ること。「小切売り」は、反物(着物1着分の布)を丸ごとではなく、必要な丈だけ切って売ることです[2]。

前の章で見た悩みと並べると、狙いが見えてきます。値札どおりの現金払いなら、回収が遅れることも貸倒れもありません。必要な分だけ切って売れば、客は少ない出費で買えます。そして、こうした商い方は当時の人の目にも新しく映ったようで、井原西鶴の『日本永代蔵』(1688年)にも、店頭で現金・定価で売る「現金掛け値なし」への言及があります[3]。

越後屋はのちに三越になります。三越という名は、三井家が起こした屋号「越後屋」から、一文字ずつ取って付けられました。1904年には株式会社三越呉服店となり、「デパートメント・ストア宣言」を出しています[4]。

正札があるということは、値段をあらかじめ決めておく必要があるということです。では、会社は何を見て値段を決めるのでしょうか。

越後屋は、先ほどの悩みの反対側に立つ商いを選んだ。1673年、三井高利が江戸の本町一丁目に開き、のち駿河町へ移った(移転を1683年とする資料が多い)[2]。

とった商法は3つである。「現銀掛値なし」は、正札の現金払い。「店前売り」は、店頭での待ち売り。「小切売り」は、反物を必要な丈だけ切って売る方法である[2]。正札で現金払いなら、後払いの回収遅れも貸倒れも生じない。小切売りなら、客は反物1本分の出費を負わなくてよい。つまり、前の節の悩みを、売り方の側から解いたものと読める(ただし、そのためにこの形にしたと資料が明言しているわけではない)。

この商いが当時の人の目にも新しく映ったことは、井原西鶴の『日本永代蔵』(貞享5年・1688年)に、店頭での現金定価販売を意味する「現金掛け値なし」が言及されていることからうかがえる[3]。ただし越後屋で定価販売が始まった年そのものは、開業の1673年と移転の1683年で資料の表現が分かれるため、本記事では断定しない。

越後屋は、「三井」と「越後屋」から一文字ずつ取って三越となり、1904年に株式会社三越呉服店として「デパートメント・ストア宣言」を出した[4]。

では、正札に書く数字そのものは、どう決めればよいのか。現代の会社が使う考え方を見る。

3. 値段ねだんの「下」と「上」は どこ?

3. 値段は「損をしない下限」と「買ってもらえる上限」のあいだで決まる

3. 原価・需要・競合 ── 値段が決まる範囲と、コストプラスの弱点

中小きぎょうを おうえんする ところの ページに、値段ねだんの きめかたが かいて あります[1]。

値段ねだんは、2つの あいだで きまります。ひとつは、これより 安く うると お金が へって しまう、いちばん ひくい ねだん。もうひとつは、これより 高いと だれも 買わない、いちばん 高い ねだん。

この あいだで きめる とき、お店は 3つを 見ます。つくるのに かかった お金。買いたい 人が どのくらい いるか。ほかの お店は いくらで うって いるか。

ただし、これで 100てん、と いう きめかたは ありません。

つくるのに かかった お金に、もうけを たして きめる やりかたも あります。かんたんで、もうけも かくほしやすい のが よい ところです。でも、買う人が いくらなら ほしいか、を 見て いません。だから 売れない ねだんや、安すぎる ねだんに なる ことも あります[1]。

現代の会社は、値段をどう決めているのでしょうか。中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する情報サイト「J-Net21」に、考え方の基本が載っています。

値段は、総原価から見て売ると損をする「下限」と、消費者が買ってくれる「上限」のあいだに収まります。そのあいだのどこに置くかを決めるときに見るのが、原価・需要・競合の3つです。つまり、作るのにいくらかかったか、買いたい人はどれくらいいるか、ほかの店はいくらで売っているか、です[1]。

同じ資料は、絶対的な設定方法はない、とも述べています。

原価に利益を足して決める方法(コストプラス)は、計算が簡単で、利益を確保しやすいやり方です。一方で、客の需要を見ていないため、売れない値段や、安すぎる値段になる危険があります。悪い方法ではなく、需要を見ないという弱点を知ったうえで使う方法です[1]。

では、「買ってもらえる値段」の上限に近づけるとき、数字の見せ方は関係するのでしょうか。

値段は、どの範囲で決まるのか。J-Net21(中小機構)の「価格設定の基本的な考え方」によると、値段は、総原価から判断して、販売すると損をする下限の価格と、消費者が購入してくれる上限の価格のあいだで決まる。その範囲の中で、原価・需要・競合の3つを見て決める。同資料は、絶対的な決め方はないとも明記している[1]。

コストプラス(原価に利益を足す方式)は、計算が簡単で利益を確保しやすい。ところが、客がいくらなら買うかという需要を見ていないため、売れない値段や安すぎる値段を付ける危険がある。コストプラスは誤った方式ではなく、需要を見ないという限界を持つ方式だと理解するのがよい[1]。

この範囲の内側に、上限へ近づける工夫が入りこむ余地がある。たとえば、数字の最後を何にするか、という工夫である。次の節では、広告に並ぶ価格の最後の桁を扱った研究を読む。

4. 98円は、ほんとうに 安く 見える?

4. 末尾が9の値段は、どんなときに安く見えるのか

4. 末尾の桁と左端の桁 ── 端数価格の2つの研究と、その条件

お店の ちらしを 見ると、98円や 198円の ように、9で おわる ねだんが 目に つきます。

アメリカで ちらしの ねだんを しらべた 研究けんきゅうでは、さいごの 数字は 0と 5と 9が 多かった そうです。0と 5は、「きりが いい 数」として 思いうかべやすいから。9は、きりが いい 数から ちょっと おまけを した ねだん、と 感じられる ためだ、という せつが あります[5]。

もうひとつ、べつの 研究では、ドルで しらべた けっかですが、2.99ドルは 3.00ドルより 小さく 感じられました。ただし それは、左はしの 数字が かわる とき だけです。2.99と 3.00は、左はしが 2から 3に かわります。でも 2.89と 2.90の ように 左はしが かわらない ときは、9で おわる ほうが 小さく 見える とは かぎりません[6]。

この 研究を した 人たちの ニュースリリースにも、9で おわる ねだんを つかうかは 大事な はんだんで、いつも おなじ ききめが あるとは かぎらない、と かいて あります[7]。

広告の値段の最後の桁を調べた研究(Schindler & Kirby, 1997)があります。この研究で調べた広告では、最後の桁は0・5・9が多く、0と5は「切りのよい数」として頭に浮かびやすいからだと説明されています。9については2つの見方があります。ひとつは、切りのよい数から少しおまけした値段だと受け取られるという説。もうひとつは、数字を左から読んでいくとき、途中の段階で切りのよい数に近いと受け取られるという説です[5]。

では、9で終わると本当に小さく感じるのでしょうか。Thomas & Morwitz(2005)は、9で終わる価格が1セント高い価格より小さく感じられるのは、左端の桁が変わるときに限られると報告しました。2.99ドルと3.00ドルなら左端が2から3に変わりますが、2.89ドルと2.90ドルなら変わりません。また、比べる相手の価格との距離が近いほど起きやすいとも述べています[6]。

2.99と3.00の差は1セントで、割合では約0.3%です。数字の差と、感じる差は別物だと分かります。

この研究のニュースリリースは、9で終わる値段を使うかどうかは重要な判断で、注意が必要だと述べています[7]。「98円にすれば必ず売れる」とは、研究者自身が言っていないことになります。

数字の見せ方で感じ方が変わるなら、時期によって値段そのものを動かす会社もあるはずです。

数字の最後の桁は、なぜ9が多いのか。Schindler & Kirby(1997)は、広告の価格の最後の桁には0・5・9が多いことを示し(調べた広告の範囲での話である)、0と5は切りのよい数として頭に浮かびやすいことが理由だとした。9については、切りのよい数から少しおまけした値段として受け取られる説と、左から右へ読む処理が途中で終わり、切りのよい数に近いと受け取られる説があり、どちらか一方に決まっていない[5]。

では、9で終わる価格は、常に安く感じられるのか。Thomas & Morwitz(2005)の要旨によれば、9で終わる価格が1セント高い価格より小さく感じられるのは、左端の桁が異なるときだけである。$2.99と$3.00は左端が2と3で異なるが、$2.89と$2.90では同じ2のままだ。比べる価格との距離が近いほど、この効果は出やすい[6]。1セントは、2.99に対して約0.33%にすぎない。数字の差は小さいのに、桁の変わり目では感じ方に差が出る、ということになる。

同じ研究のニュースリリースは、9で終わる価格が常に低く認識されるとは限らず、使うかどうかは重要な判断だと述べる[7]。したがって、「98円にすれば必ず売れる」という読み方は、研究の結論からは出てこない。

人の感じ方に合わせて数字を置くという考えは、時期ごとに値段を動かす方法にもつながる。次の節で、入場券の例を見る。

5. おなじ 入場けんが、日に よって ちがうのは なぜ?

5. 日ごとに値段が変わる入場券 ── ダイナミックプライシングの例

5. ダイナミックプライシング ── 需要の予測と、売れ残りを在庫にできない事情

あそびに いく ところの 入場けんは、日に よって ねだんが ちがう ことが あります。

ある 研究けんきゅうの コラムに、大きな テーマパークの れいが のって います。お客が 少ない 1月は 7,400円。中国の お正月で こむ 2月1日から 3月22日までは 8,200円。春休みの 3月23日から 31日までは 8,700円でした。これは 2019年ごろの 話で、いまの ねだんでは ありません[8]。

1月と 春休みでは、1,300円 ちがいます。

なぜ、日に よって かえるのでしょう。入場けんは、のこっても 次の日に まわせません。あいた せきは、そのまま 売り上げの へりに なります。だから お客が 多い 日は 高めに、少ない 日は ひくめに して、お客を あつめようと します[8]。

入場券のように、売れ残りを在庫として持っておけない商品があります。野村総合研究所のコラムは、こうした商品では空席が売上の減少に直結するため、天候・イベント・好みなどのデータから需要を予測し、価格を自動的に変える仕組み(ダイナミックプライシング)が使われると説明しています[8]。

コラムには、大型テーマパークの1デイ・パスの例(2019年前後の記事)があります。閑散期の1月は7,400円、中国の春節で混む2月1日〜3月22日は8,200円、春休みの3月23日〜31日は8,700円です[8]。1月を基準に計算すると、春節の時期は800円高く、割合は約11%。春休みは1,300円高く、約18%です。

これは過去の値段で、いまの料金や仕組みは公式サイトで確認する必要があります。

前の章の言い方で整理すると、お客が少ない時期は、下限に近い値段で来てもらうほうが、空席よりも売上になります。混む時期は、上限に近づける余地があります。値段は、原価だけで決まるものではなく、需要の動きに合わせて動くことがあると分かります。

江戸の越後屋は、値段を正札で固定して商売を広げました。いまは、需要を見て動かす店もあります。値段の決め方は、時代と商品で変わります。

値段は、いつも一定でなければならないのか。入場券のように、売れ残りを在庫として持てない商品では、空席がそのまま売上の減少になる。野村総合研究所の木内コラム(2019年)は、需要を予測し、それに応じて価格を時々刻々、自動的に変更するダイナミックプライシングを、天候・イベント・好みなどのデータを使う仕組みとして説明している[8]。

同コラムの例は、当時のテーマパークの1デイ・パスで、閑散期の1月は7,400円、中国の春節で混む2月1日〜3月22日は8,200円、春休みの3月23日〜31日は8,700円である。1月を基準にすると、春節期は800円高く約10.8%、春休み期は1,300円高く約17.6%にあたる。これは2019年前後の記事の値であり、現在の価格ではない[8]。

第3節の枠組みで読めば、閑散期は空席が出やすいため、値下げで来場者が増えれば、空席のままにするより売上を得られる場合がある。繁忙期は、同じ席を高い値段で売れる余地がある。ただし、これは筆者による読み替えであり、コラムがこの図式で説明しているわけではない。

越後屋の正札は「値段を固定して信用と回収を確保する」商いで、ダイナミックプライシングは「需要に応じて値段を動かす」商いだ。目的が違えば、値段の決め方も変わる。

6. ちらしと ねふだで、さいごの 数字を かぞえて みよう

6. 家のチラシで、値段の最後の数字を数えてみる

6. 家のチラシで末尾の桁を数える ── 研究の結果を自分の目で確かめる道すじ

おうちに ある スーパーの ちらしを 1まい もって きましょう。

ちらしに のって いる ねだんを 20こ ぐらい えらんで、さいごの 数字が 0・5・9・その ほか の どれかを、かぞえて みます。0と 5と 9は、どのくらい ありましたか。

つぎに、98円の ような ねだんを 見つけたら、100円との ちがいを けいさんして みましょう。ちがいは 2円です。それでも 安く 見えるか、自分の 気もちを たしかめて みます。

お店に 行ったら、おなじ しょうひんで ねだんの ならびかたを くらべても よいです。

もっと しりたい ときは、研究けんきゅうの ニュースリリースが、いろいろな 考え方を のせて います[7]。

研究で調べた広告では、値段の最後の桁に0・5・9が多いそうです。自分の家のチラシでは、どうでしょうか。

チラシから値段を20個ほど選び、最後の数字を表にして数えます。0・5・9がどのくらいあるでしょうか。数え方を決めておくことが大事です。たとえば「税込みか税抜きか」「1個あたりかまとめ売りか」をそろえます。条件がばらばらだと比べられません。

次に、98円や198円のような値段を見つけたら、100円や200円との差を計算します。98円は100円より2円(2%)安く、198円は200円より2円(約1%)安い、と分かります。数字の差と、自分が感じた差を並べると、感じ方の違いが見えてきます。

数えた結果が研究のとおりにならなくても、不思議ではありません。研究は、広告全体の傾向を調べたものです。1枚のチラシは、1つの例にすぎません。

数えた表を、この記事の研究の説明と見比べてみてください。同じ店のチラシを日をかえて数えると、もう1つの比べ方になります。値段の決め方の基本は、中小機構のJ-Net21[1]にあり、日本語で読めます。テーマパークなど、日ごとに値段が変わる施設の現在の料金は、公式サイトで確かめてください。

研究の結果を自分の目で確かめる道すじがある。家にあるチラシから、値段を20個ほど選び、最後の桁を0・5・9・その他に分けて数える。このとき、税込みと税抜き、単品とまとめ売りなど、表示の条件をそろえて数える。条件が混ざると、集計の意味が変わる。

次に、98円や198円のような価格を見つけて、切りのよい数との差を計算する。98円と100円は2円(2%)、198円と200円は2円(約1%)である。差の割合は小さい。それでも安く感じるかどうかは、自分の感覚で確かめられる。Thomas & Morwitz(2005)の研究に即せば、左端の桁が変わる98→100のような場合と、変わらない場合とを分けて比べると、条件の意味が分かりやすい[6]。ただし、1枚のチラシは1つの例にすぎず、数えた結果が研究と違っても、研究の否定にはならない。

資料の読みどころは3つある。Schindler & Kirby(1997)の要旨は、最後の桁が0・5・9に偏るという観察と、9についての2つの説明を示す[5]。Thomas & Morwitz(2005)の要旨は、左端の桁が変わるときという条件を示し[6]、そのニュースリリースは、常に同じ効果があるとは限らないという注意を示す[7]。J-Net21は、値段が下限と上限のあいだで、原価・需要・競合を見て決まるという基本を、日本語で簡潔に書いている[1]。

テーマパークなどの現在の料金と仕組みは、変わりうるため、公式サイトで確かめる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:中小機構の解説、社史と自治体の解説、博物館協会の報告、消費者行動の研究の要旨、研究のニュースリリース、シンクタンクのコラムを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. J-Net21(中小機構)「価格設定の基本的な考え方」。https://j-net21.smrj.go.jp/startup/manual/list7/7-2-4.html (値段が決まる範囲、原価・需要・競合の3つ、コストプラスの特徴について)
  2. the-shashi「三井の創業」の解説。https://the-shashi.com/tse/8314/decisions/founding-1673/ (江戸の呉服商の掛売りの慣行、越後屋の3つの商法について。社史の解説)
  3. 公益財団法人 日本博物館協会 展覧会報告。https://www.museum.or.jp/report/112890 (『日本永代蔵』の「現金掛け値なし」への言及について)
  4. 中央区 三越日本橋本店(国の重要文化財)の解説。https://www.city.chuo.lg.jp/a0052/bunkakankou/rekishi/kunibunkazai/030221.html (三越の名前の由来、1904年の宣言について)
  5. Schindler, R. M. & Kirby, P. N. (1997) Journal of Consumer Research 24(2), 192-201 の要旨。https://ideas.repec.org/a/oup/jconrs/v24y1997i2p192-201.html (広告の価格の最後の桁について。英語の要旨)
  6. Thomas, M. & Morwitz, V. G. (2005) Journal of Consumer Research 32(1), 54-64 の要旨。https://ideas.repec.org/a/oup/jconrs/v32y2005i1p54-64.html (9で終わる価格と左端の桁について。英語の要旨)
  7. EurekAlert! 研究ニュースリリース(Thomas & Morwitz)。https://eurekalert.org/news-releases/545204 (9で終わる価格がいつも同じ効果とは限らない点について。英語)
  8. 野村総合研究所 木内コラム(2019年)。https://www.nri.com/jp/media/journal/kiuchi/20190415.html (ダイナミックプライシングの説明と、2019年前後の入場券の例について)

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