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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

電気で 水を 山の 上に くみあげて ためると、その 電気は ぜんぶ もどるの?

揚水発電の電気はなぜ7割前後しか戻らない? ── 機械と水路に重なる損

揚水発電の総合効率はなぜ100%にならないか ── 機器損失と水路損失、可変速・タンデム式による改善

分野:技術

ようすい発電は、山の 上の 池に 水を ためて、電気を しまって おく しくみです。でも、しまった 電気は、ぜんぶは もどって きません。もどるのは、7わりくらい と いわれます。

のこりの 3わりは、どこで なくなるのでしょう。そして、そんが あっても つかわれるのは なぜでしょう。この ノートで 分かります。

電気を水に変えて山の上にしまっておくと、取り出せる電気は、しまったときに使った電気のおよそ7割前後といわれます。10の電気を使って水を上げても、戻ってくるのは7ほどです。

残りの3割ほどは、どこで失われるのでしょうか。それは減らせるのでしょうか。損が出るのに、揚水発電が使われているのはなぜでしょうか。この記事を読むと、その答えが分かります。

揚水発電は、余った電気で水を上の池へ上げ、必要なときに落として発電する仕組みで、よく大きな電池にたとえられる。ただし、水を上げるのに使った電力のうち、発電で戻るのは日本の資料ではおよそ70%程度とされる[3]。

残りの約3割は、どの機器のどの過程で出るのか。可変速運転やタンデム式で、どこまで減らせるのか。損があっても使われる理由は何か。この記事では、これらが分かる。数字は設備や条件で幅があり、一つの値に決めきれないことも示す。

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1. 水に して ためると、どれくらい もどるの?

1. 余った電気を山の池にしまうと、何割戻ってくるのか

1. 揚水効率とは何か ── 70%程度という数字と、80%超という数字

ようすい発電は、電気が あまった 電気で ポンプを 回して、下の 池から 上の 池へ 水を 上げて おきます[1]。

電気が たりなく なったら、上の 池の 水を 下へ 落とします。落ちる 水が 水車を 回して、また 電気が できます。大きな 電池に たとえられる のは、このためです[1]。

ただし、水に して ためた 電気は、ぜんぶは もどりません。日本の しりょうでは、7わり くらいが もどる ことが 多い と されます[3]。10の 電気を つかって 上げた 水から、7くらいの 電気が できる、と いう 見かたです。

電気は、そのままでは大量にためておけません。そこで、電気が余っている時間にポンプで水を上の池へ上げておき、足りなくなったら水を落として発電する方法があります。これが揚水発電です。アメリカのエネルギー省は、この仕組みを大きな電池のようなものと説明しています[1]。

戻ってくる割合を「揚水効率」という

水を上げるときに使った電力に対して、発電で戻ってくる電力の割合を、揚水効率と呼びます。日本の資料(二次資料)では、およそ70%程度になることが多いとされています[3]。

数字には幅もあります。アメリカのPNNL(太平洋岸北西部国立研究所)の報告書は、ポンプで水を上げる充電と発電の往復で、効率が80%を超えることもあると述べています[2]。資料によって数字が異なり、70%と80%超は食いちがいというより、設備や条件による幅と考えられます。では、その差はどこで生まれるのでしょうか。

揚水発電は、電力が余る時間帯に下池から上池へポンプで水を上げ、不足する時間帯に落として発電する。米国エネルギー省は、電力をためて必要なときに放出できる点を、巨大な電池になぞらえている[1]。この「電池」の充放電の損失を表す量が揚水効率で、揚水に使った電力に対する発電で得られる電力の比である。日本の資料は、およそ70%程度になることが多いとする[3]。

一方、PNNLの2023年の報告書は、充電(揚水)と放電(発電)の往復効率が80%を超えることがあるとする[2]。資料によって数字は異なり、70%と80%超は矛盾ではなく、設備の構成や運転条件による幅と考えられる。つまり「揚水発電の効率は何%」と一つの数に決めると、かえって実態からずれる。幅があるなら、損は機器の中だけでなく、設計や運転の仕方でも変わるはずだ。その損は具体的にどこに出るのか。

2. そんは、どこで 出て いるの?

2. 損が出るのは、機械の中と水の通り道の2か所

2. 機器損失と水路損失 ── 約9割×約9割に、水路の5%が加わる

そんが 出る ばしょは、大きく 2つ あります。

1つめは、きかいの 中です。水を 上げる ポンプと、それを 動かす モーター。水で まわる 水車と、電気を つくる はつでんき。これらは、どれも 力を ぜんぶは つたえられません。

2つめは、水の 通る 道です。水は 水路を 通る とき、まわりと こすれて いきおいを 少し なくします。この こすれる 力を、摩擦まさつと いいます[3]。

ある しりょうでは、水を 上げる きかいも、電気に もどす きかいも、10のうち 9くらい。水路で へる 分も あります[3]。これらを 入れて かけて いくと、7わり 台に なります。

では、損は具体的にどこで出るのでしょうか。資料は、大きく2種類に分けています。一つは、ポンプ、水車、電動機、発電機といった機器の損失。もう一つは、水が水路を流れるときの摩擦による損失です[3]。

9割と9割と、水路の5%

日本の資料では、機器の効率が水を上げるときも発電するときもそれぞれ90%前後、水路の損失は水を落とせる高さ全体の5%程度とされます[3]。

これをそのままかけ算すると、0.9×0.9×0.95で約0.77になります。資料が示す「およそ70%程度」より少し高めです。どちらも「前後」「程度」の目安の数字なので、ぴったり合わなくても不思議ではありません。大切なのは、損が1か所ではなく、機器で2回、水路でもう1回、重なって出るという見かたです。

損を一つずつ見ると、減らせそうな場所が見えてきます。その前に、水路の損失が、実は水を上げる高さにも関わってくる話を見てみましょう。

損失の内訳を、資料にそって分けてみる。まず機器損失で、ポンプ・水車・電動機・発電機で生じる。次に水路損失で、水が水路を流れる際の摩擦で生じる[3]。日本の資料の例では、機器効率は揚水時・発電時ともそれぞれ90%前後、水路損失は総落差の5%程度とされ、その結果、総合の揚水効率はおよそ70%程度になることが多いという[3]。

ここで、数字を実際にかけてみる。0.9×0.9×0.95は約0.77で、資料の「およそ70%程度」より約7ポイント高い。ただし、資料は機器効率を「90%前後」、水路損失を「5%程度」と幅のある言い方をしており、各値が少しずれれば総合値も動く。ここで読み取るべきは、1か所の大きな損ではなく、損が揚水側の機器、水路、発電側の機器と、3段階で重なっていく構造だ。

水路損失が「高さの5%」という言い方になっている点は注目に値する。損失を電力の割合ではなく、落差の割合で数えているのだ。それは、水路の摩擦が、水を上げるときも落とすときも「高さをいくらか食う」形で効くからである。

3. 水を 上げる 高さと 落とす 高さは、ちがうの?

3. 水を上げるときの高さは、なぜ落とすときの高さより必要なのか

3. 全揚程と有効落差 ── 摩擦ぶんだけ上げる側が高くつく

上の 池と 下の 池の 高さの ちがいは、いつも 同じ です。でも、水を 上げる ときに ひつような 高さと、落とす とき つかえる 高さは、同じに なりません。

上げる とき、水は 水路で こすれて、力を なくします。だから、その ぶんを 足して、もっと 高く 上げる つもりで 力を 出さないと いけません。落とす ときは、こすれる ぶんだけ、使える 高さが へります[3]。

たとえば、ひろい 道を 自転車で のぼって、くだる 場面を 思って ください。のぼりで ふんばる 力は、あとで くだりに 使える 力よりも、少し 大きく ひつようです。ただし、水は 自転車とは ちがい、水路の 中を 流れます。

水を上げる高さと落とす高さは、同じではありません。上の池と下の池の高さの差は変わりません。それでも、水路の摩擦があるため、水を上げるときに必要な高さ(全揚程)は、落とすときに使える高さ(有効落差)より、水路損失のぶんだけ大きくなります[3]。

上りでは、摩擦に負けないぶんまで余計に押し上げる必要があります。下りでは、同じ摩擦のぶんだけ、落ちる勢いに使える高さが減ります。損が往きと帰りの両方に出るため、往復では2回分の損になります。

1立方メートルの水をためると、どれだけの電気か

水がためている力は、位置エネルギーという量で計算できます。水1立方メートルは約1000キログラムです。これを100メートル持ち上げるには、1000×9.8×100で約98万ジュール。1キロワット時が360万ジュールなので、割ると約0.27キロワット時です。これは摩擦などの損を考えない理想の値で、100ワットの電球なら約2.7時間つけられる電気にあたります。

同じ水の量でも、高さが大きいほど多くためられます。山の上に池をつくるのは、そのためです。それでも、1立方メートルあたりはわずかな電気です。大量にためるには、大きな池と大きな高さの差が要るのだと分かります。

水路損失は、水を上げる側と落とす側の高さの収支にそのまま現れる。揚水時に必要な高さを全揚程、発電時に使える高さを有効落差と呼ぶが、水路で摩擦損失が生じるため、全揚程は有効落差より損失ぶんだけ大きい[3]。池の標高差が同じでも、揚水ではその差に摩擦ぶんを上乗せして押し上げる必要があり、発電ではその差から摩擦ぶんを差し引いた高さしか使えない。したがって、往復では水路損失が2回効く。

ためられる電気の量を、位置エネルギー(質量×重力加速度×高さ)で見積もってみる。水1m³(約1000kg)を100m持ち上げる仕事は、1000×9.8×100=980,000J。1kWh=3,600,000Jなので、約0.27kWhである。摩擦や機器の損を除いた理想値で、100Wの電球なら約2.7時間分にすぎない。

この式から、落差が大きいほど、同じ水量で多くの電気をためられることが分かる。ただし1m³あたりの量は小さいため、実用的な量をためるには、大きな貯水量と大きな落差の両方が必要になる。損が避けられないなら、機器の側を工夫して減らす方向が残る。次はその工夫である。

4. そんを へらす くふうは あるの?

4. 機械を分けたり回転数を変えたりして、損を減らす

4. 逆転式から可変速・タンデム式へ ── 損失を減らす設計の変遷

むかしの ようすい発電は、水を 上げる ポンプと、水で まわる 水車を、べつべつに もって いました。べつべつなら、それぞれに いちばん よい 形に できます。そのため こうりつは 高かった のですが、きかいが 大きく なりました[2]。

1950年代に、ポンプにも 水車にも なる きかいを 1台に まとめる やりかたが 始まりました。1956年、アメリカの ハイワシー発電所で はじめて 動いた と されます[2]。

いまは、きかいの まわる はやさを かえられる 「かへんそく」と いう くふうも あります。水を 上げる ときと 発電する ときでは、いちばん よく はたらく まわる はやさが ちがう ためです[3]。

ある 研究では、ポンプと 水車を 分ける 形に すると、70%が 85%に 上がる 計算でした。ただし、これは 計算の けっかで、お金の ことは べつの 話です[4]。

損を減らす工夫は、機械の組み合わせ方にあります。PNNLの報告書によると、初期の揚水発電では、ポンプと水車が別々でした。それぞれを最適な大きさと性能に設計できたため、全体の効率は高かった一方で、設備は大きくなりました[2]。

1台で両方をこなす逆転式、そして可変速

1950年代に、ポンプ水車と発電電動機を1台にまとめた逆転式が登場しました。1956年にアメリカのTVAのハイワシー発電所で最初に運転され、やがて標準になりました[2]。設備は小さくなりますが、1台でポンプと水車を兼ねるので、どちらにも最適とはいきません。

そこで考えられたのが、可変速揚水発電です。回転の速さを変えられる発電電動機でポンプ水車を回します。水を上げるときと発電するときで、効率が最も高くなる回転の速さが違うため、速さを変えると損を減らせます[3]。太陽光のように出力が変わる電気の余りを受けとめるのにも向く、とされます[3]。

分けて設計し直すと、どうなるか

JST低炭素社会戦略センターは、水車とポンプを1台でまかなう可逆式から、別々に分けるタンデム式にすると、総合効率が70%から85%に改善されたと報告しています[4]。これは同報告の検討の中の数字で、実際の設備の標準値ではありません。分けると設備が増えるので、お金との両立は別に考える必要があります。

損失を減らす設計は、歴史的に「分離」と「統合」を行き来してきた。PNNLの報告書によれば、初期の揚水発電はポンプと水車が別置で、それぞれの寸法と性能を最適化できたため総合効率は高かったが、設備は大きかった。これに対し、ポンプ水車と発電電動機を1台にまとめた逆転式が1950年代に始まり、1956年に米TVAのHiwassee発電所で最初に運転され、標準となった[2]。統合は設備を小さくしたが、1台の機械でポンプと水車を兼ねる以上、どちらの運転にも最適な設計にはなりにくい。

その妥協を和らげるのが可変速運転である。ポンプ水車の効率が最高になる回転数は、発電時と揚水時で異なる。可変速発電電動機で駆動すれば、揚水時の消費電力も可変にでき、運転時の損失を少なくできる[3]。PNNLは、発電機の回転数を変えると水車の特性曲線をずらして高い効率で運転でき、水車が不安定になる領域(定格のおよそ30%付近)も小さくできると説明する[2]。出力が変動する太陽光の余剰電力を吸収する用途にも向く[3]。

では、分離に戻れば効率は上がるのか。JST低炭素社会戦略センターの検討では、可逆式から、ポンプと水車を別々に設けるタンデム式にすると、総合効率が70%から85%に改善された[4]。この数字は報告内の試算・分析の結果で、実機の標準値ではない。設備が増えるぶんのコストとの両立は別問題である。要するに、損を1%でも減らす手段は、機器の選び方、回転数の制御、設備の分け方と複数あり、どれも費用や設備の大きさとの引き換えになる。

5. 池の 水も へるの?

5. 機械だけでなく、池の水そのものも失われる

5. 貯水池の浸み出しと蒸発 ── 補給水とライニング

へるのは、電気だけでは ありません。池の 水も、少しずつ へります。地めんに しみこんだり、空気中に 出て いったり するからです[2]。

へった 分は、たして あげないと いけません。そこで、池の 内がわを おおって、水が しみ出さない ように する くふうが あります[2]。池の 水は、しみ出す ほかに 空気中にも 出て いくので、へった 分は 水を たす ひつようが あります[2]。

電気の損だけでなく、ためている水も減ることがあります。PNNLの報告書は、水が地下へ浸み出したり、蒸発したりして失われるため、池には補給する水が必要になる場合があると述べています[2]。

対策も書かれています。池の内側をシートなどで覆うライニングをすると、浸み出しが減ります。蒸発や浸み出しで失われた水は、補給水で補う必要があります[2]。電気の損を減らす機械の工夫と、水の損を減らす池の工夫は、別々の方向から同じ目的に向かっているといえます。

貯水池でも損失が起きる。PNNLの報告書は、水の損失の原因を地下への浸み出しと蒸発とし、それを補う補給水源が必要になると述べる。対策として、池の内面を覆うライニングで浸み出しを減らす方法が挙げられている[2]。

これまでの損失は電気のエネルギーの損だったが、ここでの損は水量の損であり、性質が違う。電気の損を機器と運転で減らし、水量の損を池の構造と補給水で補う、という二本立ての対策になる。損が避けられないとして、それでも揚水発電が使われ続けるのはなぜか。

6. そんが あっても、どうして つかうの?

6. 3割の損があっても、揚水発電が使われる理由

6. 発電所ではなく貯蔵として見る ── 短時間のピーク調整と、再生可能エネルギーの余剰

ようすい発電は、電気を つくる ものと いうより、電気を しまって おく ものです。だから、電池など ほかの 「しまう もの」と くらべて 考える べきだ、と いう 意見が あります[3]。

電気が あまった ときに しまえる のは、大きな よい 点です。太陽の 光で 作る 電気は、天気で りょうが かわります。あまった 分を 水に かえて ためて おけば、あとで 使えます。

ただし、ためられる 時間は 長く ありません。日本の ようすい発電は、6〜10時間 ほどで 上の 池の 水が なくなる と いわれます[3]。1日の 中の 電気の ピークを ならす 役目が 中心です。

7割しか戻らないなら、無駄ではないか。そう思うのは自然です。ただ、資料には、揚水効率が1ではないことだけで揚水発電の意味を否定するのは早計だという見方があります。揚水発電は電気をつくる発電システムではなく、電気をためる貯蔵システムと考え、蓄電池など似たものと並べて比べるべきだというのです[3]。

余った電気を受けとめ、足りない時間に出す

電気が余る時間と足りない時間は、毎日ずれます。揚水発電は、余った時間にポンプを回して電気を水の高さに変え、足りない時間に水を落として使います[1]。変動する太陽光の余りを受けとめる点でも、可変速の運転は向くとされています[3]。

ただし得意なのは、短い時間です。日本の純揚水発電では、発電を続けるとおよそ6〜10時間で上の池の水が底をつくとされます[3]。1日の中のピークをならす使い方に向いている、といえます。

損の割合を小さくする努力と、貯蔵としての価値を見る目。この両方があって、揚水発電は使い続けられていると考えられます。

7割程度しか戻らないなら存在意義が乏しいのか。この問いに対し、日本の資料は、揚水効率が1でないことをもって揚水発電の存在意義を否定するのは早計だとし、発電システムではなく電力貯蔵システムとして捉え、蓄電池など類似のシステムと比較して考えるべきだとする[3]。発電所なら効率は「燃料や水から電気を作る割合」だが、揚水発電を貯蔵として評価するときは、電気をためて取り出す往復の割合を見る。

運用面の特徴も押さえておく。日本の純揚水発電では、6〜10時間の発電運転で上池の水が底をつくとされ、短時間のピーク調整に向く[3]。同じ資料は、日本の揚水を約2600万kW級としつつ、貯水量が小さいため設備利用率は低く、2013年に約3%とする記述もある。この数値は二次資料の記述で、目安として読む。

また、余剰電力の多い時間帯に揚水運転して再生可能エネルギーの余りを受けとめる役割は、可変速運転の利点とも結びつく[3]。損失を抱えながら使われる理由は、損失の小ささそのものではなく、「余った電気を、必要な時間にずらして使う」という機能の価値にある。損失を1%でも減らす工夫は、その価値をより安く提供するための努力として位置づけられる。

7. 家の 電気の 数字で けいさんして みよう

7. 検針票の数字で、水の電池の大きさを計算してみる

7. 検針票のkWhを、水の量に直してみる ── 計算の道すじと、資料の読み方

おうちの 人に、電気の けんしんひょうを 見せて もらいましょう。「ご使用りょう」の ところに、キロワット時(kWh)の 数字が あります。その 月の 日数で わると、1日の りょうが 分かります。

たとえば、1日 10キロワット時 だと します。100メートルの 高さに ためるなら、そんを 考えない 理想の けいさんでは、水が およそ37立方メートル いります。1立方メートルは、1へんが 1メートルの 箱 いっぱいの 水の りょうです。ためる 水の 多さに、おどろくかも しれません。

この 計算では、そんは 考えて いません。本当に 使う ときは、もっと たくさんの 水が ようります。

実際に計算してみましょう。電気料金のお知らせである検針票には、使った電気の量がキロワット時(kWh)で書かれています。月の数字を日数で割れば、1日の使用量が出ます。

たとえば1日10kWhとします。先ほどの計算で、100メートルの高さにためられる電気は水1立方メートルで約0.27kWhでした。10÷0.27は約37なので、損を考えない理想の計算では約37立方メートル、つまり1辺1メートルの箱37個ぶんの水が要ります。損を入れれば、さらに必要です。

もっと調べたくなったら

ここで紹介した数字は、日本の資料のおよその値と、アメリカの報告書の値を並べたものです。どちらも設備や条件で幅があります。揚水発電の効率を、蓄電池の充電と放電の割合と比べたらどうなるのか。それは、資料を読んで自分で調べてみる価値のある、次の問いです。アメリカ側の報告書(PNNL)と、JSTの概要は、出典欄から開けます。

検針票の使用量を使って、理想的に必要な水量を見積もれる。電気料金の検針票には、使用量がkWhで書かれている。1か月の値を日数で割り、1日の使用量を出す。1日10kWhなら、落差100mで1m³の水がためられる理想値の約0.27kWhで割ると、約37m³。これは損失をまったく考えない最小値で、実際の機器損失・水路損失・水量損失を入れれば、必要な水はこれより増える。

読み進めるなら、一次に近い資料を勧める。PNNLの報告書(PNNL-34458、英語)は、往復効率の幅、逆転式の歴史、可変速運転、貯水池の水損失までを扱っている[2]。JST低炭素社会戦略センターの概要資料は、可逆式とタンデム式の効率比較の元になっている[4]。本文の日本側の数字(機器効率・水路損失・6〜10時間)は二次資料に基づくので、個別の発電所の実測効率は、運転者の公式資料で確かめるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の参照番号は、下の出典の番号に対応します。

  1. U.S. Department of Energy「Pumped Storage Hydropower」。https://www.energy.gov/eere/water/pumped-storage-hydropower (揚水発電を大きな電池にたとえる説明について)
  2. PNNL-34458「Pumped Storage Hydropower」(2023年)。https://www.pnnl.gov/main/publications/external/technical_reports/PNNL-34458.pdf (往復効率の幅、逆転式の歴史、可変速運転、池の水の損失について)
  3. Wikipedia「揚水発電」。https://ja.wikipedia.org/wiki/揚水発電 (揚水効率の内訳、全揚程と有効落差、可変速、運用の特徴について。二次資料)
  4. JST低炭素社会戦略センター「揚水発電のポテンシャルとコスト Vol.2 概要」。https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2019-pp-03-gaiyou.pdf (可逆式とタンデム式の効率比較について)

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