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だいけいって、どんな 形の ことを いうの?

台形を3つ選ぶ問題は、なぜ小学6年生の約半分しか正解できなかったのか:四角形の仲間分けと、ゆれる台形の定義

台形の正答率はなぜ50.5%だったのか:平行の組数による四角形の分類と、台形の定義が2通りある理由

分野:歴史・文化

全国の 小学6年生に、「5つの 図形から 台形を 3つ えらびましょう」という 問題が 出ました。せいかいした 子は、100人の うち 50人ぐらいでした[1]。

台形は、どうして むずかしいのでしょう。しかも、台形の 決まりは、国や 本によって ちがうことが あります。この ページを 読むと、四角形の なかま分けと、台形の ふしぎが わかります。

令和7年度の全国学力・学習状況調査で、小学6年生に「5つの図形から台形を3つ選ぶ」問題が出ました。正答率は50.5%で、正解した子は半分ほどでした[1]。しかも台形は、定義そのものが2通りあり、どちらも使われている図形です。

では、台形のどこで迷うのでしょうか。この記事を読むと、四角形を「平行が何組あるか」で仲間分けするしくみと、正方形がいくつもの名前を持つ理由、台形の定義が分かれる理由が分かります。

令和7年度の全国学力・学習状況調査で、小学6年生の算数に「5つの図形から台形を3つ選ぶ」問題が出され、正答率は50.5%、無解答率は0.7%だった[1]。しかも台形は、定義が「平行な辺が少なくとも1組」と「ちょうど1組」の2通りあり、どちらも使われている[6]。

では、なぜ台形で迷うのか。このメモを読むと、四角形が平行の組数で分類されるしくみ、正方形が複数の名前を持つ理由、台形の定義がゆれる理由が分かる。

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1. 台形を 3つ えらぶ もんだい、せいかいは 50.5%

1. 台形を3つ選ぶ問題で、正答率は50.5%だった

1. 台形を3つ選ぶ問題の正答率は50.5%:全国の小学6年生に出された問い

この もんだいは、れいわ7ねんどの 全国の ちょうさで 出ました。5つの 図形の 中から、台形を 3つ えらびます。せいかいした 子は 50.5%、100人の うち 50人ぐらいでした[1]。

こたえを 書かなかった 子は、1%も いません。ほとんどの 子が 考えて、それでも 半分ぐらいの 子は、3つ ぜんぶは えらべなかったのです。

この もんだいを くわしく 読んだ 大学の 先生は、こんな ことを 書いています[2]。上の へんが 下の へんより 長い 台形を えらべなかった 子が、少なくとも 100人に 35人。台形を たてに 立てた 絵を えらべなかった 子も、少なくとも 100人に 9人 いました。

見なれた 形では ない台形に、手が とまったのかも しれません。では、台形かどうかを きめる 決まりは、なんでしょう。

ほとんどの子が答えたのに

この問題(大問2(2))の正答率は50.5%で、無解答率は0.7%でした[1]。ほぼ全員が答えを書いたのに、3つとも正しく選べた子は半分ほどだったことになります。

問題の中身は、上越教育大学の布川和彦さんの解説で読めます[2]。それによると、下底より上底が長い台形を選べなかった子が少なくとも35.5%、台形を縦に立てた図を選べなかった子が少なくとも9.8%いました。平行な辺がないのに台形らしく見える形を選んだ子もいたそうです。数字は「少なくとも」の下限で、ちょうどの割合ではありません。

上底と下底は、台形の平行な2本の辺のことです。上にある辺が上底、下にある辺が下底です。

見なれた形に引っぱられる

教室でよく見る台形は、上が短くて下が長い形ではないでしょうか。その見なれた形と少しでも違うと、手が止まる子がいた、と読めます。では、台形かどうかを決める条件は、いったい何なのでしょう。

この問題(大問2(2))の正答率は50.5%、無解答率は0.7%である[1]。ほぼ全員が答えを書いたのに、3つとも正しく選べた児童は半分ほどにとどまった。

設問の中身は、上越教育大学の布川和彦氏の解説による[2]。5つの図形から台形を3つ選ぶ問題で、下底より上底が長い台形を選べなかった児童が少なくとも35.5%、台形を縦に立てた図を選べなかった児童が少なくとも9.8%いた。平行な辺がないのに台形らしく見える形を選んだ児童もいたという。数字は「少なくとも」の下限値で、実際の割合はこれ以上になる。

上底・下底は、台形の平行な2辺のうち、上にあるほうと下にあるほうの呼び名である。これらの誤答は、定義を知らないというより、見なれた形(上が短く下が長い向き)を基準に判断した結果と読める。ただし、この解説が示すのは選択の傾向で、理由は児童に聞いたものではない。

見なれた形に頼ると迷うなら、頼れるのは定義しかない。台形の条件は、いったい何か。

2. 四角形は「へいこうが なん組」で わけられる

2. 四角形は「平行が何組あるか」で仲間に分かれる

2. 「平行は何組か」で四角形を分ける:小学4年の分類

へいこうとは、ずっと のばしても まじわらない 2本の 線の ことです。四角形には 4本の へんが あります。向かい合う へんが へいこうかどうかで、なかまに わけられます。

この 章では、向かい合う へんが 1組 へいこうな 四角形を、台形と よびます。平行四辺形へいこうしへんけいも 台形に 入れるかどうかは、4の 章で 話します。2組とも へいこうなら、平行四辺形へいこうしへんけいです。へんの 長さが ぜんぶ 同じなら、ひし形です[4]。

台形の 決まりで 見るのは、へいこうが 1組あること。上の へんが 長くても、たてに 立てても、かまいません。さっきの 問題は、この 決まりに あうかどうかを 見る 問題だったのです。

では、正方形や 長方形は、どの なかまに なるのでしょう。

見る場所を一つに決める

四角形の形はさまざまですが、「向かい合う辺が平行かどうか」という一つの目で見ると、仲間に分かれます。文部科学省の学習指導要領解説は、平行が何組あるかに着目すると、一組しかない台形と、二組ある平行四辺形・ひし形に分類できる、としています[3]。小学4年の学習内容です。この章では「平行な辺が1組ある形」を台形として扱います。平行四辺形まで台形に含めるかは、4の章で見ます。

東京都教育委員会の小学4年の解説では、向かい合った1組の辺が平行な四角形を台形、2組が平行な四角形を平行四辺形と呼びます。辺の長さがすべて等しい四角形はひし形です[4]。

台形の条件に、辺の長さや角は出てこない

この定義には、辺の長さも、角の大きさも出てきません。上の辺が長くても、縦に立てて置いても、平行な1組があれば台形です。前の章の問題は、この条件に合うかどうかを見分ける問題だったことになります。

では、2組とも平行な正方形や長方形は、どの仲間に入るのでしょうか。

四角形は、向かい合う辺が平行かどうかという一つの観点で整理できる。文部科学省の学習指導要領解説は、平行が何組あるかに着目すれば、一組しかない四角形(台形)と二組ある四角形(平行四辺形、ひし形)に分類できるとする[3]。この章では「平行な辺が1組ある形」を台形として扱い、平行四辺形を台形に含めるかは4章で検討する。これは第4学年の内容で、長方形と正方形は第2学年、平行四辺形・ひし形・台形は第4学年、四角形の角の和は第5学年と、学ぶ順が決まっている[3]。

教材での定義は、東京都教育委員会の小学4年の解説に見られる。向かい合った1組の辺が平行な四角形が台形、2組が平行な四角形が平行四辺形、辺の長さがすべて等しい四角形がひし形である[4]。台形と平行四辺形は平行の組数で、ひし形は辺の長さで決まっている。

台形の定義に、辺の長さや角の大きさは入っていない。したがって、上底が下底より長い台形も、縦に立てた台形も、平行な1組があれば台形である。前章で選べなかった児童が多かった図形は、この条件では、いずれも台形に含まれるはずの形だった。

ところが、ひし形は辺の長さで定義され、平行四辺形は平行の組数で定義される。観点が混ざった定義のなかで、正方形はどこに収まるのか。

3. 正方形は ほかの 名前も もっている

3. 正方形は、長方形でもひし形でもあるのでしょうか

3. 正方形は長方形でもひし形でも平行四辺形でもある:入れ子になった仲間分け

正方形は、4つの へんが ぜんぶ 同じ 長さで、4つの 角が ぜんぶ 直角の 四角形です[5]。

この 正方形を、さっきの 決まりで 見てみましょう。向かい合う へんは、2組とも へいこうです。だから、平行四辺形へいこうしへんけいと 同じ せいしつを もっています[3]。

へんの 長さも ぜんぶ 同じです。だから、ひし形と 同じ せいしつも もっています。4つの 角が 直角なので、長方形でも あります。

一人の 人が、学校では「○○さん」、家では「○○ちゃん」と よばれるように、正方形にも いくつもの 名前が あります。ただし 本当は、人の あだ名と ちがって、図形の 名前は 「どんな せいしつを もつか」を あらわしています。

では、台形から 見ると、平行四辺形へいこうしへんけいは 台形の なかまなのでしょうか。

一つの正方形、いくつもの名前

正方形は、4つの辺が等しく、4つの角がすべて直角の四角形です。ひし形でもあり、長方形でもあるのが、正方形だと説明されます[5]。

学習指導要領解説も、同じことを小学校の言葉で述べています。正方形と長方形は、二組の向かい合う辺が平行なので、平行四辺形と同じ性質を持つ図形として捉え直せます。正方形は、二組の平行な辺の長さがすべて等しいので、ひし形と同じ性質も持っています[3]。

こうして、仲間分けは「入れ子」になります。いちばん外側に平行四辺形があり、その中にひし形と長方形があり、両方に当てはまるものが正方形です。

ひとつの形がいくつもの名前を持てるなら、平行四辺形は、台形の名前も持てるのでしょうか。

正方形は、4辺が等しく4つの角がすべて直角の四角形であり、「ひし形かつ長方形」であることと同値だと説明される[5]。したがって、長方形・ひし形・平行四辺形のそれぞれの特別な場合にもあたる。

学習指導要領解説も、同じ関係を小学校の言葉で述べる。正方形・長方形は二組の向かい合う辺が平行なので、平行四辺形と同じ性質を持つ図形として捉え直せる。正方形は二組の平行な辺の長さがすべて等しいので、ひし形と同じ性質も持つ[3]。解説は「同じ性質を持つ」と書き、「仲間に入る」とは書いていない点に注意したい。

この関係を図にすると、平行四辺形の中にひし形と長方形があり、その共通部分が正方形になる、入れ子の形になる。「ひし形は辺の長さ」「長方形は角の大きさ」というふうに、観点の違う条件が重なる場所が正方形である。

なお、上の入れ子の関係は「どの四角形が、どの条件を満たすか」で決まっている。正方形が長方形でもひし形でもあるのは、名前の付け方ではなく、条件の重なりの結果である。

図形の仲間分けは、重なりを認めると整理しやすい。ならば台形の側にも重なりがあるはずだが、台形のところだけ、資料によって書き方が割れている。

4. 平行四辺形へいこうしへんけいは 台形の なかま?

4. 平行四辺形は台形の仲間に入るのでしょうか

4. 台形に平行四辺形は入るか:包括的な定義と排他的な定義

台形の 決まりには、2つの 言い方が あります。

1つめは「へいこうが 少なくとも 1組」。2組 へいこうな 平行四辺形へいこうしへんけいも、台形の なかまに なります。2つめは「へいこうが ちょうど 1組」。この 言い方だと、平行四辺形へいこうしへんけいは 台形では ありません[6]。

数学の 先生たちの あいだでも、どちらも 使われています。どちらかだけが まちがいだとは、いえません[6]。

学校で 習う 言い方は、「向かい合う へんが 1組 へいこう」です[4]。ここだけ 読むと、平行四辺形へいこうしへんけいを 台形に 入れるかどうかは、書いて ありません。

この ように、台形の 決まりは 一つに きまらない ことが あります。では、台形の 名前そのものは、どの 国でも 同じ 意味なのでしょうか。

二つの定義

台形の定義は、大きく2通りあります。「平行な辺が少なくとも1組ある四角形」とする包括的な定義では、平行四辺形も台形に入ります。「平行な辺がちょうど1組ある四角形」とする排他的な定義では、平行四辺形は入りません[6]。

数学相談サイトのThe Math Doctorsは、どちらの定義も使われていて、どちらかだけが誤りではない、と説明しています[6]。英語版Wikipediaにも同様の記述があり、専門の数学者は包括的、初等教育では排他的がよく使われるとあります[7]。日本語版Wikipediaは「少なくとも一組」と書いています[5]。

面積の式で試す

包括的な定義が好まれる理由の一例を、計算で確かめられます。台形の面積は(上底+下底)×高さ÷2です。平行四辺形では上底と下底が等しいので、その長さをaとすると、(a+a)×高さ÷2=a×高さになり、平行四辺形の面積の式と一致します。平行四辺形も台形に含めれば、台形の式を平行四辺形にも使えます。

日本の小学校では

学習指導要領解説は「一組しかない四角形(台形)」と書き[3]、東京都教育委員会の解説は「向かい合った1組の辺が平行な四角形」と書きます[4]。この文面だけでは、平行四辺形を台形に入れるのかは決められません。日本の学校が包括的か排他的かは、ここでは言い切らないでおきます。

台形の定義は2通りある。包括的(ほうかつてき)な定義は「平行な辺が少なくとも1組ある四角形」で、平行四辺形も台形に含まれる。排他的(はいたてき)な定義は「平行な辺がちょうど1組ある四角形」で、平行四辺形は含まれない[6]。

The Math Doctorsは、数学者は定理を簡潔に述べられる包括的な定義を好むが、どちらの定義も使われているので、どちらかだけが誤りだとはいえない、と整理している[6]。英語版Wikipediaも、包括・排他の両定義を載せたうえで、専門の数学者は包括的を好み、初等教育では排他的がよく使われると述べる[7]。日本語版Wikipediaは台形を「少なくとも一組の対辺が互いに平行」とし、平行四辺形を台形の特殊な形と考えられるとする[5]。

包括的な定義が数学者に好まれる理由の一例は、公式を計算で確かめると見える。台形の面積は(上底+下底)×高さ÷2である。平行四辺形では上底と下底が等しいので、その長さをaとおくと、(a+a)×高さ÷2=a×高さとなり、平行四辺形の面積の式に一致する。平行四辺形を台形に含めれば、台形の式の特別な場合として平行四辺形の式が得られ、定理や公式を「台形と平行四辺形」と分けて述べる手間が省ける。

では日本の小学校はどちらか。学習指導要領解説は、平行の着目によって「一組しかない四角形(台形)と二組ある四角形(平行四辺形、ひし形)」に分類できると書く[3]。一方、東京都教育委員会の小学4年の解説は、台形を「向かい合った1組の辺が平行な四角形」とする[4]。前者は「一組しかない」と言い、後者は「1組の辺が平行」と言うだけで、平行四辺形を台形に含めるかは文面から決まらない。日本は包括的か排他的かは、この2資料からは断定できない。

英語圏では、台形をさす言葉も国によって異なる。

5. えいごでは 台形の 名前が 国で はんたいになる

5. 英語では、台形をさす言葉が国によって逆になる

5. trapezoidとtrapezium:英語圏で入れ替わった呼び名

えいごには、台形に 近い 言葉が 2つ あります。トラペゾイドと、トラペジウムです。

この 2つの 言葉は、アメリカと イギリスで、使う 向きが 反対だと いわれます[7]。

むかし、ある じしょが、2つの 言葉の 意味を せつめい なしに 入れかえました。そのとき、イギリスは あとから もとに もどしました。アメリカは、入れかわった ままに なった、と せつめいされています[7]。

だから、外国の 本を 読むと、同じ 言葉でも 意味が ちがう ことが あります。さて、定義ていぎが どう かわっても、四角形が かならず もっている ものも あります。

入れ替わった2つの言葉

英語には、台形に近い言葉がtrapezoidとtrapezium(トラペジウム)の2つあります。この2語の意味は、英国と米国で逆になっています[7]。

英語版Wikipediaによると、1795年にチャールズ・ハットンの辞典が、この2語を説明なしに入れ替えました。英国英語は1875年ごろに元へ戻しましたが、米国英語は入れ替わった意味を使い続けた、とあります[7]。年号は百科事典の記述で、辞典の原本は確かめていません。

数学の本を読むときの注意

現在の英語圏では、英国ではtrapeziumが、米国ではtrapezoidが、日本の台形に近い意味で使われるようです。ユークリッドの時代のtrapeziumは、ほかの分類に入らない四角形をさしたとされます[7]。

外国の数学の本を日本語に訳したり、英語の資料を読んだりするとき、どちらの国の英語で書かれているかで、意味が変わりうることになります。日本の「台形」という名前の中身も、その前提でゆれています。

英語のtrapezoidとtrapeziumは、英国と米国で意味が逆になっている。英語版Wikipediaによれば、1795年にチャールズ・ハットンの辞典がこの2語を説明なしに入れ替え、英国英語は1875年ごろに元へ戻したが、米国英語は入れ替わった定義を残した[7]。Wolfram MathWorldも同じ入れ替わりに触れている。ただし年号は百科事典の記述で、ハットンの辞典の原本には当たっていない。

ユークリッドの時代のtrapeziumは、ほかの分類に入らない四角形をさした[7]。現在の英国ではtrapeziumが、米国ではtrapezoidが、日本の台形に近い意味で使われるが、「近い」と書くのは、包括的か排他的かという前章の問題が、ここにも重なるからである。

英語の資料や翻訳された数学書を読むときは、台形に当たる語がtrapezoidかtrapeziumかに加えて、どちらの国の英語か、どちらの定義かを見る必要がある。日本語の「台形」は1語だが、背後には、国と定義の組み合わせがある。

そこまで揺れていても、変わらない約束が四角形にはある。

6. どんな 四角形でも 4つの 角を たすと 360度

6. どの四角形でも変わらないのは、4つの角の和

6. 仲間分けが変わっても変わらないもの:四角形の角の和は360度

台形でも、ひし形でも、正方形でも、どんな 四角形でも、4つの 角の 大きさを たすと 360度に なります[3]。小学5年生で 習います。

わけは、こうです。へこみの ない ふつうの 四角形に ななめの 線を 1本 ひくと、三角形が 2つ できます。三角形の 3つの 角を たすと 180度です。180度が 2つで 360度に なります。

この 線は、むかい合う 角を むすぶ 線で、対角線と いいます。五角形なら 三角形が 3つ できて、540度です[3]。

台形かどうかで 国や 本が 分かれても、この 360度は かわりません。

対角線で三角形に分ける

台形、ひし形、正方形、どんな四角形でも、4つの角の大きさをたすと360度になります。小学5年で学びます[3]。

理由は、対角線を1本引くと考えやすくなります。凹みのない四角形(凸四角形)で、向かい合う角を結ぶ対角線で切ると、三角形が2つできます。三角形の3つの角の和は180度なので、180度×2=360度です。五角形なら、三角形が3つできて540度です[3]。

仲間の分け方がゆれても変わらない

平行が何組か、辺が等しいか、台形に平行四辺形を入れるか。こうした分け方は、決め方によって変わります。それに対して、角の和は、どの分け方を採っても360度のままです。「何を決めの問題にし、何を計算で決まることにするのか」を分けて考えると、台形の定義のゆれ方も見えやすくなります。

どんな四角形でも、4つの角の大きさの和は360度である。第5学年で学ぶ内容で、三角形は180度、五角形は540度になる[3]。

理由は、対角線で分けて確かめられる。凸四角形なら、対角線を1本引くと四角形は2つの三角形に分かれ、三角形の内角の和は180度なので、180度×2=360度になる。五角形は、1つの頂点から対角線を引いて三角形3つに分けると、180度×3=540度となり、解説の数字と合う。

この360度は、ひし形、台形、平行四辺形のどれにも成り立つ。一方、「平行四辺形を台形に含めるか」は、数学の中で決める約束、つまり定義である。定義はゆれうるが、定義をどう選んでも、角の和は計算から決まる。何が約束で、何が証明できることなのかを分けて考えると、台形の定義がゆれても困らない理由が見えてくる。

7. おうちの 中で 「へいこうは なん組」を かぞえよう

7. 家の中で「平行は何組」を数えてみる

7. 身の回りの形で分類を試し、定義のゆれを原典で確かめる

おうちの 中で、四角い ものを 5つ さがしてみましょう。まど、つくえの 上、本、ドア、ふとんなどが あります。

それぞれ、むかい合う へんが へいこうか、見てください。2組なら 平行四辺形へいこうしへんけいの なかま、1組なら 台形の なかま、0組なら どちらでも ありません。(2組を 台形に 入れるかは、4の 章の 話です。)

むかい合う へんの 長さが 同じ形に、気づくでしょうか。四角形の 紙を 1まい かいて、4つの 角を 手で ちぎり、先を 合わせると、ぐるっと 1しゅうに なります。360度の ようすが、目で わかります。

「へいこうが 1組だけ」と「少なくとも 1組」の どちらで 台形と よぶか、あなたなら どちらに しますか。

今日できること

家の中にある四角形を5つ探して、向かい合う辺が平行かどうかを調べます。窓、机の天板、本、ドア、ふとんなどが使えます。2組なら平行四辺形の仲間、1組なら台形の仲間、平行がなければどちらでもありません。2組の形を台形にも入れるかは、定義の章のとおり、決め方が2通りあります。長方形は平行が2組あるので、平行四辺形の仲間にも入ります。

四角形を紙に描き、4つの角を手でちぎって、角の先を1点に集めてみてください。ちぎった4つの角で、ほぼ1周になることが確かめられます。切り方でずれて、ぴったり合わないこともあります。

台形の定義を選んでみる

平行が少なくとも1組を台形とするか、ちょうど1組とするか。決めて、その理由を一言で書いてみると、数学者が定義を選ぶときの悩みに近づけます。

公式の情報

調査結果は国立教育政策研究所の令和7年度の問題別調査結果に、学習の順序は文部科学省の学習指導要領解説に載っています[1][3]。教科書の台形のページで、定義の文が「少なくとも」か「ちょうど」か、読み比べるのもよい調べ方です。

身の回りの四角形で分類を試せる。窓、机の天板、本、ドアなどについて、向かい合う辺が平行かを調べ、平行な辺の組数を数えて、台形・平行四辺形・どちらでもない形に分ける。長方形は平行が2組あるので、平行四辺形と同じ性質を持つ図形として捉え直せる[3]。角の和は、四角形を紙に描き、4つの角を手でちぎって先を集めると、1周(360度)になるかで確かめられる。

定義のゆれを確かめるには、手元の教科書や参考書で、台形の定義文が「少なくとも」か「ちょうど」か、「一組しかない」か、読み比べるとよい。台形に平行四辺形を含めるかを自分で決め、面積の式がどうなるかまで考えると、定義を選ぶ理由が実感できる。

原典としては、学習指導要領解説(第4・5学年の図形)[3]、国立教育政策研究所の令和7年度の問題別調査結果[1]、布川和彦氏の解説[2]が出発点になる。台形の定義のゆれについては、英語版Wikipediaと、The Math Doctorsの2つの二次資料にあたり[7][6]、ハットンの辞典は原本を探せば、年号を確かめる手がかりになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。国立教育政策研究所の調査結果の設問内容は、布川和彦さんの解説によります。台形の定義と英語の用語の年号は、百科事典や相談サイトの説明にもとづきます。

  1. 国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査 問題別調査結果 小学校算数」 https://www.nier.go.jp/25chousakekkahoukoku/factsheet/data/25mondaibetuchousakekka_shouchuu_sansuu_suugaku.pdf (台形を選ぶ問題の正答率)
  2. 布川和彦(上越教育大学)「図形の判別~全国学力・学習状況調査から~」 https://www.juen.ac.jp/g_katei/nunokawa/IAQs/recognition_of_figures.pdf (問題の中身と誤答の傾向)
  3. 文部科学省「小学校学習指導要領解説 算数編」 https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf (平行の組数による分類・正方形の性質・角の和・学習の順序)
  4. 東京都教育委員会「4年 解説16(平行四辺形・ひし形・台形)」 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/4nen_kaietu_16 (小学4年での台形・平行四辺形・ひし形の定義)
  5. Wikipedia「四角形」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E8%A7%92%E5%BD%A2 (正方形の定義)
  6. The Math Doctors「What Is a Trapezoid? More on Inclusive Definitions」 https://www.themathdoctors.org/what-is-a-trapezoid-more-on-inclusive-definitions/ (台形の2通りの定義)
  7. Wikipedia「Trapezoid」 https://en.wikipedia.org/wiki/Trapezoid (定義の違いと trapezoid/trapezium の入れ替わり)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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