1. にじは、ほんとうは どんな 形なの?
1. 虹は、本当はどんな形の一部なのか
1. 虹は円の一部であり、中心は太陽の真反対にある
雨あがりの 空に かかる にじは、ゆみの 形に 見えます。でも アメリカの 天気を しらべる やくしょは、にじは 水の つぶで 光が はね返って できるので、本当は 円の 形を している と はなして います[1]。
その 円の 中心は、太陽の ちょうど はんたいがわの 空に あります。太陽を うしろにして 立つと、じぶんの かげの 頭の ところが 中心に あたります[8]。円の 大きさは、中心から はかって およそ 42度と されて います[7]。
ふだん 見えるのは、その 円の 上の 部分だけです。下の ほうは 地面に じゃまされて、にじが 見えなく なります[1]。
では、そもそも 空に 円が あらわれるのは どうしてでしょう。
雨あがりの空に、きれいな弓がかかっています。ところがアメリカの気象局(NWS)の解説によると、虹で光が水滴に反射してできる像は、もともと円の形をしています[1]。弓に見えるのは、円の下側が見えていないからです。
この円には中心があります。太陽のちょうど真反対にある点で、見る人の頭の影のところにあたります[8]。この点から虹までの角度は約42度で、ふつうの虹の円は、この点を中心にした半径約42度の円です[7]。
つまり、太陽を背にして立つと、自分の影の頭の向こう側に、見えない大きな円の中心があります。地上の私たちは、そのうち地面より上にある部分だけを見ていることになります。
では、水滴は光を、なぜこの角度に集めるのでしょうか。
虹は円の一部である。アメリカ国立気象局(NWS)の解説は、水滴に反射して生じる像は円形だと述べる[1]。この円の中心は、太陽の真反対の点(対日点)で、観察者の頭の影の位置にあたる[8]。円の半径は約42度で、地平線上の見かけの高さは、太陽の高さに応じて変わる[7]。
したがって、地上で見る虹は「円の下側が欠けた図形」ではなく、円の一部だけが見えているものと考えるべきだ。地上では、地面に視線をさえぎられたり、その方向に水滴が少なかったりして、円の一部だけが見える。
だが、この説明には前提がある。なぜ水滴が約42度の方向にだけ強い光を返すのか。それを知らなければ、円が「約42度」で決まる理由は分からない。次の章で、水滴の中を追う。
2. 水の つぶの 中で、光は どうなるの?
2. 水滴の中で光はどう曲がり、なぜ42度に集まるのか
2. 水滴内の屈折・反射と、約42度に光が集中する理由
雨つぶや きりの つぶは、ちいさな 水の 玉です。1ミリより 小さな つぶは、ほとんど まんまるな 球に なっています[6]。
太陽の 光が その 玉に 入ると、まがって 入り、玉の おくの 面で はね返り、また まがって 外に 出ます[1]。出て きた 光は、うまく あつまって、強い 光の たばに なります。この たばが 目に とどくと、その 方向の 水の つぶが 明るく 光って 見えます[1]。
光の 色に よって、まがる 大きさが ちがいます。むらさきは 大きく、赤は 小さく まがります[11]。だから、色が すこしずつ ちがう 方向に わかれて、にじの 色の おびに なります。
水の 玉は どの 向きから 見ても 同じ 形です。だから 光が あつまる 角度も、まわりじゅう 同じに なり、円が できます。
虹の材料は、空中の小さな水の玉です。雨粒のうち、直径1ミリより小さいものは、表面張力でほぼ完全な球になります[6]。
太陽の光がこの球に入ると、水と空気の境で曲がり(屈折)、球の内側の奥の面で反射し、もう一度曲がって外に出ます[1]。ここで光の色が分かれます。光は波長が短いほど大きく曲がるため、波長の短い紫は大きく、長い赤は小さく曲がります[11]。
水滴の中で反射した光は、一部の方向に集まり、強いビームのようになります[1]。大学の講義資料では、入射光と逆向きの方向からのずれは最大約42度で、その角度付近に光線が集まる、と説明されています[9]。外側のふちがくっきりするのは、このためです。
球はどの向きから見ても同じなので、42度に光を返す水滴は、太陽の反対側の点を中心にした円周上に並びます。これが虹の円です。
では、その円のどこが、地上で見えなくなるのでしょうか。
虹を作る水滴は、直径1ミリ未満なら表面張力でほぼ完全な球になる。大きな雨粒は空気抵抗で底が平らになるため[6]、虹には小さな粒が向いている。
太陽光は水滴に入るときに屈折し、内部の奥の面で反射し、出るときにもう一度屈折する[1]。屈折の大きさは波長で変わり、波長の短い紫は大きく、長い赤は小さく曲がる[11]。このため、白色光が色の帯に分かれる。
角度の問題は、反射した光が出る向きにある。NWSの解説は、水滴内で反射した光が集まって強いビームになると述べる[1]。大学の講義ノートはこれを「その角度で光線が束ねられる」と説明し、入射光と逆向きの方向からのずれは最大約42度で、その角度付近に光線が集まる[9]。そのため虹の外縁は、にじんだ線ではなく、はっきりした境になる。
水滴が球であれば、入射光との間の約42度という関係は、水滴を見る向きに依存しない。42度を保つ水滴は、太陽の真反対の点を中心とした円周上に並ぶ。円は、この対称性の結果である。残る問いは、この円のうち、観察者が実際に見られるのはどこまでか、である。
3. 地面は、円の どこを かくすの?
3. 地面と太陽の高さが、見える範囲を決める
3. 地面と太陽高度が、円の見える範囲を決める
円の 下の ほうに むかう 方向は、地面です。NASAの はなしでは、地面の ほうには 雨の つぶが 少ないので、にじは 上の 部分だけが 見える と されて います[4]。天気の やくしょも、地球が じゃまを する ため 円ぜんたいは 見えない と 書いて います[1]。
見える 大きさは、太陽の 高さで かわります。円の 中心は、太陽の はんたいがわに あるので、太陽が 高いほど 中心は 地面の 下に しずみます。
たとえば 太陽の 高さが 20度なら、中心は 地平線の 20度 下。にじの いちばん 上は、42引く 20で、地平線の 22度 上です。
太陽の 高さが 42度を こえると、にじは ぜんぶ 地平線の 下に なって、地上からは 見えません[1]。だから 朝や 夕方に 見つけやすいのです。
円の下側が見えない理由は、2つあります。1つは、視線が地面にさえぎられること。気象局は、「地球がじゃまをする」ので、完全な円は見えないと説明します[1]。もう1つは、地面の方向には雨粒が少ないことです。NASAの解説は、地上から虹の上の部分しか見えない理由として、地面に向かう方向には雨粒が少ないことを挙げています[4]。
見える範囲は、太陽の高さで変わります。円の中心は太陽の反対側にあるので、太陽の高度が高いほど、中心は地平線より深く沈みます。太陽が地平線すれすれなら、中心は地平線上にあり、見える部分は半円に近づきます。
簡単な計算をしてみます。太陽の高度が20度のとき、中心は地平線の20度下です。円の半径は42度なので、虹の頂上は地平線から42−20=22度の高さです。高度が30度なら12度、40度なら2度まで低くなります。
NWSの解説は、太陽が地平線より42度を超えて高いと、虹は見えないと述べています[1]。この計算と合っています。昼の高い太陽の下では虹が見えず、朝と夕方に見えるのはこのためです。
では、地面にじゃまされない場所に行けば、どうなるのでしょうか。
円の下側が見えない理由は、視線の遮蔽と、水滴の分布の2つである。NWSは、地球がじゃまをするため完全な円は見えないと述べる[1]。NASAのAPODは、地上から虹の上の部分しか見えないのは、地面に向かう方向には雨粒が少ないためだと説明する[4]。つまり、地面は視線をさえぎり、さらにその方向には虹を作る水滴自体が少ない。
見える範囲は、太陽の高度で幾何学的に決まる。円の中心は対日点にあり、その地平線に対する角度は、太陽の高度と同じ大きさで、向きが逆の(地平線の下の)値になる。半径が約42度の円[7]とすると、頂上の高度は、42度から太陽の高度を引いた値になる。高度20度なら22度、30度なら12度、40度なら2度である。
この計算を延ばすと、太陽の高度が42度を超えると、頂上も地平線より下になり、地上からは虹が見えなくなる。NWSが述べる「太陽が42度より高いと虹は見えない」という条件[1]と一致する。なお、これは平らな地平を仮定した計算で、丘の上など観察者の高度が上がれば、見える範囲は広がる。そこで、観察者の高度を大きく上げれば何が起こるかが問われる。
4. たかい ところから 見ると、どうなるの?
4. 空の上から見ると、円はまるごと見えるのか
4. 条件がそろうと、高所から虹の円全体が見える
地面が じゃまを するなら、地面に さえぎられない ところから 見れば いいのです。NASAの はなしでは、空から 見ると、にじの 360度の 円ぜんたいが 見える ことが よく あります[4]。
アメリカの 海や 空を しらべる やくしょ(NOAA)も、飛行機から、ちょうど いい ときに、円の 形の にじを 見られる と 書いて います[2]。ドローンが 雨の 中を とんで、円の にじを とった れいも あります[4]。
2014年の オーストラリアでは、ヘリコプターから 円の にじが とられました。円の 直径は 84度で、ヘリコプターを 5キロほど おいかけて きたそうです[3]。
84度は、半径 42度の 2ばいです。ふだんの にじの 大きさと、ぴったり 合って います。
地面にじゃまされない高い所からは、円全体が見えることがあります。NASAのAPODは、空からは虹の360度の円全体がより見えやすいと述べ、ドローンが雨の中を飛んで円形の虹を撮った例を紹介しています[4]。アメリカの海洋大気庁(NOAA)の教育ページも、条件がそろえば飛行機から円形の虹が丸ごと見えると書いています[2]。
2014年にオーストラリアでヘリコプターから撮られた円は、直径84度でした。円は機体を約5キロメートルにわたって追ってきたと報告されています[3]。
ここで確かめられることがあります。円の半径が約42度[7]なら、直径は42×2=84度です。ヘリコプターから撮られた円の直径と、ぴったり一致します。ふだん見ている弓も、同じ大きさの円の上の部分だったと考えられます。
円が機体を追ってきたのは、虹が空に固定された物ではなく、太陽と水滴と見る人の位置で決まる見え方だからです。では、虹は誰が見ても同じなのでしょうか。
空中では、地面による遮蔽がなくなる。APODは、空からは虹の360度の円全体のほうが一般に見えやすいと述べ、ドローンが降雨の中を飛行して円形の虹を撮影した例を挙げる[4]。NOAAの教育資料も、適切な条件下の航空機から円形の虹が見えるとする[2]。
2014年の例は具体的だ。オーストラリアのヘリコプターから撮られた虹は直径84度で、機体の移動に伴って約5キロメートル、形を保って追ってきた[3]。半径約42度[7]の2倍が84度で、これは偶然の一致ではなく、円の幾何から予想される値である。
円が機体を追ってくるという記述は、虹の本質を示す。虹は空間のある場所にある物体ではなく、太陽と水滴と観察者の位置関係で決まる角度の集合である。観察者が移動すれば、対日点も移動し、円も移動する。ただし、空からなら必ず円が見えるわけではなく、NOAAも「適切な条件下で」と限定している[2]。
5. となりの 人と 同じ にじ? 火星にも あるの?
5. 虹は見る人ごとに別のもの:隣の人の虹、火星の雲
5. 虹は観察者ごとに異なる:隣の人の虹と、火星に虹がない理由
にじの 円の 中心は、じぶんの かげの 頭の ところでした[8]。かげは 人ごとに ちがう ところに できます。だから、となりに いる 人は、少し ちがう にじを 見ている と、大学の 本に 書かれて います[10]。
では、ほかの 星にも にじは あるでしょうか。NASAの 科学者に よると、火星には にじが ありません。火星の 雲は ずっと 寒くて、水が こおって います。にじを つくる ながれる ような 水の つぶが ない のです[5]。
丸い 水の つぶが 空に あること。太陽が うしろに あること。この 2つが そろって、はじめて にじが 生まれます。
虹の円の中心は、見る人の頭の影のところです[8]。影は人ごとに違う場所にできるので、円の中心も人ごとに違います。アリゾナ州立大学の資料はこれを、隣にいる人は別の虹を見ていて、それぞれの虹はその人自身のものだ、と表現しています[10]。
虹を見るには、太陽を背に、雨を前にして立つ必要があります[1]。この条件を満たす場所が人ごとに少しずつ違い、見える虹も少しずつ違う、というわけです。
では、ほかの惑星にも虹はあるのでしょうか。NASAの科学者の解説では、火星に虹はありません。火星の雲は氷点よりずっと低い温度で、水滴ができません。また、雲の粒も地球の雨粒よりはるかに小さい、と説明されています[5]。
小さな球形の水滴、背にした光源、前にある水の粒。この3つの条件が、虹の円が現れる前提だと分かります。
虹の円の中心が対日点、つまり観察者の頭の影の位置[8]にあるなら、観察者が2人いれば、中心も2つある。アリゾナ州立大学の講義資料は、これを「虹はそれぞれが自分のものだ」と表現し、隣の人は別の虹を見ていると述べる[10]。虹を見るには、太陽を背にして雨を前にする位置に立つ必要がある[1]。ただし、2人の距離が近ければ、見える虹は事実上ほとんど同じ位置に見える。
条件の逆を考えると、火星の例が分かりやすい。NASAの科学者の解説によれば、火星の雲は氷点よりはるかに低く、液体の水滴ができない。粒の大きさも地球の雨粒よりはるかに小さい[5]。第2章で見たとおり、虹には液体の球形の水滴が必要であり、火星の雲はその条件を満たさない。
地球の雨粒が小さな球から平たい形まで変わること[6]と合わせると、虹の見え方は水滴の大きさと形に左右されると推測できる。
6. じぶんの にじの 円を さがして みよう
6. 自分の影から、虹の円を探してみる
6. 自分の影を起点に虹の円を確かめ、原典に当たる
きょう できる こと
はれた 日の ひるま、ホースの 先を しぼって、水を きりのように まいて みましょう。太陽を うしろにして、水の 先を 見ると、小さな にじが 見えることが あります。水を まく ときは、まわりに 人が いない ことを たしかめ、太陽は ぜったいに じかに 見ないように します。
雨あがりに
雨あがりの 夕方、太陽を うしろにして 立ち、じぶんの かげの 頭を 見ます。その 反対がわの 空に にじが あれば、かげの 頭が 円の 中心に なって います。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- National Weather Service. How Do Rainbows Form? https://www.weather.gov/fgz/Rainbow (虹のでき方/地面のじゃま/太陽高度42度/立つ位置)
- NOAA NESDIS. What Causes a Rainbow? https://www.nesdis.noaa.gov/about/k-12-education/optical-phenomena/what-causes-rainbow (飛行機から見える円形の虹)
- NASA APOD 2014 September 30. A Full Circle Rainbow over Australia. https://science.nasa.gov/image-article/apod-2014-september-30-a-full-circle-rainbow-over-australia/ (直径84度の円形の虹)
- NASA APOD 2022 December 27. A Full Circle Rainbow over Norway. https://science.nasa.gov/image-article/apod-2022-december-27-a-full-circle-rainbow-over-norway (地上で上の部分だけ見える理由/空から見える円)
- NASA. Are There Rainbows on Mars? We Asked a NASA Scientist: Episode 20. https://www.nasa.gov/solar-system/planets/mars/are-there-rainbows-on-mars-we-asked-a-nasa-scientist-episode-20/ (火星に虹がない理由)
- Met Office. Raindrops and radar. https://www.metoffice.gov.uk/research/weather/observations-research/raindrops-and-radar (雨粒の形)
- Atmospheric Optics. Low and High Rainbows. https://www.atoptics.co.uk/rainbows/primalt.htm (虹の半径約42度と中心)
- HyperPhysics, Georgia State University. Rainbow Formation. https://hyperphysics.gsu.edu/hbase/atmos/rbowpri.html (円の中心は頭の影の位置)
- University of Texas at Austin. Rainbows (lecture notes). https://farside.ph.utexas.edu/teaching/302l/lectures/node131.html (光が約42度に集中する理由)
- Arizona State University. Submodule 4: Rainbows. https://www.asu.edu/courses/phs208/patternsbb/PiN/mod/light/opticsnature/bow.html (虹は見る人ごとに別のもの)
- 防衛省 航空自衛隊 航空気象群 コラム 第38回 雨が降った後には. https://www.mod.go.jp/asdf/awsg/aboutawg/column/images/column038.pdf (波長による屈折のちがい)
なおした ところ
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