1. かんづめと おなじ ところは どこ?
1. 缶詰とレトルトの袋は、どこまで同じなのか
1. 缶詰とレトルトパウチの共通点 ── 違いは容器だけか
たなに ならぶ かんづめも、レトルトカレーの ふくろも、ひやさずに おいて おけます。
どちらも、入れものに 食べ物を つめて、ぴったり ふたを します。そのあと、おおきな かまで 中の ものを ねつで きんを なくします[1]。ここまでは おなじです。
ちがうのは 入れものです。かんづめは 金ぞくの かん、レトルトは うすい ふくろ、または すこし かたい 入れものです[1]。
ふくろの ほうが、ねつの きんを なくす ちからが よわいのでしょうか。つぎに しらべます。
2. 「120ど 4ふん」って なに?
2. レトルトの殺菌は「120℃で4分」以上の高温でおこなう
2. 中心部120℃・4分 ── 芽胞をつくる菌と、レトルトの殺菌条件
食べ物を くさらせる きんの 中には、あつさに つよい ものが います。レトルトは、それを なくす ために、「120ど で 4ふん」いじょうの ねつを かけます[1]。
お湯の 100どだと、あつさに つよい きんの なかまを なくすのに 400ぷんも かかります。120どなら 4ふんです[1]。400を 4で わると 100。20どの ちがいで、時間が 100ぶんの 1に なります。
だから、ふくろに 入って いても、よわい ねつでは ありません。レトルトの ふくろは、つよい ねつを かける ことが ぜんていです。
ただし この 4ふんは、中の いちばん ぬるい ところで 120どに なった あとの 時間です。かまに 入れて いる 時間では ありません。
食品の殺菌でやっかいなのは、ウエルシュ菌、ボツリヌス菌、セレウス菌のような、芽胞をつくる菌です。100℃のお湯だと、これらを死滅させるのに400分かかります。120℃なら4分で足ります(芽胞菌を死滅させる条件の比較です)[1]。400÷4で、時間は100分の1です。温度を20℃上げるだけで、これだけ縮みます。しかも熱による中身の傷みも、はるかに少なくなります[1]。
この「120℃で4分」は、ボツリヌス菌への対策が基準のもとになっています[2]。レトルト食品は、中心の温度を120℃・4分以上にして殺菌した食品のことをいいます[1]。袋に入っているからといって、殺菌が弱いわけではありません。
「4分」は釜に入れている時間ではなく、食品の中心がその温度に達してからの時間です[1]。
それなのに、世界初のレトルトカレーは数か月しかもたなかったと伝えられています。殺菌がこれだけ強いなら、何が足りなかったのでしょう。
食品殺菌の主な対象は、ウエルシュ菌・ボツリヌス菌・セレウス菌のような芽胞菌である。J-Net21によれば、これらを死滅させるのに100℃では400分かかるが、120℃なら4分でよく、内容物の熱劣化もはるかに少ない[1]。400÷4=100なので、温度を20℃上げると所要時間は100分の1になる計算だ(芽胞菌を死滅させる条件の一例での比較)。
レトルト食品の定義は、中心部を120℃・4分以上で高温高圧殺菌したパウチまたは成形容器入りの食品である[1]。この条件はボツリヌス菌対策が軸になっている[2]。
「4分」は中心部が120℃に達してからの最低条件であり、釜に入れている時間ではない[1]。袋だから殺菌が弱いということはない。
殺菌がこれだけ強いのに初代ボンカレーの賞味期限が短かったなら、理由は殺菌の後の保存中に探すしかない。
3. さいしょの ふくろは すけて いました
3. 最初のボンカレーの袋は、半透明で2〜3か月しかもたなかった
3. 1968年のボンカレー ── 半透明の2層パウチと、2〜3か月の賞味期限
1968ねん 2月12日、大づか食品工ぎょう(いまの 大づか食品)が、せかいで はじめての レトルトカレー「ボンカレー」を うりだしました[3]。
ふくろが あつさに たえ、やぶれず、ちゃんと きんが なくなる やりかたを さがすのに、いろいろ ためしたと いわれます[4]。
でも さいしょの ふくろは、2まいを かさねた 半とうめいの ものでした。ちゃんと ねつで きんを なくしても、空気と 光が とおりやすく、おいしく 食べられる きげんは 2〜3か月 ほどでした[3]。
これでは あんまり ながく おけません。つぎの 年、大づか食品は ふくろを かえました。
1968年2月12日、大塚食品工業(今の大塚食品)が、世界で初めての市販用レトルトカレー「ボンカレー」を発売しました[3]。袋の耐熱性や強度、殺菌の条件を何度も試して、ようやく形になったと紹介されています[4]。
レトルト食品の始まりは、1950年代にアメリカ陸軍が、缶詰に代わる携帯食として開発したことだといわれます。のちにアポロ計画の宇宙食に使われて注目が集まりました[3]。
発売当初の袋は、ポリエチレンとポリエステルを重ねた2層で、半透明でした。そのため酸素や光の影響を受けやすく、常温で置いておける期間は2〜3か月ほどでした[3]。熱でしっかり菌を減らしても、袋が空気と光を通しやすければ、そのぶん中身は早く傷みやすかったのです。
この弱点に、メーカーはどう手を打ったのでしょう。
1968年2月12日、大塚食品工業(現・大塚食品)が世界初の市販用レトルトカレー「ボンカレー」を発売した[3]。実現までには、パウチの耐熱性・強度・殺菌条件の試行錯誤があったと紹介されている[4]。
レトルト食品の起源は、1950年代にアメリカ陸軍が缶詰に代わる軍用携帯食として開発したことにあり、のちアポロ計画の宇宙食に採用されたことで企業の注目を集めたとされる[3]。
初代ボンカレーのパウチはポリエチレンとポリエステルの2層構造で半透明だったため、酸素や光の影響を受けやすく、賞味期限は2〜3か月程度にとどまった[3]。殺菌が120℃・4分以上の高温でも、殺菌後の保存中に袋を通して酸素や光が入るなら、品質の低下が早まる、という筋道になる。ただし、どの成分がどう変わるかまでは、この資料には書かれていない。
この問題への対処が、翌年の改良だった。
4. アルミを はさんだら 2年に なった
4. 袋にアルミ箔を挟むと、賞味期限は2年に延びた
4. 1969年のアルミ箔3層パウチ ── 賞味期限2〜3か月から2年へ
1969ねん、ふくろは 3まい かさねに かわりました。まん中に、アルミの はくが はさまれました[3]。アルミの はくは、おかしの つつみがみで 見る、ぴかぴかの うすい 金ぞくです。
すると、おいしく 食べられる きげんは 2年に のびました[3]。2年は 24か月。8〜12ばい くらいです。2か月なら 12ばい、3か月なら 8ばいです。
金ぞくの はくは、光を とおしません。かんづめの かんも 金ぞくで、中に 光は はいりません。ふくろの まん中に アルミを はさむと、かんづめの かんに すこし にた はたらきを した のかも しれません。
ただし、アルミの どこが どれだけ はたらいたかを 数で しめした しりょうは、今回は つかって いません。
翌1969年、袋はポリエステル、アルミ箔、ポリプロピレンの3層構造に変わり、賞味期限は2年に延びました[3]。2〜3か月が24か月になったのですから、およそ8〜12倍です。
金属の箔は光を通しません。缶詰の缶も金属なので、光を通さない点は同じです。袋に金属の1枚を足したことが、缶詰の強みに近づく一つの方法だったと読めます。ただし、アルミ箔の厚みや、各層が光と酸素のどちらをどれだけ止めるかを示した資料は、今回使っていません。賞味期限の変化も、3層構造への変更全体の結果として見るのが安全です。
パウチ食品には、中身が見える透明パウチと、アルミ箔を使ったパウチの2種類があります[1]。見た目の違いは、光の通し方の違いでもあります。
缶詰と袋は、結局どちらが優れているのでしょうか。
1969年、ボンカレーのパウチはポリエステル、アルミ箔、ポリプロピレン(いずれもプラスチックの種類)の3層構造に改められ、賞味期限は2年に延びた[3]。2〜3か月から24か月への変化は、およそ8〜12倍にあたる(2÷0.25=8、24÷2=12)。
金属の缶は光を通さない。アルミ箔の層を足すことは、パウチが缶詰の遮光性に近づく一つの方法だったと考えられ、その方向は翌年の賞味期限の延びとも合う。
一方で、アルミ箔の厚み、各層の役割分担、どの層が光と酸素のどちらを止めるかを示す一次資料は、ここで使った資料にない。賞味期限の変化をアルミ層だけの効果と断定せず、3層構造への変更全体の結果として読むのが妥当だ。
なお、パウチ食品には、中身が見える透明パウチとアルミ箔パウチの2種類がある[1]。両者の差は、まさに光の通し方にある。
5. かんづめと ふくろ、どちらが いいの?
5. 缶詰と袋は、得意なことがちがう
5. 缶詰とパウチの比較 ── 遮光は近づき、軽さと温めやすさが袋の強み
どちらが いいかは、なにを のぞむかで かわります。
ふくろの いいところは、かるい ことです。はこぶ とき たすかります[1]。
また、ふくろは みじかい 時間で あたたまります。つかい おわった あとの ごみも、すてやすいと いわれて います[1]。
かんづめは、金ぞくの かんで 光を とおしません。ふくろも アルミを はさめば 光を とおさず、すけない ふくろに なります[1]。
ただし、ふくろの 中には すけて 中が 見える ものも あります。ふくろに よって、とくちょうは ちがいます。
レトルト食品は、缶詰の代わりになる容器として開発されました。軽くて扱いやすく、短時間で温められ、容器を捨てやすいことが利点だといわれます[1]。
一方、缶詰は金属の缶なので光を通しません。袋は、アルミ箔を使えば光を通さなくなりますが、中身が見える透明パウチも作られています[1]。
つまり袋は、アルミ箔を使うことで光を通さない点が缶詰に近づき、そのうえで軽さと温めやすさという別の強みを持ちました。どの袋もそうだという意味ではなく、袋の種類によって性質は変わります。
J-Net21は、レトルト食品が缶詰の代替として開発され、利点として軽さ、短時間で温められること、容器の廃棄処理のしやすさを挙げる[1]。これらは容器の素材の違いから出てくる性質である。
遮光の面では、金属缶は光を通さず、パウチにはアルミ箔を使うタイプと中身が見える透明タイプがある[1]。アルミ箔を含む3層構造のパウチは、缶詰の遮光性に近づいた構造だといえる。ただし、容器ごとの劣化のしにくさを数値で比べた資料は使っていないので、優劣は断定しない。
まとめると、初代の半透明2層は光と酸素の面で不利な構造で、アルミ箔入りの3層はそれを改めた形になり、軽さや温めやすさが袋の強みとして残った。ただし、すべてのパウチに当てはまる一般法則ではない。
6. おうちの ふくろを ひかりに かざして みよう
6. 台所のレトルト袋で、2つのことを見てみる
6. 家のレトルト袋で確かめる ── 表示と透け具合
おうちに レトルトの ふくろが あったら、あけずに みて みましょう。
1つめは、うらの 字。たべられる 日が 書いて あります。2年ちかい ものも、かわりに みじかい ものも あるかも しれません。
2つめは、ひかりに かざす こと。まどの 光に ふくろを むけて、むこうが すけるか みます。すけない ふくろは、アルミが 入って いる ことが あります。すける ものは、中の ようすが 見える ふくろです。
ふくろは あけたり、きったり、あたためたり しません。ただ、みるだけです。
家に未開封のレトルト食品があれば、2つのことを見ておけます。
1つ目は、袋の裏にある賞味期限です。製造から何か月ぶんの期限なのかは、日付だけでは分かりません。ただ、袋ごとに期限の長さが違うことは確かめられます。
2つ目は、袋を窓の光にかざして、向こうが透けるかを見ることです。袋にはアルミ箔を使ったものと中身が見える透明パウチがあり、透けない袋にはアルミ箔が入っていることがあります[1]。何種類か並べて、透けるものと透けないものに分けてみてください。素材は袋の見た目だけでは決められません。
袋は開けたり、切ったり、温めたりせず、見るだけにしてください。
殺菌の基準の考え方は、厚生労働省のボツリヌス食中毒対策[2]に載っています。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の数字や説明は、次の資料をもとにしています。
- 中小機構 J-Net21「レトルト食品の基本」 https://j-net21.smrj.go.jp/solution/foods/foods02/49.html (レトルトの定義・120℃4分・容器の種類と利点)
- 厚生労働省「ボツリヌス食中毒対策」 https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/03-4.html (殺菌基準がボツリヌス菌対策であること)
- JAF Mate「くるま記念日」2月12日 https://jafmate.jp/car/car_anniversary_20250212.html (ボンカレーの発売・初代とアルミ箔入りの袋・賞味期限)
なおした ところ
更新履歴
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