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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

火星の 月は、いつか こわれて わっかに なるの?

火星の月は、壊れかけているのかもしれない 惑星に近づきすぎた天体のゆくえ

火星の月フォボスの溝は、壊れはじめのしるしなのか:ロッシュ限界と、環・衛星の分かれ道

分野:宇宙・天文

火星の まわりを まわる 小さな 月 フォボスは、100年に 2メートルずつ 火星に ちかづいていて、3000万年から 5000万年あとには ひきちぎられると いわれています。では、どうして ちかづくだけで こわれて しまうのでしょう。このページを よむと、こわれた かけらが わっかに なる ときと、月に なる ときの わかれ道が わかります。

火星の月フォボスは、100年に約2メートルずつ火星へ近づいていて、3000万〜5000万年後には引きちぎられると予想されています。表面の溝は、その壊れはじめのしるしではないか、という解釈もあります。惑星に近づきすぎた天体は、なぜ壊れるのでしょうか。この記事を読むと、壊れた破片が環になる場合と月になる場合の分かれ道、そして土星の環の年齢をめぐる論争が分かります。

火星の衛星フォボスは、火星の重力に引かれて100年に約2メートルずつ近づいており、3000万〜5000万年後には引きちぎられると予想されている。表面の溝も、その壊れはじめのしるしだという解釈が出ている。では、惑星に近づくだけで、なぜ衛星は壊れるのか。この記事を読むと、ロッシュ限界という距離の考え方、壊れた破片が環になる場合と衛星になる場合の分かれ道、土星の環の年齢をめぐる2つの説が分かる。

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1. 火星の 月に、どうして みぞが あるの?

1. 火星の月フォボスの溝は、引きのばされたあとなのか

1. フォボスの溝は、壊れはじめのしるしなのか

火星の 月 フォボスの ひょうめんには、たくさんの みぞが あります。むかしは、ぶつかった ときの われめだと 考えられていました。

ところが NASAの けんきゅうしゃは、「ひっぱられて のびた あとの しるし」ではないかと 考えました。フォボスの 中は、かたい 岩では ありません。ガレキを あつめた 山のようで、やっと まとまって いると 考えられています。

この 考えは、一つの せつです。でも、ほんとうだと すれば、フォボスは もう こわれはじめて いることに なります。どうして ひっぱられると、月は こわれるのでしょう。

火星のまわりを回るフォボスの表面には、たくさんの溝があります。衝突でできた割れ目だと考えられてきましたが、NASAの研究者ハーフォードらは、潮汐力で変形するときにできる「ストレッチマーク」のようなものだという解釈を出しました[3]。

この解釈の背景には、フォボスの中身があります。固い岩のかたまりではなく、ガレキを寄せ集めた「ガレキの山」で、表面は厚さ約100メートルの粉状の砂(レゴリス)におおわれていると考えられています。かろうじてまとまっているフォボスにとって、溝は壊れはじめの最初のしるしだ、という筋書きです。ただし、これは一つのモデルで、溝の成因を決めたものではありません。

この解釈が気になるのは、フォボスの将来とつながるからです。フォボスは100年に約2メートルずつ火星へ近づいていて、NASAの記事は3000万〜5000万年後に引きちぎられると予想しています。近づくだけで、なぜ月は壊れるのでしょうか。

火星の衛星フォボスの表面には、多数の溝がある。衝突の割れ目ではなく、潮汐力で変形するときにできる「ストレッチマーク」のようなものだという解釈を、NASAの研究者ハーフォードらが出した[3]。この解釈が成り立つ根拠は、フォボスの内部構造にある。固い岩のかたまりではなく、ガレキを寄せ集めた山であり、表面は厚さ約100メートルの粉状の砂(レゴリス)におおわれていると考えられている。ガレキの山がかろうじて形を保っている状態なら、溝は壊れはじめの最初のしるしになりうる。ただし、これは解釈(モデル)であって、溝の成因を唯一説明するものではない。

この解釈が重みを持つのは、フォボスの運命と結びつくからだ。フォボスは火星の重力に引かれて、100年に約2メートルずつ火星へ近づいている。NASAは、3000万〜5000万年後に引きちぎられると予想する[3]。研究によって見積もりに幅があり、約7000万年後に限界へ達するとするモデルもある[4]。では、近づくだけで、なぜ衛星は壊れるのか。

2. ちかづくと、どうして こわれて しまうの?

2. 惑星に近づくと、なぜ月は引きちぎられるのか

2. 近づくだけで衛星が壊れるのはなぜか:潮汐力とロッシュ限界

火星は、フォボスを ひっぱっています。ただし、火星に ちかい がわは つよく、とおい がわは よわく ひっぱられます。この ちがいで、フォボスは 火星の ほうに のびようと します。これを ちょうせきりょくと いいます。

たとえば、手で にぎっただけの 雪だまは、りょうはしを ひっぱると くずれます。氷の たまは、おなじ ちからでも こわれにくいです。ただし ほんとうは、フォボスは 手で ひっぱられて いるのでは なく、火星の 重力じゅうりょくの ちがいで のびて います。

「ここまで ちかづくと、自分の 重力では まとまって いられない」という きょりを、ロッシュげんかいと いいます。1800年代の なかごろ、フランスの 天文学者 ロシェが 考えました。げんかいの きょりは、月の かたさや、惑星わくせいと月の 重さの ちがいで かわります。

引きちぎられる理由は、潮汐力にあります。惑星は、近い側を強く、遠い側を弱く引きます。この差が、月を惑星の方向へ引きのばします。月は自分自身の重力で丸くまとまろうとしますから、引きのばす力が自分の重力に勝つところまで近づくと、形を保てなくなります。

この距離の限界を、ロッシュ限界といいます。フランスの天文学者ロシェが、19世紀半ばに求めたとされています[1]。「ロッシュ」「ロシェ」と、表記は両方あります。

限界は、一つの決まった距離ではありません。月が流体のように変形する場合は、惑星の半径の約2.44倍に、惑星と衛星の密度の比の3分の1乗をかけた値で、固い天体では係数が約1.26になります[2]。雪をにぎっただけの雪だまと、氷の玉では、同じ力で引っぱったときの壊れやすさが違います。それと似て、固い月ほど限界は内側になります。ただし本当は、月は手で引かれているのではなく、惑星の重力の差で引きのばされています。

引きちぎられる理由は潮汐力にある。惑星は衛星の近い側を強く、遠い側を弱く引く。この差が、衛星を惑星の方向へ引きのばす。衛星は自分の重力で丸くまとまろうとするため、引きのばす力が自分の重力を上回る距離まで近づくと、形を保てない。この境目の距離がロッシュ限界で、惑星が衛星に及ぼす潮汐作用で衛星が壊れる距離の限界を、フランスの天文学者ロシェ(Édouard Roche)が19世紀半ばに求めた[1]。表記は「ロッシュ」「ロシェ」の両方がある。求めた年は資料で1848年と1850年に割れるので、ここでは19世紀半ばとしておく。

限界の距離は、衛星が流体のように変形する場合、惑星の半径の約2.44倍(ロシェの値。のちにダーウィンが約2.455に再計算)に、惑星と衛星の密度の比(惑星÷衛星)の3分の1乗をかけた値になる[1][2]。固い天体では係数が約1.26になる。ここで注意したいのは、限界が「一つの決まった距離」ではない点だ。惑星の密度が高く衛星の密度が低いほど遠くなり、衛星が固いほど内側になる。たとえば、雪をにぎっただけの雪玉と氷の玉では、同じ力で引っぱったときの壊れ方が違う。ただし衛星は、手で引かれているのではなく、惑星の重力の差で引きのばされているので、あくまで固さの違いを思い浮かべるための例にすぎない。

3. 木星で、彗星すいせいが 分かれたって ほんとう?

3. 木星の近くで、彗星が20個あまりに分かれた

3. 木星で分裂した彗星は、ロッシュ限界の実例か

こわれる ところを、人が 見たことは あるのでしょうか。1992年7月8日、シューメーカー・レヴィだい9 彗星すいせいが、木星の 雲の 上 およそ 4万キロメートルまで ちかづきました。すると、20こ あまりに 分かれて しまいました。

この すいせいが 見つかったのは、つぎの 年の 1993年3月です。その ときには もう、しんじゅの くびかざりのように ならんで いました。かけらは、1994年7月に 木星に ぶつかりました。

月の うえに ならぶ 小さな あなの れつも、同じように こわれた かけらが おちた あとだと いわれる ものが あります。

実際に壊れた例が、1992年7月8日の木星で起きました。シューメーカー・レヴィ第9彗星は、木星の雲の上約4万キロメートルまで近づき、潮汐力で20個あまりに分裂しました[5]。

面白いのは、人が分裂の瞬間を見たわけではない点です。彗星が発見されたのは翌年の1993年3月で、見つかったときにはすでに、真珠の首飾りのように並んだ破片の列でした。破片は1994年7月16〜22日に木星へ衝突しました。

IAU天文教育室の用語集も、ロッシュ限界の例としてこの彗星を挙げています[6]。月などに見られるクレーターの列(カテナ)も、小惑星が限界を越えて壊れ、破片として落ちた跡の例とされます。ただし、カテナの成因は一つではありません。

では、衛星が壊れる様子を人は実際に見たのか。近い出来事が、1992年7月8日の木星で起きている。シューメーカー・レヴィ第9彗星は、木星の雲の上約4万キロメートルまで近づき、潮汐力で20個あまりに分裂した[5]。IAU天文教育室の用語集も、ロッシュ限界の例としてこの彗星を挙げ、木星のロッシュ限界を越えて分裂したと説明している[6]。

意外なのは、分裂の最中を人類が見たわけではない点だ。彗星が発見されたのは分裂の翌年の1993年3月で、見つかった時点ですでに、真珠の首飾りのように破片が並んでいた。それらの破片は、1994年7月16日から22日にかけて木星に衝突した。月などに見られるクレーターの列(カテナ)も、小惑星が限界を越えて壊れ、破片として落ちた跡の例とされる。ただしカテナの成因は複数あり、これは例の一つにとどまる[6]。

4. こわれた かけらは、わっかに なるの? 月に なるの?

4. 同じ破片が、環にも月にもなる分かれ道

4. 壊れた破片は、環になるのか衛星になるのか

こわれた かけらは、どうなるのでしょう。げんかいの 内がわでは、小さな つぶが 自分たちの 重力じゅうりょくで あつまって 月に なりにくく、ちらばって わっかに なりやすく なります。げんかいの 外がわでは、あつまって 月に なりやすく なります。

同じ ざいりょうでも、さかいめの どちらに いるかで、わっかか 月かが 分かれるのです。知られている 惑星わくせいの わっかは、ほとんどが げんかいの 内がわに あります。

ただし、小さくて かたい 月は、内がわでも こわれません。土星の パンや 木星の メティスです。自分の かたさで まとまって いるからです。

フォボスも、いつか げんかいに とどいたら こわれて 火星の わっかに なり、あとで また 小さな 月に なるかもしれません。これは、けんきゅうの せつの 一つです。

壊れた破片は、その後どうなるのでしょうか。ロッシュ限界の内側では、細かい粒が自分たちの重力で集まって衛星になりにくく、散らばって環になりやすくなります。外側では集まって衛星になりやすくなります[2]。同じ材料でも、境目のどちら側にあるかで、環か衛星かが分かれるのです。

実際、知られている惑星の環のほとんどは、その惑星のロッシュ限界の内側にあります。例外として、土星のE環とフェーベ環が挙げられています。日本語の資料にも、土星の環のいくつかが土星の半径の約2.3倍以内に、木星の環が木星の半径の約1.8倍以内に収まっていて、木星の衛星アマルテアは限界のすぐ外側を回っていると書かれています[1]。

ただし、限界の内側でも壊れない衛星はあります。土星のパンや木星のメティスは、重力だけでなく自分の固さで形を保っていると説明されています。限界が当てはまるのは、自分の重力だけでまとまっている天体です。

パデュー大学のモデルでは、フォボスは限界に達して壊れ、火星のまわりの環になります。その環はやがて火星に降り注ぐか、また集まって小さな衛星になります。この周期は過去に3〜7回くり返された可能性があるとされますが、仮説の段階です[4]。

壊れた破片は、その後どうなるのか。ロッシュ限界の内側では、細かい粒が自分たちの重力で集まって衛星になりにくく、散らばって環になりやすい。外側では集まって衛星になりやすい[2]。つまり、同じ材料が境目のどちら側にあるかで、環にも衛星にもなる。実際、知られている惑星の環のほとんどは、その惑星のロッシュ限界の内側にある。例外として、土星のE環とフェーベ環が挙げられている。日本語の資料も、土星の環のいくつかが土星の半径の約2.3倍以内に、木星の環が木星の半径の約1.8倍以内に収まるとし、木星の衛星アマルテアは限界のすぐ外側を回っていると述べる[1]。

ただし、限界の内側でも壊れない衛星はある。土星のパンや木星のメティスは、重力だけでなく構造の強さで形を保っているために存在できる[2]。ロッシュ限界が当てはまるのは、あくまで自分の重力だけでまとまっている天体の話だ。

この考え方は、フォボスの将来にも使われる。パデュー大学のモデルでは、フォボスはロッシュ限界に達して壊れ、火星のまわりの環になる。環はやがて火星へ降り注ぐか、再び集まって小さな衛星になる。この周期は過去に3〜7回くり返された可能性があるとされるが、仮説の段階にとどまる[4]。

5. 土星の わっかは、いつ できたの?

5. 土星の環は、壊れた月の跡なのか

5. 土星の環は壊れた衛星の跡か:年齢をめぐる2つの説

土星の わっかも、こわれた 月の あとなのでしょうか。そうかもしれないと いわれて います。

2019年に、カッシーニという 探査機たんさきの データから、わっかは 1000万年から 1億おく年 まえに できたと 発表されました。土星が できたのは 45億おく年 まえです。土星を 45さいに たとえると、わっかは 生まれて 1か月から 1さいくらいです。ただし、これは 数字を 小さくして くらべた たとえです。

2024年には、ちがう 考えも 発表されました。小さな いん石が ぶつかっても、よごれは わっかに つもらず 土星に おちます。だから、わっかは 見た目より ふるく、45億おく年の かのうせいも あるというのです。どちらが 正しいか、まだ 決まって いません。

土星の環も、壊れた月の跡なのでしょうか。環のいくつかが土星の半径の約2.3倍以内にあることから、衛星が壊れてできた可能性が大きいとされています[1]。では、いつ壊れたのでしょう。

2019年、探査機カッシーニが2017年の最終フライバイで集めた重力のデータから、環の質量は小さく、環は約1000万〜1億年前にできたという推定が発表されました。土星ができたのは約45億年前です[7]。土星を45歳にたとえると、環は生後1か月から1歳ほどです(1000万年÷45億年は約0.2%、1億年÷45億年は約2.2%という計算です)。

できかたの仮説は二つあります。彗星が近づいて壊れたという説と、昔の氷の衛星が壊れたという説です。後者の一つに、キャナップが2010年にNatureで発表したモデルがあります。氷のマントルと岩石・鉄の核を持つタイタン級の衛星が土星に近づき、ロッシュ限界で氷のマントルがはぎ取られて環になり、核は土星に落ちたと考えます。環がほぼ純粋な水の氷であることを説明できる、というのが特色です[8]。

ところが2024年12月、兵頭龍樹らの国際チームは別の見方を発表しました。微小隕石が衝突すると、蒸発した物質から帯電した粒子ができ、環に積もらず土星に落ちたり大気に吸収されたりします。そのため環は見た目より古く、太陽系と同じ約45億年の可能性もあるといいます[9]。環の年齢は、いまも論争中です。

土星の環も、壊れた衛星の跡なのか。環のいくつかが土星の半径の約2.3倍以内に収まることから、衛星が壊れてできた可能性が大きいと日本語の資料は述べる[1]。では、いつ壊れたのか。2019年、NASAの探査機カッシーニが2017年の最終フライバイで集めた重力のデータをもとに、環の質量は小さく、環は約1000万〜1億年前にできたという推定が発表された。土星ができたのは約45億年前とされる[7]。土星を45歳にたとえると、環は生後1か月から1歳ほどになる(1000万年÷45億年は約0.2%、1億年÷45億年は約2.2%として計算した)。環の質量が小さいことからの推定であり、年代そのものを直接測ったわけではない。

できかたの仮説も二つある。彗星が近づいて壊れたという説と、昔の氷の衛星が壊れたという説だ[7]。後者の一つが、キャナップが2010年にNatureで発表したモデルで、氷のマントルと岩石・鉄の核を持つタイタン級の衛星が土星に近づき、ロッシュ限界で氷のマントルがはぎ取られて環になり、核は土星に落ちたと考える。環がほぼ純粋な水の氷であることを説明できる点が、このモデルの強みである[8]。ただし仮説の一つで、確定ではない。

ところが2024年12月、兵頭龍樹らの日本を含む国際チームは、別の見方をNature Geoscienceに発表した。微小隕石が高速で衝突すると、蒸発した物質から帯電したナノ粒子やイオンができ、それらは環に積もらず、土星に落下するか大気に吸収される。そのため、環は見た目より古く、太陽系と同じ約45億年の可能性もあるという[9]。若い環を示す推定と、古い環を認める説が並んでおり、環の年齢はいまも論争中だ。どちらが正しいかは、まだ決まっていない。

6. けいさんきで、フォボスが ちかづく きょりを けいさん

6. 電卓で、フォボスが近づく距離を計算する

6. 100年に2メートルを、電卓で3000万年へ伸ばす

けいさんきが あれば、じぶんで たしかめられます。フォボスは 100年に 2メートル ちかづきます。3000万年は、100年の 30万こぶんです。2メートルに 30万を かけると、60万メートル、つまり 600キロメートルです。5000万年なら 1000キロメートルに なります。

ただし、これは 「ずっと おなじ はやさで ちかづく」と かりに 考えた けいさんです。ほんとうの ちかづき方が その とおりかは、この けいさんでは わかりません。フォボスが いま 火星から どのくらい はなれているかは、つぎの しらべる もんだいです。

電卓があれば、予想の大きさを自分で確かめられます。100年に2メートルという値を、そのまま3000万年と5000万年に当てはめます。3000万年は100年の30万回分ですから、2メートル×30万で60万メートル、つまり約600キロメートルです。5000万年なら約1000キロメートルになります。

ただし、この計算は「ずっと同じ速さで近づく」と仮定した概算です。実際の近づき方が一定かどうかは、この計算では分かりません。フォボスが今、火星からどれくらい離れているのかは、調べてみたくなる次の問いです。同じ速さで1000年なら20メートル、1万年なら200メートルと、年数を変えて電卓で試すと、3000万年がどれほど長いかも実感できます。同じ「近づきすぎ」が、溝になり、彗星の分裂になり、環の年齢論争にもなっています。

フォボスの予想を、電卓で自分でも確かめられる。100年に約2メートルという値を、3000万年と5000万年へそのまま伸ばす。3000万年は100年の30万回分なので、2メートル×30万=60万メートル、つまり約600キロメートルになる。5000万年なら約1000キロメートルである。ただしこれは、近づく速さが一定だと仮定した概算にすぎない。実際の近づき方が一定かどうかは、この計算からは分からない。

年数を変えて試すのもよい。同じ速さで1000年なら20メートル、1万年なら200メートルで、3000万年の600キロメートルがどれほど長い時間の積み重ねかが実感できる。同じ「近づきすぎ」が、溝になり、彗星の分裂になり、環の年齢論争にもなっている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料の一覧です。数字や年は各資料に書かれているものを使い、計算した値は本文でその旨を書いています。

  1. コトバンク(世界大百科事典)「ロッシュの限界」 https://kotobank.jp/word/%E3%82%8D%E3%81%A4%E3%81%97%E3%82%86%E3%81%AE%E9%99%90%E7%95%8C-3189156 (限界の定義・係数・環の位置)
  2. Wikipedia “Roche limit” https://en.wikipedia.org/wiki/Roche_limit (環と衛星の分かれ道・固い衛星の例外)
  3. NASA “Mars’ moon Phobos is slowly falling apart” (2015) https://www.nasa.gov/solar-system/mars-moon-phobos-is-slowly-falling-apart/ (フォボスの溝と、近づく速さ・予想)
  4. Purdue University “Does Mars have rings?” https://www.purdue.edu/research/features/stories/does-mars-have-rings-not-right-now-but-maybe-one-day-2/ (フォボスが環になるモデル)
  5. Astronomy.com “July 8, 1992: Comet Shoemaker-Levy 9 breaks up” https://www.astronomy.com/today-in-the-history-of-astronomy/july-8-1992-comet-shoemaker-levy-9-breaks-up/ (彗星の分裂と衝突の日付)
  6. IAU OAE astro4edu 用語集 “Roche limit” https://www.astro4edu.org/resources/glossary/term/420/ (彗星とカテナの例)
  7. NASA JPL “NASA’s Cassini data show Saturn’s rings relatively new” https://www.jpl.nasa.gov/news/nasas-cassini-data-show-saturns-rings-relatively-new (環の年齢の推定)
  8. EARTH Magazine “Saturn’s rings: the remains of an icy moon” https://www.earthmagazine.org/article/saturns-rings-remains-icy-moon/ (キャナップのモデル)
  9. Nature Asia 研究ハイライト https://www.natureasia.com/ja-jp/earth-env/research/15121 (環が古い可能性を示す研究)

なおした ところ

更新履歴

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