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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

いけすの ブリは、さかなの こなを たべて いる?

魚粉30%のエサで、ブリは育つ? 愛媛県の3か月試験

養殖魚の配合飼料と魚粉 ── 魚粉50%を30%に減らしたブリ試験と、低魚粉飼料のゆくえ

分野:海・釣り

いけすで そだてる ブリや マダイの エサは、はんぶんちかくが、小さな さかなを こなに した ものです。

では、その こなを へらしたら、ブリは そだたなく なるのでしょうか。じつは、へらしても おなじように そだった しけんが あります。どんな しけんか、なぜ へらしたいのかが わかります。

養殖のブリやマダイが食べるエサは、エサの40〜50%ほどが、カタクチイワシなどを粉にした「魚粉」だといわれます[1]。海の小魚が、養殖魚の体に変わっていくわけです。

ところが愛媛県の試験では、魚粉の割合を50%から30%に下げた飼料でも、ブリは同じように育ちました[1]。なぜ魚粉を減らしたいのか、何で補うのか、どこまで減らせるのかが分かります。

養殖魚用の配合飼料には、魚粉が通常40〜50%ほど配合され、その大半を南米産の輸入に頼る[1]。ところが愛媛県水産研究センターの実証試験では、魚粉30%の飼料を3か月与えた1歳のブリが、魚粉50%の対照飼料と同等に体重を増やした[1]。

魚粉を減らしたい理由、代替原料、マダイでの試験や選抜育種まで、愛媛・三重両県の資料から、どこまでが確かな結果かが分かる。

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1. いけすの エサは、なにから できて いる?

1. 養殖魚のエサは、小魚の粉からできている

1. 配合飼料の主原料は魚粉 ── 40〜50%という配合率

いけすの ブリに エサを まくと、ブリは いきおい よく あつまって きます。この エサは、じつは さかなの こなが たくさん はいって います。

さかなの こなは「ぎょふん」と いいます。カタクチイワシなどを かわかして、こなに した ものです[1]。これに こむぎこや ビタミンを まぜて、エサに します。

エサ 100グラムの うち、ぎょふんは 40〜50グラムほど だと いわれます[1]。ほかには こむぎこなどが はいって います。ただし、さかなの しゅるいや エサの しゅるいで かわります。

魚粉に小麦粉とビタミンを混ぜる

養殖魚用の配合飼料は、魚粉を主原料にして、小麦粉などの植物性の原料やビタミンを混ぜたものです[1]。魚の種類や大きさによって、さまざまな種類が売られています。

魚粉の配合率は、通常40〜50%ほどです[1]。たとえば魚粉40%のエサなら、100gのうち40gが魚の粉です。ただしこれは目安で、魚の種類やエサの種類で変わります。愛媛県の試験では、魚粉30%のエサでもブリは育ちました。

愛媛県水産研究センターの資料によると、養殖魚用の配合飼料は、魚粉(カタクチイワシなどを乾燥させて粉にしたもの)を主原料に、小麦粉などの植物性原料とビタミン類を配合したものだ。魚種や魚の大きさごとに、複数の種類が販売されている[1]。

魚粉の配合率は通常40〜50%程度とされる[1]。この数字は魚種・飼料によって異なる目安で、固定値ではない。では、この魚粉はどこから来るのか。

2. その こなの もとは、どこの さかな?

2. 魚粉の原料は、ほとんど海外から来る

2. 日本の養魚飼料に使う魚粉は、9割以上を海外に頼る

この さかなの こなは、ほとんどが みなみの ほうの 外国から きます。とくに みなみアメリカで とれた さかなが おおいと いわれます[1]。

さかなの なまえは、ペルーカタクチイワシ。ペルーという 国の 海で とれます。ペルーは、せかいの ぎょふんの 2わりほどを つくる と いわれます[3]。

日本の ぎょかいの エサに つかう ぎょふんは、9わり いじょうが 外国の ものだと する しりょうも あります[2]。

日本の魚粉は大半が南米産

愛媛県の資料は、魚粉の大半が南米で漁獲される輸入魚粉に頼っていると述べています[1]。三重県の資料では、養魚飼料の主原料の魚粉は、9割以上が海外産です[2]。

原料の中心になる魚の一つが、ペルー沖のカタクチイワシ(アンチョベータ)です。業界会議の報道によると、ペルーは世界の魚粉供給の約2割を占めるのがふつうだそうです[3]。

日本の海のイワシだけでなく、遠い南米の海の小魚も、日本のいけすの魚の体になっているわけです。

魚粉の供給は海外への依存が大きい。愛媛県は「大半が南米で漁獲される輸入魚粉に依存」と述べ[1]、三重県は養魚飼料の主原料の魚粉の9割以上が海外産だと記す[2]。原料の中心はペルーのカタクチイワシ(アンチョベータ)で、業界紙の報道(IFFO会議)では、ペルーは世界の魚粉供給の約2割を毎年占めるのが通例とされる[3]。

ただし2割は世界の魚粉に占めるペルーの割合で、日本向けの内訳ではない。輸入に頼るため、遠い海の漁の出来や国際価格が、日本の養殖に直接はね返る。

3. こなが たかく なると、なにが こまる?

3. 魚粉が値上がりすると、養殖の経営が苦しくなる

3. 飼料コストと魚粉価格 ── 経費の6〜7割を占める飼料代

魚を そだてる 人にとって、エサだいは とても おおきな 出ていきです。ぜんぶの おかねの 6〜7わりが エサだいに なると いわれます[1]。

ぎょふんの ねだんは、いつも おなじでは ありません。2022ねんには、1トンで 24まんえんを こえました。ペルーで さかなが とれなかった 2015ねんよりも たかい ねだんだと いわれます[4]。

ぎょふんが たかく なると、エサも たかく なります。そこで「ぎょふんを へらした エサでも そだつのでは」と かんがえる 人が 出て きました。

エサ代は、経費の6〜7割

魚粉が主原料の配合飼料の値段が上がると、全体の経費の6〜7割を占める飼料代が増え、養殖業者の経営を圧迫します[1]。三重県の資料も、海産魚の配合飼料では生産原価に占めるエサ代が6割以上だと述べます[2]。

魚粉の値段は大きく動く

輸入魚粉の価格は、2022年に1トン24万円を超え、ペルーのカタクチイワシが不漁だった2015年を上回ったとされます[4]。国際価格の変動が飼料価格に大きく影響するため[2]、魚粉への依存を下げる研究が進められています。

魚粉が高騰すると、経費の6〜7割を占める飼料コストが増え、経営を圧迫する[1]。三重県も、海産魚の配合飼料ではエサ代が生産原価の6割以上を占め、魚粉の国際価格の変動が飼料価格に大きく影響すると述べる[2]。

実際、輸入魚粉は2022年に1トン24万円を超え、ペルーのカタクチイワシが不漁だった2015年を上回ったとされる[4](政党の解説ページが引く数字)。魚粉が主原料で、価格が不安定で、しかも経費の大半を占める。この三つが重なって、「魚粉を減らしても育つ飼料」の研究が進んだ。

4. ぎょふんを へらしても、ブリは そだつ?

4. 魚粉を50%から30%に減らしても、ブリは同じように育った

4. 低魚粉飼料の実証試験 ── ブリは魚粉30%、マダイは15%まで

えひめけんの けんきゅうじょで、ためして みました。1さいの ブリに、ぎょふんを 30%に へらした エサを 3か月 あげたのです[1]。ふつうは 50%ほどです。

けっかは、体重の ふえ方に ちがいが ありませんでした[1]。ぎょふんの りょうで いうと、もとの 6わりです。

マダイでも ためしました。ぎょふんを 15%に へらして 5か月。ふつうの 40%の エサと おなじように そだちました[1]。

ただし、これは この しけんの けっかです。どこの いけすでも かならず そうなる、という ことでは ありません。

ブリは魚粉30%で、50%と同じ増え方

愛媛県水産研究センターは、1歳のブリに魚粉30%の低魚粉飼料を3か月与えました。対照にした魚粉50%の飼料と比べて、体重の増え方に差はありませんでした[1]。割合は50%から30%ですが、魚粉の量にすると、もとの6割です。

マダイは魚粉15%でも育ち、別の県でも確かめられた

マダイでは、魚粉を15%に下げた飼料を5か月与えても、魚粉40%の対照飼料と同じように成長しました[1]。三重県の尾鷲の試験(2015年7〜11月、145日)でも、魚粉25%の飼料で、40%の市販飼料と同程度に育ち、肉質も同程度と評価されています[2]。

ただし、どれも期間や魚の種類を決めた試験の結果です。すべての養殖で同じとはいえません。

愛媛県水産研究センターの実証試験では、1歳のブリに魚粉30%の低魚粉飼料を3か月与えたところ、魚粉50%の対照飼料と体重の増加に差がなかった[1]。魚粉の量は対照の6割(30÷50)だ。マダイでは、魚粉15%の飼料を5か月与えても、魚粉40%の対照飼料と同等に成長した[1]。

別の県の試験が、この結果を支える。三重県水産研究所は、尾鷲で2015年7〜11月の145日間、マダイに魚粉25%の飼料を与え、魚粉40%の市販飼料と成長・死亡率が同程度で、増肉係数はやや優れ、肉質も同程度と評価した[2]。ただし、これらは期間・魚種・魚の大きさを限った試験で、商用の全面切り替えを意味しない。では、減らした魚粉の分は、何で補っているのか。

5. ぎょふんの かわりに、なにを いれる?

5. 魚粉の代わりに入れる、大豆やトウモロコシの搾りかす

5. 代替原料 ── 大豆油粕・コーングルテンミール・フェザーミール

かわりに つかうのは、ふだんは たべない ところです。大豆から あぶらを しぼった のこりや、トウモロコシから でんぷんなどを とった のこりです[1]。

とりの はねや、にくに する ときに できる のこりも つかわれます[1]。すてて しまう ものが、さかなの エサに なるのです。

食用にしない部分を活用する

魚粉の代わりには、大豆から食用油を搾り取った残りの大豆油粕、トウモロコシから胚芽とでんぷんを取り去った残りのコーングルテンミール、鶏の羽や加工後の残りを粉にしたフェザーミール・チキンミールなどが使われます[1]。

人が食べるときに出る残りの部分を、魚のエサとして生かす工夫でもあります。

魚粉の代替には、大豆油粕(大豆から食用油を搾った残り)、コーングルテンミール(トウモロコシから胚芽とでんぷんを除いた残り)、フェザーミール・チキンミール(鶏の羽や加工残さ)などが挙げられる[1]。いずれも、食用にしない部分の活用という面を持つ。

ここまでは「飼料を変える」話だった。では「魚のほうを変える」ことはできないのか。

6. こなが すくなくても そだつ マダイを えらぶ

6. 魚粉が少なくても育つマダイを、親に選ぶ

6. 選抜育種 ── 2008年度から4世代目に入ったマダイ

エサだけでなく、そだてる さかなの ほうも くふうして います。えひめけんでは 2008ねんどから、ぎょふんが すくない エサで、とくに よく そだった マダイを えらんで、おやに して きました[1]。

いまは 4だいめまで すすんで います。えらんで おやに した マダイから うまれた こは、ぎょふんが すくない エサでも、ふつうの おやから うまれた マダイより はやく そだちました[1]。

低魚粉飼料でよく育つ個体を親にする

愛媛県では2008年度から、低魚粉飼料を与えたマダイの中で、特によく成長した個体を選んで親にすることを続けています。現在は4世代目まで進んでいます[1]。

選ばれたマダイは、魚粉20%または40%の飼料を使った試験で、一般の種苗より成長が早かったそうです[1]。ブリは天然の稚魚を使うのが一般的なので、この選抜はマダイの話です。

愛媛県水産研究センターは、2008年度から、低魚粉飼料を与えたマダイのうち特に成長のよい個体を選抜し、継代飼育してきた。4世代目まで進み、選抜マダイは、魚粉20%または40%の飼料を使った試験で、一般の種苗より成長が早かった[1]。

なお、ブリは天然種苗が一般的で、この選抜育種はマダイの話である。飼料の側と魚の側の両方から、魚粉への依存を下げる試みが続いている。

7. おうちの エサの ラベルを よんで みよう

7. 身近なエサやペットフードの原材料表示を読んでみよう

7. 出口 ── 原材料表示を読むことと、資料の読みどころ

おうちに ねこや さかなの エサが あれば、ふくろの うらの「げんざいりょう」を よんで みましょう。さかなの こなが かいて あるか、さがして みます。

もし なければ、スーパーの さかなの コーナーで、「ようしょく」と かいた ぎょかいを さがして みても よいでしょう。そだてる さかなの エサは、なにを つかって いるのでしょうか。

家に猫や魚のエサがあれば、袋の裏の原材料表示を読んで、魚粉や大豆など、どんな原料が使われているかを探してみてください。何が先に書かれているかも見てみましょう。

もっと読みたくなったら、愛媛県水産研究センターの試験の報告[1]と、三重県水産研究所の資料[2]を開いてみてください。どれくらいの期間、どんな条件で試したのかが書かれています。

身近な確かめ方として、ペットフードや観賞魚のエサの原材料表示を読み、魚粉や大豆、とうもろこしがどの順で並ぶかを見るとよい。原材料名は多く使われているものから順に並んでいる。魚粉や大豆がどこにあるか探してみよう。

資料を読むなら、愛媛県水産研究センター[1]と三重県水産研究所[2]の報告を読み比べてみよう。試験の条件(期間・魚の大きさ・飼料の配合)が、県によってどう書かれているかが分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:愛媛県と三重県の研究機関の資料を中心に、報道と政党の解説ページを使いました。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いています。

  1. 愛媛県水産研究センター「低魚粉飼料を用いた養殖試験について」。https://www.pref.ehime.jp/uploaded/attachment/98331.pdf (配合飼料、魚粉の割合、ブリ・マダイの試験、代替原料、選抜について)
  2. 三重県水産研究所「低・無魚粉EP飼料の開発」。https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000721611.pdf (海外依存度、エサ代の割合、マダイの試験について)
  3. NutraIngredients「Peru's anchovy quota boost, sustainable aquaculture strategies」(2024年10月23日)。https://www.nutraingredients.com/Article/2024/10/23/Peru-s-anchovy-quota-boost-sustainable-aquaculture-strategies (ペルーが世界の魚粉供給に占める割合について)
  4. 自由民主党 解説ページ(魚粉価格について)。https://www.jimin.jp/news/information/204832.html (魚粉価格の動きについて。政党の解説のため数字は「約」で扱った)

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