1. おこめの はなを、お湯に つけるのは どうして?
1. 母親にするイネの穂を、43℃のお湯に7分つける
1. 交配の準備 ── 母親の花粉を働かなくする約43℃・7分のお湯
おこめの あたらしい しゅるいを つくる とき、まず ははおやに する イネの ほを、あつめの おふろくらいの お湯に つけます。ほんとうは 43℃で 7ふんです[1]。
どうして お湯に つけるのでしょう。ははおやの イネが じぶんの かふんで みを つけて しまうと、ちちおやの かふんを かけても いみが なくなるからです。お湯で かふんだけを はたらけなく して、ははおやの めしべに ちちおやの かふんを かけます[1]。
これを「交配」と いいます。いまの イネでは、おもに この やりかたが つかわれます[1]。では、かけ合わせて できた 子は、どんな イネに なるのでしょう。
新しいイネの品種づくりは、お湯につける作業から始まります。農研機構東北農業研究センターの資料によると、母親にするイネの穂を約43℃のお湯に7分間つけて、花粉だけを働かなくします[1]。熱めのお風呂くらいの温度です。
なぜそんなことをするのか。母親のイネが自分の花粉で受粉してしまうと、父親の花粉をかけても意味がなくなるからです。そこで母親の花粉を使えなくしてから、めしべに父親の花粉をかけます。これが「交配」で、いまのイネの品種改良では主にこの方法が使われています[1]。この資料は2012年現在の方法の紹介で、すべての施設が同じやり方とは限りません。
交配の準備だけで、これだけ手がかかります。では、かけ合わせてできた子は、どんなイネになるのでしょうか。
2. できた 子の なかから、どうやって えらぶの?
2. 寒さにも病気にも、田んぼで試して食べて決める
2. 選抜 ── 交配の子は「当たり外れ」が混じるので、環境を作って試す
かけ合わせて できた 子は、りょうほうの おやの いい ところも わるい ところも うけついで、いろいろな タイプに なります[1]。そのなかから いい 子を えらぶ ことを「選抜」と いいます。
さむさに つよいか しらべる ときは、ふかさ 20センチくらいの 田んぼに、19℃の つめたい 水を ながしつづけて、みのりぐあいを みます[1]。びょうきは、わざと びょうきが でやすい ところで そだてて しらべます[1]。
おいしさは、10人くらいの 人が きょうりょくして、じっさいに たいて たべて しらべます[1]。ひとつの 品種を つくるには、いろいろな しけんが ひつようなのです。では、ぜんぶ おわるまで なん年 かかるのでしょう。
交配でできた子は、両親の良いところも悪いところも受け継いで、いろいろなタイプになります。その中から良い特徴をもつものを選ぶことを「選抜」といいます[1]。
農研機構の資料には、選ぶ方法が具体的に出ています。寒さに強いかどうかは、深さ約20cmの田に約19℃の冷たい水を、イネが寒さに弱い時期に流し続けて、実りぐあいで判断します。いもち病は、わざと病気が出やすい環境で育てて調べます。おいしさは、10人くらいの人が試験に協力し、実際に炊いて食べて調べます[1]。
選ぶには、性質ごとに試験を重ねます。その積み重ねには、どれだけの時間がかかるのでしょうか。
交配でできた子は、両親の良い形質も悪い形質も受け継ぎ、さまざまなタイプに分かれる。そこから目的に合う個体や系統を選ぶ作業が選抜である[1]。辞典の説明では、交雑育種は交配のあと世代をいくらか重ねてから、毎年、系統や個体の選抜を繰り返す[2]。
選抜は、性質ごとに試す環境を作って行う。農研機構の資料によると、耐冷性は、深さ約20cmの田に約19℃の冷水をイネが寒さに弱い時期に流し続け、実りで判断する。いもち病への強さは、病気が出やすい環境で育てて調べ、食味は10人くらいの人が協力して実際に炊いて食べ、調べる[1]。
つまり選抜とは、育てる環境のほうを目的に合わせて用意する作業である。それが性質の数だけ必要になるため、次の問いが出てくる。ひとつの品種ができるまで、何年かかるのか。
3. ひとつの 品種が できるまで、なん年 かかる?
3. 水稲の新品種は「通常14年」を、温室で9年に縮めた
3. 育成期間の短縮 ── 14年を9年にした工程と、その計算
ひょうご県の しりょうには、ふつうは 14年 かかる おこめの 品種づくりを、おんしつを つかって 9年に みじかく した、と かかれて います[3]。
5年 みじかく なりました。14ぶんの 5ですから、ざっと 3わりから 4わりぶん みじかい ことに なります。ただし 14年は この しりょうの 「ふつう」で、ほかの さくもつでも おなじとは かぎりません。
こんなに ながい あいだ、まつしか ないのでしょうか。じつは、まつだけでなく、ほうしゃせんで 木を かえようと した ひとたちが います。
4. ナシの 木に ほうしゃせんを あてたら、どう なった?
4. 放射線で変異を起こし、黒斑病にかからない1本の枝を見つけた
4. 突然変異育種 ── ガンマフィールドの照射と、19年後の1本
ナシの 「にじっせいき」は、くろい はんてんが でる びょうきに かかりやすい ことが こまりごとでした[4]。そこで、いばらきけんの「ガンマフィールド」で ほうしゃせんを あてる しけんが はじまりました。
ガンマフィールドは、はんけい 100メートルの まるい はたけです。まんなかに、ほうしゃせんを だす ものの コバルトろくじゅうが おいて あります[4]。
しけんの はじまりは 1962ねん。1981ねんに、くろい はんてんの びょうきに かかって いない えだが 1ぽん みつかりました[4]。しけんを はじめて 19ねん あとです。
ほうしゃせんを あてると、ときどき 木の せいしつが かわる ことが あります。こうして 人が わざと かわらせる ほうほうを「突然変異を つかった 品種づくり」と いいます[2]。この えだは、のちに「ゴールドにじっせいき」の もとに なりました[4]。
でも ほうしゃせんが かえるのは、木の なかの ほんの すこしです。かわった ものを、じぶんの めで さがして えらばないと いけません。
ナシの「二十世紀」は黒斑病にかかりやすいことが弱点でした[4]。そこで、茨城県のガンマフィールドで、ガンマ線を当てて性質の変わった木を探す試験が行われました。
ガンマフィールドは、半径100mの円形の畑で、中央にコバルト60の線源があります[4]。照射試験の開始は1962年。1981年に、黒斑病にかかっていない枝が1本見つかり、その枝から耐病性の「ゴールド二十世紀」が生まれました[4]。誕生した年は、1990年とする資料と1991年に登録されたとする資料があるため、ここでは枝が見つかった年にとどめます。
放射線や化学物質で、人為的に遺伝的な変異を起こす方法を、突然変異育種といいます[2]。この例では、放射線が変化を起こす役を担い、病気にかからない枝を見つけ出す段階が選抜にあたります。起きる変化は選べないので、見つける作業が欠かせません。
ここまでは、木の「性質」を変える話でした。では、染色体の「数」を変えてしまう方法もあるのでしょうか。
二十世紀梨は黒斑病にかかりやすい。この欠点を直すため、茨城県のガンマフィールド(半径100mの円形圃場、中央にコバルト60線源)で、ガンマ線を使った突然変異の試験が行われた[4]。
日本原子力産業協会の資料によると、照射試験は1962年に始まり、1981年に黒斑病に全くかかっていない枝が1本見つかり、耐黒斑病性の「ゴールド二十世紀」につながった。開始から19年かかったことになる(計算例)。誕生年は、同じ資料の1990年と、別資料の1991年登録とで食いちがうため、ここでは断定せず、枝が見つかった年を軸にした[4]。
突然変異育種法は、放射線や化学物質で人為的に遺伝的変異を起こす方法である[2]。ただし、どの形質がどう変わるかは選べない。多くの木の中から黒斑病にかからないものを探す選抜があって、はじめて育種になる。この事例でも、放射線は変異を起こす役割で、病気に強い枝を見分けたのは目での選抜と考えられる。
交配は既存の性質を組み合わせ、放射線は新しい変異を起こす。では、染色体の数そのものを操作すると、何ができるのか。身近な例が、種なしスイカである。
5. たねなしスイカは、どうやって できるの?
5. 種なしスイカを作るには、まず種が必要
5. 倍数体育種 ── 二倍体・四倍体・三倍体の染色体の計算
たねなしスイカは、たねを とりのぞいたのでは ありません。たねが できない しくみを つくった スイカです。
ふつうの スイカは、染色体が 22ぽん あります。くすりを つかって、これを 44ほんに ふやします。この 44ほんの スイカの めしべに、ふつうの スイカの かふんを かけます[5]。
すると 33ほんの 染色体を もつ たねが できます。この たねを そだてた スイカが、たねなしです[5]。かふんが ついて みは おおきく なりますが、33ほんの スイカでは、たねが ちゃんと そだたないのです。
つまり たねなしスイカを つくるには、さいしょに たねが ひつようです。ただし、そだてる ときの こまかい てじゅんは、ここでは ふれません。
種なしスイカは、種を取り除いたものではありません。種ができない染色体の数にしたスイカです。
辞典の説明では、染色体が22本の二倍体スイカにコルヒチンという薬を処理して、44本の四倍体を作ります。その四倍体のめしべに二倍体の花粉をかけると、33本の三倍体の種子ができます[5]。この種子を育てたものが、種なしスイカです。受粉すると果実は育ちますが、三倍体では種子が正常に育ちません。
数字を確かめてみます。四倍体の花粉や卵は、染色体を半分の22本もっています。二倍体の花粉は11本です。22+11で33本です(計算例)。11本が3組なので、三倍体と呼ばれます。
三倍体は、種をつくる途中の細胞分裂(減数分裂)が正常に進まず、種子が育ちません[5]。京都大学の遺伝学の教材は、受粉の刺激で果実はできるが、胚が正常に育たないため種なしになる、と説明しています[6]。
種なしスイカを作るには、まず四倍体や三倍体の「種」を作る必要があるわけです。ここまでは、できた植物を見て判断する方法でした。見る前に、DNAで見分けられないでしょうか。
種なしスイカは、種子を除去したものではなく、種子が発育しない染色体数にしたものである。辞典の記述によれば、二倍体(染色体22本)にコルヒチン処理を施して四倍体(44本)を作り、そのめしべに二倍体の花粉をかけると、三倍体(33本)の種子ができる[5]。
染色体数は、次のように検算できる(計算例)。四倍体が作る配偶子は22本、二倍体が作る配偶子は11本で、合計33本である。基本の11本を1組とすると3組あり、三倍体の名と合う。
三倍体は減数分裂が異常になり、受粉して果実が育っても種子は正常に発育しない[5]。京都大学OCWの遺伝学講義資料(2013年)も同じ作り方を図示し、受粉の刺激で子房が発達して果実はできるが、胚が正常に発達せず種子なしになると説明する[6]。二つの資料が、作り方も結果も合っている。
注意したいのは、種なしスイカを作るために、四倍体と二倍体の交配で三倍体の種子をまず作らなければならない点だ。種なしの果実のために、種子を人の手で作る工程がある。
ここまでの道具は、できた植物を育てて確かめる方法だった。育てる前に、DNAを調べて選別できないか。
6. DNAを しらべて、そだてる まえに えらべる?
6. 育てる前にDNAで選ぶと、選抜の時間はどこまで縮むのか
6. DNAマーカーとゲノミックセレクション ── 選抜期間の短縮と、その数字の読み方
トヨタじどうしゃと のうけんきこうは、イチゴで びょうきに つよい 子と、ほぼ 1ねんじゅう みを つける 子を、DNAで みわける しるしを つくりました[7]。かんたんな DNAの けんさで、ほしい いでんしを もつ 子を えらべます。
これで えらぶ ための じかんが、ふつうの はんぶんに なり、はたけの ひろさも 3ぶんの 1で すむと しました[7]。ただし これは はっぴょう した ときの みこみで、イチゴの とくていの せいしつの はなしです。
ソバでは、きょうとだいがくの けんきゅうで、たくさんの DNAの じょうほうから そだつ ようすを よそくして、3ねんかんで とれる りょうを 20.9% ふやしました[8]。
では、DNAを しらべるだけでなく、DNAを かきかえる ことは できるのでしょうか。
2017年、トヨタ自動車と農研機構は、イチゴで、うどんこ病・炭疽病に強い個体や、四季成り性の個体を見分けるDNAマーカーを開発したと発表しました。簡単なDNA検査で、必要な遺伝子をもつ子孫を見分けられます[7]。
発表では、選抜に要する期間は通常の2分の1に、栽培面積は3分の1で済むとされています[7]。育ててから調べるのでなく、育てる前に調べるので、場所も時間も減らせるという考え方です。ただしこの数字は発表時の見込みで、対象もイチゴの特定の性質です。
京都大学の研究では、大量のDNAマーカー情報から植物の特性を予測する「ゲノミックセレクション」を使い、普通ソバの収量性を3年間で20.9%増やしたと報告されています[8]。毎年同じ割合で増えたと仮定すると、1年あたり約6.5%の計算です。農研機構の資料も、田で育てなくてもDNAで寒さや病気に強いイネを調べる技術が開発されてきたと紹介しています[1](2012年時点)。
調べるだけなら、DNAは「読むもの」です。それを「書きかえる」ことはできるのでしょうか。
選抜を早める道具が、DNAマーカーである。トヨタ自動車と農研機構は、2017年にイチゴでうどんこ病・炭疽病への耐病性と四季成り性を見分けるDNAマーカーを開発した。簡単なDNA検査で必要な遺伝子をもつ子孫を判別でき、選抜期間は通常の2分の1、栽培面積は3分の1で済むとしている[7]。
この数字は、発表時の見込みであり、対象はイチゴの特定の形質である。育てて調べるという選抜の前半を、検査に置きかえるから短縮できる、という理屈だが、すべての作物・形質で同じ短縮率が出るとは読めない。
もう一歩進んだ方法が、大量のDNAマーカー情報から特性を予測するゲノミックセレクションである。京都大学の研究では、普通ソバの収量性を3年間で20.9%増加させた[8]。この20.9%は3年間の累計であり、年に直すと、毎年同じ割合で増えたと仮定して1.209の3乗根から約6.5%になる(計算例)。イネでも、田で育てずにDNAで耐冷性・耐病性を調べる技術の開発が進んでいる(2012年時点)[1]。
ここまでの道具は、DNAを「読む」ことで、選ぶ精度と速さを上げる。ならば、狙った場所を直接「書きかえる」とどうなるのか。
7. ねらった ところだけ、DNAを きるって どういうこと?
7. ゲノム編集で作った高GABAトマトは、従来の育種とどうちがうのか
7. ゲノム編集 ── 外来遺伝子を入れないことと、届け出の位置づけ
「ゲノムへんしゅう」は、ねらった DNAを きって、なおる ときに いでんしの はたらきを かえる ぎじゅつです[9]。
つくば大がくの えづら ひろし きょうじゅらは、これで ギャバという せいぶんが ふつうの 4ばいから 5ばい ふくまれる トマトを つくりました[9]。ふつうの トマトも、みずが たりないと ギャバが ふえますが、とれる りょうが へります。このトマトは、とれる りょうを へらさずに ふやせます[9]。
このトマトは、ほかの いでんしを いれて いません[9]。ただし、2020ねんの しりょうでは、はじめて つくる ときは 国に そうだんして とどけ でる きまりでした。いまの きまりは 国の ページで たしかめて ください。
ゲノム編集は、特定のDNAを狙って切り、修復される過程で遺伝子の働きを変える技術です[9]。筑波大学の江面浩教授らは、この技術で、トマトのGABAの量を通常の4〜5倍にしました。
もともとトマトにもGABAは含まれていて、水不足などのストレスでも増えますが、収量が減ってしまいます。ゲノム編集トマトは収量を下げずに増やせる、と紹介されています[9]。
このトマトは、狙ったDNAを切っただけで外から遺伝子を入れておらず、外来遺伝子が残っていないことが確かめられています。そのため、このトマトでは、従来の育種でも起こりうる変化と同じ扱いになり、遺伝子組換え食品のような審査は不要とされました。2020年の資料では、農林水産省と厚生労働省への事前相談と届け出は経る、とされています[9]。現在の制度は農林水産省などの公式ページで確認してください。
道具は「かけ合わせて待つ」から「DNAを狙って切る」まで広がりました。でも、よいものを見つけて選ぶ作業は、どの道具でも残っています。
ゲノム編集は、特定のDNAを狙って切り、修復の過程で遺伝子の働きを変える技術である。筑波大学の江面浩教授らは、これで高GABAトマトを作った。GABA(ギャバ)の量は通常の4〜5倍である。通常のトマトも、水不足などのストレスでGABAが増えるが収量が減る。ゲノム編集トマトは収量を下げずに増やせるとされる[9]。
このトマトは、外部から遺伝子を挿入せず、狙ったDNAを切っただけで、外来遺伝子の残存がないことが確かめられている。このため、外来遺伝子が残らない点で従来の育種でも起こりうる変化と同じ扱いになり、遺伝子組換え食品のような安全性審査は不要とされる。2020年の資料では、農林水産省・厚生労働省への事前相談と届け出は経るとされる[9]。
この記述は2020年時点であり、制度の現行版は、書く前に農林水産省・厚生労働省の公式ページで確かめる必要がある。「審査が不要」は、無条件に何も要らない意味ではなく、届け出の手続きを経たうえでの扱いである点に注意したい。
交配、放射線、染色体の倍加、DNAマーカー、ゲノム編集と並べると、道具は変わっても、目的に合うものを見つけて選ぶ作業が残る点は共通している。
8. おうちの おこめの ふくろから、品種の 名前を さがそう
8. 米袋の品種名から、名前の向こうの「選ばれた歴史」を想像する
8. 品種名を手がかりに、農研機構の資料へ
おこめの ふくろや おみせの たなを みて、「コシヒカリ」や「あきたこまち」のような 名前を さがして みましょう。いくつ みつかりますか。
コシヒカリは、1956ねんに ふくいけんで うまれ、1979ねんから、いちばん ひろく つくられて いる おこめだと いわれます[10]。ひとめぼれや あきたこまちなど、いろいろな 品種も あります[10]。
名前の ついた 品種の うしろには、おゆに つけたり、つめたい 水を ながしたり、10人で たべたり した 人たちが いるかも しれません。
家にあるお米の袋か、お店の棚で、品種名を探してみましょう。「コシヒカリ」「あきたこまち」など、袋ごとに名前が違います。
農林水産省の資料によると、コシヒカリは1956年に福井県で誕生し、1979年から作付面積1位が続くとされています。ひとめぼれやあきたこまちなど、さまざまな品種も登場しました[10]。
何種類の品種名が見つかるか数えてみると、新しい品種が一つ増えるまでに、お湯につける作業や、冷たい水を流す試験や、炊いて食べる試験があったかもしれない、と想像が広がります。本文の資料の入口は、農研機構の「写真で学ぶイネの品種改良」です[1]。
家の米袋や店の棚で品種名を探し、その名前のついた品種が、どの方法で、どれくらいの時間をかけて作られたかを調べてみてほしい。たとえばコシヒカリは、1956年に福井県で誕生し、1979年から作付面積1位が続くとされる[10]。農林水産省の資料はコシヒカリと他品種との血縁関係までは述べていないので、その点は農研機構の品種情報などで別に調べる必要がある。
資料の入口としては、次の三つを勧める。①農研機構東北農業研究センターの「写真で学ぶイネの品種改良」[1]は、交配と選抜を写真付きで日本語で説明する。②日本原子力産業協会の放射線の解説[4]は、ゲノム編集や放射線育種を考えるときの背景の理解に役立つ。③農研機構の「こぼれ話」[9]は、ゲノム編集トマトと制度の位置づけを扱う。制度は更新されるので、読むときは日付に注意する。
手法ごとに「何が速くなり、何が変わらないか」を表にまとめると、自分の理解の穴が見つかる。選抜が残る理由を、各手法の資料で探してみるのもよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:農研機構や大学の資料、県・国の資料、辞典、企業の発表を使った。何に使ったかは、各項目の最後に書いている。
- 農研機構 東北農業研究センター「写真で学ぶイネの品種改良」(①交配・②選抜、2012年現在)。https://www.naro.go.jp/tarc/contents/files/school.pdf (イネの交配・選抜の方法、DNAを使った選抜の紹介)
- コトバンク「品種改良」(デジタル大辞泉・百科事典)。https://kotobank.jp/word/品種改良 (品種改良・突然変異育種の定義と、選抜を繰り返す流れ。辞典の記述)
- 兵庫県「水稲オリジナル品種の育成経緯と計画」。https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk12/documents/torikumigaiyou.pdf (通常14年を9年に短縮した例)
- 日本原子力産業協会「あなたに伝えたい放射線の話(6)」。https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/understanding/eco-radiation/dr.radiation_column006.pdf (ガンマフィールドと、ナシの二十世紀の枝の例)
- コトバンク「種なし果実」(世界大百科事典系)。https://kotobank.jp/word/%E7%A8%AE%E3%81%AA%E3%81%97%E6%9E%9C%E5%AE%9F-1559465 (種なしスイカの染色体数と作り方。辞典の記述)
- 京都大学 OCW「遺伝学(2013年度)第10回」。https://ocw.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/2013_idengaku_10.pdf (三倍体スイカの果実と種子について。講義資料)
- トヨタ自動車 グローバルニュースルーム(2017年)。https://global.toyota/jp/detail/16010724 (イチゴのDNAマーカーと、選抜期間の見込み。企業の発表)
- 京都大学 研究ニュース(2018年6月15日)。https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2018-06-15 (ゲノミックセレクションと、普通ソバの収量性の結果)
- 農研機構 生研支援センター「こぼれ話10」。https://www.naro.go.jp/brain/contents/ep_010.pdf (高GABAトマトと、ゲノム編集食品の取り扱い。2020年時点)
- 農林水産省「aff」2016年1月号。https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1601/spe1_03.html (コシヒカリの誕生と作付面積について)
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