1. 家の 下に、小さな 水の きれいに する ばしょが ある?
1. 日本の約10人に1人は、家ごとの処理場を使っている
1. 浄化槽の位置づけ ── 令和7年度末で1,171万人(9.5%)
日本では、下水道の 大きな くだが 通って いない ところも たくさん あります。そういう ところの 家では、家の 下や にわに、じょうかそうと いう タンクを うめて います。
この タンクを 使って いる 人は、日本で 1,171万人。およそ 10人に 1人です[5]。
タンクの 中には、水を きれいに する 生きものが すんで います。目には 見えません。
下水道が届かない場所の選択肢
環境省の発表では、令和7年度末の時点で、下水道を使える人が1億141万人(82.2%)、浄化槽を使う人が1,171万人(9.5%)でした。汚水を処理する設備を使える人は全体の94.0%で、約740万人はまだ使えていません[5]。
浄化槽の割合を人口に直すと、およそ10人に1人です。町の外れや山あいのように、下水道の管を長く伸ばしにくい地域で、家ごと、または小さな集まりごとに置かれています。
中で働くのは微生物
浄化槽は、水の中の微生物のはたらきを利用して、汚れた水をきれいにします[1]。大きな機械で薬品を使うというより、小さな生き物たちの働きを手伝う設備、と考えるとイメージしやすいと思います。
2. 生きものは、よごれを どう する?
2. 汚れが微生物のエサになり、数が増える
2. 微生物の増殖 ── 有機物をエサに数を増やす
タンクの 中の 水には、トイレや 台所の よごれが まざって います。この よごれを、小さな 生きものは エサに して、ふえて いきます[1]。
ふつうは いやな よごれですが、生きものに とっては ごはんです。だから 生きものは、水の中の よごれを ごはんに して、ふえて いきます。
ただし、ふえすぎたり、ごはんが なくなったり しないように、人が ようすを 見て います。それは あとで 出て きます。
3. 空気が すきな チームと、きらいな チーム
3. 空気を好むチームと嫌うチームの分担
3. 好気性微生物と嫌気性微生物 ── 2種類の微生物
タンクの 中の 生きものには、2つの チームが あります[1]。
ひとつは、空気が すきな チーム。もうひとつは、空気が きらいな チームです。どちらも、水の よごれを へらす 仕事を して います。
すきな 場所が ちがうので、タンクの 中は 空気の ある 場所と ない 場所に わけて あります。空気の ある 場所には、きかいで 空気を おくり つづけます[2]。
そうじの 係が、教室と ろうかで わかれて いる ようなものです。ただし 本当は、わける ことで 生きものが くらしやすく なる、という ところが ちがいます。
4. 水は、3つの へやを 通る
4. 沈める、分解する、また沈める ── 3つの槽
4. 処理の3段階 ── 嫌気槽・好気槽・沈殿槽
よくある タンクを れいに すると、よごれた 水は 中で 3つの へやを じゅんばんに 通ります[2]。
1つめは、空気の ない へや。かたい ものが しずみ、空気の きらいな 生きものが、よごれの 一部を へらします。
2つめは、空気を おくる へや。プラスチックなどの 小さな ものに、空気の すきな 生きものが うすい まくの ように くっついて、よごれの ほとんどを へらします。
3つめは、しずかな へや。生きものの かたまりが しずんで、水と わかれます。
こうして、よごれを へらした 水が 外へ 流れます。
1つめ:固形物を沈め、一部を分解する(嫌気槽)
最初の槽では、水に浮いたり混ざったりしている固形物を沈めます。同時に、空気を嫌う微生物が、汚れの一部を分解します[2]。
2つめ:処理の主役(好気槽)
次の槽は、処理の主体になる好気性の微生物が働く場所です[2]。槽の中には接触材という材料が入っていて、そこに微生物が膜のようについて、汚れの大部分を分解します。水の中をただよう微生物だけに頼らず、足場を用意している点が特徴です。
3つめ:微生物のかたまりを分ける(沈殿槽)
増えた微生物などからできる汚泥は、最後の槽で沈めて、水から分けます[2]。
どのくらいきれいになるか
国立環境研究所の解説には、小型の合併処理浄化槽で汚れを表すBODの除去率が90%以上、処理された水のBODが20mg/L以下という性能が示されています[2]。BODは値が小さいほど水がきれいだと表す目安です。これは小型の合併処理浄化槽の代表的な性能で、すべての浄化槽に当てはまるとは言えません。
5. トイレだけ? 台所や おふろも?
5. 台所やお風呂の水も処理すると、流れ出る汚れは約8分の1
5. 単独処理と合併処理 ── 2001年の法改正と約8分の1
むかしの タンクには、トイレの 水だけを きれいに する ものが ありました。台所や おふろの 水は、そのまま 川へ 流れて いました。
いまの タンクは、台所や おふろの 水も いっしょに きれいに します[2]。すると 川や 海へ 流れ出る よごれは、むかしの タンクの 8ぶんの 1に なります[3]。
これは、水の りょうが 8ぶんの 1に なる 話では ありません。水と いっしょに 流れる よごれの 話です。
2001年からは、下水道が 通る ところなどを のぞいて、あたらしく タンクを つくる ときは、台所や おふろの 水も きれいに する ものを 使う きまりに なりました[4]。
2つの型
浄化槽には、トイレの汚水だけを処理する単独処理型と、台所やお風呂などの生活雑排水もあわせて処理する合併処理型があります[2]。国立環境研究所の解説は、後者を日本独自の技術と紹介しています。他の国に似た技術がまったくないとまでは、資料からは言えません。
約8分の1
さいたま市や大分県の説明によると、合併処理浄化槽を使うと、海や川へ流れ出る汚れが、単独処理浄化槽の8分の1になります[3][4]。8分の1になるのは水の量ではなく、水といっしょに流れ出る汚れ(BOD)の量です。
考え方は単純で、単独処理ではトイレの汚れだけが処理され、台所やお風呂の汚れはそのまま出ていたのに対して、合併処理ではその分も処理されるからです。
2001年の切りかえ
平成13年(2001年)4月1日から、法律の上では合併処理のものだけが「浄化槽」とされ、下水道の区域内などを除いて、単独処理浄化槽を新しく設置することは禁止されました[4]。ただし、すでにある単独処理の浄化槽がすべてなくなったわけではありません。
単独処理浄化槽はトイレの汚水のみを処理し、合併処理浄化槽は台所・風呂などの生活雑排水も同時に処理する。国立環境研究所は後者を日本独自の技術としている[2]。「独自」の範囲は同研究所の表現に従うもので、他国に類似技術がないとまでは断定しない。
さいたま市・大分県は、合併処理浄化槽を使うと海や川へ流出する汚れ(BOD)が単独処理浄化槽の8分の1になると説明する[3][4]。これは流出する汚れの量の比で、水量の比ではない。
平成13年(2001年)4月1日以降、法律上は合併処理浄化槽のみが「浄化槽」と位置づけられ、下水道認可区域内などを除き、単独処理浄化槽の新設は禁止された[4]。既存の単独処理浄化槽が一斉に廃止されたわけではない。
6. 生きものを まもる、てんけんの 人
6. 微生物が元気に働けるよう見守る、保守点検の仕事
6. 維持管理の3つの義務 ── 保守点検・清掃・法定検査
タンクは、うめたら おしまいでは ありません。中の 生きものが 元気に はたらける ように、かならず 人が ようすを 見ます。
きかいを しらべたり、なおしたり、水を きれいに する くすりを たしたり します。この 仕事を するのは、国の しかくを もつ 「じょうかそう かんりし」の 人です[6]。
それとは べつに、タンクの 中に たまった どろのような ものを ぬきとる そうじも、1年に 1回は します[7]。
3つの義務
浄化槽を使う人(管理者)には、法律により3つのことを行う義務があります[6]。
1つめは保守点検で、機械の点検・補修や消毒剤の補給などを行います。登録を受けた業者が担当し、国家資格をもつ浄化槽管理士がこの仕事を担います[6]。2つめは清掃で、槽にたまった汚泥を抜き取る作業です。原則として年1回以上で、種類によっては年2回とされています[7]。
水を実際に調べる検査
3つめは法定検査です。都道府県知事が指定した検査機関が行い、使い始めてしばらくあとの水質検査と、その後毎年1回の定期検査があります。定期検査では、外へ流れ出る水を採って、水質を調べます[7]。
「元気かどうか」を見守る仕事
保守点検の回数は、槽の型や使う人数によって違うので、ここでは一律の数字は書きません[7]。微生物の環境を整えることが処理の要だと考えると、この仕事の大切さが見えてきます。
浄化槽法により、管理者は保守点検・清掃・法定検査の3つを行う義務がある。保守点検は登録業者、清掃は市町村長の許可を受けた業者、法定検査は都道府県知事が指定した検査機関が担当する[6]。
保守点検は機械の点検・補修や消毒剤の補給などで、国家資格者の浄化槽管理士が担う[6]。回数は槽の型や処理対象人員で異なり、家庭用の目安として年3〜4回とする自治体の説明がある[7]。清掃は槽内の汚泥を抜き取る作業で、原則として毎年1回(全ばっ気型は年2回)が義務である[7]。
法定検査は、設置後の水質検査(浄化槽法第7条)と、毎年1回の定期検査(同第11条)である。定期検査では放流水を採取して水質を調べる[7]。設置後の検査は、使い始めてしばらくあとに受ける。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの 近くで、地面に ある まるい ふたを 見つけて みましょう。「じょうかそう」などの 字が 書いて ある ことが あるかも しれません。ふたは あけません。道路の 上や、人の 家の しきちには 入らないで、外から 見るだけに します。
ふたが 見つからなくても、じつは 下水道が 通って いる 町かも しれません。おうちの 人に、うちの 水は どこへ いくのか、ききます。
しらべるなら、かんきょうしょうの 「じょうかそう」の ホームページ[1]が、日本語で 読めます。ページの いちばん 下に、アドレスが のって います。
今日できること:家の近くを歩いて、地面にあるふたや、庭に置かれた小さな機械を、外から眺めてみてください。ふたは開けず、他人の敷地には入らないようにします。何も見つからなければ、その地域は下水道でつながっているのかもしれません。家の人に「うちの水はどこへ行くのか」を聞いてみるのもよい調べ方です。
公式情報:環境省の浄化槽のサイトや、住んでいる市町村・都道府県の「浄化槽」のページは、日本語で読めます。自分の家の設備について知りたいときは、自治体の窓口に相談してください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:環境省・国立環境研究所・自治体・全国浄化槽団体連合会の資料を使った。何に使ったかは、各項目の最後に書いている。
- 環境省 浄化槽サイト ワンポイント解説「合併処理浄化槽の微生物」。https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/himitsu/onepoint/15.html (微生物が汚れをエサに増えること、好気性と嫌気性の2種類について)
- 国立環境研究所 環境展望台「浄化槽」。https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=50 (3つの槽の役割、BODの性能、単独処理と合併処理の違いについて)
- さいたま市「浄化槽の仕組み」。https://www.city.saitama.lg.jp/001/009/013/p002018.html (処理の仕組みの突き合わせ、流れ出る汚れが8分の1になることについて)
- 大分県「浄化槽とは」。https://www.pref.oita.jp/soshiki/18800/zyoukasoutoha.html (8分の1の記述の突き合わせ、2001年4月1日からの法律上の位置づけについて)
- 環境省「令和7年度末の汚水処理人口普及状況について」。https://www.env.go.jp/press/press_05421.html (浄化槽を使う人の数と割合、汚水処理人口普及率について)
- 全国浄化槽団体連合会「浄化槽の維持管理」。https://www.zenjohren.or.jp/johkasou/maintenance/ (保守点検・清掃・法定検査の3つの義務、浄化槽管理士について)
- 群馬県「浄化槽の維持管理、法定検査について」。https://www.pref.gunma.jp/page/17965.html (清掃の回数、保守点検の回数の目安、定期検査について)
なおした ところ
更新履歴
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