このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

かきごおりの 氷は、どうして ふわふわに けずれるの?

かき氷の氷は、どうしてふわふわに削れるのでしょうか

かき氷の氷はなぜふわふわに削れるのか ── 温度・砂糖・氷の育ち方・刃から考える

分野:自然

れいとうこから 出したばかりの 氷は、かきごおりきで けずっても、ふわふわには なりにくい と いわれます。ところが、少し 待ってから けずると、ようすが かわります。

氷は、どうして 待つと けずりやすく なるのでしょう。この ノートを 読むと、氷の 温度や 中身、刃はが、ふわふわに けずる ことと どう かかわるのかが 分かります。

家庭の冷凍庫から出したばかりの氷は、そのままではふわふわに削れにくい、と科学館の解説は伝えています[2]。ところが、少し待ってから削ると、氷の削れ方が変わります。

ふわふわのかき氷は、氷を薄く削ることでできます。同じ氷なのに、待つかどうかで何が変わるのでしょうか。この記事を読むと、ふわふわに削る条件、氷の温度と硬さ、砂糖水の氷が柔らかい理由の一つの説明、氷の育ち方、刃の調整が分かります。

冷凍庫から出したての氷は、約−20℃で硬く割れやすく、そのままでは薄く削れずふわふわになりにくい。常温に少し置いて表面がうるんだころに削るとよい、と科学館の解説は述べる[1][2]。

では、温度が数十度ちがうわけでもないのに、氷の削れ方はなぜ変わるのか。この記事を読むと、氷の硬さと温度の関係、砂糖水の氷について示されている説明、氷の結晶をめぐる説の食いちがい、刃の役割、昔の削り方までが分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. れいとうこから 出した 氷は、どうして すぐに けずらない ほうが いいの?

1. れいとうこから出した氷を、すぐに削らないほうがよいのはなぜか

1. ふわふわの条件 ── 薄く削ることと、削る前に温度を上げること

かきごおりの ふわふわは、氷が とても うすく けずれて いる ことから できます[1]。うすいと 氷の 表面が ふえるので、口の 中で すぐ とけます。

家の れいとうこの 氷は、およそ マイナス20度と いう めやすが あります。これは、かなり つめたい 温度です。そんな 氷は とても かたくて、われやすいので、けずると こなや かけらに なりがちです[2]。

そこで、れいとうこから 出して、少し 待ちます。氷の 表面が うるむくらいまで あたためてから けずると よい、と 科学館の 人たちは すすめて います[1]。ただし れいとうこの 温度は 家に よって ちがうので、マイナス20度は あくまで めやすです。

では、つめたい 氷は、どうして かたいのでしょう。

ふわふわのかき氷の特徴は、氷が薄く削られていることだと、日本科学未来館の科学コミュニケーターは説明しています[1]。氷が薄いと、空気に触れる表面積が増えます。そのため、口に入れるとすぐ溶けて、ふわっとした食感になります。

ところが、家庭の冷凍庫から出したばかりの氷は、約−20℃という目安の温度で、冷たすぎて割れやすくなっています[1]。雪の科学館の回答でも、温度の低い氷は大変硬く、削ってもなかなかふわふわにならないとされています[2]。割れた氷は、薄い帯ではなく、粉や欠片になりがちです。

そこで、氷を常温に少し出し、表面がうるむくらいまで温めてから削るよう、両方の解説が勧めています。冷凍庫の温度は機種で違うので、−20℃は目安です。待つ時間は、氷の大きさや室温でも変わるはずなので、表面のようすを見て決めるのが目安になります。

それにしても、冷たい氷はなぜ硬く、割れやすいのでしょうか。

ふわふわのかき氷の特徴は、氷が薄く削られていることだ。日本科学未来館の科学コミュニケーターによれば、薄いほど表面積が大きくなり、口の中ですぐ溶ける[1]。だから、薄く削れるかどうかが、食感を決める第一の条件になる。

ところが、家庭の冷凍庫の氷は約−20℃(機種により異なる目安)と低温で、冷たすぎて割れやすい。雪の科学館の回答も、温度の低い氷は大変硬く、削ってもふわふわになりにくいと述べている[2]。割れた氷は、薄い帯ではなく粉や欠片になるため、薄く削った氷のような食感にならない。そのため両者は、氷を常温に出し、表面がうるむ程度まで温めてから削ることを勧めている。

ここで注意したいのは、最適な温度や待ち時間を「○℃」「○分」と示した信頼できる資料が、今回の範囲では見当たらないことだ。氷の大きさや室温でも変わるはずなので、表面の変化を目安にするしかない。では、低温の氷は、なぜ硬く、割れやすいのか。

2. つめたい 氷は、どうして かたくて われやすいの?

2. 冷たい氷ほど硬く、割れやすいのはなぜか

2. 低温の氷は、強度が増し、速い力に対して割れる

雪の かがくかんの 人は、「マイナス10度の 氷より、マイナス20度の 氷の ほうが かたい」と 答えて います[3]。きかいメーカーの 資料しりょうには、マイナス10度の 氷の 強さは、0度の 氷の 2ばいくらいと あります[4]。これは 氷を おしつぶす ときの 強さの 話で、けずりやすさの ばいの 数では ありません。

もう ひとつ、力の かけ方も かんけいします。氷は、ゆっくり 力を かけると ねばって 少し まがり、はやく 力を かけると ぱきんと われる、と この 資料しりょうは 説明せつめいして います[4]。ガムを ゆっくり のばすと のびるのに、ぱっと ひっぱると ちぎれるのに 少し にています。ただし 氷は ガムでは ありません。

これは 氷の ふつうの せいしつの 話で、かきごおりの 刃はで けずる 実験じっけんでは ありません。それでも、つめたい 氷を いきおいよく けずると われやすい わけを 考える ヒントに なります。

氷は、温度が下がるほど硬くなり、壊れるのに必要な力も大きくなります。機械メーカー・前川製作所の解説では、−10℃の氷の圧縮強度は0℃の約2倍とされています[4]。雪の科学館も、−10℃と−20℃では、より低い−20℃のほうが硬い氷だと答えています[3]。この「2倍」は氷を押しつぶすときの強さの話で、削りやすさの倍率ではありません。

力のかけ方も関係します。同じ解説によると、氷はゆっくり変形させると粘るようにふるまい(延性的)、速く力をかけると塑性変形せずに割れます(脆性的)。境目になるひずみ速度は、約10のマイナス5乗毎秒とされています[4]。ガムをゆっくり引くと伸び、ぱっと引くとちぎれるのに少し似ています。ただし、氷はガムではありません。

これは一般的な氷の性質として紹介された内容で、かき氷の刃での削りに当てはめた実験ではありません。それでも、冷たく硬い氷に刃を勢いよく当てると割れやすい理由を考える、手がかりにはなります。

では、冷凍庫の氷でもすぐ柔らかく削れる氷は、あるのでしょうか。

氷は温度が下がるほど破壊強度が増し、前川製作所のコラムでは、−10℃の圧縮強度が0℃の約2倍とされる[4]。雪の科学館も、−20℃の氷は−10℃の氷より硬いと答えている[3]。この2倍は圧縮強度の値で、削りやすさの倍率ではない。

さらに、力をかける速さも効く。同コラムによると、氷はひずみ速度が小さい(ゆっくり変形させる)領域では延性的にふるまう。だが速度が大きい領域では脆性的になり、塑性変形せずに破壊する。その境目は約10−5/sとされる[4]。つまり、硬い氷に刃を速く当てるほど、薄く伸びるより割れる側に傾くはずだ。ただし、これは一般的な氷の性質の説明であり、かき氷の刃の削りに直接当てはめた実験ではない。この点は、筆者の推測であることを区別しておく。

こうして見ると、温度を上げて待つ意味は、氷を硬さの小さい状態に近づけることにあるとまとめられる。では、温度を待たずに柔らかくなる氷はないのか。次に、砂糖水の氷を見る。

3. さとうを とかした 水の 氷は、どうして すぐ やわらかいの?

3. 砂糖水の氷が、れいとうこから出してすぐでも柔らかいと考えられるのはなぜか

3. 砂糖水の氷 ── 凝固点降下と、粒の境目の濃い砂糖水

雪の かがくかんには、ふしぎな 話が あります。さとう水を こおらせた 氷は、れいとうこから 出して すぐでも、やわらかく、ふわふわに けずれると いうのです[2]。

わけは、まだ「こう 考えられて います」と いう ところです。ひとつは、さとうが とけた 水は、0度より ひくい 温度で とけ始める ことです。れいとうことの 温度の ちがいが 小さく なるので、やわらかいのだろうと 考えられて います。

もうひとつ。さとうは 氷の つぶの 中には 入れず、こおる ときに つぶの 外へ おしだされる、という 説明せつめいが あります。つぶと つぶの さかいめに のこった こい さとう水が、つめたくても 水の ままで、つぶどうしを すべらせる あぶらのように はたらく、という 見方です。

この 説明せつめいは、科学館の 人の ことばを まとめた ものです。実験じっけんで かくていした 答えとして 読まないで ください。

雪の科学館の解説には、不思議な話があります。砂糖水を凍らせた氷は、冷凍庫から取り出してすぐでも柔らかく、ふわふわに削れる、というのです[2]。ただし、これは「考えられている」説明で、確定した実験結果として書かれているわけではありません。

理由の一つ目は、凝固点降下です。砂糖が溶けた水は、0℃より低い温度で溶けはじめます。そのため冷凍庫との温度差が小さく、氷が硬くなりすぎないのだろう、と説明されています。

二つ目は、粒の境目です。砂糖の分子は氷の結晶の内部に入れず、凍るときに粒の外へ押し出されます。すると、氷の粒の境目に濃い砂糖水の膜が残ります。この膜が低温でも液体のまま、粒どうしを滑らせる潤滑剤のように働き、全体を柔らかくする、という説明です。

ここで紹介したのは科学館の解説の要旨です。氷の「側」に柔らかさの鍵があるなら、氷の育ち方も関係するのでしょうか。

雪の科学館の「ふわふわかき氷と砂糖水」は、砂糖水を凍らせた氷は、冷凍庫から出してすぐでも柔らかくふわふわに削れる、と述べている[2]。理由は二つ示されるが、どちらも「考えられている」説明である。

第一は凝固点降下だ。砂糖水の氷は溶ける温度が0℃より低くなるため、冷凍庫の温度との差が小さく、柔らかいという。つまり、氷の側の「溶けやすさ」を砂糖が高めていることになる。

第二は粒の境目である。砂糖の分子は氷の結晶内部に入れず、凍るときに結晶の外へ押し出される。その結果、氷の粒の境目に濃い砂糖水の膜が残る。膜は低温でも液体のままで、粒どうしを滑らせる潤滑剤のように働き、全体を柔らかくするという。

同館の解説は、好村滋行氏の論文に基づくと報じられているが、その論文の本文は今回の範囲で確かめていない。そのため、この二つは確定した実験結果ではなく、示されている説明の一つとして扱う。では、普通の水の氷でも、氷の「育ち方」でちがいが出るのだろうか。

4. 氷の 育ち方で、けずりやすさは かわるの?

4. 氷の育ち方(結晶の大きさ・不純物)で、削りやすさはかわるのか

4. 結晶の大きさと不純物 ── 出典で説が分かれる点

氷は、水が こおる とき、たくさんの 小さな つぶ(けっしょう)が あつまって できます。れいとうこで ぎゅっと はやく こおらせると つぶが 小さく、わりと あたたかい 場所で ゆっくり こおらせると つぶが 大きく なる、という 説明せつめいが あります[1]。

ここで、本によって 話が 分かれます。日本科学みらいかんの 人は、つぶの 大きい 氷の ほうが こわれにくく、うすく けずりやすい、と 書いて います。でも、ほかの 記事には、大きな つぶが できにくい 氷の ほうが ふわふわに なる、と 書く ものも あり、むきが 反対です。ですから、「大きい つぶが いい」とは 言い切れません。

もうひとつ、水は こおる とき、空気などの よごれを 外へ おしだします。ゆっくり こおる 天然てんねんの 氷は、すきとおって、よごれが 少ない とされます[5]。家の れいとうこの 氷は 早く こおるので、よごれが のこりやすい、という 説明せつめいです。

氷の育ち方にも、削りやすさの手がかりがあるといわれます。氷は小さな結晶の集まりで、その大きさには、凍るときの温度が関わるとされています。低温で急に冷やすと結晶は小さく、比較的高めの温度でゆっくり冷やすと大きくなるといいます[1]。天然氷は、−5〜−10℃ほどでゆっくり凍ります。

未来館のブログでは、結晶が大きい氷ほど壊れにくく、薄く削りやすい、と説明されています。ところが、別の一般記事には「大きな結晶ができにくい氷ほどふわふわになる」と逆の向きで書くものがあり、出典で説が割れています。そのため、「結晶は大きいほうがよい」と言い切ることはできません。

水が凍るとき、空気などの不純物は氷の外へ押し出されます。ゆっくり凍る天然氷は透明で不純物が少なく、家庭の冷凍庫の氷は急に凍るので不純物が残りやすい、と企業の解説は述べます[5]。不純物が残ると、氷の溶ける温度が下がって溶けやすくなる、ともあります。ただしこれは一企業の解説で、「天然氷が柔らかい」根拠として断定はできません。

ここまでは、氷の中身の話でした。では、氷に当てる道具の側はどうでしょう。

氷の結晶の大きさには、凍るときの温度が関わるとされる。低温で急冷すると結晶は小さく、比較的高めの温度でゆっくり冷やすと大きくなる。天然氷は−5〜−10℃でゆっくり凍る[1]。未来館のブログは、結晶が大きい氷ほど壊れにくく、薄く削りやすいと説明する。

ところが、別の一般記事は「大きな結晶ができにくいほどふわふわ」と逆に述べており、出典によって向きが割れる。ここは断定せず、「結晶の大きさが関係するという説明があるが、向きは一致していない」と書くにとどめる。

不純物についても、同じ慎重さが要る。水は凍るとき、空気などの不純物を押し出す。ゆっくり凍る天然氷は透明で不純物が少なく、冷凍庫の氷は急凍のため残りやすいという。味博士の部屋(aissy)の解説は、不純物が残ると融点が下がり溶けやすくなるとも述べる[5]。ただし企業の解説であり、記事自身も冷たさを感じる仕組みは未解明としている。そのため「天然氷はだから柔らかい」と因果までは結べない。

こうして温度、砂糖、結晶、不純物を見てきたが、どれも氷の側の条件だ。では、削る道具の側は、どこで氷の質を決めているのか。

5. かきごおりきの 刃はは、どんな 道具なの?

5. かき氷機の刃は、氷の質をどう変えるのか

5. 刃の高さと角度 ── かんなの考え方で、氷の質を調整する

家の かきごおりきの 刃はは、木を けずる 「かんな」と 同じ 考え方だと 言われます[6]。かんなは、木を うすく けずって たいらに します。かきごおりきも、氷を うすく けずります。

多くの きかいでは、刃はの 高さや 角度を かえて、けずった 氷の あらさを 調せつできます。せんようの カップで 作った 氷の ほうが、ふわふわ感が 高まる とも されて います。

刃はの 角度の くわしい 数字は、今回の 資料しりょうには ありません。氷の 温度と 刃は、どちらも ちょうど よく ならないと、うまく いかないようです。

では、きかいが なかった 時代、人は どうやって 氷を けずって いたのでしょう。

家庭用のかき氷機の刃は、木を削る「かんな」と同じ考え方だといわれます。かんなは木を薄く削って平らにします。かき氷機は、刃の高さや角度を調節して、削る氷の質を変えられる機種が多いそうです[6]。

また、専用カップで作った氷のほうが、ふわふわ感が高まるとされています。氷の形や中身が、刃との相性に関わるのかもしれませんが、資料にはそこまでの説明はありません。刃の角度の具体的な数値は、ここでは扱いません。

ここまでの話をまとめると、ふわふわは氷の側の温度・砂糖・結晶、そして道具の側の刃の調整が重なって生まれます。どれか一つだけで決まる、という書き方はできません。

では、これらの機械がなかった時代、人はどうやって氷を削ったのでしょうか。

家庭用かき氷機の刃は、木をうすく削って平らにする「かんな」と同じ考え方で、刃の高さや角度を調節して削る氷の質(粗さ)を変えられる機種が多い[6]。専用カップで作った氷のほうがふわふわ感が高まる、とも紹介されている。刃の角度の具体的な数値は信頼できる資料がなく、ここでは扱わない。

ここまでを整理すると、ふわふわを左右しうる要素は、氷の温度(硬さ)、氷の組成(砂糖や不純物)、結晶の状態、刃の調整の四つである。ただし結晶と不純物は、出典で説が割れたり、企業の解説にとどまったりしている。このうち資料で比較的はっきり支えられるのは、温度と、薄く削るという条件である。

では、機械が登場する前、人は氷をどう削っていたのか。時代をさかのぼる。

6. 氷の けずり方は、むかしから どう かわって きたの?

6. 昔の人は、氷をどう削って食べていたのか

6. 台鉋から氷削機へ ── 削り方の変遷と、氷が貴重だった時代

へいあんじだいの 本『まくらのそうし』には、「けずった 氷に あまいしるを かけて、新しい 金ぞくの 入れ物に 入れたもの」という ぶんが あります[7]。けずった 氷に あまい しるを かけて 食べる ようすが、本に 書かれて いるのです。

そのころ、氷は 冬に 切り出して 氷室に しまって おきました。夏に 氷を 口に できたのは、きぞくなど、ごく 一部の 人だけでした[7]。

けずる 道具は、天然てんねんの 氷を 刃はものの 先で けずる ほうほうから、かんなを つかう ほうほうへ、そして 今の きかいへ かわって きました[8]。

1887年、明治めいじ20年には、氷屋さんが 氷を けずる きかいを 作り、とっきょを とった と いわれます[7]。それが ふつうの 店や 家に 広がったのは、昭和に なってから でした。それまでは、だいがんなで けずる やり方が ふつうでした。

削った氷を食べる様子は、平安時代の『枕草子』にも出てきます。「あてなるもの(上品なもの)」の中に、削り氷に甘葛(あまづら)という甘いしるをかけ、新しい金属の器に入れたもの、が出てきます[7]。氷を削って甘いものをかけて食べる習慣が、千年ほど前の本に書かれているのです。

氷は冬に切り出して氷室(ひむろ)という保存場所に置いておくものでした。夏に氷を手に入れられたのは、貴族のような特権階級に限られていたといいます。

削る道具は、天然氷を刃物の先で削ぐ方法から、鉋(台鉋)を使う方法を経て、専用の機械へ移ってきたとされます[8]。1887(明治20)年には、氷商の村上半三郎が氷削機を発明して特許を取得した、と和樂webなどは紹介しています[7]。ただし特許の原典は、今回の範囲では確かめていません。

氷削機が一般に広まるのは昭和期に入ってからで、それまでは台鉋で削る方法が普通だったそうです。かんなの考え方が、平安の記録と現代の機械を結んでいるのも面白い点です。

削った氷を食べる習慣は古い。『枕草子』の「あてなるもの」には、削り氷に甘葛(あまずら)を入れ、新しい金鋺(かなまり)に入れたものが挙げられている。かき氷のような食べ方が文章に残る例として知られる[7]。氷は冬に切り出して氷室(ひむろ)に保存し、夏に口にできたのは特権階級に限られた。だから、氷を削る行為自体が贅沢だった。

削り方は、天然氷を刃物の先で削ぐ方法、台鉋を使う方法を経て、専用の機械へと進んだとされる[8]。1887(明治20)年に氷商の村上半三郎が氷削機を発明して特許を取得した、という説明が和樂webなどにある[7]。ただし特許公報の原典は今回の範囲で確かめておらず、別サイトの「米国人が電動機を発明」とする記述は食いちがうため用いない。

氷削機が一般化したのは昭和期で、それまでは台鉋が主流だったという。ここで気づくのは、台鉋も現代の刃も「薄く削る」という同じ目的を果たしている点だ。冒頭の問いに戻れば、ふわふわは、氷を適した硬さにして、薄く削れる道具を当てた結果といえる。

ただし、砂糖水の氷、結晶の向き、不純物の影響は、いずれも科学館や解説記事の段階で、かき氷の削りを直接測った査読論文は見つかっていない。分かっていることと、まだ説明の段階のことを分けて読むのがよい。

7. 氷が「うるむ」のを、見てみよう

7. 氷の表面が「うるむ」までを、家で見てみる

7. 次に調べるなら ── 温度・砂糖・刃を、条件を分けて確かめる

今日できること せいひょう皿の 氷を、かわいた おさらに 出して、氷の 表面や 横が ぬれて くるまで 見て みましょう。氷が うるむのは、どれくらいで 始まるでしょうか。ここでは、氷を 手で さわる だけで 十分です。刃はものは 使いません。

もし、さとうを 少し とかした 水も 氷に できたら、同じ 時間 出した 氷と 見くらべます。ふつうの 氷との ちがいは、家に よって 出ないことも あります。

出かけて できること かきごおりの お店で、氷を 出してから けずるまでの ようすを 見られるか、聞いて みましょう。

くわしい 話 雪の かがくかんの 「教えて」の ページや、日本科学みらいかんの ブログに、この ノートの もとに なった せつめいが あります。

今日できること 製氷皿の氷を乾いた皿に出し、表面や側面が濡れてくるまでの時間を測ってみましょう。ここでは氷に触れて見るだけで、刃物は使いません。家にかき氷機があれば、大人と一緒に、取り出してすぐの氷と数分置いた氷の削れ方を比べる方法もあります。刃には触れないようにします。

砂糖を少し溶かした水も凍らせて、同じ時間置いたものと見比べるのも一案です。砂糖の量や冷凍庫の温度で結果は変わるので、同じにならなくても不思議ではありません。

出かけてできること かき氷店で、氷を取り出してから削るまでの扱い方を、聞いてみる方法があります。

公式情報 雪の科学館の「教えて」のページや、日本科学未来館のブログに、この記事のもとになった解説があります。

今日できること 製氷皿の氷で、「皿に出して表面が濡れるまでの時間」を測る。条件は一つずつ変える。たとえば同じ場所・同じ皿に、水の氷と砂糖水の氷を並べて同じ時間置き、濡れ方や触れた感触を比べる。結果は冷凍庫の温度や砂糖の量で変わる。かき氷機を使うなら大人と一緒に行い、刃に触れない。

出かけてできること かき氷店で、氷を取り出してから削るまでの扱い方を聞いてみる。

公式情報 雪の科学館「ふわふわかき氷と砂糖水」「氷の硬さ」、日本科学未来館ブログ、前川製作所のコラム[4]が、本記事の主な資料である。ここで述べた砂糖水や結晶の説明は、一次資料に近い解説であっても、実験で確定したものとは限らない。出典を読み、どこまでが「分かっていること」かを自分で区別してみてほしい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事は下の資料をもとにしています。論文を直接読んだものではなく、科学館や企業・機械メーカーの解説が中心です。

  1. 日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ(保科優, 2019-08-27)。 https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20190827post-3.html (薄く削ること・温度・結晶の説明)
  2. 中谷宇吉郎 雪の科学館「ふわふわかき氷と砂糖水」(2021-10-12)。 雪の科学館のページ (冷凍庫の氷・砂糖水の氷の説明)
  3. 中谷宇吉郎 雪の科学館「氷の硬さ」。 雪の科学館のページ (温度と氷の硬さ)
  4. 前川製作所 R&D サイエンスコラム「氷の力学的性質とその利用技術」。 https://rdc.mayekawa.co.jp/column/02-12.shtml (氷の強度と、延性・脆性)
  5. 味博士の部屋(aissy)の解説。 https://aissy.co.jp/ajihakase/blog/archives/6409 (天然氷と不純物。企業の解説)
  6. Nlab(ITmedia)の家電記事。 https://nlab.itmedia.co.jp/fav/articles/3915285/ (かき氷機の刃の調整)
  7. 和樂web「日本のかき氷の歴史」。 https://intojapanwaraku.com/rock/gourmet-rock/17343/ (枕草子と氷削機の特許)
  8. Wikipedia「かき氷」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/かき氷 (削り方の移り変わり)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。