1. 船を ぎゅっと むすぶと、どう なるの?
1. 船を岸にぎゅっと結ぶと、潮が引くときどうなるか
1. ロープを張って結んだ船は、潮が動くと何が起きるか
船を 岸に つなぐ ときは、ロープで ぎゅっと むすびたく なります。うごかないほうが、あんしんに 思えるからです。
けれども、潮が あると、海の 水は 1日に 2かいほど 上がって 下がります。水が 下がると、船も いっしょに 下がって、岸との 高さが かわります。ロープが ピンと はって いたら、船は ロープに ひっぱられて、かたむいて しまいます。海の 安全を まもる 人たちも、ロープの 長さが たりないと 船が かたむく ことが あると しらせて います。
じゃあ、どうすれば いいのでしょう。こたえの ひとつめは、ロープに よゆうを もたせる ことです。ふたつめは、岸の ほうを 水に うかせる ことです。みっつめは、水の 高さそのものを かえない ように する ことです。この 3つを、じゅんに 見て いきます。
船を岸に固定したいとき、人はつい、ロープをピンと張って動かないようにしたくなります。ところが潮のある海では、水面が1日に2回ほど上がり下がりします[1]。水位が下がれば船も一緒に下がり、岸との高さが変わります。そこで、短くて張ったままのロープは、船を横から引っぱる綱になってしまいます。
第二管区海上保安本部の広報は、係留索の長さが足りないと水位の変化で船体が傾き、転覆や浸水につながることがあると注意しています。荒天のときは、高潮や潮汐の影響を考えて索の長さを調整するよう呼びかけています[6]。
では、水面が動く場所で、船と岸をつなぎ続けるにはどうしたらよいのでしょうか。大きく分けて、3つの考え方があります。ロープの長さと掛け方に余裕を持たせる。桟橋のほうを水に浮かせる。水面の高さそのものを一定に保つ。この記事ではこの順に見ていきます。
船を確実に固定したいとき、ロープをできるだけ張って動きを止めるという発想は自然である。しかし潮のある海では、水面は多くの場所で1日に2回の満潮と干潮を繰り返す[1]。水位が下がると船体も下がり、岸との高さが変わる。そのため、短く張ったロープは船を斜めに引き、水位が上がるときには逆に船を抑えこむ。
第二管区海上保安本部の広報は、係留索の長さが不足していると水位の変化に伴って船体が傾斜し、転覆や浸水に至ることがあるとして、荒天時には高潮や潮汐の影響を考えて索の長さを調整するよう呼びかけている。また増し索は本索と長さをそろえるよう勧めている[6]。事故は例外的な場合の話だが、少なくとも「固く結ぶほど安全」とは言えないことが分かる。
では、水位が動き続ける場所で、船と岸をどのようにつなげばよいのか。この問いに対する答えは、大きく3つの方向に整理できる。ロープの長さと掛け方に余裕を持たせる。船が着く桟橋のほうを浮かせて、水位とともに上下させる。閘門で区切って、水位そのものを一定に保つ。以下、この順に条件と限界を見ていく。
2. ロープの よゆうは、どうやって つくるの?
2. ロープの余裕と「斜めがけ」で、船が上下できる場所をつくる
2. ロープを長めに、斜めにかける:余裕で水位の上下を吸収する方法
ひとつめの やり方は、ロープを 長めに して、船が 上下に うごける よゆうを つくる ことです。
岸に ある 金ぐに、ロープを まっすぐ ではなく、ななめに かけます。ロープを V字の ように はると、水が 下がった ときには、船が 少し 岸に ちかづきます。ロープに ゆとりが あるので、ひっぱられません。ボートの つなぎ方を おしえる ページでも、V字に つなぐと 潮の 上下に しぜんに 合わせられる、と 書かれて います。
たとえば、さんぽの ときの 犬の ひもが 長いと、犬が 少し うごいても ひっぱられません。それと にて います。ただし 本当は、ロープが 長ければ 長いほど いいわけでは ありません。長すぎると、船が ふらふら うごきすぎて しまいます。
水の 高さの かわり方は、日に よっても ちがいます。月と 太陽が 一直線に ならぶ ころ(大潮)は 差が 大きく、まっすぐ 横に ならぶ ころ(こしお)は 差が 小さく なります。この 2つは、新月から 次の 新月までの あいだに、およそ 2かいずつ やって きます。
最初の方法は、いちばん素朴なものです。ロープを長めにして、船が上下できる余裕を作ります。係船の解説では、潮の干満を十分に考えてロープの長さを決めることと、桟橋の斜め方向にある金具にV字状(鋭角)に結ぶことが勧められています。こうすると、潮の干満に自然に対応できるといいます[5]。水位が下がるとき、船は岸壁のほうへ少し近づきます。
散歩のときの犬のひもが長いと、犬が少し動いてもひもに引っぱられません。それと少し似ています。ただし本当は、ロープが長ければ長いほどよいわけではなく、長すぎると船の動ける範囲が広がりすぎるでしょう。余裕は「必要な分だけ」のものです。
必要な余裕は、日によっても変わります。大潮は月と太陽が地球に対して一直線に重なるときで、満潮と干潮の差が大きくなります。小潮は両者が直角の方向にずれ、差が最も小さくなります。この2つは、新月から次の新月までの間にほぼ2回ずつ現れます[1]。ロープの余裕を考えるときは、いちばん差が大きい日に合わせる必要がありそうです(ここは資料にある事実からの筆者の推測です)。
とはいえ、この方法は、潮の差が小さいか、岸に余裕のある場所向きです。水面が何mも動く港では、必要な長さがとても長くなり、船が動く範囲も広がります。そこで次の発想が生まれます。船ではなく、桟橋のほうを動かせばいいのではないか、という考えです。
第一の方法は、ロープの長さと掛け方で水位の変化を吸収するもので、最も素朴で、広く行われている。係船の解説では、潮の干満を十分に考慮して係船ロープの長さを決めること、固定桟橋の斜め方向にある係船金具にV字状(鋭角)に連結することが挙げられ、それによって干満に自然に対応するとされる[5]。水位が下がるとき、船は岸壁側へ少し近づく。
ここで必要になる余裕の大きさは、潮の差で決まる。大潮は月と太陽が地球に対して一直線に並ぶときで、1日の満潮と干潮の潮位差が大きい。小潮は両者が直角方向にずれて起潮力が打ち消し合い、潮位差が最も小さくなる。この2つは新月から次の新月までの間にほぼ2回ずつ現れる[1]。そのため、余裕は最も差が大きくなる日に合わせて考える必要があると推測できる。
この方法には限界もある。ロープが長いほど、船は水平方向にも大きく動ける。潮位差が数mに及ぶ場所では、必要なロープの長さと船が動く範囲が大きくなり、隣の船との間隔も要る。係留ロープの余裕について公的な基準値は今回の資料からは示せないので、数値ではなく、考え方(余裕を持たせる・斜めにかける)だけを押さえておく。
では、水位が大きく動く場所では、どうするのか。船の側で余裕を作るのではなく、船が着く桟橋のほうを水位に合わせて動かす、という逆転の発想がある。
3. 船も さんばしも、いっしょに うかせたら?
3. 桟橋ごと水に浮かせると、船と岸の高さが変わらない
3. 桟橋そのものを浮かせ、杭で上下に案内する:浮桟橋の発想
ふたつめの やり方は、船が つく さんばしを、水に うかせて しまう ことです。うかぶ はこの ような ものを、水に うかべて、岸と つなぎます。
水が 上がれば、さんばしも 上がります。水が 下がれば、さんばしも 下がります。だから、水の 高さと さんばしの 高さの ちがいは、いつも ほとんど かわりません。船から さんばしに 乗りおりするのも、らくに なります。
でも、うかぶだけだと、さんばしが 流されて しまいますね。そこで、水の 中に くいを 立てて、さんばしを その くいに つなぎます。さんばしは、くいに そって 上下には うごけますが、よこには あまり うごけない しくみです。
水の 高さが 大きく かわる 場所には、この うきさんばしが むいて いると いわれます。
2つ目の方法は、岸に着ける場所のほうを、水に浮かせてしまうことです。浮桟橋は、水面に箱のような浮き(浮函、ポンツーン)を浮かべ、アンカーや杭などで固定した施設です。潮の干満に合わせて上下するので、桟橋の高さは水面からほぼ一定に保たれ、潮の差が大きい水域でも使いやすいといわれます[7]。
船と桟橋の高さの関係がほとんど変わらないので、ロープを長く余らせなくてもよくなります。人が乗り降りするときの段差も、一日の中で大きく変わりません。
ただし、浮いているだけの桟橋は流されます。そこで、水中に打った杭と、杭に取りつけた案内の部品(パイルガイド)で桟橋をつなぐ方式があります。特許の資料では、水位が上下するとき桟橋が上下に動くことは許し、水平方向の大きなずれは抑える仕組みとして書かれています[8]。上には自由に動き、横には動きにくい。ここが肝心なところです。
桟橋を動かす方式では、船と桟橋の高さが保たれるので、ロープの余裕に頼る部分が減ります。ただし、浮函や杭を用意しなければなりません。どちらが合うかは、潮の差や波の大きさなど、その場所の自然条件によって変わります。
第二の方法は、船を着ける桟橋そのものを水に浮かせるもので、浮桟橋と呼ばれる。水面に箱状の浮体(浮函、ポンツーン)を浮かべ、アンカーや杭などで固定する。潮位の干満に合わせて上下するため、水面からの高さを一定に保てる点が利点で、潮差の大きい水域に適するとされる[7]。
この方式の利点は、船と桟橋の相対的な高さがほとんど変わらないことにある。そのためロープに大きな余裕を持たせる必要が減り、乗り降りの段差も一日の中でほぼ一定になる。
ところが、浮いているだけの桟橋は風や波で流される。そこで、水中の杭とパイルガイドで桟橋をつなぐ方式がある。特許明細書には、水位の上下に伴う桟橋の鉛直方向の動きは許し、水平方向の大きな動きは抑えるという趣旨の記述がある。潮差に合わせて伸び縮みする杭を使う方式についても、特許に記載がある[8]。つまり「上下には自由、水平には拘束」という役割分担で、潮位差が大きくても桟橋が決まった位置に留まる。
ただし、この方式にも条件がある。桟橋は波や風の力を受けて動くので、設置場所の潮位差、波の高さや周期などによって、設計を変える必要がある。浮桟橋が万能なわけではなく、潮位差の小さい場所では、ロープに余裕を持たせるだけで足りることも考えられる。
ここまでの2つの方法は、どちらも水面が動くことを受け入れて、船や桟橋のほうが水面に合わせていた。では、水面そのものの動きを止めてしまったら、どうなるのだろうか。
4. 水の 高さを かえない みなとは、どうやって つくるの?
4. リバプールのドックと尼崎の閘門は、水位をどう保つのか
4. リバプールのオールド・ドックと尼崎閘門は、水位をどう調節するのか
3つめは、いちばん おおきな かんがえ方です。船を うごかすのでも、さんばしを うかせるのでも なく、水の 高さそのものを、一定に して しまうのです。
みなとを、大きな 門で、海から くぎります。海の 水が 下がっても、門を しめて おけば、みなとの 中の 水は 下がりません。イギリスの リバプールの オールド・ドックが しられて います。1715ねんに ひらいた、世界で はじめての、まわりを かこんだ 商売用の みなとだと いわれます。
それまでの リバプールは、メルシー川の 潮の 差が 大きく、船から 荷物を おろせる 時間が かぎられて いました。はじめの ドックには 門が ひとつしか なくて、船が 出入りできるのは、水が 上がりきる ころだけでした。満潮のときに 門を しめて、中の 水の 高さを たもったのです。
日本にも、にた しくみが あります。ひょうごけんの 尼崎には、船が 通る 「水の とびら」が あります。1955ねんに、日本で はじめて パナマうんが方式で つくられました。海と うんがの 水の 高さが ちがうので、2つの 門を かわるがわる あけて、水の 高さを あわせてから、船が 通ります。
3つ目は、いちばん大がかりな方法です。船のほうも桟橋のほうも動かさず、水面の高さそのものを一定にしてしまいます。
潮のある水路のそばに港を作り、水路とは門のある水門で切り離すと、水路の潮が引いても、港の中の水位は保たれます。イギリスのリバプールにあるオールド・ドックは、1715年に開業した世界初の囲まれた商業用の水位一定ドックとして知られます[11]。それ以前は、メルシー川の潮の差が大きく、荷物の上げ下ろしがしにくい時間がありました。
初期のオールド・ドックは門が1つだけで、船が出入りできるのは、上げ潮の終わりのころに限られていました。満潮のときに門を閉じて、港の水位を保ったのです[12]。常に出入りできる港ではなかったものの、荷物の上げ下ろしの間、船が上下しない場所ができたことが大きな変化でした。
日本にも、水位の違う水域をつなぐ施設があります。兵庫県の尼崎閘門(尼ロック)は昭和30年(1955年)に、日本で最初のパナマ運河方式の閘門として造られました。幅約17m・長さ約90mの閘室に、500総トンクラスまでの船が入れます。海と運河は水面の高さが違うので、2基の門を交互に開け閉めして水位を調節し、船が安全に通航します[9]。兵庫県の広報は、この施設が水害からまちを守る役割も担うと紹介しています[10]。
水位を一定にするこの方法は、船にとっては最も落ち着ける場所です。ただし、閘門や水門を造り動かす大きな工事と運用が要ります。そして、そもそも潮の差がどれほど大きいかは、場所によって全く違います。それを次に見ます。
第三の方法は、水位の変動そのものを止める発想である。潮のある水路のそばに港を設け、閘門で水路と切り離せば、水路が干潮になっても港内の水位は保てる。英国リバプールのオールド・ドックは1715年に開業し、世界初の囲まれた商業用の水位一定ドックと位置づけられる[11]。これは、メルシー川の大きな潮差のために、それまで荷役のできる時間が限られていたことへの答えだった。なお完成年を1716年とする説もあり、ここでは開業年の1715年を採る。
とはいえ、初期のオールド・ドックは門が1つで、船の出入りは上げ潮の終わりのころに限られた。満潮時に門を閉じて、ドック内の水位を保った[12]。つまり水位が一定の港は、出入りのできる時間が限られるという代償と引き換えに、荷役中の船を上下させない場所を手に入れたのである。
日本では、尼崎閘門(尼ロック)が昭和30年(1955年)に、日本で最初のパナマ運河方式の閘門として造られた。幅約17m・長さ約90mの閘室には500総トンクラスまでの船が入れる。水面の高さが異なる海と運河との間を、2基の門を交互に開閉して水位を調節し、船が安全に通れるようにしている[9]。兵庫県の広報も、2基の門を相互に開閉して双方の水位を調節する施設と述べ、船上ガイドでは水害からまちを守る役割も解説されると紹介している[10]。
この方法は水位の問題を根本から解決する一方で、閘門や水門を造り運用するコストが大きい。尼崎閘門のように、閘門は水位の異なる2つの水域を船が通るためにも使われる。そもそも、潮差が港の設計を左右するほど大きい場所とは、どんな場所なのか。
5. どうして 場所に よって、水の うごきが こんなに ちがうの?
5. 有明海やファンディ湾では、なぜ水面がそれほど動くのか
5. 有明海とファンディ湾:湾の形と共振が、潮位差の大きさを決める
日本の 有明海は、日本で いちばん 潮の 差が 大きい 内湾(うみが おくまで 入りこんだ ところ)です。大潮の ころ、いちばん おくで、大きい ときで 6メートルほど。いつも 6メートルでは ありません。
どうして こんなに 大きいのでしょう。ひとつの わけは、湾の 形だと いわれます。有明海は 南北に 100キロメートルほどと 長く、海の 水が ひとゆれ するのに、半日ほど かかります。ふくおかの 天気を しらべる ところは、これを ぶらんこに たとえて います。ぶらんこは、ゆれる はやさに 合わせて おすと、どんどん 大きく ゆれますね。潮の くりかえしと 湾の ゆれ方が ほぼ 同じだと、水の ゆれが 大きく なるのです。
世界には、もっと 大きい ところも あります。カナダの ファンディ湾は、世界一の 潮で 知られ、水の 高さが 12メートルか、それより 高く 上がると しょうかいされて います。いちばん 大きい ときの 差は、16メートル ほどと いわれます。
水が そんなに 動く 場所では、ロープの よゆうだけでは たりなくなりそうです。うかぶ さんばしや、水を かこむ みなとは、そんな 場所の くふうの ひとつ かもしれません。
日本で最も干満の差が大きい内湾は有明海で、湾奥では大潮期に最大約6mに達します。湾口から湾奥へ向かうほど、潮位差は増えていきます[2]。約6mは大潮期の湾奥での最大で、いつもこの高さというわけではありません。
理由の1つは、湾の形です。福岡管区気象台は、湾の形で決まる固有の揺れの周期と潮の周期がほぼ一致して共振が起きることを挙げ、南北に約100kmと長く、海水が1回揺れるのに半日ほどかかることをブランコにたとえて説明しています[3]。ブランコを揺れるタイミングに合わせて押すと、大きく揺れるのと同じです。
世界に目を向けると、カナダのファンディ湾は世界一の潮の高さで知られます。カナダ国立公園局は、水位が12m以上上がると紹介しています。最大の潮差は約16mとされます。12mは公園の紹介値で、16mは最大の潮差であり、同じものではありません。ファンディ湾の大きな潮も、湾の形と共振で説明されています[4]。
ここまで見てきた3つの方法は、場所の事情によって使い分けられると考えられます。余裕のあるロープ、杭に案内される浮桟橋、閘門で区切られた港。同じ「船をつなぐ」でも、水面がどれだけ動くかで答えが変わるのです。
水位変動への対応が必要になるほどの潮位差は、どのような場所で生じるのか。日本で最も干満差の大きい内湾は有明海で、湾奥では大潮期に最大約6mに達し、湾口から湾奥へ向かうほど潮位差が増える[2]。この6mは湾奥・大潮期の最大値であり、常時の値ではない。
この大きさの理由の1つは湾の形にある。福岡管区気象台は、湾の形状で決まる固有振動周期と潮汐周期がほぼ一致して共振が生じることを要因に挙げ、南北に約100kmと長く、海水が1回揺れるのに半日ほどかかることを、ブランコにたとえて説明している[3]。潮汐が1日に2回の満干を生む周期をもつことは先に見たとおりで[1]、湾の固有周期がそれに近いと、揺れが増幅される。
世界ではカナダのファンディ湾が、世界一の潮の高さで知られる。カナダ国立公園局は水位が12m以上上がると紹介し、最大の潮差は約16m(53フィート)とされる。ファンディ湾の潮も、湾の形と共振で説明される[4]。紹介値の12mと最大の約16mは別の数字で、混同しない。
以上から、ロープの余裕・浮桟橋・水位一定の港は、優劣ではなく条件による使い分けだと分かる。潮位差が小さければ余裕で足りる。大きければ桟橋を動かす。港そのものの水位を固定するのは、閘門を造り、出入りの時間まで含めて運用できる場合である。
6. 近くの みなとで、つなぎ方を 見くらべて みよう
6. 近くの港で、ロープの角度と桟橋の高さを見比べる
6. 港の現場で見る:同じ岸壁でも、時間で変わる船とロープの角度
海の ちかくに すんで いたら、おとなの ひとと いっしょに、港の ようすを 見に いって みましょう。岸の ふちには 近づきすぎず、はなれた ところから 見ます。
船と 岸を つなぐ ロープが、ななめに かかって いる ところは ありますか。ロープは ピンと はって いますか。それとも、少し たるんで いますか。
まず、その日の 満潮と、水が いちばん ひくく なる 時こくを、おうちの 人と インターネットで しらべて おきましょう。その 時こくの 近くで おなじ 場所を 見くらべると、船の 高さと ロープの かたむきが かわって いるかも しれません。
さんばしが うかんで いる 港なら、船と さんばしの 高さは あまり かわらないのに、岸との 高さが かわって いるかも しれません。その ちがいから、その 港の 人が どんな くふうを したのかを 考えて みましょう。
港や漁港に行く機会があれば、保護者や大人の人と一緒に、岸のふちには近づかない距離から観察してみましょう。見るポイントは3つあります。船と岸をつなぐロープが、まっすぐ張られているか、斜めに掛けられているか。ロープに少したるみがあるか。桟橋が固定されているか、浮いているか。
出かける前に、気象庁のウェブサイトの潮位表で、その日の満潮と干潮の時刻を調べておきます。大人と一緒に、満潮に近い時刻と干潮に近い時刻に同じ場所を見比べると、水面の高さ、船の位置、ロープの角度が変わっているのが分かるかもしれません。
浮桟橋のある港では、水位が変わっても、桟橋と船の高さの関係はあまり変わらないはずです。ただし、岸と桟橋をつなぐ渡り板の傾きは変わるでしょう。固定された桟橋なら、逆に船が上がり下がりして、岸壁との高さの差が変わります。
その港では、3つの方法のどれが、どんな形で使われているでしょうか。ロープの余裕で足りているのか、浮かせているのか。港ごとの答えを探してみると、潮の差と工夫のつながりが少しずつ見えてきます。
この題材は、現地で観察すると理解が深まる。港や漁港で、保護者らとともに、岸のふちから離れた安全な場所から、次の点を見るとよい。①係留ロープの掛け方(直線か、斜めのV字か)、②ロープの張り具合、③桟橋が固定式か浮き式か、④船と岸壁の高さの関係。
先に、気象庁が公開している潮位表でその日の満潮・干潮の時刻を調べておく。その時刻に近い2回、保護者らと同じ場所を観察すれば、ロープの角度、船と岸壁の高低差、渡り板の傾きなどが変わる様子を確かめられる。固定桟橋ではロープの角度と船の高さが変わり、浮桟橋では桟橋と船の高さが保たれて、岸との間の渡り板の傾きが変わる、と予想して確かめるのも一つの方法である。
より詳しく知りたい場合は、気象庁の潮汐解説で大潮・小潮の仕組みを、国土交通省の閘門の解説で水位の調節の仕組みを確認できる。潮差の大きい場所での実際の係留方法は、港湾管理者や現場の判断で決まるもので、ここで述べたのは一般的な考え方である。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
潮の成因は気象庁、有明海は環境省・福岡管区気象台、ファンディ湾はカナダ国立公園局、係留のしかたは海上保安庁と係船の解説、浮桟橋は解説と特許、閘門とドックは国土交通省・兵庫県・リバプール博物館などで確かめました。
- 気象庁「潮汐の知識」 https://ds.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/tide/knowledge/tide/choseki.html (1日2回の満干、大潮・小潮)
- 環境省 有明海・八代海等総合調査評価委員会資料 https://www.env.go.jp/council/20ari-yatsu/y200-41/mat4_3-03.pdf (有明海の潮位差)
- 福岡管区気象台「はれるんマガジン」 https://www.data.jma.go.jp/fukuoka/chosa/files/harerun0082.pdf (湾の共振)
- Parks Canada, Fundy National Park https://parks.canada.ca/fundy (ファンディ湾の潮の高さ)
- ネオネット「ボート係船を徹底解説」 https://www.neonet-marine.com/oyakudati/keisen.html (ロープの余裕とV字掛け)
- 第二管区海上保安本部「海の川版」 https://www6.kaiho.mlit.go.jp/02kanku/info/kawaraban/pdf/r7.11_no10.pdf (係留索の長さの注意)
- Wikipedia「浮桟橋」 https://ja.wikipedia.org/wiki/浮桟橋 (浮桟橋の説明)
- US Patent 9487925 (Pile guide for a floating dock) https://image-ppubs.uspto.gov/dirsearch-public/print/downloadPdf/9487925 (杭と案内部品の方式)
- 国土交通省 近畿地方整備局「尼崎閘門」 https://wwwtb.mlit.go.jp/kobe/kengakudemae/01kengaku/amalock.html (閘門の仕組み)
- 兵庫県 県民だより 2024年5月号 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk03/dayori2405/pickup1.html (閘門の役割)
- Liverpool Museums, Old Dock https://www.liverpoolmuseums.org.uk/stories/old-dock-where-it-all-began-liverpool (世界初の囲まれたドック)
- Wikipedia, Floating dock (impounded) https://en.wikipedia.org/wiki/Floating_dock_(impounded) (初期ドックの門の運用)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。