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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ねている あいだ、体は とまって いるの?

眠っているあいだ、体は休んでいるだけなの?

眠っているあいだ、体の働きはどう切りかわるのか

分野:からだ

ねている あいだ、体は ぜんぶ とまって いる わけでは ないようです。夜の 体は、昼とは べつの 「夜の せってい」に 切りかわって いると いわれて います。

たとえば、夜に 血圧けつあつが 下がるのは、ただ つかれて ゆるむからでは ない、という じっけんが あります。いつ、なにが 切りかわるのでしょう。この 記事を 読むと、手足、血圧けつあつ、おしっこ、筋肉きんにく、めんえきの 夜の はたらきが 分かります。

眠っているあいだ、体は電源が切れたように休んでいる、と思いがちです。ところが夜の血圧が下がるのは、活動が止まるからではなく、脳に近い中枢が血圧の目標を低めに切りかえるからだ、と報告した実験があります。

では、血圧のほかに、何が夜用に切りかわっているのでしょうか。手足の温度、おしっこの量、夢を見るときの筋肉、免疫の順に、眠りの中の体が分かります。

睡眠中の血圧低下は、単なる活動の停止ではなく、中枢が圧反射の設定値を低い側へずらす能動的な調節だと、健康な成人12人の実験で示された[3]。体は眠りの間も、夜用の運転に切りかわっている可能性がある。

では、血圧以外の体温・腎臓・筋肉・免疫は、眠りの中でどう変わるのか。この記事では、それぞれの切りかえと、資料から言える範囲・言えない範囲が分かる。

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1. ねむく なると、手や 足が ぽかぽか するのは なぜ?

1. 眠くなると手足が温かくなるのは、熱を逃がすため

1. 入眠期の手足の温度上昇 ── 深部体温を下げるための放熱

小さい 子が ねむく なると、手が ぽかぽかに なるのを 見た ことは ありませんか。

これは、体の 中の ねつを 手足から にがして いるからだと いわれて います[2]。ねむりに 入る ころ、手足の 表面の 温度は 1.5度 ほど 上がる、と いう 目安が あります。ねつが にげると、体の おくの 温度、つまり 深部体温しんぶたいおんが 下がります。すると、ねむりに 入りやすく なります。

だから、足を ずっと あたため つづけると、ねつが にげにくく なって、ねむりが あさく なる ことも あるそうです[2]。

では、体の おくの 温度が 下がる ころ、血圧けつあつは どう なって いるのでしょう。

眠くなった赤ちゃんの手が、ぽかぽかと温かくなることがあります。これは、体の中の熱を手足から逃がす動きだと説明されています。

宮崎総一郎さんの解説によると、眠りに入る時期は、体を休める側にはたらく神経(副交感神経)が優位になり、手足の表面温度が約1.5℃上がります。手足から熱が逃げると、脳を含む体の深部の温度(深部体温)が下がり、人は眠りに入ります[2]。約1.5℃は、入眠期の目安の数字です。

ここで注意したいのは、布団に入ったときのぽかぽか感は、深部体温が上がったしるしではない、という点です。足を温め続けると放熱が妨げられ、眠りが浅くなりうる、とも説明されています[2]。

体の中心を冷やす切りかえが、眠りの入り口にあるわけです。では、眠りの最中、血圧はどう扱われるのでしょうか。

眠りに入る時期、副交感神経が優位になって手足の皮膚温が約1.5℃上昇する。この値は入眠期の目安であり、一定の幅をもつ。宮崎の解説では、手足の血管が開いて放熱が進み、深部体温(脳温)が下がることで入眠に至る、と整理されている[2]。

この説明からは、布団の中で感じる「ぽかぽか」は手足の放熱のしるしであって、深部体温の上昇ではないと読める。足を温め続けて放熱を妨げると、深部体温が下がりにくくなり、睡眠が浅くなりうるという指摘もある[2]。ただし、これは解説記事の説明であり、個々の人で同じ幅の変化が出ると保証するものではない。

体温を下げる側へ体を切りかえることが眠りの入り口にあるなら、循環の側でも似た切りかえがあるのか。血圧を例に、その手がかりを見る。

2. 夜に 血圧けつあつが 下がるのは、ただ つかれたから?

2. 夜の血圧は、ただ下がるのではなく「目標」が変わる

2. 夜間の血圧低下 ── 圧反射の設定値を下げる能動的調節

ひるま、走りまわると 血圧けつあつは 上がります。夜は、ふつう ひくめに なります。

これを、「つかれて 力が ぬけるから」と 考えがちです。でも、12人の げんきな 人が 手つだった じっけんでは、ちがう 見方が 出ました[3]。

体の 中では、血圧けつあつが 高すぎたり ひくすぎたり しないように、いつも 見はる しくみが あります。その 「ここまで」と いう めあての かずが、夜は ひくい ほうへ ずれて いたのです。

へやの エアコンで いえば、夜の 「せってい」を ひくめに 切りかえた ような ものです。ただし、本当の エアコンと ちがって、体の 場合は 脳のうの ほうが 切りかえて いると 考えられて います。

この じっけんは 少ない 人数の ものなので、血圧けつあつが どれくらい 下がるかは、ここでは 書きません。

日中に運動すると血圧が上がり、夜の眠りでは低めになる。このことは、疲れて体の力が抜けるから、と説明されることがよくあります。

2007年に発表された実験は、健康な12人を対象に、この説明に疑問を投げかけました。夜の血圧を薬で昼間と同じくらいに上げても、体を活動させる側にはたらく神経(交感神経)の活動は下がらず、血圧を調整する反射(圧反射)の「設定値」が低い側へずれていた、というのです。研究者は、中枢の能動的な仕組みが夜の血圧をリセットしている、と結論づけました[3]。

エアコンの設定温度を夜だけ低くするのに似ています。ただしエアコンと違い、体では中枢が設定を切りかえていると考えられています。

これは12人の小さな実験で、睡眠中に血圧が何%下がるといった数字までは言えません。それでも、夜の血圧が受け身で下がるだけではない可能性を示した点が、この実験のおもしろさです。では、血液の行き先である腎臓は、夜どうしているのでしょうか。

夜間の血圧低下は、活動量が減った結果として受け身に起こると考えられがちだ。これに対し、Hypertension誌に載った2007年の実験(健康な12人)は、夜間血圧を薬で昼間なみに上げても交感神経活動が下がらず、圧反射の設定値が低い側へずれていたと報告した。著者は、中枢の能動的な機構が血圧をリセットしている、と結論している[3]。

圧反射は、血圧が上がれば下げ、下がれば上げる負帰還の調節である。もし夜の低血圧が単なる受け身の結果なら、薬で圧を上げたとき、反射がそれを打ち消す方向に動くはずだ。そうならなかったことは、目標値そのものが動いていることを示す結果と読める。もっとも、この読みは抄録の範囲の整理であり、血圧の調節機構を完全に説明したものではない。

注意すべきは規模である。対象は12人で、睡眠中に血圧が平均で何%下がるかといった数字は、この実験からは言えない。言えるのは、機構のうえで「止まる」より「切りかわる」に近い、という方向だけだ。次に、血液を受けとる腎臓の夜の働きを見る。

3. よるは おしっこに おきなくても いいのは なぜ?

3. 夜は尿が作られる量が減り、朝まで眠りやすくなる

3. 抗利尿ホルモンの夜間分泌 ── 腎臓が尿を作る量が減る

夜、ねている あいだに トイレで 目が さめない 日の ほうが 多い、と いう 人は 多いと 思います。

それは、夜に 腎臓じんぞうを 「おしっこを へらす モード」に する ホルモンが 出るからだと いわれて います[5]。その ホルモンは 「こうりにょうホルモン」と いって、ふつうは 昼に すくなく、夜に おおく 出ます。

夜は、じんぞうが つくる おしっこの りょうが へります。だから、朝まで おきずに ねむれる 人も います。

体は、ねている あいだも、水の 使い方を 夜用に かえて いるのですね。

では、ねむりの 中では、いつも 同じ ことが つづいて いるのでしょうか。

一晩の眠りのあいだ、トイレに起きずに朝を迎える人は少なくありません。その背景には、夜は尿が少なくなるように体が切りかわることがある、と説明されています。

メディカルノートの解説(泌尿器科医の監修)によると、抗利尿ホルモン(ADH)は、通常は日中に少なく夜に多く分泌されます。このホルモンは腎臓に作用して尿の量を抑えるため、夜は尿が作られる量が減り、朝まで起きずに眠りやすくなる一因になります[5]。

夜の切りかえが、朝まで続けて眠れることを支えている、という見方です。

眠りの中でも、体は一定のまま進むのではありません。次は、眠りの中身そのものを見ます。

夜間の尿量は、抗利尿ホルモン(ADH)の日内変動で抑えられると説明される。ADHは通常、日中に少なく夜に多く分泌され、夜は尿量が抑えられる。そのため夜間に腎臓が尿を作る量が減り、朝まで眠りやすくなる一因になる[5]。

つまり夜の腎臓は、止まっているのではなく、昼とは別の運転をしている。高齢者ではADH分泌が下がる傾向があるともいわれるが、年齢ごとの数値はここでは扱わない。

ここまでの血圧・体温・尿量は、いずれも「夜に切りかわる」例だった。だが睡眠は一晩を通して均一ではない。次に、眠りの周期そのものと、その中のレム睡眠での切りかえを見る。

4. ゆめを 見ている ときも、体は うごいて いない?

4. 夢を見るレム睡眠では、筋肉がゆるむ

4. 睡眠周期とレム睡眠 ── 筋肉の脱力と体温調節の低下

ねむりは、ひとばん ずっと 同じ では ありません。ふかい ねむりと、ゆめを 見やすい 「レムすいみん」が、セットに なって くりかえします。この セットは 80〜100分 くらいで、ひとばんに 4〜6回 まわります[1]。

レム睡眠すいみんの とき、脳のうは おきている ときに 近いほど はたらきます。それでも 体は、うごかない ように なって います。筋肉きんにくが ゆるむからです。ゆめの 中で 走っても、体が 本当に 走り出さない ようにする ためだと されて います[1]。

また、レム睡眠すいみんの とき、体は あつさ・さむさに 合わせて 温度を 整える はたらきが うまく できなく なります[1]。

では、体を まもる はたらきは、ねむりと どう かかわるのでしょう。

眠りは、一晩じゅう同じ深さで続くわけではありません。アメリカ国立心肺血液研究所(NHLBI)によると、ノンレム睡眠とレム睡眠が一組になった周期が、80〜100分ごとに最初からやり直されます。ふつう一晩に4〜6周期です[1]。

レム睡眠は、夢を見やすい段階で、脳の活動は起きているときに近づきます。それでも体は、ほとんど動きません。筋肉が脱力して、夢を行動に移さないようにしているとされます。

もう一つの切りかえがあります。同じレム睡眠のあいだ、体は体温の調節をうまく行わなくなります[1]。暑さや寒さに対する反応が、眠りの段階によって変わるわけです。

眠りの中の体は、ひと晩の中でも段階ごとに運転を切りかえています。では、病気から体を守る免疫は、眠りとどう関わるのでしょうか。

睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠が一組の周期をなし、その周期が80〜100分ごとに最初から繰り返される。通常、一晩に4〜6周期である。90分は目安であり、幅がある[1]。

レムはrapid eye movement(急速眼球運動)の略である。この段階では脳活動が覚醒時に近づく一方、筋肉は通常、脱力して夢を行動に移さないようになる。さらにレム睡眠中は、体温の調節が適切に働かなくなる[1]。

ここには興味深い組み合わせがある。脳は活発なのに筋肉は動かず、体温調節は弱まる。眠りの段階によって、脳・筋肉・体温の調節という、別々の系が別々に切りかわる、ということだ。ただし、筋肉の脱力が「夢の行動化を防ぐ」という説明は、NHLBIが一般向けに述べている理解であり、機構の詳細まで示すものではない。

この「別々に切りかわる」見方を、免疫に当てはめるとどうなるか。

5. ねむりと めんえきは、かんけいが あるの?

5. 眠りと免疫は、たがいに影響し合っている

5. 睡眠と免疫の双方向性 ── 総説から言えること・言えないこと

めんえきは、ばいきんから 体を まもる はたらきです。

2019年に発表された 研究の まとめ(そうせつ)では、ねむりと めんえきは、おたがいに えいきょうし合って いると 書かれて います[4]。ねむりは、ばいきんから 体を まもる しくみ、かぜなどの うつりやすさ、ワクチンの ききかたにも かかわる、と いうことです。

夜の ホルモンの はたらきが、めんえきを ささえる 理由の 一つかも しれない、と 考えられて います。

ただし、「ねれば かぜが なおる」と いう ことでは ありません。ねむりと めんえきに つながりが ある、と いう ところまでです。

夜は、病気から体を守る働きも、昼とは違う顔を見せるのでしょうか。

Besedovskyらが2019年に発表した総説(研究のまとめ)は、睡眠と免疫は双方向に結びついている、と述べています。睡眠は自然免疫にも獲得免疫にも影響し、感染のかかりやすさやワクチンへの反応にも関わります。睡眠中のホルモンの環境が免疫を支える一因だと考えられています[4]。

ここで言えるのは、関連と影響の範囲までです。「眠れば風邪が治る」とは言えません。免疫が眠りに影響し、眠りが免疫に影響する、という行き来があるというのが、この総説の見方です。

夜の切りかえは、体温・血圧・尿・筋肉・免疫と、体のあちこちで起きています。それなら、こうした切りかえを揃えて進める合図のようなものはあるのでしょうか。

Besedovsky、Lange、Haackによる2019年のPhysiological Reviews誌の総説は、睡眠と免疫は双方向に結びつくと整理している。睡眠は自然免疫・獲得免疫の双方に影響し、感染リスクやワクチンへの反応にも関わる。睡眠中のホルモン環境が、免疫を支える一因と考えられている[4]。

この「双方向」が重要なのは、因果の向きを一方向に決めつけられないからだ。睡眠が免疫に影響し、免疫の側からも睡眠に影響が及ぶ。したがって、睡眠が感染リスクやワクチンへの反応に関わる、という言い方はできても、「寝れば病気が治る」という言い方は、この総説の範囲を超える。

個別の研究(たとえば、ワクチン接種後の睡眠と抗体価を調べた小規模な実験)の数字は、原文で確かめられていないので、ここでは数字を引かない。総説のレベルで言えるのは、関連と影響という範囲だ。

体温・血圧・尿・筋肉・免疫がそれぞれ別の理由で切りかわるなら、それらを夜に合わせる共通の手がかりはあるのか。ホルモンのメラトニンが、その候補の一つになる。

6. 夜が きた ことを 体に 教える ものは あるの?

6. 夜の合図になるホルモン ── メラトニンは暗くなると増える

6. メラトニンの日内変動 ── 夜を知らせる信号と、その限界

体の 中には、「夜だよ」と 教える ホルモンが あります。脳のうの 中の 小さな ところで つくられる、メラトニンです[6]。

メラトニンは、昼は すくなく、夜に おおく なります。睡眠すいみんや、体の 温度、ほかの ホルモンの リズムを 整える ときに かかわります。

夜に あかるい あかりを 見ると、メラトニンの りょうが 下がる ことも 分かって います[6]。夜に へやが あかるいと、体の 夜の しくみが うまく すすまない かも しれません。

ただし、メラトニンが 血圧けつあつや おしっこまで ぜんぶ きめて いる とは、書かれて いません。リズムを 整える 手がかりの 一つ、くらいに 考えて おくと よさそうです。

夜が来たことを体に知らせる物質として知られるのが、メラトニンです。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、メラトニンは脳の松果体から出るホルモンで、血液中の濃度は昼に低く、夜に高くなります。睡眠、体温、ホルモン分泌の概日リズムを調節する働きに関わります[6]。

夜に明るい照明を浴びると、メラトニンの分泌量が下がることも知られています[6]。だから、夜の部屋の明るさは、体の夜用の切りかえに影響しうると考えられます。

ただし、メラトニンが血圧やおしっこの量まで直接決めているとは、この資料には書かれていません。体温・血圧・尿・免疫のそれぞれが夜に切りかわる理由を、メラトニンだけで説明することはできません。リズムを整える手がかりの一つ、というのが言える範囲です。

最後に、ここまでの話を、自分の体で確かめる道すじを考えます。

メラトニンは松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモンで、血中濃度は昼に低く夜に高い、顕著な日内変動を示す。睡眠、体温、ホルモン分泌の概日(がいじつ)リズムの調節に関わり、夜間の強い光で分泌量が下がる[6]。

ここで注意が必要なのは、メラトニンを「夜の司令塔」のように読みすぎないことだ。出典に書かれているのは、リズムの調節に関わること、夜の光で下がることまでである。第2〜5節で見た血圧の設定値の変更や尿量の減少、免疫の変化が、メラトニンによって直接起こるとは、この資料からは言えない。

むしろ、体温・血圧・尿・筋肉・免疫のそれぞれに別の機構があり、メラトニンのような夜の信号は、そのうち概日リズムにかかわる一部の調節に関わる、と整理するのが無理がない。複数の機構が夜に向けて揃う仕組みが、どこまで共通の信号で説明できるかは、この資料の範囲では言い切れない。

7. ねむく なった 日に、手を ほっぺに あてて みよう

7. 眠くなった日に、手の温かさを確かめる

7. 出口 ── 自分で確かめられること、原典で深められること

つぎに ねむく なったら、手の ひらを ほっぺに かるく あてて みましょう。いつもより あたたかく かんじるかも しれません。

ただし、人に よって ちがうので、あたたかく かんじなくても 大丈夫だいじょうぶです。ねむる 前の 手足の ねつの にげかたを、しらべる 入り口に なります。

この 記事の 手足、血圧けつあつ、おしっこ、筋肉きんにく、めんえきは、ねている あいだに 体が 休むだけ では ない という 話でした。脳のうの 中の おそうじの 話も、ネズミの じっけんで 調べられて います[7]。

ねむっている 体の 中で、ほかに なにが かわるのか、きになったら、おうちの 人と 図書館で 本を さがして みて ください。

眠くなった日に、手のひらをほおに当ててみましょう。いつもより温かく感じるかもしれません。感じ方には個人差があるので、分からなくても気にしなくて大丈夫です。眠る前の熱の逃がし方に気づく、小さな入り口になります。

この記事で見た、手足の温度、血圧の設定、尿の量、筋肉の脱力、免疫は、眠りの中で体が止まっているのではなく、段階や時間によって運転を切りかえている例でした。ネズミでは、眠りや麻酔のあいだに脳の細胞のすきまが広がり、老廃物の除去が速まったという報告もあります[7]。ただしこれはマウスの実験で、人に同じ数字が当てはまるとはいえません。

もっと読みたくなったら、血圧の実験なら2007年のHypertension誌の抄録[3]、免疫なら総説[4]、メラトニンならe-ヘルスネット[6]が、手がかりになります。

観察としては、眠くなったときに手のひらを頬や首筋に当て、普段との温かさの違いを感じてみる。個人差が大きく、感じにくくても異常ではない。

資料としては、入眠期の放熱は宮崎の解説[2]、夜間血圧のリセットはHypertension 2007[3]、睡眠と免疫は2019年の総説[4]、尿量の夜間変動はメディカルノート[5]、メラトニンは厚生労働省e-ヘルスネット[6]に当たれる。なお、脳の間質腔が睡眠・麻酔中に約60%広がり、βアミロイドの除去が速まったというXieらの報告[7]はマウスの実験で、ヒトに同じ数字は当てはまらない。

残る問いは、血圧・尿・免疫などの夜の切りかえが、どこまで共通の時計で結びついているのかという点だ。今回の資料では個別の切りかえを確認できた範囲にとどまる。原論文や総説で、機構どうしの関係を読んで確かめる余地がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:公的機関の解説、論文の抄録、総説、医師が監修した解説を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. NHLBI(米国国立心肺血液研究所)「Sleep stages」。https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep/stages-of-sleep (睡眠周期の長さ、レム睡眠中の筋肉の脱力と体温調節について。英語)
  2. 宮崎総一郎「暖かい布団に入っていると眠くなるのはなぜか?」Web医事新報。https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=9333 (入眠期の手足の温度上昇と放熱について)
  3. Hypertension 2007「To dip or not to dip」。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17353512/ (夜間血圧低下が圧反射の設定値の切りかえだったことについて。抄録、英語)
  4. Besedovsky L, Lange T, Haack M(2019), Physiological Reviews 99(3)。https://doi.org/10.1152/physrev.00010.2018 (睡眠と免疫の双方向の関係について。英語)
  5. メディカルノート「夜間多尿の原因」(堀江重郎 監修)。https://medicalnote.jp/diseases/夜間多尿/原因 (抗利尿ホルモンの夜間分泌と尿量について)
  6. 厚生労働省 e-ヘルスネット「メラトニン」。https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-062.html (メラトニンの分泌と概日リズムについて)
  7. Xie L ほか(2013), Science 342:373。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3880190/ (睡眠中のマウスの脳の老廃物除去について。英語)

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