1. たまごも いろも いれないのに、なぜ きいろいの?
1. 卵も色もないのに、なぜ琥珀色なのか
1. 原料はセモリナと水だけ ── 琥珀色は小麦そのものの色
あの きいろい いろは、たまごの いろでは ありません。「デュラムこむぎ」と いう こむぎを、あらく ひいた ものの いろ です[2]。
デュラムこむぎは、グルテンと いう ねばりの もとが おおい、かたい こむぎ です。マカロニこむぎ とも よばれ、スパゲッティに むいて います[2]。
にほんで つくる かんそうパスタは、ほとんどが この こなを 100パーセント つかって います。まぜるのは、こなと みず だけです[1]。
イタリアでは、かんそうパスタは デュラムこむぎだけで つくる きまりが ある、と メーカーは せつめい して います[5]。
では、こなと みずを まぜた だけの きじは、どう すれば、かたく しまった スパゲッティに なるのでしょう。
スパゲッティの琥珀色は、卵や着色料の色ではありません。デュラム小麦を粗く挽いた「セモリナ」の、もともとの色です[2]。デュラム小麦はグルテンの多い硬質小麦で、「マカロニ小麦」の別名があります。マカロニやスパゲッティに向く小麦とされています[2]。
日本で作られる乾燥パスタは、基本的にデュラムセモリナ100%で、生地に混ぜるのはセモリナと水だけです[1]。海外でも似た考え方があり、イタリアでは、乾燥パスタはデュラム小麦からできた粉だけで作るのが法律上の決まりだと、メーカー2社が説明しています[5]。これは乾燥パスタの話で、生パスタは別です。
では、粉と水を混ぜただけの生地を、細く丈夫な1本にするには、どんな手間がかかるのでしょうか。
日本で作られる乾燥パスタは、基本的にデュラムセモリナ100%を原料とし、生地に加えるのは基本的に水だけである[1]。デュラム小麦はグルテン含有量の多い硬質小麦で、マカロニ小麦とも呼ばれ、スパゲッティやマカロニに適する[2]。琥珀色はセモリナ本来の色で、卵や着色料によるものではない[2]。
イタリアでも、乾燥パスタはデュラム小麦の製品だけで作ることが法律(DPR 187/2001)上の決まりだと、メーカー2社は説明している。ただしこれは乾燥パスタの話で、生パスタには軟質小麦の粉も使える。法令の本文ではなく、メーカーの説明に基づく話である[5]。
原料が粉と水だけなら、食感を決めるのは原料の配合ではなく、加工の工程になる。その最初の工程が、生地を練る作業である。
2. なぜ しんくうの 中で ねるの?
2. 真空の中で練ると、何が変わるのか
2. 真空練りで生地の密度を高める
こなと みずは、さいしょに ふたつの はねの ついた ミキサーで、よく まぜます。つぎに、くうきを ぬいた「しんくう」の じょうたいで、もういちど ねります[3]。
しんくうで ねると、きじが ぎゅっと つまって、すきまが へります。この つまり方が、スパゲッティ ならではの かみごたえの もとに なると いわれます[3]。
たとえば、すきまの ある スポンジと、ぎっしり つまった けしゴムを おして みると、かたさが ちがいます。ただし、スパゲッティの きじは、本当は スポンジほど すかすかでは ありません。
3. こんなに ほそく、ながく するには どうするの?
3. 太さ1.9mmの穴から、強い力で押し出す
3. 高圧の押出し成形 ── ダイスの穴で太さと断面が決まる
ねった きじは、とても つよい ちからで、ちいさな まるい あなから おしだします[4]。あなの あいた かなぐを「ダイス」と いいます。
ところてんを つくる どうぐを おもいだして ください。あなから おすと、ほそい ながい ものが でて きます。あれに にて います。ただし、スパゲッティの きじは、ところてんより ずっと かたく、つよい ちからが いります。
あなの おおきさを かえると、ふとさが かわります。いちばん ほそい カッペリーニは およそ 0.9ミリ、ふつうの スパゲッティは およそ 1.9ミリ です[2]。
はやゆでの スパゲッティは、きった ところが かざぐるまの かたちを して いて、ひょうめんに みぞが あります。ゆでるとき おゆが しみこみやすく、ゆでる じかんが みじかく なります[4]。
練った生地は、高い圧力をかけて、細かい丸い穴のあいた「ダイス」という型から押し出され、スパゲッティの形になります[4]。ところてんを突き出すときの動きに似ていますが、スパゲッティの生地はずっと固く、強い圧力が必要です。
穴の大きさで太さが変わります。日清製粉の目安では、カッペリーニが約0.9mm、フェデリーニが約1.4mm、スパゲッティーニが約1.6mm、スパゲッティが約1.9mmです。これはメーカーの目安で、法律で決まった太さではありません[2]。
穴の形を変えれば、太さだけでなく断面も作り分けられます。早ゆでスパゲッティは、断面が風ぐるまの形で、表面に溝があります。表面積が増えるので湯がしみこみやすく、ゆで時間が短くなります[4]。
押し出されたばかりの生地は、まだ水分をたっぷり含んでいます。ここから、どうやって長く保存できる乾燥パスタにするのでしょうか。
練り上げた生地は、高い圧力で、細かい丸い穴のあいたダイスから押し出される[4]。ダイスの穴の寸法が太さを決め、日清製粉が示す目安では、カッペリーニ約0.9mm、フェデリーニ約1.4mm、スパゲッティーニ約1.6mm、スパゲッティ約1.9mmである。これはメーカーの目安であり、法定の太さではない[2]。
穴は丸いとは限らない。早ゆでスパゲッティは断面が風ぐるま形で、表面に溝がある。そのため表面積が増え、湯がしみこみやすくなってゆで時間が短くなる[4]。つまり、ダイスは太さだけでなく、ゆで上がりの速さまで左右する部品である。
押し出された生地は、まだ水分が多く柔らかい。この状態から保存できるパスタにするには、水分を抜く必要がある。ただし急げばよいわけではない。
4. はやく かわかした ほうが いいんじゃないの?
4. 急いで乾かせばいいのではないか
4. 緩やかな乾燥 ── 急げば割れるが、条件は製品ごとに違う
おしだした スパゲッティは、ぼうに かけて、ながい かんそうしつで、ゆっくり かわかします[3]。
いそいで かわかさないのは、ひびが はいらない ように する ためです。じっくり みずを ぬくと、ひびの ない、すきとおった かんじの スパゲッティに しあがります[3]。
ぬれた タオルを、ストーブの まえで さっと かわかす と、かたく なって しわが よる ことが あります。それと すこし にた はなしです。ただし、スパゲッティは しわでは なくて、ひびが しんぱい です。
かんそうに かかる じかんは、せいひんに よって、ずいぶん ちがう ようです。
押し出されたスパゲッティは、棒にかけて、長い乾燥室でゆっくり水分を抜かれます。急に乾かさないのは、ひび割れを防ぐためです。じっくり水分を抜くことで、ひびのない、透明感のある仕上がりになります[3]。
急に乾かすとひび割れにつながる、と説明されています。外側と内側がどう乾くかまでは、使った資料に詳しくありません。
乾燥の最終水分については、イタリアのメーカーが12.5%ほどと説明しています[5]。ただし、乾燥の温度や時間は製品によって大きく違います。日本の資料には具体的な数字がなく、一部のメーカーの製品ページには、低い温度で数日かけるものもあるようです。工場一般の数字として言い切ることはできません。
こうして乾かし終えたスパゲッティは、押し出すダイスの違いでも表面の様子が変わると言われます。それは本当でしょうか。
押し出した生地は棒にかけ、長い乾燥室で時間をかけて水分を抜く。急激な乾燥を避けるのは、ひび割れを防ぐためで、じっくり水分を抜くと、ひびのない透明感のある仕上がりになる[3]。
乾燥後の水分は、イタリアのメーカーGranoroの説明では12.5%程度が目安とされる。この数字は「減らす量」ではなく「最終的な水分」の目安と読むのが適切で、原文の表現は曖昧である[5]。
乾燥の温度と時間は、製品ごとに大きく違う。海外には低温で長時間かけるとうたう製品や、高温で短時間の設備もあるようだが、いずれも特定の製品や設備の例で、工場一般の数字とはいえない。
つまり、「ゆっくり乾かす」は、ひびを防ぐという共通の目的を指すが、その中身は一定ではない。同じように、製造側が違いを強調する部品がもう一つある。ダイスの材質である。
5. ダイスの ざいりょうで、ひょうめんは かわるの?
5. ダイスの材質で、表面は変わるのか
5. ブロンズダイスとテフロンダイス ── メーカーの説明をどう読むか
ダイスには、ブロンズ(どうの なかま)で できた ものと、テフロンで できた ものが あります[5]。
メーカーの せつめいでは、ブロンズで おすと、ひょうめんが ざらざら して、つやが すくなく なります。テフロンだと、なめらかで つやが あり、いろも あかるく なる そうです[5]。
ざらざらの ほうが ソースが からみやすい、と いう はなしも ありますが、ここでは そこまで は いえません。どちらが すぐれて いるかは、きめられません。
じぶんの スパゲッティを、よく みて みましょう。
ダイスの材質には、青銅(ブロンズ)とテフロンなどがあります。イタリアのメーカーGranoroの説明では、ブロンズで押し出すと表面はざらざらで、つやが少なく、小さな穴がある状態になります。テフロンだと表面はなめらかで、つやがあり、色が明るくなります[5]。
同じメーカーは、ブロンズのほうが熱の発生が少なく、小麦のたんぱく質を守りやすい、とも説明しています[5]。ただし、これはメーカーの立場からの説明です。どちらの材質が優れているのかは、この資料だけでは決められません。
表面がざらざらしているほうが、ソースがからみやすいと感じる人もいるでしょう。ただし、ソースのからみ方がダイスの材質だけで決まると言い切れる資料はありません。
ここまでが、粉と水がスパゲッティになるまでの道のりです。では、この食べ物は、日本でいつ、どうやって身近になったのでしょうか。
ダイスの材質は、表面の質感を左右するとされる。Granoroの説明では、ブロンズダイスは表面が粗く、つやが少なく、多孔質になる。テフロンダイスは表面がなめらかでつやがあり、色が明るい。同社はさらに、ブロンズのほうが熱の発生が少なく、小麦のたんぱく質を保ちやすいと述べる[5]。
ただし、これは製造者の説明である。どちらが優れるかは断定できず、ソースのからみ方についても、材質だけで決まるとは言い切れない。表面の違いは観察で確かめられるが、その違いが味にどう影響するかは、製品ごとの他の条件(乾燥など)とも重なる。
つまり、製法の違いは、原料が同じでも、表面や色といった目に見える差を作る。では、これほど手間のかかる食べ物は、日本でいつ一般に広がったのか。
6. にほんでは、いつから みんなが たべるように なったの?
6. 日本で一般に広がったのはいつ頃か
6. 日本での普及 ── 1955年の大量生産と、1986年の原料切り替え
パスタは、えどじだいの おわりごろ、よこはまの がいこくの 人が たべる ものと して はいって きた と いわれます[4]。
みんなが たべる ように なったのは、1955ねんに、マ・マーマカロニが おおぜいの ぶんを つくりはじめた ことが きっかけと いわれ、「にほんの パスタ がんねん」と よばれます[4]。
その ブランドは、1986ねんに、パスタを デュラムセモリナ 100パーセントに きりかえました[6]。
パスタが日本に入ったのは江戸時代の終わり頃で、最初は横浜の外国人が食べるものだったという説明があります[4]。伝わった時期は資料によって幅があるため、「一説」として読むのが安全です。
一般の家庭に広がったのは1955年とされ、マ・マーマカロニ(当時の日本マカロニ)が大量生産を始めたことから、「日本のパスタ元年」と呼ばれます[4]。
日清製粉ウェルナの年表によると、同じ年に「マ・マー」というパスタのブランドが誕生し、1986年には製品をデュラムセモリナ100%に切り替えました[6]。日本のスパゲッティが「デュラムセモリナ100%」という原料にそろったのは、パスタの歴史の中では最近のことなのかもしれません。
では、自分の家のスパゲッティで、今回の話を確かめることはできるでしょうか。
パスタの日本への伝来は江戸時代末期とされ、当時は横浜の外国人が口にするものだった。伝来時期には資料による幅があり、一説として扱う[4]。一般に広まった契機は、マ・マーマカロニ(当時の日本マカロニ)が大量生産を始めた1955年とされ、「日本のパスタ元年」と呼ばれる[4]。
日清製粉ウェルナの年表では、同年にパスタブランド「マ・マー」が誕生し、1986年に同ブランドのパスタ製品をデュラムセモリナ100%に切り替えた[6]。
この年表は一つの企業の記録であって、日本全体の動向ではない。それでも、大量生産が先に始まり、原料が「デュラムセモリナ100%」にそろったのは、それから約30年後だった点は、記録から読み取れる。では、家庭の台所のスパゲッティから、これらの工程の痕跡を見つけられるだろうか。
7. おうちの スパゲッティを、よく みて みよう
7. 台所のスパゲッティで、製法の手がかりを探す
7. 袋と1本から読み取れること
おうちの スパゲッティの ふくろを みて みましょう。うしろの「げんざいりょうめい」に、こむぎと みず だけ しか かいて いない か、よんで みます。たまごが かいて ある ものも あるかも しれません。
つぎに、かわいた 1ぽんを、よこから じっくり みます。つやが あるか、ざらざら して いるか。ふくろには、ふとさが 1.6ミリや 1.9ミリと かいて ある ことも あります。ものさしで、くらべて みても おもしろいです。
パスタを おったり、ゆでて さわる ときは、おうちの 人と いっしょに して ください。
家にあるスパゲッティの袋を見てみましょう。原材料名に、デュラム小麦のセモリナと水しか書かれていないか、確かめられます。卵入りなどの製品もあるので、袋によって違うかもしれません。
乾いた1本を横から見て、表面のつやや、ざらざら具合を比べてみます。袋に太さが書いてあれば、定規を当てて確かめられます。早ゆでタイプなら、端の形が風ぐるまに見えるか、目をこらしてみるのも面白いでしょう。
折ると破片が飛ぶので、観察は折らずに、1本のまま行います。ゆでるときは、火と熱湯に気をつけ、大人と一緒に行いましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
原料・工程は日本パスタ協会と日清製粉、イタリアの決まり・ダイス・水分はメーカーの説明、年表は日清製粉ウェルナによる。
- 日本パスタ協会「パスタができるまで」 https://www.pasta.or.jp/knowledge/manufacture (原料がデュラムセモリナ100%であること)
- 日清製粉「パスタの基礎知識」 https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/pasta/pasta_01.html (デュラム小麦・琥珀色・太さの目安)
- 日清製粉「パスタができるまで」 https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/pasta/pasta_02.html (真空練り・ゆっくり乾燥)
- 日清製粉「パスタの工場」 https://www.nisshin.com/entertainment/factory/pasta.html (押し出し成形・早ゆで・日本での普及)
- Granoro「FAQ(パスタ)」 https://cms.granoro.it/en/c/45/products/173/faq-frequently-asked-questions/36/pasta (イタリアの決まり・ダイスの材質・水分。メーカー説明)
- 日清製粉ウェルナ「日清製粉ウェルナの歩み」 https://www.nisshin-seifun-welna.com/index/company/history.html (1955年・1986年の記録)
なおした ところ
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