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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

せかいきろくが あるのは、3つの しゅもくの うち どれ?

クライミングの3種目で、世界記録があるのはスピードだけ ── 勝ち方がちがう3つを、オリンピックはどうまとめたか

スポーツクライミング3種目の勝ち方 ── 世界記録があるのはスピードだけ、東京2020は掛け算・パリ2024は足し算・ロサンゼルス2028は3分割

分野:歴史・文化

かべを のぼる スポーツ、スポーツクライミングには、3つの しゅもくが あります。その うち「せかいきろく」が あるのは、スピードだけです[2]。

ほかの 2つには、どうして せかいきろくが ないのでしょう。3つの かちかたが どう ちがうのか、そして オリンピックが 3つを 1つの メダルに まとめようとして、どう かえて いったのかが わかります。

スポーツクライミングには、ボルダー・リード・スピードの3種目があります。このうち世界記録があるのはスピードだけで、2026年10月の時点で男子の記録は4.54秒です[5]。リードとボルダーには、世界記録そのものがありません。

同じ「壁を登る競技」なのに、なぜ1つだけ記録が残るのでしょうか。3種目の勝ち方のちがいと、オリンピックが3つを1つのメダルにまとめようとして、掛け算から足し算、そして3つに分けるまで形を変えた流れが分かります。

スポーツクライミングの3種目のうち、世界記録があるのはスピードだけである。男子の記録は、2026年10月の時点で、2026年5月10日に出た4.54秒だ[5]。リードとボルダーには、世界記録がない。

では、勝ち方がこれほど違う3種目を、オリンピックは1つのメダルにどうまとめたのか。スピードの標準壁と0.100秒のフライング判定、リードとボルダーの得点表、そして東京2020の掛け算、パリ2024の足し算、ロサンゼルス2028の3分割という形の変化が分かる。

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1. せかいきろくが あるのは、どうして スピードだけ?

1. 世界記録が残るのは、どうしてスピードだけなのか

1. 世界記録があるのはスピードだけ ── 同じ壁・同じルートという条件

スピードで かつ ためには、いちばん はやく ゴールへ つく ことです。ゴールは、高さ15メートルの かべの てっぺん。かべは すこし、手前に かぶさって います[4]。

IFSCが みとめた こくさいたいかいでは、この かべと ルートが おなじです。かべの かたちも、手を かける ところの ならびも、みんな きまって います[2]。だから ちがう ばしょで でた タイムを、そのまま くらべられます。

リードと ボルダーは ちがいます。たいかいごとに、あたらしい コースが つくられます。まえの たいかいと くらべようが ないので、せかいきろくは ありません[2]。

いまの だんしの きろくは 4.54びょうです。ことし 5月に、ちゅうごくの ジャオ・イーチェンせんしゅが だしました[5]。15メートルを 4.54びょうで のぼると、1びょうに 3メートルちょっと すすむ けいさんです。では、そんな はやさの しょうぶで、「ずるい スタート」は どう きまるのでしょう。

スピードの壁は、高さ15メートル。垂直ではなく、わずかに手前へかぶさる5度の傾斜があり、選手は上から自動で確保する装置につながれて登ります[4]。2007年から、国際競技連盟のIFSCが世界記録用の標準壁をつくっているとされます。

この壁には、全大会・全ラウンドで同じ仕様、同じルートが使われます。使うホールド(手や足をかける突起)も手用と足用の2種類だけで、取り付ける位置や向きまで細かく決められています[2]。どこの大会で出したタイムでも、同じ条件で出たものとして比べられる。それが世界記録の条件です。

リードとボルダーは、逆です。コースは大会ごとに新しく作られるので、「あの大会より難しかった」という比べ方ができず、記録の対象になりません[2]。

男子の記録は、更新が続いています。2025年5月にアメリカのサム・ワトソン選手が4.64秒、2026年4月28日に中国のジャオ・イーチェン選手が4.58秒、そして同年5月10日に同じ選手が16歳で4.54秒を出しました[5]。15メートルを4.54秒で登ると、平均で1秒に約3.3メートル進む計算です。それほど速い勝負では、スタートの判定がそのまま勝敗を左右します。

世界記録が成り立つ条件は、「同じ条件で比べられること」である。スピードの壁は高さ15m、傾斜は垂直から5度のオーバーハングで、競技者は上から自動で確保する装置(オートビレイ)につながれて登る。IFSCは2007年から、世界記録用の標準壁を用意している[4]。

IFSCのルール解説によれば、スピードはすべての大会・ラウンドで同一仕様の壁に同一のルートを設定し、ホールドも手用・足用の2種類だけにして、位置と向きまで細かく指定する[2]。そのため、どこで出たタイムも同じ条件の結果として並べられる。一方リードとボルダーは大会のたびにコースが新たに作られる。コースの難しさが毎回違うので、記録の比較自体が成り立たず、世界記録の対象にならない[2]。

この標準化の成果が、更新の速さに表れている。男子の世界記録は、2025年5月にサム・ワトソン(米)がバリ大会で出した4.64秒から、2026年4月28日にジャオ・イーチェン(中)の4.58秒、5月10日の4.54秒へと、約2週間で2回縮んだ[5]。15mを4.54秒なら、平均で約3.3m/sの速さだ(壁の高さをそのまま走行距離とみなした計算)。記録は更新される可能性があるため、「2026年10月時点」と断っておく。

ここまで速いと、スタートの一瞬が重くなる。では、スピードのフライングは、何を基準に決まるのか。

2. 「ずるい スタート」は、0.1びょうで きまる

2. 合図のあと0.1秒より早く動くと、反則になる

2. フライングの基準は0.100秒 ── 反応時間による判定と、1位対16位の組み合わせ

スピードでは、スターターが「レディ」と いった あとの、うごきだしの はやさも きまりに なって います。

うごきだしが 0.1びょうより はやいと、その せんしゅの「ずるい スタート」に なります。りょうほうが はやすぎた ときは、はんのうの じかんが より みじかい ほうが はんそくです。おなじ じかんなら、やりなおします。この はんていには、こうぎ できません[2]。

よせんは、2本の コースを 1かいずつ のぼり、はやい ほうの タイムで じゅんいが きまります。けっしょうは 1たい 1の トーナメントです。1いと 16い、2いと 15い、という ように、つよい せんしゅと そうでない せんしゅを ぶつけます[2]。

ここまでは、「はやい ほうが かち」の はなしでした。ほかの 2つは、タイムを はかりません。では、なにで かちが きまるのでしょう。

スピードの対戦では、スターターが「Ready」と声をかけたあと、動き出すまでの反応時間が0.100秒未満だと、その選手の不正スタートと記録されます。両方の選手が未満だった場合は、反応時間がより短いほうが不正スタートです。同じ時間ならやり直しになります。この判定には、抗議ができません[2]。

数字は、IFSCのルールを日本語で解説した2020年版の資料によります。合図のあと0.1秒より早く動くと、速く登れても反則になります。つまり、勝負はスタートの瞬間から始まっています。

予選は、2本のレーンを1回ずつ登り、速いほうのタイムで順位を決めます。決勝は1対1のトーナメントで、1位対最下位、2位対下から2番目というように、強い選手と弱い選手を当てる組み合わせです。決勝に進む人数は、予選で有効なタイムを出した人数によって4人・8人・16人と変わります[2]。

ここまではタイムの勝負でした。ところがリードとボルダーでは、時計はおもな主役ではありません。何を数えて勝ち負けを決めるのでしょうか。

スピードのフライングは、条文で数値化されている。IFSCのルールを日本語で解説した2020年版の資料では、スターターが「Ready」と声をかけた後、片方の選手の反応時間が0.100秒未満であれば、その選手の不正スタートと記録する。両者とも0.100秒未満なら、反応時間がより短いほうが不正スタートとなり、同じ時間ならやり直しになる。反応時間の判定に対する抗議はできない[2]。

つまり、フライングは見た目の印象ではなく、数値の線で決まる。ただし、この数値は2020年版の条文によるもので、最新版の規則では異なる可能性がある。

予選では2本のレーンを1回ずつ登り、速いほうのタイムで順位をつける。決勝は1対1のトーナメントで、最初のステージは1位対最下位、2位対下から2番目のように、強い選手と弱い選手を当てる組み合わせになる。決勝の人数は、予選で有効なタイムを出した人数によって4・8・16人に変わる[2]。

ここまでは、すべてタイムで決まる世界だった。では、時計を使わずに勝ち負けを決める種目は、何を数えているのか。次はリードを見る。

3. リードは、1回だけ。おちたら そこで おしまい

3. リードは「1回しか登れない」── 落ちた高さが成績になる

3. リードの得点 ── 一度きりの挑戦と、上にいくほど重くなるホールド

リードは、12メートルより 高い かべを、ロープを つけて のぼります。その ルートに ちょうせん できる のは、1かいだけです。しかも、はじめて みる ルートで のぼります[3]。

1かい でも おちたら、そこで しゅうりょうです。じかんぎれでも おなじです。それまでに とどいた いちばん 高い ところが、その ひとの せいせきに なります。じかんは 6ぷんと する しりょうが あります[3]。

ところで、いろいろな 高さの ホールドには、それぞれ てんが ついて います。うえの 40この ホールドに てんが あり、した ほうは 1てんずつ。うえに いく ほど、1つの てんが 大きく なります。いちばん うえの 10こは、1つ 4てんです。トップに つくと 100てんです[1]。

おちたら おわりの リードとは ぎゃくに、なんかいでも やりなおせる しゅもくが あります。それが ボルダーです。

リードは、12メートル以上の壁を、ロープで確保されながら登ります。1つのルートに挑めるのは、各ラウンドで1回だけ。しかも初めて見るルートを、事前の練習なしで登る「オンサイト」です[3]。

一度でも墜落するか、制限時間を過ぎると、その場で終了。それまでに届いた最高到達点が成績になります。制限時間は6分とする資料があります[3]。

成績は、ホールドごとの点数で表されます。JMSCA(日本山岳・スポーツクライミング協会)の2022年のルールでは、ルート上部の40ホールドに点があり、トップで100点です。下のほうのホールドは1点ずつですが、上へ進むほど1つの点が大きくなり、31〜40番目は4点ずつ。つまり、最後の10個で40点に当たります。ホールドを使いかけた状態の「ユーズ(+)」は0.1点が加わり、40ホールドより下は点にならない決まりです[1]。

ゴール近くほど重い点がつくので、最後まで集中が切れない種目です。ここまでは「1回で決める」競技でした。では、何度でも落ちていい種目があるとしたら、どう競うのでしょうか。

リードは、12m以上の壁をロープで確保されながら登る種目である。各ラウンドで1本のルートに挑めるのは一度だけで、しかも初見のルートをオンサイトで登る。一度でも墜落するか制限時間を超えると、その時点で競技は終わり、それまでの最高到達点が成績になる[3]。制限時間は6分とする資料があるが、壁の高さを「十数m」とする資料もあるなど、記述に幅があり、大会や年によって変わりうる。

点数のつけ方は、JMSCAの2022年のルール(B&Lコンバインド)が詳しい。ルート上部の40ホールドに点が付き、トップで100点、40ホールドより下は0点である。下の10ホールドは1点ずつだが、上へいくほど1ホールドあたりの点が大きくなり、31〜40番目は4点ずつだ。最後の10ホールドだけで、全体の4割の40点に当たる。ホールドを使いかけた「ユーズ(+)」は0.1点が加算される[1]。

こうして、上へいくほど一手の重みが増す構造になる。一度の墜落で終わる種目だから、上のホールドほど、届くかどうかの意味が大きい。では、その逆に、何度でもやり直せる種目の点数は、どう決まるのか。

4. ボルダーは、なんどでも。でも「なんかいめか」が てんに なる

4. ボルダーは何度でも挑める ── ただし「何回目で登ったか」が0.1点刻みで効く

4. ボルダーの得点 ── ゾーン・トップと、挑戦回数ごとの減点

ボルダーは、5メートル いないの ひくい かべを、ロープなしで のぼります。ゆかには あつい マットが しいて あり、おちても だいじょうぶです[3]。

1つの かだいで おちても、じかんが あれば、なんどでも やりなおせます。かだいは いくつも あり、じかんの ながさは たいかいの だんかいで ちがいます[3]。

てんは、かだいごとに きまります。まんなかの ゾーンに さわると 5てん、もっと うえの ゾーンで 10てん、ゴールの トップで 25てんです。ただし、そこまで なんかい ちょうせんしたかを かぞえて、ふやした かい×0.1てんを ひきます[1]。

たとえば 10かいめで トップに ついたなら、25てんから 9かい分の 0.9てんを ひいて、24.1てんです。4つの かだいの ごうけいは、さいだい 100てんです。

では、タイムを きそう スピードと、たかさを きそう リードと、かいすうを かぞえる ボルダー。ばらばらの 3つを、1つの メダルに できるのでしょうか。

ボルダーは、約5メートル以内の低い壁を、ロープなしで登ります。床には厚いマットが敷き詰められています。1つの課題で落ちても、制限時間内なら何度でもやり直せます。課題は複数あり、制限時間は大会の段階で変わります。パリ2024では、準決勝が5分、決勝が4分とされています[3]。

点数は課題ごとに決まります。JMSCAの2022年のルールでは、第1ゾーンに5点、第2ゾーンに10点、トップに25点。そこまでの挑戦回数に0.1点をかけた分が、引かれます。たとえば10回目でトップなら、25−9×0.1=24.1点です。4課題を合計して最大100点になります[1]。

リードが「落ちた高さ」を、ボルダーが「何回目で登ったか」を、スピードが「かかった秒数」を数えます。3種目は、ものさしそのものが別々です。このまったく違う3つを、オリンピックは1つのメダルにまとめようとしました。

ボルダリング(現在の日本の公式文書ではボルダーと呼ぶことが多い)は、約5m以内の低い壁をロープなしで登る。床には厚いマットを敷き、1つの課題で落ちても制限時間内なら何度でもやり直せる。課題は複数あり、制限時間は大会の段階で異なる。旧規則では予選5分・準決勝5分・決勝4分、パリ2024では準決勝5分・決勝4分だった[3]。

得点は、JMSCAの2022年のルールでは課題ごとに、第1ゾーン5点、第2ゾーン10点、トップ25点である。点数を取った回までの「それ以前の挑戦回数×0.1点」を引くので、10回目でトップなら25−9×0.1=24.1点になる。4課題の合計は最大100点だ[1]。ゾーンの点数は年により変わりうる。

ここで3種目を並べると、ものさしが完全に別であることが分かる。スピードは時間(秒)、リードは到達点(ホールド番号に対応する点)、ボルダーは到達と挑戦回数だ。単位の違うものを1つのメダルへ換算する方法は一通りではない。次章では、その換算を3回変えた、オリンピックの経緯を見る。

5. 3つの しゅもくを 1つの メダルに するには?

5. 3種目を1つのメダルにする方法は、3回変わった

5. 東京2020の掛け算、パリ2024の足し算、ロサンゼルス2028の3分割

2020ねんの とうきょうでは、3つの しゅもくの じゅんいを かけ算しました。かけ算の てんが ちいさい ひとが うえです[3]。

たとえば、せんしゅが 8人 いたと します。「1い・8い・8い」の ひとは、1×8×8=64。「どれも 4い」の ひとも、4×4×4=64。にんげんが おなじ てんに なります。かけ算は、おなじ てんに なりやすい けいさんです[6]。

もう1つ。「1い・7い・7い」だと 49で、「どれも 4い」の 64より うえです。1つの しゅもくで ぬけた ひとが かちやすい、と いわれました[3]。(これは わたしたちが かんがえた れいで、じっさいの たいかいの けっかでは ありません。)

この たいかいの じょしでは、日本の のなか みほ せんしゅが ぎん、のぐち あきよ せんしゅが どうメダルでした。きんは スロベニアの ヤンヤ・ガンブレットせんしゅです[8]。

2024ねんの パリでは、スピードが ひとりだち。ボルダーと リードは、てんすうを たし算する やりかたに なりました。ボルダー100てんと リード100てんで、さいだい 200てんです。メダルは、だんじょで 2つずつ、ぜんぶで 4つに ふえました[6]。

2028ねんの ロサンゼルスでは、リード・ボルダー・スピードが、それぞれ べつの メダルに なります[7]。

東京2020のスポーツクライミングは、男女1つずつの金メダルしかありませんでした。そこで、3種目の順位を掛け算し、点が小さい選手を上位としました[3]。

掛け算には癖があります。選手が8人いるとして、1位・8位・8位の人は1×8×8=64、どれも4位の人は4×4×4=64で、同じ点になります。しかも、1位・7位・7位なら49で、全部4位の64より上です。1つの種目で抜きん出た選手が有利になりやすい、と指摘されました[3]。(この数字は説明のための仮の例で、実際の大会結果ではありません。)

女子の複合では、野中生萌選手が銀メダル、野口啓代選手が銅メダルを取り、金はスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手でした。男子の金はスペインのアルベルト・ヒネス・ロペス選手です[8]。

パリ2024では、スピードが独立した種目になり、ボルダーとリードを合わせた複合と並んで、男女2種目ずつ、計4個のメダルになりました。複合はボルダー100点(4課題×25点)とリード100点の足し算で、最大200点です。掛け算をやめた理由として、掛け算では同点が起きることもありました。選手数も東京の40人から68人に増えました[6]。

ロサンゼルス2028では、リード、ボルダー、スピードのそれぞれが金メダル種目になります。選手の枠は68人から76人に増え、2025年4月10日に発表されました[7]。まとめるより、それぞれの勝ち方をそのまま競い合う方向へ進んだことになります。

東京2020では、男女1個ずつの金メダルのため、3種目の順位を掛け算した点の小さい選手を上位とした。ところが、この方式は特定の種目で抜きん出た選手が上位になりやすいと指摘された[3]。仮に8人で競うなら、1位・7位・7位は1×7×7=49で、すべて4位の4×4×4=64より上になる。しかも1位・8位・8位も、すべて4位も、どちらも64で同点になる。これは仕組みを説明するための仮の例で、実際の結果ではない。

東京の女子複合では、野中生萌(のなか みほ)が銀、野口啓代(のぐち あきよ)が銅を取り、金はヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)だった。男子の金はアルベルト・ヒネス・ロペス(スペイン)である[8]。

パリ2024で、方式は大きく変わった。スピードを独立種目にして、ボルダーとリードの複合と合わせ、男女2種目ずつ計4個のメダルとした。複合は、ボルダー100点(4課題×25点)とリード100点を足して最大200点とする。掛け算をやめた理由として、掛け算では同点が起きることもあった点が挙げられている[6]。選手数は東京の40人から68人に増えた。

さらにロサンゼルス2028では、リード、ボルダー、スピードの3種目がそれぞれ金メダル種目になる。男女で計6つのメダルだ。選手枠は68人から76人になり、2025年4月10日に発表された[7]。単位の違う3種目を1つの数字にまとめる難しさは、3種目を並べて、足して、最後は別々のメダルにするという順に、形を変えて解かれてきた。

6. 0.1びょうを、じぶんの 手で つかまえて みよう

6. 定規を使って、0.1秒の長さを確かめてみる

6. 0.1秒の感覚を確かめる ── 定規の落下と、点数表の読み方

やって みよう。ともだちや かぞくに、30センチの じょうぎの うえの はしを もって もらいます。あなたは、した の ほうで 手を ひらいて まちます。はなされた しゅんかんに、つかんで みましょう。

ものが 0.1びょうで おちる きょりは、5センチほどです。つかんだ ところの めもりを みると、どれくらい はやく つかめたかの めやすが わかります。スピードの 「ずるい スタート」の 線は、この 0.1びょうです。こまった ときは、おとなと いっしょに やりましょう。

つぎに テレビで クライミングを みるときは、タイムなのか、たかさなのか、かいすうなのかを みて みましょう。しゅもくごとに、なにを かぞえて いるかが みえて きます。

くわしく しりたい ときは、にほん さんがく・スポーツクライミング きょうかいの ルールの ページに のって います。

やってみよう。30センチの定規を使います。家族や友だちに、定規の上の端を持って、下へ落としてもらいます。あなたは定規の下のほうで、手を開いて待ち、落ちたと思った瞬間につかみます。

物が0.1秒の間に落ちる距離は、約5センチです(落下の式 ½×9.8×0.1²=約0.049メートルで計算)。つかんだ位置の目盛りが5センチより大きければ、その分だけ反応が遅かったことになります。スピードのフライング基準は0.100秒未満。自分の手が、その線のどのあたりにいるのかを、目で確かめられます。危ないものは使わず、定規が落ちる先には何も置かないようにしましょう。

もう1つ、次にクライミングの中継を見るときは、「何を数えている種目か」を探してみてください。画面にタイムが出ればスピード。高さの点が出ればリード。何回目かの数字が出ればボルダー。3つのものさしが見分けられると、同じ壁でも別の競技に見えてきます。

規則そのものは、JMSCAが公開している規則の資料で読めます。点数表には年ごとの変更があるので、読むときは、いつの版かを見てください。

3種目のものさしの違いは、自分で手を動かすと実感しやすい。30cmの定規を使い、家族や友だちに上の端を持って落としてもらい、下で手を開いて待ち、落ちたと感じたらつかむ。自由落下の距離は½gt²で、t=0.1秒なら½×9.8×0.01=0.049mである。つまり約5cmだ。つかんだ位置の目盛りがこれより大きければ、反応が0.1秒より遅かったことになる。スピードのフライング基準である0.100秒未満という線が、自分の手の動きでどのあたりにあるかを見られる。定規の落ちる先には何も置かない。

もう1つ、点数表を読み解いてみてもよい。ボルダーの「25−9×0.1=24.1」を、課題4つで最大100点になることと合わせて計算すると、10回目でトップを取るのと1回目でトップを取るのとでは、課題1つにつき0.9点の差になる。リードのトップ付近が4点刻みなのと比べ、挑戦回数の0.1点刻みは小さいが、同点が続く場面では順位を分ける力を持つ。

原典は、JMSCAが公開している2022年のB&Lコンバインド競技ルール[1]と、IFSCルールの日本語解説[2]にあたる。点数表の数字は大会規則の改定で変わるので、読むときは版の年を確かめたい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)の資料、国際競技連盟IFSCのルールの日本語解説、百科事典、競技の報道記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. JMSCA『B&Lコンバインド競技ルール』(2022年)。https://www.jma-climbing.org/downloads/2022/cjc/rule.pdf (ボルダーとリードの得点の付け方について。2022年の規則)
  2. JMSCA「IFSCルールを読む(2020年版その4)」。https://www.jma-sangaku.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/IFSC%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%82%8020-4.pdf (スピードの標準壁、フライング判定、予選・決勝の方式について。2020年版)
  3. ウィキペディア日本語版「スポーツクライミング」。https://ja.wikipedia.org/wiki/スポーツクライミング (3種目のあらまし、リードとボルダーの規則、東京2020の方式について。百科事典)
  4. Wikipedia「Speed climbing」。https://en.wikipedia.org/wiki/Speed_climbing (スピードの壁の高さと傾斜について。英語の百科事典)
  5. World Climbing「Zhao sets new speed world record」。https://www.worldclimbing.com/news/zhao-sets-new-speed-world-record (男子スピードの世界記録の推移について。国際競技連盟の報道)
  6. Wikipedia「Sport climbing at the 2024 Summer Olympics」。https://en.wikipedia.org/wiki/Sport_climbing_at_the_2024_Summer_Olympics (パリ2024の方式と、掛け算をやめた理由について。英語の百科事典)
  7. Climbing.com「Olympics splits lead and bouldering climbing disciplines for Summer 2028 Games」。https://www.climbing.com/news/olympics-splits-lead-and-bouldering-climbing-disciplines-summer-2028-games/ (ロサンゼルス2028で3種目が別々のメダルになることについて。報道記事)
  8. Wikipedia「Sport climbing at the 2020 Summer Olympics」。https://en.wikipedia.org/wiki/Sport_climbing_at_the_2020_Summer_Olympics (東京2020のメダリストについて。英語の百科事典)

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