1. オリンピックの はじまる日は、どうやって きめたの?
1. 1964年、開会式の日はどうやって決まったのか
1. 1964年、開会式の日程選び ── 消去法で残った10月
1964ねん、にっぽんで はじめて オリンピックが ひらかれる ことに なりました。
でも、いつ はじめるかは、すぐには きまりませんでした。
なつは、あつくて、じめじめして いるから、はやい じきに はずれました。はるも かんがえられましたが、けっきょく のこったのは、あきの 10月でした。オリンピックが はじまる 日は、10月10日、土ようびに なりました[6]。
つまり、10月10日は、さいしょから 「この日が いい」と きまって いた わけでは なかった ようです。ダメな 日を へらして いった すえに、のこった 日でした。
1964年、日本で初めてのオリンピックが開かれることになりました。しかし、いつ開会式を行うかは、すぐには決まりませんでした。
準備を進めていた委員会は、はじめ「7月25日〜8月9日」か「10月17日〜11月1日」の2つの案を考えました[3]。そのあと、5〜6月に開く案も出てきます。気象や衛生にくわしい専門家たちが集まって検討したところ、夏(7、8月)は湿度が高いという理由で、まっさきに外されました[3]。
春(5、6月)と秋(10月)を比べて、最後に「5月23日〜6月7日」と「10月3日〜18日」の2つの案にしぼられ、けっきょく会期は「10月10日〜24日」に決まった、と紹介されています[3]。開会式は初日の10月10日(土曜日)に行われました[6]。
つまり、10月10日は、はじめから「この日がいちばんいい」と決まっていた日ではなかったようです。都合の悪い季節を1つずつ外していった末に、残った日だった、ということになります。
1964年、日本で初めてのオリンピックが開かれることが決まると、開会式や競技をいつ行うかが議論になった。準備委員会は、はじめ「7月25日〜8月9日」または「10月17日〜11月1日」という2つの案を考えていた[3]。
そのあと、5〜6月開催の案も浮上する。気象・海象・衛生などの専門家による小委員会が検討したところ、夏(7、8月)はもっとも湿度が高いという理由で、最初に候補から外された[3]。
残った春(5、6月)と秋(10月)を比較した結果、最終的に「5月23日〜6月7日」と「10月3日〜18日」の2案にしぼられ、会期は「10月10日〜24日」に決定した、と紹介されている[3]。開会式は、その初日にあたる10月10日(土曜日)に行われた[6]。
つまり10月10日は、最初から「特別に良い日」として選ばれたのではない。湿度の高い夏を外し、春と秋を比べるという、消去法に近い過程を経て残った日付だった。
2. 10月10日は、「はれの日」で ゆうめいなの?
2. 「晴れの特異日」という話の、本当のところ
2. 「晴れの特異日」伝説 ── 統計と土曜日のあいだ
10月10日は、あとから「はれやすい日」として ゆうめいに なりました。この 「よく はれる 日」の ことを、「とくいび」と いいます。
でも、しらべた 人たちに よると、10月10日が とくべつ はれやすい、と いう はなしには、あまり しっかりした しょうこが ないそうです。ふるい 気しょうの 本では、10月の とくいびは 10日ではなく 14日と かかれて いました[4]。
2012ねんの テレビばんぐみが、気しょうちょうの データを しらべた という はなしでは、とうきょうで いちばん はれやすい 日は 15日、10日は その つぎ だった、と しょうかいされて います[4]。ただし、この 番ぐみの もとの データを、この メモでは たしかめて いません。
では、なぜ 15日ではなく 10日に なったのでしょう。オリンピックの じゅんびを して いた 人たちは、はれやすさの ほかに、「土曜日で、やすみの 人が 多い」と いう つごうを だいじに して、10日を えらんだ と いわれて います[4]。
「10月10日は とくべつな はれの日だから えらばれた」と いう はなしは、はんぶん ほんとうで、はんぶん あやしい はなしかも しれません。
10月10日は、のちに「晴れの特異日」として有名になりました。「特異日」とは、統計の上で、とくに晴れやすい・雨が降りやすいなど、特定の天気になりやすいとされる日のことです。
ところが調べてみると、10月10日が特別に晴れやすい、という話には、しっかりした裏づけが少ないと指摘されています。1959年に出た気象学の本には、10月の特異日として、10日ではなく14日が挙げられていました[4]。
2012年のテレビ番組が気象庁のデータを調べたという紹介では、東京でいちばん晴れやすいのは15日、10日は次点だったとされています[4]。ただし、この番組のもとになったデータそのものは、この記事では確かめられていません。
では、なぜ15日ではなく10日が選ばれたのでしょうか。番組の紹介によれば、オリンピックの準備をしていた人たちは、晴れやすさに加えて、「土曜日で、仕事が休みの人が多い」という都合のよさを優先して、10日を選んだとされています[4]。
「10月10日は特別な晴れの日だから選ばれた」という話は、半分は本当で、半分はあやしい話かもしれません。
開会式が行われた10月10日は、のちに「晴れの特異日」として広く知られるようになった。「特異日」とは、統計的に特定の気象状態(晴れ・雨など)になりやすいとされる日を指す言葉である。
しかし、10月10日が統計的に特別に晴れやすい日だとする根拠は薄い、という指摘がある。1959年発行の気象学の書籍では、10月の特異日として挙げられているのは10日ではなく14日だった[4]。
2012年に放送されたテレビ番組が気象庁の観測データを調べたという紹介では、東京で晴れの確率がもっとも高いのは15日、10日は僅差の次点だったとされる[4]。ただし、この番組が示したという確率の数字自体は、一次資料まで遡って確認できていない。
では、番組の紹介で確率1位とされた15日ではなく、なぜ10日が選ばれたのか。番組の紹介によれば、オリンピック委員会は晴れやすさに加えて、10日が土曜日で休日にあたるという曜日の都合を優先し、10日を開会式の日に決めたとされる[4]。
「晴れの特異日だから選ばれた」という語られ方は、半分は正しく、半分は伝説に近いのかもしれない。
3. 「たいいくの日」は、いつ できたの?
3. 開会式から2年後、「体育の日」が生まれる
3. 1966年、「体育の日」制定 ── 開会式の記念日を祝日に
オリンピックの 2ねん後、1966ねん、10月10日は「たいいくの日」と いう、がっこうも かいしゃも やすみに なる 日に なりました。くにの せつめいにも、「オリンピックが はじまった 日を きねんして」できた 日だと、はっきり かかれて います[7]。
できた ときの 「たいいくの日」の いみは、「スポーツに したしみ、げんきな からだと こころを つくる」でした[7]。
オリンピックが はじまった 日を、その まま 「みんなで うんどうを たのしむ 日」に した、と いう ことです。
4. 「10月10日」じゃない 年も あるのは、なぜ?
4. 2000年、「10日」ではなく「第2月曜日」に
4. 2000年のハッピーマンデー制度 ── 「10日」という数字が意味を失う
1998ねんに きまりが かわり、2000ねんから、「ハッピーマンデーせいど」と いう しくみが はじまりました[7]。
この しくみで、たいいくの日は、「10月10日」と いう きまった 日づけから、「10月の 2ばんめの 月ようび」に かわりました。たんじょう日会を、ちょうど 10月10日では なく、みんなが あつまりやすい 月ようびに ずらす みたいな ものです。ただし ほんとうは、しゅくじつを かえるには、くにの かいぎで きまりを つくる ひつようが ありました。
だから、いまの「スポーツの日」は、10日の 年も あれば、10日じゃない 年も あります。オリンピックの 開会式の 日だった「10月10日」と いう すうじは、いみを うしないました。
5. なんで「たいいくの日」から「スポーツの日」に なったの?
5. 2020年、「体育」から「スポーツ」へ
5. 2020年、名称変更 ── 「体育」と「スポーツ」のあいだ
2018ねんに くにの かいぎで きまりが かわり、2020ねんから、「たいいくの日」は「スポーツの日」に 名前が かわりました[7][2]。
「たいいく」は、がっこうの じゅぎょうで やる うんどうの こと。「スポーツ」は、じぶんから すすんで たのしむ うんどうの こと。この ちがいを だいじに して、名前を かえた、と せつめいされて います[5]。
じつは おなじ とき、がっこうの うんどうかいのような ぜんこく大会「こくみんたいいく大会」も、2023ねんから「こくみんスポーツ大会」に 名前が かわる ことに なりました[5]。「たいいく」から「スポーツ」への いいかたの へんかは、この やすみの日 だけの はなしでは なかった のです。
2018年(平成30年)6月13日、国会で祝日法の改正が成立し、2020年(令和2年)1月1日から「体育の日」は「スポーツの日」に名前が変わりました[2][7]。
法律の趣旨の言葉も書きかえられました。もとの「体育の日」は「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」。新しい「スポーツの日」は「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」です[1][5]。
「体育」は主に学校の授業で決められた運動を指すのに対し、「スポーツ」は自分から進んで楽しむニュアンスをふくむ、より広い言葉だとされます。この違いを踏まえて名前が変えられた、と説明されています[5]。
同じ日、学校の運動会のもとになった全国大会「国民体育大会」も、2023年から「国民スポーツ大会」に改称されることが決まりました[5]。「体育」から「スポーツ」への呼び方の変化は、この祝日だけの出来事ではなかったのです。
2018年(平成30年)6月13日、参議院本会議で祝日法の改正案が可決・成立し、2020年(令和2年)1月1日の施行をもって「体育の日」は「スポーツの日」に改称された[2][7]。
条文の趣旨も書きかえられている。従来の「体育の日」は「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」。新しい「スポーツの日」は「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」となった[1][5]。
「体育」が学校教育の枠組みで定められた運動を主に指すのに対し、「スポーツ」は自発的に楽しむ意味合いをふくむ、より広い言葉だとされる。この違いを踏まえて名称が改められた、と説明されている[5]。
同時に成立した改正スポーツ基本法により、国民体育大会も2023年から「国民スポーツ大会」への改称が決まった[5]。「体育」から「スポーツ」への呼び方の変化は、単発の出来事ではなく、この時期に複数の制度で同時に起きたことがわかる。
6. なのに、なんで 7月に あった年が あるの?
6. 名前を変えたはずが、2度も日付を動かされる
6. 2020・2021年の特例 ── 名称変更と同じ法律が定めた「日付の引っこし」
じつは、名前を「スポーツの日」に かえたのと おなじ 2018ねんの きまりに、もう ひとつ とくべつな はなしが かかれて いました。
2020ねんの とうきょうオリンピック・パラリンピックに あわせて、その 年だけ「うみの日」「スポーツの日」「やまの日」を うごかす、と いう ものです。
2020ねんの よてい では、スポーツの日は 開会の日 7月24日、うみの日は その 前の日、やまの日は 8月10日 に なる はずでした[1][2]。
ところが コロナウイルスの せいで、オリンピックは 1年 あとの 2021ねんに ひらかれる ことに なりました。それに あわせて、しゅくじつの ひづけも 2021ねん用に きめなおされ、スポーツの日は 開会の日の 7月23日 に なりました[1]。
名前が「スポーツの日」に かわったのは、2020ねんに とうきょうで また オリンピックが ひらかれる、ちょうど おなじ ころ でした。ところが、その とうきょうオリンピックが、2年も つづけて、スポーツの日の ひづけを うごかして しまった のです。おもしろい めぐりあわせです。
2022ねんからは、もとの「10月の 2ばんめの 月ようび」に もどって います。
実は、名前を「スポーツの日」に変えたのと同じ2018年の法律に、もう1つ特例が書かれていました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて、その年だけ「海の日」「スポーツの日」「山の日」を移動させる、というものです。
2020年の予定では、スポーツの日は開会式当日の7月24日、海の日はその前日の7月23日、山の日は閉会式の翌日の8月10日になるはずでした[1][2]。
ところが新型コロナウイルスの流行で、東京オリンピックは1年遅れの2021年に開かれることになりました。祝日の日付も2021年用に定めなおされ、海の日は7月22日、スポーツの日は開会式当日の7月23日、山の日は8月8日になりました[1]。
名前が「スポーツの日」に変わったのは、2020年に東京でふたたびオリンピックが開かれるのと、ちょうど同じ時期でした。ところが、その東京オリンピック自身が、2年連続でスポーツの日の日付を動かしてしまったことになります。名前を変えた祝日が、当のオリンピックの延期によって、2年続けて動かされた形です。
2022年からは、もとの「10月の第2月曜日」に戻っています。
名称変更を定めたのと同じ2018年の改正法には、もう1つ特例が盛りこまれていた。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて、その年だけ「海の日」「スポーツの日」「山の日」を移動させるという規定である[2]。
当初の計画では、2020年は海の日が開会式前日の7月23日、スポーツの日が開会式当日の7月24日、山の日が閉会式翌日の8月10日になる予定だった[2]。
しかし新型コロナウイルスの感染拡大により、東京オリンピック・パラリンピックは1年延期され、2021年に開催された。祝日の特例日程も2021年向けに定めなおされ、海の日は7月22日、スポーツの日は開会式当日の7月23日、山の日は8月8日となった[1]。
「体育の日」が「スポーツの日」に改称されたのは、東京で2度目のオリンピックが開かれるのと同じ時期にあたる。結果として、その東京オリンピック自体が、コロナ禍による延期を通じて2年連続で祝日の日付を動かすことになった。2022年以降は、通常どおり「10月の第2月曜日」に戻っている[1]。
7. じぶんでも しらべて みよう
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
こんどの「スポーツの日」が 何月 何日か、カレンダーで さがして みましょう。10日 ですか、それとも ちがう 日ですか。
おうちの 人に、むかし「たいいくの日」と よばれて いたころの ことを きいて みましょう。10月10日を おぼえて いるかも しれません。
もし よめる なら、ないかくふ(くにの しごとを まとめる ところ)の ホームページで、しゅくじつの いちらんを 見て みましょう。
まず、今年の「スポーツの日」が何月何日かを、カレンダーで確認できます。10日ですか、それとも別の日ですか。
家の人に、「体育の日」と呼ばれていたころの記憶を聞いてみるのもよいでしょう。10月10日を覚えている人がいるかもしれません。
読んでみるなら、内閣府の「国民の祝日について」のページがあります[1]。今の祝日の名前と日付が、表になって並んでいます。2020年・2021年の特例の説明も見つかります。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
出典について:内閣府のページ、新聞記事、日本オリンピック委員会のページ、複数のウィキペディアの記事(1964年東京オリンピック、特異日、スポーツの日)を読み比べて調べました。
- 内閣府「国民の祝日について」。 https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html (スポーツの日の趣旨「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」、「10月の第2月曜日」という現行の定め、2020年・2021年に限り海の日・スポーツの日・山の日を特例の日付に変更したことと、その具体的な日付)
- 日本経済新聞「東京五輪前後に3祝日移動 改正法成立、渋滞を緩和」(2018年6月13日)。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31696030T10C18A6CR0000/ (2018年6月13日に「体育の日」を「スポーツの日」に改称する改正祝日法が成立したこと、2020年当初の予定として海の日7月23日・スポーツの日7月24日・山の日8月10日に移動する計画だったこと)
- ウィキペディア「1964年東京オリンピック」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/1964年東京オリンピック (開会式の日程を決める過程。準備委員会が示した「7月25日〜8月9日」「10月17日〜11月1日」の当初案、夏を湿度の高さで除外した経緯、「5月23日〜6月7日」「10月3〜18日」の2案への絞り込み、最終的に「10月10日〜24日」に決定したこと、開会式の10月10日が1966年に「体育の日」として国民の祝日に制定されたこと)
- ウィキペディア「特異日」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/特異日 (10月10日が「晴れの特異日」とされてきた通説と、その統計的根拠が薄いという指摘。1959年発行『気象学ハンドブック』では10月の特異日を14日とすること。2012年放送のテレビ番組が気象庁のデータを調べ、東京で晴れの確率が最も高いのは15日、次点が10日だったと紹介したこと。オリンピック委員会が曜日の利便性(10日が土曜日)を優先して10日に決定したとされること)
- ウィキペディア「スポーツの日 (日本)」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/スポーツの日_(日本) (「体育」と「スポーツ」という言葉の意味あいの違いについての説明、同時期に「国民体育大会」が2023年から「国民スポーツ大会」に改称されることになったこと)
- 日本オリンピック委員会「東京1964大会」。 https://www.joc.or.jp/past_games/tokyo1964/ (1964年東京オリンピックの会期が「10月10日(土)〜24日(土)」の15日間だったこと。開会式が10月10日、土曜日に行われたこと)
- 内閣府「『国民の祝日』について」(祝日ごとの解説)。 https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou/kaku.html (スポーツの日の項目。昭和41年の法改正で、昭和39年の東京オリンピック開会式の日を記念して「体育の日」(10月10日)が設けられたこと、当時の趣旨「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」、平成10年の法改正・平成12年からの実施で「10月の第2月曜日」に変更されたこと、平成30年の法改正で令和2年から名称が「スポーツの日」に改称され、趣旨も書きかえられたこと)
なおした ところ
更新履歴
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