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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

まちの どうろは、どうぶつの みちを どう わけて いるの?

町の緑と道路は、動物の行き来をどう分けているのか

都市の緑地と道路は動物の移動をどう分けるのか ── ロードキル・横断施設・人工光

分野:自然

国が かんりする どうろだけで、1年に 7まん けんほど、どうぶつが くるまに ひかれて います[1]。1じかんに 8けん ほどの 数です。

どうぶつは、どうろの ルールを しりません。では、どうろは どうぶつの みちを どう わけて、わたる ための はしや トンネルは どこまで やくに たつのでしょうか。「まだ わからない ところ」も ふくめて、こたえが わかります。

国が管理する道路だけで、動物が車にひかれる事故(ロードキル)が年に約7万件起きています[1]。1時間あたりに直すと、およそ8件です。

動物は交通ルールを知りません。では、道路は緑の場所どうしをどう分け、動物のための橋やトンネル、運転する人への知らせは、どこまで助けになるのでしょうか。効いているところと、まだ分かっていないところが分かります。

国交省は、国が管理する道路でのロードキルが令和4年度に年間約7万件発生したと発表した[1]。1時間あたり約8件になるが、これは国管理の道路だけの数で、全国の全道路の数ではない。

では、道路は動物の移動をどう分け、横断施設や運転者への注意喚起は何を変えられるのか。313件の研究を調べた国際レビューでは、「渡れるようになったか」を確かめられる作りの研究は14%だった[2]。使われることと、効いたことの差が見えてくる。

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1. どうぶつは、どうろの ルールを しって いるの?

1. 動物は「交通ルール」を知らない

1. 年間約7万件 ── 国管理道路のロードキルをどう読むか

国は、どうろで どうぶつが ひかれる ことを「ロードキル」と よんで います。国が かんりする どうろだけで、1年に 7まん けんほど おきて います[1]。

1年は 365日、1日は 24じかんです。7まんを その 数で わると、1じかんに 8けんほど。しかも、これは 国の どうろだけの 数です。町の ほかの どうろは はいって いません。

国の こくどこうつうしょうは、どうぶつに こうつうの ルールを おしえるのは むずかしいと して、たすける しくみを つくり はじめました[1]。どうぶつに ルールを おしえる ことは できません。だから、くるまを うんてんする 人に しらせる 方ほうも、ふえて きて います。

ただし、ひかれる ことだけが もんだいでは ありません。どうろが こわくて わたれない どうぶつも いる はずです。この 話は、あとの ところで しらべます。

年に約7万件、1時間に約8件

国土交通省は、国が管理する道路で、ロードキルが令和4年度に年間約7万件起きたと発表しています[1]。7万を365日で割ると1日に約190件、さらに24時間で割ると1時間に約8件です。「約7万」が概数なので、これも目安の計算です。

注意したいのは、これが国管理の道路だけの数だということです。都道府県や市町村の道路は入っていないので、全国の数はもっと大きいかもしれません。

道路が分けるのは、命だけではない

国土交通省はこの発表で、「交通ルールがわからない動物たち」を救う、という趣旨を述べています[1]。ひかれる危険のほかに、道路は動物が行き来する流れそのものを細くします。研究者はこれを、道路の「バリア効果」の問題として扱っています[2]。では、国は具体的に何を始めたのでしょうか。

国土交通省の報道発表(令和8年5月)は、国管理の道路でロードキルが令和4年度に年間約7万件発生しているとし、「交通ルールがわからない動物たち」を救う趣旨で対策を進めると説明する[1]。7万÷365≒192件/日、÷24≒8.0件/時間で、1時間に約8件になる。ただし「約7万」は概数で、この計算も目安だ。国管理でない都道府県道・市町村道は含まれないため、全国の総数を示す値ではない。

道路の影響は、ひかれる事故だけでもない。後述の国際レビューは、横断施設の評価を「道路が動物の移動に与えるバリア効果を和らげるか」という問いの形で検討しており[2]、事故による死亡と、移動そのものの減少は、別々の測り方が必要な問題として扱われている。

では、国はこの問題にどう動いているのか。

2. どうぶつに おしえられないなら、人に しらせる

2. 動物に教えられないなら、運転する人に知らせる

2. 構造対策から、運転者への情報提供へ

これまで 国は、どうぶつが あんぜんに わたれる ところを つくる ことが 中心でした[1]。それに くわえて、ことしの れいわ8ねんどから、全国で あたらしい 方ほうを すすめます[1]。

ひかれやすい 場所の どうろに、地めんの しるしや 道の 近くの 板、カーナビなどで「どうぶつが 出るよ」と 人に しらせる のです[1]。きょねんは、北海道の エゾシカや、おきなわの ヤンバルクイナなどで ためしました[1]。

どうぶつの 大きさで、やり方も ちがいます。大きい カモシカや シカには、地めんの しるしや カーナビの ちゅうい。小さい タヌキなどには、道の 近くの 板や SNSの ちゅうい、はいって こられない ように する さくも 出て きます[1]。

ただし これは 国の 発表に 出て いる れいで、どの どうぶつにも この やり方が 合う わけでは ありません。

データを見て、多い場所で知らせる

国土交通省の発表によると、これまでの対策は、動物が安全に渡れる道路の構造づくりが中心でした。令和8年度からは、全国の地方整備局で「データ駆動型ロードキル対策」を進めます[1]。ロードキルのデータを集め、多発している区間に絞って、路面標示、標識、道路情報板、カーナビなどで運転する人に知らせる方法です。

前の年度には、北海道(エゾシカ)と沖縄(ヤンバルクイナなど)で試行されました[1]。

動物の大きさで変える

同じ発表には、動物の大きさごとの対策の例も出ています。大型のニホンカモシカやシカには路面標示やカーナビでの注意喚起、小型のタヌキなどには、道路情報板やSNSでの注意喚起と、道路に入れないようにするフェンスです[1]。ただし、どの種にどの方法が合うかを決めつけた表ではなく、あくまで対策の例です。

運転する人に知らせるのは大切ですが、動物が道路を渡る必要そのものは残ります。では、動物のための橋やトンネルは役に立つのでしょうか。

国交省の報道発表は、従来の構造対策に加え、令和8年度から全国の地方整備局で「データ駆動型ロードキル対策」を始めるとする[1]。ロードキルデータベースをもとに、多発区間で路面標示・標識・道路情報板・カーナビなどを使って運転者に知らせるもので、前年度は北海道(エゾシカ)と沖縄(ヤンバルクイナ等)で試行された。動物側に学習させられない以上、ひかれる確率を下げる手として、運転者への注意喚起と、動物を道路に入れない設計が対策例に挙がっている。

対象別の例も示されている。大型動物(ニホンカモシカ・シカ)は路面標示やカーナビでの注意喚起、小型動物(タヌキ、犬・猫)は道路情報板やSNSでの注意喚起と侵入防止フェンスの設置が挙がる[1]。ただし種ごとの振り分けは例示で、効果を比べた結果ではない。

こうした運転者側の対策は、事故を減らす手段であって、分断された緑地どうしを動物が行き来できるようにする手段ではない。後者を担うのが横断施設だ。それは本当に効いているのか。

3. どうぶつの はしや トンネルは、やくに たつ?

3. 動物用の橋やトンネルは、使われる。でも「効いた」かは別

3. 313件の研究が示す、横断施設の「使われる」と「効く」の差

どうぶつが わたる ための はしや、どうろの 下の トンネルが、せかいの あちこちに あります。これが やくに たって いるのか、313この けんきゅうを まとめて しらべた 人たちが います[2]。

わかったのは、どうぶつが それらを つかう ことは たしか、という こと。でも「ほんとうに わたれる ように なったか」を たしかめられた けんきゅうは、100の うち 14ほどでした[2]。

たとえば、あたらしい はしを つくっても、とおる どうぶつが ふえたのか、もともと ちかくに いた どうぶつが ならんだだけなのか、わからない ことが あるのです。

ただし 14は「やくに たたない」という 数では ありません。しらべ方が まだ たりない、という 数です。

使うのは確か。でも、調べられた研究は少ない

国際的な研究者たちが、道路の横断施設(動物用の通路や橋)を調べた313件の研究を分析しました。その結果、動物がこうした施設を使うことは確かだと分かりました。一方で、横断施設で動物が渡れるようになったかどうかまで確かめられる作りの研究は、14%にとどまりました[2]。313件の14%は、計算すると約44件です。

この分析をした研究者自身は、横断施設だけで道路の悪い影響を防ぐのは、まれだと述べています[2]。

研究で効果が確かめられた対策の例

同じレビューのアブストラクト(要約)の報告では、横断施設の多くは道路を渡る動きを増やしましたが、道路ができたことによる移動の減少を防げたのは、4割に届かなかったそうです[3]。この「4割未満」は、効かなかった割合ではありません。よく裏づけられた例として、小型哺乳類のための植生、シカ類の減少を防ぐ下をくぐる通路(アンダーパス)、樹上で暮らす動物のために枝葉がつながるようにかける橋があげられています。両生類や爬虫類、鳥、昆虫などは、根拠が弱いとされます[3]。ただし数字は要約から読んだもので、論文全文は確認していません。

道路が分けるのは、地面の上だけでしょうか。夜になると、別のことが起きるようです。

横断施設の評価を扱った国際レビュー(Soanes ほか、2024年)は、313件の研究を分析した。その結果、動物が施設を使うことは確かだが、渡れるようになったかを検討できた研究は14%にとどまる(313×0.14≒44件)。著者らは、施設だけで道路の悪い影響を防ぐのはまれだと述べる[2]。データが少ない理由は、設置前の移動を比べる設計がないと、「使われた」が「渡れるようになった」の証拠にならないためと読める。

論文のアブストラクトの検索要約によれば、横断施設の多くのデータで渡る動きは可能になったが、道路建設による移動の減少を防げたと言えるのは4割未満の場合だった[3]。「4割未満」は防げた事例の割合で、施設が使われない割合ではない。裏づけが比較的よい対策は、小型哺乳類のための段差や植生、道路建設後のシカ類の減少を防ぐアンダーパス、樹上性哺乳類のために枝葉がつながるようにかける橋。両生類・爬虫類・鳥・昆虫・陸橋の根拠は弱いとされる[3]。数字は要約からの引用で、論文全文は読んでいない。

地面の構造だけでなく、夜の条件も移動を左右する可能性がある。

4. よるの あかりも、「見えない かべ」に なるの?

4. 夜の明かりは、動物にとって「見えない壁」になりうる

4. 人工光 ── 通路の照明とハリネズミのGPS追跡

よるの どうろは、おおくの 町で あかりが ついて います。この あかりが、どうぶつの じゃまを する ことも あるようです。

フランスで、高そくどうろの 下の トンネルに 自どうで うつる カメラを つけ、あかりを つけた ときと そうでない ときを くらべました。すると、アナグマは 春と 秋に、キツネは 春に、あかりが あると トンネルを とおる かくりつが さがりました[4]。ただし、テンという どうぶつには はっきりした ちがいが 出ませんでした。

ドイツの ベルリンでは、22ひきの ハリネズミに GPSを つけました。ハリネズミは、あかりの 少ない ところを えらんで あるく ようでした[5]。

あかりは 本当の かべでは ありません。でも、どうぶつが こわがって ちかよらない なら、かべと にて います。

通路に光があると、アナグマとキツネは渡りにくくなった

フランスの高速道路の下にある通路で、自動撮影カメラを使い、照明のあるなしを比べた実験があります。報告によると、人工の光は通路を渡る確率を、ヨーロッパアナグマ(春と秋)とアカギツネ(春)で有意に下げました[4]。テンでは有意な影響が出ておらず、すべての動物が同じ反応をするわけではありません。これは検索で読んだ要約にもとづく内容です。

街の動物も、光を避ける傾向

ドイツのベルリンでは、22頭のハリネズミにGPSをつけて調べた研究があります。動いていた場所は、ランダムに選んだ地点より人工の光が有意に少なく、光を避ける傾向がありました[5]。この研究は、道路との関係までは測っていません。

光を減らした「暗い緑の道」が助けになるかもしれない、というのは、ここから考えられる提案であって、実際に確かめられた結果ではありません。

では、国が「緑のつながり」と呼ぶものは、そもそも何を指しているのでしょうか。

光は、通路の存在とは別の経路で、横断を妨げうる。フランスの高速道路下の通路で自動撮影カメラを使った実験では、人工光が通路を渡る確率を、ヨーロッパアナグマ(春・秋)とアカギツネ(春)で有意に下げた。テンには有意な影響がなかった[4]。つまり、反応は種と季節で異なり、「光は動物全般を妨げる」とは言えない。検索要約にもとづく。

ベルリンでは、22頭のハリネズミにGPSを付けた調査(3地区)で、動いていた場所は無作為に選んだ地点より人工光が有意に少なかった[5]。光を避ける傾向を示すが、道路との関係は実測されていない。夜の照明を抑えた「暗い緑の道」が移動を助ける、という筋道は提案で、効果を測った結果ではない。

横断施設の効果が思ったより測られていないことを考えると、「施設をつくる」と「周りの条件(光など)をそろえる」の両方が、移動に関わる可能性がある。では、緑どうしのつながりは、国の制度ではどう考えられているのか。

6. ちかくの みどりと どうろを、ちずで さがして みよう

6. 近所の緑と道路を、地図で見てみる

6. 出口 ── 緑のとぎれ目を地図で探す

おうちの ちかくの ちずを ひろげます。紙の ちずでも、おうちの 人の スマホの ちずでも かまいません。

こうえんや 林など、みどりの ところを 見つけて、えんぴつで まるを つけます。つぎに、その まるの あいだを どうろが 通って いるか 見て みましょう。

どうろが 通って いたら、みどりが 切れて いる ところです。どうぶつが わたるなら、どこを 通るか、そうぞうして みます。

そとで たしかめる ときは、かならず ほどうから 見ます。どうろには 出ません。くらい 時間は、おうちの 人と いっしょに。

家の近くの地図を広げて、公園や林など緑の場所に鉛筆で丸をつけます。次に、丸と丸のあいだに道路が通っているかを見ます。道路が通っていれば、そこが緑のとぎれ目です。動物が渡るとしたら、どこを通るか想像してみましょう。

外で確かめるときは、歩道から見るだけにして、道路には出ません。夜に出かけるなら、必ず大人と一緒に行きます。

地図で見つけたとぎれ目と、この記事の三つの話(ひかれる危険、橋やトンネルの効果の確かめ、夜の光)を重ねてみると、どこに何があるとよさそうか、考えが広がります。もっと知りたくなったら、国土交通省の報道発表[1]で国の対策を、横断施設の国際レビューの解説[2]で研究の側の見方を読み比べられます。

地図アプリや紙の地図で、近所の公園・林・河川敷などの緑を探して印をつけ、その間を道路が横切るところを見る。緑のとぎれ目が、この記事で扱った問題が起きうる場所になる。外で確かめるときは歩道から見るだけにし、道路には出ない。夜は大人と一緒に行く。

資料を読み比べるなら、国の対策の全体は国土交通省の報道発表[1]、横断施設の評価の限界は国際レビューの著者による解説[2]と論文のアブストラクト[3]、光の影響は[4]と[5]、緑の回廊の定義は環境省の用語説明[6]が出発点になる。海外の論文は英語で、日本の都市に直接当てはまるとは限らない。残る問いは、日本の街路樹や小さな緑地でつなぐ効果を測った研究があるか、あるならどの種に効くか、である。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:国土交通省の報道発表、環境省の用語説明、国際レビューの著者による解説と論文要約、通路の光とハリネズミの研究の要約を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 国土交通省 報道発表(令和8年5月22日)。https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_002097.html (ロードキルの件数、運転者向けの対策、動物の大きさ別の対策について)
  2. Applied Ecologists blog、Kylie Soanes「Do wildlife crossing structures mitigate the barrier effect of roads on animal movement?」(2025年3月24日)。https://appliedecologistsblog.com/2025/03/24/kylie-soanes-do-wildlife-crossing-structures-mitigate-the-barrier-effect-of-roads-on-animal-movement/ (横断施設の国際レビュー、313件・14%について。著者による解説)
  3. Soanes ほか(2024)Journal of Applied Ecology。https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1365-2664.14582 (効果が裏づけられた対策の例。論文のアブストラクトの要約にもとづく)
  4. フランスの高速道路下の通路での人工光の実験(Biological Conservation、2025年)。https://hal.inrae.fr/hal-04902685 (照明がアナグマとキツネの横断に与えた影響について。要約にもとづく)
  5. ベルリンのハリネズミのGPS追跡(Animals 2020, 10, 1306)。https://www.mdpi.com/2076-2615/10/8/1306 (ハリネズミが人工光を避ける傾向について。要約にもとづく)
  6. 環境省 環境白書 語句説明(平成26年版)「緑の回廊」。https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h26/html/hj14040131.html (緑の回廊の定義について)

なおした ところ

更新履歴

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