1. そうじきは、すった ごみを どこへ はきだすの?
1. 掃除機は、吸ったごみを部屋にまきなおさないのか
1. 掃除機の勝負は排気 ── 吸った粒を室内へ戻さない
そうじきは、ごみを すいこみます。でも、すった 空気は、どこかへ でて いかなければ なりません。
その 空気に ごみが まざって いたら、へやの 中に ふたたび まきちらす ことに なります。だから そうじきには、空気が でる ところにも フィルターが ついて いる ものが あります。
あるメーカーの そうじきには、「0.3マイクロメートル いじょうを 約99.97%キャッチ」と、せつめいが のっています[1]。1マイクロメートルは、1ミリメートルを 1000に わけた 1つぶんです。
ただし これは、その きしゅの 数字です。ぜんぶの そうじきが おなじ わけでは ありません。
掃除機は、ごみを吸い込みます。吸った空気は、どこかから外へ出ていきます。その空気に細かい粒が混ざっていれば、せっかく集めたものを部屋にまきなおすことになります。
そのため、排気の通り道に高性能のフィルターを置く製品があります。パナソニックの掃除機MC-SS310GXは、排気側に「HEPAクリーンフィルター」を備え、「0.3マイクロメートル以上を約99.97%キャッチ」と公式の仕様に表示しています。排気を整える「まいあげブロック構造」も案内されています[1]。
1マイクロメートルは1ミリメートルの千分の1です。0.3マイクロメートルは、0.0003ミリメートルということになります。ただしこれは特定の機種の表示で、すべての掃除機が同じ性能とは限りません。
掃除機は、吸った空気をどこかから外へ出す。排気に微粒子が残れば、集じんした粒を室内へ戻すことになるため、排気側に高性能フィルターを置く機種がある。パナソニックのMC-SS310GXは、排気側のHEPAクリーンフィルターについて「0.3μm以上を約99.97%キャッチ」と公式仕様に記し、排気を整える「まいあげブロック構造」も備えるとされる[1]。
1μmは1mmの千分の1なので、0.3μmは0.0003mmにあたる。ただしこの値は一機種の表示で、他機種や他社製品の性能を代表するものではない。
2. おおきい ごみは、さきに どう わけるの?
2. 大きなごみは、フィルターに届く前に分けておく
2. 一次分離 ── 紙パックとサイクロン、目づまりとの関係
いきなり 細かい つぶ用の フィルターに、おおきな ごみまで ぶつけたら、すぐに つまって しまいます。だから まず、おおきな ごみを さきに わけます。
わけ方の 1つが、紙パックです。もう 1つが、サイクロンです。サイクロンは、すいこんだ 空気を 中で ぐるぐる まわします。まわすと、ごみが 外がわへ とばされて、空気と はなれます[5]。
イギリスの ジェームズ・ダイソンさんは、のこぎりの 工場の 粉を 空気から わける そうちを 見て、そうじきに つかえないかと かんがえた と いわれます。紙パックが つまって 吸う ちからが おちる ことが、きっかけでした[6]。
ただし 今は、サイクロンの そうじきにも、フィルターが いくつも ある ものが 多い そうです[5]。
細かい粒用のフィルターに、大きなごみまで一度にぶつけると、すぐに目づまりします。そこで、まず大きなごみを先に分けておく構成が使われます。
紙パックとサイクロン
紙パックは、吸った空気をパックに通してごみをためます。サイクロンは、吸った空気を本体の中で旋回させ、遠心力でごみと空気を分けます[5]。パックの交換が減ることが利点とされます。製品によっては、フィルターを何枚も重ねて使うこともあります。
サイクロンの着想は、製材所でおがくずを空気から分ける装置からきたといわれます。ジェームズ・ダイソンは、紙パックが目づまりして吸引力が落ちることに不満を持ち、試作を重ねて、サイクロン式の掃除機を作ったとされます[6]。ただし、サイクロン式の発売は日本のほうが先とする説明もあるため、「世界初」とは言い切れません。
細かい粒用のフィルターは、大きなごみが一度に当たると目づまりして空気が通りにくくなる。そのため掃除機では、大きなごみを先に分ける段階を置く。方法は二つに分かれ、紙パックはパックの中にごみをためる。サイクロンは空気を本体内で旋回させ、遠心力でごみと空気を分ける。後者は交換部品が減る利点がある。製品によっては複数のフィルターを併用する。
サイクロン式の着想は、製材所のサイクロン(おがくずを空気から分ける装置)に由来するとされる。ジェームズ・ダイソンは紙パックの目づまりによる吸引力低下を出発点に、試作を重ねてサイクロン式の掃除機を開発した[6]。サイクロン式の発売は日本のほうが先だったとする説明もあり、「世界初」とは断定できない。
3. ごみの つぶは、どれくらい ちいさいの?
3. 髪の毛、ダニのふん、PM2.5 ── 粒の大きさを比べる
3. 粒径の比較 ── 髪70μm・ダニのふん・PM2.5・0.3μm
0.3マイクロメートルが どれくらい ちいさいか、くらべて みましょう。
かみの 毛の ふとさは、およそ 70マイクロメートルです[9]。0.3は、その 200ぶんの 1より、まだ ちいさい 大きさです。
ダニの ふんは、およそ 10〜40マイクロメートルと いわれます[7]。PM2.5は、2.5マイクロメートル いかの つぶの ことで、かみの 毛の 30ぶんの 1ほどです[8]。
そう 見ると、0.3マイクロメートルは、PM2.5の 中でも ずっと ちいさい ほうです。
0.3マイクロメートルがどのくらい小さいか、身近な粒と比べてみます。
髪の毛の直径は約70マイクロメートルとされます[9]。0.3マイクロメートルは、その約230分の1です(70÷0.3≒233)。ダニのふんは約10〜40マイクロメートルといわれ[7]、0.3マイクロメートルの30倍から130倍あまりになります。ただし、ダニのふんの数字は民間の解説記事にもとづくため、おおまかな目安です。
PM2.5は、粒径が2.5マイクロメートル以下の微小な粒子で、環境省は髪の毛の太さの30分の1程度と説明しています[8]。2.5÷0.3は約8なので、0.3マイクロメートルはPM2.5の中でもさらに小さい側にあたります。
0.3μmの小ささを、身近な粒と比べる。髪の毛の直径は約70μmとされ[9]、70÷0.3≒233から、0.3μmは約230分の1にあたる(人により髪の太さは違うので概数)。ダニのふんは約10〜40μmといわれ[7]、0.3μmの約33〜133倍だ。ただしこの値は民間の解説記事に依拠するため、断定せず目安にとどめる。
PM2.5は粒径2.5μm以下の粒子で、環境省は髪の毛の太さの1/30程度と説明する[8]。2.5÷70≒1/28で、この説明と合う。2.5÷0.3≒8.3なので、0.3μmはPM2.5の範囲の中でも小さい側にある。だから「0.3μm以上を捕まえる」という表示は、これらの粒の多くを視野に入れた数字として読める。
4. 0.3は、いちばん ちいさい つぶ なの?
4. 基準が「最小の粒」でなく0.3マイクロメートルなのはなぜか
4. 最も通りぬけやすい粒径(MPPS)はなぜ約0.3μmになるのか
0.3マイクロメートルは、いちばん ちいさい つぶでは ありません。じつは、フィルターを いちばん すりぬけやすい 大きさ、つまり いちばん つかまえにくい 大きさです[3]。
これより ちいさい つぶは、空気の 中で ふらふら ゆれ うごいて、フィルターの せんいに ぶつかりやすく なります。これより おおきい つぶは、まっすぐ とんで きて ぶつかったり、せんいに ひっかかったり します[4]。
その まんなかの 大きさだけは、どちらの ちからも よわく、ぬけやすく なるのです。この めやすの 数字は、本に よって すこし ちがいます。
いちばん つかまえにくい 大きさで 99.97%なら、ほかの 大きさは もっと つかまえやすい、と かんがえられます。
HEPAフィルターの基準で使われる0.3マイクロメートルは、いちばん小さい粒ではありません。米国環境保護庁(EPA)は、0.3マイクロメートルが「最も通過しやすい粒径(MPPS)」にあたる最悪の場合の大きさだと説明しています[3]。
粒が通りぬけやすくなる大きさの範囲
解説資料によると、約0.1マイクロメートルより小さい粒は、空気の分子にぶつかって不規則に動き(拡散)、繊維に当たって捕まります。およそ0.4〜0.6マイクロメートルより大きい粒は、まっすぐ進んで繊維に当たったり(慣性衝突)、繊維にかすめて引っかかったり(しゃ断)して捕まります。0.1〜0.4マイクロメートルの間は、どの仕組みも十分には働かず、通りぬけやすさが最大になるのが約0.3マイクロメートルです[4]。境目の数字は、資料によって少しちがいます。
HEPAでは一般に、0.3マイクロメートルより大きい粒も小さい粒も、捕まりやすいと説明されます。ただ、実際の性能は製品ごとにちがうので、仕様の数字を見て確かめましょう。仕組みの詳しい話は、空気清浄機のメモにあります。
HEPAの試験が0.3μmで行われるのは、その粒径が最も捕集しにくいからだ。EPAは、0.3μmが最も通過しやすい粒径(MPPS)にあたる最悪の場合だと説明する[3]。では、なぜ最小の粒ではないのか。解説資料は捕集の仕組みで説明する。約0.1μm未満の粒は拡散(気体分子との衝突で不規則に動き、繊維に当たる)で、およそ0.4〜0.6μmより大きい粒は慣性衝突やしゃ断で、それぞれ捕まりやすい。0.1〜0.4μmの間はどの仕組みも十分に働かず、MPPSが約0.3μmになる[4]。
境目の数値は、資料によって少しちがう。HEPAでは一般に、0.3μmより大きい粒も小さい粒も捕集されやすいと説明される。製品ごとの性能は仕様で確認したい。仕組みの詳細は空気清浄機のメモに譲る。
5. 99.97%は、ぜんぶの つぶの ことなの?
5. 「99.97%」の読み方 ── どの粒、どの条件の数字か
5. HEPAの定義と表示の読み方 ── 試験粒子・流量・機種差
HEPA(ヘパ)という フィルターは、「0.3マイクロメートルの つぶを 99.97%いじょう つかまえる」ものと して せつめいされます[2]。
この 99.97%は、0.3マイクロメートルの つぶに ついての 数字です。ぜんぶの つぶを 99.97%つかまえる、という いみでは ありません。
もとは、クリーンルームや 原子力しせつの 空気を きれいに するために 作られた フィルターです[2]。それが そうじきの 排気にも つかわれる ように なりました。
ただし「HEPAそうとう」のような ことばは、メーカーごとに きまりが ちがうかも しれません。かならず、せつめいの 数字を 見ましょう。
日本の家電の解説によると、HEPAフィルターは、定格の風量で粒径0.3マイクロメートルの粒子に対して99.97%以上の捕集率をもち、初期の圧力損失が245パスカル以下のものと定義されます[2]。EPAも、HEPAは0.3マイクロメートルの粒子を少なくとも99.97%除去するフィルターと説明しています[3]。
ここで大事なのは、99.97%は「0.3マイクロメートルの粒に対して」の値だという点です。全部の粒の捕集率ではありません。もとはクリーンルームや原子力施設の換気装置用に、非常に細かいほこりを除くために作られたフィルターで[2]、家庭の掃除機の排気に使われるようになりました。
「HEPA」や「HEPA相当」の表示の基準は製品ごとに異なる可能性があります。製品を比べるときは、公式の仕様に書かれた粒の大きさと捕集率の数字を見てみましょう。
HEPAは、定格流量で粒径0.3μmの粒子に99.97%以上の捕集率をもち、初期圧力損失が245Pa以下のエアフィルターとされる。この定義はJIS Z 8122に基づくと家電解説は述べる[2]。EPAも、0.3μmの粒子を少なくとも99.97%除去するフィルターと説明する[3]。ここで99.97%は0.3μmの粒子に対する値であり、全粒径に共通の捕集率ではない。
もとはクリーンルームや原子力施設の換気装置用に、非常に微細なほこりを除く目的で作られたフィルターだ[2]。それが家庭用機器へ広がった。だが表示の「HEPA」「HEPA相当」が同じ試験基準を指すとは限らない。製品名を出して比べるなら、公式仕様に書かれた粒径と捕集率の数字を見るのが確実だ。たとえば先のMC-SS310GXは「0.3μm以上を約99.97%」と書く[1]が、これは機種ごとの表示である。
6. おうちの そうじきの 数字を さがして みよう
6. 家の掃除機の仕様を探してみる
6. 出口 ── 手元の掃除機で表示を探す、資料の読みどころ
おうちの 人に きいて、そうじきの せつめいしょや、本体の ラベルを 見せて もらいましょう。「フィルター」「0.3」「99.97」の どれかが のって いるか、さがします。
そうじきの うしろの 空気が でる ところに、フィルターの ふたが あるかも しれません。あけるときは、かならず おうちの 人と いっしょに、コンセントを ぬいて からにします。
もし 数字が のって いたら、「0.3は いちばん つかまえにくい 大きさ」と おもいだして、よんで みてください。のって いなくても、だいじょうぶです。
家にある掃除機の説明書や、本体のラベル、メーカーのウェブサイトで、仕様の欄を探してみましょう。排気側のフィルターの名前、「0.3マイクロメートル」や「99.97%」といった数字が書かれているでしょうか。
フィルターのふたを開ける場合は、必ず家の人と一緒に、電源を切ってプラグを抜いてからにしてください。
数字が書いてあれば、それが「いちばん捕まえにくい大きさでの値」であることを思い出しながら読んでみてください。書いていなくても、それは掃除機が悪いという意味ではありません。
もっと知りたくなったら、HEPAの定義は家電の用語解説[2]を開いてみてください。この記事の4章と見比べると、0.3マイクロメートルの意味がよく分かります。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:メーカーの公式仕様、家電の用語解説、米国環境保護庁、環境省などの資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- パナソニック 掃除機 MC-SS310GX 仕様。https://panasonic.jp/soji/products/MC-SS310GX/spec.html (排気側HEPAフィルターの表示について。一機種の例)
- 家電Watch 家電用語解説「HEPAフィルター」。https://kaden.watch.impress.co.jp/cda/word/2008/10/16/3037.html (HEPAの定義ともとの用途について。二次資料)
- US EPA, What is a HEPA filter?。https://www.epa.gov/indoor-air-quality-iaq/what-hepa-filter-1 (0.3マイクロメートルが最も通過しやすい粒径にあたることについて。英語)
- BreatheSafeAir(フィルターの捕集の仕組みとMPPS)。https://breathesafeair.com/respirator-filtration-mechanisms-mpps/ (拡散・慣性衝突・しゃ断の粒径の目安について。二次資料・英語)
- レンティオ サイクロン掃除機の解説。https://www.rentio.jp/matome/2021/03/cyclone-cleaner/ (サイクロン式のしくみについて。二次資料)
- Wikipedia「James Dyson」。https://en.wikipedia.org/wiki/James_Dyson (サイクロン掃除機の着想と発売について。二次資料・英語)
- assist-all「ダニの大きさ・種類・除去」。https://lifestyle.assist-all.co.jp/mite-size-types-removal-health-measures/ (ダニのふんの大きさについて。民間の解説)
- 環境省 微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報。https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html (PM2.5の大きさについて)
- 新宿区「PM2.5について」。https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/kankyo02_001015.html (マイクロメートルの単位と、PM2.5の定義について)
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