このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

クジラは どうして 毎年 おなじ 道を 泳ぐの? ── 南の 海と 北の 海を ゆく たび

毎年、決まった道を泳ぐクジラ ── 温かい海と餌場をむすぶ旅と、まだ分からない道しるべ

ザトウクジラ・コククジラの季節回遊 ── 繁殖海域と索餌海域を結ぶ経路の正確さと、航行機構をめぐる仮説

分野:生きもの

コスタリカの おきで 見られた クジラの 母と 子が、161日後に、はるか 南の なんきょくの おきで 見つかりました[1]。

クジラは どうして そんなに 遠くまで 行くのでしょう。そして、目じるしの ない 海で、どうやって 道を 知るのでしょう。

ある年、コスタリカの沖で見られたザトウクジラの母子が、161日後に、南極の沖で見つかりました[1]。半年足らずで、地球の北半球側と南半球側をまたいだことになります。

クジラはなぜ、そこまで遠くへ行くのでしょうか。目印のない海で、どうやって道を知るのでしょうか。分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて見ていきます。

ザトウクジラの写真照合を用いた研究では、コスタリカ沖で撮影された母子が161日後に南極沖で再確認された。同じ研究の最小移動距離は最大8461 kmで、当時は哺乳類で記録された最長の移動とされた(2007年)[1]。

この回遊の経路は、数日間ほぼ一定の針路を保つほど正確だと報告されている[2]。一方で、なぜ行くのか、どうやって道を知るのかは決着していない。確かな観測と仮説を区別しながら、回遊の全体像をたどる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 母と 子は、半年たらずで どこまで 行ったの?

1. コスタリカ沖から南極沖へ ── 尾びれの写真が結んだ2つの海

1. 中米と南極半島を結ぶ移動 ── 写真照合による記録(2007年)

クジラの おびれの うらは、人の 指もんのように、1頭ずつ もようが ちがうと いわれます。この もようを 写真に とって くらべると、同じ クジラかどうかが 分かります。

ある 研究では、この やりかたで、なんきょくの ちかくと 中央アメリカの おきの 両方で 見つかった ザトウクジラが 7頭 いました。いちばん 遠い 1頭は、少なくとも 8461キロメートルを 動いて いました[1]。日本の 北から 南までの ながさの、2ばいより ながい きょりです。

その なかに、母と 子の 組が いました。コスタリカの おきで 見られて から 161日後に、なんきょくの おきで 見つかったのです[1]。

中央アメリカの 海は、子を うんだり、なかまと 会ったりする ところだと 考えられて います。なんきょくの ほうは、えさを 食べる ところです[1]。クジラは、この ふたつを 行ったり 来たり します。

ただし、8461キロメートルは 「少なくとも これだけ」と いう 数です。じっさいに 泳いだ 道のりは、もっと 長いかも しれません。

クジラの尾びれの裏側には、個体ごとに違う白黒の模様があり、人の指紋のように使えます。この模様を写真で照らし合わせる方法で、南極半島の沖と中米の沖の両方で確認されたザトウクジラが7頭見つかりました。最小の移動距離は最大で8461 kmです[1]。日本列島の長さ(およそ3000 km)の2倍以上にあたります。

このなかに、母子の組がありました。コスタリカ沖で見られた母子は、161日後に南極沖で見つかっています[1]。中米の海は出産と交尾の場、南極の海は餌を食べる場と考えられています。

ここで大事なのは、「最小の」という言葉です。写真で分かるのは、2か所で同じ個体が見られたという事実だけで、途中にどんな道を通ったかは分かりません。実際の道のりは、これより長い可能性がありますが、それを測ったデータではありません。また、当時の「最長の移動」という位置づけも、その後の研究で更新されうるものです。

Rasmussenら(2007)は、南米太平洋側のザトウクジラについて、尾びれ写真の照合で、南極半島周辺の摂餌海域と中米(コスタリカ・パナマ沖)の繁殖海域の双方で確認された個体を7頭報告した。最小移動距離は最大8461 kmで、当時、哺乳類で記録された最長の移動とされた[1]。

さらに、コスタリカ沖で撮影された母子が161日後に南極沖で再確認されており[1]、中米海域が出産・交尾の場、南極海域が索餌の場と解釈された。

注意すべき点は3つある。第一に、これは衛星タグによる追跡ではなく、2地点での再確認である。第二に、距離は2地点間の最小値で、実際の移動経路の長さではない。第三に、「最長」は当時の記録であり、現在も最長かどうかは本研究からは言えない。

2. どうして 温かい 海に 行くの?

2. なぜ温かい海へ行くのか ── 決着していない4つの説明

2. 回遊の適応的意義をめぐる仮説 ── 捕食回避・保温・索餌・皮膚

ザトウクジラが 子を うみに 行く 海は、水が 温かい ところが 多いようです。世界の 24か所を しらべた 研究では、20度より 少し 高い 水から 28度くらいまでで、へいきんは 24度あまりでした[1]。

では、どうして 温かい 海なのでしょうか。じつは、はっきりした 答えは まだ ありません。いくつかの 考えが あります。

ひとつは、シャチから 子を まもる ためと いう 考えです。あたたかい 海には、寒い 海より シャチが 少ないので、生まれたばかりの 子が おそわれにくいのでは、と 考えられました[4]。ほかにも、子の 体が ひえにくい からとか、えさの ある 場所が きせつで かわる からとか、むかしの 名ごりだとか、いろいろな 考えが あります。

この どれが 正しいのか、それとも いくつも かさなって いるのかは、まだ 分かって いません。

ザトウクジラの繁殖海域は、温かい海に集まっています。世界24か所の越冬(繁殖)海域を調べた研究では、水温は21〜28℃ほどで、平均は24.6℃でした[1]。

なぜ温かい海なのかについては、複数の説があります。ひとつは、低緯度の海ではシャチによる新生児への襲撃の危険が小さいのではないか、という説です[4]。ほかにも、温かく穏やかな海が子の体温の維持に有利だという説、餌の場所の変化を追っているという説、進化の過程で残った昔の習性だという説などが挙げられています。ただし、シャチ説には反論もあり、どれが唯一の答えとは言えません。

皮膚のためかもしれない ── 2020年の新しい説

2020年、Pitmanらは、寒い海で餌を食べる鯨類が温かい海へ行くのは、皮膚の状態を健康に保つためではないか、という説を出しました。南極のシャチ62頭に衛星タグをつけたところ、6〜8週間でほとんど休まず温かい海へ行って戻る、往復およそ1万1000 kmの個体がいたという報告です[5]。

この説は、主にシャチの追跡から出されたものです。ザトウクジラなどにそのまま当てはまるかどうかは議論の途中で、定説ではありません。

越冬(繁殖)海域の水温は、世界24か所で21.1〜28.3℃、平均24.6℃と報告されている[1]。ただし、なぜ温暖な低緯度へ移動するのかという適応的意義は決着していない。主な仮説は次のとおりである。

第一に、捕食回避説。Corkeron & Connor(1999)は、低緯度海域では新生児がシャチに襲われる危険が低いことを挙げた[4]。この説には反論もある。第二に、温暖で穏やかな海が新生児の体温維持に有利だとする説。第三に、餌資源の季節変化を追った結果だとする説。第四に、過去の名残とする説である。

これらとは別に、Pitmanら(2020)は、極域で摂餌する鯨類が低緯度へ移動するのは、表皮のはがれ替わり(脱皮的な更新)を通じて皮膚を健康に保つためだとする仮説を提出した。根拠は南極のシャチ62頭の衛星追跡で、最大往復約1万1000 km、6〜8週間でほぼ休まず水温20〜24℃の海へ往復する個体が記録された[5]。また、南極で誕生直後のシャチの子が撮影されたことから、出産に温暖な水は必須でないとも述べられた。冷たい水中では体表に黄色い珪藻(けいそう)の膜が付く個体が多く、捕鯨者はそのシロナガスクジラを「サルファボトム」と呼んだとされる[5]。

この仮説の対象はシャチであり、ヒゲクジラ類全般に成り立つかは議論中である。上の説明は互いに排他的でもなく、複合の可能性もある。

3. 目じるしの ない 海で、まっすぐ 泳げるの?

3. 海流のある海でも、一定の針路を保つ

3. 一定針路区間 ── 衛星タグが示した航行精度(Horton et al. 2011)

広い 海には、道も かんばんも ありません。それでも ザトウクジラには、何日も ほとんど まっすぐに 泳ぐ ときが あると 分かりました。

クジラに 小さな そうちを つけて、人工えいせいで 場所を 追う 研究です。200キロメートル いじょうの あいだ、数日間、ほとんど 同じ 向きで 泳ぐ ところが あり、ずれが 1度より 小さい ことも よく ありました[2]。

海の 水は 流れて います。それでも、ほとんど まっすぐ 進めて いたのです。

この 研究の 人たちは、いままで 知られている やりかたでは せつめいしにくい、と 書いて います[2]。どうやって 向きを 知るのかは、まだ なぞです。

ザトウクジラに衛星タグをつけて追跡した研究では、数日間にわたって、ほぼ一定の針路を保つ区間がありました。200 km以上にわたる区間があり、その多くで1度に満たない精度でした[2]。

海には海流があります。それでも針路が保たれていたことは、クジラが何らかの方法で向きを知り、修正しながら進んでいることを示唆します。

ただし、それが何なのかは分かっていません。この論文では、既知の方位決定モデルでは説明しにくいと述べられています[2]。

また、南大西洋と南太平洋のザトウクジラでは、6500 kmを超える外洋を渡る時期も経路も別々で、著者らは「別の羅針盤の仕組み」を探る必要があると述べています[2]。

地磁気や天体を手がかりにしているという説も複数の研究者から出されていますが、どれも仮説の段階です。

Hortonら(2011)は、南半球のザトウクジラの衛星追跡から、200 kmを超える一定針路区間(数日間続く)を報告し、しばしば1度未満の精度で保たれるとした。海表面の流れが変動する条件でも針路が維持されており、既知の方位決定モデルでは説明しにくいとされる[2]。

同じ論文は、6500 kmを超える外洋の季節回遊が、南大西洋と南太平洋で時期も経路も別々に決まっている点を挙げ、「別の羅針盤の機構」を探るべきだと述べる[2]。

手がかりの候補として地磁気や天体が複数の研究から提案されているが、機構は確定していない。

4. 毎年 同じ 道を ゆくのは、なぜ?

4. 15年たっても、変わらなかった道

4. 経路の恒常性 ── 15年超の衛星データと捕鯨記録(Horton et al. 2020)

クジラの 道は、毎年 だいたい 同じ なのでしょうか。南アメリカの ちかくの ザトウクジラを 15年 いじょう 追った データと、むかしの クジラとりの きろくを くらべた 研究が あります[3]。

それによると、南南東へ むかう 道すじ、まっすぐさ、向き、時期、はやさは、海の ようすや 地じきが かわっても、大きくは かわりませんでした[3]。

研究の 人たちは、地じきではなく、重力のように 安定した 手がかりを 使って いる かのうせいにも ふれて います。ただ、これは まだ 考えの だんかいで、正しいと 決まった わけでは ありません[3]。

クジラは、道を 思い出して いるのでしょうか。それとも、生まれつきの 力なのでしょうか。それも、分かって いません。

Hortonらは2020年に、南米側のザトウクジラの15年を超える衛星データと、過去の捕鯨記録を照らし合わせた研究を発表しました。南南東へ向かう回廊、経路の直線性、向き、時期、速さは、海洋や地磁気が変化するなかでも、大きくは変わっていなかったといいます[3]。

これは、地磁気だけを頼りにしているなら、地磁気が変われば経路も変わるはずだ、という見方と食い違います。そこで著者らは、重力のように変わりにくい手がかりを使っている可能性にも触れています。ただし、可能性の指摘にとどまり、実証された仕組みではありません[3]。

子のクジラが母親から道を学ぶのか、生まれつきの能力なのかは、この資料からは分かりません。

Hortonら(2020)は、南米側のザトウクジラの15年超の衛星データと過去の捕鯨記録を用い、南南東向きの回廊、経路の直線性、向き、時期、速度が、海洋環境や地磁気の変化のなかでも大きく変わらなかったと報告した[3]。

著者らは、地磁気のような変動する手がかりだけでは説明しにくいとして、重力など安定した手がかりの可能性に触れる。ただしこれは可能性の指摘で、機構は仮説の段階にある[3]。

経路の恒常性が学習によるのか生得的なのかは、本資料からは判断できない。前章の高精度の直進性と合わせ、機構の解明は今後の課題である。

5. 海岸ぞいを ゆく、コククジラ

5. 海岸ぞいに往復する、コククジラ

5. 東部北太平洋のコククジラ ── 沿岸経路と往復約1万マイル

コククジラは、きた太平洋の クジラです。夏は ベーリング海などで えさを 食べ、冬は メキシコの 海岸ぞいへ 行きます。子は、行く とちゅうや、あさい いりえなどで 生まれます[6]。

行って もどる 道のりは、およそ 1万マイル、つまり 1万6000キロメートルほどと いわれます。地球を ぐるっと 1しゅうする ながさの、4わりほどです[6]。

秋には 北アメリカの 海岸ぞいに 南へ、春には 同じ 海岸ぞいに 北へ 進みます。ですから、アメリカの 西がわの 海岸からも、この 旅を 見る ことが できます[6]。

海岸を めじるしに しているのかも しれませんが、それを たしかめた わけでは ありません。

コククジラ(東部北太平洋の集団)は、夏は餌場のベーリング海やチュクチ海で過ごし、冬はメキシコのバハ・カリフォルニア沿岸へ向かいます。子は南へ向かう途中か、1月上旬から2月中旬ごろに浅い湾などで生まれます[6]。

往復の距離について、NOAA(アメリカの海洋大気庁)は、およそ1万マイル(約1万6000 km)で、場合によっては1万4000マイルを超えると説明しています。地球1周(約4万km)の4割ほどです。資料によって数字に幅があり、1万2000〜2万kmとするものもあります[6]。

秋には北米の海岸沿いを南へ、2月中旬から5月には同じ海岸沿いを北へ進むため、アメリカ西海岸から見ることができます[6]。海岸を目印にできる道ですが、それを目印にしていると確かめられたわけではありません。

NOAA Fisheriesによれば、東部北太平洋のコククジラは、夏の餌場であるベーリング海・チュクチ海と、冬の繁殖海域であるバハ・カリフォルニア(メキシコ)沿岸との間を回遊する。往復は約1万マイル(約1万6000 km)、場合により1万4000マイル超とされる[6]。出典によって1万2000〜2万km程度の幅があるため、ここではNOAA表記を採る。

分娩は南下中か、1月上旬〜2月中旬にメキシコの浅い湾などで起こる。秋に北米の沿岸沿いを南下し、2月中旬〜5月に同じ沿岸を北上するため、米国西海岸から観察できる[6]。

この経路は沿岸に沿うため、海岸線を手がかりにできる形をしている。ただし、実際に沿岸地形を利用しているかは、この資料からは判断できない。前章のザトウクジラの外洋回遊とは、経路の性質が異なる。

6. 日本の ちかくには、どんな 道が あるの?

6. 日本の近くを通る、ザトウクジラの道

6. 北太平洋のザトウクジラ ── 日本周辺の海域間の結びつき

日本の ちかくにも、ザトウクジラは やって きます。夏は アリューシャン列島など、北の さむい 海で えさを 食べます。冬から 春に かけて、おがさわら・おきなわ・台わん・ハワイの ちかくなど、あたたかい 海に 行き、子を うんだり、なかまと 会ったり します[7]。ながさは、数千キロメートルに なります。

おきなわの 美ら島ざいだんは、おきなわ・おがさわら・あまみ・北海道の 4つの 海で とった 3532頭ぶんの おびれの 写真を、コンピュータで くらべました。すると、日本に 来る ザトウクジラは 1つの なかまで、その中に 2つの 小さな グループが いるかも しれない、と いう ことが 分かりました[8]。

また、おきなわと フィリピンの あいだを 行き来する クジラも いました。フィリピンで 見つかった クジラの うち、43%あまりが おきなわでも 見つかって います[9]。

クジラの 道は、国と 国の あいだを こえて つながって いるのです。

北太平洋のザトウクジラは、夏にアリューシャン列島などの高緯度の海で餌を食べ、冬から春にかけて、小笠原、沖縄、台湾、ハワイ周辺の亜熱帯から熱帯の海で繁殖行動をとります。移動距離は数千kmにおよびます[7]。

沖縄美ら島財団などは、沖縄・小笠原・奄美・北海道の4海域で撮影された3532頭分の尾びれ写真を自動で照合しました。2022年の発表によると、日本周辺に来るザトウクジラは共通の1つの集団で、その中に2つの小グループがいる可能性が示されています。各海域には、ある程度の固執性もあります[8]。

フィリピンの団体との共同研究では、尾びれの特徴から、沖縄とフィリピンのあいだを行き来する個体がいることが示されました。フィリピンで確認された個体の43.48%が沖縄でも確認され、同じ年に往復した個体もいたそうです[9]。

東京都島しょ農林水産総合センターによると、北太平洋のザトウクジラは夏にアリューシャン列島など高緯度海域で摂餌し、冬〜春に小笠原・沖縄・台湾・ハワイ周辺の熱帯〜亜熱帯域で繁殖行動を行う。移動距離は数千 kmに及ぶ[7]。

沖縄美ら島財団らは、沖縄・小笠原・奄美・北海道の4海域で撮影された3532頭分の尾びれ写真を自動照合し、国内に来遊する個体は共通の1つの集団であり、その中に2つの小グループが存在する可能性を示した(2022年12月9日発表、PLOS ONE)。各海域にはある程度の固執性が見られる[8]。小グループは「示唆」の段階で、確定した区分ではない。

また、同財団とフィリピンのBALYENA.ORGの共同研究(2021年、JCRM 22(1):39-53)は、尾びれの特徴から沖縄とフィリピンの間の回遊を示した。フィリピンで識別された個体の43.48%が沖縄でも確認され、同じ年に往復した個体もいた[9]。この数字は、フィリピンで識別された個体のうち沖縄でも見つかった割合であり、両海域のクジラ全体の入れ替わりを表すものではない。

7. じぶんでも 調べて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

まず、人の 目で どれくらい まっすぐ 歩けるか、ためして みましょう。大人と いっしょに、広くて、ぶつかる ものが ない 平らな 場所で やります。

1つ、遠くの 目じるしを 決めて、そこへ 向かって 立ちます。その場で 立ったまま 目を とじて、目じるしの 方こうを 指で さします。目を あけて、ほんとうの 目じるしから どちらへ どれくらい ずれたかを 見ます。人は、目を とじると、けっこう ずれる ことが あります。ただし、クジラが どうやって 向きを 知るのかは、これとは べつの 話です。

クジラの 道に ついては、おきなわ 美ら島ざいだんや、とうきょうとの 島の しごとを 調べる センターの ホームページで、日本の ちかくの ザトウクジラの ことを 調べられます。

家でできる実験として、「目印なしで向きをどれだけ保てるか」を試してみましょう。大人と一緒に、安全な場所で、その場に立ったまま行います。

遠くの目印を決めてそちらを向き、目を閉じて、目印の方向を指でさします。目を開けて、目印からどちらへどれくらいずれたか見てみます。何回かやって、ずれ方が同じ向きかどうかも見てください。クジラが1度未満の精度を保つ例があることと比べて、目印なしで向きを保つ難しさを考える手がかりになります。ただし、人の歩行とクジラの航行は仕組みが違うので、直接の比較はできません。

資料を読むなら、沖縄美ら島財団や東京都島しょ農林水産総合センターのホームページで、日本周辺のザトウクジラについての公式情報が読めます[8][7]。

「クジラはどうやって道を知るのか」に答えが出ていないことを踏まえ、自分ならどんな手がかりを調べたいか、考えてみるのもよいでしょう。

観察としては、目印なしで向きを保てるかを、大人の付き添いのもと、その場に立ったまま試す方法がある。遠くの目印に向かって立ち、閉眼して目印の方向を指で示し、目を開けて実際の方向とのずれの向きと大きさを測る。数回繰り返すと、ずれに偏りがあるかを見られる。ただし人の方向感覚の偏りと、クジラの針路保持の機構は別の問題で、直接には比較できない。

資料を読むなら、まず Horton ら(2011)で、200 km超の一定針路区間がどのデータからどう判定されたかを読みたい[2]。次に Horton ら(2020)で、15年超の経路の恒常性をどう示したか確認するとよい[3]。Pitman ら(2020)の皮膚仮説は、根拠がシャチのデータであることを意識して読みたい[5]。日本周辺の状況は、沖縄美ら島財団や東京都島しょ農林水産総合センターの公開情報が手がかりになる[8][7]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料は、出典欄の番号と対応している。研究の結論には仮説や推定を含むため、原典で確かめてほしい。

  1. Rasmussen ほか (2007) Biology Letters。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2390682 (南極と中米を往復するザトウクジラ、最小移動距離、越冬海域の水温)
  2. Horton ほか (2011) Biology Letters。https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2011.0279 (衛星タグによる一定針路区間と航行精度)
  3. Horton ほか (2020) Frontiers in Marine Science。https://www.frontiersin.org/journals/marine-science/articles/10.3389/fmars.2020.00414/full (15年超のデータによる経路の恒常性)
  4. Corkeron & Connor (1999) Marine Mammal Science。https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1748-7692.1999.tb00887.x (シャチによる襲撃を避けるという仮説)
  5. Pitman ほか (2020) 紹介記事 ScienceDaily。https://www.sciencedaily.com/releases/2020/02/200221125111.htm (皮膚仮説と、南極のシャチの追跡)
  6. NOAA Fisheries「Gray Whale」。https://www.fisheries.noaa.gov/species/gray-whale (コククジラの往復距離と沿岸ぞいの回遊)
  7. 東京都島しょ農林水産総合センター「ザトウクジラ」。https://www.ifarc.metro.tokyo.lg.jp/archive/27,1137,55,227.html (北太平洋のザトウクジラの夏と冬の海域)
  8. 沖縄美ら島財団 プレスリリース (2022)。https://churashima.okinawa/pressrelease/1670561490/ (国内4海域の尾びれ写真の照合)
  9. 沖縄美ら島財団 トピックス (2021)。https://churaumi.okinawa/sp/topics/1620284256/ (沖縄とフィリピンのあいだの回遊)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。