1. ゆきの つぶ 1つは、どんな いろ?
1. 雪の粒を1つだけ見ると、何色か
1. 一粒の氷は透明に見える ── 光をほとんど吸収・反射しない
ゆきが つもった ところを 見ると、まっしろです。でも、その ゆきを ほぐして、ばらばらの つぶに して 見ると、ようすが ちがいます。
ひとつぶずつの こおりは、とうめいです。ひかりは、つぶの なかを ほとんど そのまま とおりぬけて いきます。
とうめいな ものが、あつまっただけで しろく なる。ふしぎですね。どこで ひかりが かわるのでしょう。
雪が積もった景色は、どこを見ても白一色です。ところが、その雪をほぐしてバラバラにした氷の粒を見ると、色はなく、透明です[1]。
透明に見えるのは、光がほとんど吸われず、はね返されもしないまま、粒の中を通りぬけていくからです。コップの水や窓ガラスが透明なのと似ています。
ここに、最初の謎があります。透明な粒が集まっただけで、どうして白くなるのでしょうか。粒の中ではなく、粒どうしが接している場所に手がかりがありそうです。
積もった雪は白い。しかし、雪をほぐして粒にした氷を単独で見ると、無色透明である。防災科学技術研究所の回答資料によれば、透明に見える理由は、光が氷の内部をほとんど吸収も反射もされずに通過するからである[1]。
そのため、白さは氷という物質そのものの色ではないと考えられる。もし氷が白い色素を含んでいるなら、一粒ずつに分けても白いはずだからである。つまり白さは、粒が集まったときの光の振る舞いから生まれる、という問いが立つ。
では、光はどこで進路を変えるのか。次の章で、雪とは別の身近な例から考える。
2. いたに やすりを かけると、どうなる?
2. 透明な板にやすりをかけると白くなる
2. やすりがけ板の白さ ── 表面の細かい凹凸が光を散らす
とうめいな プラスチックの いたに、やすりを ごしごし かけると、その ところだけ しろく なります。
やすりで こすった ところは、ひょうめんが ちいさく めくれて、でこぼこに なります。そこに あたった ひかりが、いろいろな ほうこうに はねかえります。
だから しろく 見えるのです。いたの なかみが しろく なったのでは ありません。ひかりの はねかえりかたが かわったのです。
やってみよう。おうちの 人と いっしょに、とうめいな したじきの すみに、めの こまかい かみやすりを かけて みましょう。かけた ところだけ しろく なります。ゆびを けがしないように、ゆっくり やります。
雪の白さを確かめる、身近な方法があります。透明なプラスチック板をやすりでこすると、こすった部分だけが白く見えます[1]。
やすりで削られた面は、表面が小さくめくれて、細かいでこぼこになります。そのでこぼこに当たった光は、いろいろな方向へはね返ります。板の中身が白くなったのではなく、光の返り方が変わったから白く見えるのです。
こすっていない部分は、そのまま向こう側が透けて見えます。同じ板なのに、表面だけで見え方がはっきり変わります。
やってみよう おうちの人と一緒に、透明な下敷きの端に、目の細かい紙やすりを軽くかけてみましょう。かけた所だけ白くなり、残した所は透けたままです。手を切らないよう、ゆっくり動かします。
この仕組みを、雪より扱いやすい例で確かめられる。透明なプラスチック板をやすりでこすると、こすった部分だけが白く見える[1]。
やすりがけで表面が小さくめくれ、微細な凹凸ができる。その凹凸に当たった光は、さまざまな方向に反射される。板の材料は変わっていないので、白さは物質の色ではなく、反射の向きの散らばりから生じていると考えてよい。
この例は、一枚の板の中で、こすった面と、こすらない面を並べて比べられる点が強い。材料も厚みも同じで、違うのは表面だけだからである。ただし、雪の粒は板の表面ではなく、粒どうしの境目で光を散らす。その境目で何が起きているのかが、次の問いになる。
確かめ方 透明な下敷きの端に、目の細かい紙やすりを軽くかける。作業は大人と行い、手を切らないよう、ゆっくり動かす。かけた所だけ白くなり、残した所は透けたままである。
3. こおりと くうきの さかいめで、ひかりは どうなる?
3. 氷と空気の境目で、光の向きが変わる
3. 氷と空気の境界 ── 屈折・反射・全反射
ゆきの つぶは、ひとつぶずつ かたちが ふくざつです。つぶと つぶの あいだには、くうきが あります。
ひかりが こおりから くうきに でるとき、まっすぐ すすまず、まがったり、はねかえったり します。あたる かくどに よっては、ぜんぶ はねかえる ことも あります。
ゆきの つぶが たくさん あると、この さかいめが ものすごく たくさん あります。ひかりは、そのたびに むきを かえます。
4. どうして いろは つかなくて、しろく なるの?
4. 色はそろったまま、いろいろな向きに出ていく
4. 多重反射の結果 ── 色の偏りなく散乱して白になる
ゆきに あたった ひかりは、つぶの あいだで なんども はねかえります。そして、ほとんどは、いろいろな ほうこうへ でて いきます。
ここで だいじなのは、いろんな いろの ひかりが、ぜんぶ おなじように はねかえる ことです。
いろいろな いろの ひかりが、ほとんど おなじように でて くると、めには しろく 見えます。ゆきが しろいのは、そういう わけです。
雪に当たった光は、粒の間で少しずつ反射をくり返します。そして、その大部分が、さまざまな方向へ出ていきます[1]。そのため、雪は白く見えます[4]。
もう一つの条件は、色の扱いです。さまざまな色の光が、全部同じようにはね返されると、物は白に見えます[2][3]。赤だけ、青だけが特に吸われたり、強くはね返ったりしないので、色がつかないのです。
やすりをかけた板も、雪も、仕組みは同じです。光を特定の色だけ消さないまま、いろいろな方向に散らす面が、白く見えるのです。
雪に当たった光の大部分は、さまざまな方向へ反射した光となって外へ出る[1]。これが、雪が白く見える直接の理由である[4]。
色の面から見ると、条件はもう一つある。さまざまな色の光が、すべて同じ程度に反射されたとき、物は白に見える[2][3]。氷はほとんど光を吸わないので、特定の色だけが減ることもなく、波長ごとの偏りが生じにくい。そのため雪には色がつかず、白になると考えられる。
ここで、やすりがけ板との対応を整理しておく。どちらも、材料そのものは無色透明で、光の吸収が小さい。違いは、光を散らす面や境目が数多く存在するかどうかにある。
限界も押さえておく。この説明は、光の吸収が小さい条件の話である。氷が厚くなったときの色の変化までは、この記事の範囲ではない。
5. しおや さとうも、おなじ なの?
5. 塩や砂糖が白いのも、同じ理由
5. 塩・砂糖との共通点 ── 透明な粒の集まりは白い
おうちに ある しおや さとうも、よく 見ると、ひとつぶずつは とうめいです。でも、あつまると しろく 見えます。
ゆきと おなじで、つぶの さかいめで ひかりが いろいろな むきに はねかえるからです。
ゆきも しおも さとうも、おなじ しくみで しろく 見えている。そう 考えると、ふしぎが ひとつに つながります。
台所の塩や砂糖も、粒を一つだけ取り出すと透明です[2]。それでも山にすると白く見えます。
理由は雪と同じで、粒の表面や境目で光がいろいろな方向にはね返るからです[3]。透明な物の粒を集めると、白く見える。雪、塩、砂糖、やすりをかけた板は、同じ仲間だといえます。
雪は冷たくて特別に見えますが、白さの仕組みは、台所にある物と変わりません。
塩や砂糖の結晶も、一粒を見ると透明であり、集めると白い。メーカーの解説は、これも氷の粒の集まりが白い理由と同じしくみで説明している[2]。北海道大学低温科学研究所の研究者による解説も、小さな粒の集まりがおおむね白く見える例として、砂糖や塩を挙げている[3]。
これで、四つの例が一つの説明にそろう。無色透明の雪、塩、砂糖、やすりをかけた板は、どれも光の吸収が小さく、粒または面の細かい構造が光をさまざまな向きに反射する。
このように、物質が白いのは、色素の色というより、光の散らし方の結果だと整理できる。ただし、この記事が扱うのは光が吸われにくい透明な材料に限る。色のついた物や、金属の光沢は別の説明が必要である。
6. しろい ものを 見たら、ためして みよう
6. 身の回りで「透明なのに白い」ものを探す
6. 身の回りで確かめる ── やすりがけ板と塩・砂糖
つぎの ことを、ためして みましょう。まず、したじきや、とうめいな ファイルを さがします。さわって みて、すこし ざらざらな ところが あれば、そこだけ しろく 見えるか 見て みましょう。
つぎに、しおと さとうを ひとつぶずつ、ちゅういして 見て みます。虫めがねが あれば、ひとつぶが とうめいに 見えるか たしかめましょう。
ほんとうに ひとつぶずつは とうめいか、じぶんの めで たしかめて みてください。
透明なのに白く見えるものは、探してみると身の回りにたくさんあります。透明な下敷きやファイルで、すり傷がついて白っぽくなった所があれば、そこでは光が散らされているはずです。
塩や砂糖は、粒を一つだけ取り出して光に透かし、虫めがねで見てみましょう。一粒では透明に見えるか、山にすると白く見えるのはなぜか、自分の目で比べられます。
雪が降る土地に住んでいるなら、手のひらに載せた雪が一粒ずつどう見えるかも、材料になります。防災科学技術研究所の資料には、ほかにも雪や氷についての子ども向けの質問と回答が載っています。
この記事で使った説明の根拠は、防災科学技術研究所の回答資料[1]、メーカーの解説[2]、北海道大学低温科学研究所の研究者による解説[3]、学習サイトの解説[4]の四つである。[1]は雪氷の研究機関による子ども向けの公式資料、[3]は雪氷物理の研究者が書いた一般向けの文章、[2]と[4]は一般向けの解説で、同じ現象を別の立場から説明している。
確かめ方は、やすりがけ板と塩・砂糖の二つである。やすりがけ板は、こすった面と残した面の違いを一枚の板の上で比べられる。塩・砂糖は、一粒を透かして見たときの透明さと、山にしたときの白さを比べられる。虫めがねを使うと、粒の形や境目も見えやすい。
雪の粒の一つ一つを見るには、季節と場所の条件が合う必要があるため、日常ではやすりがけ板か塩・砂糖のほうが確かめやすい。
資料の原文を読むと、本文にない回答にも出会えるだろう。2つの出典欄から、それぞれの公式ページへ行ける。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
この記事は、次の4つの資料を突き合わせて書いています。
- 防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター「子ども向け質問回答(2023)」 https://www.bosai.go.jp/seppyo-prev/fukyu/ippankoukai/2023/20230729_questionnaire.pdf (粒が透明な理由・やすりがけ板・雪が白い理由)
- キヤノン キッズ なぜなに「雪が白い理由」 https://global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_01_14.html (境目での反射・全反射・塩や砂糖が白いこと)
- 古川義純「雪氷学のトビラ 氷河はなぜ青い」(北海道大学低温科学研究所、OriOri vol.40 掲載) https://www2.lowtem.hokudai.ac.jp/pdf/13oriori40.pdf (小さな粒の集まりが光を散乱して白く見えること・砂糖や塩・全部の色を散乱すると白いこと)
- 学研キッズネット 科学なぜなぜ110番「雪はどうして白いの」 https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0348/ (小さな雪の粒がいろいろな色の光を乱反射し、まざって白く見えること)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。