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飛行機ひこうきの 窓まどの 下に ある 小さな 穴あなは、なんの ために あいて いるの?

飛行機の窓の下にある小さな穴は、何のためにあいているのか

旅客機の窓の小さな穴(ブリードホール)は、二重の窓でどんな役目を果たしているのか

分野:技術

飛行機ひこうきの 窓まどの すみに、えんぴつの 先ほどの 小さな 穴あなが あいて いる ことが あります。ふつうの 家の 窓まどには ない 穴あなです。

この 穴あなが あると、2まいの 板の うち、どちらが 空気の 力を うけるかが きまります。どんな しくみなのか、わかります。

旅客機の窓の下には、小さな穴がひとつあいていることがあります。これは「ブリードホール」と呼ばれ、2枚重ねの窓のどちらの板が力を受け持つかを決める、小さな安全装置だといわれます。

ただの穴が、なぜ窓を守るのでしょうか。穴の役目、外側の板が壊れたときの備え、そしてアクリルの窓が熱に弱いという意外な性質が分かります。

旅客機の窓の小さな穴は、窓の板の「役割分担」を決めている。穴によって客室の空気が板のあいだに入り、飛行中の気圧差による荷重を外側の板が受け持つ設計になっているとされる[2]。

では、穴がなければ何が困るのか。外側の板が壊れたあとはどうなるのか。さらに、窓の素材であるアクリルが熱で縮む性質は、この構造とどう関わるのか。この3点を、メーカーの安全情報誌と米国の連邦規則から読み解く。

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1. 窓まどの 穴あなは、なにを して いるの?

1. 窓の小さな穴は、何をしているのか

1. ブリードホールは二重窓のどこにあり、何をするのか

つぎに 飛行機ひこうきに のったら、窓まどの 下の ほうを 見て ください。小さな 穴あなが あいて いる ことが あります。この 穴あなは 「ブリードホール」や 「ブリーザーホール」と よばれて、だいじな やくわりを もって います[1]。

こたえを 先に 言うと、この 穴あなは、お客さんの いる ところの 空気くうきを、2まいの 板の あいだに 入れて います[2]。そうすると、外がわの 板が 空気くうきの 力を うけもち、中がわの 板は ひかえに まわれます。

この 力は、飛行機ひこうきの 中と 外の 気圧きあつの ちがいから うまれます[1]。穴あなは、その 力が どの 板に かかるかを きめる やくめを して います。

旅客機の窓にあいている小さな穴は、ブリードホール、またはブリーザーホールと呼ばれ、安全のための大切な働きをしています[1]。

窓は、内側の板と外側の板の2枚のアクリル板でできています[2]。穴は内側の板にあいていて、客室の空気が2枚のあいだの空間に入るようになっています[2]。なお、この穴のある板を、別の資料は「窓の中間の板」と書いています[1]。数える枚数や呼び方は資料によってちがうので、ここでは「客室側の板にあいた穴」と受けとめておきます。

題名の問いに先に答えると、穴は窓にかかる空気の圧力の量を調整し[1]、外側の板がその圧力を受け持つようにしています[1]。次の章で、なぜ穴ひとつでそうなるのかを見ます。

ブリードホール(ブリーザーホール)は、旅客機の窓の板にあけられた小さな穴で、窓にかかる圧力の量を調整する安全機能を持つと説明される[1]。機体メーカーのエアバスの安全情報誌によれば、窓は延伸アクリルの内側の板と外側の板の2枚で構成され、内側の板の小さな通気孔が、客室の圧力を2枚のあいだの空間に導く[2]。

なお、TIME誌の記事はこの穴を「窓の中間の板」にあると書く[1]。エアバスの資料は「内側の板」と書くので、窓を何枚と数えるか、どの板を何と呼ぶかは資料ごとに異なると考えられる。本稿は、どちらの資料も共通して述べている点、つまり客室の空気を板のあいだに入れる穴であるという点だけを軸にする。

問いへの答えの要点は、穴によって圧力の荷重が外側の板に受け持たれ、内側の板は荷重を免れるという構造にある[2]。以下、その理由と、ほかの効果、壊れたときの備え、素材の弱点の順に深める。

2. 穴あなが あると、なぜ 外がわの 板が 力を うけるの?

2. 穴があると、なぜ外側の板が圧力を受け持つのか

2. 内側の板が圧力サイクルを免れる理由

リレーを 思いうかべて ください。ずっと はしる 人と、元気に とっておく 人が います。窓まどの 2まいの 板も、同じように やくわりを 分けて います。

エアバスが 説明せつめいする ふつうの 客室の 窓まどでは、お客さんの へやの 空気くうきは、穴あなから 2まいの あいだに 入ります。すると 中がわの 板は、りょうがわの 空気くうきが 同じに なり、おされる 力が 小さく なります。

のこった、飛行機ひこうきの 中と 外の 気圧きあつの ちがいは、外がわの 板が うけます[1]。飛行機ひこうきは とぶたびに、地面の 近くと 空の 上を 行き来します。そのたびに 中がわの 板が おされて いたら、くり返しで つかれて しまいます。穴あなの おかげで、中がわの 板は その つかれを うけずに すみます[2]。

ただし 本当の 窓まどは、リレーの ように 人が かわるのでは なく、板に 力が かかる 場所を つくる ときに きめて いる のです。

陸上のリレーで、走る人と控えの人がいる場面を思い浮かべてみてください。窓の2枚の板も、似た役割分担をしています。ただし、これは分かりやすくしたたとえで、本当の窓は、穴のしくみで力のかかる板を設計のうえで決めているのです。

客室の空気が穴から2枚のあいだに入ると、内側の板の両側の圧力は、ほぼ同じになります。窓にかかる客室内外の圧力差による荷重は、外側の板が受け持ちます[1]。

この分担には、疲労を避けるねらいがあります。飛行機は離着陸のたびに、地上付近と高い空のあいだで、窓にかかる圧力が上がったり下がったりします。この繰り返しを「圧力サイクル」と呼びます。内側の板は、穴のおかげで圧力サイクルによる疲労を受けずにすみます[2]。

さらに、窓は「プラグタイプ」と呼ばれる構造で、圧力差によって窓枠に押しつけられる形になっています[2]。内側から押されるほど、枠にしっかりはまる栓のようなものです。圧力が窓を外へ押しても、枠から抜けにくいように作られている、ということです。

穴がなければ、外側の板だけでなく内側の板にも、客室内外の気圧差による荷重がかかってしまう。エアバスの資料は、通気孔によって客室の圧力が2枚の板のあいだに伝わり、内側の板が飛行ごとの圧力サイクルによる疲労を受けずにすむ、と説明している[2]。TIME誌の記事も同じ趣旨で、穴は外側の板が気圧に耐えるようにするための機構だと述べる[1]。

ここで重要なのは、「荷重を減らす」のではなく「どの板が荷重を受け持つかを決める」点である。通常の状態では、荷重は外側の板が受け持つ。そのため、外側の板は疲労を受ける前提で設計され、内側の板は、あとで見る万一の備えとして、傷んでいない状態で温存される。リレーにたとえれば、先頭の走者と、控えの走者を分けておく形だ。ただし実際の窓では、走者が交代するのではなく、荷重を受ける板がはじめから決まっている。

もう一つの前提が、窓の固定のしかたである。窓は「プラグタイプ」の構造部品で、圧力差が窓を窓枠に押しつける[2]。つまり圧力が高いほど、窓は枠から抜けにくくなる。後の章で述べるアクリルの縮みは、この前提をくずす条件として働く。

3. 穴あなには、ほかにも やくに 立つ ことが あるの?

3. 穴には、窓の曇りを防ぐ働きもある

3. 板のあいだの水分と、穴の副次的な効果

この 穴あなには、もうひとつ べんりな はたらきが あります。2まいの 板の あいだに たまった 水分を、外へ にがして くれるのです[1]。

お ふろの かがみや、さむい 日の めがねは、水分が つくと くもります。窓まどの 板の あいだに 水分が たまると、おなじ ことが 起きて、外が 見えにくく なります。穴あなが あれば、水分を にがせるので、窓まどが くもりにくく なります[1]。

寒い日にめがねをかけたまま温かい部屋に入ると、レンズが曇ります。窓の板のあいだに水分がたまると、同じことが起こり、外の景色が見えにくくなります。

ブリードホールは、内側の板と外側の板のあいだにたまった水分を逃がします[1]。その結果、窓が曇るのを防ぐ効果もあります。圧力の分担のための穴が、見え方の手入れも兼ねているわけです。

穴の役目は、圧力の分担だけではない。TIME誌の記事は、穴が内側の板と外側の板のあいだの隙間から水分を逃がし、窓が曇るのを防ぐと述べる[1]。窓の隙間は閉じた空間ではなく、穴を通して客室側とつながっているため、湿った空気がたまったままになりにくいと考えられる。

ただし、水分の逃げやすさと穴の大きさの関係や、曇りがどの程度防がれるかを示す数値は、今回の資料には出てこない。ここは「そういう効果もある」と紹介されている段階にとどめ、圧力の分担を主な役目、水分を逃がすことを副次的な効果として読むのが妥当だろう。

4. 外がわの 板が われたら、どう なるの?

4. 外側の板が壊れても、内側の板が支える

4. 単一故障の後も耐える窓と、15,000フィートの前提

外がわの 板は、いつも 力を うけて がんばって います。もし 万が一、その 板が こわれたら、どう なるのでしょう。

この 窓まどは、そんな ときの ために 作られて います。穴あなの しくみのおかげで、こわれる なら まず 外がわの 板だと 考えられて いて[1]、そのあとも 中がわの 板が 気圧きあつの ちがいに たえる ように 作られて います[2]。

中がわの 板は、とぶたびの おされる 力を うけて いないので、きずが つきにくいのです。だから、いざと いう ときに ちゃんと 力を 出せます。そのおかげで、飛行機ひこうきは とびつづける ことが できます[2]。

外側の板は、いつも圧力の荷重を受けています。では、まれに壊れたらどうなるのでしょうか。エアバスが説明する一般的な客室窓では、壊れるなら外側の板が先になるとされます[1]。

そのとき、飛行ごとの圧力サイクルを受けてこなかった内側の板が、気圧差の荷重を受けとめるように設計されています。エアバスの資料は、そのおかげで外側の板が壊れても飛行を続けられる、と説明します[2]。

これは設計者の心がけだけでなく、規則にも根拠があります。米国の連邦航空規則(14 CFR 25.775)は、窓の板が客室の最大の気圧差の荷重に耐えることを求め、さらに、設備や関連システムに1つの故障が起きたあとも、その荷重に耐えることを求めています[3]。エアバスの資料が説明する「外側が壊れても内側が支える」二重窓は、この「ひとつ壊れても大丈夫」という考え方に合う設計です。ただし、条文が二重窓そのものを名指ししているわけではありません。

規則は、操縦室の乗員が気づく故障が1つ起きたとき、適切な運用制限に従って客室の気圧差を下げ、客室の気圧高度を15,000フィート(約4,570m)以下にして飛び続けることを前提にしてよいとも認めています[3]。

外側の板が壊れた場合でも、内側の板は、飛行ごとの圧力サイクルを受けていないため疲労にさらされにくく、差圧荷重を支えるように設計されている[2]。一般的な客室窓では、まれに板が壊れるなら外側が先になる、とTIME誌の記事も述べる[1]。穴による荷重の振り分けは、疲労を避けるだけでなく、どちらの板が先に壊れるかを決める働きもしていると考えられる。

この設計の根拠になる規則が、米国の連邦航空規則14 CFR 25.775である。条文は、窓の板が最大の客室内外気圧差の荷重(空気力学的な圧力や温度の影響を組み合わせた荷重を含む)に耐えられることを求め、さらに設備や関連システムに単一の故障が生じたあとも、その荷重に耐えることを求める[3]。エアバスが説明する、外側が壊れても内側が支える構造は、この「単一故障後も耐える」という要求に合う設計と位置づけられる。ただし、条文がエアバスの二重窓を直接名指ししているわけではない点には注意したい。

条文はさらに、操縦室の乗員が気づく故障が1つ起きたとき、適切な運用制限に従って客室の気圧差を下げ、客室の気圧高度を15,000フィート以下にして飛行を続けることを前提にしてよいとする[3]。15,000フィートは、1フィート=0.3048mで計算すると約4,570mである(筆者の計算)。つまり、窓が1つ壊れても無理に高い気圧差を保たず、降下して差を小さくしながら安全に着陸地へ向かう前提が、規則に組みこまれている。

5. 窓まどは、あつさに よわいって ほんと?

5. アクリルの窓は、強い熱に当てると縮むことがある

5. アクリルのシュリンクバックと、窓が外へ出る危険

この 窓まどの 板は、アクリルと いう ざいりょうで 作られて います[2]。ガラスの ように かたい ものに 見えますが、ねつに よわい せいしつが あります。

アクリルは、ふだんは 考えられない くらい 高い おんどに さらされると、やわらかく なって、もとの 形に もどろうと して ちぢみます[2]。

もし 板が ちぢんで、窓まどの わくより 小さく なって しまうと、とんで いる ときの 気圧きあつの ちがいで、板が 外へ おし出される おそれが あります[2]。だから、強い ねつを 窓まどに あてつづけないように、ちゅういが よびかけられて います。

窓の板はアクリルでできています[2]。ガラスのように硬くて頑丈そうに見えますが、熱には弱い面があります。

アクリルは、ふだんでは考えられないほどの高温を受けると、やわらかくなって元の形に戻ろうとし、縮む性質があります。これを「シュリンクバック効果」と呼びます[2]。

窓の板が縮んで窓枠より小さくなると、前の章で見た「圧力差で枠に押しつけられて固定される」しくみがくずれます。高度を飛んでいるときの客室の気圧差が、その板を外側へ押し出してしまうおそれがあるのです[2]。

エアバスの安全情報誌は、こうした性質を知ったうえで、強い熱が窓に当たらないようにすることが大切だと伝えています[2]。圧力に強い窓も、熱という別の条件には弱いことがあるという例です。

窓の素材であるアクリルには、異常な高温を受けるとやわらかくなり、元の形に戻ろうとして縮む性質がある。エアバスの資料はこれを「シュリンクバック効果」として説明する[2]。ここで問題になるのは、1章で見た固定方法との関係である。窓はプラグタイプで、圧力差が窓を枠に押しつけて固定する[2]。ところが板が縮んで窓枠より小さくなると、この押しつけが成り立たない。高度での客室の気圧差が、その板を外側へ押し出す危険が生じる[2]。

つまり、窓の安全は、板の強さと、板の形が保たれることの両方に支えられている。ブリードホールと二重構造は、前者に対する工夫であり、シュリンクバックは後者に対する弱点にあたる。穴の仕組みだけで窓の安全が決まるわけではない。

ただし、この資料が何度から縮むのか、どのくらいの熱源でどれだけの時間かといった数値は、今回の記事では扱えない。「強い熱を当て続けない」という注意の方向を押さえるにとどめる。

6. こんど 飛行機ひこうきに のったら、なにを 見て みよう?

6. 次に飛行機に乗ったら、窓の下を見てみる

6. 窓の穴の観察と、読んでみたい資料

こんど 飛行機ひこうきに のる ことが あったら、窓まどの 下の ほうを よく 見て みましょう。小さな 穴あなが あるでしょうか。あれば、まわりの 板が 2まい かさなって いるか、じっくり 見て みます。

窓まどに 手や ものを おしつけたり、ライトを あてつづけたり しては いけません。見るだけに して ください。

見つけたら、「この 穴あなは、2まいの 板の どちらが 空気の 力を うけるかを きめて いるんだ」と 思い出して みて ください。

もっと 知りたい 人は、飛行機ひこうきを 作る 会社の 「あんぜんの お知らせ」も 読んで みて ください。

次に飛行機に乗る機会があれば、窓の下のほうを見てみましょう。小さな穴はありますか。窓の板は2枚重なっているように見えますか。座席によっては、見えにくいこともあります。

窓を強く押したり、光や熱を長く当てたりせず、見るだけにしてください。穴が見つかったら、「圧力を受け持つ板を決めている穴だ」と思い出してみましょう。

もっと知りたいときは、家にある透明な板やふたつきの容器を横から見て、板が重なっているようすを絵にかいてみましょう。2枚の板のあいだにすきまがあると、どこに力がかかりそうか、考えるきっかけになります。

飛行機に乗る機会があれば、窓の下に穴があるか、見るだけで確かめられる。穴の位置や数は機種や座席で異なるかもしれないが、今回の資料には穴の寸法や位置のデータはない。観察の際は窓に強い力や熱を加えず、見るだけにとどめる。

原典として、エアバスの安全情報誌Safety Firstの記事[2]と、米国連邦規則14 CFR 25.775[3]が読める(いずれも英語)。TIME誌の記事[1]は、穴の役目を短くまとめた入口になる。

残る問いは二つある。一つは、穴の大きさや位置が、どのように決められているか。もう一つは、窓の板の枚数や呼び方が、機種やメーカーでどうちがうのか。調べてみたくなる入口である。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

窓の構造は航空機メーカーの安全情報誌とニュース記事、規則は米国連邦規則の条文を使いました。穴の寸法や、機種ごとの枚数の違いは載せていません。

  1. TIME: Here's the Perfectly Logical Reason Airplane Windows Have Holes https://time.com/3903109/airplane-window-holes/ (穴の名前と、圧力・水分の役目。英語)
  2. Airbus Safety First: Under the Spotlights https://safetyfirst.airbus.com/under-the-spotlights/ (二重窓の構造、圧力サイクル、アクリルの縮み。英語)
  3. 14 CFR § 25.775 Windshields and windows (Cornell LII) https://www.law.cornell.edu/cfr/text/14/25.775 (最大気圧差への耐久と単一故障後の要求。英語)
  4. eCFR: 14 CFR § 25.775 Windshields and windows https://www.ecfr.gov/current/title-14/section-25.775 (米国政府の公式条文。英語)

なおした ところ

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