1. 花が 100万、実は 200こ
1. 100万の花のうち、実になるのは5000個に1個
1. 約100万の花と約200個の実:着果率の見積もり
大きく そだった アボカドの 木は、1本で 100万ぐらいの 花を つけると いわれます[1]。ところが、とりいれまで 木に のって いる 実は、よい 年でも 200こほどです。ときどき 500こに なる 年も あります。
200を 100万で わると、5000この 花に 1この 実、という わりあいです。100この 花に 1こ、よりも ずっと すくないのです。
では、どうして こんなに へって しまうのでしょう。まず、花の ふしぎな さきかたを 見て みましょう。
数えてみると
カリフォルニア大学の普及資料によると、成熟したアボカドの木には、ふつう約100万の花がつきます。そのうち、実になって収穫まで木に残るのは、よい年で約200個、まれに500個ほどです[1]。
200を100万で割ると0.02%で、5000個の花に1個の割合です。「100個に1個」ではなく、桁が2つちがいます。500個の年でも、0.05%です。
別の調べでは、もう少し多い
別の講演の要約では、自然な状態での着果率は0.15%(約700個の花に1個)、人の手で受粉させると2.8%(100個の花に約3個)とされています[2]。0.02%と0.15%は、調べた対象や数え方がちがうため、並べて矛盾とは言えません。どちらも、花の数に比べて実がとても少ないことを示しています。
手で受粉させても3%に届かないことは、花粉が足りないだけではない理由が、ほかにもあると考えられます。その手がかりが、花の咲きかたにあります。
カリフォルニア大学の普及資料は、成木には通常約100万の花がつき、「よい」着果の年でも収穫まで木に残る実は約200個、まれに500個と述べる[1]。200/100万=0.02%、すなわち5000花に1個であり、「100花に1個」と読むと2桁ずれる。
数字は調べ方で変わる。別の講演要約は、自然条件の着果率を0.15%(約700花に1個)、人工授粉で2.8%(100花に約3個)と報告する[2]。0.02%は収穫まで木に残った実、0.15%は着果した実という数え方のちがいが考えられ、定義の異なる数字どうしを矛盾として並べるべきではない。
注目すべきは、人工授粉でも2.8%にとどまることだ。花粉が届かないことだけでは、この低さは説明しきれない。では、花そのものにどんな仕組みがあるのか。
2. 同じ 花が、2回 ひらく
2. 同じ花が、雌と雄で2回開く
2. 雌雄異熟:A型とB型の開花時刻
アボカドの 花は、1つの 花が 2回 ひらきます。1回めは、めすの 花です。花粉を うけとる ほうです。いったん とじて、つぎの 日に、こんどは おすの 花として ひらきます。花粉を 出す ほうです[2]。
しかも、木には 2つの なかまが あります。Aがたの 木は、1日めの 午前に めす、2日めの 午後に おすに なります。Bがたは、1日めの 午後に めす、2日めの 午前に おすです。
どうして、わざわざ そんな ことを するのでしょう。
3. A がたと B がたを ならべて うえる わけ
3. 2つの型が、花粉を受け渡す
3. 型の組み合わせと、型を決める遺伝子
1日めの 午前を 見て ください。Aがたの 木は めすで、Bがたの 木は おすです。花粉を わたす 人と、うけとる 人の じかんが、ちょうど かさなります。午後は、その ぎゃくです[3]。
ボールを なげる 人と、うけとる 人の じかんが あう ような ものです。ただし 本当は、花粉は 人が なげるのでは なく、おもに 虫が はこびます。
1本の 木だけでは、うまく 花粉が わたらない ため、AがたとBがたを まぜて うえると いわれます。
2026年には、アメリカの 大学の 研究チームが、Aがたか Bがたかを きめる いでんしを 見つけたと はっぴょうしました[4]。
時間割が、うまくかみ合う
1日目の午前には、A型の木が雌、B型の木が雄になっています。午後は、その逆です。2つの型が近くにあると、一方が受け取る時間に、もう一方が花粉を出すので、型どうしで花粉をやりとりしやすくなります[3]。
1本の木だけでは受粉しにくいため、A型とB型を混ぜて植えることがあります。キャッチボールで、投げる人と受ける人の時間が合うようなものです。ただし花粉は、人が投げるのではなく、主に昆虫が運びます。
型を決める遺伝子
2026年、カリフォルニア大学の研究チームが、A型かB型かを決める遺伝子を特定し、学術誌に発表したと報じられています[4]。この遺伝子は、近縁の木にも見つかったとのことで、何千万年も前から続く仕組みの可能性が語られています。花の時刻表が遺伝子で決まっているなら、品種をつくる研究にも使えそうです。
日中の時間帯に注目すると、1日目の午前にはA型が雌、B型が雄、午後はその逆になる。つまり、2つの型が近くにあれば、雌の時間と雄の時間が型どうしで重なり、型間の送粉が促される[3]。だから、1本の木だけでは受粉しにくく、栽培ではA型とB型を混ぜて植えることがある。
では、型は何で決まるのか。2026年、カリフォルニア大学の研究チームが、A型かB型かを決める転写因子の遺伝子(SDMYB)を特定し、PNAS誌に発表したと大学のニュースが伝えている[4]。同じ遺伝子の仕組みは近縁の少なくとも26種で見つかり、約4200万年続くと推定されるという。ただし、これは報道・大学発表を通じた情報で、原論文での確認は別に必要である。年数は推定であり、断定はできない。
型が遺伝子で決まるなら、将来は、花の咲く時刻から、品種づくりに役立てる道もありうる。ただし、実際にどう使われるかは、この資料からは語れない。
4. ハチと 気温が、実の つきを きめる
4. 花粉を運ぶハチと、実がつかない寒い日
4. 受粉の条件:昆虫と気温の影響
めすの 花に 花粉を はこぶのは、おもに ミツバチなどの 虫です。ハチの いない あみの 中の 木は、実の つきが とても わるかったと いう 話が あります[1]。
ミツバチは、アボカドの 花が とくべつ すき なわけでは ない そうです。それでも、花ふんを はこぶ たいせつな はたらき手です。
気温も 大じです。ひくい 日が つづくと、めすの 花が ひらくのが おくれます。ならして 16度ぐらいを 下まわると、実が つかない ことが ある と されます[1]。
花が たくさん さいても、ハチと 気温が そろわないと、実には なりません。
ハチは、アボカドの花が特別に好きなわけではない
カリフォルニア大学の資料では、ハチのいない囲いの中の木は、実のつきがとても悪かったと述べられています。花粉の運び手として、ミツバチなどの昆虫が大切だということです。ただし、ミツバチにとってアボカドは、好みの花の上位にあるわけではないとも書かれています[1]。
気温で、花の時刻がずれる
気温が低いと、雌の段階の開花がおくれます。平均で約16℃(60°F)を下回ると、実がつかないことがあるとされます[1]。数値は目安で、条件によって変わります。
前の章のA型とB型の時刻表も、気温に左右されると考えられています。研究チームは、数百本の木で、数千の花の開閉を1時間ごとに記録して、温度によるずれを調べました[4]。
時刻表がずれると、雌と雄の時間が重ならなくなります。花が100万咲いても、実が200個ほどにまで減るのは、こうした条件が重なるからと考えられます。ただし、どの条件がどれほど影響するかは、資料からは分かりません。
花粉の運び手は昆虫、特にミツバチである。ハチのいない囲いの中の木は着果が極めて悪く、アボカドはミツバチの好む花の上位にはないとも述べられている[1]。この資料では、ハチがいない囲いの中で着果がとても悪かったと報告されている。
温度も効く。低温では雌の開花がおくれ、平均約16℃(60°F=約15.6℃)を下回ると着果しないことがある[1]。この温度は目安であり、品種や条件で変わる点に注意したい。
2026年の研究では、数百本の木で、数千の花の開閉が1時間ごとに記録されたという。温度で開花時刻がずれるため、時間単位の観察が必要だったと説明されている[4]。
型の時刻表が気温でずれれば、雌と雄の時間が重ならない日が出る。したがって、100万の花から実が200個に減る過程は、受粉の不足だけでなく、複数の条件の重なりとして読むのが自然だが、各要因の寄与の大きさは、この資料からは断定できない。
5. 実は、木の 上では うれない
5. 木にぶら下げたままでは、実が熟さない
5. 収穫後に熟す果実:樹上での追熟と農家の利点
やっと 実が なっても、まだ ふしぎが あります。アボカドの 実は、木に ついた ままでは うれません。木から とって はじめて、やわらかく なります[5]。
この せいしつは、農家にとって ありがたい ことだと、むかしの 研究に 書かれて います。木に ぶら下げた まま、とる 日を、ながい あいだ、ずらせるからです。
とったあとは、追熟が はじまります。くだものが 出す「エチレン」という ものが かかわります。バナナや リンゴと 紙ぶくろに 入れると、2〜3日で やわらかく なると しょうかい されて います[6]。
収穫するまで熟さない
1966年の研究報告は、アボカドの実は木についたままでは熟さない、と述べています。そしてこれは、農家にとって有利だと続けます。収穫の時期を長くのばせるからです[5]。
アボカドは、木にぶら下げたまま「待てる」ことになります。なぜ木の上では熟さないのか、その生理的な仕組みの詳細までは、ここで使った資料からは語れません。
収穫のあとの「追熟」
収穫後は、エチレンという、果物が出す植物ホルモンで熟すとされます。バナナやリンゴといっしょに紙袋に入れると、2〜3日でやわらかくなると紹介されています[6]。
実がなるまでの道のりは、まだ終わりません。木そのものが育つ年月を、次の章で見てみましょう。
アボカドの実は、木に付いたままでは熟さず、収穫してはじめて熟す。1966年の研究(UCリバーサイド)は、これを栽培者にとって明確な利点とし、収穫期間を比較的長くのばせるからだと述べる[5]。つまり、収穫時期の幅を農家が決められる。
収穫後は、エチレンの働きで追熟する。エチレンは果物が出す植物ホルモンの一種で、バナナやリンゴと紙袋に入れると、2〜3日でやわらかくなる例が紹介されている[6]。ただし、なぜ樹上では熟さないのか、その生理的な理由はここで使った資料では述べられておらず、本稿も断定を避ける。
花から実へ、実から食べごろへ。では、この木が最初の花を咲かせるまで、どれほどの年月が必要なのか。
6. 木を うえてから、実が なるまで
6. 実がなるまでに、5年以上かかる木
6. 初結果までの年数と、寒さ・風への弱さ
アボカドは、たねから そだてると、はじめて 実が なるまで ならすと 7年。10年 いじょう かかる ことも あります[7]。
苗を 買って うえても、国内の しらべでは、はじめて 実が なるまで 5〜6年 かかったと されます[8]。
この 木は、さむさと 風にも 弱いのです。ねが あさいので、風よけが いります。とくに わかい 木は、ひくい 気温で いたむと されて います[8]。
花が 100万 さいて、実が 200こ。そのあいだには、とても ながい 時間と、たくさんの 気づかいが あるのです。
タネから育てると、7年以上
栽培の解説では、タネから育てた木が初めて実をつけるまでに、平均で7年かかり、個体によっては10年以上かかることもあります。苗木を接ぎ木で作ると、植えた年か翌年に花が咲くとされます[7]。
農研機構が、暖地(鹿児島)で行った栽培では、初めて実がなるまで5〜6年かかり、収益が見込めるのは植えてから10年目以降とされています。解説の「翌年に開花」は目安で、実がなるまでの年数とは別の話です[8]。
寒さと風に弱い
寒さと風に弱い木です。苗木が寒さで傷む温度は、品種によって、「ピンカートン」で−2.6℃、「ベーコン」で−5.6℃、「メキシコーラ」で−8.6℃と報告されています。根が浅く、風に弱いため、防風対策も必要です[8]。
花が100万咲いて、実が200個。その陰には、長い年月と、たくさんの気づかいがあります。
アボカドは、タネから育てると初めて実がなるまで平均7年、個体によっては10年以上かかる。接ぎ木苗では植えた年か翌年に開花するとされる[7]。ただし、これは栽培書の目安にとどまる。農研機構の暖地(鹿児島)での試験は、接ぎ木苗でも初結果まで5〜6年、収益が見込めるのは植栽10年目以降と述べる[8]。開花と結実は別の段階であり、苗の種類や条件で年数が変わる点に注意したい。
寒さへの弱さも条件を絞る。アボカドにはメキシコ系・グアテマラ系・西インド諸島系の3系統があり、耐寒性はこの順に強い。市販のハスはグアテマラ系である[8]。苗木が寒害を受ける温度は、ピンカートンで−2.6℃、ベーコンで−5.6℃、メキシコーラで−8.6℃とされ、ベーコンは−3℃以下、ピンカートンは0℃以下に下がらない地域が安定栽培の目安になる[8]。さらに、根が浅く風に弱いため、防風が欠かせない。
以上から、花から収穫までの低い数字は、咲きかた、昆虫、気温、そして木の成長にかかる年月が重なった結果と読める。
7. かたい アボカドを 買って きたら
7. かたいアボカドと紙袋で、追熟を観察する
7. 追熟の観察と、原典のたどりかた
おうちの 人と、かたい アボカドを 2つ 買って みましょう。大きさや かたさが、にている ものを えらびます。
2つとも 紙ぶくろに 入れて、1つだけ バナナを いっしょに 入れます。1しゅうかん ぐらい、まいにち 同じ 時間に、かるく ゆびで おして、かたさを くらべます。つよく おすと いたむので、そっと おしてください。
どちらが はやく やわらかく なるでしょうか。ちがいが なくても、それが わかった ことです。ノートに 書いて みましょう。
家でできる、追熟の観察
かたいアボカドを2つ用意して、2つとも紙袋に入れ、一方にだけバナナを入れます。1週間ほど、毎日同じ時間に、指でそっと押して、やわらかさを比べます。バナナを入れたほうが、早くやわらかくなるか確かめられます。差がなかったときも、そのまま記録します。
つよく押すと実が傷むので、軽く押すだけにします。食べるときは、よく洗ってから切ります。
原典にあたるなら
花の咲きかたと着果は、出典欄のカリフォルニア大学の資料にあたるとよいです。農研機構の資料は、日本での栽培のむずかしさを知る手がかりになります。
家庭でも、追熟は観察できる。かたい個体を2つ用意し、ともに紙袋に入れて、一方にだけバナナやリンゴを加える。1週間ほど毎日同じ時刻に指で軽く押してやわらかさを比べ、変化がなかった日も記録する。エチレンの影響が見えるかは、条件(温度・個体差)によっても変わるため、1回の結果で結論づけず、数回くり返したい。食べるときは、よく洗ってから切る。
原典に近づくなら、花の開閉と着果は出典欄のカリフォルニア大学の普及資料と講演要約、日本での栽培条件は農研機構の資料、型を決める遺伝子の研究はUCリバーサイドの発表から探せる。出典欄の資料の一部は二次資料なので、数値の細部は一次の報告で確かめてほしい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。年・数値は、資料によって細部が異なることがあります。
- G. Bender, Avocado Flowering and Pollination, UC Cooperative Extension https://www.ccfruitandnuts.ucanr.edu/sites/default/files/2018-09/291781.pdf (花の数・着果数・ハチと気温)
- From the Grove 2014(California Avocado Society、Hormaza講演要約) https://californiaavocadogrowers.com/sites/default/files/2023-11/Factors_Influencing_Avocado_Fruit_Set_and_Yield.pdf (花が2回開くこと・A型B型・着果率)
- 福岡教育大学 福原 雌雄異熟(アボカド型) https://staff.fukuoka-edu.ac.jp/fukuhara/keitai/shiyuuijuku5.html (型どうしの花粉のやりとり)
- UC Riverside News 2026-07-28 https://news.ucr.edu/articles/2026/07/28/gene-discovery-could-shave-years-avocado-breeding (型を決める遺伝子・開閉の記録)
- Eaks 1966, California Avocado Society Yearbook 50 https://www.avocadosource.com/CAS_Yearbooks/CAS_50_1966/CAS_1966_PG_128_133.pdf (木の上では熟さないこと)
- マイナビ農業 アボカドの追熟 https://agri.mynavi.jp/2022_10_28_207522 (エチレンと追熟)
- マイナビ農業 アボカド栽培 https://agri.mynavi.jp/2022_06_12_194432 (タネから実がなるまでの年数)
- 農研機構 暖地におけるアボカドの栽培技術 https://www.naro.go.jp/brain/h27kakushin/chiiki/result/files/chiiki_2019_result-c067-04.pdf (系統・初結果までの年数・寒さと風)
なおした ところ
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