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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

すなはまの 砂すなは、どこから きたの?

砂浜の砂は、どこから来てどこへ行くのか

砂浜の砂は、どこから来たのか ── 星砂の正体と、鳴き砂がもどった浜

分野:自然

おきなわの おみやげで ゆうめいな「ほしの 砂すな」は、じつは 石では ありません。むかし いきていた、とても 小さな いきものの 殻からです。

では、ふつうの 砂すなはまの 砂すなは、どこから きたのでしょう。この ページを よむと、砂すなの たびと、ある はまが もういちど なりだした はなしが わかります。

沖縄のおみやげで知られる「星の砂」は、石の粒ではありません。サンゴ礁にすむ小さな生きものが死んだあとに残した、殻です。

では、ふつうの砂浜の砂は、どこから来たのでしょうか。しかも砂浜は、止まっている地面ではないといわれます。この記事を読むと、砂の元が浜ごとにちがうわけと、砂の通り道が変わると浜に何が起きるのか、堤防で鳴かなくなった島根の琴ヶ浜が付け替えで鳴りを取りもどした話が分かります。

沖縄のみやげで知られる「星の砂」は、鉱物の粒ではなく、有孔虫という単細胞の生きものの殻である[1][2]。砂浜の砂には、こうした生物由来のものもあれば、山の岩に由来するものも、火山由来のものもある。

では、浜ごとに砂の元がちがうのはなぜか。その砂は、どう運ばれ、流れが変わると浜はどうなるのか。このメモを読むと、国土交通省が使う「流砂系」の見方と、堤防の工事で鳴かなくなった浜が、付け替えで戻った例の読み方が分かる。

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1. ほしの 砂すなは、なにで できている?

1. 「星の砂」をつくったのは、石ではなく生きものだった

1. 星砂の正体:単細胞の有孔虫が残した殻

ほしの かたちを した、ごまつぶより 小さな つぶを、てのひらに のせた ところを おもいうかべて ください。これが「ほしの 砂すな」です。

この つぶは、ホシスナという いきものの 殻からです。からだが ひとつの さいぼうだけで できていて、死んだあとに、かたい 殻からだけが のこります[1]。

サンゴの 海の あさい ところの、岩や 海そうの 上で、よく みつかるそうです。石だと おもって いた ものが、いきものの 家の あとだった のです。

石に見えて、石ではない

お店で小びんに入って売られている星の砂は、見た目は白い小石のようです。ところが沖縄美ら島財団の展示資料は、これを「ホシスナという生きものが死んだあとに残った殻」と説明しています[1]。体は1つの細胞だけでできていて、サンゴ礁の浅い岩や海藻の上に多くすむとされます。

「星の砂」は1種類とは限らない

西表島の星砂を調べた地質ニュースの記事では、砂に大量に含まれているのは、有孔虫の仲間のバキュロジプシナの殻だと紹介されています[2]。ただし、沖縄でいう「星砂」には別の種類もあり、同じような星形に見えても、種類が1つとは限りません。

では、生きものの殻は、星の形のものだけが砂になるのでしょうか。ふつうの砂浜の砂は、何でできているのでしょう。

沖縄美ら島財団の展示資料によれば、星の砂は、ホシスナという単細胞の生きものが死んだあとに残した殻である。サンゴ礁の浅い岩や、海藻・海草の上でよく見つかる[1]。この仲間は有孔虫として知られる[2]。みやげ物として白い粒が小びんに入っているため石と思いやすいが、元は生きものの遺骸である。

ただし「星砂=1種」と考えるのは正確でない。地質ニュースの福田理の記事は、西表島の星砂に大量に含まれる有孔虫としてバキュロジプシナをあげつつ、沖縄の星砂には別の種類もあることを論じている[2]。見た目が似ていても、生物学の分類では別の種類のことがある。

では、こうした生物由来の殻は、星形のものだけが砂になるのか。ふつうの砂浜の砂は、何でできているのか。

2. すなはまの 砂すなは、はまごとに ざいりょうが ちがう

2. 砂の材料は、山の岩・火山・サンゴ礁の生きものの3つがある

2. 砂の出どころは3系統:風化した山の岩・火山の噴出物・サンゴ礁の生物の殻

じつは、砂すなの もとは ばしょに よって ちがいます[1]。

ひとつめは、山の 岩です。岩が 風や 雨で こわれて 小さく なり、川に はこばれて きます。ふたつめは、火山から でた はいや 岩です。みっつめが、サンゴの 海の いきものの 殻からや ほねです。

もとが ちがうので、砂すなの 色も ちがいます。くろい 砂すな、しろい 砂すな、オレンジいろの 砂すなが あります。

では、このうち 山の 岩の かけらは、どうやって 海まで くるのでしょう。

そもそも、どこから先が「砂」なのか

堆積学(地層のでき方を調べる分野)では、粒の直径がおよそ16分の1ミリから2ミリのものを砂と呼び、それより大きいものは礫(れき)といいます[3]。2ミリは、0.5ミリのシャープペンの芯4本ぶんほどの幅です。区分は分野によって少しちがうため、ここではこの言い方にそろえます。

浜の砂の元は、場所によってちがう

沖縄美ら島財団の資料は、砂浜の砂の元を大きく3つに分けています[1]。山の岩が風化してできた粒が川で運ばれたもの、火山から出た火山灰や岩のかけら、そしてサンゴ礁にすむ有孔虫・サンゴ・貝の殻です。元がちがうので、砂の色も黒・白・オレンジなどと変わります。

「砂浜の砂は主に川から来るのか、波から来るのか」という割合は、全国で一律には言えず、浜ごとにちがうようです。では、このうち山の岩の粒が海まで届くのは、どんな道のりなのでしょうか。

砂とは、堆積学では粒の直径がおよそ1/16〜2mmのものをいい、2mm以上は礫と呼んで区別する[3]。区分は分野でやや異なるため、ここではこの定義を使う。2mmは0.5mmのシャープペンの芯の4本ぶんにあたり、「砂」はそれよりずっと小さな粒の集まりである。

沖縄美ら島財団の展示資料は、砂浜の砂の元を大きく3つにわけている[1]。第一に、山の岩が風化して小さな粒になり、川で運ばれたもの。第二に、火山から出た火山灰や岩の砂。第三に、サンゴ礁の生きもの、つまり有孔虫のからやサンゴの骨、貝の殻である。元が異なれば鉱物や成分も異なるので、砂の色も黒、白、オレンジなどに分かれる。

どの系統が主役になるかは浜ごとに違い、川由来と波・海由来の割合を全国一律に言うことはできない。では、このうち山の岩の粒は、どのような経路をたどって海岸に着くのか。

3. 砂すなは、山から 海まで たびを している

3. 砂浜は、山から海へ続く砂の旅の途中にある

3. 流砂系:山腹から海岸の漂砂域までを一続きで見る

山の 岩の かけらは、川の ながれに のって、すこしずつ 下へ はこばれます。そして 海に でると、なみに おされて、はまに ならびます。

こくどこうつうしょうは、山の いちばん 上から 海の ちかくまでの、砂すなや 土の うごく ばしょ ぜんぶを「りゅうさけい」と よんでいます[4]。

はまは、とまって いる 地めんでは なくて、砂すなの たびの とちゅうの ばしょ なのです。

では、その みちに ダムや 堤防ていぼうが できたら、どうなるのでしょう。

山・川・海を一続きの「流砂系」として見る

国土交通省は、いちばん上の山の斜面から、海岸で砂が波に動かされる範囲までを、土砂が移動する場全体として「流砂系」と呼んでいます[4]。山の崩れ、川の流れ、ダム、海岸を、別々の問題ではなく、1本の流れの中で考えるための言葉です。

この見方に立つと、砂浜は完成した地面ではなく、上流から来る砂と、波で沖や隣の浜へ出ていく砂が、同時に出入りしている場所になります。

砂が通り道の途中にあるなら、道のどこかをふさいだり、波の当たり方を変えたりしたとき、浜にはどんな変化が起きるのでしょうか。

国土交通省は、最上流の山腹斜面から海岸の漂砂域までの、土砂が移動する場全体を「流砂系」と呼ぶ[4]。漂砂とは、海岸で波や流れによって動く砂のことである。山の崩れ、川の流れ、ダム、海岸を別の問題として扱わず、一続きの系として考える見方である。

この見方では、砂浜は固定された地面ではなく、上流から供給される砂と、波によって沖や隣の浜へ出ていく砂が出入りする場所になる。単純に考えれば、供給と流出が釣り合っている間は、浜の広さは保たれる。逆にいえば、どちらかが変われば、釣り合いはくずれる。

では、その通り道に構造物ができたとき、浜には実際にどのような変化が起きるのか。

4. ダムや 堤防ていぼうが できると、はまは どう なる?

4. 砂の通り道を変えると、砂浜はなぜ細ることがあるのか

4. 海岸侵食の原因:供給の減少と、波・沿岸漂砂の変化

こくどこうつうしょうの しりょうは、はまが けずられる げんいんを いくつか あげています[5]。

ひとつは、川から とどく 砂すなが へる こと。砂すなを とったり、川に ダムなどを つくったり すると、そうなる ことが あります。

もうひとつは、はまに そって ながれる 砂すなの みちが、堤防ていぼうなどで とぎれる ことです。ほかにも、じめんが しずむ ことなどが あります。

げんいんは ひとつでは ありません。ダムだけが わるいと いう はなしでも ないのです。

原因は1つではない

国土交通省の資料は、海岸侵食の主な原因として、研究者の宇多高明が1997年にまとめた整理を紹介しています[5]。港や堤防などの構造物が、浜に沿って動く砂の連続した流れ(沿岸漂砂)をさえぎること、防波堤の陰で波が弱まる場所ができること、砂利の採取や川の工事で川から海へ届く砂が減ること、地盤が沈むことなどがあげられています。

どれか1つを犯人にしない

ここで大切なのは、ダムだけが原因だとは書かれていない点です。砂の出入りのどこかが変われば、浜の広さも変わる。それが流砂系の見方でした。

では、砂の流れを人の工事が変えてしまった浜は、もう元に戻せないのでしょうか。島根県の琴ヶ浜は、その答えのひとつを見せてくれます。

国土交通省の資料は、海岸侵食の主な原因を、宇多高明(1997)の整理にもとづいて示している[5]。沿岸構造物が沿岸漂砂の連続性をさえぎること、防波堤の背後に波の遮蔽域ができること、砂利採取や河川の構造物のために川から海への砂の供給が減ること、地盤沈下などである。

これらは、前の章の「供給」と「流出」のどちらを変えるかで二つに整理できる。川の工事や砂利採取は供給を減らす。沿岸構造物や防波堤は、波の向きや強さを変え、浜に沿って動く砂の流れを乱す。つまり侵食は、ダムのような一つの施設の問題として決まるのではなく、複数の要因が組み合わさって起きる。ダムだけのせいにすることは、資料の整理に合わない。

では、波の流れを変えて砂の質を変えてしまった浜は、手を入れなおせば戻るのか。島根県の琴ヶ浜の例を読む。

5. なかなく なった はまは、また なりだした

5. 鳴らなくなった琴ヶ浜は、どうやって鳴りを取りもどしたのか

5. 琴ヶ浜の鳴り砂:離岸堤で劣化し、潜堤への付け替えで回復した経緯

あるいている と「キュッ、キュッ」と 音が する はまが あります。鳴なきすなです。しまねけんの ことがはまも、その ひとつです。

この 音が でる カギは、大きさが そろった、石英せきえいの 小さい つぶと、よごれの ない かんきょうです[6]。石英せきえいは、水晶すいしょうと おなじ なかまの 石です。

ところが、堤防ていぼうの こうじを した あと、この はまは ほとんど ならなく なりました。のちに 堤防ていぼうを つくりかえると、また なりだした そうです[7]。

鳴くための条件

浜全体が鳴る砂浜は、日本で3か所だけとされ、琴ヶ浜はそのひとつです。島根県のページでは、音が出るカギは、大きさのそろった石英の細かい粒と、汚れのない環境だと説明されています[6]。石英は水晶と同じ成分の鉱物です。

堤防で鳴らなくなり、付け替えで戻った

島根大学の測量研究の報告によると、琴ヶ浜は1964年からの離岸堤の設置工事で、音質が悪くなり、一時はほとんど鳴らなくなりました。その後、1989年から潜堤に付け替える工事が始まると鳴りが復活し、現在は全域で良好とされています[7]。離岸堤は沖に置いて波を弱める堤で、潜堤は海面の下に沈めた堤です。

この例は、離岸堤が悪者だったという話ではありません。波の流れが変わると砂の状態が変わり、置き方を変えると戻ることもある、という一例です。砂の旅の道すじは、人が変えることも、見直すこともできるのです。

鳴き砂が鳴るには、円磨された石英砂で、粒径が細粒砂程度にそろい(淘汰がよい)、汚れていないことが条件とされる[7]。島根県のページも、大きさのそろった石英の粒と汚れのない環境をカギにあげ、浜全体が鳴るのは琴ヶ浜を含め日本で3か所だけとしている[6]。

この条件は、前の章の侵食の議論とつながる。砂の粒の大きさや汚れは、波と砂の動き方に左右されるからである。島根大学の報告によれば、琴ヶ浜では1964年からの離岸堤の設置工事の影響で音質が悪化し、一時はほとんど鳴らなくなった。1989年から潜堤へ付け替える工事が行われると鳴りが復活し、現在は全域で良好とされる[7]。

琴ヶ浜の報告が示すのは、構造物の設置によって波の流れが変わり、砂の状態が変化したという経過と、置き方を変えると鳴りが回復したという経過であり、離岸堤そのものを悪とは断定できない。この一例だけで、他の浜も同じ手当てで戻ると一般化はできない。それでも、砂の通り道は人が変えたものであり、見直すこともできる、という見方は残る。

6. 砂すなを ひとつまみ、よく みてみよう

6. 砂ひとつまみから、元をさぐる

6. 手がかりを持ち帰る:砂の粒と、国の資料の読み方

やってみよう。砂すなばや はまの 砂すなを、しろい 紙の 上に すこし のせます。むしめがねで、ゆっくり のぞいて みましょう。

いろは どうですか。まるい つぶ、とがった つぶ、ひかる つぶが あるかも しれません。あなたの まちの 砂すなは、山の 岩から きたのか、いきものの 殻からなのか、かんがえて みてください。

むしめがねで たいようを みては いけません。砂すなを くちに いれず、さわった あとは 手を あらいましょう。

今日できること

砂場や公園の砂を白い紙に少しのせ、虫めがねで見てみましょう。粒の形はそろっているか、丸いか、角ばっているか、色は何種類あるか。元が山の岩か、生きものの殻かを考える手がかりになります。虫めがねで太陽を見ない、砂を口に入れない、触ったら手を洗う、は必ず守ってください。

出かけてできること

海に行く機会があれば、近くの川が海に注ぐ場所と、浜の砂の色を見比べてみてください。川の砂と浜の砂は同じ色でしょうか。

資料

流砂系の考え方は国土交通省の資料に、琴ヶ浜の経過は島根県と島根大学の資料に書かれています。出典欄で、離岸堤を置いた年と潜堤に付け替えた年を見比べてみてください。

手がかりとして、砂場や浜の砂を白い紙にのせて虫めがねで観察するとよい。粒の形(丸いか角ばっているか)、色の種類、光る粒の有無から、風化した岩由来か、生物の殻由来かを推測できる。ただし推測であり、断定には鉱物や成分の分析が必要である。虫めがねで太陽を見ないこと、砂を口に入れないこと、触れたら手を洗うことを守る。

資料の読み方としては、国土交通省の流砂系の資料[4]と海岸侵食の資料[5]が、「供給」と「流出」の両方を見る枠組みを示している。琴ヶ浜の事例は、島根大学の報告[7]に、年ごとの経過がまとまっている。

残る問いは、浜ごとに川由来と波由来の割合がどれだけちがうかである。出典の資料が示すように、これは全国一律には言えない。自分の近くの浜について、地元の自治体や研究機関の資料で調べると、同じ見方で読める。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。国の資料・研究報告・展示資料を使いました。

  1. 沖縄美ら島財団 展示資料「星砂・砂浜の砂」 https://www.churashima.okinawa/userfiles/files/topics/event/2021/20210804tenji_umi04.pdf (星の砂の正体、砂の元の3つ)
  2. 福田理「もう1つの星の砂」地質ニュース https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/86_08_05.pdf (西表島の星砂と種類のちがい)
  3. MBARI Deep-Sea Guide「Sand」(堆積学での砂の定義) https://dsg.mbari.org/dsg/view/concept/sand (砂の粒径の目安)
  4. 国土交通省 総合土砂管理の資料 https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/content/sougoudosyatowa.pdf (流砂系の定義)
  5. 国土交通省 海岸侵食の資料(宇多高明1997の整理) https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/past_shinngikai/kaigandukuri/gijutsu-kondan/shinshoku/shiryou02.pdf (海岸侵食の原因)
  6. 島根県 琴ヶ浜海岸のページ https://www.pref.shimane.lg.jp/infra/river/kasen/link/kotogahama.html (鳴き砂が鳴る条件)
  7. 島根大学 琴ヶ浜の地形測量研究報告 https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/48455/files/1234 (離岸堤から潜堤への付け替えと鳴りの回復)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  中学生向けの題名を、日常の疑問が先に来る形に見直した。

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