1. 「そら」は、いつの すがたの こと?
1. 名前の「空」は、若い莢の姿のこと
1. 名の由来とされる「空向きの莢」── 向きは生育の途中で入れかわる
そらまめを「空豆」と 書くのは、さやが 空に むかって つく からだと いわれます[1]。ほかに、さやの 形が かいこに 似て いる ことから、「かいこ」の 字を 使う 説も あり、名前の 由来は ひとつに きまって いません[1]。
では、さやは ずっと 空を むいて いるのでしょうか。じつは、わかい うちだけです。はじめは 上を むいて いて、みのって くると 下を むく ように なります[2]。
わかい さやは みどり色です。じゅくす ころには 黒く なって、しわが よって、たれ下がります[3]。
名前の もとに なった すがたは、さやの 一生の 前半でした。では、その さやが できる 前、そらまめは どんな 1年を すごすのでしょう。
そらまめを「空豆」と書くのは、莢が空に向かってつくからだといわれます[1]。日本大百科全書も、莢が直立して空を向くので「空豆」の字をあてる、と書いています[3]。ただ、由来は一つに決まっていません。莢の形が蚕に似るから「蚕豆」と書き、そらまめと読む地域もあるほか、「反豆」という説もあります[1]。
ここで気になるのは、「空向き」がいつの姿か、という点です。新潟県の説明では、莢は最初こそ上向きですが、熟すにつれて下向きになります[2]。世界大百科事典も、莢は初め緑色で直立し、成熟すると黒くなり、しわが寄って垂れ下がる、と記しています[3]。
つまり、名前の由来にされる姿は、若い莢のものです。収穫のめやすのころには、向きはもう下へ入れかわっています。この記事では、種まきから、莢が空を向き、やがて下を向くまでをたどります。では、その莢がつく春までに、苗はどんな冬を過ごすのでしょうか。
日本大百科全書は、そらまめの莢が直立して空に向かうので「空豆」の字をあてる、と述べる[3]。農畜産業振興機構(alic)も、空に向かって莢が実ることからこの字があてられたと言われる、と説明する[1]。ただし語源は一つに決まっていない。莢の形が蚕に似ることから「蚕豆」と書く地域があり、「反豆」の説もある[1]。
注目したいのは、その「空向き」がいつの姿か、である。新潟県の説明では、莢は最初は上向きにつくが、熟度が進むにつれて下向きになる[2]。事典類は、莢が初めは緑色で直立し、成熟すると黒くなってしわがよって下垂する、と記す[3]。大粒の品種ではやや下垂する、という書き方もある[3]。
したがって、名の由来とされる姿は若い莢のものであり、収穫のめやすとされる時期には向きが下へ入れかわっている[2]。この記事では、種まきから、莢が空を向き、やがて下を向くまでの1年を追う。それでは、莢がつく春までに、苗はどんな冬を過ごすのか。
2. いつ たねを まいて、いつ とれるの?
2. 秋にまいて、苗で冬を越して、初夏に収穫する
2. 秋まきと越冬 ── 半年以上かけて、初夏の莢にたどりつく
そらまめの 種は、秋の おわりごろに まきます。10月の おわりから 11月の はじめごろが めやすと されます[4]。とれるのは、5月から 6月ごろです[1]。半年より ながい あいだ、畑で そだつのです。
まいた あと、冬は ちいさな 苗の すがたで すごします。新潟県の れいでは、雪に まけない ように トンネルの おおいを かけて、冬を こさせて います[2]。
そらまめは、寒さに 強くて、暑さに 弱い 野菜です[1]。夏は にがてで、寒い 時期に そだち、5月から 6月に みのる 豆です。
むかしの 本の『農業全書』には、そらまめは 麦より 早く とれる 豆だと かかれて います[1]。寒い うちから そだてて おけば、早く とれる のですね。
さて、春に なると、小さかった 苗は ぐんぐん のびます。どんな ことが おこるのでしょう。
そらまめの1年は、秋に始まります。種をまくのは秋の終わりごろ、10月下旬から11月上旬が目安とされます[4]。苗の姿で冬を越し、春に急に伸びて、5〜6月に収穫になります[1]。種まきから収穫まで、半年以上かかる計算です。
新潟県の例では、前年の10月にまいた種を、雪に負けないようトンネル状のおおいをかけて越冬させ、4月中旬ごろから花が咲いて莢がつきはじめます[2]。時期は地域や品種で前後するので、これは一つの例です。
そらまめは、寒さには強く暑さには弱い野菜とされます[1]。栽培の適温は15〜20度という説明もあります[4]。寒い時期に育ち、暑くなる前の5〜6月に収穫する、という暦です。
江戸時代の農書『農業全書』(1697年)は、そらまめを、数ある穀物の中でも特に早く熟し、麦より先に収穫できる作物として紹介していると、alicは引用しています[1]。冬を越した苗が、麦より先に実る。そんな季節の順番は、昔から知られていたようです。
ところで、冬のあいだ小さな苗にしか見えないそらまめは、春になると何をはじめるのでしょうか。
種まきの時期は、10月下旬から11月上旬が目安とされる[4]。まいた種は苗の状態で冬を越し、春に急に生長して、初夏の5〜6月に収穫期を迎える[1][4]。つまり種から収穫まで半年以上かかり、その間、苗は1年でいちばん寒い時期を畑で過ごす。
新潟県の例では、前年の10月にまいた種に、雪に負けないようトンネル被覆をして越冬させ、4月中旬から開花、莢がつき、5〜6月に収穫する[2]。時期は地域や品種で前後するため、これは一例である。寒さに強く暑さに弱い性質[1]は、この「秋まき・初夏どり」の暦と重なる。栽培の適温は15〜20度、酸性土壌を嫌い、連作に向かないという説明もある[4]。
この冬越しの作物は、古くから人の暮らしのそばにあった。alicは、エジプトなどの遺跡から出土し世界最古の野菜の一つとされ、日本へは8世紀ごろ渡来したといわれる、と説明する[1]。ただし渡来時期は資料によって食いちがい、江戸時代とする事典もある。江戸時代の『農業全書』(1697年)は、そらまめを「百種の穀物の中でも特に早く熟し」、麦より先に収穫できると述べており、alicがこれを引用している[1]。
では、冬を越した苗は、春にどのように動き出すのか。
3. はるに なると、どんな 花が さくの?
3. 春の急成長 ── 四角い茎に、黒い模様のある花が咲く
3. 春の急成長と花 ── 四角い中空の茎、蝶形花、そして立ち上がる莢
あたたかく なると、そらまめは ぐんぐん のびます。茎の 切り口を 見ると、四角い 形を して いて、中は からっぽです[3]。やわらかくて たおれやすいので、ささえの ぼうを 立てて あげる ことも あります[4]。
3月から 4月ごろ、花が さきます[1]。葉の つけねから 小さな 花の ふさが 出て、2つから 6つの 花が つきます[3]。白や うすい むらさきの 花で、いちばん 上の 花びらに 黒い もようが めだちます[3]。大きさは 3センチくらいです[4]。
花が おわると、さやが つきます。ここで 空を むいた さやが、立ち上がります。さやの 中には、豆が 2つから 4つ はいって います。数は ひんしゅに よって ちがいます[3]。
こんなに はやく のびるのに、そらまめは ひりょうの 栄養を あまり ほしがらない、と いわれます。ひみつは、土の 中の 根に あります。
春になると、そらまめは急に勢いづいて、さかんに枝分かれします。茎は断面が四角形で中が空洞、柔らかくて倒れやすい性質があります[3]。育てる人は、この時期に支柱を立てて倒れを防ぎ、株元から出てくるわき芽をかき取る、と栽培の解説にあります[4]。草丈は0.4〜1mほどです[3]。
花は3〜4月に咲きます[1]。葉のつけ根から短い房が出て、2〜6個の花がつきます。花びらは白か淡い紫色で、蝶が羽を広げたような形をしており、立っている1枚に黒い斑紋が目立ちます[3]。直径は3cmほどです[4]。
花が終わると莢がつき、空に向かって立ちます。1つの莢の中の豆は2〜4個とされ、資料によって3〜4個と書くものもあります。莢の長さも、10〜30cmという記述と、大粒の品種で約10cm・幅約3cmという記述があります[3][4]。数字がばらつくのは品種で違うためなので、固定の値としては読めません。
それにしても、これだけ急に育つには、土から栄養をたくさん吸わなければならないはずです。ところが、そらまめは育ちはじめの肥料の窒素分がほとんど要らない、といわれます[4]。その鍵は、根にあります。
春になると苗は急に生長し、盛んに枝分かれする。茎は断面が四角形で中空、柔軟で倒れやすい[3]。栽培の解説では、この時期に追肥で生長を促し、支柱で倒れを防ぎ、株元のわき芽をかき取る手入れが挙げられる[4]。草丈は0.4〜1mである[3]。
花は3〜4月、葉の付け根から出る短い花序に2〜6個つく[1][3]。花弁は白か淡紫色の蝶形花で、立ち上がる1枚の旗弁に黒い斑紋が目立つ[3]。直径は3cmほどである[4]。開花は新潟県の例で4月中旬ごろ、花に続いて莢が着く[2]。ここまでが「空向き」の時期にあたる。
1莢の種子は2〜4個とされ、3〜4個とする資料もある。莢の大きさも、10〜30cmとする記述と、大粒種で長さ約10cm・幅約3cmとする記述があり[3][4]、数値は品種によって違うので、固定値として読むべきではない。
ところで、これだけ急に育つには窒素などの養分が要るはずだが、栽培の解説は、生育初期は肥料の窒素分がほとんど要らないと述べる[4]。その理由は根の中にある。
4. ひりょうが すくなくても そだつのは、なぜ?
4. 肥料の窒素が少なくても育つのは、根のこぶのおかげ
4. 根粒の中の赤い色 ── 窒素固定と、酸素をつかむタンパク質
そらまめは、マメの なかまです。マメの なかまの 根には、小さな こぶが できます。「こんりゅう」と いいます。こぶの 中には、「こんりゅうきん」という 小さな いきものが すんで います[6]。
空気の 中には 「ちっそ」という ガスが あります。こんりゅうきんは、この ちっそを、植物が つかえる ものに かえて、わたして くれます[5]。そのかわりに、植物は 栄養に なる ものを わけて あげます[5]。おたがいに たすけあう かんけいです。
だから そらまめは、そだちはじめの ころ、ひりょうの ちっそが ほとんど いらないと いわれます[4]。
こぶの 中を 見ると、よく はたらいて いる ところは 赤く 見えます。酸素を くっつける タンパク質が たくさん あるからです[5]。ちっそを かえる はたらきは、酸素が 多いと できなく なります。そこで この タンパク質が、こぶの 中の 酸素を ひくく たもつ やくめを して います[5]。
こぶを つくるのには、たくさんの エネルギーが いります。植物は、こぶの 数を ちょうどよく ととのえて いる と、研究者は 説明して います[6]。これは マメの なかまの ミヤコグサという 草で 調べた 研究です。
さて、こうして そだった さやは、いつ とれば いいのでしょう。
そらまめはマメ科の植物です。マメ科の植物は、根粒菌という微生物と関わり合って、根に「根粒」という窒素を固定する器官をつくります[6]。根粒菌のおかげで、植物は空気中の窒素を利用できるようになります[6]。
根粒の中では、根粒菌が空気中の窒素ガスをアンモニアに変えて植物に渡し、植物からは有機物(リンゴ酸などの有機酸)を受け取ります[5]。お互いに利益のある、相利共生の関係です。そのため、そらまめは生育の初期、肥料の窒素分がほとんど要らず、必要になるのはリン酸とカリウムだといわれます[4]。
根粒のおもしろいところは、中が赤いことです。根粒の中には、酸素と結びつくレグヘモグロビンというタンパク質が多く、窒素の固定が活発な部分は赤く見えます[5]。窒素を固定する酵素は、酸素にふれると働かなくなります。このタンパク質が酸素と結びついて、根粒の中の酸素を低く保つ役目をしています[5]。
窒素の固定にはたくさんのエネルギーが要るため、植物は根粒の数を適正に調節しているとされます[6]。土の中の窒素の量や水分、ストレスによって、根粒の数も固定される窒素の量も大きく変わります[5]。ただ、こうした研究はミヤコグサなどのモデル植物が中心で、そらまめそのものの測定ではありません。
根で窒素をまかなえるおかげで、地上では莢が育ちます。ではその莢は、どんな様子になったら収穫するのでしょうか。
マメ科の植物は、根粒菌と相互作用して、根に窒素固定の器官である「根粒」をつくる。根粒菌のおかげで、植物は大気中の窒素を利用できる[6]。根粒の中では、根粒菌が空気中の窒素ガスをアンモニアに変えて植物に渡し、植物からは有機物(リンゴ酸などの有機酸)を受け取る。双方に利益がある相利共生である[5]。そのため、そらまめでは生育初期に肥料の窒素分がほとんど要らず、リン酸とカリウムが必要になる、と栽培の解説はいう[4]。
根粒の内部には、酸素と結合するレグヘモグロビンが多量に存在し、窒素固定が活発な部分は赤色を呈する[5]。ここで赤い色が意味をもつのは、窒素を固定する酵素が酸素にふれると働かなくなるためである。このタンパク質が酸素を結合して、根粒内の酸素濃度を低く保つ。それでも根粒菌は酸素呼吸もするので、窒素固定と酸素呼吸が両方できる微好気的な環境が、根粒の中につくられていることになる[5]。血液のヘモグロビンと同じ物質と決めつけず、「酸素と結合するタンパク質」として読むのが正確だろう。
窒素固定は多くのエネルギーを消費するため、植物は根粒の数を適正に調節している[6]。形成や固定量は、土壌の窒素量、水分、ストレスで大きく変動する[5]。この調節の研究は、モデル植物のミヤコグサが中心であって、そらまめ自身の根粒を測定した結果ではない。そらまめにも根粒ができるのは、マメ科に共通する性質としての理解である。
では、根で窒素をまかなって育った莢は、どのようなしるしで収穫されるのか。
5. さやが 下を むいたら、とりごろ?
5. 莢の向き・つや・おはぐろが、収穫の目印になる
5. 収穫適期の見分け ── 下向きの莢、おはぐろの線、過熟のしるし
5月から 6月、さやは そだって きます。はじめは 上を むいて いた さやが、下を むく ように なります[2]。ひょうめんには でこぼこが でて、みどり色が こく なり、つやも 出て きます[2]。これが とりごろの めやすです。
さやの 中の 豆には、「おはぐろ」と よばれる 黒い ところが あります。ほそい 黒い せんが 1ぽん 入った ころが 食べごろです。ぜんぶ 黒く なると、じゅくしすぎと されます[2]。
おはぐろは、種を まく ときにも 大事だと いわれます。根が 出る ところなので、おはぐろを 下に して うめると いい、と 栽培の 説明に あります[4]。
空を むいて いた さやが 下を むくのは、じゅくして きた しるしです。名前の もとに なった すがたは、わかい ときの すがたでした。
莢が上向きから下向きに変わり、表面に凹凸が出て緑が濃くなり、光沢が出てきます。新潟県は、そのころが収穫の適期だと説明しています[2]。莢の背の筋が黒褐色に変わるころが適期ともいわれます[4]。
莢を開いたときの目印もあります。豆の端にある黒い部分は「おはぐろ」と呼ばれます。そこに珠柄(へそのお)がついたままなら収穫は早く、珠柄がとれて細い黒い線が1本入ったころが食べごろです。おはぐろが全部黒くなると、過熟とされます[2]。
おはぐろは、種まきのときにも出てきます。栽培の解説では、根が出る部分なので、おはぐろを下に向けて2〜3cmの深さに埋める、とあります[4]。食べごろの目印であり、根の出る場所でもあるのです。
空を向いた莢が下を向くのは、豆が熟してきたしるしです。名前のもとになった姿は、莢の若い時期のものでした。
収穫のめやすは、莢が上向きから下向きに変わり、表面に凹凸が出て緑色が濃くなり、光沢が出る頃である[2]。背の筋(縫合線)が黒褐色に変わる頃を適期とする説明もある[4]。向きだけで決めず、色・つや・凹凸を合わせて見る、ということである。
莢を開けたときの目印もある。豆の端の黒い部分が「おはぐろ」である。珠柄(へそのお)が付いたままなら収穫は早く、珠柄がとれて黒い細い線が1本入った頃が適期で、全体が黒くなると過熟と説明される[2]。
種まきの場面でも、おはぐろは登場する。栽培の解説によれば、種はおはぐろから根が出るので、おはぐろを下向きにして2〜3cmの深さに埋める[4]。食べごろの目印と、根の出る場所とが、同じ黒い部分に重なっている。ただし後者は単独の栽培解説の記述であり、一般的なやり方として読むのがよい。
こうして、莢の向きは「若い莢は上、熟した莢は下」と整理できる。名の由来が「空に向かう姿」であっても、収穫の時期の莢は、その名の姿をしていない。
6. つぎに さやを 見たら、どこを 見る?
6. 莢の向きから広がる、次の問い
6. 向きの変化から広がる問いと、読める資料
さやの むきを 知ると、新しい 気に なる ことが ふえます。ひとつは、冬の 寒さと 花の かんけいです。そらまめは 秋に たねを まいて、冬を こして 春に 花を さかせます。冬の 寒さは、花が さく ことと、かかわって いるのでしょうか。この 記事では 答えが 出せない、のこされた 問いです。
もうひとつは、名前の ゆらいです。「空豆」の ほかにも、いろいろな 説が ある ことを、さいしょの 章で 見ました。
さやの むき、おはぐろの せん、根の こぶ。そらまめには、見る ところが たくさん あります。「今月のやさい」と いう ページや、新潟県の「しゅん」の ページに、日本語で わかりやすい 説明が あります[1][2]。
莢の向きが分かると、次の疑問がいくつも出てきます。1つ目は、冬の寒さと花の関係です。そらまめは秋にまいて、冬の寒さをこえてから春に花をつけます。その寒さは、花が咲くことにどう関わっているのでしょうか。品種によって違いはあるのでしょうか。この記事の資料では答えが出せない、残された問いです。
2つ目は、名前の由来です。「空向きの莢」は有力な説ですが、蚕の形や「反豆」という説もあり、一つには決まりません[1]。名前を考えるとき、人はどの時期の姿に注目したのか、想像が広がります。
3つ目は、根の中の赤い色です。根粒の研究はミヤコグサなどのモデル植物が中心で[6]、そらまめ自身の根粒を測った数字は、この記事の資料にはありません。
もっと読みたいときは、農畜産業振興機構の「今月のやさい」[1]と、新潟県の「旬」の説明[2]が、どちらも日本語で短くまとまっています。莢の向きや筋の色の話は、新潟県のページに特に詳しく出ています。
莢の向きの変化から、問いが3つ広がる。第1は、冬の低温と開花の関係である。そらまめは秋にまき、冬の寒さをこえて春に開花する。この低温が開花にどう関わるのか、必要な寒さの量に品種差があるのかは、本稿の資料では扱えず、残された問いである。
第2は、名の由来である。「空向き」説は複数の資料で一致するものの、蚕の形や「反豆」の説もあり、一つに決まらない[1]。収穫期の莢が下を向くことを、名づけた人々はどう見ていたのか、という問いが残る。
第3は、根粒の赤い色の意味である。窒素固定と酸素呼吸を両立させる環境づくりは、モデル植物のミヤコグサなどで研究が進んでおり[6]、そらまめそのものの根粒を測った結果は、本稿の資料の範囲には見あたらない。
資料としては、農畜産業振興機構「今月のやさい」[1]が由来と歴史を、新潟県の旬の解説[2]が莢の向きと収穫の目印を、基礎生物学研究所の研究概要[6]が根粒の研究を扱う。3つを並べると、同じそらまめを、名前・畑・根の3つの目で見ていることが分かる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:公的機関(農畜産業振興機構・新潟県・基礎生物学研究所・鹿児島県)と、事典・百科事典の記述を使った。何に使ったかは、各項目の最後に書いている。
- 農畜産業振興機構「今月のやさい:そらまめ」。https://alic.go.jp/koho/kikaku03_001766.html (名前の由来、秋まき・春の収穫の流れ、歴史について)
- 新潟県「6月の旬 そらまめ」。https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/syokuhin/shun06-soramame.html (莢の向きの変化、越冬、収穫の目印について)
- コトバンク「ソラマメ」(世界大百科事典・日本大百科全書)。https://kotobank.jp/word/%E3%82%BD%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%A1 (莢・茎・花の特徴について。事典の記述)
- Wikipedia「ソラマメ」。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%A1 (栽培の流れと手入れについて。一般向け百科の記述なので補助として使った)
- Wikipedia「根粒」。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B9%E7%B2%92 (根粒での窒素固定と、赤い色のわけについて。補助として使った)
- 基礎生物学研究所 川口研究室「研究概要」。https://miyakohp.nibb.ac.jp/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%A6%82%E8%A6%81-general-introduction (根粒の形成と、根粒数の調節について。ミヤコグサの研究)
なおした ところ
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