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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ラクダの こぶに、水は 入って いるの?

ラクダのこぶは水のタンクではなかった ── 砂漠で生きるラクダの体のしくみ

ラクダのこぶの中身は脂肪である ── 体温の変動・脱水耐性・赤血球から見る砂漠の水収支

分野:生きもの

ラクダの せなかの こぶには、水が たまって いる。そう 聞いた ことは ありませんか。

でも、こぶの 中に 入って いる ものは、水では ありません。では、水を のまずに、どうして さばくを あるけるのでしょう。いっしょに 見て いきましょう。

「ラクダのこぶには水がたまっている」という話は、昔からよく言われます。ところが、こぶの中身は水ではありません。

それなら、ラクダはどうやって砂漠で長く水なしに歩けるのでしょうか。こぶの本当の役目と、水を節約する体の工夫を見ていきます。

ヒトコブラクダのこぶは、脂肪でできており、水をためてはいない[1]。ではなぜ砂漠で水なしに耐えられるのか。

このメモでは、こぶの役割(食料の貯蔵と体温調節)、脂肪が水に変わるという話の限界、1950年代の体温研究、脱水への耐性、急な水分補給に耐える赤血球を、複数の資料をつき合わせて整理する。

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1. こぶの 中には なにが あるの?

1. こぶの中身は水ではなく脂肪

1. こぶの正体 ── 脂肪と線維組織

ラクダの こぶの 中に 入って いるのは、脂肪しぼうです[1]。あぶらの かたまりの ような ものです。

ヒトコブラクダの こぶには、多い ときで 36キロほどの 脂肪しぼうが 入る、と いわれます[1]。お米の ふくろ(30キロ)より 重い こともある と いうことです。

ただし、これは いちばん 多い ときの 数字です。ラクダに よっても、ときに よっても、ずいぶん ちがいます。

タンクの中身は油だった

ヒトコブラクダのこぶは、脂肪が繊維のような組織でまとめられたものです[1]。水はたまっていません。

脂肪の量は、多いときで約36kgとされます[1]。ただしこれは最大の目安です。資料によって「こぶ1つ分」か「こぶ全体」かも揺れているので、大まかな数字として受け取るのが安全です。

ヒトコブラクダのこぶは、線維組織で束ねられた脂肪でできており、水は貯蔵していない。脂肪は最大で約36kg(80ポンド)とされる[1]。

ただしこの数字は最大値で、個体差や季節で大きく変わる。また、資料により「こぶ1つ」か「こぶ全体」かの扱いが揺れるため、ここでは「最大でおよそ36kg」の目安にとどめる[2]。

2. こぶは、なんの ために あるの?

2. こぶは「食料庫」── しぼむこぶ

2. 貯蔵と体温調節 ── 脂肪を背中に集める意味

こぶの 脂肪しぼうは、食べ物が ないとき の 「たくわえ」に なります[2]。おべんとうを せなかに のせて いるような ものです。

その 脂肪しぼうを つかうと、こぶは だんだん 小さく しぼんで、よこに たおれて きます[2]。食べて、ねむると、また 立ちあがる と いわれて います。

体じゅうに 脂肪しぼうが つくより、せなかに あつめた ほうが、体の ねつを にがしやすい とも いわれます[3]。

使うとしぼみ、食べると戻る

砂漠で食べ物が少ない間、ラクダはこぶの脂肪をエネルギーにします。使うにつれて、こぶは小さくなり、横に倒れるようにしぼみます[2]。動物園の解説では、食べたり眠ったりすると、こぶはまた立ち上がるとされています。

背中に集めた理由

日本の子ども向けの科学解説では、体じゅうに脂肪がつくより、1か所に集めたほうが熱を逃がしやすいと説明されています[3]。背中のこぶが上からの日ざしをさえぎる、という説明もありますが、これは一般向けの解説で語られる考え方です。

こぶの脂肪は、砂漠で食物が乏しい間のエネルギー源になる。使われると、こぶは縮んで横に傾き、採食と休息の後に再び起き上がると説明されている[2]。

もう一つの説明が体温調節だ。日本の子ども向け科学解説では、脂肪が体全体につくより1か所に集まるほうが放熱に有利とされ[3]、背中のこぶが日射をさえぎるという見方も紹介される。ただし後者は一般向け解説の説明であり、実証された結論としては扱わず、「そう考えられている」にとどめる。

3. 脂肪しぼうを つかうと、水が できるって ほんと?

3. 脂肪から水ができる、という話の落とし穴

3. 代謝水 ── 「こぶ=水の貯金」が成り立たない理由

脂肪しぼうを つかうと、水も ちょっと できます。脂肪しぼう 1グラムから、1.1グラムくらいの 水が できる、と いわれます[4]。

でも、それは 体の 中で できる 水の はなしです。こぶに 水が たまって いる、と いう ことでは ありません。

それに、脂肪しぼうを つかう ときには、いきを して 空気を すいます。すると はいから 水が にげて いきます。ぜんぶ 合わせると、水は へる ほうが 多い と いわれて います[1]。ただし、あつさや いきの しかたで かわる ので、いつも そうだとは 言えません。

「水ができる」は本当、でも貯金ではない

脂肪が体の中で分解されると、水ができます。これを代謝水といい、脂肪1gあたり約1.1gの水ができるとされます[4]。ここから「こぶは水の貯金だ」と考えたくなりますが、これは体内でできる水のことで、こぶに水がたまっているという意味ではありません。

差し引きは、水が減る

脂肪を分解するには酸素が要ります。息をするたびに、肺から水が蒸発して出ていきます。そのため、全体では水は差し引きで減る、と説明されています[1]。ただしこれは、暑さや呼吸の量で変わります。「必ず損をする」とまでは言い切れません。

脂肪1gの酸化で約1.1gの代謝水が生じる(炭水化物は約0.5g)[4]。しかしこれは体内で生じる水であり、こぶに水がたまっていることの根拠にはならない。

さらに、脂肪の酸化には酸素が要り、そのぶん呼吸量が増えて肺から水が蒸発するため、全体としては水が純減するという説明がある[1]。ただしこれは条件(暑さ、呼吸量、鼻での水の回収など)によって変わりうるので、「差し引きで水が減るとされる」までにとどめる。

4. ラクダは、あせを どうやって へらすの?

4. 体温を大きく上げ下げして、汗を節約する

4. 体温の日周変動 ── Schmidt-Nielsenらの1956年の研究

ラクダの いちばんの くふうは、こぶでは なく、体の 温度に あります。

ひるまは、体の 温度を 高く して、汗あせを かかずに たえます。夜に なると、その ねつを 水を つかわずに 外へ にがします[5]。

ためた ねつを、夜に すずしい 空気へ すてる。これで 水を すこし ずつ うかせる のです。

たとえば、手の ひらに 水を つけて ふくと、ひんやり します。汗あせも 水が かわく とき に ねつを もって いくので、汗あせを かく ほど 体の 水は へって しまいます。

34℃から40℃超まで

1950年代、ニールセンという動物学者たちが、砂漠でラクダの体温を調べました。休んでいる元気なラクダの直腸の温度は、約34℃から40℃を超えるところまで変わりました。夏に水を飲めないラクダでは、1日の変わり方が6℃を超えることもあった、と報告されています[5]。

熱をためて、夜に捨てる

体温が上がると、汗をかいて熱を捨てる代わりに、熱を体にためておけます。そして夜、ためた熱を水を使わずに外へ逃がせます。体温が高いほど、外の暑さから入ってくる熱も少なくなります[5]。汗という「水を使う冷房」を、体温の上げ下げでへらしている、と考えられています。

1950年代にKnut Schmidt-Nielsen(シュミット=ニールセン)らが行った研究では、休息中の健康なラクダの直腸温が約34℃から40℃超まで変動し、夏に水を飲めない個体では日内変動が6℃を超えうるとされた[5]。

要旨によれば、体温が上がるあいだは熱が蒸発で捨てられず体内に蓄えられ、夜間は水を消費せずに放熱できる。高い体温は外気からの熱流入も減らすため、水の節約になる[5]。なお、ここで参照したのは論文の要旨である。

5. 水が へっても、だいじょうぶ なの?

5. 体の水が大きく減っても耐えられる

5. 脱水耐性 ── 体重の3割近く

ラクダは、水を のまない 日が つづいて 体の 水が へっても、たえられます。

ラクダは、体の 水が 3わり 近く へっても たえる、と 書いて ある 本が あります[1]。ほかの どうぶつでは ふつう むずかしい、と されて います。

ただし、本に よって 数字は すこし ちがいます。「だいたい 3わり ぐらい」と おぼえて おきましょう。

ほかの動物にはむずかしい脱水

ヒトコブラクダは、30%を超える水を失っても耐えられると書く資料があります[1]。ほかの哺乳類では、ふつうこれは不可能だとされています。

資料によっては「25〜30%」と幅があり、「体重」なのか「体の水分」なのかも、はっきり書かれていません。そこで「3割近く」と、幅をもたせて受け取ります。

この耐性を助けるもののひとつが、脱水しても血が流れ続けるという、ラクダの赤血球の形だと説明されています[6]。

ヒトコブラクダは30%超の水分喪失に耐えうるとされ、他の哺乳類ではふつう不可能とされる[1]。他の哺乳類の具体的な限界値は、母数(総水分か体重か)と出典をそろえて確認できていないので書かない。ただし出典により「25〜30%」と揺れ、母数が体重か体内水分かも区別が曖昧なため、「3割近く」と幅をもたせて扱う。

赤血球が楕円形であることが、脱水時にも血液が流れ続ける助けになるという報告がある[6]。なお、楕円形の赤血球はヒトコブラクダだけの特徴ではなく、ラクダ科全般に見られる点に注意する。

6. 水を のんだら、どう なるの?

6. 一気に飲んでも壊れない赤血球

6. 急速な水分補給と赤血球 ── 低張環境でも溶血しにくい

のどが かわいた ラクダは、水を 見つけると、バケツ なんばい ぶんも 一気に のむ こと が あります[1]。100リットルほどに なる、と 書く 本も あります。

ふつうの 血の つぶは、うすい みずに つけると、水を すって われて しまう ことが あります。

でも、ラクダの 血の つぶは ちがいます。うすい みずに つけて しらべた ところ、ふくらむ だけで、われにくかった と いわれて います[6]。ラクダの 血の つぶは、たまごの ような 形を して います。

バケツ10杯分以上を、一度に

水を見つけたラクダは、一度に100L前後も飲むことがあります。資料によっては114Lという数字もあります[1]。10Lのバケツ10杯分以上です。数字は出典ごとに違うので、「バケツ何杯分も」くらいで受け取るのが安全です。

血が薄まっても、赤血球はふくらむだけ

ふつうの赤血球は、薄い液の中で水を吸うと破裂することがあります。ラクダ科の赤血球は楕円形で、薄い(低張の)液に浸した実験では、ふくらんでも破裂しにくかったと報告されています。面積がほぼ2倍にふくらんだ、という測定もあります[6]。

水を得たときの飲水量は、資料により約100L前後から114L(1分あたり10〜20L)まで差がある[1]。他の資料でも数字が一致しないため、「10Lのバケツ何杯分も」という程度にとどめる。

急速な補水で血漿が低張になる状況を想定した実験で、ラクダの赤血球は溶血せず、膨張するだけだと報告されている。低張液中で赤血球の面積が約14.87から29.76μm²とほぼ2倍になったという測定値もある[6]。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

手の うらに 水を ちょっと つけて、ふうっと いきを かけて みましょう。ひんやり する のは、水が かわく とき、ねつを もって いく から です。

ラクダは、その 水を へらす ために、体の 温度を 上げ下げして います。どうぶつえんで ラクダの こぶの 形を 見られたら、ふくらんで いるか、しぼんで いるか、見て みましょう。

今日できること:手の甲に水を少しつけて、息を吹きかけてみましょう。ひんやりするのは、水が蒸発するときに熱を持っていくからです。汗をかくと体の水が減る理由の、ひとつの手がかりになります。

出かけてできること:動物園でラクダを見られるなら、こぶの張り具合を見比べてみましょう。飼育下のラクダは食事が安定しているので、しぼんだこぶは見られないかもしれません。それも、こぶが食料庫だという考えの手がかりになります。

体温の研究は、Schmidt-Nielsenらの1956年の論文(Am J Physiol 188:103–112)が出発点になる[5]。要旨は無料で読めるが、英語である。

赤血球の研究は[6]、脱水と補水に耐える仕組みの説明を含む。こぶの役割については、日本語で読める子ども向け科学解説[3]と、動物園の解説[2]が入り口になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:動物学の百科的解説、動物園の解説、日本の子ども向け科学解説、大学のブログ、1956年の論文の要旨、ラクダの血球の研究論文を突き合わせて使った。何に使ったかは、各項目の最後に書いている。

  1. Wikipedia「Dromedary」。https://en.wikipedia.org/wiki/Dromedary (こぶの中身と脂肪の量、呼吸で失う水、脱水の限度、飲水量について)
  2. Cleveland Zoological Society / Ripley's「Camel humps」。https://www.ripleys.com/stories/camel-humps (脂肪が使われるとこぶがしぼみ、食べて休むと戻ることについて)
  3. 学研キッズネット 科学なぜなぜ110番「ラクダのこぶの中には何が入っているの?」。https://kids.gakken.co.jp/kagaku/kagaku110/science0143/ (こぶの脂肪の役割、熱の逃がしやすさ、日ざしをさえぎる説明について)
  4. Penn State University「Defying Dehydration: Camel Physiology」(Life at the Extremes)。https://sites.psu.edu/bruetteblogs/2025/02/28/defying-dehydration-camel-physiology/ (脂肪から生じる水の量について)
  5. Schmidt-Nielsen K. et al. "Body Temperature of the Camel and Its Relation to Water Economy." Am J Physiol 188:103–112, 1956。https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/ajplegacy.1956.188.1.103 (体温の変動と水の節約について。要旨のみ)
  6. ラクダの赤血球に関する研究論文(PMC10927079)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10927079/ (楕円形の赤血球と急速な補水について)

なおした ところ

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