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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

たまごの なかで、ヒナは どうやって そだつの?

卵の中のヒナは、21日で何をしているのか ── 心臓、殻の骨、卵黄、そして最初の呼吸

ニワトリ胚の21日 ── 4日目の器官形成、卵殻カルシウムの利用、卵黄嚢の収納、肺呼吸への切りかえ

分野:生きもの

たまごの からは、ぴったり とじて いるように 見えます。ごはんも、ミルクも、外から はいりません。それでも 21日 あたためると、ヒナが 出て きます[1]。

この メモでは、たまごの なかで 起きる ことを、日にちを おって 見て いきます。から が ほねの ざいりょうに なる ふしぎ、いきの しかたが かわる ところ、さいごに、からの ない ようきで そだてた 2024ねんの けんきゅうまで たどります。

卵の殻は閉じていて、食べ物も水も外から入ってきません。それでも、条件がよければ21日温めるとヒナが出てきます[1]。その間、殻の中では何が起きているのでしょうか。

心臓が動きはじめる日、殻が骨の材料として使われはじめる日、卵黄が体の中にしまわれる日、呼吸が切りかわる日を順にたどります。最後に、殻を使わずに孵化まで育てた2024年の研究も紹介します。日数は資料によって前後1日ほどずれるので、「ごろ」を付けて読んでください。

ニワトリの卵は、密閉されているように見えて、実際にはそこから酸素を取り込み、殻の成分まで利用して胚が育つ。標準的な条件では、孵卵開始から21日でヒナが孵る[1]。この期間に何が、どの順で起きるのか。

ここでは、心臓の拍動開始、4日目までの器官形成、10日目ごろの卵歯と羽毛、11日目ごろからの殻カルシウムの利用、19日目ごろの卵黄嚢の収納、20日目ごろの肺呼吸への切りかえを追い、最後に2024年の殻なし培養の研究を扱う。各日数は資料ごとに±1日ほどの幅がある。

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1. たまごは なんにち あたためると ヒナに なるの?

1. 21日という長さ ── 日ではなく「形」で区切る発生

1. 21日の孵卵期間と、46段階の発生区分

ニワトリの たまごは、ぐあいの よい あたたかさで 21日 あたためると、ヒナが かえります[1]。たまごが できはじめてから、うまれる まえに おかあさんの からだの なかに いた 1日ぶんも ふくめると、かえるまで 22日ぐらいです。

ところで、ヒナの そだち方は、日にちだけで きまって いるわけでは ありません。研究する 人たちは、からだの かたちで 46の だんかいに わけて います[2]。手や あしが できた、くちばしが 出て きた、と いう ぐあいです。

では、いちばん はじめに 動き出すのは、どこでしょう。

ニワトリの卵は、よい条件で21日温めるとヒナが孵ります。卵ができ始めてから産卵前の時間(卵管の中で約1日)も含めると、孵化までは約22日になります[1]。

発生の進み方は、日数だけでは決まりません。温度や卵によって、少し早くなったり遅くなったりするからです。そこで研究者は、1951年にハンバーガーとハミルトンが決めた、体の形の特徴による46段階の区分を使っています[2]。最後の46段階は、孵化したばかりのヒナです。

この区分のおかげで、「何日目」ではなく「どんな形か」で、別々の研究を比べられます。まずは、最初に動きはじめる心臓を見てみましょう。

標準的な孵卵条件で、孵化までは21日。卵ができ始めてから産卵前の時間(卵管内で約1日)も含めると、孵化までは約22日となる[1]。

発生の進行は温度などで前後するため、研究では日数ではなく形態の特徴による区分を使う。1951年にHamburger と Hamilton が提案した46段階がもっとも広く使われ、最後の段階46は孵化直後のヒナ(20〜21日)に当たる[2]。段階は「日」ではなく形の特徴で決まる点に注意が要る。

日数には、資料の幅がある箇所で「ごろ」を付けて示す。

2. しんぞうは、いつ 動きはじめるの?

2. 2日目ごろに心臓が動き、4日目の終わりに器官がそろう

2. 心拍の開始(2日目ごろ)と4日目までの器官形成

たまごの なかの ちいさな からだは、あたためられて 2日目 ごろに、心臓しんぞうが 動きはじめます[3]。ヒナの かたちは まだ、ほとんど 見えない ころです。

4日目の おわりには、うまれて から いきて いくのに ひつような ものが、ひととおり そろう と いわれます[3]。のこりの 17日ぐらいは、それを 大きく して、しあげて いく 時間なのですね。

ただし、日にちは 本に よって すこし ちがいます。心臓しんぞうが 動く 時こくも、42時間と 書く 本も、44時間と 書く 本も あります。

心臓は、孵卵の2日目ごろに拍動を始めます。資料によって42時間、44時間、3日目と書き方が違うので、正確な時刻は断定できません[3][1]。

4日目の終わりには、生まれてから生きていくのに必要な器官がひととおりそろうとされています[3]。21日のうち、残りの17日ほどは、それを大きく育てる時間にあたります。

残りの17日ほどは、それらを大きくし、働くように整える時間だと読めます。では、途中でいちばん意外なことは何でしょうか。次の章は、卵の殻についてです。

心拍は孵卵2日目ごろに始まる。資料により42時間、44時間、3日目と表記が割れる。そのため時刻は断定せず「2日目ごろ」とする[3][1]。

4日目の終わりまでに、孵化後の生存に必要な器官が出そろう[3]。以後の17日ほどは、器官の成長と機能の準備に当たると考えられる。

この間に、外から見える変化も進む。10日目ごろには羽毛のもとが見え、くちばしが硬くなり、卵歯(らんし、くちばし先の硬い突起)が目立つようになる[3][1]。卵歯は、のちに殻を割る道具になる。

3. たまごの からは、ヒナの ほねに なるの?

3. 殻は「入れ物」だけではない ── 11日目ごろから骨の材料に

3. 殻のガス交換とカルシウム供給 ── 気孔とCAMの役割

たまごの からには、目に 見えない ほど ちいさな あなが、およそ 1万7000も あいて います[4]。ここから 酸素さんそが 入って きます。たまごは、いきを して いるのです。

もう ひとつ、おどろく ことが あります。11日目 ごろから、からの 内がわが すこしずつ とけはじめ、その カルシウムが 血管けっかんで ヒナの からだに はこばれる、と 研究の 本に かかれて います[5]。カルシウムは、骨ほねを つくる ざいりょうです。

お家を すこしずつ けずって、じぶんの からだの ざいりょうに する ような ものです。ただし 本当は、ぜんぶが からから きて いる わけでは ありません。きみからも すこし 来ます。

卵の殻には、小さな穴(気孔)が約1万7000個あり、胚はここを通して酸素を受け取ります。数は種や卵によって違います。胚のガス交換は、殻を通す拡散と、血管の多い膜(尿膜と漿膜が合わさったもの。CAMと呼ばれます)で行われます[4]。

もう一つの働きが、カルシウムの供給です。殻はカルシウムの供給源にもなります。孵卵11日目ごろから、殻の内側からカルシウムなどが溶け出しはじめ、CAMの血管が胚に運びます。溶け出したカルシウムは、骨の形成に使われます[5]。

身近な例でいえば、家の壁を少しずつ削って、自分の体をつくる材料にしているようなものです。ただし全部が殻からではなく、卵黄にあるカルシウムも一部使われます[5]。

卵殻には約17,000の気孔があり、孵化前の胚は、殻を通した拡散と、尿膜と漿膜が癒合した血管に富む膜(漿尿膜、CAM)でガス交換を行う[4]。数は種や卵によって異なる。

CAMはガス交換だけでなく、殻からのカルシウムの輸送も担う。Frontiers in Physiology(2022)は、殻の内側からカルシウムなどが溶け出す過程が孵卵11日目(EID11)ごろに始まると述べる。殻は卵の中のカルシウムの供給源になり、溶け出したカルシウムは骨の形成に使われる[5]。

ただし骨の材料は殻由来がすべてではなく、卵黄にもカルシウムがある。

4. たまごの きみは、いつ からだの なかに しまわれるの?

4. 14日目に姿勢を変え、19日目ごろに卵黄を体にしまう

4. 孵化姿勢(14日目)と卵黄嚢の収納(19日目)

14日目 ごろ、ヒナは たまごの まるい ほうに あたまを むけます[1]。そとへ 出る ための、じゅんびの かっこうです。

19日目 ごろには、きみの ふくろが、ヒナの おなかの 中へ ひっぱられて、しまわれはじめます[2]。きみは、ヒナの ごはんです。うまれる まえに、おべんとうを おなかに つめて おくような ものです。

ただし、おべんとうと ちがって、ヒナは その ごはんを、うまれた あとも すこしの あいだ つかいます。

14日目ごろ、胚は卵の丸い側(鈍端)に頭を向けます[1]。殻を破って出るための姿勢に入ったといえます。

19日目ごろから、卵黄嚢(卵黄を包む袋)が体の中、つまり腹の内側へ引き込まれはじめます。UNSWの発生段階表では、段階45(19〜20日)が「卵黄嚢が半分ほど体の内側に入った状態」にあたります[2]。卵黄は、胚の栄養源です。

いわば、旅立つ前に、お弁当を体の中に持ちこむような動きです。出てくる前にしておくべき準備が、殻の中で順に進んでいきます。次は、いよいよ息と殻の話です。

14日目ごろ、胚は卵の鈍端(大きい側)に頭を向ける[1]。孵化姿勢への移行である。

19日目ごろ、卵黄嚢が体腔内に引き込まれはじめる。Hamburger-Hamilton の段階45(19〜20日)は、卵黄嚢が体腔に半ば取り込まれた状態とされる[2]。卵黄は胚の栄養源であり、孵化前に体内へ収まる。

この配置により、孵化の時点では栄養源を体内に抱えている、と読める。

5. ヒナは、いつ ぱいで いきを しはじめるの?

5. 20日目ごろの切りかえ ── 殻の呼吸から肺の呼吸へ、そして殻を破る

5. 20日目ごろの肺呼吸への切りかえと、孵化(21日目ごろ)

20日目 ごろ、ヒナの くちばしが、たまごの まるい ほうに ある くうきの たまりに とどきます[3]。すると、はじめて 肺はいで いきを しはじめます[4]。

それまで はたらいて いた 血管けっかんの おおい まくは、かわいて、はたらかなく なります[4]。これからは、肺はいだけが たよりです。

そして、くちばしの さきの かたい とっきで、からの 内がわを こつこつ たたきます。ひびが 入り、あなが あき、ヒナは 足を つかって ゆっくり まわりながら、からを わって いきます。21日目 ごろ、ヒナは 外へ 出ます[3]。

たまごの なかで、いきの しかたが かわります。

20日目ごろ、ヒナのくちばしが、卵の丸い側にある空気だまり(気室)に届きます[3]。すると肺での呼吸が始まります。それまで胚を支えていた血管の多い膜(CAM)は、乾いて働きを失い、ヒナは肺だけで呼吸するようになります[4]。

次に、ヒナはくちばしの先の卵歯で、殻の内側をたたきます。殻にひびが入り、続いて小さな穴があき、ヒナは足を使って体を少しずつ回しながら殻を割っていきます。21日目ごろに、ヒナは外に出てきます[3]。

呼吸の場所が殻から肺へ切りかわるのが、殻を割る時間帯と重なっています。ここが、ヒナにとって、いちばん忙しい場面の一つだったのかもしれません。

20日目ごろ、くちばしが気室(卵の鈍端にある空気だまり)を突き破る。MSU Extension は、20日を過ぎてくちばしが気室に達すると述べる[3]。以後、肺呼吸が始まる。CAMは乾いて機能を失い、ヒナは肺のみに頼る[4]。

その後、卵歯で殻の内側を叩き、ひび(star)、穴(pip)の順で殻を破る。足で体を回すように動いて殻を割り、21日目ごろに出てくる[3]。

呼吸の切りかえと殻を割る時期が重なるのは、時系列としては確かだ。ただしこの重なりが何を意味するかは、今回の資料では説明されていない。

6. たまごの からが なくても、ヒナは そだつの?

6. 殻なしで育てる研究 ── 産卵から孵化までを外から見る

6. 殻なし培養による全過程の観察(筑波大学ほか、2024)

2024ねん10がつ、つくばだいがく などの けんきゅうで、からを つかわずに、うまれたての たまごから 21日目まで ヒナを そだてた ことが つたえられました[6]。

ようきを かたむけて ゆらす きかいで ふり、いくつもの ヒナが うまれた そうです。すると、たまごが できてから ヒナが かえるまでを、ずっと 外から 見る ことが できます[6]。

これまで、からの 中で しか 見られなかった ものが、見えるように なる かもしれません。

2024年10月、筑波大学などの研究が発表されました。殻のない培養容器を傾けて回転させるシェーカーで振る方法で、孵卵開始後21日目に複数の正常なヒナが生まれたと報告されています[6]。

この方法は、産卵から孵化までの全過程をリアルタイムで観察できる方法として紹介されています[6]。

この章の前半で見たように、殻はカルシウムの供給源でもあります。殻なしで育てるとき、その役割をどう補うのかは、研究の紹介ページでは、細かく扱われていません。

2024年10月、筑波大学などの研究が発表された。殻のない培養容器を傾けて回転させるシェーカーで振る方法で、孵卵開始後21日目に複数の正常なヒナが誕生したという[6]。この方式は、産卵から孵化までの全過程をリアルタイムで観察できる方法として紹介されている。

これまで胚の観察は、殻に窓を開けるなどの方法に頼っていたが、この方式なら殻を通さずに全過程を追える。

3章で見たように、殻はカルシウムの供給源でもある。殻なし培養でその役割がどう補われるかは、大学の紹介記事には詳しく書かれていない。

7. じぶんでも たしかめて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

おうちの 人と いっしょに、ゆでたまごを つくって みましょう。おゆは あつい ので、かならず おとなに おねがいして、さめて から さわります。

まるい ほうの さきを わって みると、うすい まくと、くうきの たまりが 見つかる ことが あります。ヒナが はじめて いきを する くうきの たまりと、ゆでたまごの くうきの たまりを、見くらべて みましょう。ゆでたまごの から の 内がわも、見て みましょう。

ゆで卵を作り(火を使うので大人と一緒に、冷ましてから)、殻をむいてみましょう。丸い側の殻の内側に、薄い膜と空気だまり(気室)が見つかることがあります。ヒナが最初に呼吸する気室と、ゆで卵の気室を見比べてみましょう。

もう一つ。日数と出来事を、自分で年表にしてみましょう。2日目、4日目、10日目、11日目、14日目、19日目、20日目、21日目を並べると、それぞれの日に何が起きるかも書きそえて、変化が多い時期を探してみましょう。

本文で紹介した資料を、自分でも読んでみよう。

  • UNSW Embryology の Hamburger Hamilton Stages の表で、段階と日数の対応を読み、資料ごとの日数の幅を自分で確かめる[2]。
  • Frontiers in Physiology(2022)の論文で、殻由来のカルシウムの割合と、11日目(EID11)前後の変化の記述を読む[5]。
  • 筑波大学の紹介記事から元の論文に進み、殻なし培養の方法を読む[6]。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

出典について:大学や公的機関のウェブページ、論文、解説記事を突き合わせて使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. Poultry Hub Australia "Embryology of the chicken". https://www.poultryhub.org/anatomy-and-physiology/body-systems/embryology-of-the-chicken (孵卵日数、各日の出来事、孵化姿勢について)
  2. UNSW Embryology "Hamburger Hamilton Stages". https://embryology.med.unsw.edu.au/embryology/index.php/Hamburger_Hamilton_Stages (46段階の区分と、卵黄嚢の収納の段階について)
  3. Mississippi State University Extension "Stages in chick embryo development". https://extension.msstate.edu/agriculture/livestock/poultry/stages-chick-embryo-development (心臓の拍動、4日目までの器官、気室への到達、孵化の流れについて)
  4. The Conversation "I have always wondered: when do baby birds begin to breathe?". https://theconversation.com/i-have-always-wondered-when-do-baby-birds-begin-to-breathe-81754 (殻の気孔、CAM、肺呼吸への切りかえについて)
  5. Frontiers in Physiology (2022) 卵殻からのカルシウム利用に関する論文(PMC9091813). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9091813/ (11日目ごろからの殻カルシウムの溶出と、骨への利用について)
  6. TSUKUBA JOURNAL(筑波大学)2024年10月3日. https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20241003180000.html (殻なし培養で産卵から孵化まで観察できた研究について)

なおした ところ

更新履歴

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