1. たまごは なんにち あたためると ヒナに なるの?
1. 21日という長さ ── 日ではなく「形」で区切る発生
1. 21日の孵卵期間と、46段階の発生区分
ニワトリの たまごは、ぐあいの よい あたたかさで 21日 あたためると、ヒナが かえります[1]。たまごが できはじめてから、うまれる まえに おかあさんの からだの なかに いた 1日ぶんも ふくめると、かえるまで 22日ぐらいです。
ところで、ヒナの そだち方は、日にちだけで きまって いるわけでは ありません。研究する 人たちは、からだの かたちで 46の だんかいに わけて います[2]。手や あしが できた、くちばしが 出て きた、と いう ぐあいです。
では、いちばん はじめに 動き出すのは、どこでしょう。
2. しんぞうは、いつ 動きはじめるの?
2. 2日目ごろに心臓が動き、4日目の終わりに器官がそろう
2. 心拍の開始(2日目ごろ)と4日目までの器官形成
たまごの なかの ちいさな からだは、あたためられて 2日目 ごろに、心臓が 動きはじめます[3]。ヒナの かたちは まだ、ほとんど 見えない ころです。
4日目の おわりには、うまれて から いきて いくのに ひつような ものが、ひととおり そろう と いわれます[3]。のこりの 17日ぐらいは、それを 大きく して、しあげて いく 時間なのですね。
ただし、日にちは 本に よって すこし ちがいます。心臓が 動く 時こくも、42時間と 書く 本も、44時間と 書く 本も あります。
3. たまごの からは、ヒナの ほねに なるの?
3. 殻は「入れ物」だけではない ── 11日目ごろから骨の材料に
3. 殻のガス交換とカルシウム供給 ── 気孔とCAMの役割
たまごの からには、目に 見えない ほど ちいさな あなが、およそ 1万7000も あいて います[4]。ここから 酸素が 入って きます。たまごは、いきを して いるのです。
もう ひとつ、おどろく ことが あります。11日目 ごろから、からの 内がわが すこしずつ とけはじめ、その カルシウムが 血管で ヒナの からだに はこばれる、と 研究の 本に かかれて います[5]。カルシウムは、骨を つくる ざいりょうです。
お家を すこしずつ けずって、じぶんの からだの ざいりょうに する ような ものです。ただし 本当は、ぜんぶが からから きて いる わけでは ありません。きみからも すこし 来ます。
卵の殻には、小さな穴(気孔)が約1万7000個あり、胚はここを通して酸素を受け取ります。数は種や卵によって違います。胚のガス交換は、殻を通す拡散と、血管の多い膜(尿膜と漿膜が合わさったもの。CAMと呼ばれます)で行われます[4]。
もう一つの働きが、カルシウムの供給です。殻はカルシウムの供給源にもなります。孵卵11日目ごろから、殻の内側からカルシウムなどが溶け出しはじめ、CAMの血管が胚に運びます。溶け出したカルシウムは、骨の形成に使われます[5]。
身近な例でいえば、家の壁を少しずつ削って、自分の体をつくる材料にしているようなものです。ただし全部が殻からではなく、卵黄にあるカルシウムも一部使われます[5]。
4. たまごの きみは、いつ からだの なかに しまわれるの?
4. 14日目に姿勢を変え、19日目ごろに卵黄を体にしまう
4. 孵化姿勢(14日目)と卵黄嚢の収納(19日目)
14日目 ごろ、ヒナは たまごの まるい ほうに あたまを むけます[1]。そとへ 出る ための、じゅんびの かっこうです。
19日目 ごろには、きみの ふくろが、ヒナの おなかの 中へ ひっぱられて、しまわれはじめます[2]。きみは、ヒナの ごはんです。うまれる まえに、おべんとうを おなかに つめて おくような ものです。
ただし、おべんとうと ちがって、ヒナは その ごはんを、うまれた あとも すこしの あいだ つかいます。
5. ヒナは、いつ ぱいで いきを しはじめるの?
5. 20日目ごろの切りかえ ── 殻の呼吸から肺の呼吸へ、そして殻を破る
5. 20日目ごろの肺呼吸への切りかえと、孵化(21日目ごろ)
20日目 ごろ、ヒナの くちばしが、たまごの まるい ほうに ある くうきの たまりに とどきます[3]。すると、はじめて 肺で いきを しはじめます[4]。
それまで はたらいて いた 血管の おおい まくは、かわいて、はたらかなく なります[4]。これからは、肺だけが たよりです。
そして、くちばしの さきの かたい とっきで、からの 内がわを こつこつ たたきます。ひびが 入り、あなが あき、ヒナは 足を つかって ゆっくり まわりながら、からを わって いきます。21日目 ごろ、ヒナは 外へ 出ます[3]。
たまごの なかで、いきの しかたが かわります。
6. たまごの からが なくても、ヒナは そだつの?
6. 殻なしで育てる研究 ── 産卵から孵化までを外から見る
6. 殻なし培養による全過程の観察(筑波大学ほか、2024)
2024ねん10がつ、つくばだいがく などの けんきゅうで、からを つかわずに、うまれたての たまごから 21日目まで ヒナを そだてた ことが つたえられました[6]。
ようきを かたむけて ゆらす きかいで ふり、いくつもの ヒナが うまれた そうです。すると、たまごが できてから ヒナが かえるまでを、ずっと 外から 見る ことが できます[6]。
これまで、からの 中で しか 見られなかった ものが、見えるように なる かもしれません。
2024年10月、筑波大学などの研究が発表されました。殻のない培養容器を傾けて回転させるシェーカーで振る方法で、孵卵開始後21日目に複数の正常なヒナが生まれたと報告されています[6]。
この方法は、産卵から孵化までの全過程をリアルタイムで観察できる方法として紹介されています[6]。
この章の前半で見たように、殻はカルシウムの供給源でもあります。殻なしで育てるとき、その役割をどう補うのかは、研究の紹介ページでは、細かく扱われていません。
2024年10月、筑波大学などの研究が発表された。殻のない培養容器を傾けて回転させるシェーカーで振る方法で、孵卵開始後21日目に複数の正常なヒナが誕生したという[6]。この方式は、産卵から孵化までの全過程をリアルタイムで観察できる方法として紹介されている。
これまで胚の観察は、殻に窓を開けるなどの方法に頼っていたが、この方式なら殻を通さずに全過程を追える。
3章で見たように、殻はカルシウムの供給源でもある。殻なし培養でその役割がどう補われるかは、大学の紹介記事には詳しく書かれていない。
7. じぶんでも たしかめて みたく なったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
おうちの 人と いっしょに、ゆでたまごを つくって みましょう。おゆは あつい ので、かならず おとなに おねがいして、さめて から さわります。
まるい ほうの さきを わって みると、うすい まくと、くうきの たまりが 見つかる ことが あります。ヒナが はじめて いきを する くうきの たまりと、ゆでたまごの くうきの たまりを、見くらべて みましょう。ゆでたまごの から の 内がわも、見て みましょう。
ゆで卵を作り(火を使うので大人と一緒に、冷ましてから)、殻をむいてみましょう。丸い側の殻の内側に、薄い膜と空気だまり(気室)が見つかることがあります。ヒナが最初に呼吸する気室と、ゆで卵の気室を見比べてみましょう。
もう一つ。日数と出来事を、自分で年表にしてみましょう。2日目、4日目、10日目、11日目、14日目、19日目、20日目、21日目を並べると、それぞれの日に何が起きるかも書きそえて、変化が多い時期を探してみましょう。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
出典について:大学や公的機関のウェブページ、論文、解説記事を突き合わせて使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Poultry Hub Australia "Embryology of the chicken". https://www.poultryhub.org/anatomy-and-physiology/body-systems/embryology-of-the-chicken (孵卵日数、各日の出来事、孵化姿勢について)
- UNSW Embryology "Hamburger Hamilton Stages". https://embryology.med.unsw.edu.au/embryology/index.php/Hamburger_Hamilton_Stages (46段階の区分と、卵黄嚢の収納の段階について)
- Mississippi State University Extension "Stages in chick embryo development". https://extension.msstate.edu/agriculture/livestock/poultry/stages-chick-embryo-development (心臓の拍動、4日目までの器官、気室への到達、孵化の流れについて)
- The Conversation "I have always wondered: when do baby birds begin to breathe?". https://theconversation.com/i-have-always-wondered-when-do-baby-birds-begin-to-breathe-81754 (殻の気孔、CAM、肺呼吸への切りかえについて)
- Frontiers in Physiology (2022) 卵殻からのカルシウム利用に関する論文(PMC9091813). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9091813/ (11日目ごろからの殻カルシウムの溶出と、骨への利用について)
- TSUKUBA JOURNAL(筑波大学)2024年10月3日. https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20241003180000.html (殻なし培養で産卵から孵化まで観察できた研究について)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。